JP4405697B2 - 画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体または静電記録誘電体等の像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化するための画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び該画像形成装置に用いられる現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には、光導電性物質を利用した像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された像担持体に静電潜像を形成させる工程と、像担持体上に形成されている静電潜像を現像する現像工程と、現像された画像を転写手段により転写材に移行させて転写させる転写工程と、転写材上に転写された転写画像を加熱・定着する定着工程を経て、目的とする複写物を得る。
【0003】
電子写真法における現像方法は主として一成分現像方式と二成分現像方式に分けられる。近年、電子写真装置の軽量・小型化等を目的として複写装置部分を小さくする必要がある為、一成分現像剤を用いた現像装置が使用される事が多い。例えば、一成分現像剤を用いた現像方法として、特開昭55−18656号公報等において、ジャンピング現像方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記現像方法は用いる磁性現像剤に関わる不安定要素がある。それは、磁性現像剤中には微粒子状の磁性粉体が相当量混合分散されており、該磁性粉体の一部がトナー粒子の表面に露出しているため、磁性現像剤の流動性及び摩擦帯電性に影響し、結果として、磁性現像剤の現像特性、耐久性等の現像剤に要求される種々の特性の変動あるいは劣化を引き起こすというものである。
【0005】
従来の磁性粉体を含有する磁性現像剤を用いた場合に、上述した問題が生じてしまうのは、トナー粒子の表面に磁性粉体が露出していることがその大きな原因と考えられる。すなわち、トナー粒子の表面に、トナー粒子を構成する樹脂に比して相対的に抵抗の低い磁性粉体微粒子が露出することにより、現像剤帯電性能の低下、現像剤流動性の低下、その上、長期間の使用においては、現像剤同士あるいは現像剤層厚規制部材との摺擦による磁性粉体の剥離に伴う画像濃度の低下や濃淡ムラの発生など画像の劣化が引き起こされるのである。
【0006】
トナー粒子は従来、結着樹脂、着色剤等を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置により粉砕し、分級機により分級して、所望の粒径を有するトナー粒子として製造(粉砕法)されて来たが、トナー粒子の微小粒径化には材料の選択範囲に制限がある。例えば、樹脂着色剤分散体が充分に脆く、経済的に使用可能な製造装置で微粉砕し得るものでなくてはならない。この要求から、樹脂着色剤分散体を脆くするため、この樹脂着色剤分散体を実際に高速で微粉砕する場合に、広い粒径範囲の粒子が形成され易く、特に比較的大きな割合の微粒子(過度に粉砕された粒子)がこれに含まれるという問題が生ずる。更に、このように高い脆性の材料は、プリンタ等において現像剤として使用する際、しばしば、更に微粉砕ないし粉化を受けやすく、このような微粒子の発生は感光体、現像剤担持体へのトナー付着を発生しやすく画像不良の原因となる。
【0007】
また、粉砕法では、磁性体あるいは着色剤等の固体微粒子を樹脂中へ完全に均一に分散することは困難であり、その分散の度合いによっては、かぶりの増大、画像濃度の低下の原因となる。さらに、粉砕法は、本質的に、トナー粒子の表面に磁性体微粒子が露出してしまうため、かぶりの増大、現像剤の流動性や過酷環境下での帯電安定性に不利となりやすい。
【0008】
粉砕法によるトナー粒子の上記課題を克服するため、懸濁重合法によるトナー粒子の製造方法が提案されている。この製造方法は、粉砕工程を経ないため現像剤に脆性を付与させる必要がなく、更に従来の粉砕法では使用することができなかった低軟化点物質を多量に使用することができる等の材料の選択幅が広がる。懸濁重合によるトナー粒子(以後重合トナー)は、トナー粒子の微粒子化が容易に可能であり、更には、得られるトナー粒子の形状が球状であることから流動性に優れ、高画質化に有利となる。
【0009】
一方、画像形成法としては、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法など多数の方法が知られている。一般には、転写後に像担持体上に転写材に転写せずに残余した現像剤が、種々の方法でクリーニングされ廃現像剤として廃現像剤容器に蓄えられるクリーニング工程を経て、上述の工程が繰り返される画像形成法が用いられている。
【0010】
このクリーニング工程については、力学的に転写残余の現像剤を掻き落とすか、またはせき止めて廃現像剤容器へと捕集される方法が用いられている。しかし、このようなクリーニング工程を行う装置を具備するために画像形成装置が必然的に大きくなり装置のコンパクト化を目指すときのネックになっている。更には、省資源、廃棄物削減の観点及びトナーの有効活用と言う意味で廃現像剤のでないシステム、定着性、耐オフセット性にすぐれたシステムが望まれていた。
【0011】
これに対し、廃現像剤のでないシステムとして、現像同時クリーニング又はクリーナレスと呼ばれる技術も提案されている。しかしながら、従来の現像同時クリーニング又はクリーナレスに関する技術の開示は、特開平5−2287号公報にあるように画像上に転写残余の現像剤の影響によるポジメモリ、ネガメモリなどに焦点を当てたものが主である。しかし、電子写真の利用が進んでいる今日、様々な転写材に対してトナー像を転写する必要性がでてきており、この意味で様々な転写材に対し満足するものではない。
【0012】
また、現像同時クリーニング又はクリーナレスに好ましく適用される現像方法として、従来は本質的にクリーニング装置を有さない現像同時クリーニングでは、像担持体表面を現像剤及び現像スリーブにより擦る構成が必須とされてきたため、トナー或いは現像剤担持体が像担持体に接触する接触現像方法が多く検討されてきた。これは、現像手段において転写残現像剤を回収するために、トナー或いは現像剤担持体が像担持体に接触し、擦る構成が有利であると考えられるためである。しかしながら、接触現像方法を適用した現像同時クリーニング又はクリーナレスプロセスでは、長期間使用によるトナー劣化、現像スリーブ表面劣化、感光体表面劣化又は磨耗等を引き起こし、耐久特性に対して充分な解決がなされていない。そのため、非接触現像方法による現像同時クリーニング方法が望まれている。
【0013】
また、電子写真感光体・静電記録誘電体等の像担持体上に潜像を形成する方法についても様々な方法が知られている。例えば、電子写真法では、像担持体としての光導電性物質を利用した感光体上を所要の極性・電位に一様に帯電処理した後に、画像パターン露光を施すことにより電気的潜像を形成する方法が一般的である。
【0014】
従来、像担持体を所要の極性・電位に一様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置としてはコロナ帯電器(コロナ放電器)がよく使用されていた。近年では、像担持体等の被帯電体の帯電装置として、コロナ帯電器に比べて低オゾン・低電力等の利点があることから接触帯電装置が多く提案され、また実用化されている。
【0015】
接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、帯電原理)には、▲1▼放電帯電機構と▲2▼直接注入帯電機構の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより各々の特性が現れる。
【0016】
接触帯電装置は、接触帯電部材として帯電ローラを用いたローラ帯電方式が帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられている。従来のローラ帯電方式における帯電機構は前記▲1▼の放電帯電機構が支配的である。
【0017】
帯電ローラは被帯電体との一定の接触状態を得るために弾性を有しているが、そのため摩擦抵抗が大きく、多くの場合、被帯電体に従動あるいは若干の速度差をもって駆動される。従って、直接注入帯電しようとしても、絶対的帯電能力の低下や接触性の不足やローラ形状による接触ムラや被帯電体の付着物による帯電ムラは避けられない。
【0018】
DC電圧のみを接触帯電部材に印加して帯電を行う方法(DC帯電方式)では、電子写真に必要とされる感光体表面電位Vdを得るためには帯電ローラにはVdに加えて帯電開始電圧以上のDC電圧が必要となる。しかし、DC帯電においては環境変動等によって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、また、感光体が削れることによって膜厚が変化すると帯電開始電圧が変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難しい。このため、更なる帯電の均一化を図るために特開昭63−149669号公報に開示されるように、所望のVdに相当するDC電圧にAC成分を重畳した電圧を接触帯電部材に印加する「AC帯電方式」が用いられる。これは、ACによる電位のならし効果を目的としたものであり、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdに収束し、環境等の外乱には影響されることはない。ところが、このような接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は、接触帯電部材から感光体への放電現象を用いているため、先に述べたように接触帯電部材に印加する電圧は感光体表面電位以上の値が必要とされ、微量のオゾンは発生する。
【0019】
また、帯電均一化のためにAC帯電を行った場合にはさらなるオゾンの発生、AC電圧の電界による接触帯電部材と感光体の振動騒音(AC帯電音)の発生、また、放電による感光体表面の劣化等が顕著になり、新たな問題点となっている。
【0020】
接触帯電法のうち、ファーブラシ帯電もその帯電機構は前記▲1▼の放電帯電機構が支配的であり、高い帯電バイアスを印加し、放電現象を用いて帯電を行っている。
【0021】
これらに対し、磁気ブラシ帯電は、その帯電機構は前記▲2▼の直接注入帯電機構が支配的である。磁気ブラシ部を構成させる導電性磁性粒子として粒径5〜50μmのものを用い、感光体と十分速度差を設けることで、均一に直接注入帯電を可能にする。磁気ブラシ帯電は印加バイアスとほぼ比例した帯電電位を得ることが可能になる。しかしながら、機器構成が複雑であること、磁気ブラシ部を構成している導電性磁性粒子が脱落して感光体に付着する等の弊害もある。
【0022】
ここで、これらの接触帯電方法を現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法に適用した場合を考える。現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、クリーニング部材を有さないために感光体上に残余する転写残現像剤が、そのまま接触帯電部材と接触し、付着或いは混入する。また、放電帯電機構が支配的な帯電方法の場合には、放電エネルギーによる現像剤劣化に起因する帯電部材への付着性の悪化も生ずる。一般的に用いられている絶縁性トナーが接触帯電部材に付着或いは混入すると、帯電性の低下が起こる。
【0023】
この被帯電体の帯電性の低下は、放電帯電機構が支配的な帯電方法の場合には、接触帯電部材表面に付着したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗となるあたりから急激に起こる。これに対し、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、付着或いは混入した転写残現像剤が接触帯電部材表面と被帯電体との接触確率を低下させることにより被帯電体の帯電性が低下する。
【0024】
この被帯電体の一様帯電性の低下は、画像露光後の静電潜像のコントラスト及び均一性の低下となり、画像濃度を低下させる或いはカブリを増大させる。
【0025】
また、現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、感光体上の転写残現像剤の帯電極性及び帯電量を制御し、現像工程で安定して転写残現像剤を回収し、回収現像剤が現像特性を悪化させないようにすることがポイントとなり、転写残現像剤の帯電極性及び帯電量の制御を帯電部材によって行うこととなる。
【0026】
これについて具体的に一般的なレーザプリンタを例として説明する。マイナス極性電圧を印加する帯電部材、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性の現像剤を用いる反転現像の場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によって可視化されたトナー像を転写材に転写することになるが、転写材の種類(厚み、抵抗、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残余の現像剤の帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余の現像剤までもが、転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、現像剤の現像されるべき明部電位部にはマイナスに帯電された、転写残余の現像剤が残り、現像剤の現像されるべきでない暗部電位には、現像電界の関係上現像剤担持体の方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上に転写残現像剤は残留することなく回収される。すなわち、帯電部材によって感光体の帯電と同時に転写残余の現像剤の帯電極性を制御することにより、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法が成立する。
【0027】
しかしながら、転写残現像剤が接触帯電部材の現像剤帯電極性の制御能力以上に、接触帯電部材に付着或いは混入すると、一様に転写残現像剤の帯電極性を揃えることができず、現像剤担持体によって現像剤を回収することが困難となる。また、現像剤担持体に摺擦等の機械的力によって回収されたとしても、転写残現像剤の帯電が均一に揃えられていないと、現像剤担持体上の現像剤の帯電性に悪影響を及ぼし、現像特性を低下させる。
【0028】
すなわち、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法に於ては、転写残現像剤の帯電部材通過時の帯電制御特性及び帯電部材への付着・混入特性が、耐久特性、画像品質特性に密接につながっている。
【0029】
特開平5−150539号公報には、接触帯電方法を用いた画像形成方法において、長時間画像形成を繰り返すうちにブレードクリーニングしきれなかったトナー粒子やシリカ微粒子が帯電手段の表面に付着・蓄積することによる帯電阻害を防止するために、現像剤中に少なくとも顕画粒子と、顕画粒子より小さい平均粒径を有する導電性粒子を含有することが開示されている。しかし、ここで用いられた接触帯電或いは近接帯電は放電帯電機構によるもので、放電帯電による前述の問題がある。更に、クリーナレスの画像形成装置へ適用した場合には、クリーニング機構を有する場合と比較して多量の導電性微粒子及び転写残現像剤が帯電工程を通過することによる帯電性への影響、これら多量の導電性微粒子及び転写残現像剤の現像工程における回収性、回収された導電性微粒子及び転写残現像剤による現像剤の現像特性への影響に関して何ら考慮されていない。更に、接触帯電に直接注入帯電機構を適用した場合には、導電性微粒子が接触帯電部材に必要量供給されず、転写残現像剤の影響による帯電不良を生じてしまう。
【0030】
また、近接帯電では、多量の導電性微粒子及び転写残現像剤により感光体を均一帯電することが困難であり、転写残現像剤のパターンを均す効果が得られないため転写残現像剤のパターン画像露光を遮光するためのパターンゴーストを生ずる。更に、画像形成中の電源の瞬断或いは紙詰まり時にはトナーによる機内汚染が著しくなる。
【0031】
更には、市販の電子写真プリンタの中には、転写工程と帯電工程の間に感光体に当接するローラ部材を用い、現像での転写残現像剤回収性を補助或いは制御する現像同時クリーニング画像形成装置もある。このような画像形成装置は、良好な現像同時クリーニング性を示し、廃現像剤量を大幅に減らすことができるが、コストが高くなり、小型化の点でも現像同時クリーニングの利点を損ねている。
【0032】
これらに対し、特開平10−307456号公報において、トナー粒子及びトナー粒径の1/2以下の粒径を有する導電性を有する帯電促進粒子を含むトナーを、直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法に適用した画像形成装置が開示されている。この提案によると、放電生成物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像同時クリーニング画像形成装置が得られ、帯電不良、画像露光の遮光或いは拡散を生じない良好な画像が得られる。
【0033】
また、特開平10−307421号公報においては、トナー粒径の1/50〜1/2の粒径を有する導電性粒子を含むトナーを、直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法に適用し導電性粒子に転写促進効果を持たせた画像形成装置が開示されている。
【0034】
更に、特開平10−307455号公報では導電性微粉末の粒径を構成画素1画素の大きさ以下とすること、及びより良好な帯電均一性を得るために導電性微粉末の粒径を10nm〜50μmとすることが記載されている。
【0035】
特開平10−307457号公報では人の視覚特性を考慮して帯電不良部の画像への影響を視覚的に認識されにくい状態とするために導電性粒子を約5μm以下、好ましくは20nm〜5μmとすることが記載されている。
【0036】
更に、特開平10−307458号公報によれば、導電性微粉末の粒径はトナー粒径以下とすることで、現像時にトナーの現像を阻害すること、あるいは現像バイアスが導電性微粉末を介してリークすることを防止し、画像の欠陥をなくすことができること、及び導電性微粉末の粒径を0.1μmより大きく設定することにより、像担持体に導電性微粉末が埋め込まれ露光光を遮光する弊害も解決し優れた画像記録を実現する直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法が記載されている。
【0037】
特開平10−307456号公報によれば、トナーに導電性微粉末を外部添加し、少なくとも可穣性の接触帯電部材と像担持体との当接部に前記トナー中に含有の導電性微粉末が、現像工程で像担持体に付着し転写工程の後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介在していることで、帯電不良、画像露光の遮光を生じない良好な画像を得ることができる現像同時クリーニング画像形成装置が開示されている。
【0038】
しかしながら、これらの提案も長期にわたる繰り返し使用における安定した性能、解像性を高めるに更なる改良の余地がある。
【0039】
さらにまた重合トナーは帯電の調整が難しく、外部添加剤による帯電特性改善などの工夫が種々行われているものの、現像剤帯電の不均一性や上記スリーブ表面への融着の発生など耐久安定性に関わる問題は、完全には解決されていない。
【0040】
また、複写を重ねるにつれて現像剤が繰り返し現像剤担持体と摩擦された結果、現像剤の流動性を良くするための添加剤等の非現像物質が現像剤担持体上に堆積したり、或いは現像剤中の低軟化点物質がスリーブ上に成膜するために、現像剤担持体の表面状態が変化し、現像剤の現像性が変化するという問題がある。
【0041】
さらにまた、長期にわたる繰り返し使用における帯電促進粒子や転写残現像剤の回収の影響による現像剤担持体上での現像剤の帯電不良などに更なる改良の余地がある。
【0042】
これらの帯電不良の防止、帯電の均一性の向上および、現像剤汚染及び現像剤融着の抑制などの改良が望まれている。
【0043】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記のような問題点を解決した画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ、現像装置を提供することである。より詳しくは、実質球形である重合法によるトナー粒子を用いた際の帯電不良を防止し、迅速且つ均一で安定した現像剤への帯電付与能を有する画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジおよびこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することである。
【0044】
本発明の別の目的は、放電生成物を生ずることなく、廃現像剤量を大幅に減らすことが可能で、低コストで小型化に有利な現像同時クリーニング画像形成を可能とし、かつ長期にわたる繰り返し使用においても、帯電不良を生じない良好な画像が得られる現像同時クリーニング画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することにある。
【0045】
また、本発明の目的は、転写性に優れ、転写残現像剤の回収性に優れた現像同時クリーニング画像形成を可能とする画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することにある。
【0046】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下のとおりである。
(1)帯電部材に電圧を印加し、電圧が印加された帯電部材を像担持体に接触させて、該像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、下記(a)〜(d)を含む現像工程と、(a)現像容器内に収容されている現像剤を現像剤担持体上に担持させる工程;(b)該現像剤担持体上の現像剤の層厚を現像剤層厚規制部材により規制する工程;(c)層厚を規制された前記現像剤を前記現像剤担持体と像担持体とが対向する現像領域へ担持搬送する工程;(d)現像剤担持体上の現像剤を像担持体上の静電潜像に転移させてトナー像を形成する工程;前記像担持体表面に形成されたトナー像を転写材に静電転写する転写工程と、前記転写材上に転写されたトナー像を加熱・定着する定着工程と、を有する画像形成方法において、前記現像工程は、トナー像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねており、前記現像剤は、少なくとも結着樹脂成分及び磁性粉体を含有するトナー粒子と、該トナー粒子表面に無機微粉体と、該無機微粉体よりも大きく現像剤よりも小さい平均粒径の導電性微粉体とを有し、下式(1)により求められる平均円形度が0.970以上であり、実質的に磁性粉体が表面に露出していない負帯電性磁性現像剤であり、前記トナー粒子は、結着樹脂成分となる重合性単量体と磁性粉体とを少なくとも含む重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合することにより得られるトナー粒子であり、前記現像剤担持体は、基体および該基体上に形成された樹脂被覆層からなり、前記該樹脂被覆層は、少なくとも負帯電性の物質を含有する負帯電性の樹脂被覆層であることを特徴とする画像形成方法。
