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JP4438132B2 - 車両用操舵制御装置 - Google Patents

車両用操舵制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置が知られている。例えば、特開平5−139332号には、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との関係を、車速に応じて変更する伝達比可変機構が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような伝達比可変機構では、車速の低下などの車両の走行状態の変化に応じて伝達比がクイック側に変更されると、操舵角が一定の場合には、伝達比可変機構の駆動力によって、転舵角が増加する方向に転舵輪が転舵される。しかし、転舵輪の転舵角が最大転舵角まで操舵されている場合には、図7に示すように、伝達比がG1、G2、G3と次第にクイック側に変更されても、転舵輪はそれ以上に転舵することができないため、その反動で、伝達比可変機構の駆動力が操舵ハンドル側に作用して、操舵ハンドルが中立側へ戻されるという現象が発生する。車両の走行状態が変化することに起因して、このように操舵ハンドルを戻す方向に力が作用してしまうと、運転者に操舵違和感を与えることとなる。
【0004】
本発明はこのような課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、最大転舵角付近で車両の走行状態が変化した場合にも、伝達比可変機構の駆動力が操舵ハンドルを戻す方向に作用することを防止し得る車両用操舵制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1にかかる車両用操舵制御装置は、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置であって、操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、伝達比可変機構を回転駆動する駆動手段と、走行状態に応じて設定する伝達比をもとに、検出された操舵角に応じて、駆動手段の駆動制御を行う制御手段とを備えており、制御手段は、転舵輪の転舵角が所定の舵角を超えた場合に、前記伝達比のクイック側への変更又は前記伝達比のスロー側への変更のうち、前記伝達比のクイック側への変更のみを制限する制限手段を備えて構成する。
【0006】
車両の走行状態の変化に伴って伝達比がクイック側へ変更される状況下において、転舵輪の転舵角が所定の舵角を超えた場合には、制限手段によって、伝達比のクイック側への変更のみを制限して、伝達比可変機構の駆動力が操舵ハンドルを戻す方向に作用することを防止する。
【0007】
請求項2にかかる車両用操舵制御装置は、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置であって、操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、伝達比可変機構を回転駆動する駆動手段と、走行状態に応じて設定する伝達比をもとに、検出された操舵角に応じて、駆動手段に対する制御目標値を設定する制御手段とを備えており、制御手段は、転舵輪の転舵角が所定の舵角を超えた場合に、前記所定の舵角を超える前記制御目標値の変更又は前記所定の舵角を超えない前記制御目標値の変更のうち、前記所定の舵角を超える前記制御目標値の変更のみを制限する制限手段を備えて構成する。
【0008】
車両の走行状態の変化に伴って伝達比がクイック側へ変更されると、この伝達比に応じた制御目標値が設定され、制御目標値に応じて伝達比可変機構の駆動手段が駆動される。そこで、転舵輪の転舵角が所定の舵角を超えた場合には、車両の走行状態に応じて通常時と同様に伝達比を設定するが、制限手段によって所定の舵角を超える前記制御目標値の変更のみを制限することで、伝達比可変機構の駆動力が操舵ハンドルを戻す方向に作用することを防止する。
【0009】
請求項3にかかる車両用操舵制御装置は、請求項1又は2に記載の車両用操舵制御装置において、制限手段は、転舵輪の転舵角が最大転舵角となった場合に、制限処理を実施する。
【0010】
