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JP4490182B2 - 通信装置およびパケット通信方法 - Google Patents

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Description

本発明は、E−PON,GE−PONなどのPONシステムのように親装置と子装置とが時刻情報によって同期をとると共に誤り訂正符号処理を実行するシステムの親装置に適用して好適な通信装置に関するものである。
IEEE Draft P802.3ah規定のイーサネット(登録商標)PONシステム(EPON)は、親装置(OLT:Optical Line Terminal)と複数の子装置(ONU:Optional Network Unit)を光伝送媒体で接続し、MACフレームによりデータ送受信を行うことにより、PONシステムにイーサネット(登録商標)サービスを収容するものである。OLTは通信網事業者局に設置され、ONUは加入者の宅内や屋外に設置される。ONUは1〜複数の加入者端末を収容する。また、GE−PONは、ギガビットの伝送速度を持つEPONシステムである。
このようなPON方式では、複数のONUからの上り信号を時分割多重してOLTに送信しており、このような多重を行うためには、OLTと各ONU間で時刻同期が取れている必要がある。このため、IEEE Draft P802.3ah規定では、OLTが,自局時刻情報の現在値をタイムスタンプ情報としてONUに送信し、ONUは受信したタイムスタンプ値に合わせて自局の時刻情報を更新することが示されている。
これらEPON,GE−PONにおいては、子装置が共有する受動型光分岐網(PON)の上を伝送するパケットに対して、誤り訂正符号(ECC)を付加してディジタル的に伝送特性を向上させる形態の適用が検討されている。
IEEE Draft P802.3ah規定においては、誤り訂正符号処理を実行するFEC(Forward Error Correction;前方誤り訂正)機能は、第2層であるデータリンク層の下層である第1層としての物理層(PCS (Physical Coding Sublayer)、PMA (Physical Medium Attachment)、PMD (Physical Medium Dependent)を含む)のなかのPCSサブレイヤの中に配置されている。PCSサブレイヤはデータリンク層からの受信ビット列を符号化してPMAサブレイヤに渡す機能を有している。
第2層のデータリンク層は、LLC(Logic Link control)サブレイヤ、Multi-Point MAC Controlサブレイヤなどを有し、Multi-Point MAC Controlサブレイヤにおいて、親装置が複数の子装置との通信を確立するための時分割多重アクセス制御を行っている。
図15に、IEEE Draft P802.3ah規定に従って構成した親装置および子装置の構成を示す。親装置内のPON制御部が、上記Multi-Point MAC Controlサブレイヤに含まれて、PONの通信を確立するための制御を行う部分である。親装置は、多重部110、タイムスタンプ挿入部(TS挿入部)120を有するPON制御部100と、FEC符号化部130とを有しており、ここでは下り方向の機能構成についてのみ示している。
IEEE Draft P802.3ah規定では、前述したように、時分割多重アクセスを確立するために、親装置および子装置において時刻情報を同期させ、親装置が各子装置の上り方向のデータ送信時刻を管理する。このため、親装置のTS挿入部120では、親装置から各子装置に送信される制御パケットの中に時刻情報をタイムスタンプ値として収容し、下り方向に送出する。一方、子装置は、親装置から転送された時刻情報によって自身のタイマ値をセットして時刻を同期させており、次に時刻情報が入力された際にその値が自身のタイマ値と一定値以上異なっている場合、PONのリンク確立状態をリセットする制御を行い、通信を一時途絶える状態とする。このように、PONシステムにおいて、時刻の同期は非常に重要な機能として位置づけられている。
PON制御部100の多重部110において、制御パケットは親装置の上流側から入力されるデータパケットと多重化処理されるが、上記のごとく制御パケットには時刻情報を含ませる必要があるので、多重部110での多重化処理後に時刻情報をタイムスタンプ値として制御パケットに入力する構成となる。これは、多重化時にデータパケットとの待ち合わせ時間が不確定に発生するため、多重化処理前に時刻情報を制御パケットの中に入力すると、実際に子装置にパケットが到着するまでの時間が変動してしまい、親装置と子装置の間で正確な時刻の同期がとれなくなるためである。同期がとれなくなった場合、各子装置からの上り方向のデータが親装置に到着する際に、親装置が制御したタイミングとずれて入力されてしまい、各子装置のデータが衝突して正常に通信できなくなる。このような理由から、時刻情報を入力するTS挿入部120は多重部110の後段に配置される。
なお、IEEE Draft P802.3ah規定では、上記制御パケットのほかに、保守運用情報を収容したOAM(Operation Administration and Maintenance)パケットもPON制御部100にて生成して下りデータに多重することになっている。OAMパケットは制御パケットと違い、PONのアクセス制御には用いられないため、タイムスタンプ値の挿入は行われない。
ここで、IEEE Draft P802.3ah規定では、前述したように、PON制御部100で行われる処理は第2層のデータリンク層に属し、誤り訂正機能は第1層の物理層(PCSサブレイヤ)に属するので、この規定に従えば、FEC符号化部130はPON制御部100の後段に配置される。正確にはその前段に、伝送路符号化部が存在し、後段にはPMAサブレイヤおよびPMDサブレイヤの処理を行うブロックが存在するが、ここでは省略している。
FEC符号化部130はPON制御部100から送出されるデータパケットおよび制御パケットに対し、誤り訂正符号の演算処理を行い、それぞれのパケットに誤り訂正符号領域を追加して出力する。上記、IEEE Draft P802.3ah規定においては、FEC符号化部130はリード・ソロモン符号のRS(255,239)を用いており、FEC符号化部130に入力されるパケットにおける239バイト毎に16バイトの符号領域が追加される。
このように誤り訂正符号処理を行う場合は、符号領域の分のデータが増加するため、実質のデータスループットを低下させないとデータの欠落が発生する。上記IEEE Draft P802.3ah規定においては、このスループット制御に関する記述は特にない。
特許文献1には、複数の入力バッファ部では、出力バッファ部が輻輳状態になったときに出力バッファ部から出力されるバックプレッシャー信号に基づいてその出力バッファ部へのセルの送出を停止させるとともに、所定の送出レートを超えるセルの送出を停止させるようにしたATMスイッチに関する発明が開示されている。
上記E−PON(GE−PON)システムにおいて、特許文献1の発明を適用すれば、親装置において、データ欠落なく下り方向パケットを送出することが可能となる。即ち、FEC符号化部130における輻輳状態を基にバックプレッシャー信号を生成し、PON制御部100の前段にデータパケットの流量を制御するフロー制御部を設け、フロー制御部はバックプレッシャー信号を基にデータパケットの出力レートを制御する方法である。なお、フロー制御部において出力レートを制限した場合、入力レートが高い場合には上記同様にフロー制御部にて輻輳状態が発生するが、この問題を解決するためのフロー制御機能についてはIEEE802.3x規格に制定された方式があるが、ここではその詳細説明を省略する。