【0047】
【数4】
円形度 a=L0/L (1)
(式中、L0は粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を示し、Lは、粒子の投影像の周囲長を示す。)
(2)前記樹脂被覆層の被覆層用結着樹脂は、一部又は全てが、その分子構造中に、−NH2基、=NH基、または−NH−結合のいずれかを少なくとも有する(1)の画像形成方法。
(3)前記樹脂被覆層の被覆層用結着樹脂は、少なくともフェノール樹脂を含有する(1)または(2)の画像形成方法。
(4)前記フェノール樹脂は、触媒として含窒素化合物を用いて、フェノール類とアルデヒド類を付加・縮合させて製造されたフェノール樹脂であり、その構造中に−NH2基、=NH基、または−NH−結合のいずれかを有するフェノール樹脂である(3)の画像形成方法。
(5)前記樹脂被覆層は、少なくとも鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物を含有する(1)〜(4)のいずれかの画像形成方法。
(6)前記樹脂被覆層は、ベンジル酸化合物を含有する(1)〜(4)のいずれかの画像形成方法。
(7)前記樹脂被覆層は、被覆層用結着樹脂中に更に導電性微粉末が分散含有された導電性樹脂被覆層である(1)〜(6)のいずれかの画像形成方法。
(8)前記磁性粉体は主にマグネタイトからなり、X線光電子分光分析により測定される前記トナー粒子表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)が0.001未満である(1)〜(7)のいずれかの画像形成方法。
(9)前記磁性現像剤の体積平均粒径をC、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた前記磁性現像剤の断層面観察における磁性粉体とトナー粒子表面との距離の最小値をDとしたとき、D/C≦0.02である(1)〜(8)のいずれかの画像形成方法。
(10)前記磁性現像剤の導電性微粉体は、体積抵抗が109Ωcm以下である(1)〜(9)のいずれかの画像形成方法。
(11)前記磁性現像剤の導電性微粉体は、体積抵抗が106Ωcm以下である(1)〜(9)のいずれかの画像形成方法。
(12)前記磁性現像剤の導電性微粉体が非磁性である(1)〜(11)のいずれかの画像形成方法。
(13)前記現像剤は、トナー粒子と、体積平均粒径が0.1μm〜10μmである導電性微粉体とを有している(1)〜(12)のいずれかの画像形成方法。
(14)前記帯電工程は、前記導電性微粉体を介在して像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程である(1)〜(13)のいずれかの画像形成方法。
(15)前記帯電工程において、前記磁性現像剤中に含有される導電性微粉体が現像工程で像担持体に付着し、転写工程後も像担持体上に残留し、少なくとも帯電部材と像担持体の当接部及び/又は近傍に運ばれて介在している(14)の画像形成方法。
(16)前記導電性微粉体が酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンから選択される少なくとも一種の酸化物を少なくとも含有する微粒子である(1)〜(15)のいずれかの画像形成方法。
(17)像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によってトナー像として可視化し、この可視化された現像剤像を転写材に転写することにより画像形成をするためのプロセスカートリッジであって、該プロセスカートリッジは静電潜像を担持するための像担持体と、前記像担持体に接触して該像担持体を帯電するための帯電手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像を行うことによりトナー像として可視化するとともに、該トナー像が転写材に転写された後に、前記像担持体上に残留した現像剤を回収するための現像手段とを少なくとも有し、前記現像装置及び前記潜像担持体は一体化され、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着される構成をとっており、前記現像剤は、少なくとも結着樹脂成分及び磁性粉体を含有するトナー粒子と、該トナー粒子表面に無機微粉体と、該無機微粉体よりも大きく現像剤よりも小さい平均粒径の導電性微粉体とを有し、上式(1)により求められる平均円形度が0.970以上であり、実質的に磁性粉体が表面に露出していない負帯電性磁性現像剤であり、前記トナー粒子は、結着樹脂成分となる重合性単量体と磁性粉体とを少なくとも含む重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合することにより得られるトナー粒子であり、前記現像装置は、現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている前記磁性現像剤を担持して現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び前記現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有しており、前記現像剤担持体は、基体および該基体上に形成された樹脂被覆層からなり、前記該樹脂被覆層は、少なくとも負帯電性の物質を含有する負帯電性の樹脂被覆層であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
(18)帯電部材に電圧を印加し、電圧が印加された帯電部材を像担持体に接触させて、該像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成手段と、現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている現像剤を担持して現像領域に搬送するための現像剤担持体及び前記現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有する現像手段と、前記像担持体表面に形成されたトナー像を転写材に静電転写する転写手段と、前記転写材上に転写されたトナー像を加熱・定着する定着手段と、を有する画像形成装置において、前記現像手段は、前記像担持体に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像を行うことによりトナー像として可視化するとともに、該トナー像が転写材に転写された後に、前記像担持体上に残留した現像剤を回収する手段を有し、前記現像剤は、少なくとも結着樹脂成分及び磁性粉体を含有するトナー粒子と、該トナー粒子表面に無機微粉体と、該無機微粉体よりも大きく現像剤よりも小さい平均粒径の導電性微粉体とを有し、上式(1)により求められる平均円形度が0.970以上であり、実質的に磁性粉体が表面に露出していない負帯電性磁性現像剤であり、前記トナー粒子は、結着樹脂成分となる重合性単量体と磁性粉体とを少なくとも含む重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合することにより得られるトナー粒子であり、前記現像剤担持体は、基体および該基体上に形成された樹脂被覆層からなり、前記該樹脂被覆層は、少なくとも負帯電性の物質を含有する負帯電性の樹脂被覆層であることを特徴とする画像形成装置。
【0048】
【発明の実施の形態】
本発明は、現像工程がトナー像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねており、
前記現像剤は、少なくとも結着樹脂成分及び磁性粉体を含有するトナー粒子と、該トナー粒子表面に無機微粉体と、該無機微粉体よりも大きく現像剤よりも小さい平均粒径の導電性微粉体とを有し、下式(1)により求められる平均円形度が0.970以上であり、実質的に磁性粉体が表面に露出していない磁性現像剤であり、
前記現像剤担持体は、基体および該基体上に形成された樹脂被覆層からなり、
前記該樹脂被覆層は、少なくとも負帯電性の物質を含有することを特徴とする。
【0049】
【数5】
円形度 a=L0/L (1)
(式中、L0は粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を示し、Lは、粒子の投影像の周囲長を示す。)
前述したように静電潜像を現像する現像工程が転写材に画像を転写した後に像担持体に残留する現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねる現像同時クリーニング方式の画像形成方法において、転写後の残留現像剤の少ない高転写効率の特性を有する現像剤が求められていた。
【0050】
一般的に重合法により製造された現像剤は、従来のジェットミルによる粉砕法で製造された現像剤と比較した場合、トナー粒子と感光体との接触面積が小さく、トナー粒子の感光体への付着力が低下すると考えられ転写性が格段に向上し転写効率が向上するという利点が大きいが、一方、カーボン等の着色材料や磁性現像剤に用いられる磁性粉体などがトナー粒子の内部に取り込まれるため、これらの添加物がトナー粒子表面に発生した電荷をリークさせるサイトとして働かないため現像剤がチャージアップしやすい。本発明において、現像工程が現像されたトナー像を転写材に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねる現像同時クリーニング方式の画像形成方法に用いる現像剤として、帯電促進粒子としての導電性微粉体を添加したものを用いているが、このような現像剤を用いた場合においても電荷がリークし難く、そのため現像ムラやブロッチ、現像剤の現像剤担持体固着による濃度低下などが発生しやすい。またさらに繰り返し使用における帯電促進粒子や転写残現像剤の回収の影響による現像剤担持体上での現像剤の帯電不良が発生しやすい。
【0051】
これらの帯電特性等を改善する目的でトナー粒子に外部添加剤として種々の無機微粉体を添加する方法が提案されているが、いまだ十分なものは得られていない。
<1>本発明における現像剤担持体
そこで現像剤に摩擦帯電電荷を付与する現像剤担持体表面について検討を重ねた結果、現像剤担持体の基体上に樹脂被覆層を形成し、且つその形成された樹脂被覆層が少なくとも負帯電性の物質を含有することで、現像同時クリーニング方式において、重合法により製造された負帯電性を有する現像剤に対し、過剰な電荷を有する現像剤の発生や、現像剤担持体表面への現像剤の強固な付着を有効に防止し、摩擦帯電量を好適なレベルに帯電可能であることを見出した。
【0052】
本発明において樹脂被覆層に用いられる樹脂被覆用結着樹脂として公知のものが使用可能である。例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱あるいは光硬化性樹脂等を使用することができる。なかでもシリコーン樹脂、フッ素樹脂のような離型性のあるもの、或いはポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂のような機械的性質に優れたものがより好ましい。
【0053】
なかでも、負帯電性を有するシリコーン樹脂、フッ素樹脂などが好ましく、機械的強度UP等の目的で他の結着樹脂と混合して用いても良い。
また鉄粉に対し正帯電性を有する4級アンモニウム塩とともに−NH2基、=NH基、もしくは−NH−結合の少なくとも一つの構造を有している結着樹脂を用いることが好ましい。
【0054】
−NH2基を有する物質としては、R−NH2で表される第1アミンもしくはそれらを有するポリアミン、RCO−NH2で表される第1アミドもしくはそれらを有するポリアミド等が挙げられる。=NH基を有する物質としては、R=NHで表される第2アミンもしくはそれらを有するポリアミン、(RCO)2=NHで表される第2アミドもしくはそれらを有するポリアミド等が挙げられる。−NH−結合を有する物質としては、前述したポリアミン、ポリアミド等の他に−NHCOO−結合を有するポリウレタン等が挙げられる。被覆層用結着樹脂としては、以上の物質を1種又は2種以上、あるいは共重合体として含有し、工業的に合成された樹脂が好適に用いられる。それらのうち汎用性等の面から、触媒として含窒素化合物を用いて、フェノール類とアルデヒド類を付加・縮合させて製造したフェノール樹脂、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂等が好ましく使用できる。
【0055】
フェノール樹脂の製造の際、触媒として用いられる含窒素化合物としては、酸性触媒と塩基性触媒が挙げられ、酸性触媒としては、例えば、硫酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、スルファミド酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、マレイン酸アンモニウム等のアンモニウム塩またはアミン塩類が挙げられる。塩基性触媒としては、例えば、アンモニア、或いはジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジアミルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリアミルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジエチルベンジルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、N,N-ジ-n-ブチルアニリン、N,N-ジアミルアニリン、N,N-ジ-t-アミルアニリン、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、n-ブチルジエタノールアミン、ジ-n-ブチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミノ化合物、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、2,4-ルチジン、2,6-ルチジン等のピリジン及びその誘導体、キノリン化合物、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。
【0056】
これら公知の結着樹脂に負帯電性の物質を添加して用いることも好ましい。
そのような負帯電性の物質としては、従来公知のものが使用できる。例えば、シリカ粉、フッ素樹脂粉末などの他、有機金属錯体、キレート化合物、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。また芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体などがある。
【0057】
中でも、次に挙げる化合物が、現像剤を良好に帯電させるために、好ましく用いられる。
ベンジル酸のアルミニウム化合物、ホウ素化合物、亜鉛化合物、クロム化合物などがある。
ベンジル酸の化合物としては、下記一般式(1)で示される未置換基又は置換基を有するベンジル酸のアルミニウム化合物が挙げられる。
【0058】
【化1】
(式中、R5とR6は同一であっても異なっていても良く、各々、直鎖または分岐したアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基及び水酸基からなる群から選ばれる置換基を示し、m及びnは0〜5の整数を示す。)
【0059】
また中でも、下記一般式(2)で示されるベンジル酸のアルミニウム化合物であることがより好ましい。
【0060】
【化2】
(式中、R5とR6は同一であっても異なっていても良く、各々、直鎖または分岐したアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基及び水酸基からなる群から選ばれる置換基を示し、m及びnは0〜5の整数を示す。又、Yは1価のカチオン、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム及びアルキルアンモニウムを示す。)
【0061】
またさらにスルホン酸含有アクリルアミドを含有させることも好ましい。例えば、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,2,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸などを挙げることができる。好ましくは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。
【0062】
樹脂被覆層への負帯電性の物質の添加量は、樹脂被覆層用結着樹脂100質量部に対して1〜100質量部とすることが好ましい。1質量部未満では添加による帯電安定性の向上が見られず、100質量部を超えると樹脂被覆層用結着樹脂中での存在量が過剰となって元の樹脂被覆層用結着樹脂の特性を損ない被覆層強度の低下を招きやすい。
【0063】
本発明における樹脂被覆層を負帯電性の物質を含有したものとするさらに好ましい手段として、本発明に先駆け、特開平10−326040号公報、特開平11−052711号公報等において、従来トナーの正帯電性制御剤として知られている第4級アンモニウム塩化合物、すなわち、それ自体が鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物と、樹脂被覆層用結着樹脂として、特に樹脂被覆層用結着樹脂の一部又は全てが、その分子構造中に、少なくとも−NH2基、=NH基、−NH−結合のいずれかを有するものとを用いて現像剤担持体の樹脂被覆層を形成すると、第4級アンモニウム塩化合物が樹脂被覆層用結着樹脂中に取り込まれ、正帯電性トナーに対して樹脂(樹脂被覆層)自身が強いネガ帯電性を示し、良好な帯電付与性を示すことを見出し、これを現像剤担持体として現像装置に用いることで非常に良好な画像が得られる旨の提案を行っている。
【0064】
この方法の優れた点は、例えば、トナーに帯電を付与するためにシリカ、フッ素樹脂粉末、負帯電性制御剤を樹脂被覆層に添加する前述の系と比較して、樹脂被覆層用結着樹脂の溶媒中に第4級アンモニウム塩化合物が溶け込んで樹脂中に均一に存在させることができるため、樹脂被覆層を形成した場合、樹脂層全体が均一な負帯電性材料となり、シリカ添加系のようにマトリックス的に分散しているものに比較して現像剤担持体全体が均一且つ良好な帯電付与性を示すことと、さらには粉末添加系ではないので、機械的強度すなわち耐久性が良好である点にある。
【0065】
本発明者らは、これら開示された技術をさらに検討していった結果、負帯電性現像剤を用いる場合において、特に本発明に用いられるような球形〜略球形を有し、さらには表面への磁性粉体などの露出の少ない、過剰な電荷を有しやすい現像剤を用いる場合に、樹脂被覆層に第4級アンモニウム塩化合物を添加することで、現像剤の過剰な電荷の発生を抑制し好適な帯電特性が得られることを見出した。つまり従来トナーの正帯電性制御剤として知られている第4級アンモニウム塩化合物、すなわち、それ自体が鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物を用い、添加量を適切な量に設定することによって、さらに樹脂被覆層用結着樹脂として、樹脂被覆層用結着樹脂の一部又は全てが、その分子構造中に、−NH2基、=NH基、−NH−結合のいずれかを有するものを用いて現像剤担持体の樹脂被覆層を形成することによって、本発明における磁性現像剤に対し、過剰な電荷を有する現像剤の発生や、現像剤担持体表面への現像剤の強固な付着を有効に防止し、摩擦帯電量を好適なレベルに帯電可能であることを見出した。
【0066】
高転写効率の利点を有する重合法により製造された、本発明におけるトナーの帯電特性を向上させるための検討を行った結果、現像剤担持体の樹脂被覆層を上記構成とすることで、現像剤の帯電量を安定させ、現像ムラやブロッチ、カブリやチャージアップによる画像濃度低下などの発生を防止することができる。
【0067】
本発明に好適に使用される第4級アンモニウム塩化合物としては、鉄粉に対して正帯電性を有するものが用いられる。例えば、下記一般式3で表される化合物が挙げられる。
【0068】
【化3】
【0069】
(式中のR1、R2、R3、R4は、各々、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアリール基、アルアルキル基を表し、R1〜4は各々同一でもあるいは異なっていてもよい。X-は酸の陰イオンを表す。)
これに対し、例えば下記式4で表されるような、それ自身が鉄粉に対して負帯電性を有する含フッ素4級アンモニム塩化合物についても検討を行ったが、該化合物の添加では本発明の所期の目的が達成されないことがわかった。即ち、下記式4で表される化合物は、電子吸引性の強いフッ素樹脂原子が構造中にあるので、それ自身が鉄粉に対して負帯電性を有するが、本発明の場合と同様に、該化合物を樹脂被覆層用結着樹脂中に分散させた樹脂組成物を用いて樹脂被覆層を形成しても、それ自身が鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物を含有させたほどには、効果は得られなかった。
【0070】
【化4】
【0071】
本発明に好適に用いられる、それ自身が鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物としては、具体的には、下記一般式5〜式12のものが挙げられるが、勿論、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0072】
【化5】
【0073】
【化6】
【0074】
【化7】
【0075】
【化8】
【0076】
【化9】
【0077】
【化10】
【0078】
【化11】
【0079】
【化12】
【0080】
上記に示したような本発明で使用する第4級アンモニウム塩化合物の添加量は、樹脂被覆層用結着樹脂100質量部に対して1〜100質量部とすることが好ましい。1質量部未満では添加による帯電安定性の向上が見られず、100質量部を超えると樹脂被覆層用結着樹脂中での存在量が過剰となって元の樹脂の特性を損ない被膜強度の低下を招きやすい。
【0081】
本発明に用いられる現像剤担持体の樹脂被覆層に用いられる樹脂被覆層用結着樹脂は、特に限定されないが、樹脂被覆層用結着樹脂の一部又は全部がその分子構造中に少なくとも−NH2基、=NH基、もしくは−NH−結合のいずれかの構造を有していることが好ましい。このような樹脂被覆層用結着樹脂を用いて樹脂被覆層を形成することで、本発明の効果が発揮されやすい。本発明において、現像剤担持体の樹脂被覆層として上記のような構成のものを用いると、樹脂被覆層自身の帯電付与性が変化することについての明確な理由は定かではないが、鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物及び、−NH2基、=NH基、もしくは−NH−結合の少なくとも一つの構造を有している樹脂被覆層用結着樹脂を用いて樹脂被覆層を形成することにより樹脂被覆層用結着樹脂の構造中に第4級アンモニウム塩が取り込まれる。その際、正極性を有する第4級アンモニウム塩の元の構造が失われ、これらを取り込んだ樹脂被覆層用結着樹脂が均一且つ十分な帯電性を有するようになり、帯電の安定化に寄与するためではないかと考えられる。
【0082】
