JP4488567B2 - 殺虫剤組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、殺虫剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、種々の殺虫剤が開発されてきたが、十分な速効性及び致死効力を兼備したものはなかった。フタルスリン及びイミプロスリンは、ピレスロイド系化合物の中でも特に速効性に優れたものであるが、反面、致死効力が十分とは言えず、他の致死効力の高い化合物を組み合わせることが必要であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、速効性ならびに高い致死効力を兼ね備えた殺虫剤組成物を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、本発明者らは、鋭意検討の結果、有効成分として一般式I
【化2】
(式中、Rは式IVを表す。ここに、R 3は水素原子又はメチル基を表し、R4はメチル基又はエチル基を表す。)で表されるピレスロイド系化合物と、フタルスリン及びイミプロスリンの少なくとも一方を、3:7〜9:1の重量比で含有することを特徴とする殺虫剤組成物(以下、本発明組成物と記す)が優れた速効性ならびに致死効力を有することを見いだし、本発明に至った。
【0005】
一般式Iで表される化合物は公知であるが、フタルスリン及びイミプロスリンの少なくとも一方とを特定の比率で組み合わせた本発明組成物が高い相乗効果を奏することは全く知られていない。なお、一般式Iで表される化合物にはシクロプロパンカルボン酸部分の立体構造に基づく光学異性体、あるいは幾何異性体が存在するが、これらの任意の組み合わせも全て本発明に含まれる。
【0006】
一般式Iで表されるピレスロイド系殺虫成分(化合物)の代表例を示せば以下のとおりであるがこれらに限定されるものではない。
▲1▼化合物1
4−メトキシメチルベンジル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート
【化3】
▲2▼化合物2
4−メトキシメチルベンジル 2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート
【化4】
▲3▼化合物3
4−メトキシメチルベンジル 2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボキシレート
【化5】
▲4▼化合物4
4−メトキシメチルベンジル 2,2−ジメチル−3−(2,2−ジフルオロビニル)シクロプロパンカルボキシレート
【化6】
▲5▼化合物5
4−メトキシメチルベンジル 2,2−ジメチル−3−(3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート
【化7】
▲6▼化合物6
4−メトキシメチルベンジル 2,2−ジメチル−3−(3−エトキシ−3−オキソ−2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート
【化8】
【0007】
【発明の実施の形態】
一般式Iで表されるピレスロイド系殺虫成分ならびにフタルスリン、イミプロスリンは、常温で固体又は液体で、有機溶媒に一般に易溶であり、従って本発明組成物は種々の剤型の殺虫剤に適用できる。本発明組成物の施用量、施用濃度は、製剤の種類、施用時期、施用場所、施用方法、害虫の種類等の状況によって異なり、該状況に応じて施用量、施用濃度の適量を選択すればよいが、有効な相乗効果を奏する一般式Iで表されるピレスロイド系殺虫成分とフタルスリン、イミプロスリンの少なくとも一方との混合割合は、重量比で3:7〜9:1の範囲である。
【0008】
本発明組成物は、乳剤、油剤、粉剤、水和剤、フロアブル剤、エアゾール剤等の種々の製剤で用いることができ、これらの製剤には本発明組成物が有効成分として、重量比で通常0.001〜95%含有される。
【0009】
なお、本発明組成物に、一般式Iあるいはフタルスリン、イミプロスリン以外のピレスロイド系殺虫成分や、例えばフェニトロチオン、DDVP、ダイアジノン、プロパホス等の有機リン剤、NAC、MTMC、BPMC等のカーバメート剤、シラフルオフェン、カルタップ、フィプロニル等の殺虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤、防黴剤、防臭剤等のその他の成分を混合して効果の優れた多目的組成物を得ることができる。
また、本発明組成物に、N−オクチルビシクロヘプテンジカルボキシイミド(商品名:MGK−264)、サイネピリン500,オクタクロロジプロピルエーテル、ピペロニルブトキサイドなどのピレスロイド用共力剤を加えることによってその殺虫効果を一層高めることができる。
【0010】
更に本発明組成物には必要に応じて、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、ジブチルハイドロキノン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、オクタデシル 3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、リン系抗酸化剤、イオウ系抗酸化剤、ヒンダートアミン系光安定剤などの安定剤を加え、本発明組成物の安定性を向上させることもできる。
【0011】
本発明組成物は、これを固体担体、液体担体、ガス状担体、餌等と混合するか、必要により界面活性剤やその他の製剤用補助剤を添加して、乳剤、油剤、水和剤、エアゾール剤、フロアブル剤、粒剤、粉剤、煙霧剤、マイクロカプセル剤、毒餌剤等に製剤して使用することができる。
【0012】