IEEE Draft P802.3ah 特開2002−57669号公報
E-PON(GE−PON)における下り方向の伝送にFEC機能を適用する場合、IEEE Draft P802.3ah規定ではFEC符号領域分のデータ量増加を調整する仕組みに関する開示はないものの、上記特許文献1の技術を適用してフロー制御部の機能追加を行えば、データの欠落なしに下り方向パケットを伝送する構成が得られる。
しかし、この従来技術の組み合わせによる構成では、IEEE Draft P802.3ah規定のE-PON(GE−PON)システムに不可欠である、親装置と子装置の時刻情報の同期が確立できなくなるという問題がある。以下、このことを図16−1,図16−2と図17を用いて説明する。
図16−1は、親装置のPON制御部でのデータパケットと制御パケットとの多重処理において、制御パケットが多重部に到着した際に多重部がデータパケットを送出中である場合(多重待ち合わせがある場合)を示しており、図16−2は、制御パケットが多重部に到着した際に、多重部が何の処理も行っていないアイドル状態である場合(多重待ち合わせがない場合)を示している。多重部の処理として、一旦送出を開始したパケットの途中で送出を停止することは、誤ったデータの転送を行うことになるため出来ない。従って、図16−1に示すように、多重部でデータパケットの多重化処理が行われている最中に制御パケットが多重部に到着した際には、この制御パケットはデータパケットが送出されるまで待たされた後、このデータパケットの後に、出力されることになる。一方、制御パケットが多重部に到着した際に、多重部がアイドル状態にあるときは、そのまま多重化されて出力されることになる。
図17の上側3つのパケットは、多重待ち合わせがある場合の、(a)多重後、(b)TS挿入後、(c)FEC符号化後におけるパケットの状態変化を示すタイムチャートであり、図17の下側3つのパケットは、多重待ち合わせがない場合の、(d)多重後、(e)TS挿入後、(f)FEC符号化後におけるパケットの状態変化を示すタイムチャートである。図17中の符号(a)〜(f)は、図16−1,図16−2中の符号(a)〜(f)に対応する。
多重待ち合わせがある場合も、多重待ち合わせがない場合も、制御フレームが多重部より出力されてからTS挿入部より出力されるまでの時間Tda1は等しくなるため、時刻情報を入力されてからFEC符号化部に到着するまでは問題はない。しかし、FEC符号化部を通過した際に、この2つの条件で差が生じてしまう。
すなわち、待ち合わせがない場合の、制御フレームがTS挿入部より出力されてからFEC符号化部を出力されるまでの遅延時間をTdb1、待ち合わせがある場合の同遅延時間をTdb0とすると、Tdb0>Tdb1となる。これは待ち合わせが生じてデータパケットの後に制御パケットがついている場合、FEC符号化部における符号領域の追加により、制御パケットは符号領域分Tf1だけ余分に遅延してFEC符号化部を通過することになるからである。すなわち、制御パケットの前にあるデータパケットの符号領域の長さをTf1とすると、Tdb0=Tdb1+Tf1となる。Tf1>0であるから、Tdb0>Tdb1となる。
このように、従来技術では、時刻情報を収容した制御パケットとデータパケットとを多重化したパケット流に対して、FEC等の冗長符号を付加する際、符号領域の付加に起因して制御フレームの転送遅延が変動するので、親装置と子装置の時刻情報の同期が確立できなくなり、親装置と子装置との間で適正なE−PON(GE−PON)通信が行えなくなるという問題がある。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、時刻情報を収容した制御パケットとデータパケットとを多重化したパケット流に対して、FEC等の冗長符号を付加する際、符号領域の付加に起因して制御フレームの転送遅延が変動することを確実に防止し、制御フレームが常に一定の転送遅延をもって出力されるようにして、親装置と子装置との間で時刻情報の同期が確実に確立できるようにし、これにより親装置と子装置との間で適正なPON通信をなし得る通信装置およびパケット通信方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御パケットをデータパケットに時分割多重して出力する多重部と、多重部から出力される制御パケットに時刻情報を挿入する時刻情報挿入部と、多重部から出力されるデータパケットおよび時刻情報が挿入された制御パケットに冗長符号を付加して出力する冗長符号化部とを備える通信装置において、前記多重部からデータパケットまたは制御パケットを出力する際、当該パケットに対し前記符号化部で付加される冗長符号領域分の空き時間を当該パケットの後ろに付加する速度調整を行う速度調整部を備え、前記冗長符号化部は、各パケットの後ろに形成された空き時間に冗長符号を挿入することを特徴とする。
この発明においては、多重部からデータパケットまたは制御パケットを出力する際、各データパケットおよび制御パケットに対しその後付加される冗長符号領域分の空き時間を各パケットの後ろに付加し、その後冗長符号化処理の際、各パケットの後ろに形成された空き時間に冗長符号を挿入する。
この発明によれば、速度調整部が各パケットの後ろに冗長符号領域分の空き領域を設けることによって多重部からのパケット出力レートを冗長符号領域を考慮して制御するようにしているので、多重部において制御パケットの多重待ち合わせが発生した場合でも冗長符号化処理の際に制御パケットの処理遅延が発生することがなくなり、これにより多重部でのパケット待ち合わせの有無に関係なく、制御パケットの転送遅延時間の変動を抑えることができる。したがって、制御フレームが常に一定の転送遅延をもって出力されるようになり、親装置と子装置との間で時刻情報の同期が確実にとれるようになり、親装置と子装置との間で、通信の中断のない適正かつ安定な通信をなし得るようになる。
以下に、本発明にかかる通信装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1〜図4を用いてこの発明の実施の形態1について説明する。実施の形態1の発明が適用される通信システムでは、時刻情報転送機能を備えた送信装置と、送信装置から送られた時刻情報を元に自身のタイマの時刻を更新する機能を備える受信装置とを備えている。図1は、送信装置の構成を示し、図2は受信装置の構成を示している。この実施の形態1では、送信装置の多重部1に速度調整部4を接続し、速度調整部4によって、多重部1から出力される全てのパケット(データパケットおよび制御パケット)の後に、その後冗長符号付加部3で当該パケットに追加される冗長符号領域分の空き時間(ギャップ)をそれぞれ設けてから、つぎのデータパケットまたは制御パケットを出力するようなタイミング制御を行うようにしている。
図1に示すように、送信装置は、多重部1、時刻情報挿入部としてのTS(タイムスタンプ)挿入部2、冗長符号付加部3および速度調整部4を備えている。多重部1には、外部から固定長または可変長のデータパケットが入力されるとともに、内部生成された制御パケットが入力されており、多重部1は、制御パケットをデータパケットに時分割多重して出力する。TS挿入部2は、多重部1からの制御パケットに現在の時刻情報を挿入して出力する。冗長符号付加部3は、多重部1から出力されるデータパケットおよび時刻情報が挿入された制御パケットに冗長符号を付加して出力する。
