JP4469966B2 - 水性印刷インキと、これを用いた印刷物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方を含むアクリル系樹脂を有するワニスに顔料を含有した水性印刷インキに、ワニス成分としてポリカルボジイミド系樹脂を含有したインキを用いることにより、常温、又は、加熱乾燥で高光沢の印刷物が得られる、水性印刷インキと、これを用いた印刷物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グラビア印刷は、低粘度系のインキを用い、多くの基材に多色印刷するのに使われてきたが、低粘度化するために有機溶剤を多く使用する必要があり、作業環境や大気汚染などの問題から、脱溶剤化が求められ、インキの水性化の開発が行われてきている。しかし、まだ残された問題点も多く、その一つが水性印刷インキの堅牢性が劣る点と、印刷物の光沢が溶剤型インキに劣るという問題があった。堅牢性の改善のために、ワニス成分としてのカルボキシル基に架橋するものとして、アジリジン化合物、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物等により印刷物の品質向上を図る提案がされてきた。
【0003】
一般的にアジリジン化合物、エポキシ化合物等の架橋剤をインキ中に添加すると、インキが増粘することで混合後のインキの保存安定性が非常に短く、且つ、印刷機上での安定性、作業環境の問題が生じていた。また、オキサゾリン化合物は、印刷後に熱処理を必要とするため常温では架橋効果がなかった。しかも、一般的にアクリル系樹脂と架橋剤における反応は、常温では反応効率が劣る傾向であったことから、後処理として加熱を必要とするものが多く、更に反応段階で二酸化炭素といった副生成物が生じることで、インキ皮膜の中に気泡やピンホールを生じることから、印刷物品質へ悪影響を及ぼす問題があった。
【0004】
その中で、特開平06−16988公報には、ポリカルボジイミド化合物を含有した印刷インキを用いることで、各種プラスチックフィルムなどの非吸収性基材に対して優れた接着性を示し、印刷物の耐ブロッキング性及び耐酢酸エチル性が優れ、更にラミネートフィルムの耐熱性に優れる印刷インキとして提案されている。しかしながら、紙等の吸収性基材に対する印刷適性、また、印刷物の光沢の問題があった。
【0005】
更に、特開平10−315615公報には、水溶性又は水分散性カルボジイミド化合物を主成分とする架橋剤は、常温でも化学反応性がよく、しかも、反応に伴う副生成物がなく、耐熱性、接着性及び耐水性が良好で、極めて毒性の低いものとして提案されている。その中でも、PVA樹脂に水溶性又は水分散性カルボジイミド化合物を主成分とする架橋剤を配合してなる組成物をシート基材の表面にコーティングすることにより、インク吸収速度、耐水性、高鮮明な記録、印刷を可能としたインクジェット記録用等の印刷記録用シートとして提案されている。しかしながら、これらのいずれもが、印刷物の耐水性の向上のために、架橋剤の検討がなされたもので、印刷物の光沢の改善を目的としたものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述した問題点を解決することを目的としたもので、水性印刷インキにおいて、アクリル系樹脂中のカルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方に適した架橋剤として、カルボジイミド基を有するポリカルボジイミド系樹脂が、水性印刷インキに適し、インキ粘度にほどんど影響を与えず、紙等の吸収性基材及びプラスチック等の非吸収基材へのインキ転移性の低下をまねくことなく、良好で、且つ、安定な印刷適性を保ち、印刷後に、常温、又は、加熱乾燥で高光沢の印刷物が得られる架橋剤であることを見いだし、ワニス成分としてアクリル系樹脂中のカルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方を含むアクリル系樹脂に対して、ポリカルボジイミド系樹脂を含有した水性印刷インキと、これを用いた印刷物及びその製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、このような現状を鑑み、アクリル系樹脂中のカルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方に適した架橋剤、つまり、ポリカルボジイミド系樹脂を用いることで上記記載の目的を達成することを見いだした。
【0008】
