JP4540148B2 - 表皮材付きクッションの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、表皮材付きクッションの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の座席等に用いられるクッションには、図12に示す表皮材付きクッション60のように、モールド成形によって所定形状に発泡成形したクッション本体55の表面に、後工程で表皮材50を接着したものがある。表皮材50としては、ファブリックやプラスチックシート等の裏面に軟質ウレタンフォームを貼り合わせ、さらにその軟質ウレタンフォームの裏面に表皮材の縫製時における滑り性や使用時における表皮材の強度向上等を目的として、トリコットや不織布等からなる裏基布材を貼り合わせた3層構造のものが多用されている。
【0003】
しかし、従来の表皮材付きクッション60にあっては、クッション本体55の表面に表皮材50が全面接着されているため、表皮材50に通気性の有るものを用いても、表皮材50の織目や編み目または通気孔が接着剤57で塞がれ、クッション60表面の通気性が損なわれてしまう。その結果、着座者はクッション60の表面と接する臀部が蒸れて不快を感じる問題がある。また、前記表皮材50とクッション本体55との全面接着によってクッション本体55の表面の気孔が塞がれるため、クッション性が損なわれる不具合もある。
【0004】
さらに、前記表皮材付きクッション60の製造に際し、クッション本体55の表面に溶剤型接着剤57をスプレー塗布した後、表皮材50をクッション本体55表面に重ねてプレス成形しようとすると、前記溶剤型接着剤57を塗布した面が粘着性を帯びるため、表皮材50が一旦クッション本体55の表面に触れると、その後は表皮材50を動かし難くなり、表皮材50とクッション本体55の正確な位置調整を行えない不具合がある。したがって、表皮材50の接着作業に大なる注意を払わねばならないためにその作業が容易ではなく、接着不良も生じ易い問題がある。しかも、接着剤のスプレー塗布時に溶剤が飛散して作業環境が損なわれるという環境上の問題もある。
【0005】
また、前記3層構造の表皮材をクッション本体に被せる際や、前記プレス型にセットする際に、コーナー部等の曲面部で表皮材表面に折れ皺を発生し、得られる表皮材付きクッションの外観が損なわれ易い問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前記の点に鑑みなされたもので、着座面の通気性及びクッション性に優れ、しかも表皮材とクッション本体の接着が正確かつ簡単に行え、さらに表皮材の接着時に溶剤の飛散による作業環境の悪化も防ぐことができ、また曲面部での折れ皺を生じにくい表皮材付きクッションの製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、表皮材をクッション本体の表面に接着した表皮材付きクッションの製造に際し、通気性シート材の裏面にホットメルト接着剤を溶融させて散点状に塗布し、あるいは散点状の非塗布空間を残して塗布し硬化させ、その後前記クッション本体の形状に対応した袋状に縫製することにより、前記通気性シート材の裏面に接着剤層を有する表皮材を形成し、前記表皮材を接着剤層が内側となるようにしてクッション本体の表面に重ね、熱プレスにより前記接着剤層のホットメルト接着剤を活性化させ、前記表皮材とクッション本体間に非接着部を残して前記表皮材をクッション本体の表面に接着することを特徴とする表皮材付きクッションの製造方法に係る。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。
