JP4467722B2 - Method for producing high-purity lysophosphatidylinositol and glycolipid - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度植物性リゾホスファチジルイノシトールの製造法に関するものであり、更に詳しくは他のリン脂質と混在している状況の下で、リゾホスファチジルイノシトールを高純度で得ることができる酵素反応を利用した当該化合物の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リン脂質として知られている1,2−ジアシルグリセロリン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸を主とする混合物として、大豆、小麦、大麦、トウモロコシ、ヒマワリ、ナタネ、落花生、綿実等に多量存在している。これらの中、レシチン(ホスファチジルコリン)は卵黄由来と植物由来の2種類に大別されるが、植物リン脂質のなかには、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸が大量に含まれていることが知られており、その利用が注目されている。
リン脂質はそのままで利用されるだけではなく、リン脂質をリゾ化したリゾリン脂質例えば、植物由来のレシチンである大豆レシチンをリゾレシチンに変えて利用される。即ち、大豆レシチンに水を加えて加水分解酵素としてホスホリパーゼA1又はA2を作用させて、かかるリン脂質の脂肪酸部を分解し、2−モノアシルグリセロリン脂質、又は1−モノアシルグリセロリン脂質に改質したリゾレシチン変える。このような大豆リゾレシチンは、通常の大豆レシチンに比べ、乳化性、タンパク質やデンプンとの結合能、離型作用が優れていることから近年その需要が増している。
【0003】
ところで、かかる大豆リゾレシチンの製造には、ブタ膵臓由来の酵素剤パンクレアチンに含まれるホスホリパーゼA2が使用されており、ノボ・ノルディスク社で商品化されたレシターゼ10Lが専ら用いられているけれど、この酵素はリン脂質の内、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸を加水分解するが、ホスファチジルイノシトールには作用しない。そのために大豆リン脂質をリゾ化した際に、ホスファチジルイノシトールが加水分解されていないことから、構成リン脂質中のホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンがリゾ化されたリゾリン脂質が主要部を占める大豆リゾリン脂質が提供され、利用されている現状にある。即ち、上記大豆リゾリン脂質の特性はこれら二種の主要リン脂質で特徴づけられ、特にホスファチジルコリンのリゾ体がこの特性発現に大きく関与することから、ホスファチジルコリン含量の高いリゾ型のリン脂質を止むを得ず利用しているのが現状である。
【0004】
ホスファチジルイノシトールは、上記の如く植物リン脂質にのみ存在し、生体内で細胞の情報伝達に係り、そのリゾ体と共に生理作用で注目されている(J. E. Bleasdale, et al(eds), Inositol and Phosphoinositides, Humana Press, 1985)物質である。ホスファチジルイノシトールは又、稚アユや稚クルマエビの成長促進作用(金沢ら、Z. Angew. Ichthyol 1(4)165(1985), Acuacu Hure 50 39(1985))や加熱調理用油脂で風味や離型性で優れた作用(特開平4−330253号公報、特開平5−168404号公報)を示すことが報告されている。リゾホスファチジルイノシトールは抗カビ作用(特開平6−256366号公報)をもつことが報告されている。
【0005】
前述の抗カビ作用を示すリゾホスファチジルイノシトールは、マボヤより抽出されたものであるが、植物リン脂質に多く存在するホスファチジルイノシトールやそのリゾ体には生理作用も含めて多くの有用な作用を持つものとされているにも拘らず、工業的に製造する方法が確立していないため、未だ実用的なレベルでの使用に十分な量のリゾホスファチジルイノシトールを提供することができず、従って開発が進められていないのが現状である。
又植物リン脂質の中にはスフィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質等生理的に有用で、応用面が期待されている物質が混在して含まれているが、その分離法はクロロホルム、アセトンを用いたシリカゲルカラム分画法(特開平4−282317号公報)であり、工程的に煩雑であるから実用的な工業的製造方法としては採用しがたい方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして鋭意研究の結果、為されたものであって、その解決課題とするところは、植物リン脂質に多く含まれているホスファチジルイノシトールから、特にリゾホスファチジルイノシトールを高純度、高収率で得る方法を提供することにあり、又、植物リン脂質中に混在して含まれているリン脂質以外のスフィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質などを効率的に得る方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アスペルギルス(Aspergillus)属の糸状菌、特にアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)又はアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)が生産するホスホリパーゼA1(三共株式会社で商品化されている)について、このホスホリパーゼA1の作用を鋭意研究した結果、当該酵素を植物リン脂質に作用させるとき、その中のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸は加水分解を受けて、C1位、C2位共にアシル基の離脱を起こしたが、ホスファチジルイノシトールはリゾホスファチジルイノシトールで留まっていることを見いだした。本発明は斯かる知見に基づいてさらに検討を重ねて成されたものである。
【0008】
ホスホリパーゼA1は、特開平6−062850号公報及び特開平7−031472号公報に記載の如く、グリセリンのC−2位のパルミトイル基を14Cで標識したものとC−1位及びC−2位のパルミトイル基を14Cで標識したL−α−ジパルミトイルホスファチジルコリンへの酵素反応に際し、C−1位とC−2位のパルミトイル基が14C標識されたホスファチジルコリンのみから標識されたパルミチン酸が遊離したので、この酵素がC−1位のアシル基のみに作用すると報告されている。
【0009】
しかし、本発明者らがこの酵素を用いて大豆レシチンの酵素分解を行ったところ、反応時間と共にホスファチジルコリンの加水分解が進行し、リゾホスファチジルコリンになるが、さらに反応を続けると、加水分解が進み脂肪酸基が2個とも加水分解されたグリセロホスホリルコリンになることを見出したのである。ホスホリパーゼA2であるノボ・ノルディスク社のレシターゼ10Lの場合はリゾホスファチジルコリンがそれ以上分解されないのに対し、ホスホリパーゼA1による斯かる反応はホスファチジルコリンのみならず、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸でも同様に起こり、全てがグリセロ体にまで加水分解された。
【0010】
この酵素はホスファチジルイノシトールに作用して、これを酵素分解することについては先に述べたが、ホスファチジルイノシトールに対する作用及びこれが加水分解を受けて生成するリゾホスファチジルイノシトールに対する作用について、酵素特異性が乏しいためか、基質の反応速度が遅いためか判然とはしないけれども、リゾホスファチジルイノシトールが反応時間の経過と共に他のリゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミンやリゾホスファチジン酸よりも多く反応系内に残り得るという予想外の現象を見出したのである。本発明者らは、以下に述べるところからみて、基質の反応速度が遅いためであると考えているが、斯かる状況下において、本発明者らは、リン脂質混合体をそのまま酵素分解することによりホスファチジルイノシトール、特にリゾホスファチジルイノシトールを効率よく製造することが出来ることを見出したのである。
