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JP4471793B2 - プロジェクタ - Google Patents

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JP4471793B2 JP2004272368A JP2004272368A JP4471793B2 JP 4471793 B2 JP4471793 B2 JP 4471793B2 JP 2004272368 A JP2004272368 A JP 2004272368A JP 2004272368 A JP2004272368 A JP 2004272368A JP 4471793 B2 JP4471793 B2 JP 4471793B2
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Description

本発明は、投射方向に応じてスクリーン等に表示する画像の輝度を部分毎に調整して全体として輝度ムラの無い画像を表示できるようにしたプロジェクタに関する。
従来、スクリーン、白壁、及びホワイトボード等の被投射体へ画像に係る変調光を投射し、スクリーン等に画像を表示するプロジェクタがある。プロジェクタは一般にスクリーン等に対向して設置されるが、設置状況としては、部屋の天井又は棚等に据付固定される場合と、使用毎にプロジェクタを運び込み所要の場所に設置される場合とがある。後者の場合は、プロジェクタを設置した場所から最適な画像表示を行えるように、画像を表示する前の投射準備として被投射体への焦点調整、色補正、画像寸法調整(ズーム調整)、及び台形歪み補正(キーストン補正)等を毎回行う必要がある。
なお、投射準備に係る焦点調整、画像寸法調整、及び台形歪み補正の処理を自動的に行うため、投射により被投射体に表示したテストパターン画像を撮像し、撮像した結果に基づき各種調整及び補正を行うようにしたプロジェクタが下記の特許文献1に開示されている。
特開2000−241874号公報
プロジェクタが設置される建物内の状況によっては、スクリーンに対して斜めにプロジェクタを設置せざるを得ないこともある。このようなときはスクリーンに対する投射方向も斜めになり、プロジェクタからスクリーンまでの距離がスクリーンの各箇所それぞれで相異する度合が大きくなる。スクリーンに表示される画像の輝度は、プロジェクタの光源に対する離隔度合に影響を受け、一般にスクリーンとプロジェクタとの距離が遠いほど低下するので、投射方向が斜めの場合は、スクリーンに表示される画像に輝度ムラが表れやすいと云う問題がある。この問題は、特に投射方向が斜めになるほど、プロジェクタからスクリーンまでの近い箇所と遠い箇所との離隔度合の差が開くことから顕著になる。
また、上述した特許文献1に係るプロジェクタをスクリーンに対して斜めに設置した場合も、スクリーンに表示されるテストパターン画像に輝度ムラが生じる。その結果、輝度ムラのあるテストパターン画像の撮像結果に基づいて焦点調整、画像寸法調整、及び台形歪み補正を行うため、輝度ムラによる影響でテストパターン画像の形状等を精度良く検出することが妨げられ、投射準備に係る各種調整及び補正を正確に行うことが困難になると云う問題がある。
本発明は、斯かる問題に鑑みてなされたものであり、プロジェクタの設置状況に関わらずスクリーン等の被投射体に表示される画像の輝度ムラを解消するプロジェクタを提供することを目的とする。
また、本発明は、プロジェクタの投射方向が斜めになるように設置された場合でも、投射準備に係る各種調整及び補正を精度良く行えるようにしたプロジェクタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係るプロジェクタは、空間光変調素子により生成した画像に係る変調光を被投射体へ投射して被投射体に画像を表示するプロジェクタにおいて、撮像を行う撮像手段と、該撮像手段が被投射体を撮像した場合、被投射体画像に基づき被投射体の複数箇所までの離隔度合を算出する算出手段と、該算出手段が算出した各箇所の離隔度合に応じて前記空間光変調素子で生成する画像の輝度を調整する輝度調整手段と、前記輝度調整手段が輝度を調整して生成したテストパターン画像に係る変調光を投射する手段と、被投射体に表示されたテストパターン画像を前記撮像手段で撮像した結果に基づき焦点調整、色補正、寸法調整、又は台形歪み補正の少なくともいずれか1つを行う手段とを備えることを特徴とする。
