JP4410357B2 - シュラウドコンタクト面のコーティング方法およびシュラウド付き動翼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、シュラウドコンタクト面のコーティング皮膜が剥離しにくいシュラウドコンタクト面のコーティング方法およびシュラウド付き動翼に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、シュラウド付き動翼を示す一部斜視図である。この動翼1の先端には、流体の漏れを防止すると共に動翼1のねじれを拘束するZ型シュラウド2が形成されており、さらに、隣接する動翼1のシュラウド2との間にコンタクト面3を有している。また、動翼1には、偏流や静翼ノズルパッシング、フラッタなどに起因した各種の振動が発生するため、前記シュラウド2のコンタクト面3には、耐磨耗処理が施されるのが通常である。従来では、APS溶射(大気圧プラズマ溶射)によりトリバロイ(T−800:コバルト基耐磨耗材)コーティングを施していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記APS溶射では、シュラウド2のコンタクト面3における母材との密着性が低く、剥離しやすいという問題点があった。これは、溶射を行うにあたっては、グリッドブラスト処理などによる前処理を施すことで溶射表面を粗面状態にし、さらに洗浄処理を施すなどして皮膜との密着性を確保するようにするが、これでは不十分で、皮膜の気孔や粒子界面の酸化物が作用して母材との密着性を悪くしているものと考えられる。
【0004】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シュラウドコンタクト面のコーティング皮膜が剥離しにくいシュラウドコンタクト面のコーティング方法およびシュラウド付き動翼を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明にかかるシュラウドコンタクト面のコーティング方法は、タービン動翼の先端に設けたシュラウドのコンタクト面に、高速フレーム溶射により耐磨耗性を高める皮膜を形成するものである。高速フレーム溶射によってコバルト基耐磨耗材を高速で溶射することにより、溶融した金属粒子がコンタクト面に衝突し、緻密な皮膜を形成する。また、溶射温度がAPS溶射に比べて低いことにより、溶射中における粒子の酸化が阻害される。これにより、気泡が少なく粒界の酸化物が少ない皮膜が形成され、拡散熱処理をすることによりコンタクト面の母材に対する密着性が向上する。
【0006】
また、本発明にかかるシュラウドコンタクト面のコーティング方法は、タービン動翼の先端に設けたシュラウドのコンタクト面に、減圧プラズマ溶射あるいは雰囲気プラズマ溶射により耐磨耗性を高める皮膜を形成するものである。減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下で溶射を行うことにより、粒子の酸化を防止できると共に皮膜を緻密化することができる。このため、コンタクト面の母材に対する皮膜の密着性が向上する。
【0007】
また、本発明にかかるシュラウドコンタクト面のコーティング方法は、上記シュラウドコンタクト面のコーティング方法において、さらに、前記皮膜を形成した後、熱拡散処理を施したものである。皮膜の不均一性、密着性などを改善するため、熱拡散処理を施す。この熱拡散処理は、動翼の熱処理と一括して行うようにしても良い。熱拡散処理により、コンタクト面の母材との密着性がさらに向上する。
【0008】
また、本発明にかかるシュラウド付き動翼は、タービン動翼の先端にシュラウドが設けられ、隣接する動翼のシュラウドとの間にコンタクト面を有するシュラウド付き動翼において、耐磨耗材を高速フレーム溶射することで前記コンタクト面に密着性を高める皮膜を形成したものである。
【0009】
また、本発明にかかるシュラウド付き動翼は、タービン動翼の先端にシュラウドが設けられ、隣接する動翼のシュラウドとの間にコンタクト面を有するシュラウド付き動翼において、耐磨耗材を減圧プラズマ溶射あるいは雰囲気プラズマ溶射することで前記コンタクト面に耐磨耗性を高める皮膜を形成したものである。
【0010】