【0011】
尚、このように生じたリゾホスファチジルイノシトールについて、ホスホリパーゼA1との反応を進めると酵素分解し脂肪酸基が2個加水分解されたグリセロホスホリルイノシトールへと変わる。斯かる状況から、ホスホリパーゼA1がリン脂質の脂肪酸をすべて加水分解するホスホリパーゼBと同じ作用を示すことを見出したのである。ホスホリパーゼBがその起源により加水分解するリン脂質の種類に左右されるのに対し、この酵素は植物リン脂質の主要リン脂質をすべて加水分解することから、植物リン脂質中に含まれるスフィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質などの有用な物質を適宜な溶媒を選択することにより、容易に高濃度で得ることができる方法をも見いだしたことは本発明者らの本酵素に関する新規な知見であり、これによりスフィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質などを取り出す新規な方法を切り拓いたのである。
【0012】
すなわち、本発明者らは、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジン酸のジアシルグリセロリン脂質はホスホリパーゼA1の作用を受けて、反応時間の経過と共にそれぞれリゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン及びリゾホスファチジン酸のモノアシルグリセロリン脂質に加水分解されるのであるが、これらのモノアシルグリセロリン脂質はさらに当該酵素によって脱アシル化されてそれぞれのグリセロホスホリル体にまで加水分解されること、ジアシルグリセロリン脂質からモノアシルグリセロリン脂質への変換において、4種のリン脂質の中でホスファチジルイノシトールが最も遅いこと、リゾホスファチジルイノシトール以外の3種のモノアシルグリセロリン脂質はさらにグリセロホスホリル体への当該酵素によるさらなる加水分解が進行するから、リゾホスファチジルイノシトールの反応液中の含有量が他のモノアシルグリセロリン脂質の反応液中の含有量よりも多くなリ得ること、リゾホスファチジルイノシトールは反応混合物中の他のモノアシルグリセロリン脂質が加水分解されたそれぞれのグリセロホスホリル体から容易に分離し得ること、そして全てのジアシルグリセロリン脂質がホスホリパーゼA1の作用によってモノアシルグリセロリン脂質を経て、それぞれのグリセロホスホリル体にまで加水分解されるとき、加水分解反応の出発原料物質(例えば大豆リン脂質)に、例えばスフィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質などの有用物質が含まれている場合、それから分離しにくいジアシルグリセロリン脂質、モノアシルグリセリン脂質がもはや反応混合物に実質的に存在しないから、反応混合物から容易に採取しうること等、数多くの新知見を得、さらに検討を重ねて本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は
(1)含水植物リン脂質にアスペルギルス属の糸状菌が生産するホスホリパーゼA1を作用させることを特徴とする高純度リゾホスファチジルイノシトールの製造法、
(2)前記ホスホリパーゼA1の作用時間を調節することによる前記(1)記載のリゾホスファチジルイノシトールを高収率で得る製造法、
(3)含水植物リン脂質に前記ホスホリパーゼA1を長時間作用させスフィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質を得ることを特徴とするスフィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質の製造法、
(4)前記ホスホリパーゼA1がアスペスギルス・ニガー(Aspergillus nigar)又はアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)が生産するホスホリパーゼA1のいずれかである前記(1)乃至前記(3)の何れかに記載の製造法、
(5)含水植物リン脂質を分画し、ホスファチジルイノシトールを高濃度に含有したものを原料として用いる前記(1)又は(2)若しくは前記(4)の何れかに記載の製造法、
(6)前記(1)乃至前記(5)のいずれかに記載の製造方法においてアルカリ水溶液、酸性水溶液又は緩衝液を加えて酵素の至適pHで反応を行うことを特徴とする前記(1)乃至前記(5)記載のいずれかに記載されている製造法、
(7)(a)ホスファチジルイノシトールと(b)ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジン酸から選ばれる1〜3種とを含む植物リン脂質混合物をリゾホスファチジルイノシトールの生成量がリゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン及びリゾホスファチジン酸のいずれの生成量よりも多くなるまでホスホリパーゼA1で加水分解することを特徴とするリゾホスファチジルイノシトールの製造方法、及び
(8)(c)植物リン脂質及び(d)スフィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド及びグリセロ糖脂質の1種以上を含有する植物材料を植物リン脂質の実質的に全てをグリセロホスホリル体に変化するまでホスホリパーゼA1で加水分解し、反応液から上記(d)成分を採取することを特徴とするスフィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド及びグリセロ糖脂質の1種以上の製造方法、
に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明方法で使用される原料物質は、含水植物リン脂質と称する。これは、植物由来であって、(a)ホスファチジルイノシトールと(b)ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジン酸から選ばれる1種以上を含むものならどのようなものでもよく、所望により、さらにスフィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド及びグリセロ糖脂質の1〜3種を含んでいるものでもよい。これらは通常は水を含んでいるが、場合によっては水を含まなくともよく、それらを総称して本発明は含水植物リン脂質と称する。具体的には例えば、大豆、小麦、大麦、トウモロコシ、ヒマワリ、ナタネ、落花生、綿実等の植物又はその処理物で上記の化学成分を含むものが、便宜に使用される。最も好ましい原料はペースト状大豆リン脂質であるが、公知方法で容易に製造できる。
【0015】
本発明で使用されるホスホリパーゼA1は公知の酵素であって、例えば特開平7−31472号公報の記載に従って容易に製造することが出来る。
この酵素の好ましい条件はpH4.0〜5.0で温度約50℃乃至60℃程度であるから、反応条件をそのように設定するのが好ましい。pH値の調節には、自体公知の手段に従って、アルカリ水溶液(例えばNaOH水溶液)、酸性水溶液(例えば1N塩酸)を使用してよい。
酵素による加水分解反応の反応時間は一概にはいえない。リゾホスファチジルイノシトールを選択的に製造する場合は、反応液中に、少なくとも反応混合物中のリゾホスファチジルイノシトールの含有量がリゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン及びリゾホスファチジン酸の反応混液中の含有量よりも高くなるまで加水分解反応を行うのが好ましい。
又、反応液からスフィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質の1種以上を採取する場合は、上記4種のジアシルグリセロリン脂質のいずれもがそれぞれ対応するモノアシルグリセロリン脂質を経由して対応するグリセロホスホリル体にまで加水分解されるまで加水分解反応を継続させるのが好ましい。反応終了後、自体公知の手段に従って、目的物を反応混合物から採取することが出来る。
本発明の好ましい実施の態様を以下に説明する。%部は特にことわりのない限り、それぞれ重量%、重量部である。
【0016】