本発明では、撮像された被投射体画像に基づき被投射体の複数箇所までの離隔度合を算出し、算出した離隔度合に応じて投射対象の画像の輝度を調整することで、プロジェクタが設置された投射方向に対して適切となるように輝度を調整でき、調整した輝度で画像を被投射体に表示して画像の輝度ムラを抑制できる。なお空間光変調素子としては、液晶パネル及びDMD(Digital Micromirror Device:登録商標。以下同様)等を適用することが可能である。
また、本発明では、輝度調整を行って生成したテストパターン画像を被投射体に表示するので、表示されるテストパターン画像の輝度ムラは大きく低減される。そのため輝度ムラの少ないテストパターン画像に基づき投射準備に係る処理を行うので、プロジェクタの投射方向が斜めになるように設置された場合でも、投射方向の影響を受けずに高精度で投射準備処理を自動的に行える。
本発明に係るプロジェクタは、前記算出手段が算出した離隔度合が最短になる箇所から離隔度合が最長になる箇所へ上昇する重み付け数値を規定する手段を備え、前記輝度調整手段は、被投射体への表示に対して被投射体の各箇所に対応する画像の部分を前記重み付け数値に基づき輝度を調整するようにしてあることを特徴とする。
本発明では、離隔度合が最短になる箇所から離隔度合が最長になる箇所へ上昇する重み付け数値を規定し、その重み付け数値に基づき画像の各部分の輝度を調整するので、一段と詳細に画像の輝度を設置状況に応じて調整できるようになり、全体的に画像の輝度ムラを解消できる。なお、重み付け数値は離隔度合が最短になる箇所から最長になる箇所へ徐々に上昇するように規定する場合は、グラデーション的に滑らかに画像の輝度を調整できる。また、最短になる箇所から最長になる箇所へ複数の区域に分けて区域毎に重み付け数値を規定した場合は段階的に画像の輝度を調整できるようになり、輝度調整に係る処理負担を低減できる。
本発明に係るプロジェクタは、前記輝度調整手段は、前記算出手段が算出した離隔度合が最短になる箇所に対応する画像部分の輝度を下げることを特徴とする。
本発明では、離隔度合が最短になる箇所に対応する画像部分の輝度を下げることにより、離隔度合が短くなる影響で画像が明るくなり過ぎる部分を是正する方向で効率的に輝度を調整できるようになる。また、プロジェクタが有するAGC(Automatic Gain Control:自動利得調整)機能は、画像の明るい箇所を基準に画像の表示状態を調整するため、画像の暗い箇所の表示が不鮮明になることがあるが、本発明のように離隔度合が最短の箇所に対応する画像が明るい部分の輝度を下げることで、明るい箇所に対する基準レベルが下がり、AGCによる調整で画像の暗い箇所を鮮明に表示しやすくなる。
本発明に係るプロジェクタは、前記輝度調整手段は、前記算出手段が算出した離隔度合が最長になる箇所に対応する画像部分の輝度を上げることを特徴とする。
本発明では、離隔度合が最長になる箇所に対応する画像部分の輝度を上げることにより、離隔度合が長くなる影響で画像が暗くなり過ぎる部分を是正する方向で効率的に輝度を調整できるようになる。また、オリジナル画像自体が全体的に暗い場合も、本発明のように輝度を上げる方向で輝度修正を行うことにより、被投射体で表示される画像の見やすさを向上できるようになる。
本発明に係るプロジェクタは、前記算出手段は、矩形状の被投射体の四隅に対して離隔度合を算出するようにしてあることを特徴とする。
本発明では、位置の検出を最も行いやすい形状的にエッジとなる被投射体の四隅に対して離隔度合を算出するので、離隔度合の算出精度が向上し、それに伴い画像の輝度調整も高精度で行える。
本発明にあっては、被投射体を撮像した画像に基づき被投射体の複数箇所までの離隔度合を算出して、算出した離隔度合に応じて投射対象の画像の輝度を調整することで、投射方向に関わらず輝度ムラが生じないように画像の輝度を調整できる。
また、輝度調整により輝度ムラを抑えたテストパターン画像を表示して投射準備に係る処理を行うので、プロジェクタの投射方向に関係なく投射準備処理を高精度で行える。
さらに、本発明にあっては、離隔度合が最短になる箇所から離隔度合が最長になる箇所へ上昇する重み付け数値を規定し、その重み付け数値に基づき画像の各部分の輝度を調整するので、一段と詳細な輝度調整が可能となり画像全体に対して輝度ムラを解消できる。
