以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明のインクジェット式記録装置の実施の形態に係るインクジェット式プリンタの構成例を示す斜視図である。図1に示すインクジェット式プリンタ200は、例えばJIS規格のA0判やJIS規格のB0判といった比較的大型のサイズの印刷用紙(ロール紙R)にまで印刷できる大型のインクジェット式プリンタである。そして、給紙部210、印刷部220、排紙部230が、プリンタ本体250の上部側から脚部240の下部側に向かって配設されている。
給紙部210は、印刷前のロール紙Rがセット可能なロール紙ホルダ211を備えている。このロール紙ホルダ211は、ロール紙を保持するスピンドル212と、スピンドル212の着脱及び懸架が可能な一対のスピンドル受け213、214を備えており、プリンタ本体250の上部に配設されている2本の支持柱215間に配設されている。スピンドル212は、中央にロール紙Rが装着された後、両端がスピンドル受け213、214に装着され、回転可能に軸支持されるようになっている。
排紙部230は、印刷後のロール紙Rを巻取可能な巻取ホルダ231を備えている。この巻取ホルダ231は、印刷が完了したロール紙Rを巻き取るスピンドル232と、スピンドル232の着脱及び懸架が可能な一対のスピンドル受け233、234を備えており、脚部240を構成する移動用のコロ241を有する2本の支持柱242間に配設されている。スピンドル232は、両端がスピンドル受け233、234に装着され、図示しない駆動手段により回転可能に軸支持されるようになっている。
印刷部220は、プリンタ本体250内に格納され、プリンタ本体250の上面及び前面に取り付けられている上蓋220a及び前蓋220bにより覆われており、詳細は図2を参照して説明する。図2は、図1に示すインクジェット式プリンタ200の一部断面側面図である。給紙部210から印刷部220を経て排紙部230へ向かう用紙搬送経路は、インクジェット式プリンタ200の上部後面側から下部前面側にかけて傾斜して設けられている。
この用紙搬送経路上には、給紙部210側から順に、給紙ガイド221、対向配置された接触・離間可能な給紙ローラ222及び従動ローラ223、キャリッジ1に搭載された複数のインクジェット式の記録ヘッド6及びこの記録ヘッド6と対向配置された印刷ステージ224、排紙ガイド225及びこの排紙ガイド225と対向配置された排紙ローラ226が配設されている。
給紙ガイド221、印刷ステージ224、排紙ガイド225は、用紙搬送面として作用し、それぞれ平坦に形成されている。したがって、給紙ガイド221から印刷ステージ224を介して排紙ガイド225に至るロール紙Rは、平坦なまま搬送されることになる。
ここで、図3は、印刷部220の上面図、図4は、キャリッジ1周りを示す平面図、図5は、図4のA−A線断面側面図である。図3に示すように、キャリッジ1は、キャリッジモータ2によって駆動されるタイミングベルト3を介し、走査ガイド部材4に案内されて印刷ステージ224の長手方向、すなわち記録用紙の幅方向である主走査方向に往復移動されるようになっている。
図3〜図5に示すように、このキャリッジ1には、記録ヘッド6(図3には図示せず)と記録ヘッド6にインクを供給するためのサブタンク7とを有するヘッドユニット10が、主走査方向及び副走査方向に4個×4個(一部5個)配列されている。なお、ヘッドユニット10の配列数は4個×4個(一部5個)に特に限定されるものではなく、任意の配列数でよい。図1に示すように、装置本体の端部に配置されたカートリッジホルダ8には、サブタンク7にインクを補給するためのメインタンク9が装填されている。
図4及び図5に示すように、各記録ヘッド6は、キャリッジ1の紙送り部材5に対向する面側に搭載され、各サブタンク7は、対応する各記録ヘッド6の上部のキャリッジ1上に搭載されている。この例では、キャリッジ1上のスペースに対しサブタンク7の数が多いため、各サブタンク7はキャリッジ1上に配設された2段のプレート1a、1b上に分けて搭載されている。なお、プレート1a、1bは2段に限定されるものではなく、サブタンク7の数によって1段あるいは3段以上のプレートを配設して対応することができる。また、サブタンク7とヘッドユニット10を一体とし、キャリッジ1上に固定してもよい。これにより、交換メンテナンス性が更に容易となる。
そして、各サブタンク7には、各サブタンク7を図示矢印a方向、すなわち高さ方向に移動させるアクチュエータ17が配設されている。このアクチュエータ17は、サブタンク7内のインク面と記録ヘッド6のノズル形成面との水頭差によって生じる水頭圧を調整し、記録ヘッド6のインク吐出重量を調整するために配設されている。アクチュエータ17としては、例えばモータを有するボールネジ・ナット、エアシリンダ、油圧シリンダ等で構成されている。また、水頭差の調整手段としてインク液面を調整するホール素子を用いたセンサも使用することができる。
このアクチュエータ17による調整を印刷中に行うことにより、特に記録用紙の上下端における印刷処理の際にノズルからの吐出インク量の均一化を図ることができ、印刷精度をさらに高めることができる。また、アクチュエータ17による微調整をサブタンク7をキャリッジ1に組み込む際に行うことにより、初期段階においてノズルからの吐出インク量の均一化をある程度図ることができるので、その後のサブタンク7の位置の調整幅を広くすることができ、印刷中のサブタンク位置による動圧調整を広範囲にわたり安定して行うことができる。また、本実施形態では、アクチュエータ17はサブタンク7に1つ備える構成であるが、各色を構成するサブタンクの数分だけ備えるようにしてもよい。これにより、各色毎でサブタンクのインク面に合わせた高さ調整が行えるため、更に印刷品質を向上することができる。
ここで、記録ヘッド6の動圧はヘッド毎に異なるため、図6に示すように、水頭差h−インク吐出重量Iwの傾きも記録ヘッド6の駆動波形適正電圧VHにより製造時に決定されるヘッドIDによって異なってくる。この駆動波形適正電圧VHとは、ベタ、すなわちフルデューティー印字時にインク重量が最適となる電圧のことである。よって、A領域、B領域、C領域の記録ヘッド6を選別して使用し、かつ水頭差hの調整値を選択してサブタンク7の位置を調整するようにする。これにより、記録ヘッド6毎の特性を揃えることができるので、記録ヘッド6の特性ばらつきが大きくてもキャリッジ1に組み込むための記録ヘッド6を選択することができ、またヘッドドライバを共通化することができ、大幅なコストダウンを図ることができる。
また、駆動波形適正電圧VHが最も低い記録ヘッド6、つまり同一電圧でインクが良く出る記録ヘッド6を基準にすると、他の記録ヘッド6は同電圧でインクの吐出量が少ないため、水頭差hは基準位置から上げる方向で調整する必要がある。ノズル位置とサブタンク7のインク面高さに関しては、ノズル位置の方が高くなければインクが垂れてしまう。よって、サブタンク7を上げる高さには制限がある。それに対し、例えば図7に示すように、駆動波形適正電圧VHが最も高い記録ヘッド6、つまり同一電圧でインクが余り出ない記録ヘッドaを基準にすると、水頭差hは基準位置から下げる方向で調整すればよい。適正電圧の低い記録ヘッドbの方がサブタンク7の高さを変えた場合の動圧変化が大きいため、少ないサブタンク7の調整で済む。また、調整はサブタンク7を下げることで行うため、調整によってノズルよりインクが垂れることがない。印刷時の調整に関してもサブタンク7を下げることで行うため同様である。
特に記録用紙における上下端処理を行う際に使用するノズル数は、通常時に使用するノズル数と比較すると少ないため流路の動圧が減少し、インク吐出重量も約5%〜7%増加するので、ノズル数に応じて水頭調整値Hが予め記されたテーブルを用意しておくことにより、そのテーブルを参照してサブタンク7の位置を調整することが可能となる。
