JP4542646B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびフェニレンジアミン誘導体 - Google Patents
有機エレクトロルミネッセンス素子およびフェニレンジアミン誘導体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子)およびフェニレンジアミン誘導体に関し、詳しくは、一対の電極とこれらの電極間に挟持された有機発光層とを備えた有機EL素子、および、有機EL素子等の材料として用いられるフェニレンジアミン誘導体に関する。
【0002】
【背景技術】
有機EL素子は完全固体素子であり、軽量・薄型、低電圧駆動のディスプレイや照明を作製することができる為に、現在盛んに研究が行われている。
この有機EL素子をディスプレイに応用する時の課題として、駆動電圧の低電圧化がある。
例えば、特開平4−308688号公報に開示されているような芳香族アミンのデンドリマーを正孔注入材料に用いることにより、駆動電圧の低電圧化が進められている。この化合物はフェニレンジアミン骨格を有するためイオン化ポテンシャルが5.2eVと小さく、駆動電圧を低減する効果があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フェニレンジアミン骨格を有する化合物は、正孔移動度が3×10‐5cm2/V・s以下と小さく、そのため高電流注入域での駆動電圧の低減はまだ不十分であった。
また、特開平9−301934号公報に開示の高分子量芳香族アミン化合物もイオン化ポテンシャルは5.2eVと小さいが、正孔移動度が十分でないという問題があった。これは、不純物が混入して正孔移動度が低下しているためであると予想される。
すなわち、特開平9−301934号公報に記載された化合物の蛍光スペクトル(図1)では、本来あるはずのない500nm以上の最大蛍光波長を有する発光成分が観測されている。このことは、不純物が混入していることを示している。また、わずか76時間の駆動で2.7Vもの電圧上昇が生じており、低電圧化の障害となっていた。このため、同公報に開示されている素子は、不純物のため正孔移動度が低下し、駆動電圧が上昇していると考えられる。
さらに、緑色の蛍光成分を有しているため、青色発光素子の正孔輸送帯域にこれらの化合物を用いると、緑色の発光成分が混入して青色発光を得ることができなかった。
ところで、国際特許公報WO98/30071(1998年7月9日公開)号公報には、本願発明と類似の化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子が開示されているが、電荷注入補助材を含有する発光層と組み合わせたときに、特に低電圧となる効果は開示されていない。
【0004】
本発明の目的は、有機EL素子の駆動電圧を低減できる寿命の長い有機EL素子を提供することにある。
本発明の他の目的は、イオン化ポテンシャルが小さく、かつ、層または域として使用した際に正孔移動度が大きい材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の関連発明は、一対の電極と、これらの電極間に挟持された有機発光層とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記電極間に設けられた正孔輸送帯域は、下記の一般式(I)、一般式(II)または一般式(II)′で表されるフェニレンジアミン誘導体を含有し、このフェニレンジアミン誘導体は、層または域として用いたときの正孔移動度が10‐4cm2/V・s以上であるとともに、前記有機発光層は電荷注入補助材を含有していることを特徴とする。
【0006】
【化12】
【0007】
〔Ar1〜Ar6は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基、核炭素数6〜24のアリール基、もしくはスチリル基によって置換されていてもよい核炭素数6〜24のアリール基である。Xは連結基であり、単結合、核炭素数6〜24のアリーレン、炭素数1〜6のアルキレン、ジフェニルメチレン、エーテル結合、チオエーテル結合、置換もしくは無置換のビニル結合または芳香族ヘテロ環である。R1、R2は、炭素数1〜6のアルキル基、もしくはアルコキシ基、または水素原子であって、互いに結合して置換もしくは無置換の五員環または六員環を形成してもよい。〕
【0008】
【化13】
【0009】
〔Ar7〜Ar12は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基、核炭素数6〜24のアリール基、もしくはスチリル基によって置換されていてもよい核炭素数6〜24のアリール基である。Yは連結基であり、単結合、核炭素数6〜24のアリーレン、炭素数1〜6のアルキレン、ジフェニルメチレン、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香族ヘテロ環、または置換もしくは無置換のビニル結合である。R3、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、もしくはアルコキシ基、または水素原子であって、互いに結合して置換もしくは無置換の五員環または六員環を形成してもよい。〕
【0010】
【化14】
【0011】
〔Ar7〜Ar12は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基、核炭素数6〜24のアリール基、もしくはスチリル基によって置換されていてもよい核炭素数6〜24のアリール基である。Yは連結基であり、単結合、核炭素数6〜24のアリーレン、炭素数1〜6のアルキレン、ジフェニルメチレン、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香族ヘテロ環、または置換もしくは無置換のビニル結合である。R5、R6は、炭素数1〜6のアルキル基、もしくはアルコキシ基、または水素原子であって、互いに結合して置換もしくは無置換の五員環または六員環を形成してもよい。〕
【0012】
ここで、正孔輸送帯域とは、有機EL素子において、陽極から注入された正孔を輸送する機能を持った領域のことである。正孔を輸送する機能とは104〜106V/cmの電界印加時に少なくとも10‐4cm2/V・s以上の正孔移動度を有することである。具体的な正孔輸送帯域としては、例えば、正孔注入層、正孔輸送層等を挙げることができ、発光層が含まれる場合もある。本関連発明において、一般式(I)、(II)および(II)′で表される化合物は、フェニレンジアミン構造を有して、イオン化ポテンシャルが小さく、その上、X、Yで示される中心骨格により優れた正孔移動度を確保できる。本関連発明では、この正孔注入・輸送材料として好適なフェニレンジアミン誘導体が正孔輸送帯域に含まれているので、有機EL素子の駆動電圧を低減できるとともに、連続駆動による駆動電圧の上昇を抑制できる。
【0013】
さらに、本関連発明において、電荷注入補助材を含有する発光層を用いることが必須である。ここで、電荷注入補助材とは、発光層を形成する主材料のイオン化エネルギーよりも小さいイオン化エネルギーを保有する化合物であり、好ましくは、0.1wt%〜20wt%添加することにより発光層への正孔注入を補助する材料のことである。この電荷注入補助材を添加することにより、本発明の有機EL素子は、駆動電圧を低減できるとともに、この駆動電圧を安定化することができるようになった。前述したフェニレンジアミンの使用と発光層への電荷注入補助材の添加により、従来では得られなかったような効果を発現できる。このような電荷注入補助材としては、スチリルアミン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、トリススチリルアリーレン誘導体、ジアミン誘導体などの化合物を用いることができ、特に、5.0〜5.6eVのイオン化エネルギーを保有する化合物が好ましい。なお、電荷注入補助材は発光層で生じる正孔と電子の再結合に応答して光を放出してもよいし、光を放出せずに電荷注入の補助作用のみの効果を発現してもよい。
【0014】
また、前述した正孔輸送帯域は、前記一般式(I)、一般式(II)または一般式(II)′で表されるフェニレンジアミン誘導体を含有する正孔注入層を有して構成されていることが望ましい。
或いは、正孔輸送帯域は、前記一般式(I)、一般式(II)または一般式(II)′で表されるフェニレンジアミン誘導体を含有する正孔輸送層を有して構成されていてもよい。
【0015】
以上において、前記一般式(I)中のAr1〜Ar6のうち、少なくともひとつが核炭素数10〜24の縮合芳香族環であることが望ましい。これによると、低電圧駆動できる上に素子の長寿命化を図ることができる。
【0016】
一方、本発明の化合物は、下記の一般式(III)
【0017】
【化15】
【0018】
〔Ar13,Ar14,Ar16,Ar17は、炭素数6〜24のアリール基である。
Ar15,Ar18はナフチル基である。
Xは連結基であり、単結合、核炭素数6〜24のアリーレン、炭素数1〜6のアルキレン、ジフェニルメチレン、エーテル結合、チオエーテル結合、ビニレン、ヘテロアリーレンである。
R7、R8は、炭素数1〜6のアルキル基、もしくはアルコキシ基、または水素原子であって、互いに結合して五員環または六員環を形成してもよい。〕で表されるフェニレンジアミン誘導体である。
より好ましくは、前記一般式(III)のXが単結合または核炭素数6〜24のアリーレ
ンであるフェニレンジアミン誘導体である。
さらに、Ar13,Ar14,Ar16,Ar17がフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ターフェニル基またはピレニル基であるフェニレンジアミン誘導体であることが好ましい。特に好ましくは、Ar13,Ar14,Ar16,Ar17がフェニル基またはナフチル基であるフェニレンジアミン誘導体である。
【0020】
また、本発明の関連発明の化合物は、一般式(IV)
【0021】
【化17】
【0022】
〔Ar19〜Ar24は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基、核炭素数6〜24のアリール基、もしくは、スチリル基によって置換されていてもよい核炭素数6〜24のアリール基である。Yは連結基であり、単結合、核炭素数6〜24のアリーレン、炭素数1〜6のアルキレン、ジフェニルメチレン、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香族ヘテロ環、または置換もしくは無置換のビニル結合である。R9、R10は、炭素数1〜6のアルキル基、もしくはアルコキシ基、または水素原子であって、互いに結合して置換もしくは無置換の五員環または六員環を形成してもよい。但し、Ar19〜Ar24、Yのうち少なくとも1つは、スチリル基含有のアリール基であるか、または、下記化学式18で示される基本骨格のいずれかが縮合芳香族環、芳香族ヘテロ環、置換または無置換のビニル結合を含む。〕
