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JP4422866B2 - 光学フィルタ及びその製造方法 - Google Patents

光学フィルタ及びその製造方法 Download PDF

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益宏 庄司
智義 小泉
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光学フィルタに関し、詳しくは、近赤外光の吸収特性を有する光学フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近赤外光吸収特性を有する従来の光学フィルタとして、例えば、特開平6−118228号公報等には、リン酸エステル化合物、及び、銅イオンを主成分とするイオン性金属成分を含有して成るものが開示されている。この光学フィルタは、近赤外光を効率よく吸収する一方で、可視光の透過率が高いという特性を有しており、可視光の透過と近赤外光の遮断とが必要とされる用途、例えば、窓用の熱線吸収部材や、視感度補正フィルタ、ディスプレイの前面板等に適用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光学フィルタの可視光透過性を高めるため、また、取り扱いやすさや、かさばらないといった観点から、このような光学フィルタとしては厚さの薄いものが有用である。近赤外光吸収性は銅イオンによって発現されるものであり、厚さを薄くしたときに十分な近赤外光吸収性を有する光学フィルタを得るためには、銅イオンの含有量(濃度)を十分に高める必要がある。
【0004】
しかし、銅イオンの含有量を高めると、光学フィルタの耐環境性が悪化する傾向にあることが判明した。具体的には、環境中の湿気(水分)の影響により、長期間の使用において光学フィルタが徐々に白化(白濁)していき、やがて、可視光が透過できなくなる程に透光性を失ってしまう(いわゆる「失透」)ことがあった。特に、高温多湿な環境や時期によっては、このような失透が加速される傾向にあり、光学フィルタとしての寿命が短くなってしまうおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、十分な近赤外光吸収性を有しつつ、耐湿性に極めて優れた光学フィルタを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者らは、リン酸エステル化合物及び銅化合物、又はリン酸エステル銅化合物を含有する光学フィルタの組成において、リン原子と銅イオンとの含有比が光学フィルタの耐湿性に大きな影響を及ぼすことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の光学フィルタは、下記(A)成分及び下記(B)成分;
(A)成分:下記式(1)で表されるリン酸エステル化合物及び銅イオンより成る成分、
(B)成分:前記リン酸エステル化合物と銅化合物との反応により得られるリン酸エステル銅化合物、
のうち少なくとも一つの成分を含有して成る近赤外光吸収層を備え、その近赤外光吸収層におけるリン原子の含有量が銅イオン1モルに対して0.4〜1.3モルであり、近赤外光吸収層における銅イオンの含有量が2〜60重量%、好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは2〜15重量%であることを特徴とする。
【0007】
【化3】
Figure 0004422866
【0008】
[式(1)中、Rは、下記式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)若しくは(9)で表される基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を示し、nは1又は2であり、nが1のときにRは同一であっても異なっていてもよい。
【0009】
【化4】
Figure 0004422866
【0010】
(式(2)〜(9)中、R11〜R17は炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が6〜20のアリール基又はアラルキル基を示し(ただし、芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子が、炭素数1〜6のアルキル基又はハロゲンによって少なくともひとつ置換されていてもよい)、R21〜R25は水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基を示し(ただし、R23、R24、R25が全て水素原子の場合を除く)、R31及びR32は炭素数が1〜6のアルキレン基を示し、R41は炭素数が1〜10のアルキレン基を示し、R51及びR52は炭素数が1〜20のアルキル基を示し、R61は水素原子又はメチル基を示し、mは1〜6の整数を示し、kは0〜5の整数を示し、pは2〜97の整数を示し、rは1〜4の整数を示す。)]
【0011】
このような光学フィルタにおいては、リン酸エステル化合物のリン酸基が配位結合及び/又はイオン結合により銅イオンに結合し、この銅イオンはリン酸エステルに囲まれた状態で近赤外光吸収層中に溶解又は分散されており、この銅イオンのd軌道間の電子遷移によって近赤外光が選択吸収される。また、近赤外光吸収層中におけるリン原子の含有量が銅イオン1モルに対して0.4〜1.3、すなわち、銅イオンに対するリン原子の含有比(以下、「P/Cu」という)がモル比で0.4〜1.3であると、光学フィルタの耐湿性、及び近赤外光吸収層における銅イオンの分散性の観点から非常に好適であることが確認された。
【0012】
P/Cuがモル比で0.4未満であると、リン酸エステル化合物に対して配位する銅イオンが過剰となり、銅イオンが近赤外光吸収層中に均一に分散しにくくなる傾向にある。また、近赤外光吸収層は、上記(A)成分及び/又は上記(B)成分が樹脂中に含有された樹脂組成物から形成されてもよい。こうすると、その樹脂特有の特性を光学フィルタに付与することができ、この場合にも、P/Cuがモル比で0.4未満であると、樹脂中に銅イオンを均一に分散させがたくなる。一方、P/Cuがモル比で1.3を超えると、光学フィルタの厚さを薄くして銅イオンの含有量を高めたときに、失透が起こりやすくなる傾向にあり、高温多湿の環境では特にこの傾向が顕著となる。
【0013】
さらに、P/Cuがモル比で0.8〜1.3モルであるとより好ましい。このモル比が0.8以上であると、樹脂中への銅イオンの分散性を確実に且つ十分に高めることができる。
【0014】
また、近赤外光吸収層における銅イオンの含有割合が上記下限値未満であると、光学フィルタ又は近赤外光吸収層の厚さが1mm程度より薄くされたときに、十分な近赤外光吸収性を得ることが困難な傾向となる。一方、銅イオンの含有割合が上記上限値を超えると、銅イオンを近赤外光吸収層中に分散させることが困難となる傾向にある。また、上述の如く、近赤外光吸収層が上記(A)成分及び/又は上記(B)成分を含有する樹脂組成物で形成される場合にも同様な傾向を示す。
【0015】
さらに、リン酸エステル化合物は、上記式(9)におけるR61がメチル基であり、且つ、上記式(9)におけるpが2又は3であり、且つ、上記式(9)におけるrが1のものであると、すなわち、下記式(10)で表されるリン酸エステル化合物、又は、下記式(11)で表されるリン酸エステル化合物であるとより好ましい。
【0016】
【化5】
Figure 0004422866
【0017】
このように、式(9)で表されるようなメタクリロイルオキシアルキル基におけるアルキレンオキサイド基がエチレンオキサイド基又はプロピレンオキサイド基であると、上記pが4以上であるアルキレンオキサイド基を有するリン酸エステル化合物に比して、近赤外光吸収性が高められる。したがって、光学フィルタの近赤外光に対する選択吸収性及び可視光に対する選択透過性を向上させることができる。また、これらアルキレンオキサイド基の繰返し数であるrが1であると、光学フィルタの可視光透過率の経時的な劣化が殆ど無い。よって、光学フィルタの耐湿性の向上を一層図りうる。これに対し、rが2以上、更にはrが4を超える整数であるアルキレンオキサイド基を有する光学フィルタは、耐湿性、剛性、耐熱性等の経時的な劣化が比較的起こりやすい傾向にある。
【0018】
また、本発明による光学フィルタの製造方法は、上記(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも一つの成分を含有して成る近赤外光吸収層を有する光学フィルタを製造する方法であって、上述の式(1)で表されるリン酸エステル化合物と銅塩と水とを混合し又は接触させる工程を備えることを特徴とする。つまり、式(1)で表されるリン酸エステル化合物及び銅塩を混合又は接触させる際に水を共存させる工程を備えるものである。また、この工程は、銅塩として酢酸銅、酢酸銅一水和物、安息香酸銅等の有機酸の銅塩無水物や水和物を用いるときに特に好適である。
【0019】
こうすれば、(A)成分及び/又は(B)成分を例えば樹脂中に含有させて樹脂組成物を調製する際に、単量体組成物の安定性を向上できる。これにより、単量体組成物を重合して得られる重合体(光学フィルタの近赤外光吸収層)の透明性を向上できる利点がある。
【0020】
さらに、近赤外光吸収層におけるリン原子の含有量が銅イオン1モルに対して0.4〜1.3モルとなるように、且つ、近赤外光吸収層における銅イオンの含有量が2〜60重量%となるように、式(1)で表されるリン酸エステル化合物と、銅塩と、水とを混合し又は接触させると好適である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光学フィルタについて詳細に説明する。本発明の光学フィルタは、上記(A)成分及び上記(B)成分のうち少なくとも一つの成分を含有して成る近赤外光吸収層を備えるものである。まず、近赤外光吸収層の構成成分である(A)成分と(B)成分を説明する。
【0022】
〈(A)成分〉