速度調整部4は、多重化された各パケット(各データパケットおよび各制御パケット)を多重部1から読み出す制御を行うものであり、各パケットを多重部1から読み出す際に、各パケットの後に、当該パケットに対し少なくとも冗長符号付加部3で付加される冗長符号長に対応する分だけの時間的空き(ギャップ)を設けて、つぎのデータパケットまたは制御パケットを出力するような読み出し制御を行う。すなわち、各パケットが多重部1に到着した際に多重部が他のパケットを送出中である場合(多重待ち合わせがある場合)は、当該送出中のパケットの後ろに冗長符号長に対応する分だけのギャップを設けて、つぎのパケットを出力するような読み出し制御を行う。また、各パケットの後に冗長符号分のギャップを含めても各パケット間の待ち合わせが生じない場合は、そのパケットはそのまま多重化されて出力される。因みに、先の従来技術を説明した図15においては、多重部110から出力される各パケット間にはギャップは設けられていないが、図1においては、多重部1から出力される各パケット間にはギャップが設けられている。
A−PONに用いられるようなATMセルのように、パケットが固定長であり、冗長符号付加部3で付加される冗長符号長が一定の場合は、予め設定された一定の冗長符号長に対応する分だけの時間的空きを設けるようにする。一方、E−PONに用いられるMACフレームのように、データパケットが可変長であり、冗長符号付加部3で付加される冗長符号長がデータパケット長に応じて可変の場合は、速度調整部4として、図3に示すような、構成を採用する。すなわち、パケット長モニタ8は、多重部1から出力される各パケットのパケット長を検査し、その検査結果を読み出し制御部9に通知する。読み出し制御部9は、パケット長モニタ8からの検査結果に基づいて次のパケットの出力タイミングを制御するものであり、各パケットの長さに応じて、必要となる冗長符号領域の長さを判定し、その判定結果に基づいて所要の時間的ギャップを空けてから、当該パケットに続いて出力される制御パケットまたはデータパケットの読み出しタイミングを制御する。
多重部1から出力されたパケットはTS挿入部2へ入力され、ここで制御パケットのみにタイムスタンプが挿入され、全てのパケットが冗長符号付加部へ出力される。冗長符号付加部3は、入力された各パケット(各データパケットおよび各制御パケット)の後ろに冗長符号を付加する。冗長符号を付加された各パケットは伝送路へ出力される。
図4の上側3つのパケットは、多重待ち合わせがある場合の、(a)多重後、(b)TS挿入後、(c)冗長符号付加後におけるパケットの状態変化を示すタイムチャートであり、図4の下側3つのパケットは、多重待ち合わせがない場合の、(a)´多重後、(b)´TS挿入後、(c)´冗長符号付加後におけるパケットの状態変化を示すタイムチャートである。図4中の符号(a)〜(c)は、図1中の符号(a)〜(c)に対応する。
制御パケットが多重部1に到着した際に多重部1が何の処理も行っていないアイドル状態である場合(多重待ち合わせがない場合)、制御パケットはそのまま多重化されて出力される。制御フレームが多重部1を出力されてからTS挿入部2から出力されるまでの時間はTda1とし、制御フレームがTS挿入部2を出力されてから冗長符号付加部3を出力されるまでの遅延時間をTdb1とする。
一方、制御パケットが多重部1に到着した際にデータパケットが送出中である場合(多重待ち合わせがある場合)、この制御パケットは送出中のデータパケットが送出されるまで待たされた後、このデータパケットの後に、出力されることになる。多重部1を出力されたデータパケットの後には、冗長符号領域分の長さのギャップが付加され、その後に制御パケットが多重部1から出力される。この場合も、制御フレームが多重部1を出力されてからTS挿入部2を出力されるまでの処理遅延時間は、多重待ち合わせがない場合の処理遅延時間と同じく、Tda1となる。
また、データパケットの後に予め符号領域分のギャップが確保されているため、冗長符号付加部3においては、従来技術のように、新たに冗長符号領域を追加する必要がなくなり、予め確保されていたギャップに対し作成した冗長符号を挿入するだけであるので、遅延時間の増加は発生しない。従って、この場合も、制御フレームがTS挿入部2を出力されてから冗長符号付加部3を出力されるまでの遅延時間は、多重待ち合わせがない場合の処理遅延時間と同じく、Tdb1となる。このように、多重部1における待ち合わせの有無に関係なく、制御パケットのTS挿入から冗長符号付加部3を出力されるまでの遅延時間は一定となる。
一方、受信装置は、図2に示すように、冗長符号除去部5、分離部6、およびTS抽出部7を有している。受信装置は、伝送路を経由した送信装置からのパケットを受信し、冗長符号除去部5に入力する。冗長符号除去部5は、入力された各パケット(各データパケットおよび各制御パケット)から冗長符号を除去し、冗長符号を除去したパケットを分離部6に送る。分離部6は、制御パケットとデータパケットを分離し、制御パケットをTS抽出部7に送る。分離されたデータパケットは、後段の図示しないパケット処理部に送られる。TS抽出部7は、入力された制御パケットから送信装置にて挿入された時刻情報であるタイムスタンプを抽出する。
TS抽出部7は、抽出した時刻情報を、前回入力された制御パケットから抽出した時刻情報に基づいて動作しているタイマの現タイマ値と比較し、その差分が予め定められた閾値よりも大きい場合には、今回抽出された時刻情報を無効化して、送信装置との通信リンクを切断し、その後通信リンクを再度確立させる処理を開始する。また、上記比較の結果、差分が予め定められた閾値よりも小さい場合には、今回抽出した時刻情報で、タイマのタイマ値を更新する。
受信装置において、冗長符号除去部5は冗長符号を除去する処理を行い、また分離部6もパケットを2つの経路に分ける処理を行っているので、これら冗長符号除去部5,分離部6でのパケットの処理遅延時間が、パケットの量つまりデータ速度によって変動することはない。また、前述したように、送信装置においては、多重部1における待ち合わせの有無に関係なく、制御パケットのTS挿入から冗長符号付加部3を出力されるまでの遅延時間は一定となる。従って、本システムにおいて、制御パケットについては、送信装置のTS挿入部2から受信装置のTS抽出部7に至るまでの処理遅延時間に変動が発生しないので、これら各部での遅延処理時間を原因として、TS抽出部7での時刻情報とタイマ値との比較結果が閾値を超えて、通信リンクが切断されるような事態が発生することもない。
このように実施の形態1によれば、送信装置における速度調整部4が各パケットの後ろに冗長符号領域分の空き領域を設けることによって多重部1からのパケット出力レートを冗長符号領域を考慮して制御するようにしているので、多重部1において制御パケットの多重待ち合わせが発生した場合でも冗長符号付加部3において制御パケットの処理遅延が発生することがなくなり、これにより多重部1でのパケット待ち合わせの有無に関係なく、制御パケットの転送遅延時間の変動を抑えることができる。したがって、制御フレームが常に一定の転送遅延をもって出力されるようになり、送信装置と受信装置との間で時刻情報の同期が確実に確立できるようになり、送信装置と受信装置との間で、通信リンクの切断による中断のない適正かつ安定な通信をなし得るようになる。
実施の形態2.