ところで、かくの如き本発明に従う手法において、原料として用いられる植物リン脂質は、各種リン脂質の混合物のまま用いることができるが、植物リン脂質をエタノールで分画すると、ホスファチジルイノシトールがエタノールに溶けないことから、エタノール不溶部にホスファチジルイノシトールがほとんど全量残留することとなるので、このエタノール不溶部をリゾホスファチジルイノシトール製造の原料として用いることもでき好都合である。又、植物リン脂質をヘキサンに溶解し、水性エタノールで分画すると、水性エタノール区分に糖脂質類が残留することから(H.Pardun, Proceeding of the 2nd International Colloquim on Soya Lecithin, Brighton England, April 3(1982))、この画分をステリルグリコシド、糖脂質製造の原料として用いることもできる。いずれにせよ、取得する目的物質に応じて、前処理として、植物リン脂質を適宜分画し、使用することは反応後の後処理を簡便にすることになるので状況により適宜行われるところである。
【0017】
本発明における酵素反応は、酵素と基質を水性媒体中又は湿潤状態で接触させることにより行われ、必要に応じて非イオン性有機溶媒(例えばジエチルエーテル、ジオキサンのようなエーテル類、ヘキサン、ベンゼン、トルエンのような炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類等)共存下で行うことも可能である。又、水性又は湿潤体には、必要に応じて、酸、アルカリ又は緩衝液を加えてpH3.5乃至6.5に調整することが反応を促進することになる。本酵素の添加量は反応温度、反応時間、反応時のpH、基質の性状や品質、夾雑する物質、要求される効果の程度等により異なるが、好適には1,000ユニット/gの酵素を用いて、基質に対して0.05重量%乃至5重量%である。
【0018】
本酵素の反応温度は10℃乃至70℃(好適には30℃乃至60℃)であり、反応に要する時間は、反応温度、pH、基質の種類により異なるが、通常1日乃至10日間である。反応の進行は日本油化学会編「基準油脂分析試験法4.3.3.1リン脂質組成(薄層クロマトグラフ法)」に従って主要なリン脂質組成の変化を辿ることで調べられるが、主要なリン脂質のリゾ体の変化はこの分析法で用いる薄層の展開溶媒条件〔一次展開−クロロホルム:メタノール:7モルのアンモニア水(130:60:8)、二次展開−クロロホルム:メタノール:酢酸:水(170:25:25:6)〕では不適合で各リン脂質のリゾ体の分離ができない。そこで本発明者らは種々展開溶媒を検討した結果、一次展開溶媒としてクロロホルム:メタノール:7モルのアンモニア水(130:70:8)、二次展開溶媒としてクロロホルム:メタノール:酢酸:ギ酸(50:30:4.5:6.5)を用いることにより各リン脂質のリゾ体が明確に分離することを見出し、各リン脂質のリゾ体の標品と比較することにより、その同定を行った。図1に各リン脂質のリゾ体の分離状況を示す。
【0019】
ペースト状大豆リン脂質(リン脂質含量62%)の50%水溶液に三共株式会社製ホスホリパーゼA1(11,900ユニット/g)を0.08%添加し、50℃で反応した結果を図2に示す。各リン脂質の含有割合は、上述の日本油化学会編「基準油脂分析試験法」に従い測定したが、展開溶媒は上述の図1の条件に変更し測定した。その結果、溶液の酸価の上昇に従いホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸は若干の反応性の違いはあるものの、反応が進行して各リゾ体を与えるが各リゾ体を蓄積することなく、反応を続行すると、さらに分解し各リン脂質はそれぞれグリセロホスホリル体へと変化する。その結果、図1の原点部分のリン含量が大幅に上昇する。一方ホスファチジルイノシトールは分解が遅く、又リゾ体に変わったものの更なる加水分解も遅く、酸価77.4の時点ではリゾホスファチジルイノシトールが9.2%、即ちホスファチジルイノシトールと合わせると、もとの量の67%の量で得られ、且つ、この生成物中の原点部を除いたリン脂質中ではリゾホスファチジルイノシトールが69%を占める高純度のものになる。この結果は実施例で再度詳述するが、これにより高純度リゾホスファチジルイノシトールを得ることができることから、その有効な製造法であることが判然とし、製法として確立されたのである。
【0020】
酵素反応が終了した後、約70℃乃至90℃程度で10分乃至2時間の加熱処理によって酵素の失活を行う。酵素の失活には加熱条件の他にpH処理、加圧処理等を単独で又は適宜組み合わせて用いても良い。酵素失活後アセトンによる脱脂、引き続きヘキサンと水性エタノールとの分画など通常良く用いられる分画方法により、ヘキサン部から該リゾホスファチジルイノシトールを高純度で得ることができる。
【0021】
リゾホスファチジルイノシトールを得た前記の酵素反応を引き続き行い、溶液の酸価が90に達するまで反応を続行した。酸価77.4の時点において、リゾホスファチジルイノシトール以外に若干残っていたリン脂質やリゾリン脂質は悉く加水分解されて、グリセロホスホリル体にかわる。
斯かる反応は、ホスホリパーゼBによる加水分解の場合と同様の結果を与えるものであるところ、ホスホリパーゼBが基質特異性を示すのに対し、本酵素即ち、ホスホリパーゼA1は何らの制限も受けないことから、植物リン脂質に混在してくるスフィンゴ糖脂質、ステリルグルコシド、グリセロ糖脂質等の有用な物質を取り出すときに、利用できる手法となることを見出した。
【0022】
植物リン脂質中にはスフィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質等リン脂質以外の有用な物質が混在して含まれているが、これらの物を得るときの精製で困難なことはリゾ体を含むリン脂質の除去であった。そのため、スフィンゴ糖脂質の取得の場合に見られるように、クロマト法によるか、アルコール性苛性カリによる加水分解後、Folch分配を行い、ケイ酸カラムで分画する等の方法が採用されるが、これらの方法は研究室的には適しているものの、工業的な製造では到底採用できない方法であるから、ここに述べた方法がこれらにとって代わることができる。
【0023】
本酵素が基質に制限を受けないホスホリパーゼBの作用を示すことはリン脂質に混在しているリン脂質以外の有用な物質を容易に得る方法を提供する。即ち本酵素による反応を極限に進めリン脂質の脂肪酸部を全て加水分解した後アセトン処理を行うと、該有用物質とリン脂質由来の各種グリセロホスホリル体が残留することになる。これらの混合物をエタノール、水性エタノールによる抽出、ヘキサン−水性エタノールによる分画等、通常用いられる方法を適用することにより、目的物質を得ることができるのである。実施例にコーンリン脂質に混在するスフィンゴ糖脂質であるセレブロシド、ステリルグリコシドを得る方法が記載されているが、この応用範囲はこのことにとどまらない。即ち植物リン脂質をヘキサン−水性エタノールで分画すると、水性エタノール部からグリセロ糖脂質部が得られるが、随伴するリン脂質体を本酵素で処理し、上述のようにグリセロホスホリル体にし、このものから適宜な溶媒抽出によりグリセロ糖脂質を得ることができるのである。
【0024】
上述のように、本酵素がホスホリパーゼBの作用を持つことを見いだしたことは、植物リン脂質に混在して含まれているリン脂質以外の有用な物質を得る新規な方法を提供するのである。スフィンゴ糖脂質、ステリルグリコシド、グリセロ糖脂質等は植物リン脂質の種類により含量が異なるので、取得せんとする目的物質に合わせて植物リン脂質の種類を選択するとよい。
【0025】
【実施例】
以下に幾つかの実施例を示し、本発明をさらに具体的に詳しく記述することとするが、本発明がそのような実施例の記載によって何らの制限を受けることを意味するものではない。又、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良を加え得るものであることが理解されるべきである。
【0026】
なお、以下の実施例における百分率は何れも重量基準で示されるものであり、さらにリン脂質及びそのリゾ化物の略号としてPC:ホスファチジルコリン、PE:ホスファチジルエタノールアミン、PI:ホスファチジルイノシトール、PA:ホスファチジン酸、LPC:リゾホスファチジルコリン、LPE:リゾホスファチジルエタノールアミン、LPI:リゾホスファチジルイノシトール、LPA:リゾホスファチジン酸を使用した。