上記高速フレーム溶射、減圧プラズマ溶射あるいは雰囲気プラズマ溶射により形成した皮膜は、緻密で粒界に存在する酸化物が少ないため、コーティング面の母材との密着性がよく、剥離し難い。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかるシュラウドコンタクト面のコーティング方法およびシュラウド付き動翼につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1を参照して説明すると、実施の形態1のコーティング方法では、シュラウド2のコンタクト面3に対して、高速ガス炎溶射(HVOF:High Velocity Oxy-Fuel)によりトリバロイコーティングを施す。溶射するトリバロイ(T−800)の化学組成を次表に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
上記トリバロイは粉末状態で溶射ガンに供給され、フレーム温度約2000℃で一気に加熱溶融されコンタクト面3に対して射出される。HVOFのフレーム速度は300〜500m/s以上であり、これにより溶射材料がコンタクト面3に衝突し、緻密な皮膜を成膜する。HVOFによるコーティング皮膜は、気孔が少ないこと、溶射温度が低いことにより酸化され難いため皮膜の粒界に酸化物が少ないことなどから、拡散熱処理によってコンタクト面3の母材との密着性が優れたものになる。具体的なコーティング皮膜の膜厚は、0.2mm程度である。また、HVOFの他に、HVAF(High Velocity Air Fuel)を用いるようにして、緻密で酸化物の少ない皮膜を得ることができる。このためコンタクト面3の母材との密着性が向上する。
【0015】
続いて、コンタクト面3にコーティングを施した後は、膜質改善のため真空炉にて拡散熱処理を施す。その熱処理工程の具体例は、つぎの通りである。
【0016】
この拡散熱処理は、動翼1自体に対する熱処理と一括して行うことができる。なお、以上のように、HVOFを用いて溶射を行い、拡散熱処理を施すことにより、コンタクト面3の母材に対して剥離し難いコーティング皮膜を得ることができる。
【0017】
(実施の形態2)
また、HVOFに代えて、減圧プラズマ溶射(LPPS:Low Pressure Plasma Spraying)を用いて成膜するようにしてもよい。プラズマの作動ガスには、アルゴン、アルゴンと窒素の混合ガスなどを用いる。減圧雰囲気中で溶射した皮膜には酸化物の形成がないため、緻密になり、母材との密着性に優れたものとなる。さらに、拡散熱処理により膜質改善することにより、密着性がさらに向上する。なお、減圧プラズマ溶射の他に雰囲気プラズマ溶射を用いることもできる。
【0018】
なお、上記コーティング皮膜は、高温ガスに曝露され摩擦部分を有するタービン部材にも適用することができる。たとえばシールピンなどのコーティング皮膜形成に有用である。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したとおり、この発明にかかるシュラウドコンタクト面のコーティング方法は、タービン動翼の先端に設けたシュラウドのコンタクト面に、高速フレーム溶射(請求項1)、または減圧プラズマ溶射あるいは雰囲気プラズマ溶射(請求項2)により耐磨耗性を高める皮膜を形成するようにしたので、気孔が少なく粒界の酸化物が少ない皮膜が形成され、コンタクト面の母材との密着性が向上する。さらに、密着性向上のためには、皮膜を形成した後、これに熱拡散処理を施すのが好ましい(請求項3)。
【0020】
また、この発明にかかるシュラウド付き動翼は、タービン動翼の先端にシュラウドが設けられ、隣接する動翼のシュラウドとの間にコンタクト面を有するシュラウド付き動翼において、耐磨耗材を高速フレーム溶射(請求項4)または減圧プラズマ溶射あるいは雰囲気プラズマ溶射(請求項5)することで前記コンタクト面に密着性を高める皮膜を形成したものである。かかる方法により形成した皮膜は、緻密で粒界に存在する酸化物が少ないため、コンタクト面の母材との密着性がよく、剥離し難い。
【図面の簡単な説明】
【図1】シュラウド付き動翼を示す一部斜視図である。
【符号の説明】
1 動翼
2 シュラウド
3 コンタクト面
Claims (2)
- タービン動翼の先端に設けたシュラウドのコンタクト面に、高速フレーム溶射により耐磨耗性を高める皮膜を形成し、
さらに、前記皮膜を形成した後、前記シュラウドのコンタクト面に拡散熱処理を施したことを特徴とするシュラウドコンタクト面のコーティング方法。 - タービン動翼の先端にシュラウドが設けられ、隣接する動翼のシュラウドとの間にコンタクト面を有するシュラウド付き動翼において、
耐磨耗材を高速フレーム溶射することで前記コンタクト面に密着性が高められた皮膜が形成され、
さらに、前記皮膜が形成された後、前記シュラウドのコンタクト面に拡散熱処理が施されることを特徴とするシュラウド付き動翼。
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