かかる製剤化の際に用いられる固体担体としては、たとえば粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト等)、タルク類、セラミック、その他の無機鉱物(活性炭、炭酸カルシウム等)等の微粉末あるいは粒状物などがあげられ、液体担体としては、たとえば水、アルコール類(エタノール、イソプロピルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素類(キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(ノルマルパラフィン、イソパラフィン等)、エステル類(ミリスチン酸イソプロピル、酢酸ブチル等)等があげられ、ガス状担体、すなわち噴射剤としては、例えばLPG(液化石油ガス)、ジメチルエーテル、フロンガス、窒素ガス、炭酸ガス等があげられる。
【0013】
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類、多価アルコールエステル類、糖アルコール誘導体等があげられる。また、固着剤や分散剤等の製剤用補助剤としては、たとえばカゼイン、ゼラチン、セルロース誘導体、アルギン酸塩、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)を例示することができる。
【0014】
こうして得られた製剤は、エアゾール剤、油剤、、毒餌などについては希釈することなくそのままで、一方、乳剤、水和剤、フロアブル剤等は通常水で希釈して施用する。
【0015】
本発明組成物は、衛生害虫、木材害虫、衣料害虫、食品害虫等、各種の害虫及びダニ類に対し有効である。例示すれば、イガ、コイガ、ノシメコクガ等の鱗翅目害虫、イエカ類、ハマダラカ類、ヤブカ類、イエバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類等の双翅目害虫、コクゾウムシ、アズキゾウムシ、コクヌストモドキ、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、シバンムシ類、ヒラタキクイムシ類、アオバアリガタハネカクシ等の鞘翅目害虫、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ等の網翅目害虫、アリ類、アリガタバチ類等の膜翅目害虫、ヒトノミ等の隠翅目害虫、ヒトジラミ、ケジラミ等のシラミ目害虫、ヤマトシロアリ、イエシロアリ等の等翅目害虫、コナダニ類、チリダニ類、ツメダニ類等の屋内塵性ダニ類、マダニ類、イエダニ類等のダニ類があげられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を製剤例および試験例にてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
【0017】
製剤例1
4−メトキシメチルベンジル 2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物2)と、フタルスリンとを1:1で混合してなる本発明組成物0.2部にケロシンを加え全体を100部として0.2%油剤を得た。
【0018】
製剤例2
4−メトキシメチルベンジル 2,2−ジメチル−3−(2、2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物3)と、イミプロスリンとを3:7で混合してなる本発明組成物20部に、ソルポールSM−200(東邦化学登録商品名)10部、キシロール70部を加え、撹拌混合溶解して20%乳剤を得た。
【0019】
製剤例3
4−メトキシメチルベンジル 2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物2)と、フタルスリンとを1:1で混合してなる本発明組成物0.3部とクレー99.7部をよく粉砕混合して0.3%粉剤を得た。
【0020】
製剤例4
4−メトキシメチルベンジル 2,2−ジメチル−3−(3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物5)と、イミプロスリンとを2:3で混合してなる本発明組成物0.2部を精製灯油29.8部に溶解してエアゾール容器に充填し、バルブ部分を取り付けた後、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)70部を加圧充填してエアゾール剤を得た。
【0021】
試験例1
表1に示す各供試薬液をアセトンで所定濃度に希釈し、微量滴下法によりピレスロイド剤に対して感受性のCSMA系イエバエに対する殺虫活性(LD50値)を求めた。試験結果を表1に示す。
【表1】
【0022】
試験の結果、一般式Iの化合物とフタルスリン、イミプロスリンの少なくとも一方とを3:7〜9:1の重量比で混合した本発明組成物は、単剤に比べ、高い相乗効果を示した。
【0023】
試験例2
製剤例4に準じ、有効成分として0.2%を含有する各種エアゾール剤を調製した。2m立方のガラスチャンバーに前述のCSMA系イエバエ雌成虫25匹を放った後、供試エアゾール剤を5秒間噴霧し、時間の経過に伴う仰転虫数を記録した。10分後にポリエチレン製容器に移し、3%砂糖水を餌として与えて26±2℃の恒温室に保存し、24時間後の致死率を調べた。試験は3回繰り返し行い、KT50値から相対効力比を求めた。結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
試験の結果、本発明組成物を含むエアゾール剤は、相乗効果により速効性、致死効力ともに非常に優れ、市販品に比べてより実用的であった。
【0026】
【発明の効果】
本発明組成物を用いることにより、各種の害虫およびダニ類を効果的に防除することができる。
Claims (1)
- 有効成分として、一般式I
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