【0027】
実施例1
ペースト状大豆リン脂質(リン脂質含量62%)300gに水を加え50%水溶液とし、三共株式会社製ホスホリパーゼA1(11,900ユニット/g)0.2gを加え50℃で攪拌し続け、酸価の上昇に伴う構成リン脂質の変化を辿った図2の数値を表1に示す。一方比較対照例としてホスホリパーゼA2(ノボ・ノルディスク社製、レシターゼ10L 11,000ユニット/ml)0.2mlを加え同様に反応した。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
表1から明らかなように反応が進行するにつれPC、PE、PAともそれぞれLPC、LPE、LPAに変化するが、この状態で蓄積することなく、さらに分解してグリセロホスホリル体へと変化する。それに伴いOR部のリン含量が増す。一方PIはLPIになる速度が他のリン脂質に比べ遅く、PI以外のリン脂質がほとんど分解した酸価77.4の時点(反応開始から120時間)で、PI及びLPIを合算したその量はもとの15.0%から10.0%となった。これは67%が残存していることを示すものであり、OR部以外のリン脂質画分中で占めるLPI含量は69%と高純度で残存していた。更に反応を続行し、酸価90.5(反応開始から180時間)に達すると代表的なリン脂質全てが分解してしまう。
他方もう一種の酵素ホスホリパーゼA2ではPC、PE、PAがそれぞれLPC、LPE、LPAになるが、更に反応を続けてもこれらの量は減少せず、保持されていた。ここで特徴的なのはPIが反応の長時間化により若干の減少は認められるもののLPIがほとんど生成しなかったことである。
【0030】
酸価77.4の反応物に1N−NaOH液を加え酸価45以下にした後、80℃で20分間酵素の不活性化を行った。乾燥後アセトン600mlで4回抽出して脱脂し、100.7gの固形物を得た。この固形物をヘキサン1Lに分散させ50%エタノール水1Lで分液し、ヘキサン層を乾固したところ17.9gの固形物を得た。このもののリン脂質組成(%)はLPI71.2、PI5.1、PC5.5、LPC9.5、OR7.7であり、高純度のLPIを得ることが出来た。
【0031】
実施例2
500gのペースト状大豆リン脂質(リン脂質含量62%)に2Lのエタノールを加え攪拌し、室温で放置後エタノール層を傾斜法で分離した後、残渣に対し2度同じ操作を繰り返した。エタノール層をすべて合わせ溶媒を留去し、エタノール可溶部175g(リン脂質含量51.0%)を、又残渣部からエタノール不溶部320g(リン脂質含量65.8%)を得た。エタノール不溶部320gに三共株式会社製ホスホリパーゼA1(11,900ユニット/g)0.25gを溶解した水20mlを加え50℃で攪拌を続け、実施例1と同様反応を行った。結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
酸価72.2の時点(反応開始から110時間)で85℃、30分加熱し、酵素の失活を行い、ついで減圧乾燥後アセトン1.2Lで5回抽出し、粉末状の固形分130.7gを得た。1.3Lのへキサンに分散させ、1.3Lの50%エタノール水で分液し、ヘキサン層を減圧濃縮して60.5gの固形物を得た。このもののリン脂質組成(%)はLPI30.1、PI20.7、LPC5.5、PC2.1、LPE6.2、PE2.9、LPA2.1、PA1.8、OR10.5であった。このようにLPIとPIの含量が50%を越えかつ、LPIの含量の高いものを高収率で得ることができた。即ち実施例1では300gのペースト状大豆リン脂質(リン脂質含量62%、リン脂質として186g)からLPI高濃度のものを17.9g(出発原料であるリン脂質の9.6%)であるのに対し、エタノール不溶部320g(リン脂質含量65.8%、リン脂質として210.6g)の本実施例では出発原料であるリン脂質の28.7%に達する。
【0034】
実施例3
ペースト状のコーンリン脂質(リン脂質含量61.5%)300gに三共株式会社製ホスホリパーゼA1(11,900ユニット/g)0.1gを溶解した水20mlを加え、50℃で撹拌を続け、4日後にホスホリパーゼA1 0.1gを溶解した水20mlを追加した。酸価100に達した時点(反応開始から100時間)でTLC分析をしたところ、原点であるOR以外にリン脂質のスポットが見られなかった。85℃、30分加熱し酵素を失活させ、減圧濃縮した乾燥物を1.2Lのアセトンで5回抽出し、粉末状の脱脂物132gを得た。この粉末状の脱脂物を熱エタノール500mlで3回抽出し、熱エタノ−ル可溶物を5℃以下で放置後、濾過し沈殿物と濾液に分けた。濾液を濃縮乾燥して固形物28.4gを得た。このものをSilicagel 60を用い、クロロホルム:メタノール(80:20)で展開し50%硫酸で発色させたところ、Rf0、0.03、0.53、0.6、0.86、0.91の6スポットを与えた。
【0035】
Rf0.53のスポットが牛脳由来のセレブロシド標品のそれと一致したので、この部分の固形物の一部をシリカゲルクロマトにかけ、クロロホルム、アセトンで順次溶出し、Rf0.53の相当部の化合物を純品で得ることができた。このものは▲1▼ニンヒドリン発色陰性で、IRで標品(β−D−ガラクトシルセラミド)と同じ吸収を与えた。▲2▼13C−NMRでスフィンゴ脂質部分に含まれる窒素と結合したメチン基の炭素、酸素と結合したメチレン基の炭素、水酸基が結合した二重結合に隣接するメチン基の炭素、アミドのカルボニル炭素のシグナルにおいて同一の値を示した。しかし標品とは構成糖が異なり、それがβ−D−グルコースであることを確認した。
【0036】
上において得た固形物と標品セレブロシドの濃度を変えたものについて、TLCで展開し、50%硫酸で発色して、発色の強さをデンシトメトリー法で定量したところ、熱エタノールに可溶で冷エタノールにも可溶である部分から得た上記固形物中のセレブロシドの含量は5.1%であった。市販されている日本油脂株式会社の「ニッサンセラミド」のセレブロシド含量が3%台、オリザ油化株式会社の「オリザセラミド」のセレブロシド含量が同じく3%台であることに比べると、本発明で得られるものは濃度が高く、且つ製造法も簡便である。
【0037】
前記濾液から得られた固形物中のRf0.6のスポットは標品のステリルグリコシドと一致し、上記と同様にしたデンシトメトリー法での分析では10%を占めた。一方冷エタノール不溶部からは3.8gの固形物が得られるが、上記と同じくTLC分析を行ったところ、Rf 0、0.03以外に0.6、0.86の2スポット計4スポットを与え、この中でもステリルグリコシドに相当するRf0.6のスポットが主要部を占めていたところ、デンシトメトリー法での分析では56.5%を占めた。
【0038】
【発明の効果】
含水植物リン脂質にアスペルギルス属の糸状菌が産出するホスホリパーゼA1を作用させることによって、有用なリゾホスファチジルイノシトールが高純度かつ高収率で製造できる。又、植物リン脂質中に混在してくるリン脂質以外の有用物質であるスフィンゴ糖脂質及びステリルグリコシドも工業的有利に製造することができることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 PL−A1分解レシチンのTLC展開図である。
【図2】 ペースト状大豆レシチンの酵素反応推移を示す。
【符号の説明】
PC:ホスファチジルコリン
PE:ホスファチジルエタノールアミン
PA:ホスファチジン酸
PI:ホスファチジルイノシトール
OR:薄層クロマトグラフ上の原点部
LPC:リゾホスファチジルコリン
LPE:リゾホスファチジルエタノールアミン
LPA:リゾファチジン酸
LPI:リゾホスファチジルイノシトール[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing high-purity plant lysophosphatidylinositol, and more specifically, an enzyme reaction capable of obtaining lysophosphatidylinositol with high purity in a situation where it is mixed with other phospholipids. The present invention relates to a method for producing the compound used.