(A)成分は、銅イオン及び上記式(1)で表されるリン酸エステル化合物より成るものである。銅イオンを供給するための銅塩の具体例としては、酢酸銅、酢酸銅一水和物、蟻酸銅、ステアリン酸銅、安息香酸銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅等の有機酸の銅塩無水物や水和物、或いは水酸化銅や、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅等の無機酸の銅塩の無水物や水和物が挙げられる。これらのなかでは、酢酸銅、酢酸銅一水和物、安息香酸銅、水酸化銅、塩基性炭酸銅が好ましく用いられる。なお、(A)成分には、銅イオン以外の金属イオン(以下、「他の金属イオン」という。)が含有されていてもよく、他の金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、マンガン、マグネシウム、ニッケル等の金属によるイオンが挙げられる。
【0023】
また、上記のリン酸エステル化合物は、例えば、下記第1の方法、第2の方法、第3の方法等のいずれかによって製造される。
【0024】
〔第1の方法〕:この第1の方法は、無溶媒又は適宜の有機溶剤中で、下記式(12)で表される化合物と五酸化リンとを反応させる方法である。
【0025】
【化6】
Figure 0004422866
【0026】
[式(12)中、Rは、上記式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)若しくは(9)で表される基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を示す。]
【0027】
すなわち、上記式(12)で表される化合物としては、下記式(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)若しくは(20)で表されるアルコール、アルキルアルコール、フェノール等を好ましく用いることができる。
【0028】
【化7】
Figure 0004422866
【0029】
(式(13)〜(20)中、R11〜R17は炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が6〜20のアリール基又はアラルキル基を示し(ただし、芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子が、炭素数1〜6のアルキル基又はハロゲンによって少なくともひとつ置換されていてもよい)、R21〜R25は水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基を示し(ただし、R23、R24、R25が全て水素原子の場合を除く)、R31及びR32は炭素数が1〜6のアルキレン基を示し、R41は炭素数が1〜10のアルキレン基を示し、R51及びR52は炭素数が1〜20のアルキル基を示し、R61は水素原子又はメチル基を示し、mは1〜6の整数を示し、kは0〜5の整数を示し、pは2〜97の整数を示し、rは1〜4の整数を示す。)]
【0030】
また、上記式(12)で表される化合物のなかで、式(13)で表されるアルコールのうちアリール基又はアラルキル基を有する好適な具体例としては、下記式(21)又は(22)で表されるアルコールが挙げられる。また、式(15)で表されるアルコールのうちアリール基を有する好適な具体例としては、下記式(23)で表されるアルコールが挙げられる。さらに、式(17)で表されるアルコールの好適な具体例としては、下記式(24)で表されるアルコールが挙げられる。
【0031】
【化8】
Figure 0004422866
【0032】
なお、上述の如く、式(12)で表される化合物にはフェノールが含まれるが、本発明では、式(12)で表される化合物を、便宜上、総称して以下「特定のアルコール」という。ここで、特定のアルコールと五酸化リンとの反応に用いられる有機溶剤としては、五酸化リンと反応しない有機溶剤であって、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられ、これらの中では、トルエン、キシレンが好ましい。
【0033】
この[第1の方法]において、特定のアルコールと五酸化リンとの反応条件は、特定のアルコールが式(13)〜(20)で表されるアルコール(ただし、芳香環を有するものを除く)の場合、反応温度が0〜100℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間が1〜24時間、好ましくは4〜9時間である。また、特定のアルコールが、フェノール、又は式(13)〜(17)で表されるアルコールのうち芳香環を有するものの場合、反応温度が0〜100℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間が1〜96時間、好ましくは4〜72時間である。
【0034】
また、この第1の方法においては、例えば、特定のアルコール及び五酸化リンをモル比で3:1となる割合で用いることにより、上記式(1)に示す水酸基の数が2(式(1)に示すnが2)であるリン酸モノエステル化合物(以下、「モノエステル」という)と、これら水酸基の数が1(式(1)に示すnが1)であるリン酸ジエステル化合物(以下、「ジエステル」という)との割合が略1:1の混合物が得られる。また、特定のアルコールと五酸化リンとの割合及び反応条件を適宜選択することにより、モノエステルとジエステルとの割合は、モル比で99:1〜40:60となる範囲内で調整される。
【0035】
〔第2の方法〕:この第2の方法は、無溶媒又は適宜の有機溶剤中で、特定のアルコールとオキシハロゲン化リンとを反応させ、得られる生成物に水を添加して加水分解する方法である。オキシハロゲン化リンとしては、オキシ塩化リン、オキシ臭化リンを用いることが好ましく、特に好ましくはオキシ塩化リンである。また、特定のアルコールとオキシハロゲン化リンとの反応に用いられる有機溶剤としては、オキシハロゲン化リンと反応しない有機溶剤であって、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤が挙げられ、これらの中では、トルエン、キシレンが好ましい。
【0036】
そして、特定のアルコールとオキシハロゲン化リンとの反応条件は、反応温度が0〜110℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間が1〜20時間、好ましくは2〜8時間である。また、この第2の方法においては、例えば、特定のアルコール及びオキシハロゲン化リンをモル比で1:1となる割合で用いることにより、モノエステルを得ることができる。
【0037】
さらに、式(14)、(16)、(17)(ただし、R23が水素原子の場合)、(18)又は(20)で表される特定のアルコールを用いる場合には、この特定のアルコールとオキシハロゲン化リンとの割合及び反応条件を選択するとともに、反応触媒としては、四塩化チタン(TiCl4)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化アルミニウム(AlCl3)等のルイス酸触媒、副生する塩酸のキャッチ剤としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類や、ピリジン等が好ましく用いられる。
【0038】
これらの反応触媒や塩酸キャッチ剤を用いることにより、モノエステルとジエステルとの混合物が得られる。そして、この特定のアルコールとオキシハロゲン化リンとの割合及び反応触媒を含む反応に係る条件を適宜選択することにより、モノエステルとジエステルとの割合は、モル比で99:1〜1:99となる範囲内で調整される。
【0039】
また、上記式(13)、(15)、(17)(ただし、R23がアルキル基の場合)又は(19)で表される特定のアルコールを用いる場合には、この特定のアルコールとオキシハロゲン化リンとの割合及び反応条件を選択するとともに、ルイス酸触媒及び塩酸キャッチ剤を併用することにより、モノエステルとジエステルとの混合物が得られ、このとき、その割合がモル比で99:1〜1:99となる範囲内で調整される。ただし、特定のアルコールとしてアルキレンオキサイド基の繰り返し単位数mが小さいものを用いる場合には、得られるリン酸エステル化合物が水溶性のものとなるため、アミン類等の塩酸キャッチ剤を用いると、生成されるアミン塩酸塩を水による洗浄によって除去することが困難となる傾向にある。以上において、反応触媒の使用量としては、オキシハロゲン化リン1モルに対して0.005〜0.2モル、好ましくは0.01〜0.05モルである。
【0040】
〔第3の方法〕:この第3の方法は、無溶媒又は適宜の有機溶剤中で、特定のアルコールと三ハロゲン化リンとを反応させることにより、ホスホン酸エステル化合物を合成し、その後、得られたホスホン酸エステル化合物を酸化する方法である。三ハロゲン化リンとしては、三塩化リン、三臭化リンを用いることが好ましく、特に好ましくは三塩化リンである。
【0041】
また、特定のアルコールと三ハロゲン化リンとの反応に用いられる有機溶剤としては、三ハロゲン化リンと反応しない有機溶剤であって、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤が挙げられ、これらの中では、ヘキサン、ヘプタンが好ましい。そして、特定のアルコールと三ハロゲン化リンとの反応条件は、反応温度が0〜90℃、好ましくは40〜75℃であり、反応時間が1〜10時間、好ましくは2〜5時間である。
【0042】
また、上記ホスホン酸エステル化合物を酸化する手段としては、ホスホン酸エステル化合物に、例えば、塩素ガス等のハロゲンを反応させることによりホスホロハロリデート化合物を合成し、このホスホロハロリデート化合物を加水分解する手段を利用することができる。ここで、ホスホン酸エステル化合物とハロゲンとの反応温度は0〜40℃が好ましく、特に好ましくは5〜25℃である。
【0043】
