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JP4494714B2 - プリント配線板 - Google Patents

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JP4494714B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、各種電子機器の回路に対する外来ノイズや不要輻射ノイズを抑制するノイズシールド板を応用したプリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の電磁波障害は、ノイズの発生源より発生した電磁波が導体や空間を媒体にして妨害を受ける機器に伝わることにより発生する。そのノイズの発生源としては、日常使用しているさまざまな通信機器や電気製品がある。例えば、テレビ、CDラジカセ、VTR、電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機、電気掃除機、パソコン、携帯電話、産業用ロボット、各種医療機器等、種々ある。
また、ノイズの伝播には導体伝導と空間伝導とがあるが、高い周波数のノイズでは、空間伝導によって発生する電磁波障害の頻度が多くなる。高機能デジタル化された電子機器では、より多くの機能に基づいた仕事をするために、使用する周波数はより一層高周波化の方向に向かっている。
【0003】
このようなデジタル機器では、クロック発振器、デジタルIC、スイッチング電源にノイズ発生源があり、電子・電気デバイス内で発生したノイズは、プリント配線板のパターンや電源線、信号線、I/Oケーブルを伝わって流れる。その際、これらの各導電体がアンテナとなり、そのノイズの一部を空中に放出する。
そして、それらノイズ電流が流れる導電体の経路にインピーダンスが急に変わるところがあると、そこで反射が起こるため定在波(定常波)が立ち、その周波数の付近ではアンテナ効率がよくなり、強力なノイズを放射することになる。この定在波は、ラインのインピーダンスより低いインピーダンスで終端されている場合には、導体長さが1/4波長の偶数倍となる周波数付近で発生し、終端が開放されている場合のように、ラインのインピーダンスより高いインピーダンスで終端されている場合には、導体長さが1/4波長の奇数倍となる周波数付近で発生する。
【0004】
プリント配線板上の導電体から放射されるノイズの特徴は、ケーブルや電源線からの放射のときより短い長さの導電体で共振を起こすことである。これは、プリント配線板では、導電体比誘電率が空気中と比べて大きい樹脂基板に接しているので、導電体周辺の平均的な比誘電率が大きくなるため、電磁波の速度(比誘電率の平方根に反比例する)が遅くなることによる。
つまり、プリント配線板上の導電体の場合には空気中と比べて電磁波の速度が遅くなるため、1/4波長や1/2波長で共振する周波数はそれぞれ空気中と比べて低くなる。その結果、プリント配線板がノイズのアンテナになる。
【0005】
そこで、プリント配線板がノイズのアンテナになることの防止策の一つとして、従来、ノイズ発生源を導電体で覆ってシールドするためのノイズシールド板や全面に導電層を設けたプリント配線板が知られている。
例えば、導電層を設けたプリント配線板は、通常絶縁基板上に信号パターン、電源パターン及び接続部等からなる配線パターン層を生成して、この配線パターン層を被覆するように通常アンダーコートと呼ばれる第1絶縁体層を形成し、その第1絶縁体層上に接続部を介して上記配線パターン層と接続するように銀や銅ペースト等による導電体層を全面に被覆形成している。さらに、この導電体層の上に通常オーバーコートと呼ばれる第2絶縁体層を被覆形成して構成される。
【0006】
そして、このようなプリント配線板では、導電体層とその導電体層が絶縁される配線パターン層の接続部との間の抵抗を減少させるため、基板表面に形成された配線パターンと導電体層との接触面積を可能な限り大きくするようにしている。
また、配線パターン層と導電体層との接続部は、単に接続可能な箇所に設けるか、あるいは、電子デバイスとプリント配線板との接続用ランドの周りに設けるようにしている。さらに、導電体層は、電源パターンの極性にかかわらず一様に形成する方法が採られている。