[0002]
[Prior art]
1,2-diacylglycerophospholipid, known as phospholipid, is a mixture mainly composed of phosphatidylcholine, phosphatidylethanolamine, phosphatidylinositol, phosphatidic acid, soy, wheat, barley, corn, sunflower, rapeseed, peanut, cottonseed Etc. are present in large quantities. Among these, lecithin (phosphatidylcholine) is roughly classified into two types derived from egg yolk and plant, and it is known that phosphatidylinositol and phosphatidic acid are contained in large amounts in plant phospholipids. Use is drawing attention.
Phospholipids are not only used as they are, but also lysophospholipids obtained by lysing phospholipids, for example, soy lecithin, which is a plant-derived lecithin, is used in place of lysolecithin. That is, by adding water to soybean lecithin and causing phospholipase A1 or A2 to act as a hydrolase, the fatty acid part of such phospholipid was decomposed and modified to 2-monoacylglycerophospholipid or 1-monoacylglycerophospholipid. Change lysolecithin. Such soy lysolecithin has been increasing in demand in recent years because of its superior emulsifiability, ability to bind to proteins and starch, and release action compared to normal soy lecithin.
[0003]
By the way, in the production of such soybean lysolecithin, phospholipase A2 contained in pancreatin, an enzyme agent derived from porcine pancreas, is used, and 10 L of lecitase commercialized by Novo Nordisk is exclusively used. The enzyme hydrolyzes phosphatidylcholine, phosphatidylethanolamine and phosphatidic acid among phospholipids, but does not act on phosphatidylinositol. To that end, when lysolysis of soybean phospholipids, phosphatidylinositol is not hydrolyzed, so lysophospholipids containing lysophosphorylation of phosphatidylcholine and phosphatidylethanolamine in the constituent phospholipids provide soybean lysophospholipids. Is currently being used. That is, the characteristics of the above-mentioned soybean lysophospholipid are characterized by these two major phospholipids, and in particular, the lyso form of phosphatidylcholine is greatly involved in the expression of these characteristics, so it is necessary to stop lysophospholipids with a high phosphatidylcholine content. It is currently in use.
[0004]
As described above, phosphatidylinositol exists only in plant phospholipids, is involved in cell signal transduction in vivo, and is attracting attention for its physiological action along with its lyso form (JE Bleasdale, et al (eds), Inositol and Phosphoinositides, (Humana Press, 1985). Phosphatidylinositol is also used to promote growth and release of juvenile sweetfish and juvenile prawns (Kanazawa et al., Z. Angew. Ichthyol 1 (4) 165 (1985), Acuacu Hure 50 39 (1985)) and cooking oils and fats. It has been reported that it exhibits excellent performance (Japanese Patent Laid-Open Nos. 4-330253 and 5-168404). It has been reported that lysophosphatidylinositol has an antifungal action (JP-A-6-256366).
[0005]
The above-mentioned lysophosphatidylinositol, which exhibits antifungal activity, was extracted from Maboya, but phosphatidylinositol and its lyso form, which are abundant in plant phospholipids, have many useful effects including physiological effects. In spite of this, the industrial production method has not been established yet, so it is not possible to provide a sufficient amount of lysophosphatidylinositol for practical use. The current situation is not.
Plant phospholipids contain physiologically useful substances such as glycosphingolipids, steryl glycosides, and glyceroglycolipids that are expected to be applied. This is a silica gel column fractionation method using acetone (Japanese Patent Laid-Open No. 4-282317), and is a method that is difficult to employ as a practical industrial production method because it is complicated in process.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
Here, the present invention has been made as a result of earnest research in the background of such circumstances, and the problem to be solved is from phosphatidylinositol, which is abundant in plant phospholipids, particularly lysophosphatidyl. The purpose is to provide a method for obtaining inositol with high purity and high yield. In addition, glycosphingolipids other than phospholipids, steryl glycosides, glyceroglycolipids, etc. other than phospholipids contained in plant phospholipids are efficiently used. It is to provide a method to obtain automatically.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have described a phospholipase A1 (commercialized by Sankyo Co., Ltd.) produced by a filamentous fungus of the genus Aspergillus, in particular, Aspergillus niger or Aspergillus oryzae. As a result of diligent research on the action of phospholipase A1, when the enzyme is made to act on plant phospholipids, phosphatidylcholine, phosphatidylethanolamine and phosphatidic acid in the enzyme are hydrolyzed and the acyl group is released from both the C1 and C2 positions. It was found that phosphatidylinositol remained with lysophosphatidylinositol. The present invention has been made through further studies based on such findings.
[0008]
The phospholipase A1 has a palmitoyl group at the C-2 position of glycerin as described in JP-A-6-062850 and JP-A-7-031472. 14 C labeled and C-1 and C-2 palmitoyl groups 14 In the enzymatic reaction to C-labeled L-α-dipalmitoylphosphatidylcholine, the palmitoyl groups at the C-1 and C-2 positions 14 It has been reported that this enzyme acts only on the acyl group at the C-1 position, since the labeled palmitic acid was released only from the C-labeled phosphatidylcholine.
[0009]
However, when the present inventors enzymatically decomposed soy lecithin using this enzyme, hydrolysis of phosphatidylcholine progressed with the reaction time, resulting in lysophosphatidylcholine. They found that both groups were hydrolyzed glycerophosphorylcholine. In the case of Novo Nordisk lecitase 10L, which is phospholipase A2, lysophosphatidylcholine is not further degraded, whereas such reaction by phospholipase A1 occurs not only with phosphatidylcholine but also with phosphatidylethanolamine and phosphatidic acid. Was hydrolyzed to the glycero form.
[0010]
This enzyme acts on phosphatidylinositol and described above for enzymatic degradation. However, the enzyme specificity is poor with respect to the action on phosphatidylinositol and the action on lysophosphatidylinositol produced by hydrolysis. Although it is unclear whether the reaction rate of the substrate is slow or not, it is unexpected that lysophosphatidylinositol can remain in the reaction system more than other lysophosphatidylcholines, lysophosphatidylethanolamine and lysophosphatidic acid over the course of the reaction time. I found this phenomenon. The present inventors consider that the reaction rate of the substrate is slow in view of what is described below. Under such circumstances, the present inventors perform enzymatic degradation of the phospholipid mixture as it is. Thus, it was found that phosphatidylinositol, particularly lysophosphatidylinositol can be efficiently produced.