つぎに、図5〜図8を用いてこの発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、この発明をE−PON(GE−PON)などのPONシステムの親装置に適用している。PONシステムに適用される点と、フロー制御部を設けた点が、実施の形態1と実施の形態2の大きな相違点である。なお、この場合は、便宜上、子装置を1つのみ表記しているが、複数の子装置を親装置に接続してもよい。また、この場合、親装置および子装置の下り方向処理機能のみを記載し、上り方向処理機能は記載を省略している。
図5において、親装置(OLT)は、多重部11、TS挿入部12および速度調整部14から構成されるPON制御部16と、FEC符号化部13と、フロー制御部15とを備えている。
フロー制御部15は、データパケットを蓄積するバッファを有している。フロー制御部15は、データパケットの入力流量を監視して、許容範囲以上の入力がある際には上流側装置に対してデータの停止要求を行う。また、フロー制御部15は、速度調整部14から後述するバックプレッシャー信号が入力された場合は、多重部11へのデータパケットの送出を停止し、バックプレッシャー信号が入力されないときに、バッファに蓄積したデータパケットを読み出してPON制御部16の多重部11に出力することにより、データパケットの出力レートを低下させる制御を実行する。多重部11には、フロー制御部15からのデータパケットが入力されるとともに、時刻情報が含まれる制御パケットおよび制御パケットの1つであるOAMパケットが入力されており、多重部11は、これら制御パケット、OANパケットおよびデータパケットを時分割多重して出力する。時刻情報が含まれる制御パケットおよび制御パケットの1つであるOAMパケットは、親装置内で内部生成される。以下では、時刻情報を含む制御パケットを単に制御パケットという。
速度調整部14は、多重化された各パケット(各データパケット、各制御パケットおよび各OAMパケット)を多重部11から読み出す制御を行うものであり、各パケットを多重部11から読み出す際に、各パケットの後に、当該パケットに対し冗長符号付加部13で付加される冗長符号長に対応する分だけの時間的空き(ギャップ)を設けて、つぎのパケットを出力するような読み出し制御を行う。すなわち、各パケットが多重部11に到着した際に多重部11が他のパケットを送出中である場合(多重待ち合わせがある場合)は、当該送出中のパケットの後ろに冗長符号長に対応する分だけのギャップを設けて、つぎのパケットを出力するような読み出し制御を行う。一方、各パケットの後に冗長符号分のギャップを含めても各パケット間の待ち合わせが生じない場合は、そのパケットはそのまま多重化されて出力される。
この場合、速度調整部14は、図3に示したように、パケット長モニタ8および読み出し制御部9を有しており、パケット長モニタ8は、多重部1から出力される各パケットのパケット長を検査し、その検査結果を読み出し制御部9に通知する。読み出し制御部9は、パケット長モニタ8からの検査結果に基づいて次のパケットの出力タイミングを制御するものであり、各パケットの長さに応じて必要となるFEC符号領域の分だけ、各パケットを読み出した後に空き領域を設けるように、多重部11のパケット読み出し動作を制御する。したがって、多重部11から出力される各パケット間には、図5に示すように、ギャップが設けられている。また、この場合、速度調整部14は、多重部11内のバッファに所定量以上のフロー制御部15からのデータが蓄積されたか否かを検出しており、所定量以上のデータが蓄積される輻輳状態に多重部11がなると、バックプレッシャー信号をフロー制御部15に出力する。
TS挿入部12は、多重部11からの制御パケットに現在の時刻情報(タイムスタンプ)を挿入するとともに、全てのパケットに伝送路符号化を行った後、全てのパケットをFEC符号化部13に出力する。FEC(Forward Error Correction)符号化部13は、入力される各パケット毎に誤り訂正符号を計算し、計算された誤り訂正符号を各パケットの後に符号領域として付加する。FEC符号が付加された各パケットは伝送路へ出力される。
図5において、子装置(ONU)は、FEC復号化部21と、分離部23、およびTS抽出部24を有するPON制御部22とを備えている。子装置は、伝送路を経由した親装置からのパケットを受信し、FEC復号化部21に入力する。FEC復号化部21は、入力された各パケットを復号するとともに、符号領域に挿入された誤り訂正符号を用いた誤り訂正処理を行って符号領域を削除し、符号領域を削除したパケットをPON制御部22の分離部23に送る。PON制御部22の分離部23は、制御パケットとOAMパケットとデータパケットとを分離し、制御パケットをTS抽出部24に送る。分離されたデータパケットは、後段の図示しないパケット処理部に送られ、またOAMパケットは、後段の図示しないOAM処理部に送られる。
TS抽出部24は、入力された制御パケットからタイムスタンプを抽出する。また、TS抽出部24は、抽出したタイムスタンプを、前回入力された制御パケットから抽出したタイムスタンプに基づいて動作しているタイマの現タイマ値と比較し、その差分が予め定められた閾値よりも大きい場合には、今回抽出された時刻情報を無効化して、親装置との通信リンクを切断し、その後通信リンクを再度確立させる処理を開始する。また、上記比較の結果、差分が予め定められた閾値よりも小さい場合には、今回抽出したタイムスタンプ値で、タイマのタイマ値を更新するとともに、今回抽出したタイムスタンプ値を上りデータの出力タイミングの基準とする。