例えば、特許文献1に見られるように、絶縁体の基板上に配線パターン層及びそれと同極性の電源パターンを配置すると共に、その電源パターンと接続部を介して接続されるベタパターンの導電体層の極性をその電源パターンの極性と逆にして、電源パターンと導電体層間のキャパシタンスの容量を増大させ、ノイズ抑制効果を高めるプリント配線板が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平7―283580号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のプリント配線板やノイズシールド板では、全面(ベタパターン)導電体層の導電性によるシールド効果の他、導電体層とその導電体層と逆極性となる電源パターンとの間のストレイキャパシタンスのみで、外来ノイズや不要輻射ノイズの抑制を行っているため、ノイズの抑制効果が充分でないという問題があった。
それは、近年の電子・電気デバイスの高機能デジタル化に伴い、より高周波化された外来ノイズや不要輻射ノイズが発生するようになっているためである。
【0009】
そこで、例えば、図15の(a)に平面図を、(b)にそのX−X線に沿う断面図を示すように、絶縁体の基板110の一方の面の全面にベタパターンの導電体層120を設けたノイズシールド板100において、その導電体層120のp点とq点の間に高周波信号を印加すると、導電体層120に流れる電流は導電体層120の表面付近で端の方に流れ易くなるため、太い破線130で示すように表面付近に大きなループ状の電流経路ができる。
そのため、ノイズシールド板の導電体層120は、充分な面積や厚み(d0)があるにも関わらず、ノイズを抑制するためのシールド効果を充分に発揮できないばかりか、そのループ状の電流経路によってアンテナを形成し、ノイズがそのアンテナから放射されることになる。
前述の特許文献1に示されたようなプリント配線板のベタパターンの導電体層によってシールドする場合も同様である。
【0010】
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、電子・電気デバイスの高機能デジタル化に伴う外来ノイズや不要輻射ノイズの高周波化による電磁波障害に対しても、充分なシールド効果が得られるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明によるプリント配線基板は、上記の目的を達成するため、平板状の絶縁体の一方の面上に複数の開孔を均一な分布密度で形成した導電体層を重ねて設け、他方の面上に導電材によるプリント配線パターンを形成し、上記複数の開孔は上記絶縁体と反対側の面を開放している
そして、上記絶縁体の一方の面上の上記導電体層に形成された上記開孔内を電子・電気デバイスの実装スペースとし、その絶縁体に上記開孔内の両面間を貫通する配線用及び/又は上記電子・電気デバイスのリード端子挿通用の透孔(スルーホール又はビアホール)を形成、上記開孔内に搭載した電子・電気デバイスと上記プリント配線パターンとを上記透孔を通して電気的に接続可能にしたものである。
【0012】
また、このプリント配線板における上記導電体層の複数の開孔は、少なくとも所定の領域内ではその形状及び大きさが同じになるようにするとよい。
さらに、その開孔の形状は、円、楕円、又は正多角形のいずれであってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0013】
さらにまた、これらのプリント配線板2枚を、互いに上記プリント配線パターン側を向かい合わせ、その間に絶縁層を挟んで重ね合わせて接着して、1枚のプリント配線板を構成するようにしてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の基礎となるノイズシールド板及びプリント配線板について説明した後、この発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔ノイズシールド板〕
先ず、この発明の基礎となるノイズシールド板について説明する。
図1は、そのノイズシールド板の第1のを示す図であり、(a)はその平面図、(b)はそのA−A線に沿う断面図である。このノイズシールド板1は、一様な厚みを有する平板状の絶縁体11の一方の面に、一様な厚さを有し、複数の開孔12aを形成した導電体層12を重ねて設けたものである。
