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JP4465646B2 - 製紙用添加剤および当該製紙用添加剤を用いた紙 - Google Patents

製紙用添加剤および当該製紙用添加剤を用いた紙 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製紙用添加剤および当該製紙用添加剤を添加して得られた紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、省資源や省エネルギーのために、各種リサイクルが実施されている。この社会的な流れを受け、製紙業界でも、紙のリサイクルを進めるため、原料パルプ中の古紙含有量を増やした紙が製造されるようになってきているが、一般に原料パルプ中の古紙の含有量が増大するにつれ、紙の品質(破裂強度、圧縮強度、内部強度等の紙力)が低下する傾向にある。また、排水による環境負荷を低減させるべく白水のクローズド化が進んだため、抄紙用水中の溶存物質量が増加したり原料中の微細繊維が増加したり、さらには生産性向上を達成すべく抄紙機の高速化が進んでおり、これらの要因によって抄紙環境は悪化している。そのため、これらの問題を解決できる製紙用添加剤が注目されている。
【0003】
ところで、水溶性ポリカチオンと水溶性両性共重合を併用することにより、乾燥紙力強度を向上させうる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)が、本発明によれば、ある程度の紙力強度は得られるものの、近年の古紙含有量の増加や高速抄紙に対応するためには、水溶性両性共重合体として高分子量化したものを用いなければならないが、高分子量化すると、水溶液粘度が高くなり、取り扱いが困難となるといった問題があるうえ、分散性の悪化や過度の凝集によるフロック化が進み、地合いが乱れ、紙力強度が低下するといった問題があった。
【0004】
また、填料などの歩留まりを向上させ、濾水性を向上させる添加剤として、分子中にカチオン性基およびアニオン性基の両方を有する両性ポリアクリルアミド系共重合体と、カチオン性基を有しかつ上記両性ポリアクリルアミド系共重合体とは異なるポリマーを含有する添加剤が提案されている(特許文献2参照)。しかし、本方法によれば、濾水性は向上するものの、古紙含有量の増加や高速抄紙に対応するためには当該添加剤の高分子量化が必要となり、前記同様の問題があるうえ、地合いが乱れるという問題もあった。
【0005】
そこで、2成分系の低粘度のアクリルアミド系ポリマーを用いた製紙用添加剤が提案されている(特許文献3参照)が、当該製紙用添加剤を用いた場合には、濾水性、強度等は向上するものの満足のいくものではなく、やはり地合いが乱れるという問題は解決できなかった。また、比較的低分子量のポリアニオンを用いているため、特に硫酸アルミニウムの少ない抄紙環境では、パルプへの定着性が低下し充分な効果を発揮しない。
【0006】
また、架橋性ビニルモノマーを必須の構成モノマーとして調製した両イオン性架橋型アクリルアミド重合体、およびカチオン変性アクリルアミド系重合体とからなる水溶性混合物系の製紙用添加剤も提案されている(特許文献4参照)が、カチオン変性アクリルアミド系重合体に紙力増強効果を付与したい場合、高分子量化が必須となり、また高カチオン性と相まって過度の凝集を引き起こし地合いが乱れ、充分な効果を発揮できない。
【0007】
なお、かつて、本出願人は各種製紙用添加剤を提案してきた(例えば、特許文献5参照)が、近年の原料パルプにおける古紙含有量の増大といった環境の変化により、より効果的な製紙用添加剤が求められるようになった。
【0008】
【特許文献1】
特開昭59−76997号公報
【特許文献2】
特開平5−78997号公報
【特許文献3】
特開平9−105097号公報
【特許文献4】
特開平9−78486号公報
【特許文献5】
特開平10−131086号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、古紙含有量が高いパルプを用いた場合や、微細繊維が多く、クローズド化が高い環境でも高速抄紙に対応でき、紙力増強効果が高く、かつ、濾水性も良好であり、特に、地合いに優れた紙を提供できる製紙用添加剤を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記問題を解決すべく、検討を重ねたところ、特定のポリアクリルアミド系紙力増強剤に特定のカチオン性高分子を混合した製紙用添加剤を用いることにより、前記課題を解決し得ることを見出し、さらには当該ポリアクリルアミド系紙力増強剤および特定のカチオン性高分子をそれぞれ特定の割合で用いることにより、著しい紙力増強効果が得られることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、(a)(メタ)アクリルアミド、(b)アニオン性ビニルモノマー、(c)架橋性ビニルモノマー、(e)カチオン性ビニルモノマーならびに必要により、(d)(a)以外のノニオン性ビニルモノマーを、連鎖移動性官能基を2個以上有しかつ重量平均分子量が300以上の化合物(C)の存在下で共重合させて得られる分岐構造を有する両性アクリルアミド系重合体(A)と、(e)カチオン性ビニルモノマーを必須成分とし、かつ(a)(メタ)アクリルアミドを含有しないモノマー成分を重合して得られる非アクリルアミド系重合体(B)を含有する製紙用添加剤および当該製紙用添加剤を添加して得られる紙に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の製紙用添加剤は、分岐構造を有する両性アクリルアミド系重合体(A)(以下、(A)成分という)と、(e)カチオン性ビニルモノマーを必須成分とし、かつ(a)(メタ)アクリルアミドを含有しないモノマー成分を重合して得られる非アクリルアミド系重合体(B)(以下、(B)成分という)を含有するものである。