また、ホスホン酸エステル化合物を酸化する前に、このホスホン酸エステル化合物を蒸留して精製してもよい。この第3の方法においては、例えば、特定のアルコール及び三ハロゲン化リンをモル比で3:1となる割合で用いることにより、ジエステルが高い純度で得られる。また、特定のアルコールと三ハロゲン化リンとの割合及び反応条件を選択することにより、モノエステルとジエステルとの混合物が得られ、このとき、その割合はモル比で99:1〜1:99となる範囲で調整される。
【0044】
以上の第1〜第3の方法で得られた第1のリン酸エステル化合物の好ましい具体例としては、下記式(25)−a、下記式(25)−b、下記式(26)−a〜x、下記式(27)−a〜x、下記式(28)−a〜v、下記式(29)−a〜nで表される化合物が挙げられる。これらリン酸エステル化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができ、それらの銅化合物における近赤外光吸収特性の観点からは、式(25)−b、式(27)−a〜x、式(28)−a〜v、式(29)−a〜nで表されるリン酸エステル化合物が好ましく、式(28)−s〜vで表されるリン酸エステル化合物が特に好ましい。
【0045】
【化9】
Figure 0004422866
【0046】
【化10】
Figure 0004422866
【0047】
【化11】
Figure 0004422866
【0048】
【化12】
Figure 0004422866
【0049】
【化13】
Figure 0004422866
【0050】
【化14】
Figure 0004422866
【0051】
【化15】
Figure 0004422866
【0052】
【化16】
Figure 0004422866
【0053】
【化17】
Figure 0004422866
【0054】
【化18】
Figure 0004422866
【0055】
【化19】
Figure 0004422866
【0056】
【化20】
Figure 0004422866
【0057】
【化21】
Figure 0004422866
【0058】
【化22】
Figure 0004422866
【0059】
〈(B)成分〉
(B)成分は、上記リン酸エステル化合物と銅化合物との反応により得られるリン酸エステル銅化合物から成るものである。銅化合物としては、前述した銅塩を用いることができ、上記リン酸エステル化合物(以下、「特定のリン酸エステル化合物」という)と銅塩との反応は、適宜の条件下で両者を接触させることにより行われる。具体的には、下記(イ)、(ロ)、(ハ)の方法等を用いることが可能である。
【0060】
(イ)特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを混合して両者を反応させる方法。
(ロ)適宜の有機溶剤中において特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを反応させる方法。
(ハ)特定のリン酸エステル化合物が有機溶剤中に含有されて成る有機溶剤層と、銅塩が溶解又は分散されて成る水層とを接触させることにより、特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを反応させる方法。
【0061】
また、この特定のリン酸エステル化合物と銅塩との反応条件は、反応温度が0〜150℃、好ましくは20〜120℃であり、反応時間が0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間、より好ましくは1〜7時間である。
【0062】
上記(ロ)の方法において用いられる有機溶剤としては、用いられる特定のリン酸エステル化合物を溶解又は分散し得るものであれば、特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のグリコールエーテル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ヘキサン、ケロシン、石油エーテル等が挙げられる。また、(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等の重合性を有する有機溶剤も用いられる。
【0063】
一方、上記(ハ)の方法において用いられる有機溶剤としては、水に不溶又は難溶であって、用いられる特定のリン酸エステル化合物を溶解又は分散し得るものであれば、特に限定されず、例えば、(ロ)の方法において用いられる有機溶剤として例示したもののうち、芳香族化合物、エーテル類、エステル類、ヘキサン、ケロシン、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル化合物等が挙げられる。
【0064】
また、銅塩として酸塩を用いた場合には、特定のリン酸エステル化合物と銅塩との反応において、銅塩から陰イオンである酸成分が遊離される。このような酸成分は、(A)成分及び/又は(B)成分を樹脂に溶解又は分散せしめた樹脂組成物とするときに、その樹脂組成物の耐湿性及び熱安定性を低下させる原因となり得るため、必要に応じて除去することが好ましい。上記(イ)又は(ロ)の方法によりリン酸エステル銅化合物を製造する場合には、特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを反応させた後、生成された酸成分((ロ)の方法においては生成された酸成分及び有機溶剤)を蒸留によって除去することができる。
【0065】
さらに、上記(ハ)の方法によってリン酸エステル銅化合物を製造する場合には、酸成分を除去する好ましい方法として、水に不溶又は難溶の有機溶剤に特定のリン酸エステル化合物が含有されて成る有機溶剤層に、アルカリを添加することによって中和した後、この有機溶剤層と銅塩が溶解又は分散された水層とを接触させることより、特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを反応させ、その後、有機溶剤層と水層とを分離する方法がある。
【0066】
ここで、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。この方法によれば、銅塩から遊離される酸成分とアルカリとによって水溶性の塩が形成され、この塩が水層に移行するとともに、生成される特定のリン酸エステル銅化合物は有機溶剤層に移行するため、この水層と有機溶剤層とを分離することにより、酸成分が除去される。
【0067】
さらに、上記式(2)、式(3)、式(6)、又は式(7)で表されるリン酸エステル化合物におけるアルキレンオキサイド基の繰り返し単位数mは、1〜6、好ましくは1〜3の整数である。このmの値が6を超えると、例えば、樹脂組成物としたときの硬度が大幅に低下する。一方、mの値が0、すなわちアルキレンオキサイド基が結合されていない場合には、樹脂組成物とする場合に、銅イオンを樹脂中に分散させることが困難となる。
【0068】
また、上記式(8)におけるアルキレンオキサイド基の繰り返し単位数kは、0〜5、好ましくは0〜2の整数である。このkの値が5を超える場合には、樹脂組成物としたときの硬度が低下する傾向にある。さらに、式(9)におけるアルキレンオキサイド基の繰り返し単位数rは、1〜4の整数である。このrの値が4を超えるものは、樹脂組成物としたときの吸湿性が高くなり、成形品の伸縮が発生しやすい傾向にある。特に、長期間の使用において、周囲環境の湿度変化による伸びや縮みによって、例えば、表面被覆層がある場合に、その表面被覆層の劣化が進行することがある。また、rの値が4を超えると、成形品の剛性又は硬度が低下してしまい、板状部材に必要な所望の機械的強度が得られにくい傾向にある。さらに、rの値が4を超える場合には、成形品に対して十分な耐熱性を得られないおそれがある。
【0069】
またさらに、リン酸エステル化合物及びリン酸エステル銅化合物の熱的安定性の観点から、上記アルキレンオキサイド基の繰り返し単位数mが1であると特に好適である。このmが1であるアルキレンオキサイド基を有するリン酸エステル化合物の銅塩及びリン酸エステル銅化合物は、mが2以上の整数であるアルキレンオキサイド基を有するものに比して、高い熱分解温度を有する傾向があり、mが1であるアルキレンオキサイド基を有するリン酸エステル化合物の銅塩及びリン酸エステル銅化合物を含む組成物を熱成形する際に、その成形温度を高めることができる。よって、成形が容易となり、成形加工性をより向上することが可能となる。
【0070】
また、mが1であるアルキレンオキサイド基を有するリン酸エステル化合物の銅塩及びリン酸エステル銅化合物は、mが2以上の整数であるアルキレンオキサイド基を有するものに比して、耐湿性に優れる傾向にある。具体的には、mが1であるアルキレンオキサイド基を有するリン酸エステル化合物の銅塩及びリン酸エステル銅化合物を用いた光学フィルタは、高温多湿の環境下でも可視光透過率の経時的な劣化が殆ど無いのに対し、mが2以上の整数であるアルキレンオキサイド基を有するものは、経時的な劣化が比較的起こりやすい傾向にある。
【0071】
なお、上述したように、特定のリン酸エステル化合物としては、モノエステルかジエステルが用いられるが、上記式(1)において水酸基が結合していないトリエステルは、銅イオンと配位結合及び/又はイオン結合が可能な水酸基を有しないため、樹脂組成物とする場合等に銅イオンを樹脂中に分散させることが困難である。
【0072】
またさらに、式(2)〜(6)におけるR11〜R17は炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2のアルキル基、又は、炭素数が6〜20のアリール基若しくはアラルキル基である(ただし、芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子が、炭素数1〜6のアルキル基又はハロゲンによって少なくともひとつ置換されていてもよい)。
【0073】