その複数の開孔12aはいずれもその直径がD1の円形の開孔であり、導電体層12の一方の面の全面に略均一な密度で分布して形成されており、図示のように絶縁体11と反対側の面を開放している。図示の例では、各開孔12aが縦横に整列して配列されているが、それに限るものではない。
【0015】
このノイズシールド板1において、絶縁体11は、例えば酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体、ガラスセラミックス等の無機絶縁材料、またはエポキシ樹脂、フッ素樹脂等の有機絶縁材料、あるいはセラミックス粉末等の無機絶縁物粉末をエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂で結合して成る複合絶縁材料等を使用して形成される。
この絶縁体11の厚さは、使用する材料の特性に応じて、また要求される使用条件に対応する機械的強度や電気的特性等の条件を満たすように適宜設定される。
【0016】
導電体層12は、例えば銅、銀、銀・パラジウム等の金属粉末のメタライズ、あるいは銅、銀、ニッケル、クロム、チタンやそれらの合金等の金属材料の薄膜で形成される。
この導電体層12は絶縁体11の表面全体に、例えば印刷法、スパッタリング法、真空蒸着法、またはメッキ法等により金属層を形成した後、フォトリソグラフィ法により、多数の開孔12aが所定のパターン形状(この例では円形)及び大きさに形成されている。
なお、これらの絶縁体および導電体層の材料や形成方法は、以後に説明するノイズシールド板の各実施形態およびプリント配線板の各実施形態における絶縁体および導電体層にも共通する。
【0017】
この図1に示すノイズシールド板1において、(a)に示す丸1点と丸2点の間に高周波信号を印加すると、導電体層12に破線で示すような経路で電流が流れる。その太い破線で示す部分は、この電流の電流密度が大きい経路を示しており、それは丸1点と丸2点の間を直径D1の開孔12aの円周に沿って結ぶループ状の経路となり、このループの大きさのアンテナを形成する。
このときの開孔12aの円周Lは、L=π×D1であり、円形の開孔12aの面積Sは、S=π×(D1/2)となる。
また、放射電界強度Eは、E=K・S・In・f/d1 と表せる。
ここで、K:定数、S:ループ内の面積、In:ノイズ電流、f:周波数、
d1:導電体層12の厚さ、である。
【0018】
上記の式より、ループ内の面積Sが小さければ小さいほど放射電界強度Eは小さくなり、空間伝導(空間放射)つまり不要輻射ノイズが低減されることになる。ループ内の面積Sの大きさは、ループの長さである円周Lあるいは円の直径D1によって決まる。そして、特に低減したい周波数での波長λから円周Lおよび円の大きさ(直径D1)を決めることができる。この場合、λ≫L/4となるようにするのが望ましい。しかし、実際は、この開孔12aの円形にくりぬかれた部分の絶縁体11の平均的な比誘電率εrは材料によって異なるが3〜6くらいで、空気中の場合よりも大きくなるので、L≫12・λとなるように開孔12aの大きさすなわち円の直径D1の大きさを決めるのが好ましい。
【0019】
次に、導電体層12の厚さ方向に流れる電流の分布は、電流が高周波化されるに伴ってより表面側にしか流れなくなってくる(この場合の電流を表皮電流という)。ノイズ電流Inの表皮電流が1/e(e:自然数)となった場合に、その表皮電流が流れる深さをスキン深さ(Skin depth)dsとすると、それは下記の式で表わされる。
ds=√(2/ω・μ・α)
ここで、ω:角周波数、μ:透磁率、α:導電率、である。
【0020】
導電体層12には主に銅が使用されており、この銅を用いた場合の各周波数におけるスキン深さdsを求めると、100MHz:6.61μm、1GHz:2.09μmである。導電体層12の厚さがこのスキン深さdsの4倍程度であれば、その周波数のノイズ電流の約90%を流すことができる。しかし、表皮電流は導電体層12の両表面付近にそれぞれ流れることを考慮すると、導電体層12の厚さを決定する際には、若干余裕を持たせる必要がある。
不要輻射ノイズは、30MHz〜1GHzの法規制が適用されるので、ノイズシールド板1の導電体層12の厚さが35μmであれば適正値の範囲内にあるといえる。なお、周波数が200MHz以上の帯域におけるノイズは、CPU等を搭載した制御基板から放射されている可能性が大きく、ノイズシールド板1の導電体層12の厚さd1は、一般的な厚さである35μmと比較して充分すぎるものなので、厚さをこれより薄くすることは可能である。
