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JP4473400B2 - 構築物の基礎及びその施工方法 - Google Patents

構築物の基礎及びその施工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、送電線を高架支持する鉄塔等、各種構築物を支持するための基礎構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄塔等の柱脚を地山上に支持する基礎構造としては、従来から、例えば図13に示されるような基礎杭によるものが知られている。まず図(A)に示される基礎構造100Aは、地山Gに打設された鋼杭あるいは場所打ちコンクリート杭等からなる基礎杭102と、その杭頭102aと結合一体化されたコンクリートからなるフーチング103で構成され、柱脚101が前記フーチング103の上に構築されている。前記基礎杭102は通常、一つのフーチング103あたり、それぞれ1本乃至複数本、鉛直に打設される。
【0003】
また、図13(B)に示される基礎構造100Bは、地山Gに大径の場所打ちコンクリート杭からなる基礎杭102を鉛直に施工し、その杭頭に、柱脚101の下端部を埋め込んで結合したものである。前記基礎杭102は、鉄筋コンクリートで形成された鉛直な躯体部102bと、その頭部から地山G上に露出するように延びる鋼管102c内に打設され、柱脚101の下部を補強・保護する柱体部102dとからなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、例えば送電路の鉄塔の場合、電力需要の増大に伴う送電線の重量増大に起因する送電線の弛み量の増大を補償するためには、送電線の支持高さを高くする必要があり、このため鉄塔の高さが高くなる傾向にある。その結果、鉄塔の重量が増大し、これを支持する基礎構造の支持力を向上させることが要求されている。しかしながら、上記図13に示される従来技術によれば、基礎構造の支持力を向上させるには、フーチング103の面積を大きくしたり、基礎杭102を大径化する必要があるため、それ自体の施工コストが高額になるばかりでなく、面積の大きい土地を確保しなければならないといった問題があった。
【0005】
また、大径の基礎杭を施工するには大型の施工機械が必要になるため、例えば山岳の傾斜地等に建てられる鉄塔の場合、施工機械の足場を確保するための切土面積を大きくしたり、足場の仮設工事も大掛かりになり、施工の困難性や施工コストの上昇を来していた。
【0006】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その主な技術的課題とするところは、構築物の荷重に対する耐力が大きく、しかも施工が容易な基礎構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の技術的課題を有効に解決するための手段として、本発明に係る構築物の基礎は、構築物の柱の下部に一体的に設けられた基礎材と、前記基礎材の下面に敷設され、この基礎材の軸方向投影面積より面積の大きな鉄板と、杭頭が前記基礎材に結合され、前記鉄板に開設された基礎杭挿通孔を介して地盤へ前記柱と平行な方向に打設された一本乃至複数本の基礎杭、又は杭頭が前記基礎材に結合され、前記基礎杭挿通孔を介して地盤へ前記柱の軸心の延長線を中心として等角度で開いた方向に打設された複数本の基礎杭と、からなるものである。すなわち、基礎杭が柱と平行な方向、又は柱の軸心を中心に等角度で開いた方向へ打設されることによって、構築物の荷重の軸力のみ支持することになり、またフーチング等を構築しないので、施工が容易になると共に、施工面積も小さくすることができる。
【0008】
本発明において、基礎材は、予め柱の下部に一体的に設けられ前記柱の軸心方向に延びる複数のリブと、予め前記柱の下部及び前記リブに一体的に設けられ前記柱の軸心と直交する面をなす本体フランジと、基礎杭の杭頭を前記本体フランジに結合する結合部材群と、からなる構成とすることができる。
【0009】