転舵輪の転舵角が最大転舵角まで操舵されている場合には、伝達比がクイック側に変更されて制御目標値が増加した場合にも、転舵輪はそれ以上に転舵することができないため、伝達比可変機構の駆動力が操舵ハンドルを戻す方向に作用することになる。したがって制限手段では、転舵角が最大転舵角の状況下で、前述した制限処理を実施する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき、添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1に第1の実施形態にかかる操舵装置の構成を示す。
【0013】
入力軸20と出力軸40とは伝達比可変機構30を介して連結されており、入力軸20には操舵ハンドル10が連結されている。出力軸40は、ラックアンドピニオン式のギヤ装置50を介してラック軸51に連結されており、ラック軸51の両側には転舵輪FWが連結されている。
【0014】
また、操舵ハンドル10の操舵角が入力軸20の回転角に対応するため、入力軸20には、入力軸20の回転角としての操舵角θhを検出する操舵角センサ21を設けている。
【0015】
伝達比可変機構30は、入力軸20と出力軸40とを連結する所定のギヤ機構を介して連結し、このギヤ機構を、例えばサーボモータで構成するアクチュエータ31で駆動することで、入力軸20−出力軸40間の伝達比を変化させる機構となっている。このアクチュエータ31には、アクチュエータ31の作動角を検出する作動角センサ32を備えており、検出された作動角θmは操舵制御装置70に与えられる。なお、このアクチュエータ31は、イグニションスイッチのオフ操作によって制御が終了した後はロックされる機構となっており、イグニションスイッチがオン操作されるまでの間に、アクチュエータ31の作動角θmが変化することはない。
【0016】
この出力軸40の回転角を出力角θpとすると、アクチュエータ31が作動角θmだけ回転することで、操舵角θhが増速されて出力角θpとなるため、操舵角θh、作動角θm、出力角θpは下記(1)式の関係となる。従って、操舵角θhと作動角θmとをもとに、出力角θpを把握することができる。
【0017】
θp=θh+θm …(1)
そして出力角θpはラック軸51のストローク位置に対応し、さらにラック軸51のストローク位置は車輪FWの転舵角に対応するため、操舵角θhと作動角θmとをもとに車輪FWの転舵角を検知している。
【0018】
伝達比可変機構30の駆動制御は操舵制御装置70によって実施される。操舵制御装置70には、操舵角センサ21、作動角センサ32の他、車両の速度を検出する車速センサ60の各検出信号が与えられ、操舵制御装置70はこれらの信号をもとに伝達比Gを設定すると共に、伝達比G及び操舵角θhに応じて設定される制御信号Isをアクチュエータ31に対して出力する処理を繰り返し、伝達比可変機構30の駆動制御を実施している。
【0019】
ここで、操舵制御装置70で実施される制御処理について、図2のフローチャートに沿って説明する。
【0020】
このフローチャートはイグニションスイッチのオン操作によって起動する。まず、ステップ(以下、ステップを「S」と記す。)100に進み、操舵角センサ21で検出された操舵角θh、作動角センサ32で検出された作動角θm、車速センサ60で検出された車速Vがそれぞれ読み込まれる。
【0021】
続くS200では伝達比Gの設定処理が実施されるが、具体的な設定処理については、後に詳述する。
【0022】
続くS300では、制御目標となるアクチュエータ31の目標作動角θmmを設定する。操舵角θh、伝達比G及び出力角θpは下記(2)式の関係となるため、(1)式、(2)式より目標作動角θmmは(3)式で規定される。
【0023】
θp=G・θh …(2)
θmm=(G−1)・θh …(3)
続くS400では、S100で読み込まれたアクチュエータ31の作動角θmと、S300で設定された目標作動角θmmとの偏差eを、e=θmm−θmとして演算し、続くS500では、オーバーシュートすることなく偏差eを0にするように、アクチュエータ31を制御する制御信号Isを決定する。この処理の一例としては、Is=C(s)・eの演算式に基づいて、PID制御のパラメータを適切に設定することにより制御信号Isを決定することができる。なお、式中の「(s)」はラプラス演算子である。
【0024】
続くS600では、S500で決定された制御信号Isをアクチュエータ31に出力し、制御信号Isに基づいてアクチュエータ31を駆動する。
【0025】
この後、S700に進み、イグニションスイッチ(IG)がオフ操作されたかを判断し、「No」の場合にはS100に戻り、S700で「Yes」と判断されるまで、前述したS100以降の処理が繰り返し実行される。
【0026】
ここで、先のS200で実施される伝達比Gの設定処理を図3のフローチャートに沿って説明する。
【0027】
