JP4543141B2 - 欠陥検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は欠陥検査装置、特に0.1μm以下の微細な欠陥の存在及び欠陥の特性を検出できる欠陥検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フォトマスクブランクス、半導体ウェハ、磁気ディスク、光ディスク等の表面状態は、これらの本質的機能を達成する上で極めて重要である。例えば、半導体ウェハウェハにパターンを投影する際に用いられるフォトマスクのガラス基板の表面上に傷や異物の存在に起因する欠陥があると、この欠陥がパターンと共に投影され、半導体ウェハ上に正確なパターンを投影できなくなってしまう。特に、パターンの微細化に伴い、検出すべき欠陥も微細化しており、従って半導体ウェハやフォトマスク等の表面に存在する微細な欠陥の存在を正確に検出できる欠陥検査装置の開発が強く要請されている。
【0003】
フォトマスクのガラス基板の欠陥検出装置として、ガラス基板上にレーザ光を照射し、基板表面の異物等による散乱光を光検出器により受光し、光検出器からの出力信号に基づいて欠陥の存在を検出するレーザ散乱方式が既知である。このレーザ散乱光方式の欠陥検出装置では、傷や異物による欠陥部分からの散乱光を検出することにより欠陥の存在が決定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したレーザ散乱光方式の欠陥検出装置は、基板表面上に異物が存在している場合、高い検出感度を有し欠陥の存在を比較的正確に検出することができる。
しかしながら、散乱を利用しているため検出できる異物の大きさに限界があり、微小な異物に対する感度は極めて低くく、薄い膜の存在による欠陥については検出感度が極めて低い欠点がある。しかも、傷等の凹状の部分についての検出感度も著しく低い欠点がある。
【0005】
さらに、散乱光方式の欠陥検出装置では、欠陥の特性例えば凹状の欠陥であるか又は凸状の欠陥であるかの判別が不正確であるため、欠陥検出情報の利用範囲が限られる欠点がある。すなわち、検出された欠陥の特性が判定できれば、その後行うべき適正な処理を決定することができ、表面状態検出装置を一層有効に活用することができる。
【0006】
従って、本発明の目的は、例えば0.1μm以下の微細な欠陥でも正確に検出することができる欠陥検査装置を提供することにある。
【0007】
さらに、本発明の目的は、比較的大きな欠陥と微細な欠陥の両方を正確に検出できる欠陥検査装置を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明の目的は、欠陥の検出だけでなく検出した欠陥の特性、特に欠陥の形状が凹状か又は凸状かを判別することができる欠陥検査方法及び装置を提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の目的は、高速で試料表面の状態を検出できる欠陥検査装置を提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の目的は、検出した欠陥の特性に応じて実行すべき最適な処理を選択することができる欠陥検査方法を提供することにある。
【0011】
本発明の参考例として記載する欠陥検査装置は、光ビームを発生する光源装置と、
この光ビームを第1の方向に偏向するビーム偏向装置と、
入射する光ビームをスポット状に集束して欠陥検査すべき試料に向けて投射する対物レンズと、
欠陥検査すべき試料を支持する試料ステージと、
前記ビーム偏向装置と対物レンズとの間に配置され、前記ビーム偏向装置から出射した光ビームを互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームに変換すると共に、検査すべき試料表面で反射した互いに関連するサブビーム同士を合成して試料表面に関する高さ情報を位相情報として含む干渉ビームを発生する干渉光学系と、
前記干渉光学系から出射した干渉ビームを受光する光検出器と、
前記光検出器からの出力信号に基づいて試料表面の欠陥の存在を表す欠陥検出信号を発生する信号処理回路とを具えることを特徴とする。
【0012】
本発明では、光源装置から放出された光ビームを干渉光学系により互いに干渉性を有する2本のサブビームに変換する。そして、これらサブビームにより欠陥検査すべき試料表面を走査する。試料表面に欠陥が存在する場合、2本のサブビームのうち一方のサブビームが欠陥部分を走査し他方のサブビームが欠陥と隣接する正常な部分を走査するので、これらサブビーム間に欠陥の高さ方向の大きさに対応した位相差が生ずる。そして、試料表面で反射したサブビーム同士を干渉光学系により合成することにより得られる干渉ビームの振幅Iは以下の式で表される。
I=A1 2+A2 2+2A1 A2 cosθ
ここで、A1 及びA2 はサブビームの振幅を表し、θはサブビーム間の位相差を表す。上式から明らかなように、2本のサブビーム間の位相差が0からπ(1/4波長に相当する)まで変化すると、干渉ビームの振幅は(A1 +A2 )から0まで変化することになる。従って、光ビームの波長が例えば488nmの場合欠陥の高さが0nmから122nm変化するだけ干渉ビームの振幅すなわち輝度情報は正規の値からほぼ零まで変化するので、微小な欠陥に対して極めて高い検出感度を有する欠陥検出装置を実現することができる。しかも、複数の光ビームで試料表面を2次元的に走査すれば、欠陥検出を高速で行うことができる。
【0013】
欠陥検出の判定を行う信号処理回路は、リニァイメージセンサの各受光素子からの出力信号同士を比較することにより欠陥検出を行うことができ、或いは各受光素子からの出力信号をハイパスフィルタを通過させた後比較器により基準値と比較することにより欠陥検出を行うことができ、種々の欠陥検出方式を利用することができる。
【0014】
本発明による欠陥検出装置の好適実施例は、mを正の整数とした場合に、前記第1のサブビームと第2のサブビームとの間にほぼ(2m+1)π/2の位相差が導入されていることを特徴とする。2本のサブビーム間に(2m+1)π/2の位相差を導入すれば、僅かな位相変化に応じて干渉ビームの光量が大幅に変化するため、微小な欠陥でも正確に検出することができる。