で表されるフェニレンジアミン誘導体である。
【0023】
【化18】
【0024】
もしくは、本発明の関連発明の化合物は、一般式(V)
【0025】
【化19】
【0026】
〔Ar25〜Ar30は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、またはアルコキシ基、核炭素数6〜24のアリール基、もしくはスチリル基によって置換されていてもよい核炭素数6〜24のアリール基である。Yは連結基であり、単結合、核炭素数6〜24のアリーレン、炭素数1〜6のアルキレン、ジフェニルメチレン、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香族ヘテロ環、置換もしくは無置換のビニル結合である。また、R11、R12は、炭素数1〜6のアルキル基、もしくはアルコキシ基、または水素原子であって、互いに結合して置換もしくは無置換の五員環または六員環を形成してもよい。〕
で表されるフェニレンジアミン誘導体である。
【0027】
さらに、本発明は、一対の電極と、これらの電極間に挟持された有機発光層とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、電極間に設けられた正孔輸送帯域は、下記の一般式(III)で表されるフェニレンジアミン誘導体を含有することを特徴とする。
より好ましくは、前記有機エレクトロルミネッセンス素子が、下記の一般式(III)のXが単結合であるか、または核炭素数6〜24のアリーレンであるフェニレンジアミン誘導体を含有する。
さらに、Ar 13 ,Ar 14 ,Ar 16 ,Ar 17 がフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ターフェニル基またはピレニル基であるフェニレンジアミン誘導体を含有することが好ましい。特に好ましくは、Ar 13 ,Ar 14 ,Ar 16 ,Ar 17 がフェニル基またはナフチル基であるフェニレンジアミン誘導体を含有する。
本発明において、正孔輸送帯域とは、前述の関連発明における正孔輸送帯域と同一のものを言う。一般式(III)で表される化合物は、フェニレンジアミン構造を有して、イオン化ポテンシャルが小さく、その上、Xで示される中心骨格により優れた正孔移動度を確保できる。本発明では、この正孔注入・輸送材料として好適なフェニレンジアミン誘導体が正孔輸送帯域に含まれているので、有機EL素子の駆動電圧を低減できるとともに、連続駆動による駆動電圧の上昇を抑制できる。
【0028】
【化20】
【0029】
〔Ar13,Ar14,Ar16,Ar17は、炭素数6〜24のアリール基である。
Ar15,Ar18はナフチル基である。
Xは連結基であり、単結合、核炭素数6〜24のアリーレン、炭素数1〜6のアルキレン、ジフェニルメチレン、エーテル結合、チオエーテル結合、ビニレン、ヘテロアリーレンである。
また、R7、R8は、炭素数1〜6のアルキル基、もしくはアルコキシ基、または水素原子であって、互いに結合して五員環または六員環を形成してもよい。〕
【0036】
【発明の実施の形態】
〔有機EL素子〕
(A)フェニレンジアミン誘導体
本発明の有機EL素子に用いられるフェニレンジアミン誘導体は、一般式(I)(II)および(II)′で表される化合物である。
一般式(I)、(II)および(II)′において、核炭素数6〜24のアリール基の例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ターフェニル基、ピレニル基等が挙げられる。特に、フェニル基、ナフチル基が好適である。
炭素数1〜6のアルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられる。
また炭素数1〜6のアルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
スチリル基としては、1−フェニルビニル−1−イル、2−フェニルビニル−1−イル、2,2−ジフェニルビニル−1−イル、2−フェニル−2−(ナフチル−1−イル)ビニル−1−イル、2,2−ビス(ジフェニル−1−イル)ビニル−1−イル基などが挙げられる。特に、2,2−ジフェニルビニル−1−イル基が好適である。
【0037】
また、一般式(I)におけるX、一般式(II)におけるYおよび一般式(II)′におけるYはそれぞれ連結基であり、単結合、核炭素数6〜24のアリーレン、炭素数1〜6のアルキレン、ジフェニルメチレン、エーテル結合、チオエーテル結合、置換もしくは無置換のビニル結合または、芳香族ヘテロ環である。
核炭素数6〜24のアリーレンの例としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラニレン、ターフェニルレン、ピレニレン等が挙げられる。
炭素数1〜6のアルキレンとしては、メチレン、イソプロピレン、シクロプロピレン、シクロヘキシレン、シクロペンタレン等が挙げられる。
ジフェニルメチレンは、前述の炭素数1〜6のアルキルまたはアルコキシ基で置換されていてもよい。
芳香族ヘテロ環の例としては、ピロール、フラン、チオフェン、シロール、トリアジン、オキサジアゾール、トリアゾール、オキサゾール、キノリン、キノキサリン、ピリミジン等である。
【0038】
一般式(I)の化合物は、Ar1〜Ar6のうち少なくともひとつが核炭素数10〜24の縮合芳香族環またはスチリル基に置換されたフェニル基であることが好ましい。そのような縮合芳香族環としては、ナフチル、アントラニル、ピレニル、フェナンスリル基が挙げられるが、特に好適なのはナフチル基である。
スチリル基としては、1−フェニルビニル−1−イル、2−フェニルビニル−1−イル、2,2−ジフェニルビニル−1−イル、2−フェニル−2−(ナフチル−1−イル)ビニル−1−イル、2,2−ビス(ジフェニル−1−イル)ビニル−1−イル基などが挙げられる。特に2,2−ジフェニルビニル−1−イル基が好適である。
R1、R2として、好ましいアルキル基の例としては、メチルエチル、i−プロピル、t−ブチル等であり、好ましいアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、t−ブトキシ等である。
また、Xが単結合であるときは、R1、R2が結合し、置換または無置換のフルオレンからなる2価の基も好ましい。
【0039】
また、一般式(II)中の、Ar7〜Ar12のうち少なくともひとつは、核炭素数10〜24のスチリル基で置換されたアリール基であるか、Ar7〜Ar12、Yのいずれかが核炭素数10〜24の縮合芳香族環、芳香族ヘテロ環、または置換もしくは無置換のビニル基である。
そのような縮合芳香族環の例としては、ナフチル、アントラニル、ピレニル、フェナンスリル基が挙げられるが、特に好適なのはナフチル基である。
スチリル基としては、1−フェニルビニル−1−イル、2−フェニルビニル−1−イル、2,2−ジフェニルビニル−1−イル、2−フェニル−2−(ナフチル−1−イル)ビニル−1−イル、2,2−ビス(ジフェニル−1−イル)ビニル−1−イル基などが挙げられる。特に2,2−ジフェニルビニル−1−イル基が好適である。
芳香族ヘテロ環としては、ピロール、フラン、チオフェン、シロール、トリアジン、オキサジアゾール、トリアゾール、オキサゾール、キノキサリン、ピリミジンなどである。
【0040】
R3、R4として、好ましいアルキル基の例としては、メチルエチル、i−プロピル、t−ブチル等であり、好ましいアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、t−ブトキシ等である。
また、Yが単結合であるときは、R3、R4が結合し、置換または無置換のフルオレンからなる2価の基も好ましい。
【0041】
また、一般式(II)′中の、Ar7〜Ar12のうち少なくともひとつは、核炭素数10〜24のスチリル基で置換されたアリール基であるか、Ar7〜Ar12、Yのいずれかが核炭素数10〜24の縮合芳香族環、芳香族ヘテロ環、または置換もしくは無置換のビニル基である。
そのような縮合芳香族環の例としては、ナフチル、アントラニル、ピレニル、フェナンスリル基が挙げられるが、特に好適なのはナフチル基である。
スチリル基としては、1−フェニルビニル−1−イル、2−フェニルビニル−1−イル、2,2−ジフェニルビニル−1−イル、2−フェニル−2−(ナフチル−1−イル)ビニル−1−イル、2,2−ビス(ジフェニル−1−イル)ビニル−1−イル基などが挙げられる。特に2,2−ジフェニルビニル−1−イル基が好適である。
芳香族ヘテロ環としては、ピロール、フラン、チオフェン、シロール、トリアジン、オキサジアゾール、トリアゾール、オキサゾール、キノキサリン、ピリミジンなどである。
R5、R6として、好ましいアルキル基の例としては、メチルエチル、i−プロピル、t−ブチル等であり、好ましいアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、t−ブトキシ等である。
また、Yが単結合であるときは、R5、R6が結合し、置換または無置換のフルオレンからなる2価の基も好ましい。
【0042】
このような本発明の化合物は、素子の正孔輸送帯域に含有されるため、104〜106V/cmの電界印加時に10‐4cm2/V・s以上の正孔移動度を有するものとされている。
【0043】
そして、前記一般式(I)で表されるフェニレンジアミン誘導体の具体例としては、以下の化学式〔PD−01〕〜〔PD−59〕,〔STBA−1〕で表される化合物が挙げられる。なお、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0044】
【化25】
【0045】
【化26】
【0046】
【化27】
【0047】
【化28】
【0048】
【化29】
【0049】
【化30】
【0050】
【化31】
【0051】
【化32】
【0052】
【化33】
【0053】
【化34】
【0054】
【化35】
【0055】
【化36】
【0056】
【化37】
【0057】
【化38】
【0058】
【化39】
【0059】
【化40】
【0060】
【化41】
【0061】
【化42】
【0062】
【化43】
【0063】
【化44】
【0064】
そして、前記一般式(II)で表されるフェニレンジアミン誘導体の具体例としては、以下の化学式〔PT−01〕〜〔PT−31〕で表される化合物が挙げられる。なお、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0065】
【化45】
【0066】
【化46】
【0067】
【化47】
【0068】
【化48】
【0069】
【化49】
【0070】
【化50】
【0071】
【化51】
【0072】
【化52】
【0073】
【化53】
【0074】
【化54】