図1は請求項1の発明に用いられる一実施例に係る表皮材を示す拡大断面図、図2は図1の表皮材裏面の一部を示す図、図3及び図4は接着剤層の他の塗布パターンを示す表皮材裏面の部分図、図5は請求項1の発明に用いられる他の実施例に係る表皮材を示す拡大断面図、図6は接着剤の塗布装置の概略を示す図、図7は請求項1の発明により製造された一実施例に係る表皮材付きクッションの断面図、図8は表皮材とクッション本体を接着する装置の断面図、図9は表皮材の熱プレス時を示す断面図、図10は形状保持冷却時を示す断面図、図11は他の実施例に係る表皮材付きクッションの断面図である。
【0009】
図1の拡大断面図及び図2の裏面図に示す一実施例の表皮材10は、通気性シート材11とその裏面に形成された接着剤層12からなる。通気性シート材11は、通気性を備えるものであればよく、適宜の材質とされ、単層あるいは積層品とされるが、特には伸び易い材質がより好ましい。この通気性シート材11の例として、天然繊維又は化学繊維を素材とした(毛足の短い)ニット等の編物、(毛足の長い)モケット等の毛織物、平織等に織成した織布、及び不織布、フェルト等からなる繊維体、あるいは天然皮など、またはそれらに通気性の良好な連続気泡構造の軟質ウレタンフォームを積層したシート材などが挙げられる。図5には、通気性シート材11が前記編物や毛織物等からなる通気性を有する外層111と通気性の良好な軟質ウレタンフォーム層112との2層構造からなる場合の例を示す。
【0010】
接着剤層12は、ホットメルト接着剤13を溶融させて前記通気性シート材11の裏面にこの例のような散点状に塗布して硬化させたもの、あるいは図3及び図4に示す表皮材10A,10B裏面の接着剤層12A,12Bのように、散点状の非塗布空間14A,14Bを残してホットメルト接着剤13A、13Bを塗布し硬化させたものからなる。符号11A,11Bは通気性シート材を示す。
【0011】
前記接着剤層12は、通気性シート材11の裏面全体に対する非塗布面積の割合を30〜90%となるようにするのが、この表皮材10と後記するクッション本体との確実な接着性、良好な通気性及びクッション性確保の点で好ましい。この割合が90%を超えると、表皮材が位置ズレを起こし易くなり、また、表皮材の剥がれやメクレが生じたりして、クッション本体との確実な接着性が損なわれ易くなる。表皮材が繊維体の場合には、繊維のホツレも生じ易くなる。逆に前記割合が30%を下回ると、表皮材とクッション材との接着時の位置決めの際に表皮がズレにくくなり、しかも通気性が損なわれて、着座者はクッションとの接する部分が蒸れて不快感を感じ易くなる。さらに接着剤の塗布量は10〜40g/m2の範囲にするとより好ましい。また、図2のように、ホットメルト接着剤13を散点状に設ける場合には、ドット(点)は、直径1mm〜5mm程度の略円形のものや一辺が1mm〜5mm程度の四角形のものとし、間隔を0.5〜4mm程度とするのが好ましい。さらに、図4のように、ホットメルト接着剤が連続層となる散点状の非塗布空間を残して塗布する場合には、散点状の非塗布空間の大きさは、直径約1mm〜5mm程度の略円形ないし四角形のものとし、間隔を0.5〜4mm程度とするのが好ましい。
【0012】
また、通気性シート材11が、図5のように、編物等からなる外層111と軟質ウレタンフォーム層112の2層からなる場合、軟質ウレタンフォーム層112の裏面に、従来の裏基布に代え、このような接着剤層12,12A,12Bを設けることにより、表皮材10の伸びが従来に比べて良好になる。そのため、表皮材10をクッション本体に被せる際、あるいはクッション本体との一体化用プレス型にセットする際、表皮材の曲面部で折れ皺を生じにくくなり、表皮材付きクッションの外観が良好になる。
【0013】