なお、サブタンク7内のインク面と記録ヘッド6のノズル形成面との水頭差を調整する手段としてアクチュエータ17を備えたが、これに限定されるものではなく、サブタンク7に長穴を設けておき、サブタンク7を高さを決めてからキャリッジ1に対してネジ止めするようにしてもよい。また、後述するサブタンク7に備えられているホール素子33a、33b(図9参照)の位置を変化させる手段を設けるようにしてもよい。
図8は、記録ヘッド6の詳細を示す断面図である。図8に示すように、記録ヘッド6は、流路ユニット161と圧電振動ユニット162を有している。流路ユニット161は、ノズル開口163aがノズル列として複数形成されたノズルプレート163と、ノズル開口163aに連通する圧力発生室164a及びこれにインク供給口164bを介してインクを供給するリザーバ164cを備えた流路形成基板164と、圧電振動ユニット162の縦振動モードの各圧電振動子162aの先端に当接して圧力発生室164aの容積を膨張、縮小させる弾性板165とを一体に積層して構成されている。
また、圧電振動ユニット162は、外部からの駆動信号を伝達するフレキシブルケーブル166に接続された上で、高分子材料の射出成形等により形成されたホルダー167の収容室167aに収容され接着剤により固定され、さらにホルダー167と流路ユニット161とが接着剤により固定されている。ホルダー167には、図示しない外部のインクタンクに連通するインク誘導路167bが形成されていて、その先端が流路ユニット161のインク導入口167cに接続され、サブタンク7からのインクが流路ユニット161に供給される。そして、一体化されたホルダー167と流路ユニット161のノズルプレート163側には、シールド材を兼ねる枠体(フレーム)168が挿入され、記録ヘッド6として構成されている。
圧電振動ユニット162を構成する縦振動モードの各圧電振動子162aは、例えば、図示はしないが、一方の極となる電極と他方の極となる電極とを圧電材料を介してサンドイッチ状に積層し、一方の電極を先端側に、また、他方の電極を後端側に露出させて、各端面でセグメント電極および共通電極に接続した圧電定数d31のものとして構成され、圧力発生室164aの配列ピッチに一致させて固定基板169に固定されて圧電振動ユニット162に纏められている。
圧電振動ユニット162の各圧電振動子162aの図示しないセグメント電極、共通電極は、それぞれ半田層を介してフレキシブルケーブル166の駆動信号伝送用の導電パターンに接続されている。この駆動信号は、共通信号が各記録ヘッド6毎に供給されるようになっており、これにより各記録ヘッド6毎のインク滴の着弾位置ずれの調整を独立して行えるようになる。
この例でのインクジェット式プリンタ200は、ブラック、イエロー、マゼンタ、ライトマゼンタ、シアン及びライトシアンの6色のインクを使用する機種であるため、図5の拡大平面図に示すように、記録ヘッド6は、1つのヘッドにつき2列のノズル列6nが形成されたものを3つ組み合わせた2列×3ヘッド6ab、6cd、6efの構成となっている。
なお、2列×3ヘッド6ab、6cd、6efの記録ヘッド6に限定されるものではなく、任意の数のノズル列数及びヘッド数の記録ヘッドで対応することができる。図3に示すように、サブタンク7及びメインタンク9は、内部において上記6色のインクを一時的に貯留するために、各インクに対応した6つのタンク7a〜7f、9a〜9fを備えた構成となっている。
そして、図3及び図5に示すように、各記録ヘッド6と各サブタンク7a〜7fとはインク供給チューブ11により接続され、図3に示すように、各サブタンク7a〜7fと各メインタンク9a〜9fとはインク補給チューブ12により接続されている。これにより、各メインタンク9a〜9f内の6色のインクは、インク補給チューブ12を介して各サブタンク7a〜7fに補給され、各サブタンク7a〜7f内の6色のインクは、インク供給チューブ11を介して各記録ヘッド6に供給されるようになっている。
このように、ヘッドユニット10を作り込む時点で1ヘッドユニット内にカラー印刷に用いられる全色、すなわち上記6色が含まれていることになるので、1ヘッドユニット内では記録ヘッド6とサブタンク7との位置決めが確実に行われていることを前提として良く、各ヘッドユニット10毎に位置決め調整するのみで済むようになる。
なお、カラー印刷に用いられる全色は、上記6色に限定されるものではなく、例えばブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色あるいはブラック、ダークイエロー、イエロー、マゼンタ、ライトマゼンタ、シアン及びライトシアンやブラック、ライトブラック、イエロー、マゼンタ、ライトマゼンタ、シアン及びライトシアンの7色にも適応可能である。
以上のように、キャリッジ1上には多数の記録ヘッド6及びサブタンク7を有するヘッドユニット10が配列されることになるので、大型サイズの記録媒体に対するスループットを向上させることができる。また、各ヘッドユニット10は独立しているため、各記録ヘッド6の特性がある程度揃ったものを選別してキャリッジ1上に装着することができ、さらに、各記録ヘッド6の特性に違いがあっても、各サブタンク7との水頭差を調整することにより各記録ヘッド6の特性を揃えることができるため、均一な記録画質を得ることができる。また、記録ヘッド6の特性が低下した場合、所定の特性を有する記録ヘッド6を有するヘッドユニット10と簡単に交換することができるので、メンテナンス作業が容易となり、また、記録精度を高精度な状態で維持し続けることができる。
図3に示すように、キャリッジ1の移動経路上における非印字領域(ホームポジション)には、キャップユニット15が配設されている。このキャップユニット15には、各記録ヘッド6のノズル形成面を封止し得るゴム等の可撓性素材により形成されたキャップ部材15aが、各記録ヘッド6のヘッド6ab、6cd、6efの配列に対応して複数個(この例では3個×4個×4個)配列されている。これにより、キャリッジ1がホームポジションに移動したときに、これに追従動作するキャップユニット15上の各キャップ部材15aによって、各記録ヘッド6のノズル形成面を封止し、インクジェット式プリンタ200の休止期間中において各記録ヘッド6のノズル開口の乾燥を防止することができるようになっている。
なお、1ヘッド1キャップに限定されるものではなく、例えば3ヘッド1キャップの構成でもよい。この例では、各ヘッド6ab、6cd、6efは2色の組になっており、定期フラッシング時には各キャップ部材15a内で2色のインクが混合することになるので、1色時に発生するような固化を防止することができる。
図3に示すように、キャップユニット15に隣接した印字領域側には、ゴムなどの弾性素材により形成され、図示矢印Sで示す副走査方向に駆動ストロークを有するワイパユニット16が配設されている。これにより、複数の記録ヘッド6のノズル形成面を選択的に効率良く払拭して清掃することができるようになっている。
また、ワイパユニット16のインクジェット式プリンタ200に対する占有スペースを小さくすることができるので、インクジェット式プリンタ200の大型化によるコストアップを抑制することができる。なお、ワイパユニット16は移動領域内の複数の記録ヘッド6の払拭を兼用する構成としたが、これに限定されるものではなく、各ヘッド6ab、6cd、6ef毎あるいは各記録ヘッド6毎の払拭用として構成してもよい。
図9は、図1のインクジェット式プリンタ200に搭載されたインク供給システムを模式的に示す図である。なお、図9では、便宜上、1色分の構成を示している。図9に示すように、加圧ポンプ21により生成された加圧空気は圧力調整弁22に供給され、圧力調整弁22により圧力調整された加圧空気は圧力検出器23を介してメインタンク9に供給される。