【0013】
本発明に用いられる(A)成分としては、(a)(メタ)アクリルアミド(以下、(a)成分という)、(b)アニオン性ビニルモノマー(以下、(b)成分という)、(c)架橋性ビニルモノマー(以下、(c)成分という)、(e)カチオン性ビニルモノマー(以下、(e)成分という)、必要に応じて(d)(a)以外のノニオン性ビニルモノマー(以下、(d)成分という)を、連鎖移動性官能基を2個以上有しかつ重量平均分子量が300以上の化合物(C)(以下、(C)成分という)の存在下で共重合したものを用いる。
【0014】
(b)成分としては、アニオン性を示すものであれば特に制限されず、公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ムコン酸等のジカルボン酸;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの有機スルホン酸;またはこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等があげられ、これらの一種を単独でまたは2種以上を使用できる。
【0015】
(c)成分としては、多官能性モノマーであれば、特に制限されず、公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、2官能性ビニルモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエステル類、アリルメタクリレート、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、N−メチロールアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルフタレート、ジアリルクロレンデート、ジビニルベンゼン等があげられる。また、3官能性モノマーとしては、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、トリアリルトリメリテート、N,N−ジアリルアクリルアミド等を、4官能性ビニルモノマーとしては、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラアリルピロメリテート、N,N,N’,N’−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン、テトラアリルアミン塩、テトラアリルオキシエタン等があげられる。これらは一種を単独でまたは2種以上を使用できる。これらのなかでも、製造時の反応制御が容易なことから、官能基がすべて二重結合のものを使用するのが好ましい。
【0016】
(d)成分としては、(a)成分以外のノニオン性ビニルモノマーであれば、特に制限されず、公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、前記(b)成分のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜8)、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、メチルビニルエーテルなどがあげられる。
【0017】
(e)成分としては、カチオン性を示すものであれば特に制限されず、公知のものを用いることができる。具体的には、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アリルアミン、もしくはトリアリルアミンなどの第三級アミノ基を有するビニルモノマーまたはそれらの塩酸、硫酸、酢酸などの無機酸もしくは有機酸の塩類、または該第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリンなどの四級化剤との反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマーなどがあげられ、これらの一種を単独でまたは2種以上を使用できる。
【0018】
(C)成分としては、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリグリセリン、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合物等のポリエーテル類、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、ポリアクリル酸またはその塩等のアクリル類、スチレンマレイン酸共重合体またはそのエステル類等、カルボキシメチルセルロース等の多糖類、ポリエステル類、ポリアミドポリアミン類等のポリアミド類であれば特に制限なく使用することができる。なお、これらの重量平均分子量は、通常、300以上の化合物を使用し、好ましくは300〜1,000,000、より好ましくは300〜100,000である。重量平均分子量が300より低い場合は十分な分岐構造の共重合体が得られない場合がある。これらの中では、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセリンを用いることにより、高分岐構造とすることができるため好ましい。
【0019】