ホットメルト接着剤13としては、常温で固形状態にあり、高温に加熱することにより溶融し、その溶融状態で被着体に塗布し、冷却固化するまでの間にすみやかに相手物体に圧着することによって接着する接着剤である。これらは大別して、常温で固形状態となる熱可塑性樹脂よりなる一般的なホットメルト接着剤や、一旦冷却硬化させた後の再加熱によって再び活性化(熱解離等により反応基が活性化される等により、接着性を発揮)する熱再活性タイプ(反応型ホットメルト接着剤)のものからなり、適宜のものが使用される。例えば、合成ゴム系のものとして、商品名:HR−9608(日立化成ポリマー社製)、ポリアミド系のものとして、商品名:HR−9380(日立化成ポリマー社製)、EVA系のものとして、商品名:HR−9880L(日立化成ポリマー社製)を示すことができる。さらに接着剤13をクッション本体と同質のものとすれば、表皮材付きクッションのリサイクルが容易になる。例えば、クッション本体がウレタンフォームの場合には、ホットメルト接着剤13をウレタン系(熱可塑系、湿気硬化型)にすることがより好ましい。
【0014】
前記ホットメルト接着剤13の硬化したものは粘着性がないため、この表皮材10をクッション本体に被せて表皮材の位置決め調整を行う際には、表皮材10をクッション本体表面で移動させることができ、正確な位置合わせができる。また、その他の場合においても、例えば表皮材10の保管や運搬等の際にも表皮材10裏面が他のもの等にくっつかないため、取り扱いが容易である。さらに、通気性シート材11が不織布等の繊維体の場合、繊維のほつれ防止になり、しかも、その表皮材の通気性、伸び、伸縮性を損ねない。なお、従来における繊維のほつれ防止方法として、アクリル等のエマルジョンを繊維体の裏面に塗布する方法がある。しかし、そのほつれ防止方法では繊維体の通気性及び伸縮性が損なわれ、しかもその繊維体からなる表皮材をクッション本体の表面に被せて一体にする際には、表皮材裏面あるいはクッション本体表面に、再度接着剤を塗布して表皮材を接着する必要があり、接着剤の塗布作業を合計2回も行わねばならない煩わしさがある。
【0015】
前記接着剤層12の形成方法は、図6に示すような、スライドコータ方式によるのが簡単である。すなわち、ホットメルト接着剤13をメルター33で溶融させてポンプPによってTダイ34に送り、他方、回転ロール31によって通気性シート材11を所要速度で連続的に一方向へ送り、その通気性シート材11の裏面に、該裏面に対しギャップを設けて(離して)位置させた前記Tダイ34の先端から溶融したホットメルト接着剤を塗布し、その塗布後の通気性シート材11をさらに前方へ送って通気性シート材11裏面のホットメルト接着剤を冷却し硬化させることにより前記接着剤層12を形成する。このスライドコータ方式によれば、前記通気性シート材11の移動速度、Tダイ34からの吐出量、Tダイ34先端と通気性シート材11裏面間の距離(ギャップ)を変化させることによって、ホットメルト接着剤13の塗布パターンを所望のものにすることができる。例えば、回転ロール31の速度が速く、ホットメルト接着剤13の塗布量が少なく、前記ギャップが大であればホットメルト接着剤13のドット(点)間隔が大になって、非塗布空間の多いまばらな散点状の塗布状態となるのに対し、逆に回転ロール31の速度が遅く、塗布量が多く、ギャップが小であれば、ホットメルト接着剤13のドット間隔が小さくなって、図3及び図4のように非塗布空間14A,14Bが少なくなる。
【0016】
なお、前記表皮材10は、クッション本体の形状に応じて、適宜縫製等によって袋状とされる。その際にも、裏面の接着剤層12のホットメルト接着剤13が硬化していて粘着性を有しないため、縫製時のミシン送り作業を困難にしたり、クッション本体への被着・取り付け作業等が妨げられる恐れがなく、シワも発生しにくい。
【0017】
図7に示す表皮付材きクッション20は、前記表皮材10をクッション本体15の表面に被せ、表皮材10裏面の接着剤層12のホットメルト接着剤13を加熱して再活性させることによりクッション本体15の表面に接着したものである。クッション本体15は、ウレタン発泡体等から成っており、図示しない発泡成形型内に発泡原料を充填して発泡させる公知のモールド成形により所定形状に発泡成形されたものである。
【0018】