さらに、本発明にあっては、離隔度合が最短になる箇所に対応する画像部分の輝度を下げて、離隔度合が短くなる影響で画像が明るくなり過ぎる部分を是正する方向で輝度を調整でき、投射表示される画像の輝度ムラを抑制して画像の鮮明化を図れる。
さらにまた、本発明にあっては、離隔度合が最長になる箇所に対応する画像部分の輝度を上げて、離隔度合が長くなる影響で画像が暗くなり過ぎる部分を是正する方向で輝度を調整でき、鮮明な画像の表示に貢献できる。
また、本発明にあっては、検出しやすい被投射体の四隅に対して離隔度合を算出するので、離隔度合の算出精度が向上でき、精度の高い離隔度合に応じて表示される画像の輝度ムラを確実に抑制できる
図1は、本発明の実施形態に係るプロジェクタ1の内部構成を示すブロック図である。本実施形態のプロジェクタ1は、設置された場所から被投射体であるスクリーンSに対する投射方向を判断して表示する画像の輝度ムラを抑制する処理を行うと共に、投射準備の各処理を自動的に行うオート調整機能を具備したものである。具体的には、プロジェクタ1は設置された後、最初にスクリーンSを撮像し、撮像した結果に基づきスクリーンSの四隅に対する離隔度合を算出して輝度ムラを修正する修正輝度パターンを作成し、この修正輝度パターンに基づき輝度調整したテストパターン画像を生成して投射準備処理を行い、投射準備の完了後に輝度調整した所望の画像を生成して投射を行う。
プロジェクタ1の内部は、投射対象の画像に対する処理を主に行う対象処理部分と、投射に係る処理を行う投射処理部分と、輝度調整及び投射準備のオート調整に係る処理を主に行う調整処理部分とに大別される。対象処理部分には外部接続部4及び画像変換部5が含まれ、投射処理部分には色制御部6、テストパターン画像切替部7、投射デバイス部8、投射レンズ駆動部9、及び投射レンズ2が含まれ、調整処理部分にはカメラ部3及び検出部11が含まれる。また、プロジェクタ1は、ユーザからの操作を受け付ける部分として操作部12及びリモートコントローラ(以下、リモコンと称す)20のリモコン受光部13を備え、装置の全体的な制御を行う部分としてシステムコントロール部10を有している。以下、プロジェクタ1の各部を詳説する。
外部接続部4は、投射対象の画像を出力する外部機器との接続を行い、外部機器から出力されてきた画像を画像変換部5へ伝送する。画像変換部5は、システムコントロール部10の制御に基づきA/D変換のような所要の変換処理を行うものであり、変換処理を施した画像を投射デバイス部8へ伝送する。
色制御部6は、投射される画像光の色を調整する処理を行うものであり、システムコントロール部10の制御に基づきR(赤)、G(緑)、B(青)の各色のバランスを調整して色補正を行う。また、テストパターン画像切替部7はオート調整機能における色補正用の複数のテストパターン画像をシステムコントロール部10の制御に基づき生成し、生成したテストパターン画像を投射デバイス部8へ伝送する処理を行う。なお、投射されるテストパターン画像としては、所定色が全画面的に表示される色補正用画像以外に、図5に示すズーム調整用及び台形補正用のテストパターン画像30等がある。
投射デバイス部8は、投射対象の画像(画像信号)を光変調する空間光変調素子を備え、画像変換部5、テストパターン画像切替部7、及び後述するシステムコントロール部10から伝送されてくる各種画像(画像信号)に基づき、図示しない光源の空間光を空間光変調素子で変調して画像を生成し、その画像に係る変調光を投射レンズ2を通じて外部へ照射させている。
投射デバイス部8の空間光変調素子としては液晶パネル及びDMD等を適用でき、液晶パネルを適用した場合は、伝送されてきた各種画像(画像信号)を液晶パネルに表示して生成し、表示(生成)された画像に係る変調光を照射する。また、DMDを適用した場合は、伝送されてきた各種画像(画像信号)をDMDが有する複数のミラーの傾きを適宜制御することで生成し、生成した画像に係る反射光(変調光)を照射する。液晶パネルを用いた場合での生成した画像の輝度調整は、システムコントロール部10の制御により画像が画素毎に有するオリジナルの輝度値を修正することで液晶パネルに表示される輝度が調整され、DMDの場合もシステムコントロール部10の制御により各ミラーで生成される画像の輝度が調整される。以下の本実施形態では、空間光変調素子に液晶パネルを適用した場合で説明するが、DMDを適用した場合でも処理的には同様になる。