【0021】
また、高周波電流は、導体の表皮や端の部分に流れる傾向が強いので、そのような部分では、電流密度が大きくなることにより抵抗損失も増加するが、抵抗の値そのものは充分に小さいので、ノイズの放射に対する影響は小さく、大部分は熱として放出されることになる。さらに、図1の(a)に示すように導電体層12の開孔12aの形状が一様なことから、この導電体層12を流れる電流は分散して平行電界に近いものになり、理想的なノイズシールド板を提供することができる。
このように、このノイズシールド板によれば、高周波化されたノイズであっても、ノイズを放射するループの面積が小さく、高周波電流の分布が均一になりやすいことから、ベタパターンの導電体によるシールドのようにストレイキャパシタンスに頼ることなく、高周波化された不要輻射ノイズを効果的に低減することができる。
【0022】
図2はこの発明の基礎となるノイズシールド板の第2のの断面図である。
このノイズシールド板2は、平板状の絶縁体11の一方面に厚さd1で多数の開孔12aを均一な分布密度で形成した第1の導電体層12を、他方の面に厚さd2で多数の開孔13aを均一な分布密度で形成した第2の導電体層13を、それぞれ重ねて設けている。各開孔12a,13aは、図2から明らかなようにそれぞれ絶縁体11と反対側の面を開放している
このノイズシールド板2によれば、絶縁体11は2つの導電体層12,13によってサンドイッチされているので、シールド効果をより発揮できる。そして、以下に示す他の各実施形態においても、このように絶縁体の両面にそれぞれ複数の開孔を形成した導電体層を設ければ、シールド効果をより一層増大することが可能である。
この絶縁体11の両面の導電体層12と導電体層13は、その材料および厚さd1,d2、開孔12a,13aの大きさやその分布状態が、同じでも異なっていてもよいが、この例では同じにしている。
【0023】
次に、この発明の基礎となるノイズシールド板の第3のについて図3によって説明する。図3の(a)はそのノイズシールド板の平面図、(b)はそのB−B線に沿う断面図である。
このノイズシールド板3は、平板状の絶縁体11の一方の面上に、一辺の長さがD2の正方形の一様な形状の複数の開孔14aを均一な密度で縦横に整列して形成した導電体層14を重ねて設けている。その導電体層14の厚さはd3であり、開孔14aは絶縁体11と反対側の面を開放している。
このノイズシールド板3の導電体層14において、図3の(a)に示す丸3点と丸4点の間に流れる高周波電流の経路は、太い破線で示すように正方形の開孔14aの内縁に近接したループ状に形成される。
なお、このように、開孔14aの形状が正方形の場合は、円や楕円の場合と比べて丸3点と丸4点の間の高周波電流が流れにくいため、若干シールド効果は落ちるが、高周波化された不要輻射ノイズを低減する効果に変わりはない。
【0024】
ここで、これらのノイズシールド板の導電体層に形成する開孔の形状および分布の異なる例を示す。以下の図にはその導電体層のみを示す。
図4は導電体層15の開孔15aの形状が楕円形の例を示す。図5は導電体層16に径の異なる開孔16a,16bを交互に列設した例を示す。
図6および図7は、ノイズシールド板が異なる周波数のノイズをシールドするための複数の領域を有する場合の導電体層の例を示す。
【0025】
図6に示す例は、導電体層17が第1の領域17Aと第2の領域17Bから構成されており、その第1の領域17A内には多数の円形の開孔17a形成され、第2の領域17B内には、多数の正方形の開孔17bが形成されている。
そして、各領域17A,17B内の複数の開孔17a,17bは、それぞれの領域内ではその形状と大きさが同じでその分布も均一である。これは、ノイズ発生源が複数の領域で存在した場合に、それらの発生源に近いところでそれぞれ異なる周波数のノイズに応じたシールド効果を発揮するために、その各周波数に応じた形状と大きさの開孔を、各領域内にその分布を均一にして形成したものである。
図7に示す例は、導電体層18の第1の領域18Aと第2の領域18Bに、いずれも円形の開孔18a,18bが形成されているが、その円の大きさと分布が第1の領域18A内と第2の領域18B内では異なる場合を示している。この場合も、各領域18A,18Bにおいて異なる周波数のノイズ発生源に対応するシールド効果を発揮することができる。
【0026】
