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JP4431798B2 - 尿中のアネキシンvの分析方法及びその利用 - Google Patents

尿中のアネキシンvの分析方法及びその利用 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、ヒトおよび哺乳動物の尿中に存在する蛋白質アネキシンV(以下尿中のアネキシンVという)の定性及び定量分析方法並びに定性分析及び定量分析用試薬並びにその利用に関する。
また、本発明は、ヒトおよび哺乳動物の蛋白質アネキシンVの蛋白質上の抗原決定部位に対し結合特異性を有する抗アネキシンVモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を用いて、尿中のアネキシンVを定量分析し、得られた尿中のアネキシンVの含有量により、例えば、ヒトでは播腫性血管内凝固症候群(DIC)や敗血症に複合した腎臓、心臓、肺などの臓器障害の有無を検出し、特に播腫性血管内凝固症候群について早期に診断をすることができる分析方法及び診断薬に関する。
さらに、本発明は、実験的にラットの尿中のアネキシンV濃度を測定し、例えば血中濃度が上昇した際の尿中でのアネキシンV濃度を測定し、臓器障害の有無を診断することが動物でも可能とする、ヒトおよびラットなどの哺乳動物における尿中アネキシンVの測定と並びにそれによる播腫性血管内凝固症候群の治療及びその有効な治療剤の開発への利用に関する。
さらにまた、本発明は、ヒトおよび哺乳動物の蛋白質アネキシンVの蛋白質上の抗原決定部位に対し結合特異性を有する抗アネキシンVモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を用いて、尿中のアネキシンVを定量分析し、尿中のアネキシンVの含有量により、特に、心筋梗塞及び狭心症の診断をする心筋梗塞及び狭心症の診断を行うことができる分析方法及び診断薬に関する。
背景技術
従来、臓器障害の有無を尿中の物質で測定することは、血液、血漿に比べて少ない。その理由は、尿中の各種物質やpHが測定系に影響を与えるからである。
本発明において、抗原であるアネキシンVは、例えば32〜35Kダルトンの分子量を有する蛋白質であり、ヒトや種々の動物の組織及び細胞に存在するカルシウム結合蛋白質であって、細胞質の可溶成分に存在し、アミノ酸配列によりファミリーを形成しており、現在、アネキシンI〜XIIが知られており、また、リン脂質やアクチンとカルシウム濃度に依存して結合し、抗炎症作用及び抗血液凝固作用があることが知られている。
アネキシンファミリーの1メンバーであるアネキシンVは、肺、心筋、腎臓の順に、その含有量が多く、脳、肝ではその含有量が少ないことが報告されている(文献:Heart Vessels 1994 9:148−154)。本発明者らは、例えば心筋梗塞では、アネキシンVは血中に早期に逸脱することから、アネキシンVの血中濃度の測定は、組織又は細胞が壊死を起こした場合、例えば、心筋梗塞の診断に有効であることを報告し(文献 CCA 1996)、抗アネキシンV抗体を使用する血中のアネキシンVの分析方法を提案した(1996年5月23日国際公開された国際公開第WO96/15152号公報参照)。
しかし、アネキシンVの血中濃度の測定は、採血時に被検者に採血の苦痛を与え、また、採血後、短い時間内に測定しなければならないところ、採血された血液から血漿を分離するのに多くの手間を要して問題とされている。さらに測定段階で、血漿中に含まれる種々の蛋白質とカルシウムイオンの結合を抑制するために、EDTAを加えなければならず、その溶液の調整や添加に多くの手間を要して問題とされている。
発明の開示
従来、尿中含有される各種物質や変動が大きい尿のpHにより、測定系が大きな影響を受けるので、臓器障害の有無を尿中の物質で測定することは、血液、血漿に比べて少ないが、本発明者らは、その後の研究で、尿中のアネキシンVが、尿中において、抗アネキシンVモノクローナル抗体と、抗原抗体反応により抗原抗体複合体を化学量論的に形成することを発見した。
さらに本発明者らは、その後さらに研究を続けて、このヒトおよび哺乳動物の蛋白質アネキシンVは、通常、健康人では尿中に2ng/ml前後しか存在しないが、臓器障害があり、臓器から逸脱するアネキシンV量が多い場合には、血中に出現したアネキシンVは、尿中にも直ちに出現することを発見した。
さらにまた、本発明者らは、尿中に出現するアネキシンVの濃度を定量的に測定できれば、逆に臓器障害の有無を診断することが可能となる点に着目し、尿中のアネキシンV濃度の測定を続けて、例えば、毛細血管の循環不全などによる臓器障害や腎臓の組織の破壊により、血中のアネキシンVの濃度の上昇が起こった場合には、尿中にアネキシンVが増加して来ることになることを発見し、播種性血管内凝固症候群による、例えば、肺、心筋、腎臓などの臓器傷害の程度及びこれらの治療の予後について、尿中のアネキシンV濃度の増減により、早期に診断できることを発見した。さらに本発明者らは、急性腎炎においては、尿中のアネキシンV濃度の上昇がみられるが、血液中のアネキシンV濃度の上昇がみられないことを発見した。
本発明は、測定段階で、検体について、種々の蛋白質とカルシウムイオンの結合の抑制及び検体溶液の調整等のための薬剤の添加等を要することなく、アネキシンVの測定を簡単に行うことができるアネキシンVの分析方法及び該分析方法に基づく臓器障害等の診断方法を提供することを目的としている。
即ち、本発明は、尿を抗アネキシンVモノクローナル抗体と接触させて、尿中のアネキシンVを抗アネキシンVモノクローナル抗体と抗原抗体反応させて、アネキシンV抗原−抗アネキシンVモノクローナル抗体複合体を形成し、この形成されたアネキシンV抗原−抗アネキシンVモノクローナル抗体複合体を定量することを特徴とする尿中のアネキシンVの分析方法にあり、また本発明は、尿を固相に固定されている第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体と接触させて、尿中のアネキシンVを前記第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体と抗原抗体反応させて、アネキシンV抗原−第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体複合体を形成し、この形成された抗体複合体のアネキシンV抗原に、抗イヌアネキシンVポリクローナル標識抗体又は第二の抗アネキシンVモノクローナル標識抗体を結合させて、前記抗体複合体の抗アネキシンVポリクローナル又は第二の抗アネキシンVモノクローナル標識抗体結合体を形成し、この形成された標識抗体結合体を定量することを特徴とする尿中のアネキシンVの分析方法にあり、さらに本発明は、固相に固定されているヒトアネキシンV抗原のタンパク質上の抗原決定部位に対して結合特異性を有する第一の抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体と、ヒトアネキシンV抗原のタンパク質上の抗原決定部位に対して結合特異性を有する第二の抗ヒトアネキシンVモノクローナル標識抗体又は抗イヌアネキシンVポリクローナル標識抗体とを備えることを特徴とする尿中のアネキシンVの分析試薬にある。さらに、本発明は、固相に固定されており、ヒトアネキシンV抗原のタンパク質上の抗原決定部位に対して結合特異性を有する第一の抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体と、ヒトアネキシンV抗原のタンパク質上の抗原決定部位に対して結合特異性を有する第二の抗ヒトアネキシンVモノクローナル標識抗体又は抗イヌアネキシンVポリクローナル標識抗体を備えることを特徴とする尿による臓器障害の診断薬にある。さらにまた、本発明は、尿中のアネキシンVの分析試薬と、血液中のアネキシンVの分析試薬を備えることを特徴とする尿による急性腎炎の診断薬にある。