【0015】
本発明による欠陥検査の好適実施例は、第1及び第2のサブビームが、試料上においてビーム偏向装置のビーム偏向方向に互いに離間していることを特徴とする。サブビーム間の距離を検出しようとする欠陥よりも大きく設定すると、第1のサブビームが欠陥の部位を走査する間に第2のサブビームは正常な部分を走査する。この結果、2本のサブビーム間に欠陥の高さに応じた位相差が生ずる。この位相差は、先頭側の第1のサブビームに対して位相進める方向に作用する場合後側の第2のサブビームに対しては位相を遅らせるように作用する。従って、各サブビームが欠陥部分を走査する際に生ずる輝度が互いに相違することになる。
従って、欠陥部分を走査する際に生ずる受光素子からの出力強度を比較することにより、凸状欠陥であるか凹状欠陥であるかを判別することができる。この結果、干渉検査モードでスキャンすることにより、凹状欠陥か凸状欠陥であるかを1回のスキャンで判別することができ、この検査結果を利用することにより、次に行うべき処理、例えば試料について洗浄処理を行うか又は研摩処理を行うべきかを即座に判定することができる。すなわち、凸状欠陥の多くは異物付着に起因し洗浄処理により欠陥を除去することができ、凹状欠陥の多くはギズによるものであり研摩処理により欠陥を除去することができる。従って、検出された欠陥が凸状である。凹状であると判定できることにより、次に行なうべき処理を直ちに実行することもできる。
【0016】
本発明による欠陥検査装置は、複数の光ビームで試料表面を走査し、試料からの反射光の輝度情報に基づいて試料表面に存在する欠陥を検出するコンフォーカル検査モードと、試料表面の高さ情報を位相情報として検出する干渉検査モードとの間で切り換え可能な欠陥検査装置であって、
第1の方向に沿って整列した複数の光ビームを放出する光源装置と、
これら複数の光ビームを第1の方向と直交する第2の方向に偏向するビーム偏向装置と、
入射する複数の光ビームをスポット状に集束して試料表面に投射する対物レンズと、
検査すべき試料を支持する試料ステージと、
前記干渉検査モードにおいて、前記ビーム偏向装置と対物レンズとの間の光路中に挿入され、入射した光ビームを、互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームにそれぞれ変換すると共に、前記試料表面で反射し互いに関連するサブビーム同士を合成し、試料表面の高さに関する位相情報を含む干渉ビームを発生する干渉光学系と、
前記第1の方向と対応する方向に配列され、前記試料表面からの反射光又は干渉ビームを受光する複数の光検出素子を有するリニアイメージセンサと、
前記リニアイメージセンサからの出力信号に基づいて欠陥検出信号を発生する信号処理回路と具え、前記信号処理回路は、
コンフォーカル検査モードにおいて、前記リニアイメージセンサの光検出素子から出力される輝度信号を用いて欠陥を検出する欠陥検出手段と、
干渉検査モードにおいて、前記リニアイメージセンサの光検出素子から出力される干渉ビームの振幅の変化に基づき、欠陥が凸状欠陥か又は凹状欠陥かを判別する手段とを有することを特徴とする。干渉ビームを用いて欠陥検出する場合、微少欠陥を正確に検出できる利点があるもののフェーズラッピングの問題が生ずる。すなわち、欠陥の光軸方向の大きさがπ以上の位相差に相当する場合、欠陥の高さ情報を正確に判定することができなくなってしまう。一方、コンフォーカル検査モードの場合、2π以上の大きさの欠陥でも正確に検出することができる。そこで、本発明では、コンフォーカル検査モードと干渉検査モードとを選択的に切り換えることができるようにする。従って、初めにコンフォーカル検査モードで欠陥検査を行って欠陥検出情報を記憶する。次に、検査モードを切り換え、干渉検査モードで欠陥検査を行って微少欠陥について欠陥検査を行う。このように構成すれば、比較的大きな欠陥及び2π以下の比較的小さな欠陥の両方の欠陥を正確に検査することができる。
【0017】
本発明の参考例として記載する欠陥検査装置は、光ビームを発生する光源装置と、
前記光ビームをスキャンするビーム偏向装置と、
欠陥検査すべき試料を支持する試料ステージと、
前記光ビームを、互いに離間した2本のサブビームに変換すると共に、検査すべき試料表面で反射したサブビーム同士を合成して試料表面に関する情報を位相情報として含む干渉ビームを発生する干渉光学系と、
前記2本のサブビーム間に少なくとも0から2πまで変化する相対的な位相差を導入する手段と、
前記サブビームを微少スポット状に集束して検査すべき試料表面に投射する対物レンズと、
前記干渉ビームを受光して電気信号に変換する光検出器と、
前記光検出器からの出力信号に基づいて試料表面に存在する欠陥の高さ情報を検出する信号処理回路とを具えることを特徴とする。本例では、位相シフト法を利用することにより、欠陥の高さ値を求めることができるだけでなく、欠陥の形状が凸状か又は凹状かも正確に判定することができる。
【0018】
本発明による欠陥検査装置の好適実施例は、干渉光学系を、入射した光ビームを2本のサブに変換して出射させるプリズム素子で構成し、このプリズム素子に光路への挿入量を制御するアクチュエータを連結し、プリズム素子の光路への挿入量に応じて前記サブビーム間に相対的な位相差を導入することを特徴とする。
ここで、光ビームを2本のサブビームに変換するプリズム素子として、ノマルスキープリズム、ウォラストンプリズム、ロションプリズム等のプリズム素子を用いることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明による欠陥検査装置を説明するに際し、微小スポット状に集束した複数(m本)の光ビームで試料表面を走査しその反射光の輝度情報から試料表面に存在する欠陥を検出するコンフォーカル検査モードと、互いに干渉性を有する2本の集束した光ビームで試料表面を走査し試料表面からの反射光を合成して試料表面の高さ情報を位相情報として検出する干渉検査モードとの間で切換ことができる欠陥検査装置について説明する。この切換可能な欠陥検査装置は、比較的大きな欠陥を検出することを目的とする場合コンフォーカル検査モードで欠陥検査することが有益であり、数10nm程度の微小な欠陥は干渉検査モードで欠陥検査を行うことが有益である。従って、検出すべき欠陥の大きさに応じてモード切換を行うことができ、例えば初めにコンフォーカル検査モードで検査し、検出された微小な欠陥について干渉モードで検査することができる。