▲1▼本発明は、ワニス成分としてカルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方を含むアクリル系樹脂を揮発性塩基で中和し、顔料を含有する水性印刷インキにおいて、ワニス成分としてアクリル系樹脂中のカルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方を含むアクリル系樹脂100重量部に対して、ポリカルボジイミド系樹脂1〜150重量部を含有したことを特徴とする水性印刷インキである。
【0009】
また、▲2▼本発明は、▲1▼の水性印刷インキを用い、グラビア印刷機又はフレキソ印刷機により、基材に印刷後、赤外線乾燥装置又は熱風乾燥装置により、加熱乾燥を行い、印刷物を得ることを特徴とする印刷物の製造方法である。
【0010】
また、▲3▼本発明は、▲1▼の水性印刷インキを用いて、グラビア印刷機又はフレキソ印刷機により、基材に印刷して作成してなることを特徴とする印刷物である。
【0011】
また、▲4▼本発明は、▲1▼の水性印刷インキを用い、グラビア印刷機又はフレキソ印刷機により、基材に印刷後、赤外線乾燥装置又は熱風乾燥装置により、加熱乾燥を行い得られた印刷物である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、水性印刷インキのバインダーの一部としてポリカルボジイミド系樹脂を添加剤的に加えたものである。これによってインキ皮膜は多くの基材に対して、インキ転移性の低下をまねくことなく、良好で、且つ、安定な印刷適性を維持しつつ、水性インキを利用した印刷物の光沢の向上を図ることが可能となり、大気汚染防止対策、労働安全衛生法に基づく作業環境測定や特殊健康診断の義務の軽減、消防法上の緩和、及び、火災の危険が大幅に改善されると共に、品質の向上を同時に達成することが可能となる。
【0013】
本発明のワニス成分としてカルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方を含むアクリル系樹脂を揮発性塩基で中和し、顔料を含有する水性印刷インキにおいて、カルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方を含むアクリル系樹脂100重量部に対して、カルボキシル基を有するポリカルボジイミド系樹脂1〜150重量部を配合し分散する水性インキであり、更に好ましくは、本発明の配合割合は、カルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方を含むアクリル系樹脂100重量部に対して、カルボキシル基を有するポリカルボジイミド系樹脂50〜100重量部が良い。また、前記各成分の他にアルコール等が添加され、また、必要に応じて顔料、分散剤、消泡剤、ワックス、潤滑剤等を添加し、ボールミル、アトライタ、サンドミル等の分散機により水に溶解分散させることにより調整される。
【0014】
カルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方を含むアクリル系樹脂100重量部に対して、カルボキシル基を有するポリカルボジイミド系樹脂1重量より少ない場合、水性印刷インキにおいては、インキの貯蔵安定性や機上安定性は良好であるが、印刷光沢が向上する傾向が少なくなり、また、カルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方を含むアクリル系樹脂100重量部に対して、カルボキシル基を有するポリカルボジイミド系樹脂150重量より多い場合、印刷光沢が向上する傾向にあるが、インキの貯蔵安定性、印刷機上での印刷品質の安定性が劣ることから、配合設計上の余裕がなくなる傾向にあるので、好ましくない。
【0015】
本発明に係る水性印刷インキのバインダー成分においては、印刷インキのバインダー成分として知られているものが使用され、水溶性樹脂、水分散性樹脂、その中間的なハイドロゾル型樹脂が使用される。具体的には、シェラック、ロジン変性マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル酸樹脂、アクリル酸エステル−アクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ウレタン変性アクリル酸樹脂、水溶性ウレタン、水溶性ポリエステル樹脂の単独、又は、これらの混合物からなる樹脂、水溶性樹脂を保護コロイドとするコロイド状水性樹脂等が挙げられる。このうち、特に印刷物品質の点から、水性印刷インキにはカルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方を持ったアクリル系樹脂が適しているが、混合系樹脂からなるカルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方を有するものでも良い。