【図面の簡単な説明】
本発明の実施の態様について、添付の図面を参照して、以下に例を挙げて説明するが、本発明は以下の例示および説明によりなんら限定されるものではない。
図1は、本発明の尿中のヒトアネキシンVの濃度を測定する一実施例において使用された検量線図であり、微生物の寄託の国際寄託当局(日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号所在の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所)の受託番号FERM BP−5286の抗アネキシンVモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞系クローンHDA−907により産生された抗アネキシンVモノクローナル抗体のHRPO標識抗体と、前記微生物の寄託の国際寄託当局の受託番号FERM BP−5284の抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞系クローンHCA−627により産生された抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体の固相との組み合わせによるエライザ法により、尿中のヒトアネキシンVの濃度を測定した際に使用された検量線図である。
本図において、縦軸に主波長492nmの吸光度値から副波長690nmの吸光度値を差し引いた吸光度を示し、横軸にネイテイブヒトアネキシンV濃度を示しており、○印は4回測定における差吸光度の平均値を示し、○印の上下に延びる線の長さは平均値±2SDの値を示す。
図2は、本発明の尿中のヒトアネキシンVの濃度を測定する一実施例において使用された検量線図であり、抗イヌアネキシンVポリクローナルのHRPO標識抗体と、前記微生物の寄託の国際寄託当局の受託番号FERM BP−5284の抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞系クローンHCA−627により産生された抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体の固相との組み合わせによるエライザ法により、尿中のヒトアネキシンVの濃度を測定した際に使用された検量線図である。
本図において縦軸に主波長492nmの吸光度値から副波長690nmの吸光度値を差し引いた差吸光度の値を示し、横軸にヒトアネキシンVの濃度値を示しており、□印は差吸光度の平均値を示し、□印の上下に延びる線の長さは平均値±2SDの値を示す。
発明を実施するための最良の形態
本発明において、アネキシンV蛋白質、即ち抗原蛋白質のアネキシンVは、抗原蛋白質のアネキシンVが存在する組織又は細胞から精製することができ、例えば、ヒト屍体の心臓組織から、結合組織及び脂肪などを除去し精製することができる。
本発明において、抗アネキシンVモノクローナル抗体は、抗原蛋白質のアネキシンVで免疫されたマウス等の他の動物種のリンパ系器官から取り出されたリンパ球の形質芽細胞球とミエローマ細胞とを融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成し、この形成されたハイブリドーマ細胞を、例えばHAT培地を使用して培養することにより得ることができる。
本発明における抗アネキシンVモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系としては、例えば、国際出願(国際出願番号:PCT/JP 95/02305(国際公開番号:WO96/15152))により開示され、微生物の寄託の国際寄託当局(日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号所在の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所)に、平成7年11月6日に国際寄託された受託番号FERM BP−5284のハイブリドーマ細胞系、及び同じく前記微生物の寄託の国際寄託当局(前記通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所)に、平成7年11月7日に国際寄託された受託番号FERM BP−5286のハイブリドーマ細胞系の二つのハイブリドーマ細胞系がある。本発明における抗アネキシンVモノクローナル抗体は、これらのハイブリドーマ細胞系を夫々選択的に増殖することにより得ることができる。
本発明において、前記抗アネキシンVモノクローナル抗体は、前記ハイブリドーマ細胞クローンを、通常の培養方法、例えば高密度培養方法又はスピンナーフラスコ培養方法等による培養し、その培養上清より、プロテインA結合担体又は抗マウスイムノグロブリン結合担体を用いたアフィニティークロマトグラフィーにより精製することにより得ることができる。
本発明において、ハイブリドーマ細胞系とは、細胞融合されたハイブリドーマ細胞はもとより、初代培養以後のハイブリドーマ細胞を意味する。
前記ヒト由来の抗アネキシンVモノクローナル抗体を得るのと同様な方法で、イヌ等の哺乳動物のアネキシンV抗原を、哺乳動物に免疫し、このリンパ細胞とミエローマ細胞を融合させて、ハイブリドーマ細胞系を得ることにより、イヌ等の哺乳動物のアネキシンV抗原の抗原決定部位に対し特異的反応性を有する、イヌ等の哺乳動物由来の抗アネキシンVモノクローナル抗体を得ることができる。本発明において、抗アネキシンVモノクローナル抗体は、前記ヒト由来の抗アネキシンVモノクローナル抗体以外に、これら哺乳動物由来の抗アネキシンVモノクローナル抗体を意味する。
本発明において、エライザ法によるヒトの尿中アネキシンV濃度測定に、例えば固相に固定されて、1次抗体として用いられる抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体は、例えば、前記国際寄託された受託番号FERM BP−5284のハイブリドーマ細胞系、及び同じく前記国際寄託された受託番号FERM BP−5286のハイブリドーマ細胞系の二つのハイブリドーマ細胞系を夫々培養することにより得ることができる。
また、前記ハイブリドーマ細胞系により製造される二つの抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体は、エライザ法によるヒトの尿中アネキシンV濃度の測定において、一方の抗体が1次抗体として使用されるときは、他方の抗体は、標識抗体化されて、2次抗体として使用することができる。
エライザ法によるヒトの尿中アネキシンV濃度の測定において、主として、標識抗体として、即ち2次抗体として用いられるポリクローナル抗体は、例えば、前記国際出願(国際出願番号:PCT/JP 95/02305(国際公開番号:WO96/15152)により開示された抗イヌ32KPポリクローナル抗体・Fab’−HRPO標識抗体(以下、抗アネキシンVポリクローナルHRPO標識抗体という)である。
本発明は、尿を抗アネキシンVモノクローナル抗体と接触させて、尿中のアネキシンVを抗アネキシンVモノクローナル抗体と抗原抗体反応させて、アネキシンV抗原−抗アネキシンVモノクローナル抗体複合体を形成し、この形成されたアネキシンV抗原−抗アネキシンVモノクローナル抗体複合体を定量するので、細胞から逸脱した蛋白質のアネキシンVを、排泄された尿を採取して、エライザ法により簡単に測定することができ、狭心症及び心筋梗塞などの臓器障害はもとより、播種性血管内凝固症候群や敗血症に複合した腎臓、心臓、肺などの臓器障害の有無を、特に早期に簡単に診断することができる。この尿中のアネキシンVの測定値の変動を、血液中のアネキシンVの測定値の変動と対比して、急性腎炎の診断に使用することができる。
実施例
以下の実施例において、記号Mはモル濃度を意味し、混合物溶液においては、各M(モル濃度)は混合物溶液1リットル中のモル濃度を意味する。
例1.ハイブリドーマの作製方法
(1)ヒトアネキシンVの精製