本発明の(A)成分を得るには、従来公知の各種製造方法によればよい。具体的には、例えば、所定の反応容器に上記所定の(a)〜(e)各成分および水を仕込み、開始剤として過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、またはこれらと亜硫酸水素ナトリウムのような還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤、または2’,2’−アゾビス[2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロライド、2’,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロライド等のアゾ系開始剤等の通常のラジカル重合開始剤を加え、攪拌下、加熱すればよい。開始剤の使用量は特に制限されず、目的とする共重合体により選択されるが、通常は、(a)〜(e)成分の合計量の0.05〜5重量%程度である。なお、当該重合反応には、イソプロピルアルコール、ペンタノール等のアルコール類、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム等の公知の連鎖移動剤を併用してもよい。本発明の(A)成分を得るには、通常、(a)〜(e)成分の各使用量は、得られる共重合体の製紙用添加剤としての性能を十分考慮して決定しなければならない。すなわち、(a)成分は、(a)〜(e)成分の総モル和に対し、通常60〜98モル%程度、好ましくは70〜96モル%であり、(b)成分は同様に通常1〜20モル%程度、好ましくは2〜15モル%である。(c)成分も同様に通常0.01〜5モル%程度、好ましくは0.05〜2.0モル%とされる。0.01モル%に満たない場合は十分な分岐構造が得られず、また5モル%を越える場合には得られる共重合体が水不溶性となる傾向がある。また、(d)成分も同様に通常25モル%程度以下、好ましくは20モル%以下とされる。(e)成分は同様に通常1〜20モル%程度、好ましくは2〜15モル%である。なお、(b)成分と(e)成分の使用比は、(b)成分を過剰とすることにより、紙力増強、濾水性が向上し、紙の地合も良好になる効果が増大するため好ましい。なお、(C)成分を用いる場合の(C)成分の使用量は前記(a)〜(e)のモノマーの総和100重量部に対し通常0.1〜10重量部程度、好ましくは1〜8重量部である。0.1重量部より少ない場合は十分な分岐構造の共重合体が得られず、10重量部より多い場合は製紙用添加剤としての性能が低下する傾向がある。前記各成分の使用量が前記範囲外であれば、いずれの場合にも十分な紙力増強効果は得られない。このようにして得られた(A)成分は、通常、重量平均分子量が100〜500万程度である。
【0020】
(B)成分としては、前記(e)成分を必須成分とし、かつ前記(a)成分を含まないモノマー成分を重合して得られる非アクリルアミド重合体であれば特に制限無く用いることができる。具体的には前記(e)成分を重合することにより得られる重合体または前記(e)成分と、前記(b)成分、前記(c)成分および前記(d)成分からなる群より選ばれる少なくとも一種との混合物の共重合体が挙げられる。(B)成分として、前記(e)成分を重合することにより得られる重合体を用いる場合には、前記(e)成分を単独でまたは二種以上を混合して用いればよく、特にアミノ基含有(メタ)アクリレートなどのビニルモノマーを用いると、分子量調整が容易なことから、好ましい。また、(B)成分として、(e)成分と(b)成分および/または(d)成分の共重合体を用いる場合には、(e)成分として、アミノ基含有(メタ)アクリレートなどのビニルモノマーを用い、(b)成分として、(メタ)アクリル酸などを用い、(d)成分として、アクリロニトリルなどを用いることが、反応制御が容易であるため好ましい。なお、(B)成分の構成モノマーとして(b)成分を用いる場合、得られる共重合体がカチオン性を示している必要があるため、得られる(B)成分に含まれるイオン性基のモル比(アニオン性基/カチオン性基)が通常1未満であり、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下である。また、(B)成分の構成モノマーとして(d)成分を用いる場合、得られる共重合体のカチオン性と水への溶解性を考慮すると、(d)成分の使用量は、通常1〜50モル%程度、好ましくは(d)成分を1〜20モル%である。また、(B)成分は、(c)成分を共重合して架橋構造を導入したものであってもよい。なお、(c)成分としては、製造時の反応制御が容易なことから、官能基がすべて二重結合のものを使用するのが好ましい。(c)成分は、(B)成分を構成するモノマー成分の総モル和に対して、通常0.01〜5モル%程度、好ましくは0.05〜2.0モル%用いることが好ましい。0.01モル%に満たない場合は十分な分岐構造が得られず、また5モル%を越える場合には得られる共重合体が水に不溶性となる傾向がある。なお、本発明では、(B)成分として(e)成分単独重合体およびまたは(e)成分と(c)成分の共重合体を用いるのが、カチオン密度が高くなり紙力増強効果、濾水性が向上し、紙の地合も良好になる効果が増大するため好ましい。
【0021】
(B)成分の製造法は、(A)成分と同様の方法によればよい。なお、このようにして得られる(B)成分は、通常、重量平均分子量が1万〜200万程度である。なお、当該(B)成分の15〜50%水溶液の粘度を10〜10,000mPa・s(25℃)の範囲とすることが、紙力増強効果の点で好ましい。
【0022】
本発明の製紙用添加剤は、前記(B)成分と前記(A)成分を混合することにより得られる。(B)成分と(A)成分の使用量は特に制限されない。通常、紙力増強効果を考慮して、重量比で(A)成分/(B)成分=95/5〜30/70程度で用いる。より好ましくは(A)成分/(B)成分=90/10〜40/60とすることで紙力効果の向上のみならず、濾水性や得られる紙の地合をより向上できる。
【0023】