また、式(7)におけるR51、及び式(8)におけるR52は炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2のアルキル基である。これらR11〜R17、R51及びR52の炭素数が20を超えるリン酸エステル化合物は、樹脂組成物とした場合に、樹脂との相溶性が低下する場合があり、樹脂中に銅イオンを分散させ難い。
【0074】
また、式(2)におけるR21、式(3)におけるR22、及び式(6)におけるR23〜R25は、炭素数が1〜4のアルキル基である(ただし、R23、R24、R25が全て水素の場合を除く)。すなわち、式(2)及び式(3)におけるアルキレンオキサイド基としては、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基等が挙げられ、式(6)におけるアルキレンオキサイド基としてはブチレンオキサイド基等が挙げられる。これらのなかでは、プロピレンオキサイド基を有するものが好ましい。また、これらR21〜R25の炭素数が4を超える場合には、(A)成分及び/又は(B)成分を溶媒や樹脂中に高い割合で分散させることが困難となる。
【0075】
さらに、式(7)におけるR31、及び式(8)におけるR32は、炭素数が1〜6、好ましくは1〜4、更に好ましくは3〜4、特に好ましくは3のアルキレン基である。すなわち、アルキレンオキサイド基(OR31、OR32)としては、メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基、ペンチレンオキシ基、ヘキシレンオキシ基などが挙げられ、特にプロピレンオキシ基及びブチレンオキシ基が好ましい。
【0076】
このR31及びR32の炭素数が6を超える場合には、(A)成分及び/又は(B)成分を溶媒や樹脂中に高い割合で分散させることが困難である。またさらに、式(8)におけるR41は、炭素数が1〜10、好ましくは3〜6、更に好ましくは3〜4、特に好ましくは3のアルキレン基である。さらにまた、式(9)におけるR61は水素原子又はメチル基である。
【0077】
上記のような(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも一成分を含有して成る近赤外光吸収層を備える本発明の光学フィルタによれば、特定のリン酸エステル化合物のリン酸基が配位結合及び/又はイオン結合により銅イオンに結合し、この銅イオンはリン酸エステルに囲まれた状態で近赤外光吸収層中に溶解又は分散されており、この銅イオンのd軌道間の電子遷移によって近赤外光が選択吸収される。
【0078】
ここで、(A)成分及び/又は(B)成分から成る近赤外光吸収層における銅イオンの含有割合は、近赤外光吸収層全体に対して、好ましくは2〜60重量%、より好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは2〜15重量%となるように調整される。この銅イオンの含有割合が、2重量%未満であると、光学フィルタ又は近赤外光吸収層の厚さを1mm程度よりに薄くしたときに、十分な近赤外光吸収性を得ることが困難な傾向となる。一方、銅イオンの含有割合が60重量%を超えると、銅イオンを近赤外光吸収層中に分散させることが困難となる傾向にある。また、上述の如く、近赤外光吸収層が上記(A)成分及び/又は上記(B)成分を含有する樹脂組成物で形成される場合にも同様な傾向を示す。
【0079】
また、前述の金属イオンの使用割合は、銅イオンを含む全金属イオンにおける50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下である。この割合が50重量%を超える場合には、銅イオンとリン酸エステル化合物との結合配位が他の金属イオンの影響を受けるため、近赤外光吸収性が十分に高められない傾向にある。
【0080】
また、近赤外光吸収層中における特定のリン酸エステル化合物と銅イオンとの含有割合は、近赤外光吸収層中のリン原子の含有量が銅イオン1モルに対して0.4〜1.3モル、すなわち、P/Cuがモル比で0.4〜1.3、好ましくは0.8〜1.3モルとなるように調整される。P/Cuがモル比で0.4未満であると、特定のリン酸エステル化合物に対して配位する銅イオンが過剰となり、銅イオンが近赤外光吸収層中に均一に分散しにくくなる傾向にある。この傾向は、近赤外光吸収層が上述した樹脂組成物から形成される場合も同様である。
【0081】
一方、P/Cuがモル比で1.3を超えると、光学フィルタの厚さを薄くして銅イオンの含有量を、上記のように近赤外光吸収性層全体に対して2重量%以上となるように高めた場合に、失透が起こりやすくなる傾向にあり、高温多湿の環境では特にこの傾向が顕著となる。したがって、本発明の光学フィルタは、近赤外光吸収層におけるP/Cuがモル比で0.4〜1.3とされているので、銅イオンが近赤外光吸収層中へ均一に分散されて良好且つ十分な近赤外光吸収性が得られるとともに、厚さを薄くして銅イオンの含有量を高めても耐湿性に極めて優れた光学フィルタを得ることが可能となる。
【0082】
特に、このモル比が0.8以上であると、樹脂中への銅イオンの分散性を確実に且つ十分に高めることができる。よって、近赤外光吸収層におけるP/Cuをモル比で0.8〜1.3とすれば、銅イオンが近赤外光吸収層中へより一層均一に分散されて更に良好な近赤外光吸収性が得られる共に、耐湿性に更に優れた光学フィルタを得ることができる。
【0083】
さらに、特定のリン酸エステル化合物は、上記式(9)におけるR61がメチル基であり、且つ、上記式(9)におけるpが2又は3であり、且つ、上記式(9)におけるrが1のもの(すなわち、上記式(10)で表されるリン酸エステル化合物、又は、上記式(11)で表されるリン酸エステル化合物)とすると、上記pが4以上であるアルキレンオキサイド基を含む式(9)で表されるメタクリロイルオキシアルキル基を有するリン酸エステル化合物に比して、近赤外光吸収性が顕著に高められる。
【0084】
したがって、光学フィルタの近赤外光に対する選択吸収性及び可視光に対する選択透過性を向上させることができる。また、これらアルキレンオキサイド基の繰返し数であるrが1であると、光学フィルタの可視光透過率の経時的な劣化が殆ど無い。よって、光学フィルタの耐湿性の向上を一層図りうる。これに対し、rが2以上、更にはrが4を超える整数であるアルキレンオキサイド基を有する光学フィルタは、耐湿性、剛性、耐熱性等の経時的な劣化が比較的起こりやすい傾向にある。
【0085】
またさらに、式(1)で表されるリン酸エステル化合物のうち、芳香環を有するリン酸エステル化合物と、芳香環を有しないリン酸エステル化合物とを混合して用いると、可視光と近赤外光との境界にあたる波長領域(概ね波長750nm前後)における可視光側の透過率、及びその波長領域における近赤外光側の吸収率がともに高められた光学フィルタを得ることができる。
【0086】
特に、上記芳香環を有するリン酸エステル化合物が、上記式(25)−a及び/又は上記式(25)−b、好ましくは式(25)−bで表される化合物であると、近赤外光の選択吸収性、及び可視光の選択透過性により優れるとともに、後述する液状の組成物を得る際に、(A)成分及び/又は(B)成分の溶剤への溶解性を高めることができる。このとき、上記の芳香環を有するリン酸エステル化合物及び/又はその銅化合物と、芳香環を有しないリン酸エステル化合物及び/又はその銅化合物との含有割合が、重量比で10:90〜90:10、好ましくは40:60〜90:10、特に好ましくは60:40〜85:15であると好適である。
【0087】
本発明の光学フィルタを構成する近赤外光吸収層としては、上記(A)成分及び上記(B)成分のうち少なくとも一つの成分のみから形成されてもよく、上述の如く上記成分が樹脂中に含有されて成る樹脂組成物から形成されてもよい。また、上記成分を溶剤中に溶解又は分散せしめて成る液状組成物を基材等に塗布し、溶剤を蒸発させて近赤外光吸収層としてもよい。また、光学フィルタ全体が近赤外光吸収層で形成されていてももちろんよい。以下、近赤外光吸収層を形成するのに好適な液状組成物、樹脂組成物、及び、樹脂組成物のひとつとしての粘着性樹脂組成物について説明する。
【0088】
〈液状組成物〉
上記の通り、液状組成物は、上記(A)成分及び上記(B)成分のうち少なくとも一つの成分が溶剤中に溶解又は分散されたものであり、溶媒を蒸発させて生成される薄膜状の近赤外光吸収層が光学的に透明であれば、液状組成物自体は、透明なもの、半透明なもの、又は不透明なものであってもよい。
【0089】
この溶剤としては、水又は有機溶媒を用いることができ、有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のグリコールエーテル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ブチルセルソルブ等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ヘキサン、ケロシン、石油エーテル等が用いられる。また、他の溶剤として、後述する樹脂組成物で説明するような樹脂を構成する単量体(モノマー)、例えば、(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等の重合性を有する有機溶媒を用いることもできる。
【0090】
また、この液状組成物における上記(A)成分及び/又は上記(B)成分の含有割合は、使用される溶剤の種類や、光学フィルタの用途又は使用目的によって異なるが、調合後の粘度の観点から、通常、溶剤100質量部に対して、0.1〜1900質量部、好ましくは1〜900質量部、特に好ましくは5〜400質量部となる範囲で調整される。
【0091】
このような液状組成物を、例えば、可視光に対する透光性を有する薄いガラス材や樹脂材(薄い樹脂板、樹脂フィルム等)等に塗布することにより、極めて簡易に本発明の光学フィルタを得ることができる。また、この液状組成物を種々の大きさや形状を有する物品等の任意の部位や面に塗布するだけで、そのような面に薄膜状の光学フィルタを設けることが至って平易となり、大面積の面へ光学フィルタを設ける場合に非常に有用である。しかも、溶剤を樹脂又はモノマーとすれば、樹脂フィルム等の薄膜状の近赤外光吸収性材料を極めて簡易に得ることもできる。