【0016】
本発明に係る印刷インキ組成物として使用するカルボキシル基を有するアクリル系樹脂の酸価においては、3〜300のもので、及び、重量平均分子量においては、3000〜50000の範囲のポリマーであるものが好ましい。
【0017】
本発明に係るバインダーに使用されるアクリル系樹脂のカルボキシル基を塩基性化合物を用いて中和し、樹脂を親水性化して水に分散させる際に使用する揮発性の塩基性化合物においては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンの如き有機アミン等が挙げられる。
【0018】
本発明に係る架橋剤のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド系樹脂においては、ジイソシアネートとして高分子ジオールと有機ジイソシアネートの反応によって得られる末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーからなり、また、末端イソシアネート基を親水基で封止してなる、少なくとも1個の−NCN−基を有する水溶性又は水分散性カルボジイミド化合物である。
【0019】
本発明に係る顔料とカルボキシル基を有する樹脂との割合においては、顔料100重量部に対して、樹脂の固形分で1〜200重量部の範囲が好ましい。樹脂の使用量が1重量部よりも少ない場合、顔料を充分微細に分散しにくくなる傾向にあり、また、200重量部よりも多い場合、分散体中の顔料の割合が少なくなり、水性顔料分散体を印刷インキ等に用いた時、配合設計上の余裕がなくなる傾向にあるので、好ましくない。
【0020】
本発明に係る水性印刷インキとして使用する顔料においては、有機顔料、無機顔料や体質顔料が使用できる。一般的にグラビア印刷で使用される顔料は、例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、パーマネントレッド、ジオキサジン系、キナクリドン系、アゾ系金属錯体、スレンブルー等が挙げられる。また、粉末、水性スラリー、プレスケーキといった水に分散した状態の顔料であっても良い。
【0021】
本発明に係る有機溶剤においては、一般的に使用されるものはすべて使用できるが、樹脂に対する溶解性が良く、樹脂の合成上も問題がないもの、蒸気圧が水より高く、脱溶剤し易いもの、更に、水と混和性のあるものが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、グリコールエーテル類等が特に好ましい。
【0022】
本発明の係るインキ転移性の低下をまねくことなく、良好で、且つ、安定的な印刷適性が得られるインキ粘度とは、B型粘度計(No.3、60rpm、25℃)で0.1〜10Pの範囲が好ましい。インキ粘度が10Pより高い場合、インキの流動性が低下することで、インキ転移率が減少する傾向にあるので、好ましくない。
【0023】
本発明に係る印刷方式は、フレキソ印刷、グラビア印刷方式が好ましい。本発明に係るグラビア印刷は、機械的彫刻、又は、化学的腐食法等を用いて製造した版面に、ドブ付けあるいはファニッシャーロール等を用いて、版面全体に印刷インキをつけ、ドクターにより余分なインキを掻き落とした後、多くの基材に印刷を行うものである。
【0024】
本発明に係る水性印刷インキを使用した印刷物の乾燥においては、加熱乾燥としては熱風乾燥、遠赤外線乾燥等の強制的な加熱乾燥はもちろん常温でも架橋効果があるので特に制限はない。なお、印刷物の光沢の向上を図るならば、熱風乾燥、遠赤外線乾燥等の強制的な乾燥方法を行うことが特に好ましい。
【0025】
本発明に係る多くの基材においては、上質紙、コート紙などの用紙、プラスチックフィルムなどであり、切手用紙、収入印紙用紙等も含まれる。
【0026】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例により、具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0027】
なお、本実施例及び比較例では、カルボジイミドを有するポリカルボジイミド系樹脂としては、商品名として、カルボジライトV−02−L2(日清紡(株)製)を用い、また、アクリル系樹脂としては、アンモニア、アミン等で中和されたJONCRYL 61J(ジョンソンポリマー(株)製)を用いた。