【0020】
初めに、コンフォーカル検査モードで欠陥検査を行う場合の光学系の構成について説明する。図1は本発明による欠陥検査装置のコンフォーカル検査モードの光学系の一例の構成を示す線図である。光源1として、例えば488nmの波長のレーザ光を放出するArレーザを用いる。尚、これ以外の光源として、例えば266nmの波長のレーザ光を発生する4倍高調波YAGレーザや264nmの波長光を放出するArレーザも用いることができ、或いはコヒーレント長が比較的長い半導体レーザも用いることもできる。
【0021】
光源1からから発生した光ビームを回折格子2に入射させ、第1の方向に整列した複数の光ビームに変換する。尚、図面を明瞭にするため、回折光は紙面内に回折されているものとする。これら光ビームは第1及び第2のリレーレンズ3及び4を経て偏光ビームスプリッタ5に入射し、この偏光ビームスプリッタ5を透過してガルバノミラー6に入射する。ガルバノミラー6は入射した複数の光ビームを第1の方向と直交する第2の方向(紙面と直交する方向)に所定の周波数で周期的に偏向する。ガルバルノミラー6で反射した複数の光ビームは第3及び第4のリレーレンズ7及び8並びに1/4波長板9を経て、対物レンズ10に入射する。これら光ビームは、対物レンズ10により微小スポット状に集束され、欠陥検査すべき試料11に入射する。この結果、試料11の表面上には第1の方向と対応する方向に沿って所定のピッチで配列された複数の光スポットが形成されることになる。尚、対物レンズ10は光軸方向に沿って移動可能に支持され、従って対物レンズ10を光軸方向に沿って移動することにより試料表面と対物レンズの焦点との間の相対距離を変化させることができる。
【0022】
試料11は半導体ウェハブランクス、パターン付きの半導体ウェハ、フォトマスクの基板、パターン付きのフォトマスク光ディク基板、光磁気ディスク基板等とすることができる。試料11は試料ステージ12上に配置する。この試料ステージ12は、光軸と直交するX(第1の方向と対応する方向)及びY(第1の方向と直交する第2の方向に対応する方向)に移動可能なものとする。尚、X及びY方向だけでなくZ方向(光軸方向)にも移動可能とし、Z方向の移動により対物レンズの焦点と試料との間の相対距離を変化させることもできる。このように構成することにより、試料表面の全体が微小スポット状に集束した光ビームにより2次元的に走査されることになる。尚、試料表面上に形成される光スポット列の間隔は、いずれかのリレーレンズをズームレンズで構成しその倍率を調整することにより所望のピッチに設定することができる。従って、試料11が例えば所定のピッチで形成されたパターンを有するパターン付きウェハの場合、ズームレンズの倍率を調整してパターンのピッチと光ビームのピッチとを一致させることにより、パターンに沿って各光ビームで走査することができる。
【0023】
試料表面からの反射光は、対物レンズ10により集光され、再び1/4波長板9並びにリレーレンズ8及び7を経てガルバノミラー6に入射し、このガルバノミラーによりデスキャンされてビームスプリッタ5に入射する。入射した光ビームは1/4波長板を2回通過しているため、その偏光面が90°回転している。
この結果、入射した光ビームはビームスプリッタの偏光面で反射し、リレーレンズ13を経てリニァイメージセンサ14に入射する。このリニァイメージセンサ14は、第1の方向と対応する方向に配列された複数の受光素子を有し、各反射ビームはそれぞれ対応するする受光素子に入射する。入射する光ビームはガルバノミラー6によりデスキャンされているため、ガルバノミラーによりスキャンされていてもリニァイメージセンサ14上では静止した状態となる。
【0024】
リニァイメージセンサ14の各受光素子の受光面を規定する枠はピンホールと同等な作用を果たすので、リニァイメージセンサの各受光素子の前面には微小な開口を有するピンホールがそれぞれ配置されるものと等価である。従って、試料表面を走査する微小な光スポットによる反射光がピンホールにより規定された受光素子に入射することになり、この結果図1に示す光学系はコンフォーカル光学系を構成することになる。コンフォーカル光学系は高い解像度を有するので、図1の光学系を利用することにより、例えば50nm程度の大きさの微小欠陥も正確に検出することができる。
【0025】
リニァイメージセンサ14にはCCD駆動回路15を接続し、供給される同期信号に基づいて1ライン毎に各受光素子に蓄積した電荷を読み出す。読み出された各信号は増幅器16(図面上16a〜16eだけを示す)を経てビデオ信号として信号処理回路17に供給する。信号処理回路17は、リニァイメージセンサ14からの出力信号を処理して欠陥検出を行い、欠陥の存在を検出した場合欠陥検出信号を発生する。尚、リニァイメージセンサの各受光素子をフォトダイオードで構成し、各フォトダイオードからの出力信号を時間的に連続して出力することもできる。
【0026】
尚、中央処理装置18からステージ駆動回路19、ガルバノミラーに接続したミラー駆動回路20及びCCD駆動回路15に同期信号を供給し、装置全体の駆動を中央処理装置18により行うものとする。
【0027】
次に、信号処理回路17における欠陥検出について説明する。図2A〜Cは欠陥検出の処理回路の構成を示す回路図である。図2Aに示す処理回路では、各受光素子からの出力信号を光電変換回路20により電気信号に変換し、ハイパスフィルタ21を通過させて高周波成分を抽出する。そして、抽出した高周波成分をコンパレータ22において基準値と比較する。受光素子からの出力信号は、欠陥のない正常な表面部分を走査している場合一定の強度の出力信号となるが、欠陥部分を光ビームで走査する場合、受光素子に入射する光量が著しく減少する。従って、受光素子からの光電出力をハイパスフィルタを通過させ、その出力をコンパレータで基準値と比較することにより欠陥の存在を判別することができる。そして、検出した欠陥のアドレスを座標メモリに記憶する。この結果、欠陥の存在及びそのアドレスを求めることができる。
【0028】