【0075】
【化55】
【0076】
このような一般式(I)、(II)および(II)′の化合物は、イオン化ポテンシャルが小さいために、精製中に酸化を受けるなど、不純物が混入しやすく、この不純物によって、正孔移動度が小さくなる場合がある。
すなわち、前述した特開平9−301934号公報の方法では、蛍光スペクトルで観測されたように、高分子量芳香族アミン化合物に不純物が混入するため、トラップ等により十分な正孔移動度が得られない。
これに対し、本発明者らが化合物の精製方法について鋭意検討した結果、カラム精製の際に、溶媒としてトルエン/ヘキサン系の溶媒を用いることで純粋な化合物が得られることを見出した。この精製方法によれば、特開平9−301934号公報に開示されたカラム精製にハロゲン系溶媒を用いる方法よりも純度の高い化合物が得られる。
さらに、0.01mmHg以下の高真空下で昇華精製を行うことにより、図1に示すようなピーク波長が400〜480nmの間にある蛍光スペクトルを備えた純粋なフェニレンジアミン二量体を得ることができる。このように、本発明者らは、青色ないし紫色蛍光(ピーク波長400〜480nm)を示す本発明のフェニレンジアミン二量体でなければ、正孔移動度が10‐4cm2/V・s以上とならないことを確認している。
【0077】
(B)有機EL素子の構成、材料
本発明の化合物を含有させて有機EL素子を作製するにあたっては、通常有機EL素子を作製する際に用いられる構成、材料を用いることが可能である。
以下、その為の適切な構成、材料について説明する。
【0078】
〈1〉有機EL素子の構成
以下に本発明に用いられる有機EL素子の代表的な構成例を示す。もちろん、本発明はこれに限定されるものではない。
▲1▼陽極/発光層/陰極
▲2▼陽極/正孔注入層/発光層/陰極
▲3▼陽極/発光層/電子注入層/陰極
▲4▼陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
▲5▼陽極/有機半導体層/発光層/陰極
▲6▼陽極/有機半導体層/電子障壁層/発光層/陰極
▲7▼陽極/有機半導体層/発光層/付着改善層/陰極
▲8▼陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
などの構造を挙げることができる。
これらの中で通常▲8▼の構成が好ましく用いられる。
本発明の化合物は、このような構成要素中の正孔輸送帯域に含有されている。
含有させる量は30〜100モル%から選ばれる。
【0079】
〈2〉透光性基板
本発明の有機EL素子は透光性の基板上に作製する。ここでいう透光性基板は有機EL素子を支持する基板であり、400〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上で、平滑な基板が好ましい。
具体的には、ガラス板、ポリマー板等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等が挙げられる。またポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。
【0080】
〈3〉陽極
陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物またはこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、ITO、SnO2、ZnO等の導電性材料が挙げられる。
陽極はこれらの電極物質を蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることにより作製することができる。
このように発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率を10%より大きくすることが好ましい。また陽極のシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
【0081】
〈4〉有機発光層
有機EL素子の発光層は以下の機能を併せ持つものである。すなわち、
▲1▼注入機能;電界印加時に陽極または正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極または電子注入層より電子を注入することができる機能
▲2▼輸送機能;注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能
▲3▼発光機能;電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能
がある。
但し、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさに違いがあってもよく、また正孔と電子の移動度で表される輸送能に大小があってもよいが、どちらか一方の電荷を移動させることが好ましい。
有機EL素子の発光材料は主に有機化合物であり、具体的には所望の色調により次のような化合物が挙げられる。
まず、紫外域から紫色の発光を得る場合には、下記の一般式で表される化合物が挙げられる。
【0082】
【化56】
【0083】
この一般式において、Xは下記化合物を示す。
【0084】
【化57】
【0085】
ここで、nは2,3,4,または5である。
またYは下記化合物を示す。
【0086】
【化58】
【0087】
このような一般式で表される化合物は、フェニル基、フェニレン基、ナフチル基に、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、水酸基、スルホニル、カルボニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基またはジフェニルアミノ基等が、単独または複数置換したものであってもよい。
また、これらは互いに結合し、飽和五員環、飽和六員環を形成してもよい。またフェニル基、フェニレン基、ナフチル基にパラ位で結合したものは結合性が良く、平滑な蒸着膜の形成のために好ましい。
具体的には以下の化合物である。特に、p−クォーターフェニル誘導体、p−クインクフェニル誘導体が好ましい。
【0088】
【化59】
【0089】
【化60】
【0090】
また、青色から緑色の発光を得るためには、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物を挙げることができる。
具体的に化合物名を示せば、例えば、特開昭59−194393号公報に開示されているものを挙げることができる。さらに他の有用な化合物はケミストリー・オブ・シンセティック・ダイズ1971,628〜637頁および640頁に列挙されている。
前記キレート化オキシノイド化合物としては、例えば、特開昭63−295695号公報に開示されているものを用いることができる。その代表例としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下Alqと略記する)等の8−ヒドロキシキノリン系金属錯体やジリチウムエピントリジオン等を挙げることができる。
前記スチリルベンゼン系化合物としては、例えば、欧州特許第0319881号明細書や欧州特許第0373582号明細書に開示されているものを用いることができる。
また、特開平2−252793号公報に開示されているジスチリルピラジン誘導体も発光層の材料として用いることができる。
その他のものとして、例えば、欧州特許第0387715号明細書に開示されているポリフェニル系化合物も発光層の材料として用いることもできる。
【0091】
さらに、上述した蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物およびスチリルベンゼン系化合物等以外に、例えば、12−フタロペリノン(J.Appl.Phys.,第27巻,L713(1988年))、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(以上Appl.Phys.Lett.,第56巻,L799(1990年))、ナフタルイミド誘導体(特開平2−305886号公報)、ペリレン誘導体(特開平2−189890号公報)、オキサジアゾール誘導体(特開平2−216791号公報、または第38回応用物理学関係連合講演会で浜田らによって開示されたオキサジアゾール誘導体)、アルダジン誘導体(特開平2−220393号公報)、ピラジリン誘導体(特開平2−220394号公報)、シクロペンタジエン誘導体(特開平2−289675号公報)、ピロロピロール誘導体(特開平2−296891号公報)、スチリルアミン誘導体(Appl.Phys.Lett.,第56巻,L799(1990年)、クマリン系化合物(特開平2−191694号公報)、国際特許公報WO90/13148やAppl.Phys.Lett.,vol58,18,P1982(1991)に記載されているような高分子化合物等も、発光層の材料として用いることができる。
【0092】
本発明では特に発光層の材料として、芳香族ジメチリディン系化合物(欧州特許第0388768号明細書や特開平3−231970号公報に開示のもの)を用いることが好ましい。具体例としては、4,4’−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、(以下、DTBPBBiと略記する)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(以下DPVBiと略記する)等、およびそれらの誘導体を挙げることができる。
【0093】
さらに、特開平5−258862号公報等に記載されている一般式(Rs−Q)2−Al−O−Lで表される化合物も挙げられる(上記式中、Lはフェニル部分を含んでなる炭素原子6〜24個の炭化水素であり、O−Lはフェノラート配位子であり、Qは置換8−キノリノラート配位子を表し、Rsはアルミニウム原子に置換8−キノリノラート配位子が2個を上回り結合するのを立体的に妨害するように選ばれた8−キノリノラート環置換基を表す)。
具体的には、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(パラ−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)(以下PC−7)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)(以下PC−17)等が挙げられる。
【0094】
その他、特開平6−9953号公報等によるドーピングを用いた高効率の青色と緑色の混合発光を得る方法が挙げられる。この場合、ホストとしては上記に記載した発光材料、ドーパントとしては青色から緑色までの強い蛍光色素、例えば、クマリン系あるいは上記記載のホストとして用いられているものと同様な蛍光色素を挙げることができる。
具体的にはホストとして、ジスチリルアリーレン骨格の発光材料、特に好ましくはDPVBi、ドーパントとしてはジフェニルアミノビニルアリーレン、特に好ましくは、例えば、N,N−ジフェニルアミノビニルベンゼン(DPAVB)を挙げることができる。