本発明に用いられる現像剤担持体は樹脂被覆層の体積抵抗を調整する為、被覆層用結着樹脂中に導電性微粉末を分散含有させても良い。このような導電性微粉末としては、個数平均粒径20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。被覆層用結着樹脂表面に形成される凹凸を避けるためには、個数平均粒径1μm以下の導電性微粉末を用いることがより好ましい。
【0083】
本発明における導電性微粉末の平均粒径は、ベックマンコールター社製、LS−230型レーザ回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取付けて0.04〜2000μmの測定範囲で測定する。測定法としては、純水10mlに微量の界面活性剤を添加し、これに導電性微粉末の試料10mgを加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、測定時間90秒、測定回数1回で測定する。
【0084】
本発明で使用される導電性微粉末としては、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリウム、酸化アンチモン及び酸化インジウム等の金属酸化物等;アルミニウム、銅、銀、ニッケル等の金属、グラファイト、金属繊維、炭素繊維等の無機系充填剤等が挙げられる。
【0085】
上述した樹脂被覆層中の導電性微粉末の添加量としては、被覆層用結着樹脂100量部に対して100質量部以下の範囲が好ましい結果を与える。より好ましい添加量は40質量部である。添加量が100質量部を越えると被膜強度の低下が起こり易く、また多量の非帯電性粒子の添加は、トナーの帯電量の低下が生じうる。
【0086】
本発明に用いられる現像剤担持体の樹脂被覆層の構成として、さらに潤滑性物質を樹脂被覆層中に分散させることで、より本発明の効果が促進されるので好ましい。潤滑性物質としては、例えばグラファイト、二硫化モリブデン、窒化硼素、雲母、フッ化グラファイト、銀−セレン化ニオブ、塩化カルシウム−グラファイト、滑石、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩等が挙げられ、特にグラファイトが被覆層の導電性を損なわないので好ましく用いられる。これらの潤滑性物質は、個数平均粒径が好ましくは0.2〜20μm程度、より好ましくは0.3〜15μmのものを使用するのがよい。
【0087】
本発明における潤滑性物質の平均粒径は、導電性微粉末の粒径測定と同様に、ベックマンコールター社製、LS−230型レーザ回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取付けて0.04〜2000μmの測定範囲で測定する。
上記潤滑性物質の添加量としては、被覆層用結着樹脂100質量部に対して10〜120質量部の範囲で特に好ましい結果を与える。添加量が120質量部を越える場合は被覆層強度の低下が生じ易く、また非帯電性の添加物を多量に添加することは、トナーの帯電量の低下が発生する。逆に10質量部未満では現像剤担持体へのトナー付着防止に対する添加効果を得ることができにくい。
【0088】
また、現像剤担持体の樹脂被覆層は、前述した添加物質に加えて、球状粒子を樹脂被覆層中に分散させることで、表面粗さを安定化させ、現像剤担持体上の現像剤コート量を最適化することが可能である。該球状粒子は、現像剤担持体の被覆層表面に均一な表面粗度を保持させると同時に、被覆層表面が摩耗した場合でも被覆層の表面粗度の変化が少なく、且つ現像剤汚染や現像剤融着を発生しにくくする効果がある。
【0089】
本発明に使用される球状粒子としては、個数平均粒径が0.3〜30μm、好ましくは2〜20μmである。球状粒子の個数平均粒径が0.3μm未満では表面に均一な粗さを付与する効果とそれにより帯電性能を安定化させる効果が少なく、現像剤への迅速且つ均一な帯電が不十分となる。さらに、現像剤の搬送が不安定となることや、被覆層の磨耗による搬送性のさらなる低下で現像剤の帯電不良、現像剤汚染及び現像剤融着が発生し、ゴーストの悪化、画像濃度低下を生じやすくなるため好ましくない。個数平均粒径が30μmを越える場合には、被覆層表面の粗さが大きくなり過ぎ、現像剤の搬送量が大きくなり、現像剤規制部での規制が十分に行われにくくなり、現像剤の帯電が十分に行なわれにくくなって画質の低下反転カブリの増加など不具合が起こりやすい。さらには、被覆層の機械的強度が低下し膜の耐久性が低下するため好ましくない。
【0090】
球状粒子の個数平均粒径は、導電性微粉末の粒径測定と同様に、ベックマンコールター社製、LS−230型レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定する。
【0091】
球状粒子は、真密度が3g/cm3以下、好ましくは2.7g/cm3以下、より好ましくは0.9〜2.3g/cm3であることが良い。即ち、球状粒子の真密度が3g/cm3を越える場合には、被覆層中での球状粒子の分散性が不十分となる為、被覆層表面に均一な粗さを付与しにくくなる。また、塗料の保存安定性が良くないため、ここでも均一表面凹凸を有する摩擦帯電付与部材表面が得にくくなる。球状粒子の真密度が0.9g/cm3より小さい場合にも、被覆層中での球状粒子の分散性および保存安定性が不十分となる傾向がある。
球状粒子の真密度は、乾式密度計アキュビック1330(島津製作所製)を用いて測定する。
【0092】
本発明に於いて球状粒子における「球状」とは、粒子の長径/短径の比が1.0〜1.5程度を意味しており、本発明において好ましくは、長径/短径の比が1.0〜1.2の粒子を使用することが良い。球状粒子の長径/短径の比が1.5を越える場合には、被覆層表面粗さの不均一化が発生し、トナーの迅速且つ均一な帯電化及び導電性被覆層の強度の点で好ましくない。
【0093】
本発明に用いられる球状粒子は、公知の球状粒子が使用可能である。例えば、球状の樹脂粒子、球状の金属酸化物粒子、球状の炭素化物粒子などがある。球状の樹脂粒子は、例えば、懸濁重合、分散重合法等により得られるものであり、より少ない添加量で好適な表面粗さが得られ、更に均一な表面形状が得られやすい。この様な球状粒子としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等のアクリル系樹脂粒子、ナイロン等のポリアミド系樹脂粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂粒子、シリコン系樹脂粒子、フェノール系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン粒子等が挙げられる。粉砕法により得られた樹脂粒子を熱的にあるいは物理的な球形化処理を行ってから用いてもよい。
【0094】
球状粒子の表面に無機微粉末を付着させて、あるいは固着させて用いてもよい。この様な無機微粉末としては、SiO2、SrTiO3、CeO2、CrO、Ai2O3、ZnO、MgOの如き酸化物、Si3N4等の窒化物、SiC等の炭化物、CaSO4、BaSO4、CaCO3等の硫酸塩、炭酸塩等が挙げられる。
【0095】
球状粒子に付着させる無機微粉末は、カップリング剤により処理して用いても良い。特に結着樹脂との密着性を向上させる目的、あるいは粒子に疎水性を与える等の目的でカップリング剤処理された無機微粉末を付着させた球状粒子を用いることが好ましい。このようなカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等がある。より具体的には、シランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位にそれぞれ1個宛の硅素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0096】
このように球状粒子表面に対してカップリング剤で処理された無機微粉末を付着させることにより、樹脂被覆層中への分散性、樹脂被覆層表面の均一性、樹脂被覆層の耐汚染性、トナーへの帯電付与性、樹脂被覆層の耐磨耗性等を向上させることができる。
【0097】
また、本発明に使用する球状粒子は導電性であることがより好ましい。即ち、球状粒子に導電性を持たせることによって、その導電性のゆえに粒子表面にチャージが蓄積しにくく、現像剤付着の軽減や現像剤への帯電付与性を向上させることができるからである。本発明において、球状粒子の導電性としては、体積抵抗値が106Ωcm以下、より好ましくは10-3〜106Ωcmの導電性球状粒子であることが好ましい。
【0098】
本発明において、球状粒子の体積抵抗が106Ωcmを超えると、摩耗によって被覆層表面に露出した球状粒子を核として現像剤の汚染や融着を発生しやすくなるとともに、迅速且つ均一な帯電が行われにくくなるため、好ましくない。
【0099】
このような導電性球状粒子を得る方法としては、以下に示す様な方法が好ましいが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではない。
【0100】
本発明に使用される特に好ましい導電性球状粒子を得る方法としては、例えば、球状の樹脂粒子やメソカーボンマイクロビーズを焼成して炭素化及び/又は黒鉛化して得た低密度且つ良導電性の球状の炭素化物粒子を得る方法が挙げられる。
そして、球状の樹脂粒子に用いられる樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
【0101】
また、メソカーボンマイクロビーズは、通常、中ピッチを加熱焼成していく過程で生成する球状結晶を多量のタール、中油、キノリン等の溶剤で洗浄することによって製造することができる。
【0102】
より好ましい導電性球状粒子を得る方法としては、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリル等の球状の樹脂粒子表面に、メカノケミカル法によってバルクメソフェーズピッチを被覆し、被覆された粒子を酸化性雰囲気化で熱処理した後に不活性雰囲気下又は真空下で焼成して炭素化及び/又は黒鉛化し、導電性球状の炭素化物粒子を得る方法が挙げられる。この方法で得られる球状の炭素化物粒子は、黒鉛化して得られる球状の炭素化物粒子の被覆部の結晶化が進んだものとなるので導電性が向上し、より好ましい。
【0103】
上記した方法で得られる導電性球状の炭素化物粒子は、いずれの方法でも、焼成条件を変化させることによって得られる球状の炭素化物粒子の導電性を制御することが可能であり、本発明において好ましく使用される。又、上記の方法で得られる球状炭素粒子は、場合によっては、更に導電性を高めるために導電性球状粒子の真密度が3g/cm3を越えない範囲で、導電性の金属及び/または金属酸化物のメッキを施していても良い。
【0104】
本発明で使用される導電性球状粒子を得る他の方法としては、球状の樹脂粒子からなる芯粒子に対して、芯粒子の粒径より小さい粒径の導電性微粒子を適当な配合比で機械的に混合することによって、ファンデルワールス力及び静電気力の作用により、芯粒子の周囲に均一に導電性微粒子を付着した後、例えば機械的衝撃力を付与することによって生ずる局部的温度上昇により芯粒子表面を軟化させ、芯粒子表面に導電性微粒子を成膜して導電化処理した球状の樹脂粒子を得る方法が挙げられる。
【0105】
本発明に使用される導電性球状粒子を得る他の方法として、球状の樹脂粒子中に導電性微粒子を均一に分散させることにより、導電性微粒子が分散された導電性球状粒子を得る方法が挙げられる。球状の樹脂粒子中に導電性微粒子を均一に分散させる方法としては、例えば、球状の樹脂粒子に用いられる結着樹脂と導電性微粒子とを混練して導電性微粒子を分散させた後、冷却固化し、所定の粒径に粉砕し、機械的処理及び熱的処理により球形化して導電性球状粒子を得る方法;又は、球状の樹脂粒子に用いられる重合性単量体中に重合開始剤、導電性微粒子及びその他の添加剤を加え、分散機によって均一に分散させた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に攪拌機等によって所定の粒径になるように懸濁させて重合を行い、導電性微粒子が分散された球状粒子を得る方法;が挙げられる。
【0106】
次に本発明に用いられる現像剤担持体の構成について説明する。
【0107】
現像剤担持体は基体とそれを取り巻いて被覆する樹脂被覆層とからなる。基体の形状としては、円筒状部材、円柱状部材、ベルト状部材等がある。ドラムに非接触の現像方法においては金属の円筒状部材が好ましく用いられ、具体的には金属製の円筒管が好ましく用いられる。金属製円筒管は主としてステンレススチール、アルミニウムおよびその合金等の非磁性のものが好適に用いられる。また、ドラムに直接接触させる現像方法の場合の基体としては、ウレタン、EPDM、シリコン等のゴムやエラストマーを含む層構成を有する円筒状部材が好ましく用いられる。
【0108】
また、磁性現像剤を用いる本発明においては、現像剤を現像剤担持体上に磁気的に吸引かつ保持するために、磁石が内設されているマグネットローラ等を現像剤担持体内に配置する。その場合、基体を円筒状としその内部にマグネットローラを配置すればよい。
本発明の樹脂被覆層を形成する方法については、特に限定されず、通常の方法によって行える。例えば、現像剤担持体の基材に、上記被覆層用結着樹脂及び上記第4級アンモニウム塩化合物等を含有する塗布液をディッピング法、スプレー法、はけ塗り法などの方法で塗布し乾燥させれば、本発明に用いられる現像剤担持体が得られる。
【0109】
<2>本発明に用いられる現像剤
次に本発明において、静電潜像から可視画像としてのトナー像を得るために用いられる現像剤(以下、「トナー」ともいう)について説明する。
【0110】
本発明に用いられるトナーは、結着樹脂成分及び磁性粉体を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粉体と、該無機微粉体よりも大きくトナーよりも小さい平均粒径の導電性微粉体とを有し、上記式(1)により求められる平均円形度が0.970以上であり、実質的に磁性粉体が表面に露出していない磁性トナーである。
【0111】
まず、トナーの円形度について説明する。
【0112】
円形度が0.970以上のトナー(トナー粒子群で構成される粉体)から構成されるトナーは転写性に非常に優れている。これはトナー粒子と感光体との接触面積が小さく、鏡像力やファンデルワールス力等に起因するトナー粒子の感光体への付着力が低下するためと考えられる。従って、このようなトナーを用いれば転写率が高く、転写残トナーが非常に低減するため、帯電部材と感光体との圧接部におけるトナーが非常に少なく、トナー融着が防止され、画像欠陥が著しく抑制されるものと考えられる。
【0113】
さらに、円形度が0.970以上のトナー粒子は表面のエッジ部がほとんど無いため、帯電部材と感光体との圧接部において摩擦が低減され、感光体表面の削れが抑制されるとも考えられる。
【0114】
これらの効果は、転写中抜けの発生しやすい接触転写工程を含む画像形成方法においては、より顕著となって現れる。
【0115】
本発明におけるトナーの円形度は、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亜医用電子(株)製フロー式粒子像測定装置FPIA−1000型を用いて測定を行い、下式(2)を用いて算出し、さらに下式(3)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数(m)で除した値を平均円形度(am)と定義する。
【0116】
【数6】
円形度(ai)=L0/L 式(2)
(式中、L0は磁性トナー粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を示し、Lは磁性トナー粒子の投影像の周囲長を示す。)
【0117】
【数7】
ここで粒子投影面積とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、粒子投影像の周囲長とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0118】
本発明における円形度は現像剤粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0119】
なお、本発明で用いる測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及びモード円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.40〜1.00を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度のものであり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
【0120】
測定手順としては、以下の通りである。
【0121】
界面活性剤約0.1mgを溶解している水10mlに、磁性トナー約5mgを分散させて分散液を調製し、超音波(20KHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000〜2万個/μlとして、前記装置により測定を行い、平均円形度を求める。
【0122】
また、本発明における磁性トナーは、実質的に磁性粉体が表面に露出していないものであり、具体的には、X線光電子分光分析により測定される磁性トナー粒子の表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)が、0.001未満であることが好ましい。
【0123】
すなわち接触帯電工程を含む画像形成方法において、トナー粒子表面に磁性粉体が露出している磁性トナーを用いた場合、露出した磁性粉体による感光体の削れがより顕著となって現れやすいためである。しかしながら、上述の如き(B/A)が0.001未満である、すなわち磁性粉体がトナー粒子表面に実質的にほとんど露出していない磁性トナーを用いれば、帯電部材によりトナーが感光体表面に圧接されても感光体表面が削れることはほとんど無く、感光体の削れやトナー融着を著しく低減させることが可能となる。
【0124】
なお、磁性トナー表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)は、ESCA(X線光電子分光分析)により表面組成分析を行い算出することができる。
【0125】
本発明では、ESCAの装置および測定条件は、下記の通りである。
使用装置:PHI社製 1600S型 X線光電子分光装置
測定条件:X線源 MgKα(400W)
分光領域 800μmφ
本発明では、測定された各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度を算出する。本測定はトナーを超音波洗浄し、磁性トナー粒子表面に付着している無機微粉体等を除去した後、磁気力にて分離し、乾燥し測定することが好ましい。
【0126】
なお、粒子内部の特定の部分のみに磁性粉体粒子が含有されている特殊なトナーは、特開平7−209904号公報においても既に開示されている。しかしながら、特開平7−209904号公報においては、開示されているトナーの円形度に関する言及がなされていない。
【0127】
本発明の画像形成方法においては、特定の円形度を有するトナーの使用が必須要素であり、特開平7−209904号公報に記載されているようなトナーを本発明の使用形態で用いても同じような効果が発現するかどうかは不明である。特開平7−209904号公報において開示されているトナー構成を要約すれば、トナー粒子表面付近に磁性粉体粒子の存在しない樹脂層が一定量以上の厚みで形成されている構造から成るものであり、これは、磁性粉体粒子が存在しないトナー表層部分がかなりの割合で存在することを意味している。しかしながら言い換えると、このようなトナーは、例えば平均粒径が10μmと小さい場合、磁性粉体粒子が存在しうる容積が小さくなるため、十分な量の磁性粉体粒子を内包しにくいということでもある。しかも、こういったトナーでは、トナーの粒度分布において粒径の大きいトナー粒子と小さい粒子とでは磁性粉体粒子の存在しない表面樹脂層の割合が異なり、従って、内包される磁性粉体含有量も異なるため、現像性や転写性もトナーの粒径によって異なってしまい、粒径に依存する、選択現像性が見られやすい。従って、こういった磁性トナーで長期に渡り印字を行うと、磁性粉体を多く含み現像されにくい粒子、即ち粒径の大きなトナー粒子が残りやすく、画像濃度及び画質の低下、さらには定着性の悪化にもつながる。
【0128】
従って、本発明においてはトナー粒子中の磁性粉体の分散状態を以下のような好ましい分散状態にすればよい。トナー粒子中における好ましい磁性粉体分散状態とは、磁性粉体粒子が凝集せずになるべくトナー粒子全体に均一に存在する状態である。即ち、トナーの体積平均粒径をC、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた磁性トナーの断層面観察において、磁性粉体とトナー粒子表面との距離の最小値をDとしたとき、D/C≦0.02である磁性トナーを用いることもまた、本発明における特徴の一つである。
【0129】
本発明で、D/C≦0.02に調整する方法としては、磁性粉体の表面処理剤の種類や処理の均一性を制御することなどが挙げられる。
【0130】
本発明における磁性トナーの体積平均粒径Cは、後述するコールターマルチサイザー等にて、またDは、以下のように測定することができる。TEMによる具体的な観察方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を、そのままあるいは凍結して、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームにより薄片状のサンプルとして観察する方法が好ましい。
【0131】
本発明の画像形成方法において、更に高画質化のため、より微小な潜像ドットを忠実に現像するためには、トナーの重量平均粒径が3〜10μm、更には4〜8μmであることが好ましい。重量平均粒径が3μmよりも小さいトナーに於いては、転写効率の低下から感光体上の転写残トナーが多くなり、接触帯電工程での感光体の削れやトナー融着の抑制が難しくなる傾向がある。さらに、トナー全体の表面積が増えることに加え、トナーの流動性及び攪拌性が低下し、個々のトナー粒子を均一に帯電させることが困難となることからカブリや転写性が悪化傾向となり、削れや融着以外にも画像の不均一ムラの原因となりやすいため、本発明で使用するトナーには好ましくない。また、トナーの重量平均粒径が10μmを越える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生じやすく、高解像度が得られにくい。さらに画像形成装置が高解像度になっていくと8μm以上のトナーは1ドットの再現が悪化する傾向にある。
【0132】
トナーの平均粒径はコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)等種々の方法で測定可能であるが、本発明においてはコールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調整する。たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
【0133】
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。
【0134】
それから、本発明に係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)を求める。
【0135】