この表皮材付きクッション20によれば、前記接着剤層12を構成するホットメルト接着剤13が表皮材10の通気性シート材11とクッション本体15間に散点状に介在し、あるいは散点状の空間を残して介在するため、そのホットメルト接着剤13の存在しない部分を介してクッション本体15と表皮材10外面が連通し、表皮材付きクッション20の表面で通気性が確保され、蒸れが防止される。しかもクッション本体15は、通常、クッション性を良好とするために連通気泡構造の軟質発泡体で構成され、クッション本体15表面で気孔が開口しているが、この発明では、クッション本体15表面の気孔がホットメルト接着剤13で完全に塞がれないため、クッション本体15の弾性変形が阻害されず、本来のクッション性を発揮することができる。さらに、表皮材10の通気性シート材11が、前記のように外層111と軟質ウレタンフォーム層112との2層からなる場合には、表皮材10が曲面部で折れ皺を生じにくく、外観が良好となる。
【0019】
次に、表皮材付きクッションの製造方法の発明について、前記表皮材付きクッション20を製造する場合を例にして説明する。この表皮材付きクッションの製造方法は、前記通気性シート材11の裏面に接着剤層12を設けた表皮材10を形成する(表皮材形成)工程と、前記表皮材10をクッション本体15の表面に接着する(表皮材接着)工程からなる。
【0020】
表皮材形成工程では、前記表皮材10の発明の実施例で説明したような、ニットやモケット等からなる、あるいはそれらに連通気孔構造の軟質ウレタンフォームが貼り付けられたものからなる、通気性及びさらに好ましくは伸び易い性質を有する材質からなる通気性シート材11の裏面に、図6で説明したスライドコータ方式によって、熱再活性可能なホットメルト接着剤(EVA系、合成ゴム系、ポリアミド系、ウレタン系など)13を溶融させて散点状に塗布し、あるいは散点状の非塗布空間を残して塗布し、硬化させることによって前記接着剤層12を形成する。また、前記通気性シート材11の裏面に接着剤層12を形成した後、縫製によって所要の袋状にする。なお、この表皮材形成工程と後記する表皮材接着工程とは、必ずしも連続して行う必要はない。すなわち、あらかじめこの表皮材形成工程にしたがって表皮材を形成しておき、適宜の時点で後記の表皮材接着工程を行ってもよい。
【0021】
表皮材接着工程では、図8に示すように、まず、あらかじめモールド成形によって座席形状等の所要形状に成形したポリウレタン発泡体等からなるクッション本体15を用意する。そのクッション本体15を、下受け型21上にクッション本体15の表皮材被着予定面15a(この例では着座面と側面)が上側となるように載置し、該クッション本体15の表皮材被着予定面15aに前記表皮材10を接着剤層12が内側を向いてクッション本体15側となるようにして被せる。その際、適宜表皮材10をクッション本体15の表面でずらして正確な位置合わせを行うが、前記表皮材10裏面に設けた接着剤層12のホットメルト接着剤13が硬化していて粘着性を有しないため、表皮材10の滑りが妨げられず、作業性が損なわれることがない。符号22は上面プレス型、23,24は側面プレス型を示す。
【0022】
次いで、図9に示すように、クッション本体15の表面形状に沿う内面を有する上面プレス型22と側面プレス型23,24とにより、表皮材10の表面を熱プレスしてクッション本体15の表面に表皮材10裏面の接着剤層12を圧着する。その際、上面プレス型22及び側面プレス型23,24は、内部に埋設されたヒータ等(図示せず)によって所要温度に加熱され、それによって表皮材10裏面の接着剤層12のホットメルト接着剤13が加熱されて再活性化し、接着性を発揮するようになる。上面プレス型22及び側面プレス型23,24の加熱温度は、ホットメルト接着剤13が再活性化する温度とされ、ホットメルト接着剤13の種類によって異なる。なお、前記熱プレス時の圧力は適宜とされるが、その一例を示せば、0.1kg/cm2である。
【0023】