本発明の製紙用添加剤を用いて紙を製造する際、当該製紙用添加剤の添加場所としては特に制限されず、紙の製造工程で一括して添加してもよく、また複数工程で分割添加してもよい。なお、当該製紙用添加剤は、紙料濃度が1.5重量%未満の場所で添加することにより紙力強度の向上が著しくなるため好ましい。紙料濃度が1.5重量%未満の場所としては、例えば、ファンポンプ、白水ピット、スクリーンなどが挙げられるが、特にファンポンプ等で添加することが好ましい。また、硫酸バンドを添加して紙を製造する場合には、硫酸バンドを添加した後に、本発明の製紙用添加剤を添加することにより、紙力増強効果が著しく向上するため好ましい。
【0024】
【発明の効果】
本発明の製紙用添加剤を用いることにより、古紙含有量の多い原料パルプを用いて製造された紙の強度等の低下を効果的に防止することができる。また、本発明の製紙用添加剤を用いることにより、高速抄紙した場合でも断紙等を防止することができ、生産効率を向上させることができる。さらに、本発明の製紙用添加剤を用いることで、濾水性を向上させることができ、得られる紙の地合いも向上させることができる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例中の部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
【0026】
製造例1(ポリマー1の製造法)
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管および2つの滴下ロートを備えた反応装置に、イオン交換水500部を入れ、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、90℃まで加熱した。一方の滴下ロートにアクリルアミド225.8部、イタコン酸9.4部、80%アクリル酸水溶液13.0部、70%ジメチルアミノエチルメタクリレートのベンジルクロライド4級化物水溶液72.9部、ジメチルアクリルアミド1.4部、ポリエチレングリコール(重量平均分子量400 和光純薬株式会社製Polyethylene Glycol 400)6部、メタアリルスルホン酸ナトリウム2.0部およびイオン交換水584部を仕込み、硫酸によりpHを3に調整した。また、他方の滴下ロートに過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水100部を入れた。次に、両方の滴下ロートより系内にモノマーおよび触媒を約3時間かけて滴下した。滴下終了後過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を入れ1時間保温し、イオン交換水67部を投入し、固形分20.1%、粘度(25℃)が6,800mPa・sの共重合体水溶液を得た。各製造例で用いたモノマー成分と比率を表1に、また得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0027】
製造例2(ポリマー2の製造法)
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド248.5部、イタコン酸15.0部、62.5%硫酸18.1部、ジメチルアミノエチルメタクリレート36.2部、トリアリルイソシアヌレート0.39部、ポリプロピレングリコール(重量平均分子量700 和光純薬株式会社製、商品名「Polypropylene Glycol,triol type」)3部およびイオン交換水1090部を仕込み、硫酸によりpHを3に調整した。窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を60℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後30分保温し、過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入して1時間保温した。重合終了後、イオン交換116部を投入し、固形分20.2%、粘度(25℃)が8,900mPa・sの共重合体水溶液を得た。各製造例で用いたモノマー成分と比率を表1に、また得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0028】
製造例3(ポリマー3の製造法)
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド189.6部、80%アクリル酸水溶液21.4部、75%ジメチルアミノエチルアクリレートのベンジルクロライド4級化物水溶液110.0部、メチレンビスアクリルアミド0.16部、ジメチルアクリルアミド1.7部、アクリロニトリル9.0部。ポリエチレングリコール(重量平均分子量400 和光純薬株式会社製、商品名「Polyethylene Glycol 400」)6部およびイオン交換水1076部を仕込み、硫酸によりpHを3に調整した。窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を60℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.3部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後30分保温し、過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入して1時間保温した。重合終了後、イオン交換水550部を投入し、固形分15.2%、粘度(25℃)が8,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。各製造例で用いたモノマー成分と比率を表1に、また得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0029】