【0092】
〈樹脂組成物〉
上記(A)成分及び上記(B)成分はともに樹脂との相溶性に優れており、また、上述したように、銅イオンが樹脂中に良好に分散されるので、優れた近赤外光吸収特性を有する樹脂組成物を得ることができる。この樹脂組成物は、単量体組成物としてもよいし、単量体組成物を重合することにより重合体組成物としても構わない。このような樹脂組成物を構成する単量体(モノマー)としては、(A)成分及び(B)成分のうち少なくともいずれか一方の成分の分散性に優れる樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、以下に示すアクリル系樹脂、又はアクリル系樹脂以外の単量体を好ましく用いることができる。
【0093】
アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体から得られる重合体が好ましく用いられる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロシキエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロシキプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレン(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート等の変性(メタ)アクリレート類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル〕プロパン、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0094】
なお、上記( )で囲まれた「メタ」の意味は、アクリル酸若しくはその誘導体、及びメタクリル酸若しくはその誘導体の両方を記載する必要があるときに、記載を簡潔にするため便宜上使用されている記載方法であり、本明細書においても採用したものである。
【0095】
また、別のアクリル系樹脂としては、上記の(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、この(メタ)アクリル酸エステル系単量体との共重合が可能な他の共重合性単量体との共重合体も用いられる。
【0096】
このような共重合性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸等の不飽和カルボン酸、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類、スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ジブロムスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ヒドロキシメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等が挙げられる。また、アクリル系樹脂以外の他の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネイト、さらにはスチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ジブロムスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ヒドロキシメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等の重合体が挙げられる。以上の単量体は、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0097】
また、単量体として単官能性のもののみを用いる場合には、熱可塑性の樹脂が得られ、単量体の一部又は全部として多官能性のものを用いる場合には、熱硬化性の樹脂が得られるので、これら樹脂組成物を適宜選択することにより、使用目的、用途及び加工成形方法等に応じた光学フィルタを得ることが可能となる。これらのうち、熱可塑性のものを用いれば、重合硬化後の再成形が容易となるので、光学フィルタの成形加工性が向上される。
【0098】
樹脂組成物は、上記(A)成分及び/又は上記(B)成分を上記樹脂中に含有させることにより調製され、このとき、(A)成分及び/又は(B)成分の含有割合は、光学フィルタの用途又は使用目的によって異なるが、成形性(又は成型性)の観点から、通常、樹脂100質量部に対して、0.1〜400質量部、好ましくは0.3〜200質量部、特に好ましくは1〜100質量部となる範囲で調整される。また、樹脂組成物における銅イオンの割合は、樹脂組成物全体に対して、好ましくは2〜60重量%、より好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは2〜15重量%となるように調整される。また、樹脂組成物を調製するための具体的な方法は、特に限定されるものではないが、以下の2つの方法によると好適である。
【0099】
[第1の方法]:この第1の方法は、単量体中に、(A)成分及び/又は(B)成分を含有させて単量体組成物を調製し、この単量体組成物をラジカル重合処理する方法である。この方法において、単量体組成物のラジカル重合処理の具体的な方法としては、特に限定されるものではなく、通常のラジカル重合開始剤を用いるラジカル重合法、例えば、塊状(キャスト)重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等の公知の方法を利用することができる。
【0100】
[第2の方法]:この第2の方法は、樹脂中に、(A)成分及び/又は(B)成分を添加して混合する方法である。この方法は、樹脂として熱可塑性樹脂を用いるときに利用される。具体的には、▲1▼溶融させた樹脂中に、(A)成分及び/又は(B)成分を添加して混練する方法、▲2▼樹脂を適宜の有機溶剤に溶解、分散又は膨潤させ、この溶液に(A)成分及び/又は(B)成分を添加して混合した後、この溶液から有機溶剤を除去する方法がある。
【0101】
上記▲1▼の方法において、樹脂と(A)成分及び/又は(B)成分とを混練する手段としては、熱可塑性樹脂の溶融混練法として一般に用いられている手段、例えば、ミキシングロールによって溶融混練する手段、ヘンシェルミキサー等によって予備混合した後、押出機によって溶融混練する手段が挙げられる。一方、上記▲2▼の方法で用いられる有機溶剤としては、上記樹脂を溶解、分散又は膨潤し得るものであれば、特に限定されるものではなく、その具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等の塩素系炭化水素類、ジメチルアクリルアミド、ジメチルフォルムアミド等のアミド化合物等が挙げられる。
【0102】
以上の樹脂組成物の調製において、(A)成分を用い、銅塩として有機酸又は無機酸の銅塩を用いる場合には、特定のリン酸エステル化合物と銅塩とが反応する結果、銅塩から陰イオンである酸成分が遊離される。このような酸成分は、必要に応じて除去されることが好ましい。そのための方法としては、(a)樹脂組成物を適宜の有機溶剤に浸漬させることにより、酸成分を抽出する方法、(b)単量体組成物の重合処理を行う前に、この単量体組成物を冷却処理することにより、酸成分を析出させて分離するといった方法が例示される。
【0103】
また、上記の樹脂組成物の調製を行う際には、水を共存させることが好ましい。すなわち、光学フィルタの製造方法として、前述の式(1)で表される特定のリン酸エステル化合物と銅塩と水とを混合し又は接触させる工程を実施する、換言すれば、特定のリン酸エステル化合物及び銅塩を混合又は接触させる際に水を共存させると好ましい。
【0104】
このようにすれば、単量体組成物の安定性を十分に向上できる。しかも、単量体組成物を重合して得られる重合体(光学フィルタの近赤外光吸収層)の透明性を向上させることが可能となる。このとき、水を共存させる方法としては、単量体組成物を調製する際に水を更に添加する方法等が挙げられる。より具体的には、例えば、樹脂を構成する単量体に特定のリン酸エステル化合物及び銅塩を加えた後に、液体の水又は気体の水(水蒸気)を添加又は導入するとよい。こうすれば、(A)成分及び/又は(B)成分を樹脂の単量体に溶解又は分散させ易い利点がある。
【0105】
このような水を添加する方法は、銅塩として酢酸銅、酢酸銅一水和物、安息香酸銅等の有機酸の銅塩無水物や水和物を用いるときに特に好適である。また、銅塩として水酸化銅、塩基性炭酸銅等を用いた場合には、上記のような酸成分の除去は必要ないが、単量体組成物の調整時に常圧又は減圧下で還流脱水することが好ましい。このようにすれば、上述の如く銅塩として酸の銅塩無水物や水和物を用いるときに水を共存させた場合と同様な効果を得ることができる。
【0106】
これは、単量体組成物中に水が不足してる場合には添加し、過剰量存在している場合には除去することで、単量体組成物の安定性を向上させ、単量体組成物を重合して得られる重合体の透明性を向上できることによると考えられる。より深考すれば、単量体組成物又はその重合体中に含まれる水の過不足無い好適な含量範囲があると推定される。ただし、作用機序はこれに限定されるものではない。
【0107】
そして、このようにして得られた単量体組成物は、水(水分)を0.1〜5重量%含有することが好ましい。この水分含量が0.1重量%を下回ると、単量体組成物の安定性が十分ではない場合があると共にその重合体の透明性を十分に向上できないことがある。一方、この水分含量が5重量%を上回ると、重合体に白化が生じることがあり、この場合、重合体の透明性が顕著に低下してしまう。
【0108】