ここで、メインタンク9は、その外郭が気密状態に形成されており、その内部にはインクを封入した可撓性素材により形成されたインクパック24が収納されている。そして、メインタンク9の外郭とインクパック24とで形成される空間が圧力室25を構成しており、この圧力室25内に圧力検出器23を介した加圧空気が供給されるようになっている。
これにより、メインタンク9に収納されたインクパック24は、加圧空気による加圧を受け、メインタンク9からサブタンク7に対してインク流が発生されるように作用する。したがって、メインタンク9において加圧されたインクは、インク補給バルブ26及び各インク補給チューブ12を介して、キャリッジ1に搭載されたサブタンク7に補給される。
ここで、サブタンク7は、内部にフロート部材31が配置されており、そのフロート部材31の一部には永久磁石32が取り付けられている。そして、ホール素子に代表される磁電変換素子33a、33bが基板34に装着されて、サブタンク7の側壁に添接されている。これにより、サブタンク7内のインク量に応じたフロート部材31の浮上位置にしたがって、永久磁石32による磁力線がホール素子33a、33bに作用する。
したがって、このホール素子33a、33bの電気的出力によりサブタンク7内のインク量を検出することができる。例えばサブタンク7内のインク量が少なくなった場合には、サブタンク7内に収納されたフロート部材31の位置が重力方向に移動し、これに伴い永久磁石32の位置も重力方向に移動する。したがって、永久磁石32の移動によるホール素子33a、33bの電気的出力によって、インク補給バルブ26が開弁され、メインタンク9内で加圧されているインクは、インク量が低下したサブタンク7内に送出される。
そして、当該サブタンク7内におけるインク量が十分な量に達した場合には、ホール素子33a、33bの電気的出力に基づいてインク補給バルブ26が閉弁される。このような繰り返しにより、メインタンク9からサブタンク7に対して断続的にインクが補給されるように作用し、各サブタンク7には、常にほぼ一定の範囲のインクが貯留されるようになっている。
このように、メインタンク9内において空気圧によって加圧されたインクが、サブタンク7内に配置されたフロート部材31の位置に基づく電気的な出力に基づいて、サブタンク7に対して補給されるように構成されているので、インクの補給レスポンスを向上させることができ、サブタンク7内のインクの貯留量が適切に管理される。
そして、サブタンク7からは流路開閉手段としてのバルブユニット35及びこれに接続されたインク供給チューブ36を介して記録ヘッド6に対してインクが供給される。そして、記録ヘッド6の図示せぬアクチュエータに与えられる印刷データに基づいて、記録ヘッド6のノズル形成面におけるノズル開口6aからインク滴が吐出される。
ここで、全色分の記録ヘッド6及びサブタンク7は共に一体構成とされており、一体構成の全色分の記録ヘッド6自体はインク供給チューブ36がバルブユニット35近傍に配設されている継ぎ手により分離されてキャリッジ1から取り外し可能な構成とされている。これにより、各記録ヘッド6をキャリッジ1から取り外してメンテナンスを容易に行うことができる。
キャップユニット15には、負圧発生手段である例えばデシケータ等の吸引ポンプ37が複数接続された吸引チューブ37aの一端が接続されている。そして、この吸引チューブ37aにおけるキャップ部材15a側には、第1流路開閉手段であるバルブユニット15Vが接続され、吸引チューブ37aにおける各吸引ポンプ37側には、第2流路開閉手段であるバルブユニット37Vが接続されている。
これにより、吸引ポンプ37による負圧を各記録ヘッド6のヘッド6ab、6cd、6ef毎に作用させ、各記録ヘッド6のヘッド6ab、6cd、6efからインクを吸引して廃液タンク38に排出するクリーニング処理を行うことができる。特に一部のヘッド6ab、6cd、6efに不良ノズルが発生した場合、該当するヘッド6ab、6cd、6efのみに通じるバルブユニット15Vを開けることにより、不良ノズルを確実に、かつ効率良く回復させることができると共に、良好なノズルには負圧が発生しないので、そのノズルに形成されているメニスカスの破壊を防止することができる。また、選択的なクリーニング処理により、無駄なインク消費を防止することができる。
また、複数の吸引ポンプ37を接続しているので、開状態とするバルブユニット37Vを選択することにより、負圧の発生力を適宜変えることができ、例えば微量吸引と大量吸引を即座に切り替えて、きめ細かいクリーニングを行うことができる。さらに、吸引ポンプ37としてデシケータを用いているので、減圧カーブが発生せず、クリーニング時間を短縮させることができる。なお、負圧発生手段としてデシケータのみならずチューブポンプ等を用いてもよい。また、同一の負圧力を発生する負圧発生手段を複数台配設し、あるいは異なる負圧力を発生する負圧発生手段を複数台配設するようにしてもよい。
また、インクジェット式プリンタ200の電源オフ時にバルブユニット15Vを閉じてフラッシングによりキャップ部材15a内をインクで満たしておけば、保湿効果を確保することができ、インクによる目詰まり等を防止することができる。なお、この例では、各ヘッド6ab、6cd、6efは2色の組になっているが、ノズルを例えば千鳥配置として1色毎のヘッド構成とすることにより、クリーニング処理をより効果的に行うことができる。
さらに、図10に示すように、上記吸引ポンプ37が複数接続された吸引チューブ37aの一端には、用紙搬送面に複数穿孔された小孔224aを有する印刷ステージ224が接続されている。そして、この吸引チューブ37aにおける印刷ステージ224側には、第3流路開閉手段であるバルブユニット224Vが接続されている。
これにより、吸引ポンプ37による負圧を印刷ステージ224の小孔224aに発生させ、印刷ステージ224上のロール紙Rを吸引して印刷ステージ224面に吸着することにより、ロール紙Rを平坦な状態に保持することができる。したがって、搬送精度を向上させることができ、印刷をより高精度に行うことができる。
さらに、例えば被印刷物が紙のような空気を通す材質でなく、プラスチックフィルムのような空気を通さない材質である場合、吸引時において印刷ステージ224面に張り付き、搬送障害が生じるおそれがある。このときは、開状態とするバルブユニット37Vを選択することにより、負圧の発生力を適宜変化させることができるので、吸引時の張り付きを防止して、被印刷物の搬送精度を向上させることができる。このように、被印刷物の種類に応じて発生力を変えることで、被印刷物で安定した搬送ができる。また、ポンプ37を共通とし、バルブ37Vとの間にレギュレータを備える構成としてもよい。レギュレータに応じた圧力を選択することができる。ポンプ37を共通とすることにより、省スペース及びローコストとすることができる。
このように、記録ヘッド6からインクを吸引して廃液タンク38に排出するクリーニング処理の際のインクの吸引と、印刷ステージ224上のロール紙Rを吸引して印刷ステージ224面に吸着するロール紙Rの吸引とを1台の吸引ポンプ37でバルブユニット15V、224V、37Vを自動あるいは手動により切り替えて行うことができるので、省スペース化を図ることができるとともに、コストを低減させることができる。
図11〜図13は、サブタンク7の実施の形態を示す図であり、図11は、サブタンク7の一部の構成を割愛し、これを一面方向から見た斜視図、図12は、同方向から見た透視図、図13は、裏面方向から視た背面図である。このサブタンク7は、ほぼ直方体状に形成され、且つ全体が偏平状になされている。このサブタンク7の外郭は、一側壁41aとこれに連なる周側壁41bとが一体に形成された箱状部材41により構成されており、この箱状部材41の開口周縁には、例えば透明樹脂によるフィルム状部材42(図10参照)が熱溶着手段により密着状態で取り付けられ、箱状部材41とフィルム状部材42とにより囲まれた内部に、インク貯留空間43が形成されている。