図4に示すように本実施形態の投射デバイス部8の液晶パネル8aは、水平方向に1024画素、垂直方向に768画素の矩形状の表示範囲(画像生成範囲)を備え、液晶パネル8aの表示範囲は画素数に応じたプロジェクタ座標系として規定されている。よって、投射対象の画像信号が有する水平及び垂直方向の各画素に対応したプロジェクタ座標系の座標値を投射デバイス部8が受け付けると、この座標値に基づき投射デバイス部8は液晶パネル8aに表示する画像の位置及び寸法を特定して画像を表示する。なお、図4の液晶パネル8a中に示すスクリーンSの輪郭形状は、プレジェクタ座標系でのスクリーンSの位置を示すために仮想的に図示したものであり、液晶パネル8aで表示されるものではない。
また、図1に示す投射レンズ駆動部9は、投射レンズ2を移動させるモータを有しており、システムコントロール部10の制御に従いモータを駆動することで投射レンズ2の位置を調整し、スクリーンSへの投射に係る焦点調整及び画像寸法調整(ズーム調整)を行う。なお、本実施形態の投射レンズ2は、投射レンズ2のレンズ中心を通る光軸K(図2(a)(b)参照)に対してスクリーンSに表示される画像がオフセットされるように投射を行う。
図1に示すカメラ部3は、撮像を行う撮像手段としてCCD3aを内蔵しており、CCD3aはシステムコントロール部10の制御に基づき、輝度調整及び投射準備のオート調整処理のためにスクリーンS及び照射により表示された各種テストパターン画像の撮像を行い、撮像画像を検出部11へ伝送する処理を行う。CCD3aは図3に示すように、水平方向に320個、垂直方向に256個の受光素子を並べて形成されており、この受光素子数に応じたカメラ座標系がCCD3aに対して規定されている。なお、CCD3aに係るカメラ座標系及び上述した液晶パネル8aのプロジェクタ座標系での各座標値は、システムコントロール部10で所要の変換式に基づき対応付けが行われる。例えば、図3に示すCCD3aで撮像されたカメラ座標系のスクリーンSは、プロジェクタ座標系では図4の液晶パネル8aの表示範囲内で示す位置に対応付けられる。
検出部11は、カメラ部3から送られてくる撮像画像中の撮像物の検出を行うものであり、CCD3aで撮像されたスクリーンSの四隅の検出、図5のテストパターン画像30の四隅30a〜30dの位置関係及び太枠部30eの形状等の検出、並びに色補正用テストパターン画像の色検出等を行う。検出部11は、検出した結果をシステムコントロール部10へ伝送する。
また、プロジェクタ1に設けられた操作部12は複数のボタン及びスイッチ等を有し、これらボタン及びスイッチ等でユーザの操作指示を受け付けて、システムコントロール部10へ伝送する。さらに、リモコン受光部13はリモコン20からの操作信号を受け付けてシステムコントロール部10へ伝送する。リモコン20には、複数のボタンに加えて上下左右の選択キー及び決定キーが設けてあり、プロジェクタ1から投射されるOSD(On Screen Display)のメニュー画像で表示される複数の項目の中から所要の項目を選択キー及び決定の操作でユーザが選択できるようにしている。
上述した各部5、6等に対する制御、装置の全体的な制御、及び各種処理(AGC等)を行うシステムコントロール部10はROM10a及びRAM10bを有する。ROM10aにはシステムコントロール部10が行う制御及び処理内容を規定したプログラム、各種テストパターン画像、及び各種メニュー画像(画像信号)が予め記憶されており、RAM10bには処理に係るデータ等が一時的に記憶される。
本実施形態のシステムコントロール部10は、ROM10に記憶されたプログラムに基づき各種制御処理を行い、電源ボタン(図示せず)がONされると、先ずカメラ部3のCCD3aで撮像を行うように制御する。よって、プロジェクタ1がスクリーンSに対して設置された状況で電源ボタンがONされると、CCD3aで自動的にスクリーンSが撮像されることになる。また、CCD3aでの撮像画像におけるスクリーンSの形状は、プロジェクタ1の設置状況に応じて変化する。