ヒト成人の屍体から心臓を摘出し、血液を除いた後、左心室心臓を取出し、結合組織及び脂肪を取り除いた。これらの操作は、氷上又は4℃の温度下で行われた。この心臓に、心臓1重量部につき10重量部の、即ち重量で10倍量の次の組成:
濃度250mM(ミリモル)のスクロース、
濃度0.5mMのエチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)四酢酸塩(EGTA)、
濃度1mMのフェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、及び
濃度10mMのトリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)HCl、pH7.4
の緩衝液Aを加えて、ホモジナイザーによりホモジナイズし、このホモジネートを3000×gで15分間遠心分離した。この分離された上清に、上清の最終濃度が2mMになるように、濃度1MのCaCl2溶液を加えて混合し、この混合後、28,000×gで、1時間遠心分離し、その沈殿に、濃度10mMのEDTAを2ml加えて、該沈殿を懸濁させた。この沈殿の懸濁液を28,000×gで1時間遠心分離した。
この上清を、ゲル濾過カラムのファーマシア(Pharmacia)社製のセファクリル(Sephacryl)S−300(商品名)にかけて、濃度0.1MのNaCl及び濃度30mMのトリスHClを含むpH7.4の緩衝液Bで溶出した。分子量が35Kダルトン(Da)の蛋白質を含む画分を集めて、陰イオン交換カラム(バイオゲルアガロース:商品名)にかけ、濃度0乃至0.3Mの濃度範囲内のNaClを含有する濃度10mMのトリス塩酸溶液(pH:7.4)を溶離液として、NaCl濃度に段階的に勾配をかけてグラジエント溶離することにより分離精製した。
このようにして精製されたヒトアネキシンVは、凍結乾燥の後、濃度0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.6)で溶解し、4℃で保存した。この精製ヒトアネキシンVについては、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)により純度を測定し、蛋白濃度を定量した。
また、このようにして精製された抗原蛋白質ヒトアネキシンVを同定するために、リシルエンドペプチダーゼを加え、37℃の温度下で、15時間放置し、蛋白質ヒトアネキシンVとリシルエンドペプチダーゼの反応により得られたペプチドを、島津製作所製PPSQ−10プロテインシークエンサー(protein sequencer)を使用して、エドマン法(Edman P.著『A method for the determination of the amino acid sequence in peptides』Arch.Biochem.Biophys.、1949年発行、第22巻、第475頁参照)によるアミノ酸配列分析を行い、二つのペプチド部分のアミノ酸配列を求めた。
前記精製された蛋白質のペプチドの二つの部分のアミノ酸配列は、一方が、N末端から、Glu−Tyr−Gly−Ser−Ser−Leu−Gluのアミノ酸配列であり、他方が、N末端から、Gly−Thr−Asp−Glu−Glu−Lys−Phe−Ile−Thr−Ile−Phe−Gly−Thrであるところから、アネキシンVと同定した。
(2)免疫方法
上記例1で調製した精製ヒトアネキシンVを100μg/0.5ml取り、これに前記精製ヒトアネキシンVと同量のフロイント完全アジュバント(Freund’s complete adjuvant)を混合して乳化した。この乳化状のヒトアネキシンVを抗原として、5週令の4匹の雌のBALB/cマウスの腹腔に、精製ヒトアネキシンVが1匹あたり15〜40μgとなるように投与し、この投与を、2週間毎に、2カ月間続けて行いマウスを免疫した。この免疫の後、マウスの抗体価を測定し、抗体価の高いマウスを選んで、さらに3週間後に、精製ヒトアネキシンVの50μgをマウス尾静脈より追加投与して最終免疫した。
(3)細胞融合
最終免疫から3日後に、BALB/cマウスの摘脾を行い、この摘出した脾細胞をEMEM培養液中に浮遊させて、脾細胞の浮遊液を作製した。ついで、この脾細胞をEMEM培養液(日水社製)で4回洗浄した後、細胞数を算定した。得られた脾細胞の生細胞数は、7×108個であった。
細胞融合は、2−アミノ−6−オキシ−8−アザプリン(8−アザグアニン)(2-amino-6-oxy-8azapuraine(8-Azaguanine))耐性のBALB/cマウス骨髄腫由来の培養細胞株(P3−X63−Ag8・653、以下、X63細胞という)を親細胞株として用いた。
X63細胞は、対数増殖期のX63細胞を用い、非働化したウシ胎児血清(fetal calf serum)(インタジェン(Intergen)社製)(以下、FCSという)を濃度10%で含むRPMI−1640培養液(濃度20μg/mlで8−アザグアニン含有)(ギブコ(GIBCO)社製)で継代培養した。細胞融合の3日前より8−アザグアニンを含有しない濃度10%のFCS含有RPMI−1640培養液でさらに培養した。この場合も、対数増殖期の細胞を用いた。X63細胞はRPMI−1640培養液で3回洗浄した後、細胞数を算定した。得られたX63細胞の生細胞の細胞数は7×107個であった。
シグマ(Shigma)社製のポリエチレングリコールー4000を、RPMI−1640培養液で、濃度が50%(W/V)となるように溶解して、細胞融合に使用した。
脾細胞とX63細胞の比が10:1となるように、脾細胞とX63細胞を混合し、1500rmpの回転数で5分間遠心分離して、上清を除去し、細胞のペレットをよくほぐし、細胞融合に使用した。細胞融合は、前記調製の、37℃に保温したポリエチレングリコールを用いて、ケーラー及びミルシュタイン共著:ネイチュア(Nature)第256巻、第495−497頁,1975年及びヨーロピアン ジャーナル オブ イムノロジ(Eur.J.Immunol)第6巻、第511−519頁,1976年)の方法により行われた。
ハイブリドーマが形成された細胞融合後の細胞系は、10%濃度のFCSを添加したRPMI−1640培養液に濃度1×10-4Mのヒポキサンチン、濃度4×10-7Mのアミノプテリン及び濃度1.6×10-5Mのチミジンが含有されているHAT選択培地に、脾細胞が2.0×106個/mlとなるように浮遊させた。ついで、この細胞浮遊液を50μl宛、96穴ウエルのマイクロテストプレートの各ウエルに分注した後、CO2無菌培養器において、温度37℃、湿度95%、8%濃度のCO2雰囲気で培養を行った。
(4)スクリーニング
培養開始後、1日目と2日目に、HAT培地を各ウエルに1滴ずつ添加し、また培養開始後7日目と9日目に、HAT培地を各ウエルに2滴ずつ添加してさらに培養を行った。その後、HATを含まない培養液で育成させた。培養開始後10日目に、細胞のクローンが出現した。培養開始後約10日乃至13日後に、細胞のクローンが出現した前記ハイブリドーマ細胞系の各ウエルの培養上清50μlと、ヒトアネキシンV抗原液(100ng/ml)50μlとを、マイクロタイタープレートのUボトムに入れ、さらにこのマイクロタイタープレートのUボートに、抗マウスイムノグロブリン抗体を結合させたセファロース4Bの20%懸濁液を50μl加えて、室温で1時間撹拌し、撹拌後10分間静置した。静置後、抗マウスイムノグロブリン抗体結合セファロース4Bがウェルの底に完全に沈むのを確認して、その上清50μlを採取して該上清中に残存するヒトアネキシンV抗原蛋白質の濃度を、アネキシンV−エライザ(ELISA)法で測定して、前記国際寄託された受託番号FERM BP−5284のハイブリドーマ細胞株クローンHCA−627及び受託番号 BP−5286のハイブリドーマ細胞株クローンHDA−907を得た。