図2Bに示す欠陥検出回路では、受光素子間の出力信号を比較することにより欠陥の存在を判別する。例えば、隣接する光ビーム間又は1本おき或いは複数本間隔の光ビームの出力信号を比較すれば、いずれか一方の光ビームで走査する位置に欠陥があれば、差動増幅器24からの出力信号が大きく変化する。この信号変化をコンパレータ22で基準値と比較することにより欠陥の存在を検出することができる。
【0029】
図2Cに示す欠陥検出回路では、各受光素子からの出力信号を光電変換した後、遅延回路26を通過させて1ライン分遅延した信号を形成し、差動増幅器24において遅延した信号と遅延されていない信号とを比較する。この場合、いずか一方の走査部分に欠陥が存在すると、大きな信号成分の変化が生じ、信号変化をコンパレータで基準値と比較することにより欠陥の存在が検出される。そして、検出した欠陥のアドレスを座標メモリに記憶する。
【0030】
次に、パターン付きのフォトマスクやウェハについての信号処理回路における欠陥検出判定について説明する。既にパターンが形成されているフォトマスクやウェハの場合、1個のマスク又はウェハに同一形状及び同一のパターンを有する複数のダイ又はチィップが形成されている。従って、このようなパターン付きのフォトマスクについて欠陥検出判定を行う場合、1個のダイ又はチィップについての検出信号又はビデオ信号をメモリに記憶し、欠陥検出信号をメモリに記憶されている情報と比較するダイ比較により欠陥検出判定を行うことができる。このように、マルチビームによる欠陥検査とダイ比較とを利用することにより、パターン付きフォトマスクの欠陥検出を高速で正確に行うことができる。
【0031】
次に、検出した欠陥の性質又は状態検出について説明する。コンフォーカル光学系は試料の高さ方向について高い解像力を有しているので、対物レンズの焦点が試料表面に合焦している場合受光素子には多量の光が入射し、焦点が試料表面からずれていると受光素子に入射する光量は著しく減少する。従って、対物レンズの焦点と試料表面との間の相対距離を変化させながらビーム走査を行い、対物レンズの焦点と試料表面との間の相対変位量と受光素子の出力である輝度との関係を求めることにより、欠陥の高さ情報すなわち凸状の欠陥であるか又は凹状の欠陥であるかを判別することができ並びに欠陥の大きさを測定することができる。
【0032】
検出した欠陥のアドレスを用い、試料ステージを移動させて検出された欠陥をビーム走査位置に位置させる。次に、対物レンズの焦点と試料表面との間の相対距離を変えながら複数回ビーム走査を行う。この際、対物レンズを光軸方向に沿って移動させることにより焦点と試料との間の相対変位量を変えることができ、或いは試料ステージをZ方向に移動することによっても相対変位量を制御することができる。そして、ビーム走査毎に輝度を記憶し、相対変位量と輝度との関係を求める。図3は相対変位量と輝度との関係を規定する模式図である。図3において、一点鎖線aは正常な試料表面おける相対変位量と輝度との関係を示し、実線bは凸状の欠陥部分における関係を示し、破線は凹状の欠陥(例えば、傷)における関係を示す。試料表面が正常な場合、輝度のピークは基準の焦点位置に発生する。これに対して、凸状の欠陥(例えば、異物の存在)が存在する部分においては、輝度のピークは基準焦点位置よりも上方(試料表面から光源に近づく方向)に発生し、凹状の欠陥の場合ピークは下方(試料表面から光源から遠ざかる方向)で発生する。従って、焦点と試料との間の相対変位量と輝度との関係におけるピークの発生位置から欠陥の高さ方向のサイズ並びに凸状か又は凹状かを判別することができる。また、光ビームは試料表面を2次元的に走査するため、試料表面の2次元情報として焦点と試料との間の相対変位量と輝度と関係から欠陥のXY面内の大きさも求めることができる。
【0033】
このようにして検出した欠陥検出情報に基づいて、次に行うべき最適処理を決定することができる。すなわち、検出された欠陥の多くが凸状欠陥の場合、この凸状欠陥はほとんど異物付着によるものであるから、検査工程を終了した試料を洗浄工程に供給して試料表面を洗浄処理することにより欠陥を除去することができる。一方、検出された欠陥が凹状欠陥の場合、この凹状欠陥は試料表面の傷によるものが大部分であるため、検査工程を終了した試料を研摩処理工程に供給し、試料表面を研摩処理することにより欠陥を除去することができる。
このように構成すれば、欠陥検査と次の処理工程とを自動的に連続して行うことができる。
【0034】
欠陥検査すべき試料が、同一のパターンをそれぞれ有する複数個のダイを具えるフォトマスクの場合、1個のダイについてのリニァイメージセンサからの出力情報をメモリに記憶し、このメモリに記憶されている情報と検出した出力情報とを比較して欠陥検出を行うダイ比較法を用いて欠陥検査を行うことも有益である。
【0035】
次に、干渉検査モードについて説明する。図4は干渉検査モードの光学系の一例の構成を示す線図である。この光学系は、対物レンズ10と1/4波長板9との間の光路中にモード切換手段(図示せず)を介して干渉光学系が挿脱自在に配置されている点を除き図1に示す光学系と同一である。従って、干渉光学系と関連する構成についてだけ説明することにする。
【0036】
初めに、モード切換手段を用いて干渉光学系を光路中に挿入する。干渉光学系は、第4のリレーレンズ8の集束点に配置したノマルスキープリズム30を有し、このノマルスキープリズムにより入射した各光ビームを互いに干渉性を有する第1及び第2の2本のサブビーム(図示せず)に変換する。これらサブビームはガルバノミラー6の偏向方向である第2の方向(紙面と直交する方向)に所定の距離だけ離間する。従って、ビーム走査方向において第1のサブビームが先行し、所定の距離だけ離れて第2のサブビームが第1のサブビームを追従することになる。従って、試料表面は初めに第1のサブビームにより走査され、その後第2のサブビームにより同一位置が走査されることになる。尚、このサブビーム間の離間距離は検出すべき欠陥の大きさを考慮して設定され、検出すべき欠陥のサイズよりも長い距離だけ離間させ、例えば2μmに設定することができる。尚、サブビーム間の距離は、ノマルスキープリズム30の設計値を変えることにより所望の距離に設定することができる。ノマルスキープリズム30にはアクチュエータ31及び位置検出器32を連結すると共にアクチュエータ31に駆動回路33を連結する。アクチュエータ31は、信号処理回路からの制御信号によりノマルスキープリズム30を光路と直交する方向に一定の速度で移動させて2本のサブビーム間に位相差を導入する。尚、図面上ノマルスキープリズム30を左右に移動させるように図示したが、実際はノマルスキープリズム30を紙面と直交する方向に移動させ、2本のサブビーム間に少なくとも2πの位相差を導入する。