図3に示すCCD3aで撮像されたスクリーンSの形状は、プロジェクタ1が図2(a)(b)に示す状況で設置された場合のものを示す。即ち、プロジェクタ1が、図2(a)に示すように、スクリーンSの投射面Saの左側で、投射に係る光軸KがスクリーンSの投射面Saの中心Cを通り、且つ図2(b)に示すように光軸KはスクリーンSの下端部分Sbに向かうように設置された場合(スクリーンSに対して左下に設置された場合)では、矩形のスクリーンSの撮像画像は、図3に示すように歪んだ形状になる。詳しくは、プロジェクタ1から最も離れた隅となるスクリーンSの右上の第2角点S2を中心にして、第1角点S1と第2角点S2とを結ぶ上辺S5、及び第2角点S2と第3角点を結ぶ右辺S6が他の辺S7、S8に比べて傾斜した四辺形になる。
なお、プロジェクタ1が図2(a)(b)に示す状況と相異して設置された場合は、CCD3aで撮像されたスクリーンSの画像形状も図3に示す形状と相異する。例えば、プロジェクタ1がスクリーンSに対して右下に設置された状況では、スクリーンSの撮像画像は図3の四辺形が左右反転した形状になり、左上に設置された状況では図3の四辺形が上下に反転した形状になり、右上に設置された状況では図3の四辺形が上下左右に反転した形状になる。また、プロジェクタ1がスクリーンSの中央下に設置された状況では、スクリーンSの撮像画像は上辺が短くなった等辺台形になり、スクリーンSの中央上に設置された状況では、下辺が短くなった等辺台形になる。
電源ボタンのONによる撮像後、システムコントロール部10はCCD3aで撮像された画像に対してスクリーンSの四隅の第1角点S1〜第4角点S4の位置を検出部11で検出させる。それから、システムコントロール部11は、検出部11の検出結果に基づきプロジェクタ1から各角点S1〜S4までの離隔度合を夫々算出する。図2(a)(b)に示す設置状況では、図3に示す各角点S1〜S4の位置より、システムコントロール部10は、傾斜した上辺S5及び右辺S6の交点となる第2角点S2の離隔度合が最長と算出し、傾斜のない下辺S7及び左辺S8の交点となる第4角点S4の離隔度合が最短と算出し、第1角点S1及び第3角点S3に対する離隔度合は同等で最長と最短との間であると算出する。
さらに、システムコントロール部10は図3に示すように、算出された離隔度合が最短となる第4角点S4から離隔度合が最長となる第2角点S2までスクリーンSの領域を複数の区域A1〜A15に分割する処理を行う。各区域A1〜A15を分ける境界線は算出した各離間度合と撮像されたスクリーンSの歪み形状に応じて決定されており、本実施形態では離間度合が同等となる第1角点S1と第3角点S3とを結ぶ線分に平行な右下がりの境界線でスクリーンSの領域を計15個の区域A1〜A15に分割している。
そして、システムコントロール部10は、分割した各区域A1〜A15に対して投射デバイス部8の液晶パネル8aで表示する投射用画像の輝度を調整するための重み付け数値の規定を行う。本実施形態では、輝度を調整しない状態でプロジェクタ1の設置状況の影響を考慮すると、離隔度合が最短となる第4角点S4に係る第1区域A1の輝度が最も明るく、最遠となる第2角点S2に係る第15区域A15の輝度が最も暗くなると考えられるため、第1区域A1から第15区域A15へ輝度を上昇させるようにプロジェクタ1の設置状況の影響を是正する方向で調整を行う重み付け数値を規定する。
例えば、システムコントロール部10は、第15区域A15には輝度修正に係る重み付け数値として「0」を規定し、以下、第14区域A14には「−2」、第13区域A13には「−4」、第12区域A12には「−6」、第11区域A11には「−8」、第10区域A10には「−10」、第9区域A9には「−12」、第8区域A8には「−14」、第7区域A7には「−16」、第6区域A6には「−18」、第5区域A5には「−20」、第4区域A4には「−22」、第3区域A3には「−24」、第2区域A2には「−26」、第1区域A1には「−28」と夫々重み付け数値を規定する。
さらに、システムコントロール部10は、各区域A1〜A15に対応する図4に示す液晶パネル8aに係るプロジェクタ座標系での座標範囲を夫々算出し、算出した座標範囲毎に上述した重み付け数値を割り当てた修正輝度パターンを作成し、この修正輝度パターンをRAM10bに記憶する処理を行う。このように修正輝度パターンを作成してから、次に投射準備に係る各処理を行うようにシステムコントロール部10はプログラミングされている。
投射準備の処理では、システムコントロール部10は、先ず色補正を行うために、テストパターン画像切替部7で生成した色補正用のテストパターン画像を投射デバイス部8の液晶パネル8aで表示するが、この際、オリジナルのテストパターン画像が有する輝度の数値に上述した修正輝度パターンで規定された重み付け数値を加えて輝度修正を行う。