S202では、操舵角θhと作動角θmとの和が出力角θpであるため((1)式参照)、操舵角θhと作動角θmとの和として得られる出力角θpの推定値が最大出力角θpmaxより大であるかを判断する。一例として、最大出力角θpmaxは、転舵輪FWが転舵可能な最大転舵角に対応する出力角θpを設定している。
【0028】
操舵角θhと作動角θmとの和が最大出力角θpmax以下の範囲では、S202で「No」と判断されてS204に進み、図4に示すマップをもとに、S100で読み込んだ車速Vに応じた伝達比Gを設定する。なお、伝達比Gは、車速Vに応じて設定する以外にも、車速V、操舵角θhなどに応じて設定しても良い。
【0029】
続くS206では、補正フラグが1にセットされているかを判断し、初期状態では補正フラグF=0であるため「No」と判断されてS208に進み、今回のルーチンで設定された伝達比Gの値をGoldとして記憶し、このルーチンを終了する。
【0030】
一方、操舵角θhと作動角θmとの和が最大出力角θpmaxより大である場合には、S202で「Yes」と判断されてS210に進み、S204と同様に車速Vに応じた伝達比Gを設定し、続くS212では、G>Goldであるか、すなわち前回のルーチンで設定した伝達比Goldに比べ、伝達比Gがクイック側へ変更されるかを判断する。
【0031】
S212の判断で「No」の場合には、伝達比Gが一定かスロー側に変更される場合であり、特にスロー側に変更される場合には、図7に一点鎖線で示すように、伝達比がG1からG4へとスロー側に変更になった場合、操舵角θhが転舵輪FWの最大転舵角まで操作されていても、操舵ハンドル10をさらに切り込むことができる状態となる。従って、S202で「Yes」と判断される状況であっても、S212の判断で「No」の場合には、設定された伝達比に何ら制限を加える必要がないため、そのままS208に進み、S210で設定された伝達比Gを今回のルーチンで設定した伝達比Goldとして記憶する。
【0032】
これに対し、S212の判断で「Yes」の場合には、伝達比Gがクイック側に変更される場合であり、S202で「Yes」と判断される状況下では、操舵角θhはすでに転舵輪FWの最大転舵角(エンド当たり)まで操舵されているため、このまま伝達比Gがクイック側に変更されると、転舵輪FWをそれ以上に転舵させることができないため、その反動で、伝達比可変機構30におけるアクチュエータ31の駆動力が操舵ハンドル10側に作用して、操舵ハンドル10が中立側へ戻されるという現象が発生する。そこで、S212で「Yes」と判断される場合には、S214に進み、前回のルーチンで設定された伝達比Goldを再び伝達比Gとして設定して伝達比Gの変更を禁止し、続くS216で、補正フラグFを1にセットして前出のS208に進む。
【0033】
操舵角θhと作動角θmとの和が最大出力角θpmaxより大である場合には、S210〜S216の処理が繰り返されるが、その後、S202で「No」と判断されると再びS204の処理に復帰するが、復帰前の処理で伝達比Gの変更が禁止されていたため、S204で設定される伝達比Gをそのまま設定すると、復帰前後の伝達比Gに大きな偏差が生じる場合も起こり得る。
【0034】
そこで、S204において、車速Vに応じた伝達比Gを設定した後、S206に進み、S216で補正フラグFが1に設定されているため、S206で「Yes」と判断されてS218に進む。
【0035】
S218では、S204で設定された伝達比Gと、復帰直後の時点ではS214で設定されかつS208で記憶された伝達比Goldとの偏差を伝達比偏差Ge=G−Goldとして設定する。
【0036】
続くS220では、S218で設定した伝達比偏差Geがしきい値β(β>0)以上であるかを判断し、「Yes」の場合にはS222に進み、この伝達比偏差Geを減少させるべく、αを所定の定数(α>0)として、Goldに定数αを加えた値を今回のルーチンで設定する伝達比Gとして更新し、前出のS208に進む。従ってS220で「Yes」と判断される間は、前回のルーチンで設定された伝達比Goldがルーチン毎に定数α分だけ増加されることになる。
【0037】
これに対し、S220の判断で「No」の場合にはS224に進み、伝達比偏差Geがしきい値−β以下であるかを判断し、「Yes」の場合にはS226に進み、この伝達比偏差Geを減少させるべく、Goldから定数αを減じた値を今回のルーチンで設定する伝達比Gとして更新し、前出のS208に進む。従ってS224で「Yes」と判断される間は、前回のルーチンで設定された伝達比Goldがルーチン毎に定数α分だけ減少されることになる。
【0038】