【0095】
白色の発光を得る発光層としては特に制限はないが、下記のものを挙げることができる。
▲1▼有機EL積層構造体の各層のエネルギー準位を規定し、トンネル注入を利用して発光させるもの(欧州特許第0390551号公報)。
▲2▼▲1▼と同じくトンネル注入を利用する素子で実施例として白色発光素子が記載されているもの(特開平3−230584号公報)。
▲3▼二層構造の発光層が記載されているもの(特開平2−220390号公報および特開平2−216790号公報)。
▲4▼発光層を複数に分割してそれぞれ発光波長の異なる材料で構成されたもの(特開平4−51491号公報)。
▲5▼青色発光体(蛍光ピーク380〜480nm)と緑色発光体(480〜580nm)とを積層させ、さらに赤色蛍光体を含有させた構成のもの(特開平6−207170号公報)。
▲6▼青色発光層が青色蛍光色素を含有し、緑色発光層が赤色蛍光色素を含有した領域を有し、さらに緑色蛍光体を含有する構成のもの(特開平7−142169号公報)。
中でも、▲5▼の構成のものが好ましく用いられる。ここで、赤色蛍光体の例を以下に示す。
【0096】
【化61】
【0097】
前記材料を用いて発光層を形成する方法としては、例えば、蒸着法、スピンコート法、LB法等の公知の方法を適用することができる。
発光層は、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、溶液状態または液相状態の材料化合物から固体化され形成された膜のことであり、通常この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。
また特開昭57−51781号公報に開示されているように、樹脂等の結着剤と材料化合物とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても、発光層を形成することができる。
【0098】
このようにして形成される発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常5nm〜5μmの範囲が好ましい。この発光層は、上述した材料の一種または二種以上からなる一層で構成されてもよいし、または前記発光層とは別種の化合物からなる発光層を積層したものであってもよい。
【0099】
〈5〉正孔注入層、正孔輸送層
正孔注入、輸送層は発光層への正孔注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが通常5.5eV以下と小さい。このような正孔注入、輸送層としては、より低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、さらに正孔の移動度が、例えば104〜106V/cmの電界印加時に、少なくとも10‐4cm2/V・秒であれば好ましい。
ここで、正孔注入、輸送材料として、前述した一般式(I)または一般式(II)で表されるフェニレンジアミン誘導体を用いることが好ましい。この際、前述した本発明の化合物単独で正孔注入、輸送層を形成しても良いし、他の材料と混合して用いてもよい。
本発明の化合物と混合して正孔注入、輸送層を形成する材料としては、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において正孔の電荷輸送材料として慣用されているものや、EL素子の正孔注入層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0100】
具体例として、例えば、トリアゾール誘導体(米国特許3,112,197号明細書等参照)、オキサジアゾール誘導体(米国特許3,189,447号明細書等参照)、イミダゾール誘導体(特公昭37−16096号公報等参照)、ポリアリールアルカン誘導体(米国特許3,615,402号明細書、同第3,820,989号明細書、同第3,542,544号明細書、特公昭45−555号公報、同51−10983号公報、特開昭51−93224号公報、同55−17105号公報、同56−4148号公報、同55−108667号公報、同55−156953号公報、同56−36656号公報等参照)、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729号明細書、同第4,278,746号明細書、特開昭55−88064号公報、同55−88065号公報、同49−105537号公報、同55−51086号公報、同56−80051号公報、同56−88141号公報、同57−45545号公報、同54−112637号公報、同55−74546号公報等参照)、フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細書、特公昭51−10105号公報、同46−3712号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53435号公報、同54−110536号公報、同54−119925号公報等参照)、アリールアミン誘導体(米国特許第3,567,450号明細書、同第3,180,703号明細書、同第3,240,597号明細書、同第3,658,520号明細書、同第4,232,103号明細書、同第4,175,961号明細書、同第4,012,376号明細書、特公昭49−35702号公報、同39−27577号公報、特開昭55−144250号公報、同56−119132号公報、同56−22437号公報、西独特許第1,110,518号明細書等参照)、アミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,526,501号明細書等参照)、オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203号明細書等に開示のもの)、スチリルアントラセン誘導体(特開昭56−46234号公報等参照)、フルオレノン誘導体(特開昭54−110837号公報等参照)、ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462号明細書、特開昭54−59143号公報、同55−52063号公報、同55−52064号公報、同55−46760号公報、同55−85495号公報、同57−11350号公報、同57−148749号公報、特開平2−311591号公報等参照)、スチルベン誘導体(特開昭61−210363号公報、同第61−228451号公報、同61−14642号公報、同61−72255号公報、同62−47646号公報、同62−36674号公報、同62−10652号公報、同62−30255号公報、同60−93455号公報、同60−94462号公報、同60−174749号公報、同60−175052号公報等参照)、シラザン誘導体(米国特許第4,950,950号明細書)、ポリシラン系(特開平2−204996号公報)、アニリン系共重合体(特開平2−282263号公報)、特開平1−211399号公報に開示されている導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)等を挙げることができる。
【0101】
正孔注入層の材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物(特開昭63−2956965号公報等に開示のもの)、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書、特開昭53−27033号公報、同54−58445号公報、同54−149634号公報、同54−64299号公報、同55−79450号公報、同55−144250号公報、同56−119132号公報、同61−295558号公報、同61−98353号公報、同63−295695号公報等参照)、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
また、米国特許第5,061,569号に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有する、例えば4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(以下NPDと略記する)、また特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(以下MTDATAと略記する)等を挙げることができる。
【0102】
また、発光層の材料として示した前述の芳香族ジメチリディン系化合物の他、p型Si、p型SiC等の無機化合物も正孔注入層の材料として使用することができる。
正孔注入、輸送層は上述した化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法により薄膜化することにより形成することができる。正孔注入、輸送層としての膜厚は特に制限はないが、通常は5nm〜5μmである。この正孔注入、輸送層は正孔輸送帯域に本発明の化合物を含有していれば、上述した材料の一種または二種以上からなる一層で構成されてもよいし、または前記正孔注入、輸送層とは別種の化合物からなる正孔注入、輸送層を積層したものであってもよい。
【0103】
また、有機半導体層は、発光層への正孔注入または電子注入を助ける層であって、10‐10S/cm以上の導電率を有するものが好適である。このような有機半導体層の材料としては、含チオフェンオリゴマーや特開平8−193191号公報に開示してある含アリールアミンオリゴマー等の導電性オリゴマー、含アリールアミンデンドリマー等の導電性デンドリマー等を用いることができる。
【0104】
〈6〉電子注入層
電子注入層は、発光層への電子の注入を助ける層であって、電子移動度が大きく、また付着改善層は、この電子注入層の中で特に陰極との付着が良い材料からなる層である。電子注入層に用いられる材料としては、8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体が好適である。
上記8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体の具体例としては、オキシン(一般に8−キノリノールまたは8−ヒドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレートオキシノイド化合物が挙げられる。
例えば、発光材料の項で記載したAlqを電子注入層として用いることができる。
一方、オキサジアゾール誘導体としては、以下の一般式で表される電子伝達化合物が挙げられる。
【0105】
【化62】
【0106】
(式中Ar31,Ar32,Ar33,Ar35,Ar36,Ar39はそれぞれ置換または無置換のアリール基を示し、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。またAr34,Ar37,Ar38は置換または無置換のアリーレン基を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0107】