前記上面プレス型22及び側面プレス型23,24によって表皮材10を加熱しクッション本体15の表面に所要時間圧着した後、前記上面プレス型22及び側面プレス型23,24を表皮材10から離して前記クッション本体15及びその表面に被着した表皮材10からなる成形品を取り出す。そして、その成形品を、図10に示すように、木製等からなる形状保持型25に移し、表皮材10をクッション本体15の表面に密着させた状態で冷却し、前記接着剤層12のホットメルト接着剤13を硬化させる。その後、形状保持型25を開いて成形品を取り出せば、図7に示した通気性及びクッション性に優れる表皮材付きクッション20が得られる。形状保持型による冷却は適宜の時間とされるが、一例として50秒を挙げる。
【0024】
なお、図11に示す表皮材付きクッション20Aのように、クッション本体15Aの表面に溝等の深絞り部16Aが存在する場合には、前記表皮材接着工程における熱プレス作業に先立ち、前記表皮材10を深絞り部16Aに沿わせておき、その後熱プレス作業を行えばよい。
【0025】
表1にこの発明の実施例に係る表皮材について、前記通気性シート材11が1層の場合における表皮材の構成及び製造条件、並びに表皮材の通気性及び引裂き強度の値を示す。通気性はJIS―L―1096、引裂強度はJIS―L―1041にそれぞれ従って測定した。また、参考のために比較例についても表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
実施例1〜5は、ホットメルト接着剤を溶融させて散点状に塗布、あるいは散点状の非塗布空間を残して塗布できるように、スライドコータ方式で通気性表皮材の裏面にホットメルト接着剤を塗布した。これらの接着剤の塗布量は10〜40g/m2であり、また、通気性シート材の裏面全体に対する非塗布面積の割合はおよそ30〜90%の範囲内である。これらは、いずれも表皮材そのものの通気性を損なわない程度の良好な通気性を備え、表皮材の引裂き強度を向上させているのがわかる。
【0028】
実施例2と実施例3は、ホットメルト接着剤の種類、塗布量は同じ条件であるが、Tダイ34先端と通気性シート材11裏面間の距離(ギャップ)のみを変更して実施した。その結果、塗布量は同じでも塗布パターンが異なり、表皮材の通気性に若干の差を生じたが、いずれもクッション材の表皮材としては適度な通気性を示していた。
【0029】
比較例1はホットメルトフィルムを通気性シートの裏面に貼り合わせ、比較例2及び比較例3は接着剤を通気性シートの裏面に塗布した。また、比較例4及び比較例5は、実施例と同じスライドコータ方式でホットメルト接着剤を塗布した。しかし、比較例4においては塗布量が多すぎるので通気性の低下を生じ、また比較例5においては塗布量が少なすぎるので、引裂き強度が低下してホツレや接着不良を生じやすく、座席シートとして耐久性に劣り、好ましくない。
【0030】
また、前記通気性シート材11が図5のように外層111と軟質ウレタンフォーム層112との2層構造からなる表皮材の実施例6〜9について、表皮材裏面の滑り易さ、通気性、曲面部での折れ皺の発生について調べ、その結果を表2に示す。使用したホットメルト接着剤は、表1のものと同一である。滑り易さについてはJIS−K−7125にしたがう静摩擦力の値により、通気性についてはJIS―L―1096にしたがう測定値により、折れ皺については表皮材を曲率半径の異なる曲面部に被せた際に折れ皺が発生する曲率半径で判断した。さらに、比較例6として前記実施例の接着剤層に代えて裏基布を貼り付けた表皮材についても同様に測定した。なお、通気性シート材における外層111はニット、軟質ウレタンフォーム層112は厚み8mm、密度20kg/m3のポリエーテル系ウレタンフォームからなり、フレームラミネートによって外層111と軟質ウレタンフォーム層112の接着が行われている。また、実施例6〜9における接着剤層に関し、通気性シート材の裏面全体に対する非塗布面積の割合はおよそ30〜90%の範囲内である。
【0031】