これらの得られた国際寄託された受託番号FERM BP−5284のハイブリドーマ細胞株、クローンHCA−627及び前記国際寄託された受託番号FERM BP−5286のハイブリドーマ細胞株、クローンHDA−907から産生される抗アネキシンVモノクローナル抗体は、何れもヒトアネキシンV及びイヌアネキシンVに対し特異性を有するものであることが確認された。
(5)ヒトアネキシンV測定用分析系
(i)抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体のHRPO標識抗体の調製
(A)抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体F(ab′)2の調製
前記国際寄託された受託番号FERM BP−5284のハイブリドーマ細胞株クローンHCA−627及び前記国際寄託された受託番号FERM BP−5286のハイブリドーマ細胞株クローンHDA−907からのアネキシンVモノクローナル抗体のIgG画分を標識に用いるために、各抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体10mgを、遠心分離機型濃縮器(セントリコン(Centricon)10(アミコン社製))を用いて、容量が1mlになるように、遠心濾過により濃縮した。次いで、濃縮された抗体を、濃度0.2MのNaClを含む濃度0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)を溶媒にして透析した。
この透析されたIgG溶液に、濃度0.2MのNaClを含む濃度0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)に溶解したペプシン(シグマ社製)溶液を、ペプシンがIgG量の4%になるように添加し、37℃の温度下で、6乃至16時間反応させた。反応終了後、濃度0.1Mのホウ酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)で平衡化されている、直径1.6cmで、長さ63cmの平衡ゲル濾過用のセファデックス(Sephadex)G−150カラム(ファルマシア社製)を用いて、分子篩クロマトグラフィーにより、抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体のF(ab’)2のフラグメントを得た。
(B)抗ヒトアネキシンVモノクローナルFab’−SHの調製
前記例1の(5)の(A)により調製した抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体F(ab’)2フラグメントを、さらに、遠心分離機型濃縮器のセントリコン10を用いて、遠心分離により濃縮し、抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体F(ab’)2フラグメントの濃縮画分を調製した。
この濃縮画分1mlに、濃度100mMの2−メルカプトエチルアミン塩酸塩(キシダ化学社製)溶液を0.1ml添加し、37℃で90分反応させた。反応終了後、濃度1mMのEDTAを含む濃度0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化した、直径1.6cm、長さ20cmの平衡ゲル濾過用のセファデックス(Sephadex)G−25カラム(ファルマシア社製)を用いて、Fab’−SHフラクションを分画精製し、遠心分離機用濃縮器セントリコン10を用いて、容量が1mlになるように遠心分離により濃縮し、クローンHCA−627及びクローンHDA−907の抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体Fab’−SHフラクション濃縮画分を調製した。
(C)HRPOマレイミドの調製方法
一方、HRPO(ワサビ大根のペルオキシダーゼ)(ベーリンガー社製)を、蛋白質量として10mg秤量し、濃度0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)の1mlに溶解した。この溶液に、最終濃度が25mg/mlになるように、ジメチルホルムアミド(DMF)(キシダ化学社製)に、N−ヒドロキシサクシニイミドエステル(N-Hydroxysuccinimide ester)(ジーベンケミカル社製)を溶解した溶液の100μlを添加し、30℃で60分間反応させることによって、HRPOをマレイミド化した。この反応後、溶液を3000rpmで5分間遠心分離し、その上清を、濃度0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化した、直径1.6cm、長さ20cmの平衡ゲル濾過用セファデックス(Sephadex)G−25カラム(ファルマシア社製)を用いて、HRPOマレイミドを精製した。このHRPOマレイミドの精製画分を、さらに遠心分離機型濃縮器のセントリコン10を用いて、遠心分離により濃縮し、HRPOマレイミド濃縮画分を調製した。
(D)抗ヒトアネキシンVモノクローナルFab’−HRPO標識抗体の調製方法
前記例1の(5)の(B)により得られた抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体Fab’−SHの濃縮画分と、前記例1の(4)の(C)により得られたHRPOマレイミドの画分とを、モル比で1:1となるように混合し、4℃の温度下で15ないし24時間反応させた。反応後、2−メルカプトエチルアミン塩酸塩を反応液中に2mMの濃度になるように添加し、37℃の温度下で20分間反応することによって、未反応のHRPOマレイミドのブロックを行った。次に、濃度0.15MのNaCl及び濃度2.5mMのEDTAを含む濃度20mMのリン酸ナトリウムークエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.6)で平衡化した、直径1.6cm及び長さ65cmのウルトロゲル(Ultrogel)ACA44カラム(ファルマシア社製)を用いた分子篩ゲルクロマトグラフィにより、未反応の抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体Fab’−SH及びHRPOマレイミドを除去し、抗ヒトアネキシンVモノクローナルFab’−HRPO標識抗体(以下、抗ヒトアネキシンVモノクローナルHRPO標識抗体という)の精製を行った。
(ii)HRPO標識抗イヌアネキシンVポリクローナル抗体の調製
(A)抗イヌポリクローナル抗体IgGの画分の調製
イヌ心筋由来の精製アネキシンV抗原を免疫して得られたウザギ抗イヌアネキシンアネキシンVポリクローナル抗血清3mlに等量のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加え、無水硫酸ナトリウムを最終濃度20%になるように撹拌しながら加えた後、室温でさらに1時間撹拌した。次に、12,000rpmで10分間遠心分離し、得られた沈殿画分を約3mlのPBSで溶解した。この溶液を、濃度20mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を溶媒にして透析した。透析終了後、透析された溶液を、濃度20mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で平衡化した、直径1.5cm及び長さ6cmのDEAEセルロースDE−52カラム(ワットマン社製)を用いたイオン交換クロマトグラフィーにかけて、抗イヌアネキシンVポリクローナル抗体のIgG画分の精製を行った。3mlの抗イヌアネキシンVポリクローナル抗体抗血清より精製IgG画分が13mg得られた。
(B)抗イヌアネキシンVポリクローナル抗体F(ab’)2の調製
抗イヌアネキシンVポリクローナル抗体の精製IgG画分を標識用に用いるために、該抗体12mgを、遠心分離機用濃縮器のセントリコン10(アミコン社製)を用いて、容量が1mlに濃縮した後、濃度0.2MのNaClを含む濃度0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)を溶媒にして透析した。
