JP4411886B2 - 容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキや医療用廃棄物等の液状物や固体やゲル状物体等の内容物を収納して開閉可能な蓋付きの容器に関するもので、好ましくは液密または気密にシール可能な蓋付きの容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の容器として、例えば下記特許文献1に記載された運搬用容器がある。この運搬用容器は、容器本体の上部の開口部に外周側に突出するフランジ部を形成し、蓋にフランジ部と嵌合する凹状係止部を設けている。凹状係止部を構成する内側壁と外側壁にはフランジ部の内側肩部と外側肩部に係合する凹陥部と膨出部とを形成している。
そして容器本体に蓋を嵌合させた際に、凹状係止部に形成した凹陥部の間隙のためにフランジ部は外側肩部が膨出部に当接するまでスムーズに挿入でき、その後にフランジ部が膨出部を乗り越えることで凹状係止部に面接触して嵌合することになる。そのため、嵌合時にかかる負荷はフランジ部が膨出部を乗り越える際の荷重で済むとしている。
しかしながら、このような構成では、嵌合状態でのシール(封止)が不十分であり、特に密閉した容器内部で空気や内容物が膨張したりして内圧が上昇すると、蓋が外側に湾曲して凹状係止部の内側壁がフランジ部から離れ、シール能力が低下し、液漏れ等を起こし易いという欠点がある。そのため、シール部材を凹状係止部に装着することが必須となるが、シール部材の付加によってコスト高になる上に、内容物によってはシール部材が腐食したり溶け出して内容物と混合したりする不具合があるため、シール部材を採用できない場合もあった。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−26206号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、容器本体と蓋との封止性能を良好に維持するために、蓋の凹状係止部の内側壁と外側壁の両方に突起部を形成して容器本体のフランジ部を嵌合するようにした容器も考えられる。しかしながら、その場合には、嵌合時にフランジ部が内側壁と外側壁の突起部を乗り越えることになるために、蓋の嵌合のために大きな荷重がかかり、人手で嵌合することが困難になるという不具合があった。
本発明は、このような実情に鑑みて、嵌合時に要する荷重を抑制すると共にシール性能を向上できるようにした容器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による容器は、開口を有する筒状部をなす周側部と底面とで構成されている容器本体と該容器本体に嵌合する蓋とを有する容器において、前記周側部の上端部には、該周側部よりも大なる径を有する周縁部と、前記周側部と前記周縁部との間に介在する段差部とからなる係合突部が形成され、蓋には容器本体の係合突部に嵌合可能な係止凹部が設けられ、この係止凹部の内面に外側壁面と内側壁面が形成され、前記外側壁面に第一凸部が設けられていると共に内側壁面に第二凸部が設けられてなり、前記係合突部は第一凸部に乗り上げた後に第二凸部に乗り上げ、第一凸部を乗り越えることで前記係止凹部と嵌合するようにされ、前記容器本体には前記周縁部から延びて外側に突出する段部が形成され、前記蓋には前記第一凸部から延びて外側に拡径するスカート部が設けられ、前記容器本体の係合突部と蓋の係止凹部が嵌合した状態で前記段部にはスカート部が当接するようにされ、前記容器本体と蓋が嵌合した状態で、前記係合突部の頂部は係止凹部の内奥部に形成された天面と離間していることを特徴とする。
容器本体と蓋の嵌合時に、先ず第一凸部に係合突部が当接して押圧すると、係止凹部は外側壁面が外側に弾性変形して開くと共に係合突部が内側に弾性変形することで比較的小さな荷重で乗り上げ、次に係合突部が第二凸部に当接して押圧すると、内側側壁が押されてその応力で係合突部が外側に外側壁面を押圧して更に弾性変形させることで比較的大きな荷重で第二凸部に乗り上げる。これによって、係合突部は第一及び第二凸部で係止凹部内に挟持されて嵌合され、高いシール性能を確保できる。