図6−1は、親装置の多重部11でのデータパケットと制御パケットとの多重処理において、制御パケットが多重部に到着した際に多重部11がデータパケットを送出中である場合(多重待ち合わせがある場合)のパケット配列を示しており、図6−2は、制御パケットが多重部に到着した際に、多重部が何の処理も行っていないアイドル状態である場合(多重待ち合わせがない場合)のパケット配列を示している。
図6−1に示すように、多重待ち合わせがある場合、多重部11の前段においては、データパケットの間隔は詰まっているが、多重部11に接続される速度調整部14の動作によって、多重部11から出力されるパケットに関しては、制御パケット、OAMパケットおよびデータパケットを含む全てのパケットの後にそれぞれのFEC符号領域分に相当するギャップ期間が設けられている。一方、図6−2に示すように、各パケットの後に符号領域分のギャップを含めても各パケット間の待ち合わせが生じない場合は、そのパケットはそのまま多重化されて出力される。
図7の上側3つのパケットは、多重待ち合わせがある場合の、(a)多重後、(b)TS挿入後、(c)誤り訂正符号付加後におけるパケットの状態変化を示すタイムチャートであり、図7の下側3つのパケットは、多重待ち合わせがない場合の、(a)´多重後、(b)´TS挿入後、(c)´誤り訂正符号付加後におけるパケットの状態変化を示すタイムチャートである。図7中の符号(a)〜(c),(a)´〜(c)´は、図6中の符号(a)〜(c),(a)´〜(c)´に対応する。
制御パケットが多重部11に到着した際に多重部11が何の処理も行っていないアイドル状態である場合(多重待ち合わせがない場合)、制御パケットはそのまま多重化されて出力される。制御フレームが多重部11を出力されてからTS挿入部12から出力されるまでの時間はTda1とし、制御フレームがTS挿入部12を出力されてからFEC符号化部13を出力されるまでの遅延時間をTdb1とする。
一方、制御パケットが多重部11に到着した際にデータパケットが送出中である場合(多重待ち合わせがある場合)、この制御パケットは送出中のデータパケットが送出されるまで待たされた後、このデータパケットの後に、出力されることになる。そして、多重部11を出力されたデータパケットの後には、誤り訂正符号領域分の長さのギャップが付加され、その後に制御パケットが多重部11から出力される。この場合も、制御フレームが多重部11を出力されてからTS挿入部12を出力されるまでの処理遅延時間は、多重待ち合わせがない場合の処理遅延時間と同じく、Tda1となる。
また、データパケットの後に予め誤り訂正符号領域分のギャップが確保されているため、FEC符号化部13においては、従来技術のように、新たに冗長符号領域を追加する必要がなくなり、予め確保されていたギャップに対し作成した誤り訂正符号を挿入するだけであるので、遅延時間の増加は発生しない。従って、この場合も、制御フレームがTS挿入部12を出力されてからFEC符号化部13を出力されるまでの遅延時間は、多重待ち合わせがない場合の処理遅延時間と同じく、Tdb1となる。このように、多重部11における待ち合わせの有無に関係なく、制御パケットのTS挿入からFEC符号化部13を出力されるまでの遅延時間は一定となる。
このように実施の形態2によれば、親装置における速度調整部14が各パケットの後ろにFEC符号領域分の空き領域を設けることによって多重部11からのパケット出力レートをFEC符号領域を考慮して制御するようにしているので、多重部11において制御パケットの多重待ち合わせが発生した場合でもFEC符号化部13において制御パケットの処理遅延が発生することがなくなり、これにより多重部11でのパケット待ち合わせの有無に関係なく、制御パケットの転送遅延時間の変動を抑えることができる。したがって、制御フレームが常に一定の転送遅延をもって出力されるようになり、親装置と子装置との間で時刻情報の同期が確実に確立できるようになり、親装置と子装置との間で、通信リンクの切断による中断のない適正かつ安定な通信をなし得るようになる。
また、実施の形態2では、速度調整部14で、各パケットの後ろにギャップ領域を追加しているので、多重部11でのデータパケットのスループットが減少されるが、速度調整部14は多重部11が輻輳状態になった場合、バックプレッシャー信号をフロー制御部15に出力し、フロー制御部15がデータの出力レートを低下させる動作を行うようにしているので、多重部11での輻輳状態を確実に防止することができる。
なお、上記実施の形態2において、多重部11に容量の大きなデータパケットバッファを備えている場合は、フロー制御部15を省略するようにしてもよい。また、上記では、速度調整によるスループット低下による多重部11での輻輳を解消するべく、速度調整部14がバックプレッシャー信号を出力するようにしたが、図8に示すようにポーズ(Pause)パケットを出力するポーズ挿入部17を設けるようにしてもよい。ポーズ挿入部17は、上りパケット信号の経路の途中に設けられ、速度調整部14と同様、多重部11内のバッファに所定量以上のフロー制御部15からのデータが蓄積されたか否かを検出しており、所定量以上のデータが蓄積される輻輳状態に多重部11がなると、ポーズパケットを上りパケット信号に時分割多重化してフロー制御部15に送信する。フロー制御部15がポーズパケットを受信すると、多重部11へのデータパケットの送出を停止するなどして、データパケットの出力レートを低下させる制御を実行する。
実施の形態3.