本実施形態では、テストパターン画像の第15区域A15に対応する画像部分の輝度の数値は変更されないが、第14区域A14に対応する画像部分の輝度数値は「2」減じられ、第13区域A13に対応する画像部分の輝度数値は「4」減じられ、以下、同様に輝度数値の減算が行われ第1区域A1に対応する輝度数値は「28」減じられる。よって、オリジナル画像の第1区域A1に対応する画像部分が「150」と云う輝度値を有する場合、輝度修正により、その画像部分の輝度値は「122」と云う数値に変更される。なお、上述した第15区域A15以外の各区域A1〜A14に対応する部分の重み付け数値が負の値の修正輝度パターンを用いると、画像の大部分の輝度が下げられるので、画像が有する輝度の明るい部分を基準としたシステムコントロール部10が行うAGC機能に対する影響が低減され、画像の暗い部分も鮮明に表示しやすくなる。
このように輝度の調整が行われたテストパターン画像は液晶パネル8aで画像Gとして表示され(図4参照)、この表示生成された画像Gに係る変調光が光源により投射レンズ2を通じてスクリーンSへ投射される。その結果、スクリーンSに対して斜めにプロジェクタ1が設置された場合でも、スクリーンSには輝度ムラが低減又は解消された画像を表示できるようになる。
さらにまた、システムコントロール部10は、スクリーンSに画像(テストパターン画像)を表示すると、カメラ部3で撮像を行い、撮像した画像を検出部11で検出し、検出結果に基づきスクリーンSに表示される画像の色が本来の色となるように色制御部6に色味及び色調等を調整する指示を出す。色調整が終了するとシステムコントロール部10は、焦点調整用のテストパターン画像に対し上記と同様に輝度修正を行ってから投射処理を行い、カメラ部3で撮像を行い、スクリーンSに対して合焦するように投射レンズ駆動部9の制御を行う。
さらに、システムコントロール部10は、図5に示すズーム調整用及び台形補正用のテストパターン画像30に対しても同様に輝度修正を行ってから投射処理を行い、テストパターン画像30を表示してカメラ部3で撮像する。なお、図2(a)(b)に示すプロジェクタ1の設置状態でズーム調整及び台形補正が行われる前は、図7(a)に示すようにテストパターン画像30はスクリーンSをはみ出して太枠部30eがスクリーンSの周囲に表示されると共に四隅の各角部30a〜30dも矩形状の配置にならない場合があるが、ズーム調整及び台形補正処理としてシステムコントロール部10が投射デバイス部8の液晶パネル8aに対するプロジェクタ座標系の座標値を適宜変換することで、図7(b)に示すようにスクリーンSの各角点S1〜S4の内方にテストパターン画像30の角部30a〜30dが収まるように表示される。
図7(b)に示す表示形態を得ることで、プロジェクタ1の投射準備に係る処理が完了する。上述した投射準備においては、表示される各種テストパターン画像の輝度ムラが抑制されることから、カメラ部3で撮像される各種テストパターン画像も鮮明となり、検出部11でもテストパターン画像の色合い、四隅、及び形状等の検出を精度良く行うことができ、投射準備の処理精度を従来に比べて向上できる。
投射準備の完了後は、システムコントロール部10は、本来ユーザがスクリーンSに表示したい画像の投射処理に移行するように制御を行う。具体的には、外部接続部4を通じて外部から受け付けた画像を画像変換部5で所要の処理を施し、投射デバイス部8の液晶パネル8aに表示させるが、この際も、RAM10bに記憶されている修正輝度パターンに従ってオリジナルの画像が有する輝度値を修正して液晶パネル8aで画像を表示生成する制御を行う。そのため、スクリーンSに表示される画像からプロジェクタ1の斜め設置による影響は排除され、輝度ムラのない自然な画像をスクリーンSに表示できる。
上述したシステムコントロール部10の制御に基づくプロジェクタ1での画像を表示するまでの一連の処理を整理すると図6に示すフローチャートのような流れになる。
先ず、プロジェクタ1は設置されて電源ボタンがオンされると、スクリーンS(被投射体)の撮像を行い(S1)、撮像したスクリーンSの画像よりスクリーンSの四隅を検出し(S2)、プロジェクタから四隅までの離隔度合を算出し(S3)、算出した離隔度合に基づき重み付け数値を規定してプロジェクタ座標系に係る修正輝度パターンを決定する(S4)。なお、決定した修正輝度パターンはシステムコントロール部10のRAM10bに保存される。ここまでの処理は画像投射前の輝度調整の段階である。
