JP4465486B2 - フィルタ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体(例えば、放電加工機の加工液等のような工作機械の加工液)に含まれている粒子等の物質をフィルタで除去して浄化するフィルタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、放電加工機等の工作機械で加工を行うと、加工液中にスラッジ等の不純物が混入することとなる。このため、従来から加工液中に含まれるスラッジを除去するためのフィルタ装置(例えば、実公平7−2006号等)が種々開発されている。
上記した従来のフィルタ装置は、一般的に筒状に形成されたフィルタ部材(濾布、濾紙等)と、このフィルタ部材の両端部にそれぞれ結合する2枚のエンドプレートとで構成されていた。そして、このエンドプレートの少なくとも一方に、未処理液を供給する供給管が嵌め込まれる供給口が設けられていた。
上述したフィルタ装置で未処理液を浄化するには、2枚のエンドプレートとフィルタ部材で囲まれた内筒空間部へ加圧した未処理液を供給管から供給し、未処理液をフィルタ部材の内表面から外表面へ通過させて、未処理液中のスラッジ等の不純物を除去するように構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したフィルタ装置においては、処理液中に含まれる不純物がフィルタ部材に付着・堆積していくため、ある程度の時間使用した時点で交換等する必要が生じる。この際、ランニングコストを低く抑えるため、フィルタ部材に付着・堆積したスラッジ等の不純物をクリーニングして、フィルタ装置を再使用(リサイクル)したいという要求がある。ところが、上述したフィルタ装置では、フィルタ部材の内表面から外表面に向かって未処理液を通過させるため、フィルタ部材の内表面に不純物が付着・堆積することとなる。このため、フィルタ部材をクリーニングしようとする場合、フィルタ部材の内表面より不純物を取り除き、次いで取り除いた不純物をエンドプレートに設けた供給口より外部に取出さなければならない。したがって、クリーニング作業を容易に行うという観点からは、エンドプレートの供給口の開口面積はできるだけ大きくした方が良いこととなる。
一方、上述したフィルタ装置では、フィルタ装置の内部空間に供給した未処理液がフィルタ部材を介してフィルタ装置外に排出される必要があるため、供給管とエンドプレートとの隙間を密封し、この隙間から未処理液が漏れ出さないようにする必要がある。このため、エンドプレートに設ける供給口は、供給管と略同一として供給管とエンドプレートとの間を密封し易くしたいという要求がある。
このように、上述したフィルタ装置においては、クリーンニング作業の観点からはエンドプレートに設けられる供給口の開口面積は大きい方が良く、一方で、供給管とエンドプレートを密封する観点からは供給口の開口面積は小さい方が良いということになる。
【0004】
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであり、そのの目的は、フィルタ部材のクリーニング作業を容易に行うことができ、かつ、フィルタ装置の内部空間から未処理液がフィルタ部材以外の箇所から漏れ出ることを効果的に防止することができるフィルタ装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段及び効果】
上記課題を解決するため本発明の一つの態様に係るフィルタ装置は、供給管から供給された未処理液を処理するフィルタユニットを有するフィルタ装置において、前記フィルタユニットは、筒状に形成されたフィルタ部材と、該フィルタ部材の両端部にそれぞれ結合する2枚のエンドプレートを備え、該2枚のエンドプレートの少なくとも一方には前記供給管よりも大きな開口面積を有する供給口が形成されており、該供給口から前記フィルタユニット内に前記供給管を挿入したときに、前記供給管と前記供給口との間を密閉する弾力性を備えた密閉部材を有し、該密閉部材には、前記供給管が貫通する貫通孔が形成され、該貫通孔の内周面に当該密閉部材と前記供給管とを密封する密封手段が設けられており、さらに、前記フィルタユニットの内側から前記エンドプレートに当接し前記供給管と前記エンドプレートとの間を密封する第1の蓋状部が設けられる(請求項1)。
上記フィルタ装置では、エンドプレートに設けた供給口より供給管がフィルタユニット内に差し込まれ、供給管とエンドプレートとの間は密閉部材により密閉される。
ここで、密閉部材に形成された貫通孔の内周面には密封手段が設けられるため、供給管と密閉部材の隙間から未処理液が漏れ出すことが防止される。また、密閉部材には、フィルタユニットの内側から前記エンドプレートに当接する第1の蓋状部が設けられ、かつ、密閉部材は弾力性を有するため、この第1の蓋状部はフィルタユニットの内部空間に供給された未処理液の圧力により変形してエンドプレートに押し付けられ密着する。したがって、密閉部材とエンドプレートとの隙間から未処理液が漏れ出すことが防止される。また、上記フィルタ装置のフィルタユニットをクリーニングするときは、エンドプレートの供給口の開口面積が大きくされているためクリーニング作業を容易に行うことができる。
【0006】
上記フィルタ装置においては、前記密閉部材には、さらに前記フィルタユニットの外側から前記エンドプレートに当接する第2の蓋状部が設けられていることが好ましい(請求項2)。
このような構成によれば、第1の蓋状部と第2の蓋状部によりエンドプレートを挟むことができ、エンドプレートに密閉部材を取付けて保持することができる。したがって、フィルタユニットと密封部材の分解・組立てを容易に行うことができる。
【0007】