そして、β>Ge>−βとなると伝達比偏差Geが解消されたものとして処理することとし、S228に進んで補正フラグFを0にリセットし、前出のS208に進む。これにより、S204で設定された伝達比Gの値が、今回のルーチンで設定された伝達比Goldとしてそのまま記憶される。
【0039】
S200では、以上のようにして伝達比Gの変更禁止処理が実施されることで、伝達比可変機構30の駆動力が操舵ハンドル10を戻す方向に作用することを防止することができる。また、伝達比Gの値を、制限を加えた値から通常の設定値に復帰させる際にも、経時的に徐々に復帰させる処理を採用したので、制限解除直後における設定伝達比の急変を防止することができる。
【0040】
以上説明した第1の実施形態では、最大出力角θpmaxを、転舵輪FWが転舵可能な最大転舵角に対応する出力角θpとして設定する場合を例示したが、この最大出力角θpmaxは適宜設定することが可能であり、最大転舵角近傍の転舵角に対応する出力角θpとして設定することも可能である。また、操舵角θhと作動角θmとの和が最大出力角θpmaxより大である間は、伝達比Gのクイック側への変更を禁止する処理を例示したが、この例に限定するものではなく、例えば操舵角θhと作動角θmとの和が最大出力角θpmaxより大である間は、スロー側及びクイック側を含む、伝達比Gの変更自体を禁止してもよく、少なくとも伝達比Gのクイック側への変更を禁止できればよい。
【0041】
次に第2の実施形態について説明する。
【0042】
前述した第1の実施形態では、推定される出力角θpが最大出力角θpmaxより大の場合に、伝達比Gの設定に制限を加える場合について例示したが、出力角θpが最大出力角θpmaxより大の場合にも伝達比Gを通常通り設定し、アクチュエータ31の目標作動角θmmに制限を加えることでも、同様の効果を発揮させることができる。
【0043】
そこで図2のS300で実施する目標作動角θmmの設定処理例につき、図5のフローチャートに沿って説明する。なお、この場合、S200では、図4に示すマップをもとに、車速Vに応じた伝達比Gを設定する。
【0044】
まずS302では、操舵角θhと作動角θmとの和として得られる出力角θpの推定値が最大出力角θpmaxより大であるかを判断する。
【0045】
ここで転舵輪FWの最大転舵角まで操舵されている場合を想定すると、操舵角θhが一定の場合に伝達比Gが変更されると、(3)式より設定される目標作動角θmmも変化することになる。そこで操舵角θhの値を補正することで、目標作動角θmmを一定とする処理を実施する。これは、実質的に操舵角θhの中立位置(N点)を変化させる処理であり、S302で「Yes」の場合にS304に進み、操舵角θhの中立位置を補正するN点補正値θNeを、下記(4)式をもとに設定する。
【0046】
θNe=θh−(θpmax/G) …(4)
なお、図6に、θNe、θh、(θpmax/G)を示しておく。伝達比G5において転舵輪FWの最大転舵角まで操舵されている状況で、クイック側となる伝達比G6に変更された場合に、N点補正値θNeを設定することで、操舵角と転舵角との関係はG6’として点線で示す関係となる。
【0047】
続くS306では下記(5)式をもとに目標作動角θmmを設定する。
【0048】
θmm=(θh−θNe)・(G−1) …(5)
このようにして、S302において推定される出力角θpが最大出力角θpmaxより大である間は、S302及びS304により、伝達比Gが変化した場合にも目標作動角θmmは一定値となるように制限されるため、伝達比可変機構30の駆動力が操舵ハンドル10を戻す方向に作用することを防止することができる。
【0049】
また、S302で「No」と判断されると、このような制限処理から復帰するが、この場合も、操舵角θhの中立位置を直ちに基の位置に復帰させると、設定される目標作動角θmmが急変する場合も起こり得るため、N点補正値|θNe|を徐々に減少させる処理を実施する。
【0050】
そこでS302で「No」の場合、S308に進み、前回のルーチンで設定されたN点補正値θNeの値を読み込み、続くS310では、S308で読み込んだN点補正値θNeの値が所定のしきい値γ(γ>0)以上であるかを判断する。この判断で「Yes」の場合にはS312に進み、δを所定の定数(δ>0)として、N点補正値θNeから定数δを減じた値をN点補正値θNeとして更新し、前出のS306に進む。
【0051】
また、S310の判断で「No」の場合には、S314に進み、S308で読み込んだN点補正値θNeの値が所定のしきい値−γ(−γ<0)以下であるかを判断する。この判断で「Yes」の場合にはS316に進み、N点補正値θNeに定数δを加えた値をN点補正値θNeとして更新し、前出のS306に進む。