そして、箱状部材41を構成する一側壁41aからインク貯留空間43に向かって突出する支持軸44が箱状部材41と一体に形成されており、フロート部材31は、この支持軸44を回動中心として、インク貯留空間43内において重力方向に可動できるように配置されている。なお、この実施の形態においては、支持軸44はインク貯留空間43における水平方向の端部近傍に配置されており、フロート部材31は、支持軸44を回動中心として可動される支持腕部材45の可動自由端側に一体に形成されている。
そして、図12に示すように、支持腕部材45の自由端側に、永久磁石32が取り付けられており、この永久磁石32は、支持腕部材45がほぼ水平状態となされた時に、インク貯留空間43における水平方向の他端部近傍に位置するよう、すなわちサブタンク7の側壁に添接された基板34に装着されたホール素子33a、33bに最も接近するように構成されている。
また、ホール素子33a、33bは、サブタンク7の側壁に形成された位置決め凹部41cに挿入されており、この位置決め凹部41cを形成することにより、サブタンク7の側壁部はより薄肉状態とされ、フロート部材31に取り付けられた永久磁石32の移動軌跡と、各ホール素子33a、33bとの距離がより接近できるように構成されている。
一方、サブタンク7には、その重力方向の低部、すなわちこの実施の形態においては周側壁41bの底部にインク補給口46が形成されており、このインク補給口46に接続されたインク補給チューブ12を介してメインタンク9からインク貯留空間43内に、インクが補給されるように構成されている。サブタンク7におけるインク補給口46が、重力方向の低部に形成されることにより、メインタンク9からのインクは、インク貯留空間43の底部から補給され、したがって、インクの補給によってインク貯留空間43内におけるインクの泡立ちが発生しないように配慮されている。
さらに、サブタンク7内には、フロート部材31及び支持腕部材45の移動領域を避けた部分に、キャリッジ1の移動に伴いサブタンク7内のインクの波打ちの発生程度を低減させる複数条のリブ部材47が配置されている。この実施の形態においては、リブ部材47はサブタンク7を構成する箱状部材41の一側壁41aからインク貯留空間43に向かってそれぞれ突出するように、一側壁41aをベースとして一体に形成されているが、これは別体に形成されていてもよい。
このリブ部材47の存在により、サブタンク7内のインクの波打ちの発生程度を低減させることができ、これにより、ホール素子33a、33bによるサブタンク7内のインクの貯留量の検出精度を向上させることができ、サブタンク7内のインク量を常に一定量に維持してサブタンク7内のインク上面と記録ヘッド6のノズル形成面の水頭差を一定にすることができる。なお、例えばA0サイズの用紙に対して記録可能なインク量のみを貯留可能なサブタンクとしておくことにより、上述したようなサブタンク7内のインク貯留量検出手段を備えなくてもよく、製造コストを低減させることができる。
また、サブタンク内7には、インク補給口46に近接してインク導出口48が形成されている。このインク導出口48を覆うように、五角形(ホームベース状)を形成する異物トラップ用のフィルタ部材49が配置されており、したがって、サブタンク7内に貯留されたインクは、このフィルタ部材49を介してインク導出口48に導かれるようになされる。しかも、インク導出口48はインク補給口46に近接して形成されているので、サブタンク7内に導入される比較的新しいインクが、直ちにこの導出口48より導出されるように作用する。
インク導出口48から導出されるインクは、図13に示すように、側壁41aの裏面に形成された溝部50に導出され、この溝部を覆うように熱溶着されたフィルム状部材51により形成されたインク導出路を介してサブタンク7の下底部に配置されたバルブユニット35に至るように構成されている。そして、バルブユニット35を介して、同様に側壁41aの裏面に形成された溝部52に導出され、この溝部52を覆うように熱溶着されたフィルム状部材51により形成されたインク導出路(同じく符号52で示す)を介して記録ヘッド6に接続されるインク供給チューブ36の接続口53に導かれるように構成されている。
一方、サブタンク7の上半部には、図11及び図12に示すように、インク貯留空間43に導通する導通溝61が傾斜状態に形成されており、この導通溝61の上端部、すなわちサブタンク7の重力方向の高部には、サブタンク7の側壁41aの裏面に貢通する大気連通口62が形成されている。この大気連通口62は、図13に示すように、サブタンク7の裏面に配置され、大気を通過させると共にインクの通過を阻止するほぼ矩形状に形成された撥水膜63によって閉塞されている。
この撥水膜63は、サブタンク7の側壁41aにおける裏面に形成された凹所に収納された形で配置されており、側壁41aの上部裏面を覆うように熱溶着されたフィルム部材64によって保持されている。そして、撥水膜63を介して側壁41aの裏面には蛇行溝65が形成されており、この蛇行溝65の端部は、サブタンク7の側壁41aに形成された有底孔66に連通されている。これら蛇行溝65及び有底孔66は、フィルム部材64によって気密状態に覆われており、したがって、蛇行溝65とフィルム部材64とによって、空気流通抵抗路(符号は蛇行溝と同じ65で示す)が形成されている。
そして、有底孔66を覆うフィルム状部材64を、鋭利な工具等で破壊することで、大気開放口62は蛇行状に形成された空気流通抵抗路65を介して大気に連通されるようになされる。このように、サブタンク7に形成された大気連通口62が撥水膜63により覆われた構成とされているので、誤って記録装置全体を例えば上下反転させた場合などにおいて、撥水膜63の存在によりサブタンク7内のインクを漏出させるという問題を回避することができる。
また、空気流通抵抗路65の端部に形成された有底孔66を、予めフィルム部材64によって気密状態に覆った構成とすることで、サブタンク単体の完成時において、サブタンクの液漏れ(インク漏れ)をチェックすることができ、このチェックが完了した時点で、有底孔66を覆うフィルム状部材64を破壊することで、本来の機能をもたせるように構成することができる。なお、サブタンク7には貫通孔67が形成されており、この貢通孔67を貢通してサブタンク7を支持する1本の支持軸(図示せず)によって、各サブタンク7を並列状態に支持し、サブタンクユニットが構成できるようになされている。
図14は、フロート部材31の詳細構成を示す分解斜視図である。図14に示すように、フロート部材31は、一側壁71aとこれに連なる周側壁71bとが一体に形成された箱状部材71と、この箱状部材71の開口部を閉塞して内部を中空状に形成する閉塞部材72とにより構成されている。閉塞部材72としては、透明樹脂により形成されたフィルム状部材が用いられており、フィルム状の閉塞部材72が箱状部材71の開口周縁に対して、例えば熱溶着手段により密着状態に取り付けられ、これにより内部が空洞状態に形成されている。
このように形成されたフロート部材31は、サブタンク7に形成された支持軸44を回動中心として可動される支持腕部材45の可動自由端側に一体に形成されている。そして、支持腕部材45の基端部には支持環73が一体に形成されており、この支持環73が支持軸44に回動可能に装着されることにより、支持軸44を回動中心として支持されるように構成されている。そして、支持腕部材45の自由端側には、永久磁石32が取り付けられており、この永久磁石32は、その表面に貼着されたフィルム状部材74により被覆されて、サブタンク7内に貯留されるインクによる化学的な悪影響が避けられるようになされている。
さらに、フロート部材31及び支持腕部材45の一部には、3か所において、その両外側に水平方向に突出するように位置決めピン75が形成されている。これらの位置決めピン75は、フロート部材31の両側面から1mm以上突出していることが望ましく、これによりフロート部材及び支持腕部材とサブタンク7の内壁との間で少なくとも1mm以上の距離を保持するように作用する。これにより、フロ一ト部材31とサブタンク7の内壁との間でインクの表面張力が働いて、フロート部材31の移動を阻害するという問題を解決させることができる。