この透析により得られた抗体溶液に、濃度0.2MのNaClを含む濃度0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)に溶解したペプシン(シグマ社製)を、IgG量に対して4%になるように添加し、37℃で16時間反応させた。反応終了後、濃度0.1Mのホウ酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)で平衡化した直径1.6cm及び長さ65cmの平衡ゲル濾過用セファデックスG−150カラム(ファルマシア社製)を用いた分子篩クロマトグラフィーにより、該抗体のF(ab’)2のフラクションを分画し精製した。得られたフラクションを、濃度1mMのEDTAを含む濃度0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を溶媒にして透析した。透析後この透析された溶液を、遠心分離機用濃縮器のセントリコン10を用いて、容量が1mlになるように遠心分離により濃縮した。この濃縮液を、抗イヌアネキシンVポリクローナル抗体F(ab’)2としての標識抗体の作製に用いた。このようにして得られた12mgの抗イヌアネキシンVポリクローナル抗体のIgG画分より、約7mgのF(ab’)2画分を調製した。
(C)抗イヌアネキシンVポリクローナルFab’−SHの調製方法
前記例1の(5−2)の(B)の方法で調製した抗イヌポリクローナル抗体F(ab’)2画分の濃度7mg/1mlの溶液に、濃度100mMの2−メルカプトエチルアミン塩酸塩(キシダ化学社製)溶液を0.1ml添加し、37℃で90分反応させた。反応終了後、濃度1mMのEDTAを含む濃度0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化した直径1.6cm及び長さ20cmの平衡ゲル濾過用セファデックスG−25カラム(ファルマシア社製)を用い、Fab’−SHフラクションを精製し、遠心分離機用濃縮器10を用いて容量が1mlになるように遠心分離により濃縮して、抗イヌアネキシンVポリクローナル抗体Fab’−SH濃縮画分を調製した。該抗体7mgのF(ab’)2より、6.1mgのFab’−SH画分を得た。
(D)抗イヌアネキシンVポリクローナルFab’−HRPO標識抗体の調製方法
このようにして得られた抗イヌアネキシンVポリクローナル抗体Fab’−SH画分と、前記例1の(5−1)の(C)で調製したHRPOマレイミド画分とを、モル比で1:1となるように混合し、4℃の温度下で15ないし24時間反応させた。その後、2−メルカプトエチルアミン塩酸塩を反応液中に2mMの濃度になるように添加し、37℃の温度下で20分間反応することによって、未反応のHRPOマレイミドのブロックを行った。次に、濃度0.15MのNaCl及び濃度2.5mMのEDTAを含む濃度20mMのリン酸ナトリウムークエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.6)で平衡化した、直径1.6及び長さ65cmのウルトロゲル(Ultrogel)ACA44カラム(ファルマシア社製)を用いたゲルクロマトグラフィにより、未反応の抗イヌアネキシンVポリクローナル抗体Fab’−SH及びHRPOマレイミドを除去し、抗イヌアネキシンVポリクローナルFab’−HRPO標識抗体(以下、イヌHRPO標識抗体という)の精製を行った。
(iii)HRPOの活性測定法
前記抗ヒトアネキシンVモノクローナルHRPO標識抗体及びイヌHRPO標識抗体の夫々のHRPO酵素活性の測定は、濃度0.2%のフェノール、濃度0.5mMの過酸化水素及び濃度0.15mg/mlの4−アミノアンチピリンを含む濃度0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)2.98mlにHRPO標識抗体20μlを加えて、合計3.0mlとし、37℃の温度下で5分間反応させ、波長492nm及び波長692における吸光度を、夫々、レート法(Rate Assay)による二波長測光法により測定する。1分間当たりの波長492nm及び波長692における吸光度の差(ΔAbs)を測定することによりHRPO活性を求めることができる。
(iv)固相調製法
抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体固相の調製
ヒトアネキシンV測定用エライザ法を用いる固相用のモノクローナル抗体は、クローンHCA−627及びクローンHDA907ののIgG画分を精製した。この各抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体のIgG画分を、0.1%濃度のアジ化ナトリウムを含む濃度0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いて30μg/mlの濃度に調製し、エライザ法用マイクロタイタープレート(ヌンク社製)の各ウエルに100μlずつ分注し、4℃の温度下で一晩感作した。次に、このマイクロタイタープレートの各ウエルを、界面活性剤Tween20を0.05%濃度で含むリン酸緩衝生理緩衝液(PBS)を洗浄液として使用して、3回洗浄し、1%濃度でBSAを含むPBS(ブロッキング液)を各ウエルに300μl分注した後、4℃の温度下でさらに一晩ブロッキングし、抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体感作抗体プレート(以下、抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体プレートという)を調製した。
例2
例1の(5)−(iv)に示したように調製した前記ハイブリドーマ細胞系クローンHCA−627により産生された抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体固相プレートのブロッキング液を捨て、濃度1%のBSA、濃度0.15MのNaCl及び濃度5mMのEDTAを含む濃度10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)100μlを各ウエルに分注した後、採取した尿中のヒトアネキシンV抗原を、1.5625ng/ml、3.125ng/ml、6.25ng/ml、12.5ng/ml、25ng/ml、50ng/ml及び100ng/mlとなるように調製し、夫々、標準抗原液を、各ウエルに20μlずつ加え混和し、室温で1時間反応させた。
反応後、各ウエルを洗浄液で3回洗浄した。この洗浄された各ウエルに、至適濃度に調製した前記クローンHDA−907の抗ヒトアネキシンVモノクローナルFab’−HRPO標識抗体を各々100μlずつ各ウエルに添加し、室温で30分間反応させた。反応後、各ウエルを洗浄液で6回洗浄した。次に、濃度0.1Mのリン酸クエン酸緩衝液に、o−フェニレンジアミンを2mg/mlの濃度で含み、また濃度4mMのH22を含むOPD基質溶液を100μl加えて、30分間反応させた後、濃度2NのH2SO4溶液を各ウエルに100μlずつ加えて反応を止め、主波長492nm,副波長690nmとして、エライザ用プレートリーダーにより、二波長測光法により吸光度の差を測定した。
二波長法による吸光度の差、即ち差吸光度は、主波長492nmの吸光度より副波長629nmの吸光度を差し引くことにより求めた。尿中のヒトアネキシンV抗原濃度と差吸光度の関係を示す検量線を図1に示す。
図1に示す検量線は、クローンHCA−627の抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体及びクローンHDA−907の抗ヒトアネキシンVモノクローナルHRPO標識抗体によるエライザ法による尿中のヒトアネキシンV標準抗原濃度に対する二波長法による差の吸光度を、尿標準液のアネキシンV濃度毎にプロットして作成されたものであり、差吸光度は、尿中のヒトアネキシンV抗原濃度に依存し良好であった。この検量線は、ヒトアネキシンVの濃度に依存して吸光度が上昇し、100ng/mlの濃度までほぼ直線を示す良好な検量線である。