【0037】
干渉検査モードに際し、光源装置から発生した複数の光ビームに対応した本数2m本)の干渉サブビームにより試料表面を2次元的に走査する。この際、ノマルスキープリズム30から発生するサブビーム間の位相差は零又は2nπ(nは正の整数とする)に設定する。各サブビームは対物レンズ10により微小スポット状に集束して試料11の表面に投射される。従って、試料表面上にはm個の光スポット列がビーム走査方向に2列形成される。各微小スポットからの反射光は対物レンズにより集光され、ノマルスキープリズム30により関連するサブビーム毎に合成され、1本の干渉ビームを形成する。そして、各干渉ビームは光路に沿って進行し、リニァイメージセンサ14の対応する受光素子にそれぞれ入射し、電気信号に変換され、信号処理回路17に供給される。
【0038】
試料表面に欠陥が存在する場合、初めに第1のサブビームが欠陥上を走査し第2のサブビームは正常部分を走査する。従って、一方のサブビームが欠陥部分を走査し他方のサブビームが正常部分を走査する場合これらサブビーム間には欠陥の光軸方向の高さに応じて位相差が発生し、これらサブビームがノマルスキープリズム30により合成されると、出射する干渉ビームは2本のサブビーム間に生ずる位相差に相当する情報すなわち欠陥の高さ方向の情報を含み、出射する干渉ビームの振幅Iは次式で与えられる。
I=A1 2+A2 2+2A1 A2 cos(±2d/λ)
ここで、λは用いる照明ビームの波長を表し、dは欠陥の光軸方向の高さを示し、A1 及びA2 はサブビームの振幅を示す。この式から明らかなように、欠陥によりサブビーム間に0からπの位相差が生じた場合、ノマルスキープリズム30から出射する干渉ビームの振幅Iは0からA2 (A1 =A2 とする)まで変化することになる。従って、光ビームの波長が488nmの場合、1/4波長に相当する高さ122nmの凹状又は凸状の欠陥が存在すると、干渉ビームの振幅は輝度はほぼ零になり、266nmの波長の光ビームを用いる場合約66.5nmの高さの欠陥が存在すると干渉ビームの振幅はほぼ零となる。従って、干渉検査モードは微小な欠陥の検出に対して極めて高い感度を有し、コンフォーカル検査モードにより検出できる欠陥よりも一層小さな微小欠陥の検出に有益である。
【0039】
欠陥の検出に当たって、マルチビームを用いて試料表面の全面を走査し、ノマルスキープリズム30から出射した各干渉ビームをリニァイメージセンサ14の各受光素子によりそれぞれ受光する。そして、図2に示す欠陥検出方法を用いて欠陥の存在及びそのアドレスを検出する。
【0040】
次に、干渉検査モードにおける欠陥の高さ情報の検出について説明する。初めに、コンフォーカル検査モード又は干渉検査モードにより欠陥の存在及びそのアドレスを検出する。次に、欠陥が存在する部位がスキャンされるように試料ステージを移動する。次に、コンフォーカル検査モードで全面検査した場合モード切換を行い、光路中に干渉光学系を挿入する。そして、コンフォーカル検査モードと同様に欠陥の部位についてを複数回ビームスキャンを行う。このビームスキャンに当たって、ノマルスキープリズム30の光路への挿入量を変えることにより、2本のサブビーム間に導入される位相差を少なくとも0から2πまで変化させながら複数回走査し、受光素子により検出された干渉ビームの振幅を各スキャン毎にメモリに記憶する。
【0041】
ここで、受光素子の出力信号強度Iとノマルスキープリズム30により導入される導入位相差Δθとの関係は次式により表すことができる。
I=A1 2+A2 2+2A1 A2 cos(Δθ±2d/λ)
ここで、±2d/λは欠陥が凹状か又は凸状かにより規定され、+の場合凹状の欠陥を示し−の場合は凸状の欠陥を示す。一例としてλ/4の深さの欠陥が存在する場合について説明する。図5は受光素子からの出力信号の振幅とスキャン位置との関係を模式的に示す。図5において、実線aは導入位相差Δθがが0又は2nπの場合の受光素子の出力信号を示し、一点鎖線bは導入位相差Δθが(2m+1)π/2の場合の受光素子の出力信号を示し、破線cは導入位相差Δθがπの場合の受光素子の出力信号を示し、二点鎖線dは導入位相差Δθが(2m+1)π/2の場合の受光素子の出力信号を示す。初めに、ノマルスキープリズムからサブビーム間に位相差が導入されていない場合について説明する。スキャン開始直後、両方のサブビームは正常な部分を走査するため、受光素子の出力信号強度は最高値となる。次に、先頭側方のサブが欠陥上に位置し後側サブビームは正常部分上に位置し、欠陥の高さに応じた位相差がサブビーム間に生ずる。さらにスキャンが進行すると、先頭側のサブビームは欠陥部分を通過し両方のサブビームが正常な部分をスキャンし、この期間中サブビーム間に位相差は発生せず、干渉ビームの信号強度は元の最高値に戻る。さらにスキャンが進行すると、後側のサブビームが欠陥部分を走査し先頭側のサブビームは正常な部分に位置し、サブビーム間に欠陥の高さに応じた位相差が発生する。このように、1個の欠陥の存在により受光素子の出力強度は2個の減少が発生する。次に、ノマルスキープリズムによりサブビーム間に位相差が導入されると、導入位相差に応じて受光素子の出力強度が反転し、曲線b、c及びdの状態に移行する。
【0042】
図6は正常部分及び欠陥部分におけるノマルスキープリズム30による導入位相差と受光素子の出力信号強度すなわち干渉ビームの振幅との関係を示すグラフである。図6において、実線aは正常部分の導入位相差と受光素子の出力強度との関係を示し、破線bはλ/8の深さの凹状欠陥部分の導入位相差と受光素子の出力強度との関係示し、一点鎖線cはλ/8の高さの凸状欠陥部分の導入位相差と受光素子の出力強度との関係を示す。受光素子の出力強度は、導入される位相差の量に応じて周期的に変化する。そして、欠陥のない正常な部分の干渉ビームの振幅を基準とした場合、欠陥部分の振幅変化は、導入位相差に加えてλ/8の欠陥に起因する位相差が存在する。この結果、周期的な振幅変化のピークが凹状か又は凸状かに応じて図面上側左右に変位する。従って、正常部分を基準としてピーク位置の位相変位量を測定することにより、欠陥の高さ値並びに凹状欠陥か又は凸状欠陥かを判別することができる。