本発明においては、トナー粒子を重合法、特に懸濁重合法で製造した後、無機微粉体と導電性微粉体を混合添加することにより無機微粉体と導電性微粉体を表面に付着させ、本発明の磁性トナーとすることが好ましい。この懸濁重合法においては、結着樹脂成分となる重合性単量体、磁性粉体および着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散させて重合性単量体系とした後、この重合性単量体系を分散安定剤が含有される連続層(例えば水系媒体)中に適当な撹拌器を用いて分散し同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後重合トナー)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、円形度が0.970以上という本発明に必須な物性要件を満たすトナーが得られやすい。なお、本発明において水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水系媒体として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調製剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。
【0136】
しかしながら、重合トナー中に通常の磁性粉体を含有させても、粒子表面からの磁性粉体の露出を抑えることは難しい。さらにはトナー粒子の流動性及び帯電特性が著しく低下するだけでなく、懸濁重合トナーの製造時に磁性粉体と水との相互作用が強いことにより、平均円形度が0.970以上のトナーが得られ難い。これは、第一に磁性粉体粒子は一般的に親水性であるためにトナー表面に存在しやすいこと、第二に水溶媒撹拌時に磁性粉体が乱雑に動き、それに単量体から成る懸濁粒子表面が引きずられ、形状が歪んで円形になりにくいこと等が原因と考えられる。こういった問題を解決するためには磁性粉体粒子の有する表面特性の改質が重要である。磁性粉体が優れた疎水性と分散性を有するために、本発明において重合トナーに用いられる磁性粉体は、表面が水系媒体中で磁性粉体を一次粒径となるように分散しつつカップリング剤を加水分解しながら処理された磁性粉体であるのが好ましい。この疎水化処理方法は気相中で処理するより、磁性粉体粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性粉体粒子間の帯電反発作用が働き、磁性粉体はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
【0137】
該磁性粉体を重合トナー用の材料として用いた場合、トナー粒子中への分散性が非常に良好となり、磁性粉体がトナー粒子表面に露出することも無くほぼ球形に近い磁性トナーを得ることができる。即ち、平均円形度が0.970以上、さらにX線光電子分光分析により測定される磁性トナーの表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する(B)の比(B/A)が0.001未満という磁性トナーを得ることが可能となる。
【0138】
本発明に係わる磁性粉体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。その処理量は磁性粉体100質量部に対して、0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部とするのが良い。
【0139】
こうして得られる磁性粉体は粒子の凝集が見られず、個々の粒子表面が均一に疎水化処理されているため、重合トナー用の材料として用いた場合、トナー粒子中への分散性が非常に良好である。しかもトナー粒子表面からの露出が無く、ほぼ球形に近い重合トナーが得られる。
【0140】
本発明におけるトナーに用られる磁性粉体は、結着樹脂成分100質量部に対して、10〜200質量部用いることが好ましい。さらに好ましくは20〜180質量部用いることが良い。10質量部未満ではトナーの着色力が乏しく、カブリの抑制も困難である。一方、200質量部を越えると、現像剤担持体への磁力による保持力が強まり現像性が低下したり、個々のトナー粒子への磁性粉体の均一な分散が難しくなるだけでなく、定着性が低下してしまう傾向がある。
【0141】
本発明に用いられる磁性粉体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケル等の金属或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属の合金及びその混合物が挙げられるが、主にマグネタイトからなるものが好ましい。
【0142】
磁性粉体の形状としては、8面体、6面体、球形、針状、燐片状などがあるが、8面体、6面体、球形、不定型等の異方性の少ないものが画像濃度を高める上で好ましい。こういった磁性粉体の形状はSEMなどによって確認することができる。磁性粉体の平均粒径としては0.01〜1.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.5μmが好ましい。平均粒径が0.01μm未満の場合、黒色度の低下が顕著となり、白黒用トナーの着色剤としては着色力が不十分となるうえに、複合酸化物粒子どうしの凝集が強くなるため、分散性が悪化する傾向となる。一方、平均粒径が1.0μmを越えてしまうと、一般の着色剤と同様に着色力が不足するようになる。加えて、特に小粒径トナー用の着色剤として使用する場合、個々のトナー粒子に同個数の磁性粉体を分散させることが確率的に困難となり、分散性が悪化しやすい。なお、磁性粉体の平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、測定するトナーの粉体サンプルを透過型電子顕微鏡で観察し、視野中の100個の磁性粉体粒子径を測定し、個数平均粒径を求め平均粒径とする。
【0143】
さらにまた、磁性粉体以外に他の着色剤を併用しても良い。併用し得る着色材料としては、磁性あるいは非磁性無機化合物、公知の染料及び顔料が挙げられる。具体的には、例えば、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属粒子、またはこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素などを加えた合金、ヘマタイトなどの粒子、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニン等が挙げられる。これらもまた、磁性粉体と同様にカップリング剤で表面を処理して用いても良い。
【0144】
本発明に係わるトナーは、離型剤を含有することも好ましい使用形態の一つである。
【0145】
転写材上に転写されたトナー像はその後、熱・圧力等のエネルギーにより転写材上に定着され、半永久的画像が得られる。この際、熱ロール式定着が一般に良く用いられる。
【0146】
先述したように、重量平均粒径が10μm以下のトナーを用いれば非常に高精細な画像を得ることができるが、粒径の細かいトナー粒子は紙等の転写材を使用した場合に紙の繊維の隙間に入り込み、熱定着用ローラからの熱の受け取りが不十分となり、低温オフセットが発生しやすい。しかしながら、本発明に係わるトナーにおいて、離型剤として適正量の離型剤を含有させることにより、高解像性と耐オフセット性を両立させつつ感光体の削れを防止することが可能となる。
【0147】
本発明に係わるトナーに使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス等示差熱分析における吸熱ピークを45℃以上110℃以下、更には50℃以上90℃以下の範囲に有するものが好ましい。
【0148】
離型剤を使用する際の含有量としては、トナー全体に対して0.5〜50質量%の範囲が好ましい。含有量が0.5質量%未満では低温オフセット抑制効果に乏しく、50質量%を超えてしまうと長期間の保存性が悪化すると共に、他のトナー材料の分散性が悪くなり、トナーの流動性の悪化や画像特性の低下につながる。
【0149】
本発明の画像形成方法に関わるトナーには、荷電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法を用いて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、負帯電性荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等の芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂成分の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂成分100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0150】
本発明の画像形成方法に関わるトナーの懸濁重合法による製造方法を説明する。
【0151】
本発明に関わる重合トナーに使用される重合性単量体系を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
【0152】
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
【0153】
これらの重合性単量体は単独、または混合して使用し得る。上述の重合性単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいはほかの単量体と混合して使用する事がトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
【0154】
本発明に係わる重合トナーの製造においては、重合性単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、重合性単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体等の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形にして使用すればよい。こうした極性官能基を含む高分子重合体をトナー中に共存させると、前述のワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐オフセット性、耐ブロッキング性、低温定着性の良好なトナーを得ることができる。このような極性官能基を含む高分子重合体を使用する場合、その平均分子量は5,000以上が好ましく用いられる。5,000以下、特に4,000以下では、本重合体が表面付近に集中し易い事から、現像性、耐ブロッキング性等に悪い影響が起こり易くなり好ましくない。
【0155】
また、極性重合体としては特にポリエステル系の樹脂が好ましい。
【0156】
また、材料の分散性や定着性、あるいは画像特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を重合性単量体系中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。
【0157】
これら樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部以上添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなる傾向がある。
【0158】
さらに、重合性単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を重合性単量体系中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナーを得ることが出来る。
【0159】
本発明の画像形成方法に関わる重合トナーの製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行うと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体が得られ、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることが出来る。重合開始剤例としては、2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0160】
本発明の画像形成方法に関わる重合トナーを製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体系に対して0.001〜15質量%である。
【0161】
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0162】
本発明の画像形成方法に関わる重合トナーの製造方法では、一般に上述のトナー組成物、すなわち重合性単量体に磁性粉体、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤、場合によって着色剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、高分子重合体、分散剤等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解または分散させた重合性単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。又、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加える事も出来る。
【0163】
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
【0164】
本発明の画像形成方法に関わる重合トナーを製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用でき、中でも無機分散剤が有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物等が挙げられる。
【0165】
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用する事が望ましいが、超微粒子を発生し難いもののトナーを微粒化するには不十分であるので、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0166】
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
【0167】
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させることが好ましい。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることにより、より均一で細かな分散が可能となる。このとき、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。重合反応終期に残存重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩したほうが良い。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことが出来る。
【0168】
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げる事は可能である。
【0169】
本発明においてトナーは、流動化剤として無機微粉体が添加されることも重要である。無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。
【0170】
無機微粉体は平均1次粒径4〜80nmが好ましい。平均1次粒径が80nmよりも大きい場合、或いは80nm以下の無機微粉体が添加されていない場合には、転写残トナーが帯電部材へ付着した際に帯電部材に固着し易くなり、安定して良好な帯電特性を得ることが困難である。また、良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題を避けられない。無機微粉体の平均1次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉体の凝集性が強まり、1次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、凝集体の現像、像担持体或いは現像担持体等を傷つけるなどによる画像欠陥を生じ易くなる。
【0171】
トナー粒子の帯電分布をより均一とするためには無機微粉体の平均1次粒径は6〜35nmであることがより良い。
【0172】
本発明において、無機微粉体の平均1次粒径の測定は以下のように行う。走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉体の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー表面に付着或いは遊離して存在している無機微粉体の1次粒子を100個以上測定し、個数平均粒径を求めることにより測定出来る。
【0173】
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、アルミナ、チタニアなどが使用できる。
【0174】
例えば、シリカとしてはケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0175】
平均1次粒径が4〜80nmの無機微粉体の添加量は、トナー粒子に対して0.1〜3.0質量%であることが好ましく、添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%以上では定着性が悪くなる傾向がある。
【0176】
無機微粉体は、疎水化処理された物であることが高温高湿環境下での特性から好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナー粒子の帯電量が著しく低下し、トナー飛散が起こり易くなるからである。
【0177】
疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカッブリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物等の処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。
【0178】
その中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粉体を疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものが高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でよい。
【0179】
具体的には、例えば第一段反応としてシリル化反応を行い、シラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。
【0180】
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さらには3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粉体に安定性が無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
【0181】
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
【0182】
シリコーンオイルの処理の方法としては、例えばシラン化合物で処理された無機微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉体を加えて混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉体の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
【0183】
シリコーンオイルの処理量は無機微粉体100質量部に対し1〜23質量部、好ましくは5〜20質量部が良い。
【0184】
シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずることがある。
【0185】
本発明で用いられる平均1次粒径が80nm以下の無機微粉体は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が20〜250m2/g範囲内のものが好ましく、より好ましくは40〜200m2/gのものが更に良い。
【0186】
比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することにより求められる。
【0187】
また、本発明におけるトナーは、無機微粉体の個数平均1次粒径よりも大きく、トナーの重量平均粒径よりも小さい導電性微粉体を有していることが好ましい。個数平均1次粒径、重量平均粒径は同じ尺度で比較するものではないが、無機微粉体は導電性微粉体より比較的小さく、また導電性微粉体はトナーより比較的小さいので、本発明においては、導電性微粉体の大きさを比較する一つの指標としてこれらを用いた。
【0188】
導電性微粉体は、体積平均粒径が0.1〜10μmであることが好ましく良い。導電性微粉体の体積平均粒径が小さいと、現像性の低下を防ぐために導電性微粉体のトナー全体に対する含有量を小さく設定することが好ましい。導電性微粉体の体積平均粒径が0.1μm未満では、導電性微粉体の有効量を確保できず、帯電工程において、接触帯電部材への絶縁性の転写残トナーへの付着・混入による帯電阻害に打ち勝ち像担持体の帯電を良好に行わせるのに十分な量の導電性微粉体を、帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に介在させることができず、帯電不良を生じ易くなる。この観点から、導電性微粉体の体積平均粒径は好ましくは0.15μm以上、更に好ましくは0.2μm以上、5μm以下が良い。
【0189】
また、導電性微粉体の体積平均粒径が10μmよりも大きいと、帯電部材から脱落した導電性微粉体は静電潜像を書き込む露光光を遮光或いは拡散し、静電潜像の欠陥を生じ画像品位を低下させる傾向がある。更に、導電性微粉体の体積平均粒径が大きいと、単位重量当りの粒子数が減少するため、帯電部材からの導電性微粉体の脱落等による減少、劣化を考慮して導電性微粉体を帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に逐次に導電性微粉体が供給し続け介在させるために、また、接触帯電部材が導電性微粉体を介して像担持体への緻密な接触性を維持し良好な帯電性を安定して得るためには、導電性微粉体のトナー全体に対する含有量を大きくしなければならない。しかし、導電性微粉体の含有量を大きくしすぎると、特に高湿環境下で、現像性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を生ずる。このような観点から、導電性微粉体の体積平均粒径は好ましくは5μm以下が良い。
【0190】