この検量線を用いることにより尿検体中のアネキシンV濃度を正確に読み取ることができる。また、図1からも明らかなように尿中のヒトアネキシンV濃度は、1ng/mlの低い濃度値においても再現性が良く、その濃度を測定することができ、尿中のアネキシンV濃度測定用エライザ系に充分応用可能である。
例3
HCA−627株により産生された抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体は、ヒトアネキシンV、イヌアネキシンV、ラットアネキシンV及びウシアネキシンVに対し特異性を有している。
本実施例においては、ハイブリドーマ細胞系クローンのHCA−627株により産生された抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体と抗イヌアネキシンVポリクローナル抗体との組み合わせによるエライザ法により、尿中のヒトアネキシンVの濃度測定を行った。
ハイブリドーマ細胞系HCA−627から産生した抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体の30μg/mlの100μlを個々のウエルに分注して、該抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体の固相ウエルを形成する。
この固相ウエルに10mMの0.1M濃度のリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)、0.15MのNaCl、1%濃度のBSA、5mMのEDTA及び456mgの硫酸ゲンタマイシンを含有し、pH7.0の反応緩衝液を100μl分注する。
反応緩衝液が分注された固相ウエルに、標準液20μlを分注する。本例において、標準液としては、採取した尿中のヒトアネキシンV抗原標準液が使用された。
標準液分注後、室温において、1時間撹拌して、各ウエル内で抗原抗体反応を行わせる。この抗原抗体反応時間が経過したところで、洗浄液で4回洗浄する。洗浄後、この洗浄された各ウエルに、夫々、イヌHRPO標識抗体(反応緩衝液1ml当たり100mU)を100μl加え、室温において、30分間撹拌して抗原抗体反応を行わせる。この抗原抗体反応時間が経過したところで、洗浄液で8回洗浄する。洗浄後、この洗浄された各ウエルに、夫々OPD基質溶液(0.1Mのリン酸クエン酸緩衝液に、o−フェニレンジアミンを2mg/ml及び4mMのH22を含む)を100μl加えて、30分間反応させた後、濃度2NのH2SO4溶液を各ウエルに100μlずつ加えて発色反応を止め、主波長492nm,副波長690nmとして、エライザ用プレートリーダーにより、二波長測光法により吸光度の差を測定した。
抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体HCA−627及びイヌHRPO標識抗体によるエライザ法による尿中のヒトアネキシンV標準抗原濃度に対する二波長法による差の吸光度を、尿標準液のアネキシンV濃度毎にプロットして検量線を作成した。ここで得られた検量線は、尿中のヒトアネキシンV抗原濃度に依存し良好であり、その検量線を図2に示す。
例4
本実施例は、前記例2について、標準液を採取尿に代えて、尿中のアネキシンV濃度の測定を行うものである。差吸光度は、主波長492nmの吸光度より副波長690nm吸光度を差し引くことにより求められており、図1に示す検量線に基づいて、尿検体中のアネキシンV濃度が求められた。
本例において、前記国際寄託された受託番号FERM BP−5284のハイブリドーマ細胞系クローンHCA−627の培養上清から得られる抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体が固相に固定されたタイタープレートが使用された。本例において、尿中のアネキシンVの測定は、前記クローンHCA627由来の抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体及び前記クローンHDA−907由来の抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体Fab’−HRPO標識抗体によるエライザ法により行われた。このエライザ法は、尿検体のpHが5乃至8で測定可能であった。尿中のアネキシンVを測定する場合には、Ca2+の結合を抑制するためのEDTA等のキレート剤の尿への添加による尿の前処理は不要である。
前記抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体固相プレートのブロッキング液を捨て、濃度1%のBSA、濃度0.15MのNaCl及び濃度5mMのEDTAを含む濃度10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)100μlを各ウエルに分注した後、採取された尿についての尿中のアネキシンVの測定が、採取された尿検体20μlを、抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体が固相に固定されたタイタープレートの各ウエルに分注して行われた。
採取された尿検体分注後、室温において、1時間撹拌して、各ウエル内で抗原抗体反応を行わせた。この抗原抗体反応時間が経過したところで、洗浄液で3回洗浄した。この洗浄された各ウエルに、至適濃度に調製した前記クローンHDA−907抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体Fab’−HRPO標識抗体を各々100μlずつ各ウエルに添加し、室温で30分間反応させた。反応後、各ウエルを洗浄液で6回洗浄した。次に、濃度0.1Mのリン酸クエン酸緩衝液に、o−フェニレンジアミンを2mg/mlの濃度で含み、また濃度4mMのH22を含むOPD基質液を100μl加えて、30分間反応させた後、濃度2NのH2SO4溶液を各ウエルに100μlずつ加えて発色反応を止め、主波長492nm,副波長690nmとして、エライザ用プレートリーダーにより、二波長測光法により吸光度の差を測定した。この差吸光度により、図1に示す検量線に基づいて、尿検体中のアネキシンV濃度が求められた。
例5
本実施例は、前記例3について、標準液を採取尿に代えて、尿中のアネキシンV濃度の測定を行うものである。差吸光度は、主波長492nmの吸光度より副波長690nm吸光度を差し引くことにより求められており、図2に示す検量線に基づいて、尿検体中のアネキシンV濃度が求められた。
本例において、前記国際寄託された受託番号FERM BP−5284のハイブリドーマ細胞系クローンHCA−627の培養上清から得られる抗アネキシンVモノクローナル抗体が固相に固定されたタイタープレートが使用された。
本例において、尿中のアネキシンVの測定は、抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体HCA−627及びイヌHRPO標識抗体によるエライザ法により行われた。このエライザ法は尿検体のpHが5乃至8で測定可能であった。尿中のアネキシンVを測定する場合には、Ca2+の結合を抑制するためのEDTA等のキレート剤の尿への添加による尿の前処理は不要である。
前記抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体固相プレートのブロッキング液を捨て、濃度1%のBSA、濃度0.15MのNaCl及び濃度5mMのEDTAを含む濃度10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)100μlを各ウエルに分注した後、採取された尿についての尿中のアネキシンVの測定は、採取された尿検体20μlを、抗アネキシンVモノクローナル抗体が固相に固定されたタイタープレートの各ウエルに分注して行われた。