ここで、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、アントラニル基、ペリレニル基、ピレニル基が挙げられる。またアリーレン基としてはフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントラニレン基、ペリレニレン基、ピレニレン基などが挙げられる。また置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基またはシアノ基等が挙げられる。この電子伝達化合物は薄膜形成性のものが好ましい。
上記電子伝達性化合物の具体例としては下記のものを挙げることができる。
【0108】
【化63】
【0109】
〈7〉陰極
陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀合金、アルミニウム/酸化アルミニウム、アルミニウム・リチウム合金、インジウム、希土類金属などが挙げられる。
この陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
ここで、発光層からの発光を陰極から取り出す場合、陰極の発光に対する透過率は10%より大きくすることが好ましい。
また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmである。
【0110】
〈8〉有機EL素子の作製
以上例示した材料および方法により陽極、発光層、必要に応じて正孔注入層、および必要に応じて電子注入層を形成し、さらに陰極を形成することにより有機EL素子を作製することができる。また、陰極から陽極へ、前記と逆の順序で有機EL素子を作製することもできる。
【0111】
以下、透光性基板上に陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極が順次設けられた構成の有機EL素子の作製例を記載する。
まず、適当な透光性基板上に陽極材料からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように蒸着やスパッタリング等の方法により形成して陽極を作製する。
【0112】
次に、この陽極上に正孔注入層を設ける。正孔注入層の形成は、前述したように真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の方法により行うことができるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが発生しにくい等の点から真空蒸着法により形成することが好ましい。真空蒸着法により正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は使用する化合物(正孔注入層の材料)、目的とする正孔注入層の結晶構造や再結合構造等により異なるが、一般に蒸着源温度50〜450℃、真空度10‐7〜10‐3torr、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜選択することが好ましい。
【0113】
次に、正孔注入層上に発光層を設ける発光層の形成も、所望の有機発光材料を用いて真空蒸着法、スパッタリング、スピンコート法、キャスト法等の方法により有機発光材料を薄膜化することにより形成できるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが発生しにくい等の点から真空蒸着法により形成することが好ましい。真空蒸着法により発光層を形成する場合、その蒸着条件は使用する化合物により異なるが、一般的に正孔注入層と同じような条件範囲の中から選択することができる。
【0114】
次に、この発光層上に電子注入層を設ける。正孔注入層、発光層と同様、均質な膜を得る必要から真空蒸着法により形成することが好ましい。蒸着条件は正孔注入層、発光層と同様の条件範囲から選択することができる。
本発明の化合物は、正孔輸送帯域のいずれの層に含有させるかによって異なるが、真空蒸着法を用いる場合は他の材料との共蒸着をすることができる。またスピンコート法を用いる場合は、他の材料と混合することによって含有させることができる。
最後に陰極を積層して有機EL素子を得ることができる。
陰極は、金属から構成されるもので、蒸着法、スパッタリングを用いることができる。しかし下地の有機物層を成膜時の損傷から守るためには真空蒸着法が好ましい。
これまで記載してきた有機EL素子の作製は一回の真空引きで一貫して陽極から陰極まで作製することが好ましい。
【0115】
なお、有機EL素子に直流電圧を印加する場合、陽極を+、陰極を−の極性にして、5〜40Vの電圧を印加すると発光が観測できる。また逆の極性で電圧を印加しても電流は流れず、発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加した場合には陽極が+、陰極が−の極性になった時のみ均一な発光が観測される。印加する交流の波形は任意でよい。
【0116】
〔フェニレンジアミン誘導体〕
本発明のフェニレンジアミン二量体を表す一般式(III)、(IV)および(V)における核炭素数6〜24のアリール基の例としては、炭素数1〜6のアルキル基およびアルコキシ基、スチリル基等が挙げられる。
核炭素数6〜24のアリール基の例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ターフェニル基、ピレニル基等が挙げられ、特に、フェニル基、ナフチル基が好適である。
炭素数1〜6のアルキル基の例として、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられる。
また炭素数1〜6のアルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0117】
スチリル基としては、1−フェニルビニル−1−イル、2−フェニルビニル−1−イル、2,2−ジフェニルビニル−1−イル、2−フェニル−2−(ナフチル−1−イル)ビニル−1−イル、2,2−ビス(ジフェニル−1−イル)ビニル−1−イル基などが挙げられる。特に、2,2−ジフェニルビニル−1−イル基が好適である。
【0118】
一般式(III)におけるX、(IV)におけるYおよび(V)におけるYはそれぞれ連結基であり、単結合、核炭素数6〜24のアリーレン、炭素数1〜6のアルキレン、ジフェニルメチレン、エーテル結合、チオエーテル結合、ヘテロアリーレン、またはビニレンである。核炭素数6〜24のアリーレンの例としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラニレン、ターフェニルレン、ピレニレン等が挙げられる。炭素数1〜6のアルキレンとしては、メチレン、イソプロピレン、シクロプロピレン等が挙げられる。ヘテロアリーレンを構成する芳香族ヘテロ環の例としては、ピロール、フラン、チオフェン、シロール、トリアジン、オキサジアゾール、トリアゾール、オキサゾール、キノリン、キノキサリン、ピリミジン等である。
【0119】
また、一般式(III)中のAr13〜Ar18のうち少なくともひとつは、核炭素数10〜24のスチリル基で置換されたアリール基であるか、またはAr15、Ar18および化学式5で表される基本骨格構造のいずれかが核炭素数10〜24の縮合芳香族環、芳香族ヘテロ環、または置換もしくは無置換のビニル基である。
そのような縮合芳香族環の例としては、ナフチル、アントラニル、ピレニル、フェナンスリル基が挙げられるが、特に好適なのはナフチル基である。
スチリル基としては、1−フェニルビニル−1−イル、2−フェニルビニル−1−イル、2,2−ジフェニルビニル−1−イル、2−フェニル−2−(ナフチル−1−イル)ビニル−1−イル、2,2−ビス(ジフェニル−1−イル)ビニル−1−イル基などが挙げられる。特に2,2−ジフェニルビニル−1−イル基が好適である。
芳香族ヘテロ環としては、ピロール、フラン、チオフェン、シロール、トリアジン、オキサジアゾール、トリアゾール、オキサゾール、キノリン、キノキサリン、ピリミジンなどである。
R7、R8として、好ましいアルキル基の例としては、メチルエチル、i−プロピル、t−ブチル等であり、好ましいアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、t−ブトキシ等である。
また、Xが単結合であるときは、R7、R8が結合し、置換または無置換のフルオレンからなる2価の基も好ましい。
【0120】
また、一般式(IV)中の、Ar19〜Ar24のうち少なくともひとつは、核炭素数10〜24のスチリル基で置換されたアリール基であるか、Ar19〜Ar24および化学式7で表される基本骨格構造のいずれかが核炭素数10〜24の縮合芳香族環、芳香族ヘテロ環、または置換もしくは無置換のビニル基である。
そのような縮合芳香族環の例としては、ナフチル、アントラニル、ピレニル、フェナンスリル基が挙げられるが、特に好適なのはナフチル基である。
スチリル基としては、1−フェニルビニル−1−イル、2−フェニルビニル−1−イル、2,2−ジフェニルビニル−1−イル、2−フェニル−2−(ナフチル−1−イル)ビニル−1−イル、2,2−ビス(ジフェニル−1−イル)ビニル−1−イル基などが挙げられる。特に2,2−ジフェニルビニル−1−イル基が好適である。
芳香族ヘテロ環としては、ピロール、フラン、チオフェン、シロール、トリアジン、オキサジアゾール、トリアゾール、オキサゾール、キノキサリン、ピリミジンなどである。
R9、R10として、好ましいアルキル基の例としては、メチルエチル、i−プロピル、t−ブチル等であり、好ましいアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、t−ブトキシ等である。
また、Yが単結合であるときは、R9、R10が結合し、置換または無置換のフルオレンからなる2価の基も好ましい。
【0121】
また、一般式(V)中の、Ar25〜Ar30のうち少なくともひとつは、核炭素数10〜24のスチリル基で置換されたアリール基であるか、Ar25〜Ar30、Yのいずれかが核炭素数10〜24の縮合芳香族環、芳香族ヘテロ環、または置換もしくは無置換のビニル基であることが好ましい。
そのような縮合芳香族環の例としては、ナフチル、アントラニル、ピレニル、フェナンスリル基が挙げられるが、特に好適なのはナフチル基である。
スチリル基としては、1−フェニルビニル−1−イル、2−フェニルビニル−1−イル、2,2−ジフェニルビニル−1−イル、2−フェニル−2−(ナフチル−1−イル)ビニル−1−イル、2,2−ビス(ジフェニル−1−イル)ビニル−1−イル基などが挙げられる。特に2,2−ジフェニルビニル−1−イル基が好適である。