係合突部が第一及び第二凸部に順次乗り上げるので、嵌合に要する荷重を集中させて付与することがなく、また係止凹部内で係合突部が弾性変形して嵌入することができるために比較的小さな荷重で嵌合できる。しかも嵌合状態で、係止凹部の弾性変形による復帰力によって第一及び第二凸部でシールできると共に係合突部が係止凹部内で外側壁面に押圧されてシールされるため、封止性能が高い。更に、容器内部が膨張して蓋が外側に湾曲しても第二凸部によって確実にシールを維持できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明による容器は、容器本体と蓋とが嵌合した状態で、係止凹部と係合突部との間に間隙を有していることが好ましく、この構成によって嵌合時に係合突部の弾性変形を許容するため、嵌合に要する荷重を小さくできる。しかも、嵌合状態で何らかの原因によって第二凸部から容器内部の気体や液体が漏れた場合でも、係止凹部内の間隙に貯留させることができて液密性や気密性を確保できる。
また、容器本体には係合突部の下方から延びて外側に突出する段部が形成され、蓋には係止凹部から延びて外側に拡径するスカート部が設けられ、容器本体の係合突部と蓋の係止凹部が嵌合した状態で段部にはスカート部が当接するようにしてもよい。段部にスカート部が着座することで、開封時に段部とスカート部との間に指が入らないために、別に設けたタブによってバージンプルーフを確認できる。そのため、段部には、開封時にスカート部を持ち上げるタブと、その周囲に設けた鍔部とが設けられている。
【0007】
また、容器本体と蓋が嵌合した状態で、係合突部の頂部は係止凹部の内奥部に形成された天面と離間していてもよく、この構成によって、容器本体や蓋を射出成形で製作した場合のバリや製造誤差等があっても吸収できて、スカート部と段部とによるバージンプルーフを確認できる。
また、係止凹部の内側壁面には第二凸部が位置し、この第二凸部から内側壁面の下方に向けてなだらかなテーパ面が形成されていてもよく、嵌合時に係合突部をテーパ面に沿って挿入することでスムーズな嵌合を行える。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。図1乃至図5は本発明の第一の実施例による容器を示すもので、図1は蓋と容器本体の分解斜視図、図2〜図4は容器本体に蓋を嵌合する工程を示す嵌合構造部分の要部縦断面図である。
図1に示す実施例による容器1は、容器本体2と蓋3とで構成されており、例えばレジストインキ、水系塗料、はんだペースト等の液状、ゲル状の物質や、医療用廃棄物や食品や薬品等を密封状態で収納するものである。容器本体2は例えば平面視円形の開口4を有するテーパ状の筒状部をなす周側部5と底面とで概略構成されている。
周側部5の上端側は、例えば段差部6aと段差部6aを介して拡径された略円筒状の周縁部6bとからなる係合突部6が形成されている(図2乃至図5参照)。図2において、係合突部6は、好ましくは周側部5とほぼ同一の肉厚で全周に亘ってリング状に形成されており、フランジ部は設けられていない。段差部6aは周縁部6bと周側部5を連結する傾斜面状部分であり、断面視略直線状の傾斜面としてもよいし曲面状の傾斜面としてもよい。
【0009】
また図1に示すように、係合突部6に近い周側部5の上部にはタブ7が下方に向けて段付きで取り付けられている。このタブ7は上端が周側部5に連結されたヒンジ7aをなし、その下側部分は段部7bを介して下方へ延びる作動片7cとされている。
そして、図1及び図2において、タブ7の両側はタブ7と同様に段部9a付きの鍔部9が略円周状に形成されて同様に段部9aが周側部5に連結されている。鍔部9の段部9aはタブ7の段部7bとほぼ同一高さに設定されている。作動片7cの両側部は切り離し部10を介して鍔部9の両側端にそれぞれ連結されており、各切り離し部10は両側の作動片7c及び鍔部9よりも比較的薄い肉厚の架橋形状とされている。そのため、作動片7cを指で回動させることで切り離し部10は切断されてタブ7だけがヒンジ7aを支点として上方へ回動可能とされている。