製造例4(ポリマー4の製造法)
製造例1と同様の反応装置に、ジメチルアミノエチルメタクリレート300部、62.5%硫酸149.6部およびイオン交換水491部を仕込み、硫酸によりpHを3に調整した。窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を65℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム2.4部とイオン交換水10部および亜硫酸水素ナトリウム2.0部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後、1時間保温した。重合終了後、イオン交換水367部を投入し、固形分30.2%、粘度(25℃)が700mPa・sの重合体水溶液を得た。各製造例で用いたモノマー成分と比率を表1に、また得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0030】
製造例5(ポリマー5の製造法)
製造例1と同様の反応装置に、ジメチルアミノエチルアクリレート212.0部、62.5%硫酸116.0部、80%アクリル酸水溶液7.9部、アクリロニトリル9.3部およびイオン交換水831部を仕込み、硫酸によりpHを3に調整した。窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を65℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム2.4部とイオン交換水10部および亜硫酸水素ナトリウム1.0部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後、1時間保温した。重合終了後、イオン交換水678部を投入し、固形分20.3%、粘度(25℃)が900mPa・sの共重合体水溶液を得た。各製造例で用いたモノマー成分と比率を表1に、また得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0031】
製造例6(ポリマー6の製造法)
製造例1と同様の反応装置に、80%ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロリド4級化物水溶液374.2部、ジメチルアクリルアミド0.62部およびイオン交換水1029部を仕込み、硫酸によりpHを3に調整した。窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を65℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部および亜硫酸水素ナトリウム0.2部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後、1時間保温した。重合終了後、イオン交換水602部を投入し、固形分15.2%、粘度(25℃)が2,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。各製造例で用いたモノマー成分と比率を表1に、また得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0032】
製造例7(ポリマー7の製造法)
製造例1と同様の反応装置に、70%ジメチルアミノエチルメタクリレートのベンジルクロリド4級化物水溶液409部、アクリロニトリル13.4部、メチレンビスアクリルアミド0.292部およびイオン交換水522部を仕込み、硫酸によりpHを3に調整した。窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を65℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム2.4部とイオン交換水10部および亜硫酸水素ナトリウム1.2部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後、1時間保温した。重合終了後、イオン交換水48部を投入し、固形分30.2%、粘度(25℃)が800mPa・sの共重合体水溶液を得た。各製造例で用いたモノマー成分と比率を表1に、また得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0033】
比較製造例1(ポリマー8の製造法)
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド93.4部、ジメチルアミノエチルメタクリレート206.6部、62.5%硫酸103.2部およびイオン交換水541部を仕込み、硫酸によりpHを3に調整した。窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を65℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.5部とイオン交換水10部および亜硫酸水素ナトリウム0.63部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後、1時間保温した。重合終了後、イオン交換水252部を投入し、固形分30.2%、粘度(25℃)が1,100mPa・sの共重合体水溶液を得た。各製造例で用いたモノマー成分と比率を表1に、また得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0034】
比較製造例2(ポリマー9の製造法)