【0028】
(実施例1)水性印刷インキA−1の製造
表1に示した配合割合に基づき、カルボキシル基を含むアクリル系樹脂(JONCRYL 61J:ジョンソンポリマー(株)製)を水及びイソプロピルアルコールからなる助剤で希釈し、適性粘度としたワニスと顔料を混合し、ボールミルで顔料分散して得られる水性印刷インキに、ポリカルボジイミド系樹脂(カルボジライトV−02−L2:日清紡(株)製)を常温で撹拌混合して水性印刷インキA−1の作製をした。
【0029】
(実施例2)水性印刷インキB−1の製造
実施例1と同様の方法で表1に示した配合割合に基づき、水性印刷インキB−1を作製した。
【0030】
(比較例1)水性印刷インキC−1の製造
表1に示した配合割合に基づき、カルボキシル基を含むアクリル系樹脂(JONCRYL 61J:ジョンソンポリマー(株)製)を水及びイソプロピルアルコールからなる助剤で希釈し、適性粘度としたワニスと顔料を混合し、ボールミルで顔料分散して得られる水性印刷インキC−1を作製した。
【0031】
【表1】
【0032】
水性印刷インキA−1、B−1は表1の配合割合でポリカルボジイミド系樹脂(カルボジライトV−02−L2:日清紡(株)製)がそれぞれに含有された水性印刷インキであり、水性印刷インキC−1はポリカルボジイミド系樹脂(カルボジライトV−02−L2:日清紡(株)製)が含有されていない水性印刷インキである。
【0033】
水性印刷インキA−1、B−1、C−1のインキ粘度を、B型粘度計(No.3、60rpm、25℃)を用いて測定した。
【0034】
【表2】
【0035】
水性印刷インキA−1、B−1、C−1のインキ粘度は、表2に示すとおりであった。ポリカルボジイミド系樹脂(カルボジライトV−02−L2:日清紡(株)製)/カルボキシル基を含むアクリル系樹脂(JONCRYL 61J:ジョンソンポリマー(株)製)=50重量部/100重量部の割合でポリカルボジイミド系樹脂(カルボジライトV−02−L2:日清紡(株)製)を加えてもインキ粘度変化はなく、更に、ポリカルボジイミド系樹脂(カルボジライトV−02−L2:日清紡(株)製)/カルボキシル基を含むアクリル系樹脂(JONCRYL 61J:ジョンソンポリマー(株)製)=100重量部/100重量部の割合でポリカルボジイミド系樹脂(カルボジライトV−02−L2:日清紡(株)製)を加えても、インキ粘度が大きく変化することはなかった。
【0036】
常温乾燥による印刷物の作製
水性印刷インキA−1、B−1、C−1を、線数250線、版深20μmからなるグラビア版面の画線部に充填し、490N/cmの印刷圧力を加え、コート紙に印刷し、印刷物を常温(25℃、RH50%)で放置乾燥させ、それぞれのA−1−1、B−1−1、C−1−1の印刷物を作製した。
【0037】
強制乾燥による印刷物の作製1
水性印刷インキA−1、B−1、C−1を、線数250線、版深20μmからなるグラビア版面の画線部に充填し、490N/cmの印刷圧力を加え、コート紙に印刷し、印刷後ただちに、熱風乾燥機(PH-200 TABAI製)を用い、印刷インキ中に含有する中和剤を揮発させ、ワニス成分としてアクリル系樹脂中のカルボキシル基、水酸基の活性水素基とカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド系樹脂(カルボジライトV−02−L2:日清紡(株)製)との反応を促進させるため、乾燥温度60℃で15分加熱乾燥させ、それぞれのA−1−2、B−1−2、C−1−2の印刷物を作製した。
【0038】
強制乾燥による印刷物の作製2
実施例1、実施例2、比較例1の水性印刷インキA−1、B−1、C−1を強制乾燥による印刷物の作製1と同様の方法で、乾燥温度80℃で15分加熱乾燥させ、それぞれのA−1−3、B−1−3、C−1−3の印刷物を作製した。
【0039】
常温乾燥による印刷物の作製、強制乾燥による印刷物の作製1及び強制乾燥による印刷物の作製2で得られたそれぞれの印刷物について印刷光沢、印刷濃度、耐薬品性、耐摩擦性の品質評価を下記の方法により実施した。
【0040】
印刷物の品質評価例1(印刷光沢)
印刷物の品質評価は、数日経過した状態のものを比較することとし、印刷物の光沢はGLOSS METER(GM-3D 村上色彩技術研究所株 )を使用し、鏡面反射60度で測定した。
【0041】
印刷物の品質評価例2(印刷濃度)
印刷物の濃度としては、濃度計(D-196 グレタグ社製)を使用し印刷物のシャドー部における反射濃度をフィルターなしで測定した。