【0010】
また蓋3は、図1及び図2に示すように、平面視円形をなす中央平面部12と、この中央平面部12の端部全周に亘って上方に隆起していて容器本体2の係合突部6と嵌合する断面略コの字型の係止凹部13と、この係止凹部13から傾斜段部14aを介して円筒部14bに延びるスカート部14とで構成されている。スカート部14の傾斜段部14aは、好ましくは係止凹部13から円筒部14bに向けて斜め下方外側に延びている。容器本体2に蓋3を嵌合させた閉蓋状態でスカート部14の下端がタブ7の段部7bと段部9aとに当接している。
係止凹部13の内面は、蓋3の径方向内側に位置する内側壁面16と外側に位置する外側壁面17と内奥部に位置する天面18とで断面略コの字形状に形成されている。内側壁面16と外側壁面17はそれぞれ略円筒状に形成され、向かい合っている。しかも内側壁面16と外側壁面17の間隔は容器本体2の係合突部6の肉厚よりも大きく設定されている。
外側壁面17の高さ方向途中部分には第一凸部20が突出形成され、内側壁面16の高さ方向途中部分には第二凸部21が突出形成されている。第一凸部20と第二凸部21の間隔は周側部5の肉厚よりも小さく設定されている。しかも第一凸部20は第二凸部21よりも天面18側に近接した位置に配設されている。また、内側壁面16の下端と中央平面部12とは径方向内側に屈曲するリング状の屈曲部22を介して接続されている。
【0011】
そして容器本体2と蓋3を嵌合する際、蓋3の係止凹部13内に嵌め込まれる容器本体2の係合突部6は、先ず頂部6cの外側角部が第一凸部20に当接して乗り上げ、次いで段差部6aの内側角部が第二凸部21に当接して乗り上げることになる。そして、図5に示すように、係合突部6が第一凸部を乗り越え、係止凹部13内の天面18と第一及び第二凸部20、21との間に保持された係合突部6は頂部6cが天面18に当接し、内側壁面16との間に間隙24が形成されることになる。
尚、容器本体2と蓋3は好ましくは可撓性の合成樹脂組成物、例えばポリプロピレンやポリエチレン等からなっている。特に容器本体2と蓋3とは嵌合時に弾性変形させるために可撓性を必要としており、そのために材質はポリプロピレンを用いることが好ましい。また、容器本体2のヒンジ7aは繰り返し開閉作動するために耐久性が要求され、この点からもポリプロピレンを用いることが好ましい。
【0012】
本実施例による容器1は上述の構成を有しており、次に容器本体2と蓋3の嵌合方法について図2乃至図5を中心に説明する。
図1に示す容器本体2内には例えばレジストインキ等の液状物が充填されており、この容器本体2に蓋3を嵌合する。先ず、図2に示すように容器本体2の係合突部6に蓋3の係止凹部13を対向させて蓋3の係止凹部13の部分を上方から押す。すると、係合突部6は容器本体2の周側部5に対して外側にずれて位置するために、周側部5の内周面に内側壁面16が当接して嵌合方向に摺動し、周縁部6bの頂部6cの外側角部が第一凸部20に当接する(図3参照)。この段階で係合突部6は第二凸部21に当接していない。
そして、蓋3を適宜の荷重で押圧することで、係合突部6は第一凸部20を押して外側壁17を外側に押し広げつつ自身も内側に変形して第一凸部20に乗り上げる。すると、次に段差部6aの内側角部が第二凸部21に当接する(図4参照)。更に蓋3を適宜の荷重で押圧すると、段差部6aで第二凸部21を内側に押圧し、その反発力で係合突部6が第一凸部20の上方の外側壁面17側に弾性変形する。これによって、段差部6aは第二凸部21に乗り上げると共に、係合突部6が第一凸部20を乗り越え、係止凹部13内の第一凸部20と天面18との間に収まり、天面18に係合突部6の頂部6cが当接することで保持され停止する(図5参照)。