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド213.8部、80%アクリル酸水溶液33.9部、ジメチルアミノエチルメタクリレート59.1部、62.5%硫酸29.5部およびイオン交換水1643部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を55℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.42部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後、1時間保温した。重合終了後、イオン交換水1040部を投入し、固形分15.5%、粘度(25℃)が8,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。各製造例で用いたモノマー成分と比率を表1に、また得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0035】
比較製造例3(ポリマー10の製造法)
製造例1と同様の反応装置に、イオン交換水500部を入れ、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、90℃まで加熱した。一方の滴下ロートにアクリルアミド217.4部、イタコン酸9.1部、80%アクリル酸水溶液12.7部、70%ジメチルアミノエチルメタクリレートのベンジルクロライド4級化物水溶液85.3部、ジメチルアクリルアミド1.7部、メタアリルスルホン酸ナトリウム1.9部およびイオン交換水310部を仕込み、硫酸によりpHを3に調整した。また、他方の滴下ロートに過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水100部を入れた。次に、両方の滴下ロートより系内にモノマーおよび触媒を約3時間かけて滴下した。滴下終了後過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を入れ1時間保温し、イオン交換水80部を投入し、固形分20.1%、粘度(25℃)が10,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。各製造例で用いたモノマー成分と比率を表1に、また得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0036】
比較製造例4(ポリマー11の製造法)
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド73部、80%アクリル酸水溶液18.5部およびイオン交換水610部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を40℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1部とイオン交換水10部および亜硫酸水素ナトリウム0.1部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後、1時間保温した。イオン交換水138部を投入後40℃まで冷却し、48%水酸化ナトリウム17.5部、50%ジメチルアミン水溶液73.8部、37%ホルマリン66.5部を投入して1時間保温した。重合終了後、イオン交換水445部を投入し、固形分10.2%、粘度(25℃)が10,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。各製造例で用いたモノマー成分と比率を表1に、また得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0037】
比較製造例5(ポリマー12の製造法)
製造例1と同様の反応装置に、アクリル酸ナトリウム300部およびイオン交換水1164部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を45℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム4.0部、亜硫酸水素ナトリウム2.5部とイオン交換水20部を投入した。90℃まで昇温した後、1時間保温した。重合終了後、イオン交換水6.4部を投入し、固形分20.2%、粘度(25℃)が100mPa・sの共重合体水溶液を得た。各製造例で用いたモノマー成分と比率を表1に、また得られた重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0038】
比較製造例6(ポリマー13の製造法)
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド300部およびイオン交換水1647部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を40℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム4.5部とイオン交換水10部および亜硫酸水素ナトリウム1.88部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後、1時間保温した。イオン交換水340部を投入後25℃まで冷却し、有効塩素濃度12%の次亜塩素酸ソーダ520部と48%水酸化ナトリウム134部を含むアルカリ性次亜塩素酸ソーダ水溶液を攪拌下に投入して1時間保温した。重合終了後、塩酸でpHを3に調整し、有効成分10.2%、粘度(25℃)が250mPa・sの重合体水溶液を得た。各製造例で用いたモノマー成分と比率を表1に、また得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0039】