次に、投射準備に係る各種調整及び補正処理として、プロジェクタ1はテストパターン画像を修正輝度パターンに基づき輝度を調整して生成し(S5)、生成したテストパターン画像に係る変調光を投射してテストパターン画像をスクリーンSに表示する(S6)。表示したテストパターン画像を撮像し(S7)、撮像した結果に基づき調整及び補正を行う(S8)。これで投射準備に係る処理の段階が完了する。なお、上述したS5からS8の各処理は投射準備に係る項目(色補正、合焦調整等)毎に繰り返し行われる。
最後に、投射画像の表示を行う処理段階として、投射対象の画像を修正輝度パターンに基づき輝度を調整して生成し(S9)、生成した画像に係る変調光を投射して画像をスクリーンSに表示する(S10)。
なお、本実施形態のプロジェクタ1は、上述した形態に限定されるものではなく、種々の変形例の適用が可能である。例えば、輝度調整に係るスクリーンSの撮像は電源ボタンのONに連動して行う以外に、ユーザの操作に基づき撮像を行うことも可能であり、また、投射準備に係る処理の開始に連動させてスクリーンSを撮像して輝度調整処理を行うようにしてもよい。また、投射準備を行う項目としては色補正、合焦調整、ズーム調整用、及び台形補正用の全てを行わずに、プロジェクタ1の仕様又はグレード等に応じて少なくともいずれか一つの項目を行うようにしてもよい。
さらに、各区域A1〜A15に割り当てる重み付け数値は、上述したように離隔度合が最短となる第1角点S1に係る第1区域A1の輝度値を下げるように重み付け数値を規定する以外には、別の重み付け数値の規定の仕方を適用してもよく、プロジェクタ1が設置される建物内の室の明るさの状況、表示しようとする画像の明るさの度合等に応じて適宜変更できる。
例えば、撮像されたスクリーンSの画像の最大輝度値が、投射デバイス部8で表現できる最大の輝度数値を超えている場合は、スクリーンSの最大輝度値が投射デバイス部8で対応できる輝度値になるように撮像画像に対応する重み付け数値を決定することが、輝度に破綻が生じない画像を表示させる観点から重要である。この場合は、最大輝度値が投射デバイス部8で表現できる輝度値になるよう下げてから、各区域A1〜A15に対して離隔度合に応じた重み付け数値を割り当てることが好適である。
また、表示しようとする画像が暗く、輝度を全体的に上昇させる方向で輝度ムラを無くすように調整を行う場合は、図3に示す各区域A1〜A15に対し、第1区域A1には輝度修正に係る重み付け数値として「0」を規定し、以下、第2区域A2には「2」、第3区域A3には「4」、第4区域A4には「6」、第5区域A5には「8」、第6区域A6には「10」、第7区域A7には「12」、第8区域A8には「14」、第9区域A9には「16」、第10区域A10には「18」、第11区域A11には「20」、第12区域A12には「22」、第13区域A13には「24」、第14区域A14には「26」、第15区域A15には「28」と云うように重み付け数値を規定してもよい。
さらにまた、離隔度合の最短の箇所に対応する画像部分の輝度を下げて、且つ最長の箇所に対応する画像部分の輝度を上げるように重み付け数値を規定することも可能である。この場合は、第1区域A1に「−14」、第2区域A2に「−12」、第3区域A3に「−10」、第4区域A4に「−8」、第5区域A5に「−6」、第6区域A6に「−4」、第7区域A7に「−2」、第8区域A8に「0」、第9区域A9に「2」、第10区域A10に「4」、第11区域A11に「6」、第12区域A12に「8」、第13区域A13に「10」、第14区域A14に「12」、第15区域A15に「14」と云うように重み付け数値を規定してもよい。このような重み付け数値の割当により画像の輝度が全体的に適切になるようにした上で、輝度ムラが解消される。なお、隣接する区域間の重み付け数値の差の絶対値は「2」に限定されるものではなく、適宜増減できる。
また、図3に示す各区域A1〜A15の分割の仕方は一例であり、他の分割の仕方及び分割数を増減することも可能である。分割数を増加した場合はグラデーション的に輝度ムラを抑制でき、分割数を減少した場合は輝度調整に係る処理負担を低減できる。さらに、分割の仕方としては、図8に示すように格子状に各区域A1〜Anへと分割してもよい。このように格子状に分割する場合は、スクリーンSの各角点S1〜S4への離隔度合が最短から最長までの4つの順位に分かれるとき等に好適であり、一段と詳細に輝度ムラを抑制できる。