【0052】
また、S314の判断で「No」の場合にはγ>θNe>−γであり、この場合にはS318に進んでN点補正値θNeの値を0に設定し、操舵角θhのN点ずれが解消されたものとして処理し、前出のS306に進む。したがってこの場合S306では、前出の(3)式において目標作動角θmmが設定されることになり、以降、S302で「Yes」と判断されるまで、N点補正値θNe=0として処理される。
【0053】
以上説明した第2の実施形態では、推定される出力角θpが最大出力角θpmaxより大の場合に、操舵角θhの中立位置を補正する場合について説明したが、推定される出力角θpが最大出力角θpmaxより大の状況下でも、伝達比Gがスロー側に変更された場合には通常通り目標作動角θmmを設定し、クイック側に変更された場合にのみS304の処理を実施しても良い。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1にかかる車両用操舵制御装置によれば、転舵輪の転舵角が所定の範囲を超えた場合に、伝達比のクイック側への変更を制限する制限手段を備える構成を採用したので、操舵ハンドルが転舵輪の最大転舵角まで操舵されている際に設定伝達比が変化した場合にも、伝達比可変機構の駆動力が操舵ハンドルを戻す方向に作用することを防止することができる。
【0055】
請求項2にかかる車両用操舵制御装置によれば、転舵輪の転舵角が所定の範囲を超えた場合に、制御目標値の変更を制限する制限手段を備える構成を採用したので、操舵ハンドルが転舵輪の最大転舵角(エンド当たり)まで操舵されている際に設定伝達比の変化に伴って制御目標値が変化した場合にも、伝達比可変機構の駆動力が操舵ハンドルを戻す方向に作用することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】操舵装置の全体的な構成を示すブロック図である。
【図2】操舵制御装置で実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図3】伝達比の設定処理を示すフローチャートである。
【図4】車速Vと伝達比Gとの関係を規定したマップである。
【図5】目標作動角の設定処理を示すフローチャートである。
【図6】N点補正値θNeを設定した場合における操舵角と転舵角との関係を示す説明図である。
【図7】各伝達比における操舵角と転舵角との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
20…入力軸、21…操舵角センサ、30…伝達比可変機構
31…アクチュエータ、32…作動角センサ、40…出力軸
60…車速センサ、70…操舵制御装置

Claims (3)

  1. 操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置であって、
    前記操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記伝達比可変機構を回転駆動する駆動手段と、
    走行状態に応じて設定する前記伝達比をもとに、検出された前記操舵角に応じて、前記駆動手段の駆動制御を行う制御手段とを備えており、
    前記制御手段は、前記転舵輪の転舵角が所定の舵角を超えた場合に、前記伝達比のクイック側への変更又は前記伝達比のスロー側への変更のうち、前記伝達比のクイック側への変更のみを制限する制限手段を備える車両用操舵制御装置。
  2. 操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置であって、
    前記操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記伝達比可変機構を回転駆動する駆動手段と、
    走行状態に応じて設定する前記伝達比をもとに、検出された前記操舵角に応じて、前記駆動手段に対する制御目標値を設定する制御手段とを備えており、
    前記制御手段は、前記転舵輪の転舵角が所定の舵角を超えた場合に、前記所定の舵角を超える前記制御目標値の変更又は前記所定の舵角を超えない前記制御目標値の変更のうち、前記所定の舵角を超える前記制御目標値の変更のみを制限する制限手段を備える車両用操舵制御装置。
  3. 前記制限手段は、前記転舵輪の転舵角が最大転舵角となった場合に、制限処理を実施する請求項1又は2記載の車両用操舵制御装置。
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