導電性微粉体のトナー全体に対する含有量は、0.1〜10質量%であることが好ましい。導電性微粉体のトナー全体に対する含有量が0.1質量%よりも少ないと、接触帯電部材への絶縁性の転写残トナーへの付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電を良好に行わせるのに十分な量の導電性微粉体を、帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に介在させることができず、帯電性が低下し帯電不良を生じやすい。また、含有量が10質量%よりも多い場合では、現像同時クリーニングによって回収される導電性微粉体が多くなりすぎることによる現像部でのトナーの帯電能、現像性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を生じやすい。導電性微粉体のトナー全体に対する含有量は、0.2〜5質量%であることが好ましく良い。
【0191】
また、導電性微粉体の抵抗は109Ωcm以下が好ましい。導電性微粉体の抵抗が109Ωcmよりも大きいと導電性微粉体を帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に介在させ、接触帯電部材の導電性微粉体を介しての像担持体への緻密な接触性を維持させても、良好な帯電性を得るための帯電促進効果が得られにくい。
【0192】
更に、導電性微粉体の抵抗が106Ωcm以下であることが、接触帯電部材への絶縁性の転写残トナーへの付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電をより良好に行わせる上で良い。
【0193】
導電性微粉体の帯電促進効果を十分に引き出し、良好な帯電性を安定して得るためには、導電性微粉体の抵抗が、接触帯電部材の表面部或いは像担持体との接触部の抵抗よりも小さいことが好ましい。
【0194】
また、導電性微粉体は透明、白色或いは淡色の導電性微粉体であることが、転写材上に転写される導電性微粉体の色再現性への影響が防止されるため好ましく良い。静電潜像形成工程における露光光の妨げとならない意味でも、導電性微粉体は、透明、白色或いは淡色の導電性微粉体であることがよく、より好ましくは、導電性微粉体の露光光に対する透過率が30%以上であることが良い。
【0195】
本発明においては、導電性微粉体の光透過性については以下の手順で測定することができる。片面に接着層を有する透明のフィルムに、導電性微粉体を一層分固定した状態で透過率を測定する。光はシートの鉛直方向から照射し、フィルム背面に透過した光を集光し光量を測定する。フィルムのみと導電性微粉体を付着したときの光量から正味の光量として導電性微粉体の透過率を算出する。実際にはX−Rite社製310T透過型濃度計を用いて測定する。
【0196】
また、導電性微粉体は非磁性であることが好ましい。導電性微粉体が非磁性であることで、透明、白色または淡色の導電性微粉体が得られやすい。反対に、磁性を有する導電性微粉体は、透明、白色または淡色とすることが困難である。また、現像剤担持のために磁気力による現像剤の搬送及び保持を行う画像形成法においては、磁性を有する導電性微粉体は現像されにくいため、像担持体上への導電性微粉体の供給が不足したり、現像剤担持体表面に導電性微粉体が蓄積することにより、トナー粒子の現像を妨げる等の弊害を起こし易い。更に、磁性トナー粒子に磁性を有する導電性微粉体を添加すると、磁気的凝集力によりトナー粒子から導電性微粉体が遊離しにくくなる傾向があり、導電性微粉体の像担持体上への供給性が低下し易い。
【0197】
本発明における導電性微粉体としては、例えばカーボンブラック、グラファイトなどの炭素微粉体;銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属微粉体;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングステンなどの金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸カリなどの金属化合物、あるいはこれらの複合酸化物などが必要に応じて粒度及び粒度分布を調整することで使用できる。これらの中でも酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン等の導電性無機酸化物微粉体が特に好ましい。
【0198】
また、導電性無機酸化物微粉体の抵抗値を制御する等の目的で、アンチモン、アルミニウムなどの元素をドープした金属酸化物、導電性材料を表面に有する微粉体なども使用できる。例えば酸化スズ・アンチモンで表面処理された酸化チタン微粉体、アンチモンがドープされた酸化第二スズ微粉体、あるいは酸化第二スズ微粉体などである。
【0199】
市販の酸化スズ・アンチモン処理された導電性酸化チタン微粉体としては、例えばEC−300(チタン工業株式会社)、ETー300、HJ−1、HI−2(以上、石原産業株式会社)、W−P(三菱マテリアル株式会社)などが挙げられる。
【0200】
市販のアンチモンドープの導電性酸化スズとしては、例えばT−1(三菱マテリアル株式会社)やSN−100P(石原産業株式会社)などが、また市販の酸化第二スズとしては、SH−S(日本化学産業株式会社)などが挙げられる。
【0201】
上記導電性微粉体の体積平均粒径の測定法を例示する。コールター社製、LS-230型レーザー回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取り付けて0.04〜2000μmの粒径を測定範囲とし、得られる体積基準の粒度分布より導電性微粉体の体積平均粒径を算出する。測定手順としては、純水10ccに微量の界面活性剤を添加し、これに導電性微粉体の試料10mgを加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、測定時間90秒、測定回数1回で測定する。
【0202】
トナーからの測定においては、純水100gに対して、微量の界面活性剤を添加してトナー2〜10gを加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、遠心分離機等により、トナー粒子と上記導電性微粉体を分離する。磁性トナーの場合は磁石を利用することもできる。分離した分散液を測定時間90秒、測定回数1回で測定する。
【0203】
本発明において、導電性微粉体の粒度の調整方法としては、導電性微粉体の1次粒子が製造時において所望の粒度が得られるように製造法、製造条件を設定する方法以外にも、一次粒子の小さな粒子を凝集させる方法、一次粒子の大きな粒子を粉砕する方法或いは分級による方法等が可能であり、更には、所望の粒度の基材粒子の表面の一部もしくは全部に導電性粒子を付着或いは固定化する方法、所望の粒度の粒子に導電性成分が分散された形態を有する導電性粒子を用いる方法等も可能であり、これらの方法を組み合わせて導電性微粉体の粒度を調整することも可能である。
【0204】
導電性微粉体の粒子が凝集体として構成されている場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義される。導電性微粉体は、1次粒子の状態で存在するばかりでなく2次粒子の凝集した状態で存在することも問題はない。どのような凝集状態であれ、凝集体として帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に介在し、帯電補助或いは促進の機能が実現できればその形態は問わない。
【0205】
本発明において、導電性微粉体の抵抗測定は、錠剤法により測定し正規化して求めることができる。即ち、底面積2.26cm2の円筒内に凡そ0.5gの粉体試料を入れ上下電極に15kgの加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加し抵抗値を計測、その後正規化して比抵抗を算出する。
【0206】
本発明に用いられるトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、あるいは酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤、あるいは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤、ケーキング防止剤、また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いる事もできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
【0207】
<3>本発明の画像形成方法及び画像形成装置
本発明の画像形成方法は、帯電部材に電圧を印加し、像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、下記(a)〜(d)を含む現像工程と、
(a)現像容器内に収容されている現像剤を現像剤担持体上に担持させる工程;
(b)該現像剤担持体上の現像剤の層厚を現像剤層厚規制部材により規制する工程;(c)層厚を規制された前記現像剤を前記現像剤担持体と像担持体とが対向する現像領域へ担持搬送する工程;(d)現像剤担持体上の現像剤を像担持体上の静電潜像に転移させてトナー像を形成する工程;
前記像担持体表面に形成されたトナー像を転写材に静電転写する転写工程と、前記転写材上に転写されたトナー像を加熱・定着する定着工程と、を有する画像形成方法において、前記現像工程は、トナー像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねており、前記現像剤は上記の磁性現像剤を用い、前記現像剤担持体は上記現像剤担持体を用いる画像形成方法である。
また、本発明の画像形成装置は、本発明の画像形成方法を用いたものである。
【0208】
本発明における帯電工程は、像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であり、かつ、少なくとも帯電部材と像担持体との当接部及び/又はその近傍に、前記トナー中に含有の導電性微粉体が現像工程で像担持体に付着し転写工程の後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介在している。
【0209】
以下に本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置について図を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0210】
図1は、磁性一成分現像剤を用いた本発明の現像装置の模式図を示す。図1において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を保持する像担持体、例えば、電子写真感光ドラム1は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ8は、現像容器としてのホッパー3によって供給された磁性トナーを有する現像剤4を担持して、矢印A方向に回転することによって、現像スリーブ8と感光ドラム1とが対向している現像領域Dに現像剤4を搬送する。図1に示すように、現像スリーブ8内には、現像剤4を現像スリーブ8上に磁気的に吸引且つ保持する為に、磁石が内接されているマグネットローラ5が配置されている。
【0211】
本発明において現像装置で用いられる現像スリーブ8は、上述の現像剤担持体を用いれば良く、具体的には基体としての金属円筒管6上に被覆された樹脂被覆層7を有する。ホッパー3中には、現像剤4を攪拌するための攪拌翼10が設けられている。11は現像スリーブ8とマグネットローラ5とが非接触状態にあることを示す間隙である。
【0212】
現像剤4は、現像剤相互間及び現像スリーブ8上の樹脂被覆層7との摩擦により、感光ドラム1上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。図1の例では、現像領域Dに搬送される現像剤4の層厚を規制するために、現像剤層厚規制部材としてウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム弾性を有する材料、或いはリン青銅、ステンレス鋼等の金属弾性を有する材料の弾性板からなる現像剤層厚規制部材2を使用し、現像スリーブ8に対してカウンター方向に現像剤を介し弾性的に圧接することによって現像剤の薄層を形成している。この様にして、現像スリーブ8上に形成される現像剤4の薄層の厚みは、現像領域Dにおける現像スリーブ8と感光ドラム1との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。
【0213】
現像スリーブ8に対する現像剤層厚規制部材2の当接圧力は線圧5〜50g/cmであることが、現像剤の規制を安定化させ、現像剤層厚を好適にさせることが出来る点で好ましい。現像剤層厚規制部材の当接圧力が線圧5g/cm未満の場合には、現像剤の規制が弱くなり、カブリやトナーもれの原因となり、線圧50g/cmを超える場合には、トナーへのダメージが大きくなり、トナー劣化やスリーブ及びブレードへの融着の原因となり易い。
【0214】
上記現像スリーブ8に担持された一成分系現像剤4を飛翔させる為、上記現像スリーブ8にはバイアス手段としての電源9により交番バイアス電圧が印加される。この現像バイアスとして直流電圧を使用するときに、静電潜像の画像部(現像剤4が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧を現像スリーブ8に印加するのが好ましい。現像された画像の濃度を高め、或は階調性を向上するためには、現像スリーブ8に交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合には、上記した現像画像部電位と背景部電位の中間の値を有する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧を現像スリーブ8に印加するのが好ましい。
【0215】
高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、正規現像の場合には、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用する。高電位部と低電位部を有する静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、反転現像の場合には、静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用する。高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。これらいずれの場合にも、現像剤4は少なくとも現像スリーブ8との摩擦により帯電される。
【0216】
図はあくまでも本発明における現像装置を模式的に例示したものであり、現像剤容器(ホッパー3)の形状、攪拌翼10の有無、磁極の配置に様々な形態があることは言うまでもない。
【0217】
図2は本発明における別の形態の現像装置の模式図を示す。図2では現像剤層厚規制部材を現像スリーブ8に対して順方向に現像剤を介し弾性的に圧接したものである。
【0218】
本発明は、これらの現像手段、像保持体、帯電手段を一体化してプロセスカートリッジとして用いることもできる。
図3を参照しながら、図1で例示した本発明の現像剤担持体を有する現像装置を使用した画像形成装置の一例について説明する。先ず、一次帯電手段としての接触(ローラ)帯電手段18により像担持体としての感光ドラム1の表面を負極性に帯電させ、レーザ光の露光12によるイメージスキャニングにより静電潜像が感光ドラム1上に形成される。次に、現像剤層厚規制部材2を有し、現像剤担持体としての現像スリーブ8が具備されている現像装置によって、上記静電潜像が、現像容器としてのホッパー3内のトナーを有する負帯電性一成分系現像剤4によって反転現像される。
【0219】
図3に示す様に、現像領域Dにおいて感光ドラム1は現像スリーブに接地されており、現像スリーブ8には電源9により交番バイアス、パルスバイアス及び/又は直流バイアスが印加されている。次に、転写材Pが搬送されて転写部に来ると、転写手段としての接触(ローラ)転写手段13により転写材Pの背面(感光ドラム側と反対面)から電圧印加手段20で帯電されることにより、感光ドラム1の表面上に形成されている現像画像が接触転写手段13で転写材P上へ転写される。
次に、感光ドラム1から分離された転写材Pは、定着手段としての加熱加圧ローラ定着器15に搬送され、該定着器によって転写材P上の現像画像の定着処理がなされる。
【0220】
上記の一連の工程において、感光ドラム(即ち、像担持体)1は感光層及び導電性基体を有するものであり、矢印B方向に動く。現像スリーブ8は、現像領域Dにおいて感光ドラム1の表面と同方向(矢印A方向)に進む様に回転する。ホッパー3内の一成分系現像剤4は現像スリーブ8上に担持され、且つ現像スリーブ8の表面との摩擦及び/又はトナー同士の摩擦によって、例えば、マイナスのトリボ電荷が与えられる。更に、現像剤層厚規制部材12により、現像剤層の厚さを薄く(30〜300μm)且つ均一に規制して、現像領域Dにおける感光ドラム1と現像スリーブ8との間隙よりも薄い現像剤層を形成させる。
【0221】
現像スリーブ8は像担持体に対して100〜1000μmの離間距離を有して対向して設置されることが好ましい。現像スリーブ8の像担持体に対する離間距離が100μmよりも小さいと、離間距離の振れに対するトナーの現像特性の変化が大きくなるため、安定した画像性を満足する画像形成装置を量産することが困難となる。現像スリーブ8の像担持体に対する離間距離が1000μmよりも大きいと、現像装置への転写残トナーの回収性が低下し、回収不良によるカブリを生じ易くなる。また、像担持体上の静電潜像に対するトナーの追従性が低下するために、解像性の低下、画像濃度の低下等の画質低下を招く。好ましくは120〜500μmがよい。
【0222】
また、現像スリーブ8の回転速度を調整することによって、現像スリーブ8の表面速度が感光ドラム1の表面の速度と実質的に等速、もしくはそれに近い速度となる様にすることが好ましい。現像領域Dにおいて、現像スリーブ8に現像バイアス電圧として、交番バイアス又はパルスバイアスを電源9により印加してもよい。現像スリーブ8と潜像保持体との間に、少なくともピークトゥーピークの電界強度で3×106〜10×106V/m、周波数100〜5000Hzの交番電界を現像バイアスとして印加することが好ましく良い。
【0223】
現像領域Dにおける現像剤の移転に際し、感光ドラム1の表面の静電気力、及び交番バイアス又はパルスバイアスの如き現像バイアス電圧の作用によって、現像剤は静電潜像側に移転する。ここで現像同時クリーニング画像形成方法において、トナー粒子に導電性微粉体を外部添加した場合の画像形成プロセス中でのトナー粒子及び導電性微粉体の挙動について説明する。
【0224】
トナーに含有させた導電性微粉体は、現像工程における像担持体側の静電潜像の現像時にトナー粒子とともに適当量が像担持体側に移行する。
【0225】
像担持体上のトナー像は転写工程において転写材側に転移する。像担持体上の導電性微粉体も一部は転写材側に付着するが残りは像担持体上に付着保持されて残留する。トナーと逆極性の転写バイアスを印加して転写を行う場合には、トナーは転写材側に引かれて積極的に転移するが、像担持体上の導電性微粉体は導電性であることで転写材側には積極的には転移せず、一部は転写材側に付着するものの残りは像担持体上に付着保持されて残留する。
【0226】
クリーナを用いない画像形成方法では、転写後の像担持体面に残存の転写残トナーおよび上記の残存導電性微粉体は、像担持体と接触帯電部材の当接部である帯電部に像担持体面の移動でそのまま持ち運ばれて接触帯電部材に付着・混入する。
【0227】
従って、像担持体と接触帯電部材との当接部に導電性微粉体が介在した状態で像担持体の接触帯電が行われる。
【0228】
この導電性微粉体の存在により、接触帯電部材への転写残トナーの付着・混入による汚染にかかわらず、接触帯電部材の像担持体への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、該接触帯電部材による像担持体の帯電を良好に行わせることができる。
【0229】
また、接触帯電部材に付着・混入した転写残トナーは、帯電部材から像担持体へ印加される帯電バイアスによって、帯電バイアスと同極性に帯電を揃えられて接触帯電部材から徐々に像担持体上に吐き出され、像担持体面の移動とともに現像部に至り、現像工程において現像同時クリーニング(回収)される。
【0230】
更に、画像形成が繰り返されることで、トナーに含有させてある導電性微粉体が、現像部で像担持体面に移行し該像担持面の移動により転写部を経て帯電部に持ち運ばれて帯電部に逐次に導電性微粉体が供給され続けるため、帯電部において導電性微粉体が脱落等で減少したり、劣化するなどしても、帯電性の低下が生じることが防止されて良好な帯電性が安定して維持される。
【0231】
本発明の画像形成方法における帯電工程は、像担持体(被帯電体)に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)を接触させ、この接触帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させる接触帯電装置を用いる。接触帯電部材に対する印加帯電バイアスは直流電圧のみでも良好な帯電性を得ることが可能であるが、直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳してもよい。
【0232】
交番電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交番電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0233】
本発明においては、帯電部材が、帯電部材と像担持体との間に導電性微粉体を介在させる当接部を設ける上で弾性を有することが好ましく、帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電するために導電性であることが好ましい。従って、帯電部材は弾性導電ローラ、磁性粒子を磁気拘束させた磁気ブラシ部を有し、該磁気ブラシ部を被帯電体に接触させた磁気ブラシ接触帯電部材或いは導電性繊維から構成される帯電ブラシであることが好ましく良い。
【0234】
弾性導電ローラの硬度は、硬度が低すぎると形状が安定しないために被帯電体との接触性が悪くなり、更に、帯電部材と像担持体との当接部に導電性微粉体を介在させることで弾性導電ローラ表層を削り或いは傷つけ、安定した帯電性が得られにくい。また、硬度が高すぎると被帯電体との間に帯電当接部を確保できないだけでなく、被帯電体表面へのミクロな接触性が悪くなるので、アスカーC硬度で25〜50度が好ましい範囲である。
【0235】
弾性導電ローラは弾性を持たせて被帯電体との十分な接触状態を得ると同時に、移動する被帯電体を充電するに十分低い抵抗を有する電極として機能することが重要である。一方では被帯電体にピンホールなどの欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する必要がある。被帯電体として電子写真用感光体を用いた場合、十分な帯電性と耐リークを得るには103〜108Ωの抵抗であることが良く、より好ましくは104〜107Ωの抵抗であることが良い。
【0236】
ローラ抵抗は、ローラの芯金に総圧1kgの加重がかかるよう直径30mmの円筒状アルミドラムにローラを圧着した状態で、芯金とアルミドラムとの間に100Vを印加して、計測できる。
【0237】