上記(a)の方法において用いられる有機溶剤としては、遊離される酸成分を溶解することができ、用いられる樹脂に対して適度な親和性(樹脂を溶解しないが、この樹脂中に浸透する程度の親和性)を有するものであれば、特に限定されるものではない。このような溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級脂肪族アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、石油エーテル等のエーテル類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素等の脂肪族系炭化水素類及びそのハロゲン化物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素類等が挙げられる。
【0109】
一方、上記(b)の方法においては、(A)成分を構成する銅塩として、遊離される酸成分が単量体に溶解しにくいもの、或いは有機酸又は無機酸塩以外の銅塩を用いることが好ましく、具体的には、安息香酸等の芳香環を有するカルボン酸の銅塩や水酸化銅が挙げられる。
【0110】
〈粘着性樹脂組成物〉
アクリル系樹脂以外の樹脂を含む組成物のなかで、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、又はその共重合体の部分鹸化物を含む組成物は、ガラス材又はプラスチック材から成る基材に対する接着性に優れており、且つ、それ自体が柔軟性を有し、さらに温度依存性が小さいという特性を有している。
【0111】
したがって、上記(A)成分及び/又は上記(B)成分を含むこのような樹脂組成物は、粘着性樹脂組成物であり、接着剤を用いなくとも基材への接着が確実であり、よって、成形加工性に優れた光学フィルタを簡易に得ることができるとともに、得られた光学フィルタの温度変化に対する耐性を向上させることができる。
【0112】
また、以上の樹脂組成物には、他の成分として樹脂と相溶性を有する種々の可塑剤を含有させることができ、これにより、銅イオンの樹脂成分中への分散性を高めることができる。このような可塑剤の具体例としては、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル系可塑剤、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸系可塑剤、ジブチルセバケート、ブチルリシノレート、メチルアセチルリシノレート、ブチルサクシネート等の脂肪酸系可塑剤、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート、ポリエチレングリコール等のグリコール系可塑剤等が挙げられる。また、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系又はサリチル酸系の紫外線吸収剤、その他の抗酸化剤、安定剤等を更に含有させることもできる。
【0113】
次に、上記のような近赤外光吸収層を備える光学フィルタ(上述したように、光学フィルタ全体が近赤外光吸収層であってもよい)を適用した好適な用途について例示する。
【0114】
〈ディスプレイ前面板〉
本発明による光学フィルタを、プラズマ・ディスプレイ・パネル( Plasma Display Panel ;以下単にPDPという)等の電子ディスプレイの前面板、いわゆるディスプレイ前面板に適用すると極めて好適である。これら電子ディスプレイに備わる発光体の中には、波長800nm〜1100nmの近赤外光を発生するものがあり、電子ディスプレイの前面から出射された近赤外光が、電子ディスプレイ周辺で使用されるTV等の近赤外光リモートコントロールシステム(赤外線リモコン)の誤動作を引き起こすといった問題がある。特に、PDPにおいては、発光体電極間に封入されている希ガス(Xe,Ne)の放電励起が利用されており、他の電子ディスプレイに比して高強度の近赤外光が発光される。このような事情から、近赤外光の吸収特性及び可視光の透過性に優れたディスプレイ前面板が望まれている。
【0115】
そこで、例えば、ディスプレイ前面板を構成する基板(ガラス、樹脂製の基板等)に本発明の光学フィルタを貼合することにより、近赤外光の選択吸収性及び可視光の選択透過性に優れたディスプレイ前面板を得ることが可能となる。しかも、光学フィルタの耐湿性が向上されるので、そのようなディスプレイ前面板の失透を長期にわたって防止でき、このディスプレイ前面板の製品寿命を伸長させることが可能となる。また、(A)成分及び/又は(B)成分そのもの、又は上述の液状組成物を基板上に塗布して乾燥させれば、ディスプレイ前面板の表面に薄膜状の近赤外光吸収層から成る光学フィルタが形成されることとなる。以下、このようなディスプレイ前面板の一例について説明する。
【0116】
図1(a)は、本発明の光学フィルタを用いたディスプレイ前面板の一例を示す摸式断面図であり、図1(b)はその積層構造を示す分解斜視図である。ディスプレイ前面板1は、PDPの前面に取り付けられる光学的に透明な板状を成す透明部材11の一方の面に、本発明の光学フィルタ16が貼合され、更に、導電性を有する細線が縦横に編み込まれてメッシュ状を成すシールドメッシュ13が、樹脂製(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)製)の透明フィルム14で覆われるように貼付されたものである。また、透明部材11の他方面の全域には反射低減膜12が形成されている。さらに、シールドメッシュ13と接していない透明フィルム14の面には反射防止膜15が形成されている。
【0117】
透明部材11に形成された光学フィルタ16としては、以下の3種類の形態が好適である。
[第1の形態]:透明部材11上に、(A)成分及び/又は(B)成分が貼合又は塗布されたもの、或いは、上述の液状組成物又は粘着性樹脂組成物が、貼合又は塗布されて、乾燥されて薄膜となったもの。
[第2の形態]:上述の樹脂組成物から成る薄い板状又はフィルム状のもの。
[第3の形態]:薄い透明体(板、フィルム等)に、(A)成分及び/又は(B)成分が貼合又は塗布されたもの、上述の液状組成物又は粘着性樹脂組成物が貼合又は塗布されたもの、或いは、上述の樹脂組成物から成るフィルムが貼合されたもの。
【0118】
上記樹脂組成物に用いられる樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂が好ましく、可視光透過性、耐候性、成形加工性等の観点からは、アクリル系樹脂が特に好ましい。アクリル系樹脂から成る樹脂組成物を用いると、ディスプレイに表示された映像が暗くならずに観賞し易く、また、耐久性に優れるとともに、加工形状の制約が少ないディスプレイ前面板1を得ることができる。
【0119】
ここで、上記各形態の光学フィルタ16を含む透明部材11を備えるディスプレイ前面板1においては、波長800nm〜1000nmの波長領域におけるディスプレイ前面板1としての近赤外光の透過率が20%以下、好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下となるように、本発明による光学フィルタ中の(A)成分及び/又は(B)成分の種類、濃度、層厚(塗布又は積層される場合はその層の厚さ、樹脂に分散される場合は樹脂層の厚さ)が調整されている。このようにすれば、例えば、赤外線通信等で主に利用されている波長950nm近傍の近赤外光が十分に減衰されるので、ディスプレイの周囲に赤外線リモコン等がある場合でもそれらが誤動作するおそれが少ない。
【0120】
また、シールドメッシュ13を、例えば、銅やニッケルといった遷移金属で被覆されたプラスチック繊維で編成すると、数MHz〜1GHz程度の周波数範囲の電磁波を有効に且つ確実に遮へいすることができる。また、反射低減膜12及び反射防止膜15は、例えば、二酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の低屈折率材料から成る薄膜と、二酸化チタンや酸化イットリウム等の高屈折率材料の薄膜とを交互に積層することにより形成できる。
【0121】
図2は、図1に示すディスプレイ前面板1の使用状態を示す斜視図である。図2に示すように、ディスプレイ前面板1は、反射防止膜15が形成された面を前方にして、PDP2のパネル面21を覆うように配置される。そして、PDP2のパネル面21から発せられた近赤外光は、光学フィルタ16により吸収されて強度が20%以下、好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下に減じられる。一方、PDP2のパネル面21から近赤外光と同時に発せられる可視光は、ディスプレイ前面板1に備わる光学フィルタ16によって殆ど吸収されない。したがって、図2に示すPDP2の周辺に、近赤外光で作動するような機器が置かれていても、PDP2のパネル面21から出射される近赤外光がそれら機器の誤動作を起こすことを有効に防止できるとともに、パネル面21に映し出される映像等を支障なく観賞できる。
【0122】
また、PDP2のパネル面21からは電磁波が放出されるが、このような電磁波は、図1(a)及び(b)に示すシールドメッシュ13によって有効に遮蔽されるので、PDP2の観賞中にこのような電磁波に曝されることがない。さらに、このシールドメッシュ13は、金属並の導電性を有するため、ディスプレイ前面板1に静電気が殆ど帯電せず、静電気によりディスプレイ前面板1に埃等が付着することが防止される。またさらに、シールドメッシュ13が、プラスチック繊維を主成分としているものであると、ディスプレイ前面板1を軽量化することが可能である。しかも、シールドメッシュ13は柔軟性に富むので、ディスプレイ前面板1が凹凸形状を有する場合でも容易に貼合できる利点がある。
【0123】
また、ディスプレイ前面板1側からパネル面21へ入射する外光(主に自然光や電灯からの光)は、ディスプレイ前面板1の反射防止膜15に入射すると、反射防止膜15を形成する屈折率の異なる多層の作用によって反射することが防止される。これにより、PDP2の周囲が明るくても、外光の反射によってパネル面21の映像等が見え難くなることを防止できる。このとき、外光のごく一部は反射防止膜15を透過するが、この透過光は反射低減膜12によって反射が低減される。よって、外光の反射によってパネル面21に写った映像等が見え難くなることを一層防止できる。
【0124】