【0043】
次に、干渉検査モードで試料表面の全面を走査する場合の欠陥の存在の判定並びに欠陥が凸状か又は凹状かを判定する方法について説明する。本例では、ノマルスキープリズム30により先頭側のサブビームの位相を後側サブビームに対してπ/2(90°)だけ進めるように設定して試料表面を2次元スキャンする。この位相差の状態は、図6の位相差に対する受光素子の出力強度の周期的な変化の下側ピークから上側ピークまで移行する間の中間位置に相当する。従って、僅かな位相変化に応じて受光素子の出力強度は大幅に変化することになる。一例として、10°の位相に相当する凸状の欠陥が存在するものとする。この場合、当該欠陥は先頭のサブビームに対して10°だけさらに位相を進めるように作用する。この結果、先頭のサブビームが欠陥部分を走査する期間中先頭のサブビームと後側サブビームとの問にはトータルとして100°の位相差が生ずることになる。従って、合成干渉ビームの振幅すなわち受光素子の出力強度は両方のサブビームが正常部分を走査する場合の出力強度に比べて一層低くなる。これに対して、スキャンが進行して後側サブビームが欠陥部分を走査し先頭のサブビームが正常部分を走査するとき、欠陥は、先頭のサブビームに対して90°の位相の遅れを有する後側サブビームに対して位相を10°進めるように作用する。この結果、先頭のサブビームと後側のサブビームとの間のトータルの位相差は80°となり、受光素子の出力強度は両方のサブビームが正常部分を走査する場合の出力強度に比べて高くなる。しかし、本例の光学系はコンフォーカル光学系であるため、欠陥の存在により受光素子に入射する光量自体が低下するため、実際に検出される出力強度は両方のサブビームが正常部分を走査するときの出力強度よりも若干低下した出力となる。従って、凸状の欠陥をスキャンする場合、受光素子は、出力強度が大きく低下した信号と若干低下した信号がサブビーム間の走査時間遅れに相当する時間が経過した後に続けて出力された場合凸状の欠陥が存在すると判定することができる。
【0044】
これに対して、10°の位相に相当する凹状の欠陥をスキャンする場合について説明する。欠陥は先頭のサブビームに対して10°位相を遅らせるように作用するため、先頭のサブビームが欠陥部分を走査し後側のサブビームが正常部分を走査するときのトータルの位相差は80°になり、両方のサブビームが正常部分を走査するときの受光素子出力強度よりも若干低い出力強度となる。一方、後側のサブビームがこの欠陥を走査し先頭のサブビームが正常部分を走査するとき、当該欠陥は、先頭のサブビームに対して90°の位相遅れを有する後側のサブビームに対してさらに10°だけ位相を遅らせるように作用し、両方のサブビーム間のトータルの位相差100°となる。この結果、受光素子の出力強度は両方のサブビームが正常部分を走査する時の出力強度に比べて大きく低下する。従って、輝度が少し低下した信号に続いて輝度が大きく低下した信号が発生した場合、凹状の欠陥が存在するものと判定される。
【0045】
このように干渉検査モードを利用することにより、干渉ビームの光量変化から欠陥の存在を判定することができる。さらに、サブビーム間の距離に相当する時間間隔で輝度が大きく低下した信号と僅かに低下した信号との発生順序に基づいて凹状欠陥又は凸状欠陥かを容易に判別することができる。尚、本例では、ノマルスキープリズム30により、先頭側のサブビームが後側のサブビームに対して90°位相が進むように位相差を与えたが、270°の位相差を与えるように設定することもでき、すなわちサブビーム間に(2m+1)π/2の位相差を与えることができる。さらに先頭側のサブビームが後側のサブビームに対して90°位相が遅れるように設定しても同様に欠陥の凹凸の判別を行うことができる。
【0046】
次に、上述した欠陥検査方法を実施するための方法及び具体的な回路について説明する。図7は凹凸判定を行う際の信号波形図である。図7Aは凸状の欠陥部分をスキャンした場合の受光素子の出力信号波形を示す。両方のサブビームが正常部分を走査している期間中高い輝度の一定振幅の信号が出力され、その後先頭側のサブビームが凸状欠陥部分を走査すると輝度が大きく低下したパルスが発生する。次に、サブビーム間の距離に相当する時間遅れtの後輝度が若干低下したパルスが発生する。これらの輝度低下したパルスの発生により欠陥の存在が判別される。図7Bは、受光素子の出力信号をサブビーム間の走査遅れ時間だけ遅延した信号を示す。さらに、図7Cは、受光素子の出力信号から遅延信号減算した差信号を示す。この差信号には、2番目のパルスすなわちサブビーム間の走査の時間遅れtの後に正の符号のパルスが発生する。
【0047】
図7Dは、凹状の欠陥部分をスキャンした場合の受光素子の出力信号波形を示す。両方のサブビームが正常部分を走査している期間中高い輝度の一定振幅の信号が出力され、その後先頭側のサブビームが凸状欠陥部分を走査すると輝度が若干低下したパルスが発生する。次に、サブビーム間の距離に相当する時間遅れtの後輝度が大きく低下したパルスが発生する。図7Eは受光素子の出力信号をサブビーム間の走査遅れ時間だけ遅延した信号を示す。さらに、図7Fは、受光素子の出力信号から遅延信号減算した差信号を示す。この差信号には、2番目のパルスすなわちサブビーム間の走査の時間遅れ後に負の符号のパルスが発生する。
このように、欠陥部分の走査により輝度低下したパルスの発生後、サブビーム間の走査遅れ時間だけ遅延したタイミングで正の符号のパルスが現れるか又は負の符号のパルスが現れるかに応じて凸状の欠陥又は凹状の欠陥かを判別することができる。
【0048】