例えば、弾性導電ローラは芯金上に可撓性部材としてのゴムあるいは発泡体の中抵抗層を形成することにより作成される。中抵抗層は樹脂(例えばウレタン)、導電性物質(例えばカーボンブラック)、硫化剤、発泡剤等により処方され、芯金の上にローラ状に形成する。その後必要に応じて切削、表面を研磨して形状を整え、弾性導電ローラを作成することができる。該ローラ表面は導電性微粉体を介在させるために微少なセルまたは凹凸を有していることが好ましい。
【0238】
弾性導電ローラの材質としては、弾性発泡体に限定するものでは無く、弾性体の材料として、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものがあげられる。また、導電性物質を分散せずに、或いは導電性物質と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
【0239】
弾性導電ローラは像担持体としての被帯電体に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設し、弾性導電ローラと像担持体の当接部である帯電当接部を形成させる。この帯電当接部幅は特に制限されるものではないが、弾性導電ローラと像担持体の安定して密な密着性を得るため1mm以上、より好ましくは2mm以上が良い。
【0240】
また、接触帯電部材としての帯電ブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものが用いられる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。導電材としては、一般に知られている導電材が使用可能であり、例えば、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀等の導電性金属或いは酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタン等の導電性金属の酸化物、更にはカーボンブラック等の導電粉が挙げられる。なおこれら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用いる。
【0241】
接触帯電部材として帯電ブラシを用いる場合には、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状帯電ブラシとしては、例えば導電性繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとすることができる。導電性繊維は、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×107〜4.5×108本程度)のものが好ましく用いられる。
【0242】
帯電ブラシは、極力ブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましく良い。例えば、300デニール/50フィラメントのように300デニールの微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。しかしながら、本発明においては、直接注入帯電の帯電ポイントを決定しているのは、主には帯電部材と像担持体との帯電当接部及びその近傍の導電性微粉体の介在密度に依存しているため、帯電部材の選択の範囲は広められている。
【0243】
帯電ブラシの抵抗値は、弾性導電ローラの場合と同様に十分な帯電性と耐リークを得るには103〜108Ωの抵抗であることが良く、より好ましくは104〜107Ωの抵抗であることが良い。
【0244】
帯電ブラシの材質としては、ユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10、さらに東レ(株)製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネボウ製のベルトロン、クラレ(株)製のクラカーボ、レーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)製のローバル等があるが、環境安定性の点でREC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10が特に好ましく良い。
【0245】
また、接触帯電部材が可撓性を有していることが接触帯電部材と像担持体の当接部において導電性微粉体が像担持体に接触する機会を増加させ、高い接触性を得ることができ、直接注入帯電性を向上させる点で好ましく良い。つまり、接触帯電部材が導電性微粉体を介して密に像担持体に接触して、接触帯電部材と像担持体の当接部に存在する導電性微粉体が像担持体表面を隙間なく摺擦することで、接触帯電部材による像担持体の帯電は導電性微粉体の存在により放電現象を用いない安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となり、従来のローラ帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られ、接触帯電部材に印加した電圧とほぼ同等の電位を像担持体に与えることができる。
【0246】
更に、当接部を形成する帯電部材の表面の移動速度と像担持体の表面の移動速度には、相対的速度差を設けることが好ましい。接触帯電部材と像担持体の当接部において導電性微粉体が像担持体に接触する機会を格段に増加させ、より高い接触性を得ることができる、直接注入帯電性を向上させる点で好ましく良い。
【0247】
接触帯電部材と像担持体との当接部に導電性微粉体を介在させることにより、導電性微粉体の潤滑効果(摩擦低減効果)により接触帯電部材と像担持体との間に大幅なトルクの増大及び接触帯電部材及び像担持体表面の顕著な削れ等を伴うことなく速度差を設けることが可能となる。
【0248】
速度差を設ける構成としては、接触帯電部材を回転駆動させて像担持体と該接触帯電部材に速度差を設けることができる。
【0249】
帯電部に持ち運ばれる像担持体上の転写残トナーを接触帯電部材に一時的に回収し均すために、接触帯電部材と像担持体は互いに逆方向に移動させることが好ましく良い。接触帯電部材の回転方向を像担持体表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することが望ましい。即ち、逆方向回転で像担持体上の転写残トナーを一旦引き離し帯電を行うことにより優位に直接注入帯電を行うことが可能である。
【0250】
帯電部材を像担持体表面の移動方向と同じ方向に移動させて速度差をもたせることも可能であるが、直接注入帯電の帯電性は像担持体の周速と帯電部材の周速の比に依存するため、逆方向と同じ周速比を得るには順方向では帯電部材の回転数が逆方向の時に比べて大きくなるので、帯電部材を逆方向に移動させる方が回転数の点で有利である。ここで記述した周速比は、
周速比(%)=(帯電部材周速−潜像保持体周速)/潜像保持体周速×100
である(帯電部材周速は当接部において帯電部材表面が潜像保持体表面と同じ方向に移動するとき正の値である)。
【0251】
相対速度差を示す指標としては、次式で表される相対移動速度比がある。
相対移動速度比(%)=|(Vc−Vp)/Vp|×100
(式中、Vcは帯電部材表面の移動速度、Vpは像担持体表面の移動速度であり、Vcは、当接部において帯電部材表面が像担持体表面と同じ方向に移動するとき、Vpと同符号の値とする。)
相対移動速度比は、10〜500%であることが好ましく、20〜400%であることがより好ましい。相対移動速度比が、上記範囲よりも小さすぎる場合には、接触帯電部材と像担持体との接触確率を増加させることが十分にはできず、直接注入帯電による像担持体の帯電性を維持することが難しい場合がある。更に、上述の像担持体と接触帯電部材との接触部に介在する導電性微粉体の量を接触帯電部材と像担持体との摺擦によって制限することにより像担持体の帯電阻害を抑制する効果、及び転写残トナー粒子のパターンを均し現像同時クリーニングでの現像剤の回収性を高める効果が十分には得られない場合もある。相対移動速度比が、上記範囲よりも大きすぎる場合には、帯電部材の移動速度を高めることとなるために、像担持体と接触帯電部材との接触部に持ち連ばれた現像剤成分が飛散することによる装置内の汚染を生じ易く、像担持体及び接触帯電部材が摩耗し易くなるあるいは傷の発生を生じ易くなり短寿命化する傾向がある。
また、帯電部材の移動速度が0である場合(帯電部材が静止している状態)は、帯電部材の像担持体との接触点が定点となるため、帯電部材の像担持体への接触部の摩耗または劣化を生じ易く、像担持体の帯電阻害を抑制する効果及び転写残トナー粒子のパターンを均し現像同時クリーニングでの現像剤の回収性を高める効果が低下しやすく好ましくない。
【0252】
像担持体と接触帯電部材との当接部における導電性微粉体の介在量は、少なすぎると、該導電性微粉体による潤滑効果が十分に得られず、像担持体と接触帯電部材との摩擦が大きくて接触帯電部材を像担持体に速度差を持って回転駆動させることが困難である。つまり、駆動トルクが過大となるし、無理に回転させると接触帯電部材や像担持体の表面が削れてしまう傾向がある。更に導電性微粉体による接触機会増加の効果が得られないこともあり十分な帯電性能が得られにくい。一方、介在量が多過ぎると、導電性微粉体の接触帯電部材からの脱落が著しく増加し作像上に悪影響が出やすい。
【0253】
実験によると導電性微粉体の介在量は103個/mm2以上が好ましく、より好ましくは104個/mm2以上が良い。103個/mm2より低いと十分な潤滑効果と接触機会増加の効果が得られず帯電性能の低下が生じやすい。104個/mm2より低いと転写残トナーが多い場合に帯電性能の低下が生じやすい。
【0254】
導電性微粉体の塗布密度範囲は、導電性微粉体をどれぐらいの密度で像担持体上に塗布することで均一帯電性の効果が得られるかでも決定される。
【0255】
帯電時は少なくともこの記録解像度よりは均一な接触帯電が必要なことは言うまでもない。しかしながら人間の目の視覚特性に関して、空間周波数が10cycles/mm以上では、画像上の識別諧調数が限りなく1に近づいていく、すなわち濃度ムラを識別できなくなる。この特性を積極的に利用すると、像担持体上に導電性微粉体を付着させた場合、少なくとも像担持体上で10cycles/mm以上の密度で導電性微粉体を存在させ、直接注入帯電を行えば良いことになる。たとえ導電性微粉体の存在しないところにミクロな帯電不良が発生したとしても、その帯電不良によって発生する画像上の濃度ムラは、人間の視覚特性を越えた空間周波数領域に発生するため、画像上では問題は無いことになる。
【0256】
導電性微粉体の塗布密度が変化したときに、画像上に濃度ムラとしての帯電不良が認知されるかどうかについては、導電性微粉体をわずかにでも塗布されれば(例えば10個/mm2)、帯電ムラ発生の抑制に効果が認められるが、画像上の濃度ムラが人間にとって許容可能かどうかと言う点においてはまだ不十分である。
【0257】
ところがその塗布量を102個/mm2以上すると、画像の客観評価において急激に好ましい結果が得られるようになる。更に、塗布量を103個/mm2以上増加させていくことにより、帯電不良に起因する画像上の問題点は皆無となる。
【0258】
直接注入帯電方式による帯電では、放電帯電方式とは根本的に異なり、帯電部材が感光体に確実に接触する事で帯電が行われている訳であるが、たとえ導電性微粉体を像担持体上に過剰に塗布したとしても、接触できない部分は必ず存在する。ところが本発明の人間の視覚特性を積極的に利用した導電性微粉体の塗布を行うことで、実用上この問題点を解決する。
【0259】
しかしながら、直接注入帯電方式を現像同時クリーニング画像形成における像担持体の一様帯電として適用する場合には、転写残トナーの帯電部材への付着或いは混入による帯電特性の低下が生ずる。転写残トナーの帯電部材への付着及び混入を抑制し、または転写残トナーの帯電部材への付着或いは混入による帯電特性への悪影響に打ち勝って、良好な直接注入帯電を行うには、像担持体と接触帯電部材との当接部における導電性微粉体の介在量が104個/mm2以上であることが好ましく良い。
【0260】
塗布密度上限値は導電性微粉体の粒径によっても変わってくるために、一概にはいえないが、強いて記述するならば、導電性微粉体が像担持体上に1層均一に塗布される量が上限である。それ以上塗布されても効果が向上するわけではなく逆に、露光光源を遮ったり、散乱させたりという弊害が生じる。
【0261】
導電性微粉体の量は、5×105個/mm2を超えると、導電性微粉体の像担持体への脱落が著しく増加し、導電性微粉体自体の光透過性を問わず、像担持体への露光量不足が生じる。5×105個/mm2以下では脱落する粒子量も低く抑えられ露光の阻害を改善できる。該介在量範囲において像担持体上に脱落した粒子の存在量を測ると102〜105個/mm2であったことから、作像上弊害がない該存在量としては104〜5×105個/mm2の介在量が好ましい。
【0262】
帯電当接部での導電性微粉体の介在量及び静電潜像形成工程での像担持体上の導電性微粉体存在量の測定方法について述べる。導電性微粉体の介在量は接触帯電部材と像担持体の接触面部を直接測ることが望ましいが、当接部を形成する接触帯電部材の表面と像担持体の表面には速度差を設けている場合、接触帯電部材に接触する前に像担持体上に存在した粒子の多くは逆方向に移動しながら接触する帯電部材に剥ぎ取られることから、本発明では接触面部に到達する直前の接触帯電部材表面の粒子量をもって介在量とする。
【0263】
具体的には、以下の通りである。帯電バイアスを印加しない状態で像担持体及び弾性導電ローラの回転を停止し、像担持体及び弾性導電ローラの表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR−3100)で撮影する。弾性導電ローラについては、弾性導電ローラを像担持体に当接させるのと同じ条件でスライドガラスに当接させ、スライドガラスの背面からビデオマイクロスコープにて接触面を1000倍の対物レンズで10箇所以上撮影する。得られたデジタル画像から個々の微粉体を領域分離するため、ある閾値を持って2値化処理し、微粉体の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計測する。また、像担持体上の存在量についても像担持体上を同様のビデオマイクロスコープにて撮影し同様の処理を行い計測する。
【0264】
また、本発明の画像形成方法においては、像担持体の最表面層の体積抵抗が、1×109Ωcm以上1×1014Ωcm以下が好ましく、該範囲の体積抵抗であることにより、より良好な帯電性を与えることができる。電荷の直接注入による帯電方式においては、被帯電体側の抵抗を下げることでより効率良く電荷の授受が行えるようになる。このためには、最表面層の体積抵抗値としては1×1014Ωcm以下であることが好ましく良い。一方、像担持体として静電潜像を一定時間保持する必要するためには、最表面層の体積抵抗値としては1×109Ωcm以上であることが好ましく良い。
【0265】
更に、像担持体が電子写真感光体であり、該電子写真感光体の最表面層の体積抵抗が1×109Ωcm以上1×1014Ωcm以下であることにより、プロセススピードの速い装置においても、十分な帯電性を与えることができより好ましい。
【0266】
また、像担持体はアモルファスセレン、CdS、ZnO2、アモルファスシリコン又は有機系感光物質の様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトであることが好ましく、アモルファスシリコン感光層、又は有機感光層を有する感光体が特に好ましく用いられる。
【0267】
有機感光層としては、電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する単一層型でもよく、又は電荷輸送層と電荷発生層を有する機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
【0268】
像担持体の表面抵抗を調整することで、更に安定して像担持体の均一な帯電を行うことができる。
【0269】
像担持体の電荷注入をより効率化或いは促進する目的で、電子写真感光体の表面に電荷注入層を設けることも好ましい。電荷注入層は、結着樹脂中に導電性微粒子を分散させた形態が好ましい。
【0270】
電荷注入層を設ける形態としては、例えば、
(i)セレン、アモルファスシリコン等の無機感光体もしくは単一層型有機感光体の上に、電荷注入層を設ける、
(ii)機能分離型有機感光体の電荷輸送層としての、電荷輸送剤と結着樹脂からなる表面層に、電荷注入層としての機能を兼ねさせる(例えば、電荷輸送層として結着樹脂中に電荷輸送剤と導電性微粒子を分散させる、あるいは電荷輸送剤自体もしくはその存在状態によって、電荷輸送層に電荷注入層としての機能を持たせる)、
(iii)機能分離型有機感光体上に最表面層として電荷注入層を設ける等があるが、最表面層の体積抵抗が好ましい範囲にあることが重要である。
【0271】
電荷注入層としては、例えば、金属蒸着膜等の無機材料の層、あるいは導電性微粒子を結着樹脂中に分散させた導電性微粒子分散樹脂層等によって構成され、蒸着膜は蒸着、導電性微粒子分散樹脂層はディッピング塗工法、スプレー塗工法、ロールコート塗工法及びビーム塗工法等の適当な塗工法にて塗工することによって形成される。また、絶縁性の結着樹脂に光透過性の高いイオン導電性を持つ樹脂を混合もしくは共重合させて構成するもの、または中抵抗で光導電性のある樹脂単体で構成するものでもよい。
【0272】
この中でも、像担持体の最表面層が、少なくとも金属酸化物からなる導電性微粒子(以下、「酸化物導電性微粒子」と表記する)が分散された樹脂層であることが好ましい。すなわち、像担持体の最表面層をこのような構成にすることにより、電子写真感光体の表面の抵抗を下げてより効率良く電荷の授受を行うことができ、かつ表面の抵抗を下げたことで像担持体が静電潜像を保持している間に潜像電荷が拡散することによる潜像のボケもしくは流れを抑制できるため好ましい。
【0273】
上記酸化物導電性微粒子が分散された樹脂層の場合、分散された粒子による入射光の散乱を防ぐために、入射光の波長よりも酸化物導電性微粒子の粒径の方が小さいことが好ましい。従って、分散される酸化物導電性微粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ましい。酸化物導電性微粒子の含有量は、最外層の総重量に対して2〜90質量%が好ましく、5〜70質量%がより好ましい。酸化物導電性微粒子の含有量が上記範囲よりも少なすぎる場合には、所望の体積抵抗値を得にくくなる。また、含有量が上記範囲よりも多すぎる場合には、膜強度が低下してしまうため、電荷注入層が削り取られやすくなり、感光体の寿命が短くなる傾向があり、また抵抗が低くなりすぎてしまうことによって潜像電位が流れることによる画像不良を生じやすくなる。
【0274】
また、電荷注入層の層厚は0.1〜10μmが好ましく、潜像の輪郭のシャープさを得る上では5μm以下であることがより好ましく、電荷注入層の耐久性の点からは1μm以上であることがより好ましい。
電荷注入層の結着樹脂は、電荷注入層の下層(例えば電荷輸送層)に用いられる結着樹脂と同じとすることも可能であるが、この場合には電荷注入層の塗工時に下層の塗工面を乱してしまう可能性があるため、形成方法を特に選択する必要がある。
【0275】
なお、本発明における像担持体の最表面層の体積抵抗値の測定方法は、表面に金を蒸着させターボリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に像担持体の最表面層と同様の組成からなる層を作成し、これを体積抵抗測定装置(ヒューレットパッカード社製4140B pA MATER)にて、温度23℃、湿度65%の環境で100Vの電圧を印加して測定することにより行う。
【0276】
また、本発明においては、像担持体表面に離型性を付与することが好ましく、像担持体表面の水に対する接触角は85度以上であることが好ましい。より好ましくは像担持体表面の水に対する接触角は90度以上である。
【0277】
像担持体表面が高い接触角を有することは、像担持体表面がトナー粒子に対して高い離型性を有することを示す。この効果により、現像同時クリーニング工程においては現像剤の回収効率が向上する。また、転写残トナー量を著しく減少させることができるため、転写残トナーによる像担持体の帯電性低下を抑制することもできる。
【0278】
像担持体表面に離型性を付与する手段としては、例えば、
▲1▼膜を構成する樹脂自体に表面エネルギーの低いものを用いる、
▲2▼撥水、親油性を付与するような添加剤を加える、
▲3▼高い離型性を有する材料(滑剤微粒子)を粉体状にして分散する、
が挙げられる。▲1▼の表面エネルギーの低い樹脂は、樹脂の構造中にフッ素含有基、シリコーン含有基を導入することにより得られる。▲2▼の添加剤としては、界面活性剤が挙げられる。▲3▼の滑剤微粒子としては、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン及びフッ化カーボン等のフッ素原子を含むフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂等を用いることが挙げられる。
【0279】
これらの手段によって像担持体表面の水に対する接触角を85度以上とすることが可能である。
この中でも像担持体の最表面層が、少なくともフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の材料からなる滑剤微粒子が分散された層であることが好ましい。特に、ポリ4フッ化エチレンやポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂を用いることが好適である。本発明においては、▲3▼の滑剤微粒子としてフッ素系樹脂を離型性粉体として用いた場合には、最表面層への分散が好適である。
【0280】
これらの滑剤微粒子を最表面層に含有させるためには、結着樹脂中に該粉体を分散させた層を感光体最表面に設けるか、あるいは、樹脂を主体として構成されている有機感光体であれば、新たに表面層を設けなくても最表面層に該粉体を分散させれぱ良い。
【0281】
上記滑剤微粒子の像担持体の表面層への添加量は、表面層総重量に対して、1〜60質量%であることが好ましく、2〜50質量%であることがより好ましい。添加量が上記範囲よりも少なすぎると転写残トナーが充分に減少せず、現像同時クリーニング装置での現像剤の回収効率が充分でない。添加量が上記範囲よりも大きすぎると膜の強度が低下したり、感光体への入射光量が著しく低下して像担持体の帯電性を損ねたりするため好ましくない。該粉体の粒径については、画質の面から1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。粒径が上記範囲よりも大きすぎると入射光の散乱によりラインの切れが悪くなりやすく、解像性を損ねやすい。
【0282】
本発明において、接触角の測定は純水を用い、装置は協和界面科学(株)製接触角計CA−DS型を用いて行う。
【0283】
本発明に用いられる像担持体としての感光体の好ましい様態のひとつを以下に説明する。導電性基体としては、アルミニウム又はステンレス等の金属;アルミニウム合金又は酸化インジウム−酸化錫合金による被膜層を有するプラスチック;導電性粒子を含浸させた紙又はプラスチック;導電性ポリマーを有するプラスチック;の円筒状シリンダー及びフィルムが用いられる。
【0284】
これら導電性基体上には、感光層の接着性向上、塗工性改良、基体の保護、基体上に欠陥の被覆、基体からの電荷注入性改良または感光層の電気的破壊に対する保護を目的として導電層や下引き層を設けても良い。
【0285】