芳香族ヘテロ環としては、ピロール、フラン、チオフェン、シロール、トリアジン、オキサジアゾール、トリアゾール、オキサゾール、キノキサリン、ピリミジンなどである。
R11、R12として、好ましいアルキル基の例としては、メチルエチル、i−プロピル、t−ブチル等であり、好ましいアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、t−ブトキシ等である。
【0122】
そして、前記一般式(III)で表されるフェニレンジアミン二量体の具体例としては、以下の化学式〔PD−01’〕〜〔PD−56’〕で表される化合物が挙げられる。なお、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0123】
【化64】
【0124】
【化65】
【0125】
【化66】
【0126】
【化67】
【0127】
【化68】
【0128】
【化69】
【0129】
【化70】
【0130】
【化71】
【0131】
【化72】
【0132】
【化73】
【0133】
【化74】
【0134】
【化75】
【0135】
【化76】
【0136】
【化77】
【0137】
【化78】
【0138】
【化79】
【0139】
【化80】
【0140】
【化81】
【0141】
【化82】
【0142】
このような一般式(III)で表されるフェニレンジアミン誘導体を含有する有機EL素子としては、前述の有機EL素子を用いることができる。
本発明の一般式(III)で表されるフェニレンジアミン誘導体は、一般式(I)で表される誘導体の中でも特に好ましいものであることが判明した。すなわち、国際特許公報WO98/30071に開示されている従来公知ものに比べ、スチリル基含有のアリール基を保有する化合物は、電子が注入された場合でも寿命が長く、蛍光性も高いので、発光材としても用いることができる。Ar15 、Ar18 および下記化学式83に示される基本骨格のいずれかが縮合芳香族環、芳香族ヘテロ環、置換または無置換のビニル結合を含む化合物に電子注入がされた場合でも劣化しにくく寿命も長いなど、従来にはない特徴が得られた。
【0143】
【化83】
【0144】
そして、前記一般式(IV)で表されるフェニレンジアミン二量体の具体例としては、以下の化学式〔PT−01’〕〜〔PT−11’〕および〔PT−23’〕〜〔PT−31’〕で表される化合物が挙げられる。なお、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0145】
【化84】
【0146】
【化85】
【0147】
【化86】
【0148】
【化87】
【0149】
【化88】
【0150】
【化89】
【0151】
【化90】
【0152】
また、一般式(IV)、一般式(V)のフェニレンジアミン誘導体は、特に好ましいものであることが判明した。これらの化合物は、電子注入の際にも劣化せず蛍光性が高いため、発光材としても用いることができるほか、正孔注入層、正孔輸送層としても、電子注入耐性のため、長い寿命が得られることが判明した。
【0153】
次に、本発明の効果を、具体的な実施例に基づいて説明する。尚、実施例中、化合物の番号のダッシュ(’)は、明細書中での説明のため便宜上付与したものであり、同一の記号番号であれば、ダッシュの有無に関係なく、化合物は同一である。
【0154】
〈PD−01の合成〉
4,4’−ジアミノ−p−ターフェニレン(ランカスター社製)10g、1−ヨードナフタレン(広島和光(株)社製)20g、炭酸カリウム20g、銅粉末1gおよびニトロベンゼン100mlを、300mlの三つ口フラスコ中に入れ、200℃で48時間加熱攪拌を行なった。
反応後、無機物を濾別し、母液の溶媒を留去した。その残渣をシリカゲル(広島和光(株)社製 C−200)を担持したカラムを用い、トルエンを展開溶媒として精製したところ、8.4gの4,4′−ビス(1−ナフチルアミノ)−p−ターフェニレンが得られた。
このうちの5gと4−ヨードトリフェニルアミン15g、炭酸カリウム20g、銅粉末1gおよびニトロベンゼン100mlを300mlの三つ口フラスコ中に入れ、200℃で60時間加熱した。
反応後、無機物を濾別し、母液の溶媒を留去した。その残渣をシリカゲル(広島和光(株)社製 C−200)を担持したカラムを用い、トルエン/ヘキサン=1/2を展開溶媒として精製した。さらにこれを0.01mmHgの真空下で昇華精製し、0.8gの淡黄色粉末を得た。
FD−MSを測定した結果、C74H54N4=998に対し、999(M+1)と499(1/2M)のピークが得られたので、PD−01と同定した。
【0155】
〔実施例2〕
〈PD−02の合成〉
9,10−ジアミノフェニルアントラセン(和歌山精化工業(株)社製)10g、1−ヨードナフタレン(広島和光(株)社製)20g、炭酸カリウム20g、銅粉末1gおよびニトロベンゼン100mlを300mlの三つ口フラスコ中に入れ、200℃で48時間加熱攪拌を行なった。
反応後、無機物を濾別し、母液の溶媒を留去した。その残渣をシリカゲル(広島和光(株)社製 C−200)を担持したカラムを用い、トルエンを展開溶媒として精製したところ、7.7gの9,10−ビス(1−ナフチルアミノフェニル)アントラセンが得られた。
このうちの5gと4−ヨードトリフェニルアミン15g、炭酸カリウム20g、銅粉末1gおよびニトロベンゼン100mlを300mlの三つ口フラスコ中に入れ、200℃で60時間加熱した。
反応後、無機物を濾別し、母液の溶媒を留去した。その残渣をシリカゲル(広島和光社製 C−200)を担持したカラムを用い、トルエン/ヘキサン=1/2を展開溶媒として精製した。さらに、これを0.01mmHgの真空下で昇華精製し、0.8gの淡黄色粉末を得た。
FD−MSを測定した結果、C82H58N4=1098に対し、1099(M+1)と549(1/2M)のピークが得られたので、PD−02と同定した。
【0156】
〔実施例3〕
〈PD−03の合成〉
4,4’−ジアミノジフェニルメタン(広島和光(株)社製)10g、1−ヨードナフタレン(広島和光(株)社製)20g、炭酸カリウム20g、銅粉末1gおよびニトロベンゼン100mlを300mlの三つ口フラスコ中に入れ、200℃で48時間加熱攪拌を行なった。
反応後、無機物を濾別し、母液の溶媒を留去した。その残渣をシリカゲル(広島和光(株)社製 C−200)を担持したカラムを用い、トルエンを展開溶媒として精製したところ、9.6gのビス(4−(ナフチル−1−イル)アミノ フェニル)メタンが得られた。
このうちの5gと4−ヨードトリフェニルアミン15g、炭酸カリウム20g、銅粉末1gおよびニトロベンゼン100mlを300mlの三つ口フラスコ中に入れ、200℃で60時間加熱した。
反応後、無機物を濾別し、母液の溶媒を留去した。その残渣をシリカゲル(広島和光社製 C−200)を担持したカラムを用い、トルエン/ヘキサン=1/2を展開溶媒として精製した。さらにこれを0.01mmHgの真空下で昇華精製し、1.2gの淡黄色粉末を得た。
FD−MSを測定した結果、C69H52N4=936に対し、937(M+1)と468(1/2M)のピークが得られたので、PD−03と同定した。
【0157】
〔実施例4〕
〈PD−04の合成〉
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(広島和光(株)社製)10g、1−ヨードナフタレン(広島和光(株)社製)20g、炭酸カリウム20g、銅粉末1gおよびニトロベンゼン100mlを300mlの三つ口フラスコ中に入れ、200℃で48時間加熱攪拌を行なった。
反応後、無機物を濾別し、母液の溶媒を留去した。その残渣をシリカゲル(広島和光(株)社製 C−200)を担持したカラムを用い、トルエンを展開溶媒として精製したところ、9.2gのビス(4−(ナフチル−1−イル)アミノ フェニル)エーテルが得られた。
このうちの5gと4−ヨードトリフェニルアミン15g、炭酸カリウム20g、銅粉末1gおよびニトロベンゼン100mlを300mlの三つ口フラスコ中に入れ、200℃で60時間加熱した。
反応後、無機物を濾別し、母液の溶媒を留去した。その残渣をシリカゲル(広島和光社製 C−200)を担持したカラムを用い、トルエン/ヘキサン=1/2を展開溶媒として精製した。さらにこれを0.01mmHgの真空下で昇華精製し、1.0gの淡黄色粉末を得た。
FD−MSを測定した結果、C68H50N4O=938に対し、939(M+1)と469(1/2M)のピークが得られたので、PD−04と同定した。
【0158】
〔実施例5〕
〈N−(1−ナフチル)−4−ヨードジフェニルアミンの合成〉
N−フェニル−N−(1−ナフチル)アミン(広島和光(株)社製)10g、p−フルオロニトロベンゼン(広島和光(株)社製)20g、炭酸カリウム20g、銅粉末1gおよびニトロベンゼン100mlを300mlの三つ口フラスコ中に入れ、200℃で48時間加熱攪拌を行なった。
反応後、無機物を濾別し、母液の溶媒を留去した。その残渣をシリカゲル(広島和光(株)社製 C−200)を担持したカラムを用い、トルエンを展開溶媒として精製したところ、9.0gのN−ナフチル−4−ニトロ−ジフェニルアミンが得られた。
これをオートクレーブ中に入れ、DMF100ml、5%Pd/C 5gを加え、水素を5Kg/cm2チャージして攪拌した。触媒を濾別し、飽和食塩水300ml中に注入し、析出した結晶を濾取した。これをトルエンで再結晶し、6.4gのN−ナフチル−4−アミノ−ジフェニルアミンが得られた。
次に濃硫酸20mlを15℃に冷却し、亜硝酸ナトリウム3gを30℃以下で加え、溶解した後、酢酸100mlを加えた。これに氷冷下で5.0gのN−ナフチル−4−アミノ−ジフェニルを加え、室温で1時間攪拌した。別によう化カリウム10gを70℃の水に溶かし、ここへ上述した反応物を添加した。70℃で30分攪拌した後、1lの水に注入し、不溶物を濾別した。これをシリカゲル(広島和光(株)社製C−200)を担持したカラムを用い、トルエンを展開溶媒として精製し、2.7gのN−(1−ナフチル)−4−ヨードジフェニルアミンを得た。
【0159】
〈PD−05の合成〉
実施例2で合成した9,10−ビス(1−ナフチルアミノフェニル)アントラセン1gとN−(1−ナフチル)−4−ヨードジフェニルアミン2g、炭酸カリウム5g、銅粉末1gおよびニトロベンゼン100mlを300mlの三つ口フラスコ中に入れ、200℃で60時間加熱した。
反応後、無機物を濾別し、母液の溶媒を留去した。その残渣をシリカゲル(広島和光社製 C−200)を担持したカラムを用い、トルエン/ヘキサン=1/2を展開溶媒として精製した。さらにこれを0.01mmHgの真空下で昇華精製し、0.3gの淡黄色粉末を得た。
FD−MSを測定した結果、C90H62N4=1198に対し、1199(M+1)と599(1/2M)のピークが得られたので、PD−05と同定した。
【0160】
〔実施例6〕
〈4−ヨード3’−メチルトリフェニルアミンの合成〉