図15は、サブタンク7に配置された流路開閉手段としてのバルブユニット35を示す拡大断面図である。なお、この図に示す構造は、バルブユニット15V、37Vについても同一である。図15に示すように、バルブユニット35は、インク貯留部としてのサブタンク7と記録ヘッド6との間に配置されて、記録ヘッド6ヘのインク供給路を開閉制御する機能を有している。
そして、バルブユニット35の閉弁状態において、記録ヘッド6のノズル形成面を封止した状態のキャップユニット15に対して吸引ポンプ37から負圧を与え、十分に負圧が蓄積された状態でバルブユニット35を開弁するように制御される。この制御により、サブタンク7から記録ヘッド6のノズル開口6aに至るインク流路に瞬間的にインクの早い流れを作り出し、インク流路に残留する気泡を効果的に排出させるように機能する。
このバルブユニット35には、可撓性素材、例えばゴム素材によるダイヤフラム弁35aが使用されている。このダイヤフラム弁35aは、サブタンク7を構成する箱状部材41と、この箱状部材41にビス35bにより取り付けられたシリンダ部材35cとの間で、その周縁部が挟持されるようにして取り付けられている。そして、作動体としてのロッド部材35dの一端部が、ダイヤフラム弁35aの重力方向の下面側に取り付けられており、このダイヤフラム弁35aはロッド部材35dの軸方向の駆動力を受けて、ほぼ中央部が面方向と直交する方向に変形されるように構成されている。
ロッド部材35dは、シリンダ部材35c内を垂直方向に移動できるように構成されており、ロッド部材35dに形成された盤状体35eとシリンダ部材35cの内底部に配置されたバネ受け部材35fとの間に配置されたコイル状バネ35gの作用によって、ダイヤフラム弁35aの中央部が鎖線で示すように上部に突出されるように付勢されている。ダイヤフラム弁35aの重力方向の上面側は、サブタンク7から記録ヘッド6に向かうインク供給路の開閉制御室35hを構成している。そして、開閉制御室35hから記録ヘッド6に向かう開閉制御室35hにおける出口開口部35iが、ダイヤフラム弁35aのほぼ中央部の直上に形成されている。
また、開閉制御室35hにおける出口開口部35iの周囲には、ダイヤフラム弁35aに形成された後述する環状の凸部が当接される環状の当接面35nが形成されている。そして、環状の当接面35nの周囲に連続して、反重力方向に向かって径が小さくなる傾斜面35jが形成されている。この傾斜面35jの傾斜角度は、この例においては重力方向に対して約45度程度に構成されており、この傾斜面35jの傾斜角度は45度に対して±15度程度の範囲になされるのが望ましい。
一方、サブタンク7から開閉制御室35hに至る入口開口部35kが、ダイヤフラム弁の中央部の直上を避けた位置、すなわち傾斜面35jの一部に形成されている。さらに、開閉制御室35h側に面したダイヤフラム弁35aのほぼ中央部には、環状の凸部35mが一体に形成されており、ダイヤフラム弁35aの上方向への変形により、環状の凸部35mが出口開口部35iの周囲に形成された環状の当接面35nに当接して、出口開口部35iを閉塞することができるように構成されている。
以上の構成において、常時においてはダイヤフラム弁35aの中央部はバネ部材35gの作用を受けて上方に突出するように変形され、図15に鎖線で示したように、ダイヤフラム弁35aの中央部に形成された環状の凸部35mが、開閉制御室35hに形成された環状の当接面35nに当接して、出口開口部35iを閉塞するように作用する。
そして、記録ヘッド6により印刷を実行する場合においては、ロッド部材35dが図示せぬアクチュエータの駆動力を受けて下方に牽引され、これによって常時閉弁状態のダイヤフラム弁35aは、開閉制御室35hに形成された出口開口部35iを開放して開弁状態とされる。また、ダイヤフラム弁35aは、記録ヘッド6のクリーニング動作を実行する場合においても、キャップユニット15によって記録ヘッド6のノズル形成面を封止し、負圧が蓄積された状態で開弁制御される。
以上のように構成されたバルブユニット35は、ロッド部材35dによってダイヤフラム弁35aの中央部を僅かに下方に牽引することで開弁状態とすることができ、またロッド部材35dの牽引を解くことによって、ダイヤフラム弁35aを閉弁させることができる。したがって、バルブユニット35の開閉弁動作に要するアクチュエータの作動力はごく僅かでこと足りる。
そして、バルブユニット35は、記録ヘッド6のノズル形成面がキャップユニット15により封止されて吸引ポンプ37からの負圧を受ける状態において閉弁状態となされ、ダイヤフラム弁35aから記録ヘッド6に至るインク流路が負圧に蓄圧された状態で開弁されるようになされる。このような動作シーケンスを踏むことにより、バルブユニット35が開弁された直後において、インク流路に瞬間的にインクの早い流れを発生させることができ、増粘したインクと共にインク流路内、特に開閉制御室35hに残留する気泡をキャップユニット15側に排出させることができる。
この場合、バルブユニット35にはダイヤフラム弁35aの重力方向における上部に開閉制御室35hが形成され、開閉制御室35hから記録ヘッド6に向かう出口開口部35iをダイヤフラム弁35aのほぼ中央部の直上に形成し、且つ、出口開口部35iの周囲に反重力方向に向かって径が小さくなる傾斜面35jを形成させたので、開閉制御室35hに残留する気泡は浮上作用により出口開口部35i付近に誘導することができる。これにより、残留気抱の排出効果をより一層高めることが可能となる。
また、開閉制御室35h側に面したダイヤフラム弁のほぼ中央部に形成された環状の凸部35mが、開閉制御室35hに形成された環状の当接面35nに密着して記録ヘッド6に向かう出口開口部35iを閉塞するよう作用するので、環状の凸部35mが可撓性のシール面を構成し、ロッド部材35dの直線方向の移動動作にしたがって確実な開閉弁動作を得ることができる。なお、環状の当接面35nは平坦面とされており、その面の幅はなるべくはダイヤフラム弁35aの閉弁時において、環状の凸部35mが密着し得る最小限の幅に形成されていることが望ましく、このような構成とすることで、傾斜面35jによって誘導された気抱の排出性を高めることができる。
そして、このような構成によると、記録ヘッド6のキャッピング状態において負圧を印加した場合、ダイヤフラム弁35aは負圧を受けてその閉弁状態におけるシール性がさらに高まり、確実な閉弁機能を維持するようになる。また、ダイヤフラム弁の採用により、その開閉弁動作に伴う記録ヘッド6側の体積変化をごく少なくすることができ、記録ヘッド6のノズル開口6aに形成されたインクのメニスカスを破壊するなどの問題を回避することができる。
図16は、バルブユニット35の他の例を示す図であり、図15に示す開閉制御室35hをさらに拡大した断面図である。なお、この図に示す構造は、バルブユニット15V、37Vについても同一である。図16に示すように、開閉制御室35hから記録ヘッド6に向かう開閉制御室35hにおける出口開口部35iが、ダイヤフラム弁35aのほぼ中央部の直上に形成され、インク貯留部から開閉制御室35hに至る開閉制御室35hにおける入口開口部35kが、出口開口部35iに対して重力方向において下側の位置に形成された構成となっている。
このように、出口開口部35iに対して入口開口部35kを重力方向において下側の位置に形成させることにより、開閉制御室35h内において入口開口部35kから上部の出口開口部35iに向かって整然としたインクの流れを発生させることができ、これに伴い開閉制御室35h内に残留する気泡の排出作用を促進させることができる。