また、第二凸部21が周側部5に当接されて押されることで、内側壁面16の下端縁が変形して周側部5に近接して接触することになる。
【0013】
尚、実施例では、第一凸部20は係止凹部13の外側壁面17がスカート部14と共に外側に開くために、係合突部6が第一凸部20を乗り越えるための荷重は比較的小さくて済む。一方、第二凸部21が係合突部6の段差部6aで押されると、内側に位置する中央平面部12が弾性変形の抵抗となり、乗り越えるための荷重は比較的大きい。その場合でも、係合突部6は斜めに傾斜している段差部6aで第二凸部21に当接するために外側壁面17側へ弾性変形し易く荷重を低減できる。
密閉状態で、容器本体2の係合突部6は蓋3の係止凹部13内に嵌合状態で保持され、しかも周側部5はその上端部で周側部5の肉厚より間隔の小さい第二凸部21と第一凸部20とで全周に亘って線接触することで、液密(または気密)に弾性的に挟持される。更に第二凸部21で径方向外側に押圧された係合突部6は、天面18と第一凸部20との間で外側壁面17に面接触して液密(または気密)にシールされる。そのため、三箇所で液密(または気密)にシールされ、仮にスカート部14等が径方向外側で拘束されないために第一凸部20による封止が不十分であっても、少なくとも二段階に亘って液密(または気密)に保持される。
【0014】
しかも係止凹部13内に係合突部6が嵌合した閉蓋状態で、蓋3のスカート部14は下端がタブ7の段部7bと段部14aとに当接している。そのため、蓋3のスカート部14とタブ7の段部7bまたは鍔部9の段部14aとの間に指などが入らないから、タブ7をヒンジ7a回りに上方へ回動させて蓋3のスカート部14を部分的に押し上げないと蓋3を開けることはできない。しかもタブ7を回動させることで、切り離し部10が分断されるから、蓋3が開封済みであることを目視確認できる。
また、密閉した容器1の内部で空気や内容物が膨張したりして内圧が上昇すると、蓋3の中央平面部12が外側に膨張するが、この場合でも、中央平面部12の膨張による弾性変形の応力で第二凸部21が周側部5をより強い力で押圧することになり、シール能力が高まる。
【0015】
上述のように本実施例によれば、係合突部6が第一凸部20と第二凸部21に時間のずれを以て順次乗り上げるために、各凸部21、20に乗り上げる際に要する押圧荷重が比較的小さくてよく、手作業でも行える。しかも、容器本体2と蓋3は第一凸部20と第二凸部21によって線接触でシールすると共に係合突部6と外側壁面17によって面接触でシールするため、二段階または三段階に亘って液密(または気密)封止を行える上に、容器1の内部が膨張してもシール性能を確実に維持できる。
【0016】
以下、本発明の変形例や他の実施例について説明するが、上述した第一実施例と同一または同様の部分、部材には同一の符号を用いて説明する。
図6は第一実施例による容器1の変形例を示す嵌合部の断面図である。図中、容器本体2に設けた係合突部23は、段差部23aに続く周縁部23bが第一実施例の係合突部6の周縁部6bよりも長さを短く設定しており、蓋3を容器本体2に嵌合してスカート部14が鍔部9やタブ7に着座した状態で係合突部23の頂部23cは係止凹部13の天面18に届かず、係合突部23の頂部23cと天面18との間に若干の間隙が形成される。
本実施例による容器1の容器本体2と蓋3は例えば射出成形によって製作され、係止凹部13の天面18には成形時のバリが残ることがある。この場合、嵌合時に係合突部23の頂部23cが天面18に当接するように製作すると、バリのために十分な嵌合を達成できない上に、スカート部14が鍔部9やタブ7から離間した状態に位置することがある。この場合、嵌合状態での液密封止が不十分になる上に、スカート部14と鍔部9やタブ7との間に指を挿入してタブ7の切り離し部10を分離することなく開蓋できることになってバージンプルーフを得られないことになる。