また、本発明に係る構築物の基礎の施工方法は、杭頭との結合手段を備える基礎材を柱の下部に一体的に設ける工程と、地盤上における施工予定位置に、前記基礎材の軸方向投影面積より面積が大きく基礎杭挿通孔が開設された鉄板を敷設する工程と、地盤上における前記柱の施工予定位置から、前記鉄板の基礎杭挿通孔を介して前記地盤内へ前記柱の軸心と平行な方向又は前記柱の建て込み予定角度を中心として等角度で開いた方向へ、複数の基礎杭を打設する工程と、前記地盤上の施工予定位置に前記柱を建て込むと共に、その下部に一体的に設けられた前記基礎材を、前記鉄板の基礎杭挿通孔から突出した前記基礎杭の杭頭に前記結合手段を介して結合する工程とからなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る構築物の基礎の好適な実施の形態を、図1乃至図6を参照しながら説明する。まず図1は、本発明の基礎構造を、その上に構築された電力用鉄塔の一部と共に概略的に示すもので、図中の参照符号10は鉄塔の柱脚、20はこの柱脚10の下端に鍔状に接合された鋼材等からなる基礎材、30は杭頭30aが前記基礎材20に結合され地山Gへ前記柱脚10と平行な方向に打設された基礎杭である。
【0011】
基礎材20は、柱脚10の下部外周に、その軸心を通る平面状をなすように、周方向所定間隔(図示の例では90°間隔)で溶接により矢羽状に一体接合された鋼板からなる複数のリブ21と、前記柱脚10の下部外周に、その軸心と直交する平面をなすように溶接により一体接合された鋼板からなる正方形状の本体フランジ22と、前記各リブ21で四分割された領域に位置して、前記本体フランジ22に設けられた結合部材群23を備える。前記各リブ21は、その下端が柱脚10の下端位置に達しており、それぞれ前記本体フランジ22に直交して接合されている。また、基礎材20を構成するこれらの部材は、めっきあるいは施工後の塗装や吹き付け等によって防錆される。
【0012】
上記基礎材20は、柱脚10の下部と基礎杭30の杭頭とを結合するものであると共に、柱脚10からの鉄塔の荷重を、地山G及び基礎杭30に伝達するものである。また、鉄塔の柱脚10は、水平面に対して所定の傾斜角度をなすように建てられるが、前記基礎杭30は、この柱脚10と平行になるように打設されるので、柱脚10と基礎杭30との間に鉄塔の荷重による曲げ応力が作用しにくい構造となり、荷重に対する優れた耐力が得られる。
【0013】
また、基礎材20の下面には、後述する図10に示されるように、本体フランジ22より面積の大きな鉄板4を敷設することによって、一層大きな荷重を支持可能とすることができる。
【0014】
一方、基礎杭30としては、公知の構造を有する比較的小径(例えば300mm以下)の、かつ高耐力を有するものが好適に用いられる。すなわち、この基礎杭30は、図3に示されるように、地山Gにおける軟弱層G1の下端深さまで挿入されると共に、頭部を基礎材20の本体フランジ22にそれぞれ結合部材群23を介して結合された鋼管31と、この鋼管31の内周に挿通され、下端が前記軟弱層G1より下層にある堅固な支持層G2内へ達すると共に頭部が前記本体フランジ22にそれぞれ前記結合部材群23を介して結合された芯材としての異形鉄筋32と、前記鋼管31及び地山Gと異形鉄筋32との間に充填された固結材としてのグラウト33とからなるものである。グラウト33は、鋼管31の下側(支持層G2内)ではペデスタル状に拡散されており、また、このグラウト33の一部は鋼管31の外周側に回り込んで、地山Gの削孔面に定着されている。
【0015】
図4乃至図6に、基礎材20と基礎杭30との種々の結合構造が例示されるように、基礎材20における本体フランジ22の、各リブ21で四分割された領域には、それぞれ基礎杭30の鋼管31を、適当な遊びをもって挿通可能な結合用孔22aが開設されている。
【0016】
このうち、図4に示される例においては、結合部材群23は、本体フランジ22の下側に位置するように、基礎杭30における鋼管31の頭部近傍の外周に溶接等により固定される鋼製の下部フランジ231と、前記結合用孔22aから本体フランジ22の上側へ突出した前記鋼管31の頭部外周に、溶接等により固定される鋼製の上部フランジ232と、この上部フランジ232の上に配置され、複数の螺子部材233の緊結によって、前記本体フランジ22との間に上部フランジ232を挟着した状態で基礎杭30の杭頭を押さえる鋼製の支圧板234とで構成される。支圧板234の中央には螺子孔234aが開設されており、基礎杭30における異形鉄筋32の頭部が、この螺子孔234aに螺合されることによって、前記支圧板234に結合されるようになっている。
【0017】
また、図5に示される例においては、結合部材群23は、本体フランジ22の下側に位置するように、基礎杭30における鋼管31の頭部近傍の外周に溶接等により固定される鋼製の下部フランジ231と、前記結合用孔22aから本体フランジ22の上側へ突出した前記鋼管31の頭部を覆うと共に外周下面が前記本体フランジ22に当接するように配置され、溶接等により前記本体フランジ22に固定される鋼製の支圧キャップ235と、前記支圧キャップ235の上部中央に開設した鉄筋挿通孔235aに、基礎杭30における異形鉄筋32の頭部を挿通状態に結合する一対のナット236,236とで構成される。