実施例5で、N−フェニル(1−ナフチル)アミンの代りに(3―メチル)ジフェニルアミン(広島和光(株)社製)を用いた以外は同様に反応し、4−ヨード3’−メチルトリフェニルアミンを3.4g得た。
【0161】
〈STBA−1の合成〉
N,N’−ジフェニル−4,4’−ベンジジン(東京化成社製)1g、4−ヨード3’−メチルトリフェニルアミン3g、炭酸カリウム5g、銅粉末1gおよびニトロベンゼン100mlを300mlの三つ口フラスコ中に入れ、200℃で60時間加熱攪拌を行なった。
反応後、無機物を濾別し、母液の溶媒を留去した。その残渣をシリカゲル(広島和光(株)社製 C−200)を担持したカラムを用い、トルエン/ヘキサン=1/2を展開溶媒として精製した。さらにこれを0.01mmHgの真空下で昇華精製し、0.2gの淡黄色粉末を得た。
FD−MSを測定した結果、C60H46N4=822に対し、823(M+1)と411(1/2M)のピークが得られたので、STBA−1と同定した。
STBA−1の蛍光スペクトルを図1に示す。
【0162】
〔実施例7〕
〈4−ヨード−4’−ニトロビフェニルの合成〉
ビフェニル(広島和光社製)1500g、オルト過よう素酸(広島和光社製)444g、よう素987g、酢酸5.1kg、硫酸147mlおよび水975gを10lコルベンに入れ、70℃で2時間加熱攪拌を行なった。
反応後、1.3kgの水を加え、析出した結晶を濾取した。これを5.5kgのエタノールで再結晶し、2010gの結晶を得た。
これを酢酸14kg中に溶解し、発煙硝酸1.8lを80℃にて滴下し、8時間攪拌した。室温まで冷却した後、9.5kgのメタノールを加え、析出した結晶を濾取し、27kgのトルエンで再結晶し、580gの4−ヨード−4’−ニトロビフェニルを得た。
【0163】
〈PT−01の合成〉
ジフェニルアミン(広島和光社製)2kg、4−ヨード−4’−ニトロビフェニルを500g、無水炭酸カリウム500g、銅粉末20gおよびニトロベンゼン2lを10lのコルベンに入れ、200℃で15時間加熱攪拌した。
反応後、無機物を濾別し、母液の溶媒を留去した。その残渣をシリカゲル(広島和光社製 C−200)を担持したカラムを用い、トルエンを展開溶媒として精製し、340gの結晶を得た。
これをDMF7lに溶解し、5%Pd/C30gとともに10lのオートクレーブに入れ、水素を25kg/cm2にチャージして50℃に昇温し、10〜25kg/cm2に保ち8時間攪拌した。触媒を濾去し、濾液を水に投入し、析出物を濾取した。これをトルエン40lにて再結晶し、283gの結晶を得た。
この250gと、p−フルオロニトロベンゼン(広島和光社製)280g、無水炭酸カリウム500g、銅粉末10gおよびニトロベンゼン1lを5lのコルベンに入れ、200℃で32時間加熱攪拌した。
【0164】
反応後、無機物を濾別し、母液の溶媒を留去した。その残渣をシリカゲル(広島和光社製 C−200)を担持したカラムを用い、トルエンを展開溶媒として精製し、194gの結晶を得た。
これをDMF4lに溶解し、5%Pd/C30gとともに5lのオートクレーブに入れ、水素を25kg/cm2にチャージして50℃に昇温し、10〜25kg/cm2に保ち8時間攪拌した。触媒を濾去し、濾液を水に投入し、析出物を濾取した。これをトルエン20lにて再結晶し、128gの結晶を得た。
この100gと、ヨードベンゼン(広島和光社製)200g、無水炭酸カリウム250g、銅粉末5gおよびニトロベンゼン1lを5lのコルベンに入れ、200℃で48時間加熱攪拌した。
反応後、無機物を濾別し、母液の溶媒を留去した。その残渣をシリカゲル(広島和光社製 C−200)を担持したカラムを用い、トルエン/ヘキサン=1/2を展開溶媒として精製した。さらにこれを0.01mmHgの真空下で昇華精製し、23gの淡黄色粉末を得た。
FD−MSを測定した結果、C60H46N4=822に対し、823(M+1)と411(1/2M)のピークが得られたので、PT−01と同定した。
【0165】
〔実施例8〕
前述したPD−1を用いて有機EL素子を作製した。
すなわち、まず、ガラスに被膜されたインジウム・スズ酸化物の透明性アノードを設けた。インジウム・スズ酸化物は約750オングストロームの厚さであり、ガラスは(25mm×75mm×1.1mm)のサイズであった。
これを真空蒸着装置(日本真空技術(株)社製)に入れて、約10‐6torrに減圧した。これにPD−01を600オングストロームの厚さで蒸着した。
この際の蒸着速度は2オングストローム/秒であった。
次にNPDを200オングストロームの厚さで蒸着した。この際の蒸着速度は2オングストローム/秒であった。
次に発光材であるDPVTP(下記化学式91参照)および電子注入補助材であるDPAVBi(下記化学式92参照)とを同時蒸着して400オングストロームの厚さの発光層を形成した。この際のDPVTPの蒸着速度は50オングストローム/秒であり、DPAVBiの蒸着速度は1オングストローム/秒であった。
さらにAlqを蒸着速度2オングストローム/秒で蒸着した。最後にアルミニウムとリチウムとを同時蒸着することにより、陰極を2000オングストロームの厚さで形成した。この際のアルミニウムの蒸着速度は10オングストローム/秒であり、リチウムの蒸着速度は0.1オングストローム/秒であった。
【0166】
【化91】
【0167】
【化92】
【0168】
得られた素子を1000nitで発光させた時の駆動電圧は6.2Vだった。
また100時間定電流駆動後の電圧上昇は0.4V、1000時間後の駆動電圧上昇は0.6V、半減寿命は600時間であった。なお、DPVTPのイオン化エネルギーは5.9eV、DPAVBiのイオン化エネルギーは5.5eVである。
【0169】
〔実施例9〕
実施例8においてPD−01の代わりにPD−02を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
得られた素子を1000nitで発光させた時の駆動電圧は6.0Vだった。
また100時間定電流駆動後の電圧上昇は0.5V、1000時間後の駆動電圧上昇は0.7V、半減寿命は2000時間であった。
【0170】
〔実施例10〕
実施例8においてPD−01の代わりにPD−03を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
得られた素子を1000nitで発光させた時の駆動電圧は6.3Vだった。
また100時間定電流駆動後の電圧上昇は0.4V、1000時間後の駆動電圧上昇は0.6Vであった。
【0171】
〔実施例11〕
実施例8においてPD−01の代わりにPD−04を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
得られた素子を1000nitで発光させた時の駆動電圧は6.2Vだった。
また100時間定電流駆動後の電圧上昇は0.4V、1000時間後の駆動電圧上昇は0.7Vであった。
【0172】
〔実施例12〕
実施例8においてPD−01の代わりにPD−06を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
得られた素子を1000nitで発光させた時の駆動電圧は6.1Vだった。
また100時間定電流駆動後の電圧上昇は0.5V、1000時間後の駆動電圧上昇は0.6V、半減寿命は2100時間と良好であった。
【0173】
〔実施例13〕
実施例8においてPD−01の代わりにSTBA−1を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
得られた素子を1000nitで発光させた時の駆動電圧は6.1Vだった。
また100時間定電流駆動後の電圧上昇は0.4V、1000時間後の駆動電圧上昇は0.6V、半減寿命は1200時間であった。
このように、本発明の化合物(III)は、特に駆動電圧が低い上に、電圧上昇も小さく、半減寿命も長かった。この結果は、本発明の化合物(III)が、STBA−1に比べて、上記のような優れた特徴を有することを示している。
【0174】
〔実施例14〕
ITOをコートしたガラス基板(旭硝子社製15Ω/□ 1500オングストローム)を25mm×25mmに切り取り、ITO面側の中央にScotch社製のクリアテープ(幅12mm)を気泡が入らないように貼り、これを腐食液に浸漬してパターン形成を行なった。
これを真空蒸着装置(日本真空技術(株)社製)に入れて、約10‐6torrに減圧した。これにSTBA−1を500オングストロームの厚さで蒸着した。この際の蒸着速度は2オングストローム/秒であった。
次にAlqを蒸着速度2オングストローム/秒で500オングストローム蒸着した。
最後にマグネシウムと銀とを同時蒸着することにより、陰極を2000オングストロームの厚さで形成した。この際のマグネシウムの蒸着速度は10オングストローム/秒であり、銀の蒸着速度は1オングストローム/秒であった。
さらに酸化保護膜として銀を1000オングストローム蒸着積層した。電極面積は5mm×5mmであった。
得られた素子を100nitで発光させた時の駆動電圧は4.8Vだった。
また100時間定電流駆動後の電圧上昇は0.8V、1000時間後の駆動電圧上昇は1.3Vであった。
【0175】
〔実施例15〕
実施例8においてPD−01の代わりにPT−01を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
得られた素子を1000nitで発光させた時の駆動電圧は6.2Vだった。
また100時間定電流駆動後の電圧上昇は0.3V、1000時間後の駆動電圧上昇は0.5Vであった。
【0176】
〔実施例16〕
実施例8と同様に有機EL素子を作製した。但し、PD−01の代わりにSTBA−1を用い、青色発光材料として、DPVTPの代わりに国際特許公報WO98/30071(1998年7月9日公開)号公報に開示されている下記化学式93に示されたDPA2を用いた。また、電荷注入補助材として、DPAVBiを添加した。
この場合、1000nitで発光させた時の駆動電圧は、6.3Vであった。
また100時間定電流駆動後の電圧上昇は0.4V、1000時間後の駆動電圧上昇は0.7Vであり、半減寿命は1200時間であった。
電荷注入補助材DPAVBiが添加されていない後述する比較例4における有機EL素子と本実施例の有機EL素子とを比較したところ、本実施例の有機EL素子は発光材に電荷注入補助材を添加し、かつ一般式(I)で表される化合物を正孔輸送帯域に用いているため、低電圧で駆動しながら定電流駆動後の電圧上昇も低減でき、さらに寿命も長いという特性が得られた。
【0177】
【化93】
【0178】
〔実施例17〕
本実施例は、発光材としての使用例であり、インジウム・スズ酸化物で被覆されたガラス上にPD−05′を800オングストロームの厚さで蒸着した。次にアルミニウムとリチウムとを同時蒸着し、リチウムを3wt%含有するアルミニウム・リチウム合金製の陰極を形成した。
このようにして得られた発光素子に6.0Vの電圧を印加したところ、400nitの発光輝度が得られた。また、半減寿命は300時間であった。