図8は凹凸判定回路の一例の構成を示す回路図であ。受光素子からのビデオ信号を遅延回路31及び第1の比較器32の正入力に供給する。遅延回路31はサブビーム間の時間遅れtに相当時間だけビデオ信号を遅延させ、この遅延出力を第1の比較器31の負入力に供給する。第1の比較器32からは図7C及びFに相当する差信号が出力される。この差信号を第2及び第3の比較器33及び34にそれぞれ供給する。これら比較器33及び34において差信号が正の値をとるか負の値をとるかを判別する。そして、これら比較器の出力をナンドゲート35に供給し、その出力信号をt/2の遅延回路36を経てワンショットマルチバイブレータ37に供給する。そして、このマルチバイブレータの出力を第1及び第2のアンドゲート38及び39にそれぞれ供給する。これらアンドゲート38及び39の他方の入力端子には第2及び第3の比較器33及び34からの出力信号をそれぞれ供給する。このように構成すれば、第1のアンドゲート38から凹状欠陥の存在を表す欠陥検出信号が発生し、第2のアンドゲート39から凸状欠陥の存在を表す欠陥検出信号が発生する。
【0049】
次に、検査すべき試料としての位相シフトマスクの欠陥検査について説明する。図9は位相シフトマスクの一例の構成を示す線図であり、図9Aは平面図及び図9Bは図9AのII−II線断面図である。位相シフトマスク40は、透明基板41上に光透過開口を規定する遮光パターン42が形成され、光透過開口が所定の周期で繰り返し形成され、隣接する光透過開口43aを通過する投影光と43bを通過する投影光との間にλ/2の位相差を与えるように構成されている。そして、位相シフタを構成する凹部43bの深さは100nm程度であるため、その深さが正確に形成されているか否かを検査する必要がある。この場合、本発明による干渉ビーム検査モードを利用して位相シフタの高さ情報を2本のサブビーム間の位相差として検出することにより、100nm程度の深さの位相シフタの欠陥検査を正確に行うことができる。コンフォーカル検査モードを用いても透明基板の表面上に検査され位相シフタとして機能する凹凸パターンを検査することができる。図9Aに示すように、パターンである光透過開口の配列方向44aに沿って第1のサブビームbs1でスキャンし、隣接する光透過開口の配列方向44bに沿って第2サブビームbs2でスキャンする。そして、これらサブビームを合成することにより、ビーム合成された干渉ビームには位相シフタの高さ情報が位相情報として含まれている。従って、ノマルスキープリズムによりサブビーム間に(2m+1)π/2の位相差を導入してビームスキャンすれば、位相シフタを構成する深さが基準値よりも僅かにずれるだけで輝度が大幅に変化するため、一層高いコントラスの欠陥検査を行うことができる。すなわち、例えばレベンソン型の位相シフトマスクにおいて、基板をエッチングして位相シフトパターンを形成する場合、欠陥が発生し易く検査が必要な部分は基板エッチング部分である。この部分を検査する場合、クロム遮光パターンと基板エッチング部分からの反射光が重なり合って干渉したときの干渉光強度を比較することにより欠陥を検出することができる。この場合、ノマルスキープリズムによる位相差を調整して上記反射光の光検出器上での位相差が(2m+1)×π/2となるように調整すれば、微小な位相差の変化に対して干渉光強度は大きく変化するため高感度に欠陥を検出することができる。尚、サブビームの変位方向はビームスキャン方向又はビームスキャン方向と直交する方向のいずれの方向でも良い。この場合、欠陥検出処理は、1個のダイの検査情報をメモリに記憶し、検出した欠陥検査情報と記憶されている検査情報とをダイ比較を行うことにより行うことができる。或いは互いに隣接する干渉ビームの出力強度を比較することにより行うことができ、又は整数倍のビームピッチだけ離間した干渉ビームの出力強度を比較するセル比較又はアレイ比較により行うことができる。このように、本発明による干渉ビーム検査は、位相シフタを構成する凹凸パターンが表面に形成されている位相シフトマスクの欠陥検査にも極めて有用である。尚、位相シフトマスクとして種々の形式のものがあり、例えば投影ビーム間にλ/3、2λ/3等の位相差を導入する位相シフトマスクにも本発明を適用することができ、或いは遮光パターンが形成されていないクロムレスの位相シフトマスクや遮光パターン自体が位相差を与えるハーフトーン型の位相シフトマスクの欠陥検査にも本発明を適用することができる。さらに、光集積回路のような光デバイスの欠陥検査や製造工程の途中の半導体デバイスの基体の欠陥検査にも有益である。
【0050】
位相シフトマスクの欠陥検査に当たって、コンフォーカル検査モード又は干渉検査モードで位相シフトマスクの全面について欠陥検査を行い、欠陥の存在及びそのアドレスを検出し、その後欠陥位置にヘッドを移動して対物レンズの焦点と位相シフトマスクの表面との間の相対距離を変化させながら複数回スキャンすることにより又は干渉ビームを用いて前述した位相シフト法を用いて欠陥の高さ情報を検出することができる。
【0051】
本発明は上述した実施例だけに限定されず種々の変形や変更が可能である。例えば、上述実施例では複数の光ビームを用いて試料を走査するマルチビーム照明法を用いたが、勿論1本の光ビームを用いて欠陥検査する場合にも本発明を適用することができる。
【0052】
さらに、上述した実施例では、干渉光学系としてノマルスキープリズムを用いたが、互いに干渉性を有する2本のサブビームを発生するプリズム素子、例えばウオラストンプリズムやロションプリズムのような種々のラテラルシァリング干渉素子を用いることができる。
【0053】
さらに、光源として、白色光源やLEDも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による欠陥検査装置の一例の構成を示す線図である。
【図2】 欠陥検出回路の構成を示す回路図である。
【図3】 対物レンズの焦点と試料表面との間の距離と輝度との関係を示すグラフである。
【図4】 干渉モード検査を行う本発明による欠陥検査装置の構成を示す線図である。
【図5】 干渉検査モードにおけるスキャン方向位置と受光素子の出力強度との関係を示すグラフである。
【図6】 導入位相差と受光素子の示す強度との関係を示すグラフである。
【図7】 干渉モード検査におけるビデオ信号、遅延信号及び差信号の信号波形図である。
【図8】 凹凸判別回路の一例の構成を示す回路図である。
【図9】 位相シフトマスクの一例の構成を示す線図である。
【符号の説明】
1 光源
2 回折格子
5 ビームスプリッタ
6 ガルバノミラー
10 対物レンズ
11 試料
12 試料ステージ
14 リニァイメージセンサ
17 信号処理回路
30 ノマルスキープリズム
31 位置検出器
Claims (12)