【0018】
また、図6に示される例においては、結合部材群23は、本体フランジ22の下側に位置するように、基礎杭30における鋼管31の頭部近傍の外周に溶接等により固定される鋼製の下部フランジ231と、前記結合用孔22aから本体フランジ22の上側へ突出した前記鋼管31の頭部外周に、溶接等により固定される鋼製の上部フランジ232と、この上部フランジ232の上に配置され、複数のボルト237によって、前記本体フランジ22との間に上部フランジ232を挟着した状態で基礎杭30の杭頭を押さえる鋼製の支圧板234と、この支圧板234の中央に開設された鉄筋挿通孔234bに、基礎杭30における異形鉄筋32の頭部を挿通状態に結合する一対のナット236,236とで構成される。
【0019】
次に、上記基礎構造を採用した鉄塔を、山岳部の傾斜地に構築する場合の施工手順を、図7乃至図10を参照しながら説明する。
【0020】
まず図7に示されるように、地山Gの斜面1の切土及び足場2の構築を行う。すなわち、鉄塔の基礎が施工される地山Gの斜面1を切土して、柱脚10の傾斜角度と直交する勾配をなす切土面1aを形成し、その下側の斜面に構築した仮設足場2との間に、前記切土により発生した土材3を、前記切土面1aと連続した高さとなるように盛土する。本発明においては、図13に示される従来技術のようなフーチング103は施工しないため、前記切土面1aは比較的面積の小さなもので良い。
【0021】
次に、図8に示されるように、切土により形成した切土面1a上における、基礎の施工位置に、鉄板4を敷設する。この鉄板4は、先の図2及び図3等に示される柱脚10の軸方向投影面積、言い換えれば本体フランジ22の面積よりも面積が大きいもので、前記本体フランジ22の各結合用孔22aと対応して、各基礎杭30の鋼管31を適当な遊びをもって挿通可能な基礎杭挿通孔4aが開設されているので、基礎杭30の打設箇所を容易に決定することができる。
【0022】
次に、図9に示されるように、施工機械5によって、鉄板4の基礎杭挿通孔4aから地山G内へ向けて、前記切土面1aに対して垂直な方向、言い換えれば、前記切土面1a上に建てられる鉄塔の柱脚10の軸心と平行な方向へ、杭打ちを行う。先に説明したように、基礎杭30は比較的小径のものであるため、小型の施工機械5によって杭打ちを行うことができる。またこのため、仮設足場2や盛土の面積も小さくすることができる。
【0023】
各基礎杭30の打設作業においては、よく知られているように、まず基礎杭30の鋼管31よりも適宜大径のケーシングを用いてボーリング(ケーシング掘り)を行い、地山Gにおける支持層G2内に達する削孔を形成する。その時、前記鋼管31は、ボーリングに合わせて前記ケーシングと共に地山Gの支持層G2まで一緒に挿入される。削孔が形成されたら、前記鋼管31を地山G内に残し、ケーシングだけを引き抜く。次に異形鉄筋32を鋼管31内に挿入するが、この異形鉄筋32にはグラウト33を圧入する装置が取り付けられていて、一緒に挿入される。挿入が完了したら、この圧入装置を用い、前記削孔内にグラウト33を圧入し、これに合わせて鋼管31を所定の高さまで引き上げる。グラウト33が十分に充填されたら再度鋼管31を挿入し、同時にグラウト33も圧入する。そして、この時の加圧力によって、グラウト33が鋼管31の下側でペデスタル状に拡散される。
【0024】
基礎杭30の打設が終わったら、図10に示されるように、鉄板4の上に柱脚10を建て込む。柱脚10は、予めその下部に、結合部材群20におけるリブ21及び本体フランジ22が溶接等により一体的に接合された状態で、現場に搬入され、建て込まれる。また、基礎杭30の鋼管31の上端部には、先の図3乃至図5のように、結合部材群23の一部である下部フランジ231が予め溶接等により接合される。
【0025】
柱脚10の建て込みに際しては、その下部に接合された本体フランジ22の各結合用孔22aに、地山G上の鉄板4の基礎杭挿通孔4aから突出した各基礎杭30の杭頭を通し、これを結合部材群23によって、図3乃至図5に示されるような方法で結合する。その後は、必要に応じて、塗装や吹き付け等によって、防錆加工を施してから、土材3を切土面1a上に埋戻す。
【0026】
上記実施形態においては、基礎杭30を、柱脚10の軸心と平行に、すなわち各基礎杭30が互いに平行になるように打設したが、図11に本発明の他の実施形態として示されるように、柱脚10の軸心Oの延長線を中心として互いに等角度で開いた方向に打設することもできる。
【0027】