[0011]
The lysophosphatidylinositol produced in this way is converted into glycerophosphorylinositol which is enzymatically decomposed and hydrolyzed with two fatty acid groups when the reaction with phospholipase A1 is advanced. From such a situation, it was found that phospholipase A1 exhibits the same action as phospholipase B, which hydrolyzes all phospholipid fatty acids. Whereas phospholipase B depends on the type of phospholipid that is hydrolyzed by its origin, this enzyme hydrolyzes all major phospholipids of plant phospholipids, so that glycosphingolipids contained in plant phospholipids, The inventors have found a new method for obtaining a useful substance such as steryl glycoside and glyceroglycolipid by selecting an appropriate solvent at a high concentration. Yes, this pioneered a new method for extracting glycosphingolipids, steryl glycosides, glyceroglycolipids, and the like.
[0012]
That is, the present inventors, phosphatidylinositol, phosphatidylcholine, phosphatidylethanolamine and diacylglycerophospholipid of phosphatidic acid are affected by phospholipase A1, and over time, lysophosphatidylinositol, lysophosphatidylcholine, lysophosphatidylethanolamine and The lysophosphatidic acid is hydrolyzed into monoacylglycerophospholipids. These monoacylglycerophospholipids are further deacylated by the enzyme to be hydrolyzed into their respective glycerophosphoryls, from diacylglycerophospholipids. Among the four phospholipids, phosphatidylinositol is the slowest in the conversion to monoacylglycerophospholipid, lysophosphatid Since the three types of monoacylglycerophospholipids other than inositol are further hydrolyzed by the enzyme into the glycerophosphoryl, the content of lysophosphatidylinositol in the reaction solution is different from that in the reaction solution of other monoacylglycerophospholipids. More than the content, lysophosphatidylinositol can be easily separated from the respective glycerophosphoryl hydrolyzed by other monoacylglycerophospholipids in the reaction mixture, and all diacylglycerophospholipids can be phospholipase When it is hydrolyzed to each glycerophosphoryl through the monoacylglycerophospholipid by the action of A1, the starting material of the hydrolysis reaction (for example, soybean phospholipid) is converted to, for example, sphingoglycolipid, sterylglycoside, glycerosugar. Many useful substances such as diacyl glycerophospholipid and monoacyl glycerin lipid that are difficult to separate from the reaction mixture are no longer substantially present in the reaction mixture and can be easily collected from the reaction mixture. Knowledge has been obtained and further studies have been made to complete the present invention.
[0013]
That is, the present invention
(1) A method for producing high-purity lysophosphatidylinositol, characterized in that phospholipase A1 produced by Aspergillus filamentous fungi is allowed to act on hydrous plant phospholipids,
(2) A production method for obtaining lysophosphatidylinositol according to (1) in a high yield by adjusting the action time of the phospholipase A1;
(3) A method for producing a sphingoglycolipid, a sterylglycoside, or a glyceroglycolipid, wherein the phospholipase A1 is allowed to act on a hydrated plant phospholipid for a long time to obtain a sphingoglycolipid, a sterylglycoside, or a glyceroglycolipid.
(4) The production method according to any one of (1) to (3), wherein the phospholipase A1 is any one of phospholipase A1 produced by Aspergillus nigar or Aspergillus oryzae.
(5) The production method according to any one of (1), (2), and (4) above, wherein the hydrated plant phospholipid is fractionated and the phosphatidylinositol is contained as a raw material at a high concentration.
(6) In the production method according to any one of (1) to (5), an alkaline aqueous solution, an acidic aqueous solution, or a buffer solution is added to perform the reaction at an optimum pH of the enzyme. Thru | or the manufacturing method in any one of said (5) description,
(7) A plant phospholipid mixture containing (a) phosphatidylinositol and (b) 1 to 3 selected from phosphatidylcholine, phosphatidylethanolamine and phosphatidic acid, and the amount of lysophosphatidylinositol produced is lysophosphatidylcholine, lysophosphatidylethanolamine, and A method for producing lysophosphatidylinositol, which comprises hydrolyzing with phospholipase A1 until the amount of lysophosphatidic acid exceeds any amount produced; and
(8) Until the plant material containing at least one of (c) plant phospholipid and (d) glycosphingolipid, steryl glycoside and glyceroglycolipid is changed into a glycerophosphoryl body of substantially all of the plant phospholipid Hydrolyzing with phospholipase A1 and collecting the component (d) from the reaction solution, one or more methods for producing glycosphingolipid, steryl glycoside and glyceroglycolipid,
About.
[0014]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The raw material used in the method of the present invention is called hydrous plant phospholipid. This may be any plant that is derived from a plant and contains at least one selected from (a) phosphatidylinositol and (b) phosphatidylcholine, phosphatidylethanolamine, and phosphatidic acid. , 1 to 3 kinds of steryl glycoside and glyceroglycolipid may be included. These usually contain water, but in some cases may not contain water, and they are collectively referred to as hydrous plant phospholipids. Specifically, for example, plants containing the above chemical components such as soybean, wheat, barley, corn, sunflower, rapeseed, peanut, cottonseed, and the processed products thereof are used for convenience. The most preferred raw material is pasty soybean phospholipid, which can be easily produced by known methods.
[0015]
The phospholipase A1 used in the present invention is a known enzyme and can be easily produced, for example, according to the description in JP-A-7-31472.
Since the preferable conditions for this enzyme are pH 4.0 to 5.0 and the temperature is about 50 ° C. to 60 ° C., it is preferable to set the reaction conditions as such. For adjusting the pH value, an alkaline aqueous solution (for example, NaOH aqueous solution) or an acidic aqueous solution (for example, 1N hydrochloric acid) may be used according to a method known per se.
The reaction time of the enzymatic hydrolysis reaction cannot be generally stated. When selectively producing lysophosphatidylinositol, at least the content of lysophosphatidylinositol in the reaction mixture is higher than the content in the reaction mixture of lysophosphatidylcholine, lysophosphatidylethanolamine and lysophosphatidic acid. It is preferable to carry out the hydrolysis reaction until.
When one or more glycosphingolipids, steryl glycosides, and glyceroglycolipids are collected from the reaction solution, any of the above four types of diacylglycerophospholipids can be handled via corresponding monoacylglycerophospholipids. It is preferable to continue the hydrolysis reaction until the glycerophosphoryl is hydrolyzed. After completion of the reaction, the desired product can be collected from the reaction mixture according to a method known per se.
Preferred embodiments of the present invention are described below. Unless otherwise specified,% parts are% by weight and parts by weight, respectively.
[0016]
By the way, in the method according to the present invention as described above, the plant phospholipid used as a raw material can be used as a mixture of various phospholipids, but when the plant phospholipid is fractionated with ethanol, phosphatidylinositol does not dissolve in ethanol. This means that almost all of the phosphatidylinositol remains in the ethanol-insoluble part, and this ethanol-insoluble part can be used as a raw material for producing lysophosphatidylinositol. Moreover, when plant phospholipids are dissolved in hexane and fractionated with aqueous ethanol, glycolipids remain in the aqueous ethanol section (H. Pardon, Proceeding of the 2nd International Colloquim on Soya Lecithin, Brighton England, April 3 (1982)), this fraction can also be used as a raw material for the production of steryl glycosides and glycolipids. In any case, depending on the target substance to be obtained, as a pretreatment, plant phospholipids are appropriately fractionated and used, which is appropriately performed depending on the situation because the posttreatment after the reaction is simplified.