導電層は、金属や金属酸化物粒子を含有する樹脂層であり、膜厚は10〜30μmが好ましい。
【0286】
下引き層は、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン、ポリウレタン又は酸化アルミニウム等の材料によって形成される。下引き層の膜厚は通常0.1〜10μm、好ましくは0.1〜3μmが良い。
【0287】
電荷発生層は、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素又はセレンや非晶質シリコン等の無機物質等の電荷発生物質を適当な結着樹脂に分散し塗工する、あるいは蒸着により形成する。なかでもフタロシアニン系顔料が感光体感度を本発明に適合する感度に調整するうえで好ましい。結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。電荷発生層中に含有される結着樹脂の量は80質量%以下、好ましくは0〜40質量%であることが良い。電荷発生層の膜厚は5μm以下、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0288】
電荷輸送層は、電界の存在下で電荷発生層から電荷キャリアを受け取り、これを輸送する機能を有している。電荷輸送層は電荷輸送物質を必要に応じて結着樹脂と共に溶剤中に溶解し、塗工することによって形成され、その膜厚は一般的には5〜40μmである。電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖にビフェニレン、アントラセン、ピレン及びフェナントレン等の多環芳香族化合物;インドール、カルバゾール、オキサジアゾール及びピラゾリンの如き含窒素環式化合物;ヒドラゾン化合物;スチリル化合物;セレン;セレン−テルル;非晶質シリコン;硫化カドニウム等が挙げられる。
【0289】
これら電荷輸送物質を分散させる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂及びポリアミド樹脂等の樹脂;ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセン等の有機光導電性ポリマーが挙げられる。
【0290】
表面層として、前述のように電荷注入をより効率化或いは促進するために樹脂中に導電性微粒子を分散させた層を設けてもよい。表面層の樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、あるいはこれらの樹脂の硬化剤が単独あるいは2種以上組み合わされて用いられる。導電性微粒子の例としては、金属又は金属酸化物が挙げられる。好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化スズ被膜酸化チタン、スズ被膜酸化インジウム、アンチモン被膜酸化スズ又は酸化ジルコニウム等の酸化物導電性微粒子がある。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。
【0291】
本発明においては、像担持体の帯電面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段が、像露光手段であることが好ましい。静電潜像形成のための画像露光手段としては、デジタル的な静電潜像を形成するレーザ走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLEDなどの他の発光素子でも構わないし、蛍光燈等の発光素子と液晶シャッター等の組み合わせによるものなど、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるなら構わない。
【0292】
【実施例】
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
【0293】
<1>感光体の製造
負帯電用の有機光導電性物質を用いた感光体(以下「OPC感光体」と表記する)を製造した。感光体の基体には、直径24mmのアルミニウム製のシリンダーを用いた。このシリンダー上に下記の各層を浸漬塗布することにより順次積層して感光体を作製した。
【0294】
第1層は導電層であり、アルミニウム基体の欠陥等をならすため、またレーザ露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電性粒子分散樹脂層(酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする)である。
【0295】
第2層は正電荷注入防止層(下引き層)であり、アルミニウム基体から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果たし、メトキシメチル化ナイロンによって106Ωcm程度に抵抗調整された厚さ約1μmの中抵抗層である。
【0296】
第3層は電荷発生層であり、ジスアゾ系の顔料をブチラール樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、レーザ露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
【0297】
第4層は電荷輸送層であり、ポリカーボネート樹脂にヒドラゾン化合物を分散した厚さ約25μmの層であり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することはできず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。
【0298】
第5層は電荷注入層であり、光硬化性のアクリル樹脂に導電性酸化スズ微粒子及び粒径約0.25μmの四フッ化エチレン樹脂粒子を分散したものである。具体的には、樹脂に対して、アンチモンをドーピングし低抵抗化した粒径約0.03μmの酸化スズ粒子を100質量%、更に四フッ化エチレン樹脂粒子を20質量%、分散剤を1.2質量%分散したものである。このようにして調製した塗工液をスプレー塗工法にて厚さ約2.5μmに塗工して電荷注入層とした。
【0299】
このようにして得られた感光体の最表面層における体積抵抗は、5×1012Ωcm、感光体表面の水に対する接触角は、103度であった。
【0300】
<2>磁性粉体の製造
(磁性粉体の製造例1)
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対してl.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを9前後に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、酸化反応後に生成した磁性酸化鉄粒子を洗浄、濾過して一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを約6に調整し、十分攪拌しながらシランカップリング剤(n−C10 H21Si(OCH3)3)を磁性酸化鉄に対し1.0質量部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、カップリング処理を行った。生成した疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、次いで若干凝集している粒子を解砕処理して、磁性粉体1を得た。
(磁性粉体の製造例2)
磁性粉体の製造例1と同様に酸化反応を進め、酸化反応後に生成した磁性酸化鉄粒子を洗浄、濾過後、表面処理を行わずに、乾燥し、凝集している粒子を解砕処理し磁性粉体2を得た。
<3>導電性微粉体の調製
(導電性微粉体の例1)
体積平均粒径2.7μmの導電性酸化亜鉛(抵抗1.5×104Ωcm)を導電性微粉体1として用いた。この導電性微粉体は、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、0.1〜0.3μmの酸化亜鉛1次粒子と1〜4μmの凝集体からなっていた。
【0301】
後述する実施例1の画像形成装置で画像露光に用いられるレーザビームスキャナの露光光波長740nmにあわせて、波長740nmの光源を用いて、この波長域における透過率を、X−Rite社製310T透過型濃度計を用い測定したところ、この導電性微粉体の透過率はおよそ35%であった。
【0302】
(導電性微粉体の例2)
導電性微粉体1から分級操作により体積平均粒径0.7μmの導電性酸化亜鉛(抵抗 2.8×104Ωcm)を得た。これを導電性微粉体2として用いた。
【0303】
(導電性微粉体の例3)
体積平均粒径2.8μmの導電性酸化スズ(抵抗 2.2×105Ωcm)を導電性微粉体3として用いた。
【0304】
(導電性微粉体の例4)
体積平均粒径3.1μmの導電性酸化チタン(抵抗 3.4×106Ωcm)を導電性微粉体4として用いた。
【0305】
<4>現像剤の製造
(現像剤の製造例1)
イオン交換水709gに0.1M−Na3PO4水溶液451gを投入し60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7gを徐々に添加してCa3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
・スチレン 80部
・n−ブチルアクリレート 20部
・不飽和ポリエステル樹脂 3部
・飽和ポリエステル樹脂 3部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1.5部
・磁性粉体1 90部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。
【0306】
この単量体組成物を60℃に加温し、そこにベヘニン酸ベヘニルを主体とするエステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72℃)6部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)[t1/2=140分、60℃条件下]5gを溶解した。
【0307】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、80℃で更に2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてCa3(PO4)2を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径6.7μmのトナー粒子を得た。
【0308】
このトナー100部と、上記導電性微粉体1 2部と、一次粒径8nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで表面を処理し処理後のBET値が250m2/gの疎水性シリカ微粉体1.1部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、現像剤1を調製した。また、トナー粒子、現像剤の粒径、円形度、B/A値、D/Cは、上記実施の形態に示した方法で測定した。現像剤1の物性を表1に示す。
【0309】
【表1】
【0310】
(現像剤の製造例2)
現像剤の製造例1において、磁性粉体1に代えて磁性粉体2を90部使用する以外は同様の手法により、重量平均粒径7.3μmのトナー粒子を得た。現像剤2の物性を表1に示す。
【0311】
(現像剤の製造例3)
現像剤の製造例1において、導電性微粉体1に代えて導電性微粉体2を使用する以外は同様の手法により、重量平均粒径6.7μmのトナー粒子を得た。現像剤3の物性を表1に示す。
【0312】
(現像剤の製造例4)
現像剤の製造例1において、導電性微粉体1に代えて導電性微粉体3を使用する以外は同様の手法により、重量平均粒径6.7μmのトナー粒子を得た。現像剤4の物性を表1に示す。
【0313】
(現像剤の製造例5)
現像剤の製造例1において、導電性微粉体1に代えて導電性微粉体4を使用する以外は同様の手法により、重量平均粒径6.7μmのトナー粒子を得た。現像剤5の物性を表1に示す。
【0314】
(現像剤の製造例6)
現像剤の製造例1において、導電性微粉体1を添加しない以外は同様にして現像剤6を調製した。現像剤6の物性を表1に示す。
【0315】
【実施例1】
<現像スリーブの製造>
現像スリーブの製造について述べる。
【0316】
下記材料をφ2mmのジルコニア粒子にて3時間サンドミルを用いて分散を行い、その後ジルコニア粒子を篩いで分離し、メタノールで固形分を36%に調整し塗料1を得た。
第4級アンモニウム塩化合物(1)の鉄粉との摩擦帯電量は、市販の摩擦帯電量測定器(東芝ケミカル製TB−200型)を用いてブローオフ法により求めたところ、正極性であった。また球状粒子として、球状炭素粒子Aを用いた。物性を表2に示す。個数平均粒径5.2μm、真密度1.51g/cm3、体積抵抗7.5×10-2Ωcm、長径/短径比が1.15であった。
【0317】
塗料1をスプレー法にて直径16mmのAl円筒体上に約10μmの樹脂被覆層を形成させ、次いで熱風乾燥器により150℃/30分間加熱・硬化させ現像剤担持体(1)を作製した。表3に塗料処方及び現像剤担持体の物性を示す。
【0318】
【表2】
【0319】
【表3】
【0320】
<画像形成装置>
画像形成装置として、LBP−1760を改造したものを用いた。本改造機は、転写式電子写真プロセスを利用した現像同時クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)のレーザプリンタ(記録装置)である。クリーニングブレードの如きクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカードリッジを有し、現像剤としては磁性一成分系現像剤を使用し、現像剤担持体上の現像剤層と像担持体が非接触となるよう配置された装置である。
【0321】
一次帯電部材として導電性カーボンを分散しナイロン樹脂で被覆されたゴムローラ帯電器を前述した電荷注入層を有する感光体に当接させ(当接圧60g/cm)、直流電圧−700Vdcに交流電圧2.0kVppを重畳したバイアスを印加して感光体上を一様に帯電させる。一次帯電に次いで、レーザ光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成させる。
【0322】
この時、暗部電位Vd=−700V、明部電位VL=−150Vとした。感光ドラムと現像スリーブとの間隙は290μmとし、現像磁極85mT(850ガウス)、現像剤層厚規制部材として厚み1.0mm、自由長1.0mmのシリコーンゴム製ブレードを29.4N/m(30g/cm)の線圧で当接させた。
【0323】
次いで、現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=−500V、重畳する交流バイアス成分Vpp=1600V、f=2000Hzを用いた。また、現像スリーブの周速は感光体周速(94mm/sec)に対して順方向に110%のスピード(103mm/sec)とした。
【0324】
また転写ローラ(導電性カーボンを分散したエチレン−プロピレンゴム製、導電性弾性層の体積抵抗値108Ωcm、表面ゴム硬度24゜、直径20mm、当接圧59N/m(60g/cm))を感光体周速(94mm/sec)に対して等速とし、転写バイアスは直流1.5kVとした。
【0325】
定着方法としてはLBP−1760のオイル塗布機能のない、フィルムを介してヒータにより加熱加圧定着する方式の定着装置を用いた。この時加圧ローラはフッ素系樹脂の表面層を有するものを使用し、ローラの直径は30mmであった。また、定着温度は180℃、当接幅を7mmに設定した。
【0326】
<画像評価>
現像剤として現像剤1を使用し、24℃、10%RHの常温低湿(N/L)及び30℃、80%RHの高温高湿(H/H)環境下において画出し試験を行った。転写材としては75g/m2の紙を使用した。その結果、初期において高い転写性を示し、文字やラインの転写中抜けもなく、非画像へのカブリのない良好な画像が得られた。
【0327】
次に、印字面積比率5%の横ラインのみからなる画像パターンで耐久性の評価を行った。得られた結果を表4、表5に示す。
【0328】
下記に挙げる評価項目について耐久試験評価を行った。
(1)画像濃度
画出しは、24℃、10%RHの常温低湿(N/L)及び30℃、80%RHの高温高湿(H/H)環境下にて、1万5千枚(15k)まで行った。初期濃度は画だし20枚目の濃度とした。ベタ黒画像濃度を、反射濃度RD918(マクベス社製)で測定して、5点の平均値をとって画像濃度とした。
【0329】
(2)トナー帯電量(Q/M)及びトナー搬送量(M/S)
現像スリーブ上に担持されたトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、捕集されたトナー重量Mと、トナーを吸引した面積Sから、単位重量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)と単位面積当たりのトナー重量M/S(mg/cm2)を計算し、それぞれトナー帯電量(Q/M)、トナー搬送量(M/S)とした。
【0330】
(3)カブリ
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下記の式より算出した。
カブリ(反射率)(%)=標準紙上の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
カブリは、2.0%以下であれば良好な画像である。
【0331】
(4)感光体の削れ及びトナー融着
画出し終了後、感光体ドラム表面の傷及び傷へのトナーの固着の発生状況とハーフトーン画像での黒点あるいは白抜けを目視により評価した。
A:非常に良好(未発生)
B:良好(わずかに傷の発生が見られるが、画像への影響はない)
C:普通(トナー固着や傷があるが、画像への影響は少ない)
D:悪い(傷に沿ってトナー固着が多く、縦スジ状の画像欠陥を生じる)
【0332】
(5)帯電ムラ
転写残トナーによる一次帯電不良に起因する画像不良、即ち帯電ムラはハーフトーン画像上で評価した。ハーフトーン画像上に現れる濃淡差(ムラ)を目視で下記の基準で評価した。
○:濃淡差が全く見られない。
○△:軽微な濃淡差が見られる。
△:濃淡差がやや見られるが実用可。
×:濃淡差が顕著に見られ、実用不可。
【0333】
(6)被覆層の耐汚染性
耐久後の現像剤担持体表面をSEMで観察し、トナー汚染の程度を下記の基準で評価した。
○:軽微な汚染が観察される。
○△:やや汚染が観察される。
△:部分的に汚染が観察される。
×:著しい汚染が観察される。
【0334】
(7)転写率
転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似的に以下の式で計算した。
【0335】
【数8】
【0336】
転写効率は90%以上であれば問題の無い画像である。
【0337】
【表4】
【0338】
【表5】
【0339】
【実施例2】
現像剤として現像剤2を使用し、実施例1と同様の画像形成方法で耐久試験評価を行ったところ、非常に良好な結果が得られた。結果を表4、表5に示す。
【0340】
【実施例3】
現像剤として現像剤3を使用し、実施例1と同様の画像形成方法で耐久試験評価を行ったところ、良好な結果が得られた。結果を表4、表5に示す。
【比較例1】
現像剤として現像剤6を使用し、実施例1と同様の画像形成方法で耐久試験評価を行った。結果を表4、表5に示す。ページ内の濃度ムラが大きな画像が得られた。
【0341】
【比較例2】
直径16mmのAl円筒管にサンドブラスト処理を施し、表面粗さRa1.18μmになる様に表面を粗して、比較例の現像スリーブ(15)を得た。この現像スリーブについて、現像剤1を用いて実施例1と同様に耐久試験評価を行った。結果を表4、表5に示す。各環境においてベタ黒画像濃度低下が発生した。表3に現像剤担持体(15)の塗料処方及び物性を示す。
【比較例3】
比較例2と同様にサンドブラスト処理を施した現像スリーブ(表面粗さRa1.18μm)について、現像剤2を用いて実施例1と同様に耐久試験評価を行った。結果を表4、表5に示す。
【0342】
【実施例4】
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、式6で示される第4級アンモニウム塩化合物とした以外は実施例1と同様にして塗料を作製し、現像剤担持体(2)を得た。式6で示される4級アンモニウム塩化合物を実施例1と同様に鉄粉を用いたブローオフにより帯電量を測定したところ、正極性であった。表3に現像剤担持体(2)の塗料処方及び物性を示す。
現像剤担持体(2)と現像剤1を用いて実施例1と同様に耐久試験評価を行った。表4、表5に示したように良好な結果が得られた。
【0343】
【実施例5】
現像剤担持体(2)及び現像剤2を用いて実施例1と同様にして耐久試験評価を行った。結果を表4、表5に示す。実用上問題のない結果が得られた。
【0344】
【比較例4】
現像剤担持体(2)及び現像剤6を使用し、実施例1と同様の画像形成方法で耐久試験評価を行った。結果を表4、表5に示す。ページ内の濃度ムラが大きな画像が得られた。
【0345】
【実施例6】
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、式7で示される第4級アンモニウム塩化合物とした以外は実施例1と同様にして塗料を得、現像剤担持体(3)を作製した。式7で示される第4級アンモニウム塩化合物を実施例1と同様に鉄粉を用いたブローオフにより帯電量を測定したところ、正極性であった。表3に現像剤担持体(3)の塗料処方及び物性を示す。
現像剤担持体(3)と現像剤1を用いて実施例1と同様に耐久試験評価を行った。表4、表5に示したように良好な結果が得られた。
【0346】
【実施例7】
現像剤担持体(3)及び現像剤2を用いて実施例1と同様にして耐久試験評価を行った。結果を表4、表5に示す。実用上問題のない結果が得られた。
【0347】
【実施例8】
実施例1において、現像スリーブの樹脂被覆層に用いる式5で示される第4級アンモニウム塩化合物の添加量を30質量部から10質量部に変えて塗料を作製した以外は同様にして現像剤担持体(4)を得た。表3に現像剤担持体(4)の塗料処方及び物性を示す。
【0348】
現像剤担持体(4)と現像剤1を用いて実施例1と同様にして耐久試験評価を行った。結果を表4、表5に示す。
【0349】
【実施例9】
実施例1において、現像スリーブの樹脂被覆層に用いる式5で示される第4級アンモニウム塩化合物の添加量を30質量部から50質量部に変えて塗料を作製した以外は同様にして現像剤担持体(5)を得た。表3に現像剤担持体(5)の塗料処方及び物性を示す。
【0350】
現像剤担持体(5)と現像剤1を用いて実施例1と同様にして耐久試験評価を行った。結果を表4、表5に示す。
【0351】
【実施例10】
現像スリーブの樹脂被覆層に用いる球状粒子として、実施例1において用いた個数平均粒径5.2μmの球状炭素粒子の代わりに、個数平均粒径5.0μmのPMMA粒子(B)を用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体(6)を作製した。このPMMA粒子は、真密度1.16g/cm3、体積抵抗1015Ωcm以上、長径/短径比が1.12であった。表3に現像剤担持体(6)の塗料処方及び物性を示す。
【0352】
現像剤担持体(6)を用いて実施例1と同様の耐久試験評価を行った。結果を表4、表5に示す。
【0353】
【実施例11】
現像剤担持体の樹脂被覆層の作製において、グラファイトに変えて窒化硼素を用いた以外は現像剤担持体(1)の製造とほぼ同様にして現像剤担持体(7)を作製した。用いた原料は以下の通りである。