この場合、基礎材20の本体フランジ22は、図12の斜視図に示されるように、各リブ21で四分割された領域が、それぞれ各基礎杭30の打設方向と直交する面をなすように傾斜した状態に設けられる。これによって、柱脚10からの荷重を、各基礎杭30の軸心方向へ伝達することができる。
【0028】
なお、本発明において用いられる基礎杭30としては、基礎材20と結合可能で、所要の耐力を発揮するものであれば良い。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る基礎構造によれば、基礎杭が柱と平行な方向、又は柱の軸心を中心に等角度で開いた方向へ打設されることによって、構築物の荷重に対する大きな耐力が得られる。またフーチング等を構築せず、柱と基礎杭を基礎材を用いて結合するため、施工面積が小さくなり、したがって小型の施工機械でも施工可能となるので、山岳部の傾斜地等での施工も容易になり、工期の短縮及び施工コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る基礎構造を、その上に構築された電力用鉄塔の一部と共に概略的に示す説明図である。
【図2】上記実施形態における基礎材の概略構成を示す斜視図である。
【図3】上記実施形態における基礎杭の概略構成を示す断面図である。
【図4】上記実施形態における基礎材と基礎杭との結合構造の一例を示す要部断面図である。
【図5】上記実施形態における基礎材と基礎杭との結合構造の他の例を示す要部断面図である。
【図6】上記実施形態における基礎材と基礎杭との結合構造の他の例を示す要部断面図である。
【図7】上記実施形態に係る基礎構造を採用した構築物の施工において、切土及び足場構築状態を概略的に示す説明図である。
【図8】上記実施形態に係る基礎構造を採用した構築物の施工において、切土面に鉄板を敷設した状態を示す説明図である。
【図9】上記実施形態に係る基礎構造を採用した構築物の施工において、杭打ち作業を示す説明図である。
【図10】上記実施形態に係る基礎構造を採用した構築物の施工において、基礎杭の杭頭と柱脚との結合状態を概略的に示す説明図である。
【図11】本発明の他の実施形態における基礎材の概略構成を示す斜視図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る基礎構造を、その上に構築された電力用鉄塔の一部と共に概略的に示す説明図である。
【図13】従来技術による基礎構造を示す説明図である。
【符号の説明】
10 柱脚
20 基礎材
21 リブ
22 本体フランジ
23 結合部材群
30 基礎杭

Claims (4)

  1. 構築物の柱の下部に一体的に設けられた基礎材と、
    前記基礎材の下面に敷設され、この基礎材の軸方向投影面積より面積の大きな鉄板と、
    杭頭が前記基礎材に結合され、前記鉄板に開設された基礎杭挿通孔を介して地盤へ前記柱と平行な方向に打設された一本乃至複数本の基礎杭と、
    からなることを特徴とする構築物の基礎。
  2. 構築物の柱の下部に一体的に設けられた基礎材と、
    前記基礎材の下面に敷設され、この基礎材の軸方向投影面積より面積の大きな鉄板と、
    杭頭が前記基礎材に結合され、前記鉄板に開設された基礎杭挿通孔を介して地盤へ前記柱の軸心の延長線を中心として等角度で開いた方向に打設された複数本の基礎杭と、
    からなることを特徴とする構築物の基礎。
  3. 基礎材が、
    予め柱の下部に一体的に設けられ前記柱の軸心方向に延びる複数のリブと、
    予め前記柱の下部及び前記リブに一体的に設けられ前記柱の軸心と直交する面をなす本体フランジと、
    基礎杭の杭頭を前記本体フランジに結合する結合部材群と、
    からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の構築物の基礎。
  4. 杭頭との結合手段を備える基礎材を柱の下部に一体的に設ける工程と、
    地盤上における施工予定位置に、前記基礎材の軸方向投影面積より面積が大きく基礎杭挿通孔が開設された鉄板を敷設する工程と、
    地盤上における前記柱の施工予定位置から、前記鉄板の基礎杭挿通孔を介して前記地盤内へ前記柱の軸心と平行な方向又は前記柱の建て込み予定角度を中心として等角度で開いた方向へ、複数の基礎杭を打設する工程と、
    前記地盤上の施工予定位置に前記柱を建て込むと共に、その下部に一体的に設けられた前記基礎材を、前記鉄板の基礎杭挿通孔から突出した前記基礎杭の杭頭に前記結合手段を介して結合する工程と、
    からなることを特徴とする構築物の基礎の施工方法。
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