[0017]
The enzyme reaction in the present invention is carried out by contacting the enzyme and the substrate in an aqueous medium or in a wet state. If necessary, a nonionic organic solvent (for example, ethers such as diethyl ether and dioxane, hexane, benzene, It can also be carried out in the presence of hydrocarbons such as toluene, esters such as ethyl acetate and butyl acetate). In addition, the aqueous or wet body may be adjusted to pH 3.5 to 6.5 by adding an acid, alkali or buffer as necessary to promote the reaction. The amount of this enzyme to be added varies depending on the reaction temperature, reaction time, pH at the time of reaction, the nature and quality of the substrate, the substances to be contaminated, the degree of required effect, etc., but preferably 1,000 units / g of enzyme is selected. Used, and 0.05% to 5% by weight relative to the substrate.
[0018]
The reaction temperature of the enzyme is 10 ° C. to 70 ° C. (preferably 30 ° C. to 60 ° C.), and the time required for the reaction is usually 1 day to 10 days, although it varies depending on the reaction temperature, pH, and type of substrate. . The progress of the reaction can be examined by following the changes in the main phospholipid composition according to “Oil Analytical Test Method 4.3.3.1 Phospholipid Composition (Thin Layer Chromatographic Method)” edited by the Japan Oil Chemists' Society. Changes in the lyso form of phospholipids were determined by the conditions of developing solvent for the thin layer used in this analytical method [primary development-chloroform: methanol: 7 molar aqueous ammonia (130: 60: 8), secondary development-chloroform: methanol: acetic acid : Water (170: 25: 25: 6)] is incompatible and the lyso form of each phospholipid cannot be separated. Accordingly, the present inventors examined various developing solvents, and as a result, chloroform: methanol: 7 molar aqueous ammonia (130: 70: 8) as the primary developing solvent, and chloroform: methanol: acetic acid: formic acid as the secondary developing solvent (50: 30: 4.5: 6.5) was used, and the lyso form of each phospholipid was found to be clearly separated, and the lyso form of each phospholipid was identified by comparing it with the preparation. FIG. 1 shows the separation status of lysosomes of each phospholipid.
[0019]
FIG. 2 shows the results obtained by adding 0.08% of phospholipase A1 (11,900 units / g) manufactured by Sankyo Co., Ltd. to a 50% aqueous solution of pasty soybean phospholipid (phospholipid content 62%) and reacting at 50 ° C. The content ratio of each phospholipid was measured according to the above-mentioned “Reference Oil Analysis Test Method” edited by the Japan Oil Chemists' Society, but the developing solvent was changed to the above-mentioned conditions of FIG. As a result, although the phosphatidylcholine, phosphatidylethanolamine, and phosphatidic acid are slightly different in reactivity as the acid value of the solution increases, the reaction proceeds to give each lyso form, but the reaction does not accumulate each lyso form. If it continues, it will decompose | disassemble further and each phospholipid will change into a glycero phosphoryl body each. As a result, the phosphorus content at the origin in FIG. 1 is significantly increased. On the other hand, phosphatidylinositol is slowly decomposed and is further transformed into a lyso form, but also slowly hydrolyzed. At an acid value of 77.4, lysophosphatidylinositol is 9.2%, that is, the original amount when combined with phosphatidylinositol. In the phospholipid excluding the origin in the product, lysophosphatidylinositol has a high purity of 69%. This result will be described in detail again in the examples. Since high-purity lysophosphatidylinositol can be obtained in this way, it was clear that this was an effective production method, and the production method was established.
[0020]
After the enzymatic reaction is completed, the enzyme is deactivated by heat treatment at about 70 ° C. to 90 ° C. for 10 minutes to 2 hours. For enzyme deactivation, pH treatment, pressurization treatment, or the like may be used alone or in appropriate combination in addition to heating conditions. The lysophosphatidylinositol can be obtained from the hexane portion with high purity by a commonly used fractionation method such as degreasing with acetone after enzyme deactivation and subsequent fractionation with hexane and aqueous ethanol.
[0021]
The above-described enzymatic reaction for obtaining lysophosphatidylinositol was continued, and the reaction was continued until the acid value of the solution reached 90. At the time of the acid value of 77.4, phospholipids and lysophospholipids that remained slightly other than lysophosphatidylinositol are hydrolyzed and replaced with glycerophosphoryl.
Such a reaction gives the same result as in the case of hydrolysis with phospholipase B, whereas phospholipase B exhibits substrate specificity, whereas the enzyme, ie, phospholipase A1, is not subject to any restrictions. The present inventors have found that this method can be used when extracting useful substances such as glycosphingolipids, steryl glucosides, and glyceroglycolipids mixed in plant phospholipids.
[0022]
Plant phospholipids contain a mixture of useful substances other than phospholipids such as glycosphingolipids, steryl glycosides, and glyceroglycolipids. It was removal of the phospholipid containing. Therefore, as seen in the case of obtaining glycosphingolipids, methods such as chromatographic method or hydrolysis with alcoholic caustic potash followed by Folch partitioning and fractionation with a silicate column are adopted. Although this method is suitable for laboratories, it cannot be employed in industrial production, so the method described here can replace them.
[0023]
The fact that this enzyme exhibits the action of phospholipase B that is not restricted by the substrate provides a method for easily obtaining useful substances other than phospholipids mixed in phospholipids. That is, if the reaction with this enzyme is advanced to hydrolyze the fatty acid part of phospholipids and then treated with acetone, the useful substance and various glycerophosphoryl derivatives derived from phospholipids remain. The target substance can be obtained by applying a commonly used method such as extraction with ethanol, aqueous ethanol or fractionation with hexane-aqueous ethanol. In the Examples, a method for obtaining cerebroside and steryl glycoside, which are glycosphingolipids mixed in corn phospholipid, is described, but this application range is not limited to this. That is, when the plant phospholipid is fractionated with hexane-aqueous ethanol, the glyceroglycolipid part is obtained from the aqueous ethanol part, but the accompanying phospholipid body is treated with this enzyme to form a glycerophosphoryl body as described above. Thus, glyceroglycolipid can be obtained by appropriate solvent extraction.
[0024]
As described above, the discovery that this enzyme has the action of phospholipase B provides a novel method for obtaining useful substances other than phospholipids contained in plant phospholipids. Since the content of sphingoglycolipids, steryl glycosides, glyceroglycolipids, and the like varies depending on the type of plant phospholipid, the type of plant phospholipid may be selected according to the target substance to be obtained.
[0025]
【Example】
Some examples will be shown below to describe the present invention in more detail. However, the present invention is not meant to be limited by the description of such examples. In addition to the specific examples described above, the present invention includes various changes, modifications, and modifications based on the knowledge of those skilled in the art without departing from the spirit of the present invention. It should be understood that improvements can be made.