- 複数の光ビームで試料表面を走査し、試料からの反射光の輝度情報に基づいて試料表面に存在する欠陥を検出するコンフォーカル検査モードと、試料表面の高さ情報を位相情報として検出する干渉検査モードとの間で切り換え可能な欠陥検査装置であって、
第1の方向に沿って整列した複数の光ビームを放出する光源装置と、
これら複数の光ビームを第1の方向と直交する第2の方向に偏向するビーム偏向装置と、
入射する複数の光ビームをスポット状に集束して試料表面に投射する対物レンズと、
検査すべき試料を支持する試料ステージと、
前記干渉検査モードにおいて、前記ビーム偏向装置と対物レンズとの間の光路中に挿入され、入射した光ビームを、互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームにそれぞれ変換すると共に、前記試料表面で反射し互いに関連するサブビーム同士を合成し、試料表面の高さに関する位相情報を含む干渉ビームを発生する干渉光学系と、
前記第1の方向と対応する方向に配列され、前記試料表面からの反射光又は干渉ビームを受光する複数の光検出素子を有するリニアイメージセンサと、
前記リニアイメージセンサからの出力信号に基づいて欠陥検出信号を発生する信号処理回路と具え、前記信号処理回路は、
コンフォーカル検査モードにおいて、前記リニアイメージセンサの光検出素子から出力される輝度信号を用いて欠陥を検出する欠陥検出手段と、
干渉検査モードにおいて、前記リニアイメージセンサの光検出素子から出力される干渉ビームの振幅の変化に基づき、欠陥が凸状欠陥か又は凹状欠陥かを判別する手段とを有することを特徴とする欠陥検査装置。 - 請求項1に記載の欠陥検査装置において、前記干渉光学系は、入射した複数の光ビームの各光ビームを、前記第2の方向に所定の距離だけ離間した第1及び第2のサブビームに変換し、試料表面上を第1のサブビームで走査した後続いて第2のサブビームにより走査することを特徴とする欠陥検査装置。
- 請求項1又は2に記載の欠陥検査装置において、前記信号処理回路の欠陥検出手段は、前記リニアイメージセンサの各光検出素子からの出力信号を基準値と比較することにより欠陥を検出する手段、光検出素子からの出力信号同士を比較することにより欠陥を検出する手段、又は光検出素子からの出力信号を1ライン分遅延させた信号を作成し、1ライン遅延した信号と遅延されていない信号とを比較することにより欠陥を検出する手段のいずれかの欠陥検出手段を有することを特徴とする欠陥検査装置。
- 請求項1、2又は3に記載の欠陥検査装置において、前記試料として同一のパターンを有する複数のダイ又はチィップが形成されているフォトマスク又はウェハを用い、前記信号処理回路は、コンフォーカル検査モードにおいてダイ対ダイ比較検査により欠陥検出を行うことを特徴とする欠陥検査装置。
- 請求項4に記載の欠陥検査装置において、前記フォトマスクとして、透明基板を有し、その表面に位相シフタが形成されている位相シフトマスクを用いることを特徴とする欠陥検査装置。
- 請求項1から5までのいずれか1項に記載の欠陥検査装置において、前記干渉光学系としてプリズム素子を用い、mを整数とした場合に、前記第1のサブビームと第2のサブビームとの間に(2m+1)π/2の位相差が導入されることを特徴とする欠陥検査装置。
- 複数の光ビームで試料表面を走査し、試料からの反射光の輝度情報に基づいて試料表面に存在する欠陥を検出するコンフォーカル検査モードと、試料表面の高さ情報を位相情報として検出する干渉検査モードとの間で切り換え可能な欠陥検査方法であって、
前記コンフォーカル検査モードにおいて、第1の方向に沿って整列した複数の光ビームを放出する光源装置を用い、当該光源装置から出射した複数の光ビームで試料表面を走査し、試料からの反射光をリニアイメージセンサにより受光し、リニアイメージセンサから出力される輝度信号に基づいて試料表面に存在する欠陥及びそのアドレスを検出する工程と、
前記干渉検査モードにおいて、前記光源装置と試料との間の光路中に干渉光学系を挿入し、光源装置から出射した複数の光ビームを干渉光学系に入射させ、各光ビームを互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームに変換し、生成されたサブビームにより試料表面を走査する工程と、
試料表面で反射し互いに関連するサブビーム同士を合成し、試料表面の高さに対応した位相情報を含む干渉ビームを形成する工程と、
前記干渉ビームを前記リニアイメージセンサにより受光し、当該リニアイメージセンサから出力される干渉ビームの振幅の変化に基づき、欠陥が凸状欠陥であるか又は凹状欠陥であるかを判定する工程とを具えることを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項7に記載の欠陥検査方法において、前記干渉光学系は、入射した複数の光ビームを前記第1の方向と直交する方向に所定の距離だけ離間した第1及び第2のサブビームに変換し、試料表面を第1のサブビームで走査した後続いて第2のサブビームで走査することを特徴とする欠陥検査方法。
- 請求項7又は8に記載の欠陥検査方法において、前記干渉光学系としてプリズム素子を用い、mを整数とした場合に、前記第1のサブビームと第2のサブビームとの間に(2m+1)π/2の位相差が導入されることを特徴とする欠陥検査方法。
- 請求項8又は9に記載の欠陥検査方法において、前記第1のサブビームが欠陥上を走査したときのリニアイメージセンサからの出力信号の振幅と、第2のサブビームが欠陥上を走査したときのリニアイメージセンサからの出力信号の振幅とを比較することにより欠陥が凸状であるか凹状であるかを判定することを特徴とする欠陥検査方法。
- 請求項7、8、9又は10に記載の欠陥検査装置において、前記試料として同一のパターンを有する複数のダイ又はチィップが形成されているフォトマスク又はウェハを用い、前記コンフォーカル検査モードにおいてダイ対ダイ比較検査により欠陥検出を行うことを特徴とする欠陥検査方法。
- 請求項11に記載の欠陥検査方法において、前記試料として、透明基板を有し、その表面に位相シフタが形成されている位相シフトマスクを用い、位相シフトマスクの欠陥を検出することを特徴とする欠陥検査方法。
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