そして、開閉制御室35hに形成された環状の当接面35nと、ダイヤフラム弁の凸部35mとの距離hが、ダイヤフラム弁の開弁状態において1.0mm〜1.3mmとなるように構成されていることが望ましい。この距離hが1.0mmに満たない場合には、開閉制御室35hに残留する気泡がダイヤフラム弁の凸部35mと環状の当接面35nとの間で引っ掛かる現象が発生して、開閉制御室35hからの気泡の排出性に障害を与える度合いが大きくなる。また、距離が1.3mmを超える場合においては、ダイヤフラム弁35aの開閉弁動作時において、開閉制御室35hの内容積の変化が大きくなり、特に記録ヘッド6に無用な圧力変動を与えることとなり好ましくはない。
一方、開閉制御室35hにおける出口閲口部35iから記録ヘッド6に向かうインク導出路52の流路面積が、開閉制御室35hにおける出口開口部35iの直近において小さく、開閉制御室35hから離れるにしたがって大きくなるように構成されている。このように構成することにより、開閉制御室35hの出口開口部35iにおけるインクの流速を上げることができ、開閉制御室35h内の気泡の排出性を向上させることができる。
図17及び図18は、メインタンク9の一部の構成とカートリッジホルダ8の一部の構成とを示す断面図であり、図17は、メインタンク9がカートリッジホルダ8に装填される直前の状態(またはカートリッジホルダ8から引き抜かれた状態)を、また図18は、メインタンク9がカートリッジホルダ8に装填された状態をそれぞれ示している。
図17及び図18示すように、メインタンク9の外郭部材を構成するケース100の端部にはインクが封入されたインクパック24のインク導出栓101が取り付けられている。このインク導出栓101には、カートリッジホルダ8側の接続栓に当接して軸方向に後退して開弁状態とされる弁部材102が配備されており、この弁部材102は、ばね部材103によって軸方向に進出するように付勢されている。
そして、ばね部材103によって軸方向に進出するように付勢された弁部材102は、中央部に貢通孔が形成された環状のパッキング部材104に押し当てられ、この結果、図13に示されたようにインク導出栓101は閉弁状態になされる。また、ケース100には加圧空気導入口が形成されている。この加圧空気導入口は、圧力室25に連通する空気路を形成する筒状体105により構成されており、この筒状体105がメインタンクの前端部側に突出するように一体に形成されている。
一方、カートリッジホルダ8側においては、その中央部にインク受給用接続栓111が突出して形成されている。このインク受給用接続栓111は、メインタンク9が装填された状態で、メインタンク9側のインク導出栓101に当接されて開弁状態となり、カートリッジホルダ8の非装填状態において閉弁状態が保持されるように構成されている。
すなわち、インク受給用接続栓111には、インク導入孔112が形成された中空針113と、この中空針113の外周をとり囲むようにして摺動可能に配置され、カートリッジホルダ8の非装填状態において、ばね部材114の付勢を受けて中空針113に形成されたインク導入孔112を閉塞する位置に移動する環状の摺動部材115が具備されている。
したがって、メインタンク9が非装填状態にある図13に示す場合においては、環状の摺動部材115はばね部材114の付勢を受けて進出し、中空針113に形成されたインク導入孔112を閉塞して閉弁状態とする。また、メインタンク9がカートリッジホルダ8に装填状態にある図14に示す場合においては、メインタンク9側のインク導出栓101が、環状の摺動部材115に当接してこれを後退させるために、中空針113に形成されたインク導入孔112が露出し、インクが導入できる開弁状態とされる。
この時、メインタンク9側においては、カートリッジホルダ8側における中空針113の先端部が、パッキング部材104に形成された貫通孔を通して弁部材102に当接し、弁部材102を軸方向に後退させるためにメインタンク9側のインク導出栓101も開弁される。これにより図18に矢印で示したようにメインタンク9からカートリッジホルダ8側にインクが供給できるようになる。
これと同時に、カートリッジ8側の加圧空気導入口を構成する筒状休105も、カートリッジホルダ8側に配置された加圧空気供給栓121における環状のパッキング部材122内に入り込む。これにより、パッキング部材122が筒状体105の外周面に密着して連結され、図14に矢印で示すように加圧空気がカートリッジ8側の圧力室25に導入できるようになる。
以上の構成により、カートリッジホルダ8からメインタンク9を取り外した場合には、図17に示すように、メインタンク9側に配置されたインク導出栓101は閉弁されるため、重力を受けてインクが漏出するのを防止することができる。さらに同時に、カートリッジホルダ8側におけるインク受給用接続栓111も閉弁されるため、サブタンク7側からのインクの逆流を阻止することができる。
図19は、カートリッジホルダ8の一部の構成を示す斜視図である。このカートリッジホルダ8には、メインタンク9を着脱操作する場合に開放されるカバー部材131が配備されている。すなわち、このカバー部材131はカートリッジホルダ8の開口前面に配置されて、回動軸131aが図示せぬ装置本体側に形成された支持孔によって支持されており、軸131aを回動中心としてカートリッジホルダ8の開口前面が開放(実線で示す状態)または閉塞(鎖線で示す状態〉できるように構成されている。
カバー部材131を閉塞状態とした内側には、カートリッジホルダ8に装填される各メインタンク9に対応させて複数の操作レバー132が配置されている。
この操作レバー132の基端部には係止孔132aが形成されていて、各操作レバー132におけるそれぞれの係止孔132aに挿通して支持する図示せぬ支持ロッドによって、回動可能に支持されている。
そして、操作レバー132はカバー部材131を開放した状態において、カバー部材131の開放方向と同方向に回動させることによって各メインタンク9の装填または取り出しができるようになっている。すなわち、メインタンク9をカートリッジホルダ8に装填させる場合においては、操作レバー132をカバー部材131の開放方向と同方向に回動させた状態でメインタンク9をカートリッジホルダ8内に挿入し、操作レバー132を起立させることで、操作レバー132に形成された押当部132bがメインタンク9の手前側端部に当接し、テコの原理によりメインタンク9はカートリッジホルダ8側に装填される。
また、カートリッジホルダ8側に装填された状態のメインタンク9を引き出す場合においては、操作レバー132を同じくカバー部材131の開放方向と同方向に回動させることによって、図示していないが、操作レバー132の一部に係合されたリンクロッドを介してメインタンク9を奥側から押し出すように作用する。したがって、手前方向に押し出されたメインタンク9を容易に引き出すことができる。
カートリッジホルダ8には、さらにカバー部材131の開放を検出する電気スイッチ133が配備されている。このスイッチ133は、カバー部材131が閉じられた状態で、カバー部材131の裏面に接してオン状態になされ、カバー部材131が開放された状態で、オフ状態になされる例えばタクトスイッチが用いられている。
このタクトスイッチ133は、大気開放弁を兼ねた圧力調整弁22における電磁プランジャ91ヘの通電を制御するようになされ、タクトスイッチ133のオン状態、すなわちカバー部材131が閉じられている場合に電磁プランジャ91への通電を可能とし、タクトスイッチ133のオフ状態、すなわちカバー部材131が開放されている場合に電磁プランジャ91への通電を遮断するように作用する。