このような導電体層を設けた複数の領域を有するノイズシールド板を使用することによって、複数のノイズ発生源に近いところで、その各ノイズ発生源が発生する周波数の異なるノイズを効果的にシールドすることができる。
上述した各実施形態では、その導電体層の開孔の形状が円、楕円、及び正方形の例を示したが、正方形以外の多角形や長方形、その他の形状であってもよい。しかし、ノイズ電流が流れる経路をなるべく短くしてアンテナ効果を小さくするためには、円形の開孔にするのが最も好ましく、次いでそれに近い多角形や楕円にするのがよい。
【0027】
ノイズシールド板の導電体層のさらに他の例を図8および図9に示す。図8に示す導電体層19は、多数の正方形の開孔19aを形成する格子状の導電材からなっている。
また、図9に一部分を示す導電体層20は、多数の六角形の開孔20aを形成する網状の導電材からなっている。
これらの導電体層19,20の格子状又は網状のパターンは、平板状の絶縁体の表面の全面に導電体膜を形成した後、エッチング等を施すことによって形成してもよいが、導線を格子状又は網状に編んだものも使用することができる。
このような導電体層を設ければ、ノイズ電流が流れる経路はその格子又は網目による開孔19a又は20aに沿ったループとなり、そのループ面積をより小さくすることができるので、放射電界強度Eがより小さくなってシールド効果をより一層発揮できる。特に、格子や網目が細かい導線で編んだものは、電流の分布をより均一に分散させることができるので、シールド効果を高めることができる。
【0028】
次に、この発明の基礎となるノイズシールド板の第4のについて図10によって説明する。
このノイズシールド板4は、図1によって説明したノイズシールド板1(第1のノイズシールド板)と、図2によって説明したノイズシールド板2(第2のノイズシールド板)とを、ノイズシールド板1の絶縁体1の図1に示す下面側で重ねて張り合わせ、1枚のノイズシールド板を構成したものである。
そして、図10に明示されているように、ノイズシールド板1の絶縁体11とノイズシールド板2の絶縁体11とに挟まれた導電体層12の開口12aは、各絶縁体11,11間に間隙を形成し、その導電体層12以外の外側の各導電層12,12の開口12aは、各絶縁体11と反対側の面を開放している。
したがって、2枚の絶縁体11と3層の導電体層12,12,13によって構成され、その各導電体層に形成された開孔12a,13aは、いずれも同じ径の円形で同じ位置に設けられている。しかし、これに限るものではなく、各導電体層の開孔の形状および大きさやその形成位置を異ならせてもよい。
【0029】
また、前述したノイズシールド板を、同じものでも異なるものでも任意に組み合わせて複数枚(2枚以上)重ねて張り合せ、1枚のノイズシールド板を構成することができる。
それによって、同じ周波数の高周波ノイズをより確実にシールドできるようにしたり、異なる周波数の複数の高周波ノイズのシールドを可能にしたりすることができる。
【0030】
〔プリント配線板〕
次に、この発明の基礎となるプリント配線板のについて説明する。
図11はそのプリント配線板の断面図である。このプリント配線板5は、図1に示したノイズシールド板1と同様な一様な厚みを有する平面形状の絶縁体51の一方の面上に、複数の開孔52aを均一な分布密度で形成した導電体層52を重ねて設け、他方の面上に導電材によるプリント配線パターン53を形成し、その複数の開孔52aは絶縁体51と反対側の面を開放している。
なお、そのプリント配線パターン53は図示の都合上クロスハッチングで示しているが、実際にはIC、LSI、トランジスタ等の能動素子、およびコンデンサや抵抗等の受動素子の回路素子を搭載して種々の電子回路を構成するために、その回路上で信号を伝送する信号線や電源を供給するための電源線、グランド線や端子等の複雑な配線パターンが、銅膜等のエッチングによって形成されている。
【0031】
このプリント配線板5の絶縁体11とその一方の面上に設けた導電体層52及びその開孔52aについては、前述した各ノイズシールド板と同様に構成することができる。
したがって、その導電体層52の複数の開孔52aは、少なくとも所定の領域内ではその形状及び大きさが同じで、その分布密度も均一になるようにするとよい。また、その開孔52aの形状は、円、楕円、又は正多角形のいずれでもよいし、その他の形状でもよい。あるいは、網目状又は格子状の導電体であってもよい。
【0032】