ところで、近赤外光や赤外光は熱線であり、熱線の吸収が必要とされる部材に本発明の光学フィルタを貼合又は形成させても好適である。以下、具体的な適用例として、熱線吸収性コーティング、熱線吸収性複合体、及び熱線吸収性粘着剤を用いた熱線吸収体について説明する。
【0125】
〈熱線吸収性コーティング〉
上記(A)成分及び/又は上記(B)成分を適宜の溶剤に溶解又は分散させたもの、すなわち、上述した液状組成物をコーティングが必要な面に塗布し、溶剤を蒸発させると、その面の一部又は全部に薄膜を形成させることができる。この薄膜が本発明の光学フィルタ(近赤外光吸収層)であり、近赤外光吸収性及び耐湿性に優れた熱線吸収性コーティングとなる。このように形成される薄膜状の光学フィルタが光学的に透明であれば、液状組成物自体は、透明なもの、半透明なもの又は不透明なものであってもよい。
【0126】
また、(A)成分及び/又は(B)成分の溶剤への溶解性又は分散性を高めるために、或いは、熱線吸収性コーティングを施した面、すなわち、光学フィルタが形成された面の平坦性等を高めるために、液状組成物に溶解補助剤等を添加剤として加えてもよい。このような添加剤としては、例えば、レベリング剤、消泡剤としての各種の界面活性剤が好ましく用いられる。熱線吸収性コーティングのための液状組成物における上記(A)成分及び/又は上記(B)成分の含有割合は、使用される液状媒体の種類や、熱線吸収性コーティング剤の用途又は使用目的によって異なるが、調合後の粘度の観点から、通常、液状媒体100質量部に対して、0.1〜1900質量部、好ましくは1〜900質量部、特に好ましくは5〜400質量部となる範囲で調整されると好適である。
【0127】
〈熱線吸収性複合体〉
熱線吸収性複合体としては、透光性を有する基材の一方の面に、本発明の光学フィルタが貼合又は形成されたものが有用であり、この光学フィルタ上に透光性を有するもうひとつの基材が更に貼合されていてもよい。基材を構成する材料としては、可視光透過性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、熱線吸収性複合体の用途に応じて適宜選択されるが、硬度、耐熱性、耐薬品性、耐久性等の観点から、無機ガラス若しくは有機ガラス等のガラス材、又は、例えば、ポリカーボネイト、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等のプラスチック材料を用いると好適である。
【0128】
また、基材は、それぞれ同じ種類の材料で構成されていてもよく、或いは互いに異なる材料で構成されていてもよい。さらに、光学フィルタが貼合又は形成されていない側の基材の面が硬化処理されていると、その面の損傷防止及び耐久性の観点から好ましい。また、基材には更に他の透光性材料より成る層が設けられていてもよい。このようにすれば、近赤外光吸収性及び耐湿性に優れた熱線吸収性複合体を得ることができる。
【0129】
また、熱線吸収性複合体の基材及び光学フィルタのうち少なくとも一つの面には、反射低減層又は反射防止層が設けられていてもよい。この反射低減層又は反射防止層としては、無機酸化物、無機ハロゲン化物等より成る公知の材料を用いて、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングといった種々公知の方法によって形成させることができる。また、必要に応じて、特定波長の可視光を吸収する可視光吸収剤、例えば、波長500〜600nmを選択的に吸収するコバルトイオンを含む金属イオン含有成分等やその他の添加剤が樹脂組成物中に混合されていてもよい。
【0130】
〈熱線吸収性粘着剤を用いた熱線吸収体〉
熱線吸収性粘着剤としては、粘着性を有する樹脂と上記(A)成分及び/又は上記(B)成分とを含有して成るものが有用である。粘着性を有する樹脂としては、粘着性を有するアクリル系樹脂を好ましく用いることができ、これは、粘着成分を構成するアクリル系樹脂の単量体を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。このようなアクリル系樹脂の単量体としては、アルキル基の炭素数が4〜12であって、ホモポリマーのガラス転移点が−70〜−30℃であるアクリル酸アルキルエステルを好適に用いることができ、具体的には、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート等が挙げられる。
【0131】
また、粘着性を有するアクリル系樹脂を得るための単量体組成物には、上記の粘着成分として用いられるアクリル系樹脂の単量体の他に、凝集成分を構成する単量体及び改質成分を構成する単量体を含有させることが望ましい。この凝集成分を有する単量体としては、粘着成分として用いられるアクリル系樹脂の単量体と共重合可能なものであって、得られる共重合体のガラス転移点を高める作用を有するものが用いられ、具体的には、炭素数が1〜3の低級アルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。
【0132】
また、上記改質成分として用いられる単量体としては、上記粘着成分として用いられるアクリル系樹脂の単量体と共重合可能であって、官能基を有するものが用いられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル等のカルボキシル基含有化合物、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含有化合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド等の酸アミド化合物、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体等が挙げられる。
【0133】
上記単量体組成物における各単量体の使用割合は、用いられる単量体の種類、得られるアクリル系樹脂組成物の使用目的等によって異なるが、通常、粘着成分として用いられるアクリル系樹脂の単量体が30〜95質量%、凝集成分として用いられる単量体が5〜50質量%、改質成分として用いられる単量体が0.1〜10質量%である。また、この単量体組成物を重合処理する方法としては、溶液重合法及び乳化重合法を用いることができる。
【0134】
これら重合処理に用いられる触媒としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチルニトリル、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過酸化物が挙げられる。溶液重合法により単量体樹脂組成物の重合処理を行う場合には、重合溶媒として種々の有機溶媒を用いることができ、例えば、酢酸エチル等のエステル類、芳香族炭化水素類、ケトン類等が挙げられる。また、乳化重合法により単量体組成物の重合処理を行う場合には、乳化剤として、通常の乳化重合に使用されている公知の種々のものを用いることができる。
【0135】
そして、上記のように単量体組成物を重合処理することにより、粘着性を有するアクリル系樹脂がポリマー溶液又はラテックスの状態で得られる。このようにして得られたポリマー溶液又はラテックスに、(A)成分及び/又は(B)成分を混合したものを、基材上に、例えば、薄く引き伸ばすように貼付又は塗布することにより、粘着性を有する光学フィルタが形成される。また、上記混合物には、必要に応じて、特定波長の可視光を吸収する可視光吸収剤、例えば、波長500〜600nmを選択的に吸収するコバルトイオンを含む金属イオン含有成分等や、その他の添加剤を混合してもよい。
【0136】
ここで、熱線吸収性粘着剤における上記(A)成分及び/又は上記(B)成分の含有割合は、粘着性を有するアクリル系樹脂の透光性や粘着性を損なわない範囲でできるだけ多い方が望ましいが、粘着性を有するアクリル系樹脂100質量部に対して、0.1〜400質量部、好ましくは0.3〜200質量部、より好ましくは1〜100質量部の範囲で調整されると好適である。この熱線吸収性粘着剤を透明基材に塗布することにより、粘着性を有する光学フィルタが形成された熱線吸収体を簡易に得ることができる。また、この光学フィルタ上に基材を貼合させると、貼合のために接着剤を用いることなく、上述の熱線吸収性複合体を簡易に得ることもできる。
【0137】
また、以上説明した熱線吸収性コーティング、熱線吸収性複合体及び熱線吸収性粘着剤を用いた熱線吸収体は、熱線の遮蔽が要求される透光性部材等に適用されると好ましい。具体例としては、住宅やその他の建造物の窓材、自動車や電車等の車両の窓材、航空機や船舶等の車両の窓材といった採光と眺望を得るための部材が挙げられる。このような窓材は、熱線遮蔽性を得るために可視光を吸収するような遮光部材を用いる場合に比して、同等以上の熱線吸収性を有しつつ、可視光透過性に優れているので、窓の外部の風景の視認性に優れており、良好な開放感を得られる傾向にある。また、本発明の光学フィルタが耐湿性に優れているので、この光学フィルタを有する窓材等が高温多湿に曝される屋外等で使用されても、失透が起こりにくく、良好な熱線吸収性を長期間保持できる利点がある。
【0138】
また、他の用途としては、植物栽培雰囲気を覆う温室施設を構築するための農業用被覆材が挙げられる。温室施設は内部の保温を目的としているが、夏季には外部からの熱線によって内部の温度が必要以上に上昇してしまうおそれがある。そこで、上記の熱線吸収性コーティングが施された農業用被覆材、或いは、上記の熱線吸収性複合体及び熱線吸収体から形成された農業用被覆材を用いれば、温室内等の過剰な温度上昇を有効に抑制して、温室施設の利用期間を延長でき、稼働率を向上することが可能となる。また、可視光透過性に優れているので、温室外部からの内部の視認性も向上される。また、本発明の光学フィルタは耐湿性に優れているので、この光学フィルタを有する農業用被覆材が屋外等で使用されても、失透が起こりにくく、良好な熱線吸収性を長期間保持できる利点がある。
【0139】
【実施例】
以下、本発明に係る具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0140】
〈実施例1〉