つぎに、図9〜図11を用いてこの発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3においては、FEC符号領域のための速度調整を、フロー制御部にて実施するようにしており、フロー制御部はデータパケットにダミーのPAD領域を付加する。
図9は、実施の形態3による親装置の構成を示すものである。親装置は、フロー制御部30と、PON制御部33と、FEC符号化部36とを備えている。フロー制御部30は、バッファ31と、速度調整部32とを備えている。PON制御部33は、多重部34と、TS挿入部35とを備えている。FEC符号化部36は、パケット識別部37と、バッファ38と、符号化部39とを備えている。
フロー制御部30のバッファ31は、前段装置から入力されるデータパケットを蓄積し、蓄積したデータパケットを速度調整部32の制御にしたがってPON制御部33の多重部34に出力する。フロー制御部30は、データパケットの入力流量を監視して、許容範囲以上の入力がある際には上流側装置に対してデータの停止要求を行う。また、速度調整部32は、FEC符号化部36から後述するバックプレッシャー信号が入力された場合は、多重部11へのデータパケットの送出を停止し、バックプレッシャー信号が入力されないときに、バッファ31に蓄積したデータパケットを読み出してPON制御部33の多重部11に出力することにより、データパケットの出力レートを低下させる制御を実行する。
ここで、フロー制御部30の速度調整部32は、バッファ31からデータパケットの読み出しを行う際、その末尾にFEC符号化部36でのFEC符号領域に相当する長さのダミーデータとしてのダミーPAD(図中黒塗りで示す)を付加し、ダミーPAD部分を含めた新たなパケットとしてデータパケットを出力させる。このため、速度調整部32は、各データパケットの末尾にあるフレームチェックシーケンス符号(FCS;Frame Check Sequence)を再計算して付加する。したがって、正確には、ダミーPAD部分は各データパケットのFCS符号の後に付加される。
多重部34には、フロー制御部30からのダミーPADが付加されたデータパケットが入力されるとともに、内部生成された制御パケットおよびOAMパケットが入力されており、多重部34は、ダミーPADが付加されたデータパケットを通常のデータパケットとして処理し、このデータパケットと、制御パケットと、OAMパケットとを時分割多重して出力する。TS挿入部35は、多重部11からの制御パケットに現在の時刻情報(タイムスタンプ)を挿入するとともに、全てのパケットに伝送路符号化を行った後、全てのパケットをFEC符号化部36に出力する。
FEC符号化部36のパケット識別部37では、入力されたパケットのうち制御パケットおよびOAMパケットをデータパケットと識別する処理を行う。この場合、パケット識別部37は、パケットのタイプ領域(TYPE領域)のコードを検査することで、制御パケットおよびOAMパケットをデータパケットと識別する処理を行う。パケット識別結果は、符号化部39に入力される。バッファ38は、TS挿入部35から入力された各パケットを蓄積して、蓄積したデータパケットを符号化部39からの要求にしたがって符号化部39に出力する。バッファ38では、パケット蓄積量が一定値以上に増加した場合にバックプレッシャー信号をフロー制御部30の速度調整部32に出力する。
FEC符号化部36の符号化部39は、パケット識別部37の識別結果に基づき、制御パケットおよびOAMパケットについては、FEC符号領域を新たに付加し、データパケットについては、フロー制御部30にて付加されたダミーPAD部分にFEC符号領域を上書きする形で誤り訂正処理を行う。FEC符号が付加された各パケットは伝送路へ出力される。実施の形態3の構成では、制御パケットおよびOAMパケットのFEC符号領域を付加する際、後続するパケットが存在する場合にはそのパケットを待たせる必要があるため、FEC符号化部36にはデータを蓄積するバッファ38を設けるようにしている。そして、FEC符号化部36に連続してパケットが到着した場合には輻輳が発生するため、フロー制御部に対してバックプレッシャー信号を出力するようにしている。
図10−1は、制御パケットが多重部34に到着した際に多重部11がデータパケットを送出中である場合(多重待ち合わせがある場合)のパケット配列を示しており、図10−2は、制御パケットが多重部34に到着した際に、多重部34がアイドル状態である場合(多重待ち合わせがない場合)のパケット配列を示している。
図10−1に示すように、多重待ち合わせがある場合、多重部34の前段においては、データパケットの間隔は詰まっているが、フロー制御部30にて既に各パケットに対しFEC符号領域分のダミーPADが追加されているため、FEC符号化部36の出力において新たに付加された領域は制御パケットのFEC符号領域だけである。一方、図10−2に示すように、各パケット間に待ち合わせが生じない場合も、同様に、フロー制御部30にて既に各パケットに対しFEC符号領域分のダミーPADが追加されており、またFEC符号化部36の出力において新たに付加された領域は制御パケットのFEC符号領域だけである。
図11の上側4つのパケットは、多重待ち合わせがある場合の、(a)多重前、(b)多重後、(c)TS挿入後、(d)FEC符号付加後におけるパケットの状態変化を示すタイムチャートであり、図11の下側3つのパケットは、多重待ち合わせがない場合の、(b)´多重後、(c)´TS挿入後、(d)´誤り訂正符号付加後におけるパケットの状態変化を示すタイムチャートである。図7中の符号(a)〜(d),(b)´〜(d)´は、図1中の符号(a)〜(d),(b)´〜(d)´に対応する。
制御パケットが多重部11に到着した際に多重部11がアイドル状態である場合(多重待ち合わせがない場合)、制御パケットはそのまま多重化されて出力される。制御フレームが多重部34を出力されてからTS挿入部35から出力されるまでの時間はTda1とし、制御フレームがTS挿入部35を出力されてから符号化部39を出力されるまでの遅延時間をTdb1とする。
一方、多重待ち合わせがある場合、この制御パケットは送出中のデータパケットが送出されるまで待たされた後、このデータパケットの後に、出力されることになる。多重部11を出力されたデータパケットの後には、フロー制御部30によってFEC符号領域分の長さのダミーPADが付加され、その後に制御パケットが多重部11から出力される。この場合も、制御フレームが多重部34を出力されてからTS挿入部35を出力されるまでの処理遅延時間は、多重待ち合わせがない場合の処理遅延時間と同じく、Tda1となる。
また、データパケットの後にFEC符号領域分のダミーPAD領域が確保されているため、符号化部39においては、従来技術のように、新たに冗長符号領域を追加する必要がなくなり、予め付加されていたダミーPAD領域に対し作成したFEC符号を上書きするだけであるので、遅延時間の増加は発生しない。従って、この場合も、制御フレームがTS挿入部35を出力されてからFEC符号化部36を出力されるまでの遅延時間は、多重待ち合わせがない場合の処理遅延時間と同じく、Tdb1となる。このように、多重部34における待ち合わせの有無に関係なく、制御パケットのTS挿入からFEC符号化部36を出力されるまでの遅延時間は一定となる。
このように実施の形態3によれば、親装置におけるフロー制御部がデータパケットにダミーPAD領域を付加することにより、FEC符号領域を考慮したパケット出力レート制御を行うようにしているので、多重部34において制御パケットの多重待ち合わせが発生した場合でもFEC符号化部36において制御パケットの処理遅延が発生することがなくなり、これにより多重部34でのパケット待ち合わせの有無に関係なく、制御パケットの転送遅延時間の変動を抑えることができる。したがって、制御フレームが常に一定の転送遅延をもって出力されるようになり、親装置と子装置との間で時刻情報の同期が確実に確立できるようになり、親装置と子装置との間で、通信リンクの切断による中断のない適正かつ安定な通信をなし得るようになる。
また、実施の形態3では、フロー制御部30で、各パケットの後ろにダミーデータを追加しているので、後段装置のデータパケットのスループットが減少されるが、FEC符号化部36ではFEC符号化部36が輻輳状態になった場合、バックプレッシャー信号をフロー制御部30に出力し、フロー制御部30がデータの出力レートを低下させる動作を行うようにしているので、FEC符号化部36での輻輳状態を確実に防止することができる。さらに、実施形態3では、PON制御部に速度調整機能やPause挿入機能を追加する必要がないため、現状のIEEE Draft P802.3ahにて規定されるPON制御用ICを使用することが可能であり、装置の開発ボリュームを抑えることが可能となる効果がある。
実施の形態4.