このプリント配線基板5を使用すれば、その導電体層52のシールド効果によって、プリント配線パターン53側の電子回路に対する絶縁体51の反対側からの高周波ノイズの影響を大幅に低減させることができる。また、その電子回路からの高周波ノイズの放射も大幅に低減することができる。
また、このようなプリント配線板を、絶縁層を挟んで複数枚重ねて1枚のプリント配線板を構成するようにしてもよい。その場合、一番外側の両面に、それぞれ複数の開孔を形成した導電体層を設けるようにするとよい。
【0033】
次に、この発明によるプリント配線板の第1の実施形態を図12および図13によって説明する。図12はそのプリント配線板に電子・電気デバイスを搭載した状態を示す平面図、図13はそのプリント配線板の部分的な断面図である。
このプリント配線板6は、絶縁体61の一方の面上の導電体層62に形成された複数の開孔62a内を、IC、LSI、トランジスタ等の電子・電気デバイス(図示の例ではIC)10の実装スペースとし、その絶縁体61の他方の面には図13に示すように導電材によるプリント配線パターン63を形成している。図13ではそのプリント配線パターン63をクロスハッチングを施して模式的に示している。
【0034】
さらに、その図13に示すように、絶縁体61に開孔62a内の両面間を貫通する配線用及び/又は電子・電気デバイス10のリード端子挿通用の透孔として複数のスルーホール61aを形成している。
このプリント配線板6の構成は基本的には図11に示したプリント配線基板5と同様であるが、導電体層62の開孔62aの大きさや形状をそこに搭載する電子・電気デバイスに対応させて形成するとよい。図12に示す例では、開孔62を全て同じ径の円形にして、同じ電子・電気デバイス10を搭載しているが、それに限らず、異なる電子・電気デバイスを搭載できるように、異なる大きさや形状の開孔を形成するようにしてもよい。
【0035】
また、図13に示すスルーホール61aは、絶縁体61一方の面上の導電体層62の開孔62a内に搭載した電子・電気デバイス10と、他方の面上に形成したプリント配線パターン63の所定の配線とを電気的に接続するために設けたものである。なお、スルーホール61aに挿入される配線等を省略するために、スルーホール61aの内壁を、例えば銅、銀、ニッケル、クロム、チタン、金、ニオブとそれらの合金等の金属材料によって薄膜を形成して導体化してもよい。
図13に示す例では、その導体化したスルーホール61aに、電子・電気デバイス10であるICのリード端子(足)を挿入して、プリント配線パターン63と接続するようにしている。このスルーホール61aの大きさや数および配置は、用途に合わせて適宜変更し得る。
【0036】
この実施形態によれば、導電体層62の開孔62aの内周に沿う部分によって、図12に太い破線で示すように電子・電気デバイス10に対するショートリングSが形成されている。このショートリングSにより、空中に輻射されるノイズの磁界が打ち消されるので、シールド効果を発揮することができる。
なお、開孔62aの形状や大きさを、そこに搭載する電子・電気デバイス10が発生するノイズの周波数に合わせたショートリングSを生成するように選定することにより、ノイズ発生源に近いところでその空中への輻射を効果的に打ち消すことが可能になり、シールド効果を一層発揮することができる。
【0037】
次に、この発明によるプリント配線板の第2の実施形態を図14によって説明する。この第2の実施形態は、図11に示したプリント配線板5あるいは第1の実施形態のプリント配線板6のような、同種あるいは異種のプリント配線板を絶縁層を挟んで複数枚重ねて、1枚のプリント配線板を構成するものである。
【0038】
図14に示す例では、図12および図13に示したようなプリント配線板6と、それと類似する構成のプリント配線板7を、互いにその絶縁体61,71の導電体層62,72側を外側にして、プリント配線パターン63,73側を向かい合わせ、その間に絶縁層81を挟んで重ね合わせて接着して、新たな一枚のプリント配線板8を構成している。
その各絶縁体61,71には、図示は省略しているが、第1の実施形態で説明したような透孔によるスルーホール(2層の上下面間を貫通する透孔)やビアホール(一層のみを貫通する透孔)を多数形成して、両側の電子部品や回路パターンの電気的な接続を可能にしている。
【0039】