比較製造例7(ポリマー14の製造法)
製造例1と同様の反応装置に、50%ジメチルアミン水溶液250部を仕込んだ。系内を40℃に保ち攪拌しながら、エピクロロヒドリン257.2部を1時間かけ滴下した。滴下終了後、直ちに温度を80℃にし、5時間攪拌を続けた。重合終了後、室温に冷却してイオン交換水129.8部を投入し、固形分60.0%、粘度(25℃)が500mPa・sの共重合体水溶液を得た。各製造例で用いたモノマー成分と比率を表1に、また得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0004465646
*表中、上段はモノマー種、下段は使用量を表わす(使用モノマー種が2種の場合には、使用量はモノマー種の記載順に記載している)。(a)〜(e)各成分の単位はモル%。(a)〜(e)成分の総モル数に対する各成分のモル%を示している。
*表中、(C)成分およびその他の単位は%。(a)〜(e)成分の総重量に対する重量%を示している。なお、比較製造例7に関しては、ポリマー14中のモル%で示している。
【0041】
表1中の略語の名称は以下の通りである。
(a)成分 AM:アクリルアミド
(b)成分 AA:アクリル酸 AANa:アクリル酸ナトリウム IA:イタコン酸
(c)成分 DMAA:ジメチルアクリルアミド MBAA:メチレンビスアクリルアミド TAIC:トリアリルイソシアヌレート
(d)成分 AN:アクリロニトリル
(e)成分 DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート DMAEA:ジメチルアミノエチルアクリレート DMAEA−Q:ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロライド4級化物 DMAEA−BQ:ジメチルアミノエチルアクリレートのベンジルクロライド4級化物 DML:DMのベンジルクロライド4級化物 Mn:マンニッヒ変性物 Hofman:ホフマン変性物(公知の連鎖移動剤)SMAS:メタアリルスルホン酸ナトリウム
(C)成分PEG:ポリエチレングリコール(重量平均分子量400)、PPG:ポリプロピレングリコール(重量平均分子量700)
DMA:ジメチルアミン ECH:エピクロロヒドリン
【0042】
【表2】
Figure 0004465646
*粘度は、B型粘度計ビスメトロン(芝浦システム株式会社製)を用いて25℃で測定した。
*ポリマー13の不揮発物は、有効成分を示す。
【0043】
実施例1
段ボ−ル古紙をナイアガラ式ビーターにて叩解し、カナディアン・スタンダ−ド・フリ−ネス(C.S.F)380mlに調整したパルプに硫酸バンドを1.0%添加してpH6.5とした。ついで、前記製造例1で得られた重合体水溶液28部と製造例4で得られた重合体水溶液12部を混合し紙力増強剤として、当該パルプスラリーに対パルプ固形分の0.4%(混合液の総添加率)となるよう添加し、攪拌した後、パルプスラリー濃度が1%になるように希釈した。当該1%パルプスラリーの濾水性を測定(JIS P8121に準拠)した。また、タッピ・シートマシンにて脱水し、3.5kg/cmで2分間プレスして、坪量150g/mとなるよう抄紙した。次いで回転型乾燥機で105℃において4分間乾燥し、23℃、50%R.H.の条件下に24時間調湿したのち、比破裂強度を測定(JIS P 8131に準拠)した。さらに、紙の地合を確認する為、シートを透過してくる光を輝度に変換し、OBS画像処理システムHyper700(有限会社OBS製)に取り込み、輝度を統計解析した。結果を表3に示す。
【0044】
実施例2〜4、比較例1〜7
使用紙力増強剤を表3のように変更した他は、実施例1と同様にして濾水性、比破裂強度、地合を測定した。結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
Figure 0004465646
【0046】
表3から明らかな如く、本発明によれば、従来得られなかった高い濾水性が得られ、強度が高く、地合も優れた板紙を容易に製造することが出来る(実施例1〜4、比較例1〜7)。

Claims (4)

  1. 下記(A)成分および(B)成分を含有する製紙用添加剤。
    (A)成分:(a)(メタ)アクリルアミド、(b)アニオン性ビニルモノマー、(c)架橋性ビニルモノマー、(e)カチオン性ビニルモノマーならびに必要により、(d)(a)以外のノニオン性ビニルモノマーを、連鎖移動性官能基を2個以上有しかつ重量平均分子量が300以上の化合物(C)の存在下で共重合させて得られる分岐構造を有する両性アクリルアミド系重合体
    (B)成分:(e)カチオン性ビニルモノマーを必須成分とし、かつ(a)(メタ)アクリルアミドを含有しないモノマー成分を重合して得られる非アクリルアミド系重合体
  2. (B)成分が、(e)カチオン性ビニルモノマーを重合することにより得られる重合体、または(e)カチオン性ビニルモノマーと(b)アニオン性ビニルモノマー、(c)架橋性ビニルモノマーおよび(d)(a)以外のノニオン性ビニルモノマーからなる群より選ばれる少なくとも一種との混合物のカチオン性を示す共重合体である請求項1に記載の製紙用添加剤。
  3. 連鎖移動性官能基を2個以上有しかつ重量平均分子量が300以上の化合物(C)が、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1または2に記載の製紙用添加剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製紙用添加剤を添加して得られた紙。
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