上述した重み付け数値の割当、及び各区域A1〜A15等の区分けの仕方に対しては、メニュー等によりユーザが選択又は設定できるようにしてもよく、さらには、いくつかのパターンを予めプロジェクタ1が記憶しておき、その中からプロジェクタ1が自動で又はユーザにより選択できるようにしてもよい。
また、スクリーンSの離隔度合を算出する対象はスクリーンSの各角点S1〜S4に限定されるものではなく、スクリーンS中の所要の箇所を算出対象にしてもよい。例えば、プロジェクタ1がスクリーンSの中央下、及び中央上等に設置された場合は、スクリーンSの投射面上のプロジェクタ1の光軸に係る点を算出対象に加えてもよい。この場合は、光軸に係る点の離隔度合が最短の箇所になり、光軸に係る点に対応する部分の輝度を下げるように調整することが好適である。なお、上述した処理は、被投射体としてスクリーンSに基づき説明しているが、スクリーンS以外のホワイトボード等の被投射体に対しても本発明は同様に適用でき、四隅の角点が明確でない白壁のような被投射体に対しても離隔度合を算出する対象箇所をマーキング又はカメラ座標系で指定することにより同様に適用可能である。
本発明の実施形態に係るプロジェクタの内部構成を示すブロック図である。 プロジェクタの設置状況を示し、(a)は鳥瞰方向からの概略図、(b)は側方からの概略図である。 CCD及び撮像されたスクリーン形状を示す概略図である。 液晶パネル及び表示した画像を示す概略図である。 テストパターン画像の一例を示す概略図である。 プロジェクタの輝度調整、オート調整、及び画像表示に係る処理の流れを示すフローチャートである。 (a)はズーム調整及び台形補正前の表示状態を示す概略図であり、(b)は調整及び補正後の表示状態を示す概略図である。 スクリーンに対する区分けの変形例を示す概略図である。
符号の説明
1 プロジェクタ
2 投射レンズ
3 カメラ部
3a CCD
8 投射デバイス部
8a 液晶パネル
10 システムコントロール部
11 検出部
12 操作部
20 リモコン
30 テストパターン画像
K 光軸
A1〜A15 第1区域〜第15区域
S スクリーン
S1〜S4 第1角点〜第4角点

Claims (5)

  1. 空間光変調素子により生成した画像に係る変調光を被投射体へ投射して被投射体に画像を表示するプロジェクタにおいて、
    撮像を行う撮像手段と、
    該撮像手段が被投射体を撮像した場合、被投射体画像に基づき被投射体の複数箇所までの離隔度合を算出する算出手段と、
    該算出手段が算出した各箇所の離隔度合に応じて前記空間光変調素子で生成する画像の輝度を調整する輝度調整手段と
    前記輝度調整手段が輝度を調整して生成したテストパターン画像に係る変調光を投射する手段と、
    被投射体に表示されたテストパターン画像を前記撮像手段で撮像した結果に基づき焦点調整、色補正、寸法調整、又は台形歪み補正の少なくともいずれか1つを行う手段と
    を備えることを特徴とするプロジェクタ。
  2. 前記算出手段が算出した離隔度合が最短になる箇所から離隔度合が最長になる箇所へ上昇する重み付け数値を規定する手段を備え、
    前記輝度調整手段は、被投射体への表示に対して被投射体の各箇所に対応する画像の部分を前記重み付け数値に基づき輝度を調整するようにしてある請求項1に記載のプロジェクタ。
  3. 前記輝度調整手段は、前記算出手段が算出した離隔度合が最短になる箇所に対応する画像部分の輝度を下げる請求項1又は請求項2に記載のプロジェクタ。
  4. 前記輝度調整手段は、前記算出手段が算出した離隔度合が最長になる箇所に対応する画像部分の輝度を上げる請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のプロジェクタ。
  5. 前記算出手段は、矩形状の被投射体の四隅に対して離隔度合を算出するようにしてある請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のプロジェクタ。
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