そして、3つの絶縁体層(絶縁体61,71と絶縁層81)に対して、4つの導電層(導電体層62,72とプリント配線パターン63,73)を配設している。外側の導電体層62,72を電源層(+電位層、−電位層の基準電位層とする)として、内側のプリント配線パターン63,73をその他の信号線等のパターンにすることにより、ベタパターンの場合と同様にストレイキャパシタンスによる効果を加えることができ、一層のノイズ対策を行うことができる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明によるプリント配線板を使用すれば、電子・電気デバイスの高機能デジタル化に伴って高周波化された外来ノイズや不要輻射ノイズによる電磁波障害に対して、ノイズを放射するループ面積を小さくしてアンテナ作用を減衰させるとともに、高周波電流の分布を均一にすることにより充分なシールド効果を得ることができる。電子・電気デバイスの近傍にショートリングを生成することによって、ノイズ輻射に対するシールド効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の基礎となるノイズシールド板の第1のを示す図であり、(a)は平面図、(b)はそのA−A線に沿う断面図である。
【図2】 この発明の基礎となるノイズシールド板の第2のを示す断面図である。
【図3】 この発明によるノイズシールド板の第3のを示す図であり、(a)は平面図、(b)はそのB−B線に沿う断面図である。
【図4】 この発明の基礎となるノイズシールド板の導電体層の他の例を示す平面図である。
【図5】 同じく導電体層のさらに他の例を示す平面図である。
【図6】 複数の領域を有するノイズシールド板の導電体層の例を示す平面図である。
【図7】 同じくその導電体層の他の例を示す平面図である。
【図8】 格子状の導電体層の例を示す平面図である。
【図9】 網状の導電体層の一部分を示す平面図である。
【図10】 この発明の基礎となるノイズシールド板の第4のを示す断面図である。
【図11】 この発明の基礎となるプリント配線板のを模式的に示す断面図である。
【図12】 上この発明によるプリント配線板の第1の実施形態における導電体層の開孔内に電子・電気デバイスを実装した状態を示す平面図である。
【図13】 同じくそのプリント配線板の部分的な断面図である。
【図14】 この発明によるプリント配線板の第2の実施形態を示す模式的な断面図である。
【図15】 従来例のノイズシールド板の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)はそのX−X線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1,2,3,4:ノイズシールド板
5,6,7,8:プリント配線板
10:電気・電子デバイス 10a:リード端子
11,51,61,71:絶縁体
12〜20,52,62,72:導電体層
12a〜20a,52a,62a,72a:開孔
17A,17B,18A,18B:領域

Claims (4)

  1. 平板状の絶縁体の一方の面上に複数の開孔を均一な分布密度で形成した導電体層を重ねて設け、他方の面上に導電材によるプリント配線パターンを形成し、前記複数の開孔は前記導電体層と反対側の面を開放しているプリント配線板において、
    前記絶縁体の一方の面上の前記導電体層に形成された前記開孔内を電子・電気デバイスの実装スペースとし、該絶縁体に前記開孔内の両面間を貫通する配線用及び/又は前記電子・電気デバイスのリード端子挿通用の透孔を形成し、
    前記開孔内に搭載した電子・電気デバイスと前記プリント配線パターンとを前記透孔を通して電気的に接続可能にしたことを特徴とするプリント配線板。
  2. 請求項記載のプリント配線板において、
    前記導電体層に形成した複数の開孔は、少なくとも所定の領域内ではその形状及び大きさが同じであることを特徴とするプリント配線板。
  3. 請求項又はに記載のプリント配線板において、
    前記導電体層に形成された開孔の形状が、円、楕円、又は正多角形のいずれかであることを特徴とするプリント配線板。
  4. 請求項乃至のいずれか一項に記載のプリント配線板2枚を、互いに前記プリント配線パターン側を向かい合わせ、その間に絶縁層を挟んで重ね合わせて接着して構成したことを特徴とするプリント配線板。
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