(1)上記式(28)−sで表されるリン酸エステル化合物(以下、「リン酸エステルA」という)を16g、上記式(28)−tで表されるリン酸エステル化合物(以下、「リン酸エステルB」という)を14.4g、ジエチレングリコールジメタクリレートを20g、メチルメタクリレートを48.6g、及び、α−メチルスチレンを0.9g混合し、モノマー溶液を得た。
(2)このモノマー溶液に安息香酸銅(安息香酸第二銅;以下同様)を32g加えて溶解させた後、−20℃の冷蔵庫内に24時間静置し、安息香酸(融点122℃)を結晶化させて析出させた。
(3)析出した安息香酸を−20℃の温度環境下でモノマー溶液から濾別分離した。
(4)このモノマー溶液に重合開始剤としてt−ブチルパーオクタノエートを2.0g添加した。このモノマー溶液をポリ塩化ビニル製ガスケットと2枚のガラス基板から構成される重合用セルに注入し、45℃で16時間、60℃で8時間、100℃で3時間と順次異なる温度で加熱して厚さ0.5mmの板状で淡青色透明の光学フィルタを得た(なお、この光学フィルタは、全体が近赤外光吸収層となっている)。
(5)この光学フィルタ中のリン原子の含有量は、銅イオン1モルに対して1.13モル(すなわち、P/Cuがモル比で1.13)であった。また、光学フィルタ中の銅イオンの含有量は、6.1重量%であった。
【0141】
〈実施例2〉
リン酸エステルAを17.3g、リン酸エステルBを15g、メチルメタクリレートを46.7g用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして厚さ0.5mmの板状で淡青色透明の光学フィルタを得た。この光学フィルタ中のP/Cuはモル比で1.20であった。また、光学フィルタ中の銅イオンの含有量は、6.1重量%であった。
【0142】
〈実施例3〉
モノマー溶液に水を0.7g添加したこと以外は、実施例2と同様にして厚さ0.5mmの板状で淡青色透明の光学フィルタを得た。この光学フィルタのP/Cuはモル比で1.20であった。また、光学フィルタ中の銅イオンの含有量は、6.1重量%であった。
【0143】
〈比較例1〉
リン酸エステルAを12g、リン酸エステルBを11.7g、メチルメタクリレートを55.3g、安息香酸銅を20g用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして厚さ0.5mmの板状で淡青色透明の光学フィルタを得た。この光学フィルタ中のP/Cuのモル比は1.42であった。また、光学フィルタ中の銅イオンの含有量は、3.9重量%であった。
【0144】
〈比較例2〉
リン酸エステルAを21.5g、リン酸エステルBを23.5g、メチルメタクリレートを34g用いたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ0.5mmの板状で淡青色透明の光学フィルタを得た。この光学フィルタ中のP/Cuのモル比は1.71であった。また、光学フィルタ中の銅イオンの含有量は、6.1重量%であった。
【0145】
〈比較例3〉
リン酸エステルAを14.5g、リン酸エステルBを14g、メチルメタクリレートを50.5g用いたこと以外は、上記実施例3と同様にして厚さ0.5mmの板状で淡青色透明の光学フィルタを得た。この光学フィルタ中のP/Cuのモル比は1.71であった。また、光学フィルタ中の銅イオンの含有量は、3.9重量%であった。
【0146】
〈分光透過率測定〉
実施例1〜3並びに比較例1〜3で作製した光学フィルタについて、分光光度計「U−4000」((株)日立製作所製)を用い、波長250〜1200nmにおける分光透過率を測定した。図3〜7は、それぞれ実施例1及び2並びに比較例1〜3の光学フィルタに対する分光透過率スペクトルを示す。これの結果から、本発明の光学フィルタは十分な可視光透過性及び近赤外光吸収性を有するものであることが確認された。また、実施例3の光学フィルタは、実施例2の光学フィルタと同等又はそれ以上の透明性を有していた。
【0147】
〈耐湿性試験〉
実施例1〜3及び比較例1〜3で作製した光学フィルタを、周囲温度60℃、相対湿度90%の環境下に放置し、各光学フィルタが白化(白濁)して失透するまでの時間(hr)を目視で測定した。結果を表1に示す(各光学フィルタの成分等も併せて表1に示す)。これらの結果より、P/Cuのモル比が小さくなるに従って失透し難くなる傾向が認められた。
【0148】
また、比較例の光学フィルタが最長でも660時間で失透したのに対し、実施例の光学フィルタは、1100時間以上で失透した。このことから、本発明による光学フィルタは、極めて耐湿性に優れたものであることが確認された。さらに、実施例2の処方に水を更に添加して製造した実施例3の光学フィルタは、実施例2に比して失透に至る時間が長かった。このことから、調製時に水を添加する方法の有効性が確認された。
【0149】
【表1】
Figure 0004422866
【0150】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、光学フィルタにおける近赤外光吸収層の厚さを薄くしたときに、銅イオンの含有量を高めて十分な近赤外光吸収性を得る場合に、特定のリン酸エステル化合物を用い、且つ、近赤外光吸収層におけるリン原子と銅イオンとの含有割合が所定の値、すなわち、近赤外光吸収層におけるリン原子の含有量が銅イオン1モルに対して0.4〜1.3モルとされているので、十分な近赤外光吸収性を有しつつ、耐湿性に極めて優れた光学フィルタを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の光学フィルタを用いたディスプレイ前面板の一例を示す摸式断面図であり、図1(b)はその積層構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すディスプレイ前面板の使用状態の一例を示す斜視図である。
【図3】実施例1による光学フィルタの分光透過率スペクトル図である。
【図4】実施例2による光学フィルタの分光透過率スペクトル図である。
【図5】比較例1による光学フィルタの分光透過率スペクトル図である。
【図6】比較例2による光学フィルタの分光透過率スペクトル図である。
【図7】比較例3による光学フィルタの分光透過率スペクトル図である。
【符号の説明】
1…ディスプレイ前面板、2…PDP(ディスプレイ)、16…光学フィルタ。

Claims (5)

  1. 下記(A)成分及び下記(B)成分のうち少なくとも一つの成分を含有して成る近赤外光吸収層を備え、
    前記近赤外光吸収層におけるリン原子の含有量が銅イオン1モルに対して0.4〜1.3モルであり、
    前記近赤外光吸収層における銅イオンの含有量が2〜60重量%である、
    ことを特徴とする光学フィルタ。
    (A)成分:下記式(1)で表されるリン酸エステル化合物及び銅イオンより成る成分
    (B)成分:前記リン酸エステル化合物と銅化合物との反応により得られるリン酸エステル銅化合物
    Figure 0004422866
    [式(1)中、Rは、下記式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)若しくは(9)で表される基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を示し、nは1又は2であり、nが1のときにRは同一であっても異なっていてもよい。
    Figure 0004422866
    (式(2)〜(9)中、R11〜R17は炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が6〜20のアリール基又はアラルキル基を示し(ただし、芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子が、炭素数1〜6のアルキル基又はハロゲンによって少なくともひとつ置換されていてもよい)、R21〜R25は水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基を示し(ただし、R23、R24、R25が全て水素原子の場合を除く)、R31及びR32は炭素数が1〜6のアルキレン基を示し、R41は炭素数が1〜10のアルキレン基を示し、R51及びR52は炭素数が1〜20のアルキル基を示し、R61は水素原子又はメチル基を示し、mは1〜6の整数を示し、kは0〜5の整数を示し、pは2〜97の整数を示し、rは1〜4の整数を示す。)]
  2. 前記近赤外光吸収層におけるリン原子の含有量が銅イオン1モルに対して0.8〜1.3モルである、ことを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
  3. 前記リン酸エステル化合物は、上記式(9)におけるR61がメチル基であり、且つ、上記式(9)におけるpが2又は3であり、且つ、上記式(9)におけるrが1のものであることを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
  4. 下記(A)成分及び下記(B)成分;
    (A)成分:下記式(1)で表されるリン酸エステル化合物及び銅イオンより成る成分、
    (B)成分:前記リン酸エステル化合物と銅化合物との反応により得られるリン酸エステル銅化合物、
    のうち少なくとも一つの成分を含有して成る近赤外光吸収層を有する光学フィルタの製造方法であって、
    上記式(1)で表されるリン酸エステル化合物と、銅塩と、水とを混合し又は接触させる工程を備える、
    ことを特徴とする光学フィルタの製造方法。
  5. 前記工程においては、
    前記近赤外光吸収層におけるリン原子の含有量が銅イオン1モルに対して0.4〜1.3モルとなるように、且つ、該近赤外光吸収層における銅イオンの含有量が2〜60重量%となるように、上記式(1)で表されるリン酸エステル化合物と、銅塩と、水とを混合し又は接触させる、
    ことを特徴とする請求項4記載の光学フィルタの製造方法。
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