【0179】
〔実施例18〕
実施例17におけるPD−05′の代わりにPD−35′を用いた以外はすべて同様にして、発光素子を作製した。
得られた発光素子に5.5Vの電圧を印加したところ、400nitの発光輝度が得られ、半減寿命は340時間であった。
【0180】
〔実施例19〕
実施例17におけるPD−05′の代わりにPD−36′を用いた以外はすべて同様にして、発光素子を作製した。
得られた発光素子に7.0Vの電圧を印加したところ、350nitの発光輝度が得られ、半減寿命は250時間であった。
【0181】
〔実施例20〕
実施例17におけるPD−05′の代わりにPD−38′を用いた以外はすべて同様にして、発光素子を作製した。
得られた発光素子に6.2Vの電圧を印加したところ、280nitの発光輝度が得られ、半減寿命は400時間であった。
【0182】
〔実施例21〕
実施例17におけるPD−05′の代わりにPD−44′を用いた以外はすべて同様にして、発光素子を作製した。
得られた発光素子に8.0Vの電圧を印加したところ、440nitの発光輝度が得られ、半減寿命は460時間であった。
【0183】
〔実施例22〕
実施例17におけるPD−05′の代わりにPD−49′を用いた以外はすべて同様にして、発光素子を作製した。
得られた発光素子に4.7Vの電圧を印加したところ、380nitの発光輝度が得られ、半減寿命は340時間であった。
【0184】
〔実施例23〕
実施例17におけるPD−05′の代わりにPD−54′を用いた以外はすべて同様にして、発光素子を作製した。
得られた発光素子に6.2Vの電圧を印加したところ、250nitの発光輝度が得られ、半減寿命は280時間であった。
【0185】
〔実施例24〕
実施例17におけるPD−05′の代わりにPT−01′を用いた以外はすべて同様にして、発光素子を作製した。
得られた発光素子に5.3Vの電圧を印加したところ、450nitの発光輝度が得られ、半減寿命は400時間であった。
【0186】
〔実施例25〕
実施例17におけるPD−05′の代わりにPT−04′を用いた以外はすべて同様にして、有機EL素子を作製した。
得られた発光素子に5.6Vの電圧を印加したところ、280nitの発光輝度が得られ、半減寿命は320時間であった。
【0187】
〔実施例26〕
実施例17におけるPD−05′の代わりにPT−08′を用いた以外はすべて同様にして、有機EL素子を作製した。
得られた発光素子に4.8Vの電圧を印加したところ、340nitの発光輝度が得られ、半減寿命は250時間であった。
【0188】
〔実施例27〕
実施例17におけるPD−05′の代わりにPT−10′を用いた以外はすべて同様にして、有機EL素子を作製した。
得られた発光素子に5.7Vの電圧を印加したところ、300nitの発光輝度が得られ、半減寿命は280時間であった。
【0189】
〔実施例28〕
実施例17におけるPD−05′の代わりにPT−25′を用いた以外はすべて同様にして、有機EL素子を作製した。
得られた発光素子に6.2Vの電圧を印加したところ、320nitの発光輝度が得られ、半減寿命は360時間であった。
【0190】
〔比較例1〕
実施例8におけるPD−01の代わりに、下記化学式94で示されるNPDATAを用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
得られた素子を1000nitで発光させた時の駆動電圧は8.4Vであった。また100時間定電流駆動後の電圧上昇は0.5V、1000時間後の駆動電圧上昇は0.7Vであった。
【0191】
【化94】
【0192】
〔比較例2〕
実施例8におけるPD−01の代わりにNPDを用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
得られた素子を1000nitで発光させた時の駆動電圧は11.8Vであった。また100時間定電流駆動後の電圧上昇は1.4V、1000時間後の駆動電圧上昇は3.8Vであった。
【0193】
〔比較例3〕
実施例8におけるPD−01の代わりに、下記化学式95で示されるHI−01を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
得られた素子を1000nitで発光させた時の駆動電圧は8.1Vであった。また100時間定電流駆動後の電圧上昇は0.5V、1000時間後の駆動電圧上昇は0.8Vであった。
【0194】
【化95】
【0195】
〔比較例4〕
実施例16と同様に有機EL素子を作製した。但し、電荷注入補助材DPAVBiは添加されていない。
この場合、得られた素子を1000nitで発光させた時の駆動電圧は7.0Vだった。また100時間定電流駆動後の電圧上昇は1.2V、1000時間後の駆動電圧上昇は2.0Vであった。このときの半減寿命は、800時間であった。
【0196】
〔比較例5〕
実施例17におけるPD−05′の代わりにSTBA−1を用いた以外は同様にして発光素子を作製した。
得られた発光素子に9.4Vの電圧を印加したところ、170nitの発光輝度が得られ、半減寿命は20時間であった。
【0197】
上記の〔比較例5〕の発光素子で得られた結果と、〔実施例18〕〜〔実施例23〕の発光素子で得られた結果との比較から、STBA−1を用いた場合には発光材としては寿命がきわめて短いことがわかった。これは、STBA−1に電子が注入された際に、材料が劣化するためである。
しかし、本願発明の一般式(III)で表される化合物は、半減寿命間長く、電子注入に対して劣化しにくいことがわかった。
従って、正孔輸送帯域であっても電子は少量ではあるが注入されるので、電子注入に対する耐性を有する一般式(III)で表される化合物を正孔輸送帯域に用いることが好ましい。
【0198】
〔比較例6〕
実施例17におけるPD−05′の代わりにPT−01を用いた以外は同様にして発光素子を作製した。
得られた発光素子に8.9Vの電圧を印加したところ、120nitの発光輝度が得られ、半減寿命は30時間であった。
【0199】
上記の〔比較例6〕における発光素子で得られた結果と〔実施例24〕〜〔実施例28〕における発光素子で得られた結果との比較から、PT―01で示される化合物は、電子注入に対する耐性が認められないが、PT−01以外の一般式(IV)および一般式(V)で表される化合物には電子注入に対して耐性が認められた。ただし、PT−01を前記実施形態のように正孔輸送帯域に用いる場合には、電子注入量が小さく劣化もほとんど無いため問題にならない場合もあるが、さらに、電子注入耐性の高い一般式(III)、(IV)および(V)で表される化合物を用いれば、発光素子自体の寿命を長くすることができる。
【0200】
以上の結果から判るように、本発明の化合物を正孔輸送帯域に用いることにより、同じ輝度の発光を得るのに必要な電圧が著しく低減する長寿命の有機EL素子の作製が実現できた。
また不純物が入らないように精製した結果、駆動における電圧上昇もきわめて小さくなった。
【0201】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、イオン化ポテンシャルが小さくかつ正孔移動度が大きいフェニレンジアミン誘導体が得られる。また、このフェニレンジアミン誘導体を、一対の電極間の有機発光層内の正孔輸送層に含有するとともに、電荷注入補助材を添加しながら有機EL素子の有機発光層を形成することで、駆動電圧の低減と素子の長寿命化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフェニレンジアミン誘導体STBA−1の蛍光スペクトルを示す線図である。
Claims (8)
- 一般式(III)
Ar15,Ar18はナフチル基である。
Xは連結基であり、単結合、核炭素数6〜24のアリーレン、炭素数1〜6のアルキレン、ジフェニルメチレン、エーテル結合、チオエーテル結合、ビニレン、ヘテロアリーレンである。
R7、R8は、炭素数1〜6のアルキル基、もしくはアルコキシ基、または水素原子であって、互いに結合して五員環または六員環を形成してもよい。〕で表されるフェニレンジアミン誘導体。 - 請求項1に記載のフェニレンジアミン誘導体であって、前記一般式(III)のXが単結合または核炭素数6〜24のアリーレンであるフェニレンジアミン誘導体。
- 請求項1または請求項2に記載のフェニレンジアミン誘導体であって、Ar13,Ar14,Ar16,Ar17がフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ターフェニル基またはピレニル基であるフェニレンジアミン誘導体。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフェニレンジアミン誘導体であって、Ar13,Ar14,Ar16,Ar17がフェニル基またはナフチル基であるフェニレンジアミン誘導体。
- 一対の電極と、これらの電極間に挟持された有機発光層とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記電極間に設けられた正孔輸送帯域は、下記の一般式(III)で表されるフェニレンジアミン誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Ar15,Ar18はナフチル基である。
Xは連結基であり、単結合、核炭素数6〜24のアリーレン、炭素数1〜6のアルキレン、ジフェニルメチレン、エーテル結合、チオエーテル結合、ビニレン、ヘテロアリーレンである。
R7、R8は、炭素数1〜6のアルキル基、もしくはアルコキシ基、または水素原子であって、互いに結合して五員環または六員環を形成してもよい。〕 - 請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記一般式(III)のXが単結合または核炭素数6〜24のアリーレンであるフェニレンジアミン誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項5または請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記一般式(III)のAr13,Ar14,Ar16,Ar17がフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ターフェニル基またはピレニル基であるフェニレンジアミン誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記一般式(III)のAr13,Ar14,Ar16,Ar17がフェニル基またはナフチル基であるフェニレンジアミン誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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