したがって、インクジェット式プリンタ200への動作電源の投入状態において、例えばカートリッジホルダ8からメインタンク9を引き抜こうとした場合においては、カートリッジホルダ8に装備されたカバー部材131の開放に基づいて、電磁プランジャ91への通電が遮断される。これにより、大気開放弁を兼ねた圧力調整弁22が開弁され、カートリッジホルダ8に装着されてメインタンク9に印加されていた加圧空気は瞬時に開放される。したがって、加圧空気の作用を受けて多少ながら膨張状態になされているメインタンク9の外郭部材は原形に戻るため、カートリッジホルダ8からの引き抜きを容易にすることができ、その操作においてメインタンク9及びカートリッジホルダの双方にダメージを与えるなどの問題も回避することができる。
なお、カートリッジホルダ8からメインタンク9を引き抜くにあたっては、メインタンク9に形成された加圧空気導入口を構成する筒状体105がカートリッジホルダ8側に配置された加圧空気供給栓121から離れた瞬間にメインタンク9の圧力室25が大気開放されるように考慮されている。したがって、メインタンク9をカートリッジホルダ8から引き抜いた場合には、メインタンク9ヘの加圧は即座に解消され、残留した加圧空気の作用によるインクの吹き出しなどの不部合は解消される。
しかしながら、カートリッジホルダ8に装備されたカバー部材131の開放に基づいて、加圧空気を開放する手段を併用することが好ましい。すなわち、メインタンク9がカートリッジホルダ8から離れようとする瞬間においては、加圧空気が印加された状態でメインタンク9側のインク導出栓101がカートリッジホルダ8側のインク受給用接続栓111より僅かに離れる状況が発生する。この状況においては、インク導出栓101及びインク受給用接続栓111は共に開弁状態である。したがって、カバー部材131の開放に連動して加圧空気を開放する手段を併用しない場合においては、この瞬間にインクが吹き出すことが有り得る。
また、カートリッジホルダ8からメインタンク9を引き抜いた場合において、メインタンク9に形成された加圧空気導入口が開放されるような構成になされていないメインタンク9を採用した場合には、カートリッジホルダ8のカバー部材131の開放に基づいて、加圧空気を開放する手段を講ずることはきわめて重要であることは言うまでもない。また、カバー部材131の開放に基づくタクトスイッチ133のオフにより、空気加圧ポンプの駆動を停止させるように構成させることが望ましい。このように構成することで、空気加圧ポンプの意味のない空転を防止させることができる。
図20及び図21は、大気開放弁を兼ねた圧力調整弁22の主要部を破断した一部断面図であり、図20は圧力調整弁として機能している状態を示し、また図21は大気開放状態を示している。図20及び図21に示すように、開閉弁ユニット81は、それぞれ内部に空間部が形成された上ケース81a及び下ケース81bが具備され、これら上ケース81a及び下ケース81bによって、上下に分割できるように構成されている。そして、上ケース81a及び下ケース81bの接合部には、ダイヤフラム弁82が配置されている。
このダイヤフうム弁82は、ゴム素材を円板状に成形して構成され、その周縁部が上ケース81aと下ケース81bの接合部において挟持され、下ケース81bの空間部において気密状態の空気室83を形成している。また、下ケース81bには空気室83に連通する一対の接続管84a、84bが形成されており、これらの接続管84a、84bはそれぞれ空気加圧ポンプ21及び圧力検出器23に接続されている。
したがって、空気加圧ポンプ21からの加圧空気は、図21に示す矢印に沿って印加され、さらに空気室83を介して圧力検出器23及び各メインタンク9に対して加圧空気が印加されるようになされる。また、下ケース81bの中央部には通気孔84cが形成されており、この通気孔84cの空気室83への開口端において、ダイヤフラム弁82のほぼ中央部が当接するように構成されている。
一方、上ケース81aには駆動軸85が上下方向に摺動されるように配置されており、この駆動軸85の下端部においてダイヤフラム弁82の上面部が支持されている。そして、駆動軸85には円環状のばね受け座86が取り付けられており、このばね受け座86と上ケース81aの空間上部との間にはコイル状のばね部材87が配置され、このばね部材87によってダイヤフラム弁82の中央部が通気孔84cの開口端に当接するように付勢されている。
駆動軸85の上端部には、係合頭部88が備えられており、支軸89によって軸支され、支軸89を中心としてシーソ状に回動される駆動レバー90に形成された貫通穴を貢通した上部に、係合頭部88が取り付けられた構成とされている。駆動レバー90の一端部には駆動手段としての電磁プランジャ91の作動ロッド91aが係合されている。
また、駆動レバー90の支軸89を介した他端部にはばね部材、すなわち引っ張りばね93の一端が取り付けられており、この引っ張りばね93の作用により、駆動レバー90は支軸89を介して図中左回転されるように付勢されている。
そして、電磁プランジャ91による駆動力を受ける駆動レバー90の一端部と支軸89との中間部において、開閉弁ユニット81における駆動軸85の係合頭部88が係合されている。
電磁プランジャ91に通電した場合においては、図20に示すように、引っ張りばね93の付勢力に抗して駆動レバー90の一端部が引き下げられた状態になされる。したがって、開閉弁ユニット81の駆動軸85に取り付けられた係合頭部88が駆動レバー90から浮いた状態になされる。これにより、ダイヤフラム弁82はばね部材87の付勢力と、ダイヤフラム弁82が保持している弾性力とにより通気孔84cを閉塞した閉弁状態とされる。
そして、空気室83内の圧力が所定値を超えた場合には、ダイヤフラム弁82が空気室83において上部に押し上げられ、これにより通気孔84cに対するダイヤフラム弁82の当接が解かれ、圧力調整弁として機能する。これにより、空気加圧ポンプ21によって加圧された空気圧が、何らかの障害により過度の状態に達した圧力を開放し、メインタンク9に加わる空気圧を所定の範囲に維持させるように機能する。
一方、電磁プランジャ91への通電が断たれた場合には、図17に示すように引っ張りばね93の作用により、駆動レバー90は図中左回転され、引っ張りばね93の牽引力によって開閉弁ユニット81の駆動軸85は、開閉弁ユニット81内のぱね部材87の付勢力とダイヤフラム弁82が保持している弾性力に抗して引き上げられる。したがって、空気室83から通気孔84cを介して加圧空気を放出する大気開放状態になされる。
このように、電磁プランジャ91への通電が断たれた場合において大気開放状態とされるため、カートリッジホルダ8に装着されたカバー部材131を開放した時に、この電磁プランジャ91への通電を断つように構成することで、カバー部材131の開放に伴って各メインタンク9に加わっている空気圧は瞬時に開放される。また、インクジェット式プリンタ200の動作電源がオフされることにより、電磁プランジャ91への通電も遮断されるため、インクジェット式プリンタ200の休止状態においては自動的に圧力が開放される。これによりインクジェット式プリンタ200の非使用時においては、メインタンク9に加わる空気圧が開放され、インクジェット式プリンタ200の休止中に、残留空気圧により例えばメインタンク9からインクの漏出を誘発させるなどの問題を回避させることができる。
図22は、インクジェット式プリンタ200に搭載された制御回路の構成を示すブロック図である。図20に示すように、印刷制御手段170は、ホストコンピュータから供給される印刷データに基づいてビットマップデータを生成し、このビットマップデータに基づいてヘッド駆動手段171により駆動信号を発生させて、記録ヘッド6からインク滴を吐出させる。ヘッド駆動手段171は、印刷データに基づく駆動信号の他に、フラッシング制御手段172からのフラッシング指令信号を受けてフラッシング操作のための駆動信号を記録ヘッド6に出力する。
クリーニング制御手段173は、ポンプ駆動手段174を動作させて、吸引ポンブ37を駆動制御する。また、クリーニング制御手段173には、印刷制御手段170、クリーニングシーケンス制御手段175及びクリーニング指令検知手段176からクリーニング指令信号が供給されるようになっている。なお、クリーニング指令検知手段176には、クリーニング指令スイッチ177が接続されており、このクリーニング指令スイッチ177をユーザが例えばプッシュ操作することにより、クリーニング指令検知手段176を動作させてマニュアルによるクリーニング操作が実行されるようになっている。