本変形例によれば、天面18にバリがあっても嵌合時にバリを天面18と係合突部23の頂部23cとの間隙に収容して十分な嵌合を行え、上述の不具合を生じない。また、容器本体2や蓋3に成形誤差等による寸法誤差があっても、十分な嵌合を達成できることになる。
【0017】
次に本発明の第二実施例を図7(a)、(b)、(c)により説明する。
本実施例においては、蓋3の係止凹部13内で内側壁面16に設けた第二凸部21の下側は、第二凸部21の頂部から中央平面部12に至るまで中央平面部12に漸次近づく第一テーパ面25とされている。その余の構成は第一実施例と同一である。
本実施例によれば、容器本体2の蓋3を嵌合させる際、蓋3の係止凹部13内に容器本体2の係合突部6を挿入すると、段差部6aの内側角部が第一テーパ部25に沿って相対移動して、係合突部6が第一凸部20に当接することになる。
そのため、蓋3と容器本体2との嵌合初期の動作が一層スムーズになるという利点がある。その余の作用は第一実施例と同一である。
【0018】
(試験例)
次に本発明の実施例について嵌合時にかかる荷重を検討するために、有限要素法(FEM)を用いてコンピュータシミュレーションによる構造解析を行った。尚、容器を円筒形状としたことから、解析モデルは軸対称要素を用いた。
実施例1として第一実施例による容器1を用いた。比較例として図8に示す容器を用いた。比較例1は図8(a)に示すもので、容器本体40の上端部に外側に突出するフランジ部41を形成し、蓋42の係止凹部43内には内側壁面に第二突部44を、外側壁面第一突部45を設けている。そして、フランジ部41は先に第二凸部44に当接して乗り上げ、次いで第一凸部45に当接して乗り上げるように構成されている。比較例2は図8(b)に示すもので、容器本体40の上端部にフランジ部41を形成し、蓋42の係止凹部43内には内側壁面に第二突部44を外側壁面に第一突部45を設けている。そしてフランジ部41は第二凸部44と第一凸部45に同時に当接して乗り上げるように構成されている。そして比較例1において第二凸部44を削除した構成を比較例3として用いた。
本解析においては形状の相違による相対的な比較を行えば良いことから、材料物性値には実施例、各比較例1,2,3とも同一物性値を用いた。また、容器本体と蓋の接触部分に対しては、蓋の嵌合上部に、境界条件として蓋と容器本体の接触開始から嵌合終了までの変位量を強制変位として与えて、強制変位点に発生する反力を算出した。
尚、実施例1、比較例1、2、3の各容器本体と蓋は材質をポリプロピレンとし、摩擦係数を0.1として算出した。
解析結果は図9に示すグラフのとおりになった。図中、実施例1は実線、比較例1は一点鎖線、比較例2は破線、比較例3は二点鎖線で表示した。グラフの横軸は上記強制変位、即ち蓋の係止凹部に対して係合突部やフランジ部が嵌合するまでの相対移動距離に相当し、縦軸は算出された上記強制変位点に発生する反力、即ち任意の変位位置における嵌合に要する蓋3、42の押圧荷重に相当するものである。ただし、上述したように、本解析においては相対比較であることから、この荷重の絶対値は実際の数値を反映したものではない。
【0019】
図9に示すグラフから、本件発明は、係合突部6で第一凸部20に乗り上げる際に要する荷重は110kgf程度と小さく、第二凸部21に乗り上げる際の荷重が250kgf程度であった。
比較例1は実施例1と同様の荷重を要している。即ち、第二凸部に乗り上げるのに80kgf程度、第一凸部に乗り上げるのに240kgf程度であった。比較例2はほぼ同時に第二凸部と第一凸部に乗り上げるために、410kgf程度の大きな荷重がかかった。比較例3は第一凸部に乗り上げるための荷重が100kgf程度であった。
この結果、実施例1と比較例1は同程度の荷重がかかり、比較例3は更に低い荷重であり、これらは人間の手作業で充分嵌合できる程度の荷重であった。また、実施例1は密閉状態の容器1の内部が膨張してもシール性を確保できるが、比較例1は上述した従来技術と同様に第二凸部が容器本体から離れてしまい、シール性を維持できない欠点があった。比較例3は更にシール性が小さく液密性を維持できない。また、比較例2はシール性は良好であるが、過大な荷重がかかるために人手による蓋3の嵌合は困難であり、機械で嵌合する必要がある。しかも過大な荷重がかかると容器本体2が座屈して破損するおそれが高いという欠点がある。