【0042】
印刷物の堅牢性評価例1(耐薬品性)
印刷物の堅牢性試験としての耐薬品性試験は、水酸化ナトリウム1%溶液、塩酸3%溶液及びエタノール(試薬1級99.5%)等に24時間浸漬することとし、印刷物の図柄表面における溶出状態を評価した。
評価基準
◎:印刷物の図柄表面における溶出がなく、浸漬前の水準と同等の外観。
○:印刷物の図柄表面が若干溶出する傾向。
△:印刷物の図柄表面における溶出が顕著。
【0043】
印刷物の堅牢性評価例2(耐摩擦性)
印刷物の耐摩擦性については、学振型摩擦堅牢性試験機(テスター産業株製)を使用し、摩擦布は絹2−2(JIS染色堅牢度試験用)を用いて、摩擦回数200回まで印刷表面を擦り、その印刷物の図柄の脱落状態で評価した。
評価基準
◎:印刷物の図柄表面における脱落がなく、浸漬前の水準と同等の外観。
○:印刷物の図柄表面が脱落する傾向。
△:印刷物の図柄表面における脱落が顕著。
【0044】
常温乾燥によるA−1−1、B−1−1、C−1−1の印刷物の品質評価を表3に、60℃で15分加熱乾燥させたA−1−2、B−1−2、C−1−2の印刷物の品質評価を表4に、80℃で15分加熱乾燥させたA−1−3、B−1−3、C−1−3の印刷物の品質評価を表5に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
印刷物の総合品質評価結果1(常温乾燥)
表3に示すとおり、ポリカルボジイミド系樹脂(カルボジライトV−02−L2:日清紡(株)製)を添加することにより、印刷物の光沢がカルボジライトの添加量の増加と共に増大し、2倍以上の光沢値を示した。
【0049】
印刷物の総合品質評価結果2(加熱乾燥60℃)
表4に示すとおり、常温乾燥と同じように、ポリカルボジイミド系樹脂(カルボジライトV−02−L2:日清紡(株)製)の添加量の増大と共に、光沢値が増加した。
【0050】
印刷物の総合品質評価結果3(加熱乾燥80℃)
表5に示すとおり、60℃と同じように、ポリカルボジイミド系樹脂(カルボジライトV−02−L2:日清紡(株)製)の添加量の増大と共に、光沢値が増加した。
【0051】
以上の結果から、表2〜5に示すように、水性印刷インキにポリカルボジイミド系樹脂(カルボジライトV−02−L2:日清紡(株)製)を添加してもインキ粘度にほとんど影響を与えず、インキの流動性はあまり変化しないために、印刷作業性、印刷物品質にほとんど影響を与えず、また、印刷物の濃度、耐薬品性への悪影響もみられず、印刷物の光沢値を向上させることができた。
【0052】
【発明の効果】
本発明により、カルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方を含むアクリル系樹脂を付与した水性印刷インキにポリカルボジイミド系樹脂を添加してもインキ粘度にほとんど影響を与えず、紙等の吸収性基材及びプラスチック等の非吸収基材へのインキ転移性の低下をまねくことなく、印刷作業性、印刷物品質に影響を与えず、また、印刷物の濃度、耐薬品性への悪影響もみられず、印刷後に、常温、又は、加熱乾燥で高光沢の印刷物が得られることが可能となり、グラビア印刷等の低粘度系のインキを用いた印刷方式の環境改善と品質向上を同時に達成することが可能となった。
Claims (4)
- 揮発性塩基で中和されたカルボキシル基又は水酸基のいずれか又は双方を含むアクリル系樹脂と、カルボジイミド系樹脂と顔料を含有する水性印刷インキにおいて、
前記カルボジイミド系樹脂は、高分子ジオールと有機ジイソシアネートの反応によって得られる末端イソシアネート基を親水基で封止した少なくとも一つのカルボジイミド基を有するウレタンプレポリマーから成る水性カルボジイミド化合物であって、
前記アクリル系樹脂100重量部に対して、前記水性カルボジイミド化合物を50〜100重量部配合し、
前記水性印刷インキの25℃における粘度が0.1から10Pであることを特徴とする水性印刷インキ。 - 請求項1記載の水性印刷インキを用い、グラビア印刷機又はフレキソ印刷機により、基材に印刷後、赤外線乾燥装置又は熱風乾燥装置により、加熱乾燥を行い、印刷物を得ることを特徴とする印刷物の製造方法。
- 請求項1記載の水性印刷インキを用いて、グラビア印刷機又はフレキソ印刷機により、基材に印刷して作成してなることを特徴とする印刷物。
- 請求項1記載の水性印刷インキを用い、グラビア印刷機又はフレキソ印刷機により、基材に印刷後、赤外線乾燥装置又は熱風乾燥装置により、加熱乾燥を行い得られた印刷物。
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