採取された尿検体分注後、室温において、1時間撹拌して、各ウエル内で抗原抗体反応を行わせた。この抗原抗体反応時間が経過したところで、洗浄液で4回洗浄し、洗浄後、この洗浄された各ウエルに、夫々、イヌHRPO標識抗体(反応緩衝液1ml当たり100mU)を100μl加え、室温において、30分間撹拌して抗原抗体反応を行わせた。この抗原抗体反応時間が経過したところで、洗浄液で8回洗浄し、洗浄後、この洗浄された各ウエルに、夫々OPD基質液を100μl加えて、室温で30分間発色反応を行わせる。得られた発色について、主波長492nmの吸光度及び副波長690nm吸光度を測定し、主波長492nmの吸光度より副波長690nm吸光度を差し引くことにより差吸光度を求め、図2に示す検量線によりアネキシンV濃度を求めた。
例6
採取尿について、例4に記載の方法で尿中のアネキシンV濃度の測定を行った。発色反応時間が経過したところで、各ウエルに、夫々、反応停止液(2N濃度のH2SO4溶液)を100μlを加えて発色反応を停止させ、主波長492nm及び副波長690nmの二波長法で、エライザ用プレートリーダにより、夫々の吸光度を測定して、図1に示す検量線により尿検体中の抗原蛋白質のアネキシンV濃度を求めた。
本例は52歳の男性で、5年前に大動脈弁置換術を受けている。2週間発熱が続き、感染性心内膜炎の疑いがあった。
尿中のアネキシンV濃度を測定するために、直ちに採尿して第1日目の尿検体1とした。以下、第2日目、第3日目、第4日目、第6日目及び第8日目に採尿して、夫々第2日目、第3日目、第4日目、第6日目及び第8日目の尿検体とし、各尿検体について、採尿した日に尿中のアネキシンV濃度の測定を、前記例4に示した尿中のアネキシンVの分析法により測定した。各尿検体中のアネキシンV濃度は次の表1のとおりであった。
Figure 0004431798
尿中のアネキシンV濃度は、測定開始第1日目の尿検体のアネキシンV濃度は1.2ng/mlと正常範囲であったが、第2日目の尿検体中のアネキシンV濃度は10.6ng/mlと上昇し、その後さらに上昇した。血中のアネキシンV濃度にも上昇が見られ、臓器障害の合併があると診断された。
測定開始後第2日目の血小板数は、38,000であり、測定開始後第3日目の血小板数は、さらに低下し29,000となり、FDPの低下を認め、DICと診断された。測定開始後第2日目のアネキシンVは10.6ng/mlで、臓器障害が合併していると診断された。測定開始後第3日目の尿素窒素、クレアチニンの上昇を認め、腎臓傷害の併発が明確となった。血小板輸血、抗生物質の投与を開始し、全身状態の改善、食欲の回復、ベッド周囲歩行まで軽快した。
この症例は尿中のアネキシンV濃度の測定によって、臓器障害の存在が早期に診断できた例である。
なお、正常健康人の尿中アネキシンV濃度は、年齢22〜65歳までの男10例、女10例、計20例の尿中のアネキシンV濃度を調べた結果、最大値2.3ng/ml、最低値0.3ng/ml、平均1.6ng/mlであった。
例7
本実施例のラットにおける尿中アネキシンV濃度の測定を、前記例5により行った。吸光度は、主波長492nmの吸光度より副波長690nm吸光度を差し引くことにより求められており。図2に示す検量線に基づいて、尿検体中のアネキシンV濃度が求められた。
一定のアネキシンVを静脈内に注入し、尿中に出現するアネキシンV濃度を測定した。この実験で、血中にアネキシンVが増加すると、尿中にアネキシンVが増加することがわかった。
即ち、体重350gのラットの右大腿静脈よりアネキシンV(リコンビナントアネキシンV)5μgを注射し、経時的に尿中のアネキシンVを測定した。その結果を以下の表2に示す。
Figure 0004431798
回収試験
3例についてアネキシンVの回収試験を行った。その試験結果を次の表3に示す。表3に示されるように、アネキシンV値が1.8〜2.9ng/mlである尿に、12.5および25.0ng/mlのアネキシンV蛋白質を添加した場合に、抗原抗体反応により尿中で分離回収されるアネキシンVの回収率は、何れも92.8〜99.2%を示し、きわめて良好な成績であった。
Figure 0004431798
添加回収率=〔(C−A)/B〕×100で求めた。
尿中のアネキシンV濃度の測定におけるpHの影響についての試験は、尿に適当な量の1N塩酸溶液および適当な量の1N水酸化ナトリウム溶液を加えることによって、尿中のpHを4〜8に調整して、尿中のアネキシンV濃度を測定した。その結果を以下の表4に示す。なお、該表中*印は症例自身の尿中アネキシンV値である。
Figure 0004431798
本例は、本発明の尿中のアネキシンVの測定が、pH5乃至pH8の間で測定可能であることを示している。
例8
実験的にラットに急性腎炎を発生させ、尿中のアネキシンV濃度を、抗アネキシンVモノクローナル抗体及び抗アネキシンVポリクローナル抗体を用いたサンドウイッチ・エライザ法で測定した。
実験急性腎炎は、ウシ腎臓皮質から、糸球体基底膜を分離し、可溶化処理後、ゲル濾過カラムクロマトグフィにかけ、腎炎惹起抗原溶出画分を採取した。その30μgと等量のフロイド完全アジュバンドとの混合物を1匹のラット(Wistar−Kyoto系ラット)の足裏に皮内注射し、ヒトと類似の急性腎炎を作製した。
尿中のアネキシンV濃度を測定するために、前記皮内注射後、1周後に採尿して1週後の尿検体1とした。以下、第2週後、第3週後、第4週後及び第5週後採尿して、夫々第1週後、第2週後、第3週後、第4週後及び第5週後の尿検体とし、各尿検体について、採尿した日に尿中のアネキシンV濃度の測定を、前記例4に示した尿中のアネキシンVの分析法により測定した。各尿検体中のアネキシンV濃度は次の表5のとおりであった。
Figure 0004431798
表5に示されるように、尿中のアネキシンV濃度は、3週までに急激に上昇し、尿中のたんぱく量よりも先に最大値を示した。尿中のアネキシンV濃度の測定は、実験急性腎炎の診断に有効である。
血中のアネキシンVの濃度は、各週後において上昇がみられなかった。このような血中及び尿中のアネキシンV濃度の挙動は急性腎炎の特徴の一とみられる。
例9
本例は、ネフローゼ症候群として診断された20歳男性の患者の例である。患者は、倦怠感を訴え、全身の著しい浮腫及び12.7g/日のんぱく尿が認められて、ネフローゼ症候群として診断された。患者の尿中アネキシンV濃度と1日の尿中たんぱく量が測定された。ここで、患者の尿中アネキシンV濃度は、前記例4に示した尿中のアネキシンVの分析法により測定した。測定結果は次の表6のとおりであった。
Figure 0004431798
上の表にみられるように、治療第1日目では、患者の尿中のアネキシンVの濃度は63.7ng/mlであり、また同じく患者の1日の尿中のたんぱく量は12.7g/日であり、夫々高い値を示したが、治療第20日目では、患者の尿中のアネキシンV濃度は、13.4ng/mlとかなり下がった値となり、また、1日の尿中のたんぱく量も、7.5g/日とかなり下がった値を示し、患者の浮腫も取れ、治療の効果による改善がみられた。
また、測定された尿中のアネキシンV濃度の値は、尿中たんぱく量の変動と対応しており、尿中のアネキシンV濃度により、又は尿中のアネキシンV濃度と1日の尿中たんぱく量との双方により、ネフローゼ症候群の診断並びに治療の予後を調べることができることが分かった。本例にみられるように、尿中のアネキシンV濃度は、ネフローゼ症候群の診断並びに治療の予後を調べる上で有用である。
産業上の利用可能性
本発明は、尿を抗アネキシンVモノクローナル抗体と接触させて、尿中のアネキシンVを抗アネキシンVモノクローナル抗体と抗原抗体反応させて、アネキシンV抗原−抗アネキシンVモノクローナル抗体複合体を形成し、この形成されたアネキシンV抗原−抗アネキシンVモノクローナル抗体複合体を定量するので、従来法に比して、細胞から逸脱し、尿中に排泄された蛋白質のアネキシンVを、採取した尿から、エライザ法により簡単に測定することができる。