比較例1と3は上述した従来の技術に近い構成であり、嵌合荷重は小さいがシール能力は不十分である。
【0020】
尚、上述の実施例では、タブ7と切り離し部10を設けて開封済みか未開封かを確認できるようにしたが、このような構成はなくてもよい。
また、第二実施例において、蓋3の第二凸部21の下方に第一テーパ面25を設けたが、必ずしもテーパ形状である必要はなく中央平面部12に略直交する方向に延びていてもよい。この場合でも、係合突部6は第一凸部20の下方から摺動して第一凸部20に当接させることができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明による容器によれば、係合突部が第一及び第二凸部に順次乗り上げるので、嵌合に要する荷重を集中させて付与する必要がなく、しかも係止凹部内で係合突部が拡径によりずれて位置するために弾性変形して嵌入できて比較的小さな荷重で嵌合できる。しかも嵌合状態で、係止凹部の弾性変形による復帰力によって第一及び第二凸部でシールできると共に係合凸部が係止凹部内で外側壁面に押圧されて封止されるため、シール能力が高い。更に、容器内部が膨張して蓋が外側に湾曲しても確実にシール能力を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例による容器の容器本体と蓋を分離して示す斜視図である。
【図2】図1に示す容器本体に蓋を嵌合する部分を示す要部縦断面図で、嵌合初期の状態を示す図である。
【図3】係合突部が第一凸部に当接した状態の断面図である。
【図4】係合突部が第一凸部に乗り上げて第二凸部に当接した状態の要部断面図である。
【図5】係合突部が第二凸部に乗り上げ、第一凸部を乗り越えて係止凹部内に嵌合した状態の要部断面図である。
【図6】第一実施例の変形例による係合突部と係止凹部の嵌合状態を示す要部断面図である。
【図7】第二実施例による容器の嵌合工程を示す断面図で、(a)は係合突部が第一凸部に当接した状態、(b)は係合突部が第二凸部に当接した状態、(c)は係合突部が係止凹部に嵌合した状態を示す図である。
【図8】試験に用いた容器本体と蓋の嵌合構造を示す断面図で、(a)比較例1、(b)は比較例2を示す図である。
【図9】実施例と図8による比較例との解析結果を示すもので、係合突部の変位量と各変位位置における嵌合に要する荷重を示す図である。
Claims (2)
- 開口を有する筒状部をなす周側部と底面とで構成されている容器本体と該容器本体に嵌合する蓋とを有する容器において、
前記周側部の上端部には、該周側部よりも大なる径を有する周縁部と、前記周側部と前記周縁部とを連結する段差部とからなる係合突部が形成され、
前記蓋には容器本体の係合突部に嵌合可能な係止凹部が設けられ、該係止凹部の内面に外側壁面と内側壁面が形成され、前記外側壁面に第一凸部が設けられていると共に前記内側壁面に第二凸部が設けられてなり、
前記係合突部は第一凸部に乗り上げた後に第二凸部に乗り上げ、第一凸部を乗り越えることで前記係止凹部と嵌合するようにされ、
前記容器本体には前記周縁部から延びて外側に突出する段部が形成され、前記蓋には前記第一凸部から延びて外側に拡径するスカート部が設けられ、前記容器本体の係合突部と蓋の係止凹部が嵌合した状態で前記段部にはスカート部が当接するようにされ、
前記容器本体と蓋が嵌合した状態で、前記係合突部の頂部は係止凹部の内奥部に形成された天面と離間していることを特徴とする容器。 - 前記容器本体と蓋とが嵌合した状態で、前記係止凹部と係合突部との間に間隙を有している請求項1に記載の容器。
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