つぎに、図12,図13を用いてこの発明の実施の形態4について説明する。図12は実施の形態4の親装置の構成を示すものである。実施の形態3においては、パケット識別部37が、パケットのTYPEコードを基に制御パケットおよびOAMパケットを認識しているが、実施の形態4においては、制御パケットおよびOAMパケットをデータパケットに対し識別できる特別な識別子を制御パケットおよびOAMパケットに付与する識別子付与部40を追加するようにしている。その他の各部の構成、動作は実施の形態3と同じであり、重複する説明は省略する。
図12において、識別子付与部40は、多重部34から出力される各パケットのうち制御パケットおよびOAMパケットを他のパケットから識別できる特別な識別子を制御パケットおよびOAMパケットに付与する。FEC符号化部36のパケット識別部37はその識別子を検出して、制御パケットおよびOAMパケットをデータパケットと識別する。
図13は識別子付与部40にて付与される識別子のパケット内の収容場所の一例を示すものである。識別子付与部は40は、図13に示すように、各パケットの先頭にあるプリアンブル領域の未使用部分であるリザーブ部(RES部)内の特定ビットに対して、制御パケットまたはOAMパケットならば1を、データパケットならば0を書き込む。パケット識別部37はこのビットを検査して1か0かを見れば、制御パケットおよびOAMパケットをデータパケットと識別することができる。
プリアンブル部分にはLLIDという領域があり、これは親装置と子装置間でPON制御を行う際のリンク識別子となる。PONでは下りデータは同報形式となるため、情報漏洩防止に暗号化がなされることが多いが、プリアンブルはリンク識別のために暗号化されない。従ってPON制御部33にて暗号化が行われる場合においても、パケット識別部37は制御パケットおよびOAMパケットの認識が可能となる。
このように、実施の形態4によれば、実施の形態3の効果に加え、暗号化環境に適用することができ、セキュリティの向上を図ることが可能となる効果を有する。
実施の形態5.
つぎに、先の図9および図14を用いてこの発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態5では、図9に示す実施の形態3のパケット識別部37に換えて、図14に示す構成のパケット識別部50を用いる。その他の各部の構成、動作は実施の形態3と同じであり、重複する説明は省略する。先の実施の形態3のパケット識別部37では、パケットのTYPEコードを基に制御パケットおよびOAMパケットを認識しているが、図14に示すパケット識別部50では、パケット長を検査することによって制御パケットおよびOAMパケットをデータパケットと識別するようにしている。
このようなパケット長での識別を行うために、次のような手法を用いる。まず、制御パケットは最短パケット長の72バイト、すなわち所定の固定長で使用されるため容易に識別可能である。データパケットが元々は最短パケット長の場合でも、フロー制御部30においてFEC符号領域分のダミーPADが付加されているから、パケット識別部50に入力される時点で制御パケットと同一の長さであることはない。すなわちダミーパッドを含まないデータパケットの長さを制御パケット以上としておけば、ダミーパッドを付加したデータパケットの長さが制御パケットと一致することはない。従って最短パケットの長さである72バイトを検出すれば制御パケットをデータパケットと識別することができる。
また、OAMパケットとデータパケットの区別については、フロー制御部30においてデータパケットにダミーPADを追加する際、そのダミーPADを含めたデータパケットの全長がOAMパケットで使用する長さにならないように長さを制限する。例えばOAMパケットは136バイト長で使用する場合、データパケットはダミーPADを追加して136バイトにならないようにする。OAMパケットが複数の異なる長さとなる場合も、同様にその長さにならないダミーPAD長を選択する。
このように、制御パケットは固定長に設定されるとともに、データパケットに付加するダミーPAD長を、ダミーPADを含めたデータパケットの全長がOAMパケット長と異なるように制御している。すなわち、ダミーパッドを付加したデータパケットの長さが、制御パケット長とも、OAMパケット長とも異なるようにしている。パケット長モニタ51では、パケット識別部50に入力される制御パケット、OAMパケット、データパケットのパケット長を検査する。識別部52は、その検出長に基づいて制御パケット、OAMパケットをデータパケットと区別する。
このように実施の形態5によれば、実施の形態3と同様の効果を有する。さらに、パケット種別の識別にパケットの特定のパターンを使用していないので、暗号化環境に適用することができ、セキュリティの向上を図ることが可能となる。
実施の形態6.