クリーニングシーケンス制御手段175は、ホストコンピュータから指令信号を受けてクリーニング制御手段173、バルブユニット駆動手段178及びキャリッジ駆動手段179に対して制御信号を送出する。バルブユニット駆動手段178は、バルブユニット35に配置されたロッド部材35dを下方に牽引する図示せぬアクチュエータを駆動し、バルブユニット35を開弁させる。また、キャリッジ駆動手段179は、キャリッジモータ2を駆動して、キャリッジ1をホームポジション側に移動させて、キャップユニット15により記録ヘッド6のノズル形成面をキャッピングさせる。
サブタンク位置調整手段182は、ヘッドID記憶手段180から記録ヘッド6の適正な駆動波形最大電圧VHにより製造時に決定されるヘッドIDを読み出し、そのヘッドIDに従ってサブタンク調整値記憶テーブル181からサブタンク7の水頭調整値Hを選択し、その水頭調整値Hに基づいてアクチュエータ17を作動させてサブタンク7の位置を調整する。
図23は、バルブユニット35、15V、37Vの機能を利用してなされるクリーニング動作の一例を示したフローチャートであり、以下図23に基づいてクリーニングの動作シーケンスを説明する。先ず、クリーニング動作がスタートすると、予め閉弁状態とされているバルブユニット15V、37Vのうち、クリーニング対象の記録ヘッド6に対応するバルブユニット15Vが選択されて開弁状態とされる。
これはホストコンピュータからの指令を受けたクリーニングシーケンス制御手段175がバルブユニット駆動手段178を制御することにより、バルブユニット15Vにおけるロッド部材がアクチュエータの駆動力を受けて下方に牽引されることにより実行される(ステップS11)。なお、バルブユニット15V、37Vは予め閉弁状態とされているので、クリーニング動作時の減圧時間を短縮させることができる。
続いて、キャリッジ1が、ホームポジション側に移動し(ステップS12)、記録ヘッド6のノズル形成面がキャップユニット15によってキャッピングされる(ステップS13)。そして、バルブユニット37Vが所定の吸引力となるように選択されて開弁状態とされる。これはホストコンピュータからの指令を受けたクリーニングシーケンス制御手段175がバルブユニット駆動手段178を制御することにより、バルブユニット37Vにおけるロッド部材がアクチュエータの駆動力を受けて下方に牽引されることにより実行される(ステップS14)。
これに続いて、選択された吸引ポンプ37が駆動される。これは、クリーニングシーケンス制御手段175からクリーニング制御手段173に制御信号が送出され、クリーニング制御手段173からポンプ駆動手段174に対して指令信号が送出されることにより実行される(ステップS15)。そして、所定時間の経過が待たれる(ステップS16)。
そして、さらにバルブユニット37Vが所定の吸引力となるように選択されて開弁状態とされ、選択された吸引ポンプ37が駆動される(ステップS17、18)。そして、所定時間の経過が待たれる(ステップS19)。これにより、増粘したインクと共にインク流路内に存在する気泡、特に開閉制御室35hに残留する気泡がキャップユニット15側に排出され、キャップユニット15内に排出されたインクは吸引ポンプ37を通過して廃液タンク38に廃棄される。
次に、吸引ポンプ37の駆動は停止され(ステップS20)、キャップユニット15による記録ヘッド6のキャッピングが解除される(ステップS21)。そして、キャリッジ1が印刷領域側に移動し(ステップS22)、記録ヘッド6のノズル形成面がワイパユニット16によりワイピングされ、記録ヘッド6のノズル形成面に付着している紙粉等が除去される。
これは、ホストコンピュータからの指令を受けたクリーニングシーケンス制御手段175が、キャリッジ駆動手段179に対して制御信号を送出することにより実行される(ステップS23)。さらに、キャリッジ1が記録ヘッド6とキャップ部材15aが対向した位置に移動し(ステップS24)、記録ヘッド6のフラッシングが行われ、クリーニング処理を終了する。
一方、チョーククリーニングを行う場合は、ステップS16において所定の時間が経過したと判定されると、Aに分岐されてチョーククリーニング対象のバルブユニット35が選択されて閉弁状態とされる。これは、ホストコンピュータからの指令を受けたクリーニングシーケンス制御手段75がバルブユニット駆動手段178を制御することにより、バルブユニット35がユニット内に収容されたバネ部材35gの付勢力を受けることにより実行される(ステップS25)。
そして、選択された吸引ポンプ37が駆動され、所定時間の経過が待たれる(ステップS26)。これにより、サブタンク7から記録ヘッド6に至るインク供給路に負圧が蓄積される。そして、バルブユニット35が開弁制御される。これは、クリーニングシーケンス制御手段175が、バルブユニット駆動手段178を制御し、バルブユニット35におけるロッド部材35dがアクチュエータの駆動力を受けて下方に牽引されることにより実行される(ステップS27)。このバルブユニット35の開弁によって、サブタンク7から記録ヘッド6に至るインク供給路には、瞬間的に早いインクの流れが発生し、増粘したインクと共にインク流路内に存在する気泡、特に開閉制御室35hに残留する気泡がキャップユニット15側に排出され、チョーククリーニング処理を終了する。
なお、上述した実施形態では、プリンタを例に説明したが、これに限られるものではなく、記録媒体の搬送案内部を有する記録装置、例えばファクシミリ装置やコピー装置等にも適用可能である。
以上説明したように、本発明に係るインクジェット式記録装置及びその調整方法によれば、キャリッジ上には独立した多数のヘッドユニットが配列されることになるので、ある程度特性が揃ったヘッドユニットを選別して装着し、あるいは特性が低下したヘッドユニットを所定の特性を有するヘッドユニットと交換することができるようになり、大型サイズの記録媒体に対するスループットを向上させることができると共に、記録精度を高め、かつ維持し続けることができる。さらに、サブタンク内のインク面と記録ヘッドのノズル形成面との水頭差を調整することができるので、例えばインクジェット式記録装置の駆動波形の共通化を考えたときに記録ヘッド毎の微調整ができなくても、ノズルからの吐出インク量の均一化を図ることができ、記録精度をさらに高めることができる。
1…キャリッジ、6…記録ヘッド、7(7a,7b,7c,7d,7e,7f)…サブタンク、8…カートリッジホルダ、9(9a,9b,9c,9d,9e,9f)…メインタンク、10…ヘッドユニット、11…インク供給チューブ、12…インク補給チューブ、15…キャップユニット、15V,35V,37V,224V…バルブユニツト、16…ワイパユニット、17…アクチュエータ、21…空気加圧ポンプ、22…圧力調整弁、23…圧力検出器、24…インクパック、25…圧力室、26…インク補給バルブ、31…フロート部材、32…永久磁石、33(33a,33b)…ホール素子、37…吸引ポンプ、37a…吸引チューブ、38…廃液タンク、170…印刷制御手段、171…ヘッド駆動手段、172…フラッシング制御手段、173…クリーニング制御手段、174…ポンブ駆動手段、175…クリーニングシーケンス制御手段、176…クリーニング指令検知手段、177…クリーニング指令スイッチ、178…バルブユニット駆動手段、179…キャリッジ駆動手段、180…ヘッドID記憶手段、181…サブタンク調整値記憶テーブル、182…サブタンク位置調整手段、200…インクジェット式プリンタ、210…給紙部、220…印刷部、224…印刷ステージ、224a…小孔、230…排紙部、240…脚部、250…プリンタ本体。