[0026]
The percentages in the following examples are all expressed on a weight basis, and as abbreviations for phospholipids and lysates thereof, PC: phosphatidylcholine, PE: phosphatidylethanolamine, PI: phosphatidylinositol, PA: phosphatidic acid, LPC: lysophosphatidylcholine, LPE: lysophosphatidylethanolamine, LPI: lysophosphatidylinositol, LPA: lysophosphatidic acid were used.
[0027]
Example 1
Add water to 300 g of paste-like soybean phospholipid (phospholipid content 62%) to make a 50% aqueous solution, add 0.2 g of phospholipase A1 (11,900 units / g) manufactured by Sankyo Co., Ltd., and continue stirring at 50 ° C. to increase the acid value Table 1 shows the numerical values of FIG. On the other hand, as a comparative control example, 0.2 ml of phospholipase A2 (manufactured by Novo Nordisk, lecitase 10L 11,000 units / ml) was added and reacted in the same manner. The results are shown in Table 1.
[0028]
[Table 1]
[0029]
As is apparent from Table 1, as the reaction proceeds, PC, PE, and PA change to LPC, LPE, and LPA, respectively, but without further accumulation in this state, they further decompose and change to glycerophosphoryl. Along with this, the phosphorus content of the OR part increases. On the other hand, PI has a slower rate of becoming LPI than other phospholipids, and when the acid value is 77.4 when phospholipids other than PI are almost decomposed (120 hours from the start of the reaction), the total amount of PI and LPI is It was 10.0% from the original 15.0%. This indicates that 67% remained, and the LPI content in the phospholipid fraction other than the OR portion remained as high as 69%. When the reaction is further continued and the acid value reaches 90.5 (180 hours from the start of the reaction), all typical phospholipids are decomposed.
On the other hand, in another type of enzyme phospholipase A2, PC, PE, and PA were changed to LPC, LPE, and LPA, respectively, but these amounts were not decreased and maintained even if the reaction was continued. What is characteristic here is that although PI slightly decreased as the reaction was prolonged, LPI was hardly produced.
[0030]
A 1N-NaOH solution was added to the reaction product having an acid value of 77.4 to make the acid value 45 or less, and then the enzyme was inactivated at 80 ° C. for 20 minutes. After drying, the mixture was extracted 4 times with 600 ml of acetone and degreased to obtain 100.7 g of a solid. This solid was dispersed in 1 L of hexane, liquid-separated with 1 L of 50% ethanol water, and the hexane layer was dried to obtain 17.9 g of a solid. The phospholipid composition (%) of this product was LPI71.2, PI5.1, PC5.5, LPC9.5, OR7.7, and high purity LPI could be obtained.
[0031]
Example 2
2 L of ethanol was added to 500 g of pasty soybean phospholipid (phospholipid content: 62%), stirred, allowed to stand at room temperature, the ethanol layer was separated by a gradient method, and the same operation was repeated twice on the residue. All ethanol layers were combined and the solvent was distilled off to obtain 175 g of ethanol-soluble part (phospholipid content 51.0%) and 320 g of ethanol-insoluble part (phospholipid content 65.8%) from the residue part. 20 ml of water in which 0.25 g of phospholipase A1 (11,900 units / g) manufactured by Sankyo Co., Ltd. was dissolved was added to 320 g of ethanol insoluble part, and stirring was continued at 50 ° C., and the same reaction as in Example 1 was carried out. The results are shown in Table 2.
[0032]
[Table 2]
[0033]
At an acid value of 72.2 (110 hours from the start of the reaction), heating was performed at 85 ° C. for 30 minutes to inactivate the enzyme, followed by drying under reduced pressure and extraction with 1.2 L of acetone five times to obtain a powdery solid content of 130 0.7 g was obtained. Disperse in 1.3 L of hexane, separate with 1.3 L of 50% ethanol water, and concentrate the hexane layer under reduced pressure to obtain 60.5 g of a solid. The phospholipid composition (%) of this product was LPI30.1, PI20.7, LPC5.5, PC2.1, LPE6.2, PE2.9, LPA2.1, PA1.8, OR10.5. In this way, LPI and PI contents exceeding 50% and high LPI contents could be obtained in high yield. That is, in Example 1, from 17.9 g (9.6% of the starting phospholipid) to 300 g of pasty soybean phospholipid (phospholipid content 62%, phospholipid content 186 g) to LPI high concentration. In this example, the ethanol-insoluble part 320g (phospholipid content 65.8%, phospholipid content 210.6g) reaches 28.7% of the starting phospholipid.
[0034]
Example 3
20 ml of water in which 0.1 g of phospholipase A1 (11,900 units / g) manufactured by Sankyo Co., Ltd. was dissolved in 300 g of pasty corn phospholipid (phospholipid content 61.5%) was added, and stirring was continued at 50 ° C. After 4 days,
[0035]
Since the spot of Rf 0.53 coincided with that of the cerebroside sample derived from bovine brain, a part of this solid was subjected to silica gel chromatography and eluted sequentially with chloroform and acetone, and the corresponding compound of Rf 0.53 was purified. I was able to get it with goods. This product was {1} negative for ninhydrin coloration and gave the same absorption by IR as the sample (β-D-galactosylceramide). ▲ 2 ▼ 13 In C-NMR, the carbon of the methine group bonded to nitrogen contained in the sphingolipid part, the carbon of the methylene group bonded to oxygen, the carbon of the methine group adjacent to the double bond bonded to the hydroxyl group, and the signal of the carbonyl carbon of the amide The same value was shown. However, it was confirmed that the constituent sugar was different from that of the standard product and that it was β-D-glucose.
[0036]
The solids obtained above and the standard cerebrosides with different concentrations were developed with TLC, developed with 50% sulfuric acid, and the intensity of color was quantified by densitometry, which was soluble in hot ethanol. The content of cerebroside in the solid obtained from the portion soluble in cold ethanol was 5.1%. Compared with the commercially available product “Nissan Ceramide” of Nippon Oil & Fat Co., Ltd., which has a cerebroside content of 3% and that of Oriza Oil Chemical Co., Ltd. The resulting product has a high concentration and a simple manufacturing method.
[0037]
The spot of Rf0.6 in the solid obtained from the filtrate coincided with the standard sterylglycoside, and accounted for 10% in the densitometric analysis as described above. On the other hand, 3.8 g of solid matter is obtained from the cold ethanol-insoluble part. When TLC analysis was performed in the same manner as described above, 2 spots of 4 spots in total of 0.6 and 0.86 in addition to
[0038]
【The invention's effect】
Useful lysophosphatidylinositol can be produced with high purity and high yield by allowing phospholipase A1 produced by Aspergillus fungi to act on hydrous plant phospholipids. It has also been found that glycosphingolipids and steryl glycosides, which are useful substances other than phospholipids mixed in plant phospholipids, can be produced industrially advantageously.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a TLC development view of PL-A1 degrading lecithin.
FIG. 2 shows the enzyme reaction transition of pasty soybean lecithin.
[Explanation of symbols]
PC: Phosphatidylcholine
PE: Phosphatidylethanolamine
PA: phosphatidic acid
PI: Phosphatidylinositol
OR: Origin on thin layer chromatograph
LPC: Lysophosphatidylcholine
LPE: Lysophosphatidylethanolamine
LPA: Lysophatidic acid
LPI: Lysophosphatidylinositol
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