【表2】
【0032】
表2の測定結果から、実施例6〜9では比較例5と比べて静摩擦力の値が小さく、表皮材裏面の滑りが良好であり、また、通気性が高く、さらに折れ皺を生じる曲率半径が小さく、曲面部で折れ皺の発生しにくいのがわかる。
【0033】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、この発明の表皮材付きクッションの製造方法によれば、表皮材とクッション本体とを接着するホットメルト接着剤が、表皮材を構成する通気性シート材とクッション本体間に散点状に介在し、あるいは散点状の空間を残して介在しているため、ホットメルト接着剤の存在しない部分を通って空気が表皮材及びクッション本体の内外を流通でき、蒸れの無い優れた通気性と、伸縮性を損なわない良好なクッション性を得ることができ、しかも表皮材の接着不良やホツレも防止できたのである。
【0034】
さらに、請求項1に係る表皮材付きクッションの製造方法の発明によれば、前記効果に加え、表皮材をクッション本体表面に接着する際の表皮材位置決め等の際に、表皮材裏面がクッション本体の表面に粘着せず、クッション本体表面で表皮材をずらして表皮材の位置合わせを行えるので、表皮材の位置の狂い等による接着不良あるいは製品不良を生じることがない。しかも、表皮材の接着時に溶剤の飛散が無く、作業環境の悪化を生じることもない。また、曲面部での折れ皺も発生しにくく、表皮材クッションの外観が良好なものとなる。
【0035】
このように、本発明では、ホットメルト接着剤の散点状塗布または散点状の非塗布空間を残しての塗布及びそれによる塗布量によって、繊維体の通気性や接着不良、ホツレなどの特性を変動させることができ、しかも曲面部での折れ皺の発生を防ぐことができ、優れた特性を有する表皮材及び表皮材付きクッション、さらにその製造方法を提供できたのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1の発明に用いられる一実施例に係る表皮材を示す拡大断面図である。
【図2】 図1の表皮材裏面の一部を示す図である。
【図3】 接着剤層の他の塗布パターンを示す表皮材裏面の部分図である。
【図4】 接着剤層の更に他の塗布パターンを示す表皮材裏面の部分図である。
【図5】 請求項1の発明に用いられる他実施例に係る表皮材を示す拡大断面図である。
【図6】 接着剤の塗布装置の概略を示す図である。
【図7】 請求項1の発明により製造された一実施例に係る表皮材付きクッションの断面図である。
【図8】 表皮材とクッション本体を接着する装置の断面図である。
【図9】 表皮材の熱プレス時を示す断面図である。
【図10】 形状保持冷却時を示す断面図である。
【図11】 他の実施例に係る表皮材付きクッションの断面図である。
【図12】 従来の表皮付きクッションの断面図である。
【符号の説明】
10,10A,10B 表皮材
11,11A,11B 通気性シート材
111 外層
112 軟質ウレタンフォーム層
12,12A,12B 接着剤層
13,13A,13B ホットメルト接着剤
14A,14B 非塗布空間
15 クッション本体
Claims (1)
- 表皮材をクッション本体の表面に接着した表皮材付きクッションの製造に際し、
通気性シート材の裏面にホットメルト接着剤を溶融させて散点状に塗布し、あるいは散点状の非塗布空間を残して塗布し硬化させ、その後前記クッション本体の形状に対応した袋状に縫製することにより、前記通気性シート材の裏面に接着剤層を有する表皮材を形成し、
前記表皮材を接着剤層が内側となるようにしてクッション本体の表面に重ね、熱プレスにより前記接着剤層のホットメルト接着剤を活性化させ、前記表皮材とクッション本体間に非接着部を残して前記表皮材をクッション本体の表面に接着することを特徴とする表皮材付きクッションの製造方法。
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