しかも、本発明は、播種性血管内凝固症候群や敗血症に複合した腎臓、心臓、肺などの臓器障害の有無の診断に利用でき、特に、これら臓器障害の早期において、簡単にその診断をすることができ、したがって、播種性血管内凝固症候群や敗血症に複合した腎臓、心臓、肺などの臓器障害の治療法、治療薬、診断薬及び診断法の開発やその臨床試験の結果を求める手段として有用である。

Claims (12)

  1. 尿を抗アネキシンVモノクローナル抗体と接触させて、尿中のアネキシンVを抗アネキシンVモノクローナル抗体と抗原抗体反応させて、アネキシンV抗原−抗アネキシンVモノクローナル抗体複合体を形成し、この形成されたアネキシンV抗原−抗アネキシンVモノクローナル抗体複合体を定量することを特徴とする尿中のアネキシンVの分析方法。
  2. 抗アネキシンVモノクローナル抗体が、微生物の寄託の国際寄託当局の受託番号がFERM BP−5284のハイブリドーマ細胞系又はFERM BP−5286のハイブリドーマ細胞系により産生されるものであることを特徴とする請求項1に記載の尿中のアネキシンVの分析方法。
  3. 尿を固相に固定されている第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体と接触させて、尿中のアネキシンVを前記第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体と抗原抗体反応させて、アネキシンV抗原−第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体複合体を形成し、この形成された抗体複合体のアネキシンV抗原に、抗イヌアネキシンVポリクローナル標識抗体又は第二の抗アネキシンVモノクローナル標識抗体を結合させて、前記抗体複合体の抗アネキシンVポリクローナル又は第二の抗アネキシンVモノクローナル標識抗体結合体を形成し、この形成された標識抗体結合体を定量することを特徴とする尿中のアネキシンVの分析方法。
  4. 第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体が、微生物の寄託の国際寄託当局の受託番号がFERM BP−5284又はFERM BP−5286ハイブリドーマ細胞系により産生されたものであり、第二の抗アネキシンVモノクローナル標識抗体が、微生物の寄託の国際寄託当局の受託番号がFERM BP−5284又はFERM BP−5286のハイブリドーマ細胞系により産生されたもので形成されており、前記第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体と、前記第二の抗アネキシンVモノクローナル標識抗体を形成する第二の抗アネキシンVモノクローナル抗体は異なる抗体であることを特徴とする請求項3に記載の尿中のアネキシンVの分析方法。
  5. 固相に固定されているヒトアネキシンV抗原のタンパク質上の抗原決定部位に対して結合特異性を有する第一の抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体と、ヒトアネキシンV抗原のタンパク質上の抗原決定部位に対して結合特異性を有する第二の抗ヒトアネキシンVモノクローナル標識抗体又は抗イヌアネキシンVポリクローナル標識抗体とを備えることを特徴とする尿中のアネキシンVの分析試薬。
  6. 第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体が、微生物の寄託の国際寄託当局の寄託番号がFERM BP−5284又はFERM BP−5286のハイブリドーマ細胞系により産生されたものであり、第二の抗アネキシンVモノクローナル標識抗体が、微生物の寄託の国際寄託当局の寄託番号がFERM BP−5284又はFERM BP−5286のハイブリドーマ細胞系により産生されたもので形成されており、前記第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体と前記第二の抗アネキシンVモノクローナル標識抗体を形成する第二の抗アネキシンVモノクロナル抗体は異なる抗体であることを特徴とする請求項5に記載の尿中のアネキシンVの分析試薬。
  7. 固相に固定されており、ヒトアネキシンV抗原のタンパク質上の抗原決定部位に対して結合特異性を有する第一の抗ヒトアネキシンVモノクローナル抗体と、ヒトアネキシンV抗原のタンパク質上の抗原決定部位に対して結合特異性を有する第二の抗ヒトアネキシンVモノクローナル標識抗体又は抗イヌアネキシンVポリクローナル標識抗体を備えることを特徴とする尿による臓器障害の診断薬。
  8. 第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体が、微生物の寄託の国際寄託当局の受託番号がFERM BP−5284又はFERM BP−5286のハイブリドーマ細胞系により産生されたものであり、第二抗アネキシンVモノクローナル標識抗体が、微生物の寄託の国際寄託当局の受託番号がFERM BP−5284又はFERM BP−5286のハイブリドーマ細胞系により産生されたものにより形成されものであって、前記第一の抗アネキシンVモノクロナル抗体と前記第二の抗アネキシンVモノクローナル標識抗体を形成する第二の抗アネキシンVモノクローナル抗体は異なる抗体であることを特徴とする請求項に記載の尿による臓器障害の診断薬。
  9. 臓器障害が播種性血管内凝固症候群に併発のものであることを特徴とする請求項7又は8に記載の尿による臓器障害の診断薬。
  10. 尿中のアネキシンVの分析試薬と、血液中のアネキシンVの分析試薬を備えることを特徴とする尿による急性腎炎の診断薬。
  11. 尿中のアネキシンVの分析試薬が、固相に固定された第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体と、第二の抗アネキシンVモノクローナル標識抗体又は抗アネキシンVポリクローナル標識抗体を含んでおり、血液中のアネキシンVの分析試薬が、固相に固定された第三の抗アネキシンVモノクローナル抗体と、第四の抗アネキシンVモノクローナル標識抗体又は抗アネキシンVポリクローナル標識抗体と、EDTAとを含んでいることを特徴とする請求項10に記載の尿による急性腎炎の診断薬。
  12. 尿中のアネキシンVの分析試薬において、第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体は、微生物の寄託の国際寄託当局の寄託番号がFERM BP−5284又はFERM BP−5286のハイブリドーマ細胞系により産生されたものであり、第二の抗アネキシンVモノクローナル標識抗体は、微生物の寄託の国際寄託当局の寄託番号がFERM BP−5284又はFERM BP−5286のハイブリドーマ細胞系により産生されたもので形成されており、前記第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体と第二の抗アネキシンVモノクローナル抗体は、異なる抗体であり、血液中のアネキシンVの分析試薬において、第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体は、微生物の寄託の国際寄託当局の寄託番号がFERM BP−5284又はFERM BP−5286のハイブリドーマ細胞系により産生されたものであり、第二の抗アネキシンVモノクローナル標識抗体が、微生物の寄託の国際寄託当局の寄託番号がFERM BP−5284又はFERM BP−5284のハイブリドーマ細胞系により産生されたもので形成されており、前記第一の抗アネキシンVモノクローナル抗体と第二の抗アネキシンVモノクローナル抗体は、異なる抗体であることを特徴とする請求項11に記載の尿による急性腎炎の診断薬。
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