先の実施の形態3では、速度制御部32は、各データパケットの後ろにFEC符号領域に相当する長さのダミーデータとしてのダミーPADを付加して各データパケットを出力し、FEC符号化部36の符号化部39は、パケット識別部37の識別結果に基づき、制御パケットおよびOAMパケットについては、FEC符号領域を新たに付加し、データパケットについては、フロー制御部30にて付加されたダミーPAD部分にFEC符号領域を上書きするようにしている。
これに対し、この実施の形態6では、速度制御部32は、ダミーPADを付加した各データパケット間に、制御パケットおよびOAMパケットのうちのパケット長の長いほうのパケット長(Pa)に、該長いパケット長のパケットに付加するFEC符号領域分の長さ(Pb)を付加した長さ(Pa+Pb)分の空き時間を設けて、各データパケットを送出するようにしている。
これにより、データパケットのスループットは低下するが、符号化部39でのFEC符号の追加の際には、制御パケットおよびOAMパケットの領域と、これら制御パケットおよびOAMパケットのFEC符号領域とは、予め確保されていることになる。従って、符号化部39で制御パケットおよびOAMパケットを符号化する際に、実施の形態3では必要となった後続パケットの待ち合わせ用バッファと、輻輳発生時にフロー制御部に対してバックプレッシャー信号を出力するための制御回路は不要となり、回路規模および制御が簡単になると言う効果がある。
以上のように、本発明にかかる通信装置は、PONシステムに用いて有用である。
この発明の実施の形態1について送信装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1について受信装置の構成を示すブロック図である。 図1の送信装置における速度調整部の内部構成を示すブロック図である。 実施の形態1でのパケットの各部の状態変化を多重待ち合わせがあるとき及びないときについて示すタイムチャートである。 この発明の実施の形態2について親装置および子装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態2の親装置において多重待ち合わせがあるときのパケット配列を示す図である。 実施の形態2の親装置において、多重待ち合わせがないときのパケット配列を示す図である。 実施の形態2でのパケットの各部の状態変化を多重待ち合わせがあるとき及びないときについて示すタイムチャートである。 実施の形態2の親装置の変形例を示す図である。 この発明の実施の形態3について、親装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態3の親装置において、多重待ち合わせがあるときのパケット配列を示す図である。 実施の形態3の親装置において、多重待ち合わせがないときのパケット配列を示す図である。 実施の形態3でのパケットの各部の状態変化を多重待ち合わせがあるとき及びないときについて示すタイムチャートである。 この発明の実施の形態4について親装置の構成を示すブロック図である。 識別子を付与するためのパケット内の収容場所を説明する図である。 この発明の実施の形態5に用いられる親装置内のパケット識別部の構成を示すブロック図である。 従来技術を示す図である。 従来技術において多重待ち合わせがあるときのパケット配列を示す図である。 従来技術において多重待ち合わせがないときのパケット配列を示す図である。 従来技術でのパケットの各部の状態変化を多重待ち合わせがあるとき及びないときについて示すタイムチャートである。
符号の説明
1,11,34 多重部
2,12,35 TS挿入部
3,13 冗長符号付加部
4,14,32 速度調整部
5 冗長符号除去部
6,23 分離部
7,24 TS抽出部
8 パケット長モニタ
9 読み出し制御部
13,36 FEC符号化部
15,30 フロー制御部
16,22,33 PON制御部
17 ポーズ挿入部
21 FEC復号化部
31,38 バッファ
37 パケット識別部
39 符号化部
40 識別子付与部
50 パケット識別部
51 パケット長モニタ
52 識別部。

Claims (11)

  1. 制御パケットをデータパケットに時分割多重して出力する多重部と、多重部から出力される制御パケットに時刻情報を挿入する時刻情報挿入部と、多重部から出力されるデータパケットおよび時刻情報が挿入された制御パケットに冗長符号を付加して出力する冗長符号化部とを備える通信装置において、
    前記多重部からデータパケットまたは制御パケットを出力する際、当該パケットに対し前記冗長符号化部で付加される冗長符号領域分の空き時間を当該パケットの後ろに付加する速度調整を行う速度調整部を備え、
    前記冗長符号化部は、各パケットの後ろに形成された空き時間に冗長符号を挿入することを特徴とする通信装置。
  2. 前記速度調整部は、多重部において輻輳状態を検出すると、検出信号を出力する手段を有し、
    更に、前記検出信号を受信すると多重部へのデータパケットの送出を停止させるための制御を実行するフロー制御部を前記多重部の前段に備えることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  3. 制御パケットをデータパケットに時分割多重して出力する多重部と、多重部から出力される制御パケットに時刻情報を挿入する時刻情報挿入部と、多重部から出力されるデータパケットおよび時刻情報が挿入された制御パケットに冗長符号を付加して出力する冗長符号化部とを備える通信装置において、
    入力された各データパケットの後ろに前記冗長符号化部で付加される冗長符号領域分のダミーデータを付加して前記多重部に出力する速度調整を行う速度調整部を前記多重部の前段に設け、
    前記冗長符号化部は、
    上記制御パケットと前記データパケットとを識別するパケット識別手段と、
    前記パケット識別手段の識別結果に基づき、前記データパケットの後ろに付加されたダミーデータ領域に冗長符号を上書きするとともに、前記時刻情報が挿入された制御パケットの後ろに冗長符号を付加する符号化部と、
    を備えることを特徴とする通信装置。
  4. 上記冗長符号化部は、自装置内での輻輳状態を検出すると、検出信号を出力する手段を有し、
    前記速度調整部は、前記検出信号を受信すると多重部へのデータパケットの送出を停止させるための制御を実行するフロー制御機能を有することを特徴とする請求項に記載の通信装置。
  5. 前記速度調整部は、各データパケット間に、制御パケットおよび該制御パケットに付加される冗長符号領域分の空き時間を少なくとも設けるようにして、データパケットを前記多重部に出力することを特徴とする請求項3または4に記載の通信装置。
  6. 前記速度調整部は、上記ダミーデータを付加した状態のデータパケットに対して、フレームチェックシーケンス符号を計算して付加することを特徴とするとする請求項3〜5の何れか一つに記載の通信装置。
  7. 前記多重部から出力される制御パケットに、制御パケットを識別させる識別情報を付加する識別子付加部を備え、
    前記パケット識別手段は、該識別情報を検出することにより制御パケットとデータパケットとを識別することを特徴とする請求項3〜6の何れか一つに記載の通信装置。
  8. 前記パケット識別手段は、各パケットのパケット長を検査し、その結果に基づいて制御パケットとデータパケットとを識別することを特徴とする請求項3〜6の何れか一つに記載の通信装置。
  9. 制御パケットとして、時刻情報が挿入される第1の制御パケットおよび保守運用情報を収容した第2の制御パケットが多重部に入力され、ダミーデータを含まないデータパケットの長さを第1の制御パケット以上とするとともに、
    前記速度調整部は、ダミーデータを付加したデータパケットの長さが、前記第2の制御パケットの長さと異なるようにダミーデータ長を決定することを特徴とする請求項に記載の通信装置。
  10. データパケットまたは制御パケットを時分割多重して出力する際、当該パケットに対しその後付加される冗長符号領域分の空き時間を当該パケットの後ろに付加して、制御パケットをデータパケットに時分割多重して出力する第1ステップと、
    時分割多重された制御パケットに時刻情報を挿入する第2ステップと、
    各パケットの後ろに形成された空き時間に冗長符号を挿入することにより前記時分割多重されたデータパケットおよび時刻情報が挿入された制御パケットに冗長符号を付加して出力する第3ステップと、
    を備えることを特徴とするパケット通信方法。
  11. 入力された各データパケットの後ろにその後付加される冗長符号領域分のダミーデータを付加して出力する速度調整制御を行う第1ステップと、
    前記ダミーデータが付加されたデータパケットに制御パケットを時分割多重して出力する第2ステップと、
    時分割多重された制御パケットに時刻情報を挿入する第3ステップと、
    制御パケットと前記データパケットとを識別し、該識別結果に基づき、前記データパケットの後ろに付加されたダミーデータ領域に冗長符号を上書きするとともに、前記時刻情報が挿入された制御パケットの後ろに冗長符号を付加して出力する第4ステップと、
    を備えることを特徴とするパケット通信方法。
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