現像剤担持体(7)と現像剤1を用いて、実施例1と同様に耐久試験評価を行った。
【0354】
結果を表4、表5に示す。
【0355】
【実施例12】
下記の材料により作製された樹脂被覆層用の塗料を用いた以外は、現像剤担持体(1)と同様にして現像剤担持体(8)を作製し、該現像剤担持体(8)と現像剤1を用いて、実施例1と同様に耐久試験評価を行った。
結果を表4、表5に示す。
【0356】
【実施例13】
下記の材料により作製された樹脂被覆層用の塗料を用いた以外は、同様にして現像剤担持体(9)を作製し、該現像剤担持体(9)と現像剤1を用いて、実施例1と同様に耐久試験評価を行った。
・ウレタン樹脂(固形分40%) 375部
・カーボン 15部
・グラファイト 85部
・式5で示される4級アンモニウム塩化合物 30部
・球状炭素粒子(A) 30部
・メタノール 130部
結果を表4、表5に示す。
【0357】
【実施例14】
下記の材料により作製された樹脂被覆層用の塗料を用いた以外は、同様にして現像剤担持体(10)を作製し、該現像剤担持体(10)と現像剤1を用いて、実施例1と同様に耐久試験評価を行った。
結果を表4、表5に示す。
【0358】
【実施例15】
現像剤担持体の製造において、樹脂被覆層を負帯電性とするための物質として、ベンジル酸2molとアルミニウム原子1molからなるベンジル酸のアルミニウム化合物を用い、具体的には表3に示す材料を用いて樹脂被覆層用の塗料を作製し、現像剤担持体(11)を得た。該現像剤担持体(11)と現像剤1を用いて、実施例1と同様に耐久試験評価を行った。結果を表4、5に示す。
【0359】
【実施例16】
現像剤担持体の製造において、樹脂被覆層を負帯電性とするための物質として、アルミニウム原子1molに代えてホウ素原子1molとベンジル酸2molとからなるベンジル酸ホウ素化合物を用い、具体的には表3に示す材料を用いて樹脂被覆層用の塗料を作製し、現像剤担持体(12)を得た。該現像剤担持体(12)と現像剤1を用いて、実施例1と同様に耐久試験評価を行った。結果を表4、5に示す。
【0360】
【実施例17】
現像剤担持体の製造において、樹脂被覆層を負帯電性とするための物質として、3,5−ジターシャリーブチルサリチル酸のCr錯体を用い、具体的には表3に示す材料を用いて樹脂被覆層用の塗料を作製し、現像剤担持体(13)を得た。該現像剤担持体(13)と現像剤1を用いて、実施例1と同様に耐久試験評価を行った。結果を表4、5に示す。
【0361】
【実施例18】
現像剤担持体の製造において、樹脂被覆層を負帯電性とするための物質として、式5で示される4級アンモニウム塩化合物の代わりに、クロルフェノールを含むアゾナフトールのクロム錯体とした以外は同様にして、現像剤担持体(14)を作成し、実施例1と同様に耐久試験評価を行った。なお、クロルフェノールを含むアゾナフトールのクロム錯体の鉄粉との摩擦帯電量を実施例1と同様にブローオフ法により求めたところ、負極性であった。結果を表4、5に示す。
【実施例19、20】
実施例1で用いた現像剤担持体1と導電性微粉体として酸化スズおよび酸化チタンを用いた現像剤4、5を使用して、実施例1と同様の画像形成方法で耐久試験評価を行ったところ、良好な結果が得られた。結果を表4、表5に示す。
【比較例5、6】
比較例2と同様にサンドブラスト処理を施した現像剤スリーブと現像剤4および5を用いて、実施例1と同様の画像形成方法で耐久試験評価を行った。結果を表4、表5に示す。
【0362】
【発明の効果】
本発明によれば、現像剤に対して過剰帯電(チャージアップ)させることなく安定して適切な帯電付与を行うことができ、現像剤を好適なトリボにコントロールすることのできる画像形成方法を提供することができる。
【0363】
さらには、従来安定した帯電付与が困難であった重合法により製造された現像剤を用いた場合においても、好適なトリボにコントロールすることのできる画像形成方法を提供することができる。
【0364】
また、現像剤担持体表面への融着防止など耐汚染性に優れ、濃度低下やカブリの少ない高品位な画像を長期の画出し耐久において、安定した画像形成方法を提供することができる。
【0365】
また、本発明は転写性に優れ、転写残現像剤の回収性に優れた現像同時クリーニング画像形成を可能とする画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像形成方法に用いる現像装置の構成例を示す模式図である。
【図2】 本発明の画像形成方法に用いる現像装置の別の構成例を示す模式図である。
【図3】 本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光ドラム(像担持体)
2 現像剤層厚規制部材
3 ホッパー
4 現像剤
5 マグネットローラ
6 金属円筒管
7 樹脂被膜層
8 現像スリーブ(現像剤担持体)
9 電源
10 攪拌翼
11 間隙
12 露光
13 接触転写手段
14 電圧印加手段
15 加熱加圧ローラ定着器
17 イレース露光
18 接触帯電手段
Claims (48)
- 帯電部材に電圧を印加し、電圧が印加された帯電部材を像担持体に接触させて、該像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、
下記(a)〜(d)を含む現像工程と、
(a)現像容器内に収容されている現像剤を現像剤担持体上に担持させる工程;(b)該現像剤担持体上の現像剤の層厚を現像剤層厚規制部材により規制する工程;(c)層厚を規制された前記現像剤を前記現像剤担持体と像担持体とが対向する現像領域へ担持搬送する工程;(d)現像剤担持体上の現像剤を像担持体上の静電潜像に転移させてトナー像を形成する工程;
前記像担持体表面に形成されたトナー像を転写材に静電転写する転写工程と、
前記転写材上に転写されたトナー像を加熱・定着する定着工程と、を有する画像形成方法において、
前記現像工程は、トナー像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねており、
前記現像剤は、少なくとも結着樹脂成分及び磁性粉体を含有するトナー粒子と、該トナー粒子表面に無機微粉体と、該無機微粉体よりも大きく現像剤よりも小さい平均粒径の導電性微粉体とを有し、下式(1)により求められる平均円形度が0.970以上であり、実質的に磁性粉体が表面に露出していない負帯電性磁性現像剤であり、
前記トナー粒子は、結着樹脂成分となる重合性単量体と磁性粉体とを少なくとも含む重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合することにより得られるトナー粒子であり、
前記現像剤担持体は、基体および該基体上に形成された樹脂被覆層からなり、
前記樹脂被覆層は、少なくとも負帯電性の物質を含有する負帯電性の樹脂被覆層であることを特徴とする画像形成方法。
【数1】
円形度 a=L0/L (1)
(式中、L0は粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を示し、Lは、粒子の投影像の周囲長を示す。) - 前記樹脂被覆層の被覆層用結着樹脂は、一部又は全てが、その分子構造中に、−NH2基、=NH基、または−NH−結合のいずれかを少なくとも有する請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記樹脂被覆層の被覆層用結着樹脂は、少なくともフェノール樹脂を含有する請求項1または2に記載の画像形成方法。
- 前記フェノール樹脂は、触媒として含窒素化合物を用いて、フェノール類とアルデヒド類を付加・縮合させて製造されたフェノール樹脂であり、その構造中に−NH2基、=NH基、または−NH−結合のいずれかを有するフェノール樹脂である請求項3記載の画像形成方法。
- 前記樹脂被覆層は、少なくとも鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記樹脂被覆層は、ベンジル酸化合物を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記樹脂被覆層は、被覆層用結着樹脂中に更に導電性微粉末が分散含有された導電性樹脂被覆層である請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記磁性粉体は主にマグネタイトからなり、X線光電子分光分析により測定される前記トナー粒子表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)が0.001未満である請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記磁性現像剤の体積平均粒径をC、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた前記磁性現像剤の断層面観察における磁性粉体とトナー粒子表面との距離の最小値をDとしたとき、D/C≦0.02である請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記磁性現像剤の導電性微粉体は、体積抵抗が109Ωcm以下である請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記磁性現像剤の導電性微粉体は、体積抵抗が106Ωcm以下である請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記磁性現像剤の導電性微粉体が非磁性であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記現像剤は、トナー粒子と、体積平均粒径が0.1μm〜10μmである導電性微粉体とを有していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記帯電工程は、前記導電性微粉体を介在して像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程である請求項1〜13のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記帯電工程において、前記磁性現像剤中に含有される導電性微粉体が現像工程で像担持体に付着し、転写工程後も像担持体上に残留し、少なくとも帯電部材と像担持体の当接部及び/又は近傍に運ばれて介在している請求項14に記載の画像形成方法。
- 前記導電性微粉体が酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンを少なくとも含有する微粒子から選択される少なくとも一種の酸化物を含有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によってトナー像として可視化し、この可視化された現像剤像を転写材に転写することにより画像形成をするためのプロセスカートリッジであって、
該プロセスカートリッジは静電潜像を担持するための像担持体と、前記像担持体に接触して該像担持体を帯電するための帯電手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像を行うことによりトナー像として可視化するとともに、該トナー像が転写材に転写された後に、前記像担持体上に残留した現像剤を回収するための現像手段とを少なくとも有し、
前記現像装置及び前記潜像担持体は一体化され、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着される構成をとっており、
前記現像剤は、少なくとも結着樹脂成分及び磁性粉体を含有するトナー粒子と、該トナー粒子表面に無機微粉体と、該無機微粉体よりも大きく現像剤よりも小さい平均粒径の導電性微粉体とを有し、下式(1)により求められる平均円形度が0.970以上であり、実質的に磁性粉体が表面に露出していない負帯電性磁性現像剤であり、
前記トナー粒子は、結着樹脂成分となる重合性単量体と磁性粉体とを少なくとも含む重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合することにより得られるトナー粒子であり、
前記現像装置は、現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている前記磁性現像剤を担持して現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び前記現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有しており、
前記現像剤担持体は、基体および該基体上に形成された樹脂被覆層からなり、
前記樹脂被覆層は、少なくとも負帯電性の物質を含有する負帯電性の樹脂被覆層であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【数2】
円形度 a=L0/L (1)
(式中、L0は粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を示し、Lは、粒子の投影像の周囲長を示す。) - 前記樹脂被覆層の被覆層用結着樹脂は、一部又は全てが、その分子構造中に、−NH2基、=NH基、または−NH−結合のいずれかを少なくとも有する請求項17に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記樹脂被覆層の被覆層用結着樹脂は、少なくともフェノール樹脂を含有する請求項17または18に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記フェノール樹脂は、触媒として含窒素化合物を用いて、フェノール類とアルデヒド類を付加・縮合させて製造されたフェノール樹脂であり、その構造中に−NH2基、=NH基、または−NH−結合のいずれかを有するフェノール樹脂である請求項19記載のプロセスカートリッジ。
- 前記樹脂被覆層は、少なくとも鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物を含有する請求項17〜20のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記樹脂被覆層は、ベンジル酸化合物を含有する請求項17〜20のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記樹脂被覆層は、被覆層用結着樹脂中に更に導電性微粉末が分散含有された導電性樹脂被覆層である請求項17〜22のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記磁性粉体は主にマグネタイトからなり、X線光電子分光分析により測定される前記トナー粒子表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)が0.001未満である請求項17〜23のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記磁性現像剤の体積平均粒径をC、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた前記磁性現像剤の断層面観察における磁性粉体とトナー粒子表面との距離の最小値をDとしたとき、D/C≦0.02である請求項17〜24のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記磁性現像剤の導電性微粉体は、体積抵抗が109Ωcm以下である請求項17〜25のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記磁性現像剤の導電性微粉体は、体積抵抗が106Ωcm以下である請求項17〜25のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記磁性現像剤の導電性微粉体が非磁性であることを特徴とする請求項17〜27のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記現像剤は、トナー粒子と、体積平均粒径が0.1μm〜10μmである導電性微粉体とを有していることを特徴とする請求項17〜28のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記帯電手段は、前記導電性微粉体を介在して像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する手段である請求項17〜29のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記磁性現像剤中に含有される導電性微粉体が現像時に像担持体に付着し、転写後も像担持体上に残留し、少なくとも帯電部材と像担持体の当接部及び/又は近傍に運ばれて介在している請求項30に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記導電性微粉体が酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンを少なくとも含有する微粒子から選択される少なくとも一種の酸化物を含有することを特徴とする請求項17〜31のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 帯電部材に電圧を印加し、電圧が印加された帯電部材を像担持体に接触させて、該像担持体を帯電させる帯電手段と、
帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成手段と、
現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている現像剤を担持して現像領域に搬送するための現像剤担持体及び前記現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有する現像手段と、
前記像担持体表面に形成されたトナー像を転写材に静電転写する転写手段と、
前記転写材上に転写されたトナー像を加熱・定着する定着手段と、を有する画像形成装置において、
前記現像手段は、前記像担持体に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像を行うことによりトナー像として可視化するとともに、該トナー像が転写材に転写された後に、前記像担持体上に残留した現像剤を回収する手段を有し、
前記現像剤は、少なくとも結着樹脂成分及び磁性粉体を含有するトナー粒子と、該トナー粒子表面に無機微粉体と、該無機微粉体よりも大きく現像剤よりも小さい平均粒径の導電性微粉体とを有し、下式(1)により求められる平均円形度が0.970以上であり、実質的に磁性粉体が表面に露出していない負帯電性磁性現像剤であり、
前記トナー粒子は、結着樹脂成分となる重合性単量体と磁性粉体とを少なくとも含む重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合することにより得られるトナー粒子であり、
前記現像剤担持体は、基体および該基体上に形成された樹脂被覆層からなり、
前記樹脂被覆層は、少なくとも負帯電性の物質を含有する負帯電性の樹脂被覆層であることを特徴とする画像形成装置。
【数3】
円形度 a=L0/L (1)
(式中、L0は粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を示し、Lは、粒子の投影像の周囲長を示す。) - 前記樹脂被覆層の被覆層用結着樹脂は、一部又は全てが、その分子構造中に、−NH2基、=NH基、または−NH−結合のいずれかを少なくとも有する請求項33に記載の画像形成装置。
- 前記樹脂被覆層の被覆層用結着樹脂は、少なくともフェノール樹脂を含有する請求項33または34に記載の画像形成装置。
- 前記フェノール樹脂は、触媒として含窒素化合物を用いて、フェノール類とアルデヒド類を付加・縮合させて製造されたフェノール樹脂であり、その構造中に−NH2基、=NH基、または−NH−結合のいずれかを有するフェノール樹脂である請求項35記載の画像形成装置。
- 前記樹脂被覆層は、少なくとも鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物を含有する請求項33〜36のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記樹脂被覆層は、ベンジル酸化合物を含有する請求項33〜36のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記樹脂被覆層は、被覆層用結着樹脂中に更に導電性微粉末が分散含有された導電性樹脂被覆層である請求項33〜38のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記磁性粉体は主にマグネタイトからなり、X線光電子分光分析により測定される前記トナー粒子表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)が0.001未満である請求項33〜39のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記磁性現像剤の体積平均粒径をC、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた前記磁性現像剤の断層面観察における磁性粉体とトナー粒子表面との距離の最小値をDとしたとき、D/C≦0.02である請求項33〜40のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記磁性現像剤の導電性微粉体は、体積抵抗が109Ωcm以下である請求項33〜41のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記磁性現像剤の導電性微粉体は、体積抵抗が106Ωcm以下である請求項33〜41のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記磁性現像剤の導電性微粉体が非磁性であることを特徴とする請求項33〜43のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記現像剤は、トナー粒子と、体積平均粒径が0.1μm〜10μmである導電性微粉体とを有していることを特徴とする請求項33〜44のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記帯電手段は、前記導電性微粉体を介在して像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する手段である請求項33〜45のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記磁性現像剤中に含有される導電性微粉体が現像時に像担持体に付着し、転写後も像担持体上に残留し、少なくとも帯電部材と像担持体の当接部及び/又は近傍に運ばれて介在している請求項46に記載の画像形成装置。
- 前記導電性微粉体が酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンを少なくとも含有する微粒子から選択される少なくとも一種の酸化物を含有することを特徴とする請求項33〜47のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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