なお、前記密閉部材は、弾力性を有する素材により一体成形されていることが好ましい。このような構成によれば、密閉部材が一体となっているため、分解・組立て時等における取扱いが容易となる。
【0008】
また、上記フィルタ装置においては、前記供給管が、未処理液の発生源とは別体で設けられ、前記供給管には、前記発生源で発生した未処理液が内部に流入する流入口と、該流入口から流入した未処理液を外部に流出するための流出口が設けられ、前記供給管が、前記フィルタユニットの外部に流入口が位置し、かつ前記フィルタユニットの内部に流出口が位置するように位置決めされることが好ましい(請求項3)。
上記構成によれば、供給管が未処理液の発生源とは別体で設けられるため、供給管をフィルタユニットに取付けたまま処理タンク内の設置場所からクリーニング場所へ持運びすることができる。
【0009】
さらに、請求項3に記載のフィルタ装置においては、前記2枚のエンドプレートの両者に前記供給口が形成されており、前記供給管が前記フィルタユニットを貫通して位置決めされていることが好ましい(請求項4)。
上記構成によれば、2枚のエンドプレートに供給口が形成されているため、一方の供給口から噴水ノズル等で洗浄し、洗浄後の液を他方の供給口から排出することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1乃至図5を用いて説明する。図1は本実施の形態に係るフィルタ装置の全体の断面図であり、図2は図1に示すフィルタ装置の各部品を示す図面であり、図3はフィルタユニットの分解斜視図であり、図4はパッキンの断面図であり、図5は図1に示すフィルタ装置を組立てる際の手順を説明するための図面である。
図1、図2に示すように、本実施の形態に係るフィルタ装置は、未処理液を供給するシャフト10(請求項にいう供給管に相当)と、シャフト10に取り付けられるフィルタユニット30a、30bと、シャフト10とフィルタユニット30a、30bとの間を密閉するパッキン40(請求項にいう密閉部材)とで構成される。
【0011】
シャフト10は、図2に示すように、中空状のパイプ材により構成された軸部12と、軸部12の一端に固定された上押え板14と、軸部12の他端に着脱可能に取付けられた下押え板22を有する。
軸部12の端部(上押え板14側)には未処理液が流入する流入口16が設けられ、軸部12の外周面には未処理液が流出する流出口18が設けられる(図1参照)。また、軸部12の他端内周面には後述する雄ネジ26に螺合する雌ネジ20が形成されている。
上押え板14は、シャフト10に取付けられるフィルタユニット30a、30bの位置を規制するための円形状の板材である。この上押え板14の流入口16と反対側の面には、図1に示すようにOリング28aが取付けられる溝が形成されている。
下押え板22も、上押え板14と協働してフィルタユニット30a、30bの位置を規制するための部材であり、上押え板14と略同一形状を有する。この下押え板22には、その表面から突出する軸部24が設けられ、この軸部24には軸部12の雌ネジ20に螺合する雄ネジ26が形成されている。また、下押え板22の軸部24が設けられた面にはOリング28bを取付けるための溝が形成されている。
【0012】
フィルタユニット30a、30bは、図3に示すように、円筒状に形成されたフィルタ部材36と、フィルタ部材36の両端にそれぞれ固定されたエンドプレート32、34から構成される。フィルタ部材36は、濾紙、繊維、織布又は不織布等の濾材12を周方向に襞状に形成して構成され、従来公知のものと同一の構成を備えている。また、エンドプレート32、34には、それぞれ供給口33、35が形成されている。供給口33、35の径は、上述したシャフト10の軸部12の径よりも充分に大きく、かつ、上押え板14、下押え板22の径よりも小さく形成されている。
【0013】
パッキン40は、図4に示すように、上述したフィルタユニット30a、30bのエンドプレート32、34の外側の面に当接する外部当接層42(請求項にいう第2の蓋状部に相当)と、エンドプレート32、34の内側の面に当接する内部当接層44と(請求項にいう第1の蓋状部に相当)、外部当接層42と内部当接層44の両者を連結する連結層46の3層構造を有する。
この外部当接層42、内部当接層44は、エンドプレート32、34に設けた供給口33、35の径よりも大きな径を有し、また、連結層46はエンドプレート32、34の厚みと略同一の厚みを有する。したがって、パッキン40をフィルタユニット30a、30bに取付けるには、パッキン40の外部当接層42及び内部当接層44によりエンドプレート32、34をフィルタユニットの内側と外側から挟みこむだけで良い(図1参照)。なお、内部当接層44の径は外部当接層42の径よりも大きくされ、後述するようにフィルタユニット30内に流入した未処理液の圧力がより多く作用するように構成されている。
また、上述した外部当接層42、連結層46、内部当接層44の各層には、シャフト10の軸部12の径と略同一の径を有する貫通孔48が設けられる。この貫通孔48の内周面には、その中心方向に内部Oリング50(請求項にいう密封手段に相当)が突出成形されている。
なお、このパッキン40はゴム等の弾力性を有する素材を射出成形すること等により一体成形されており、内部当接層44、外部当接層42、内部Oリング50等の各部分は力が作用すると変形可能となっている。
【0014】
次に、フィルタ装置を構成する各部品シャフト10、フィルタユニット30、パッキン40を組立てる際の手順を図5に基づいて説明する。
フィルタ装置を組立てるには、まず、フィルタユニット30にパッキン40を取付ける。具体的には、エンドプレート32の供給口33にパッキン40を取付け、エンドプレート34の供給口35にパッキン40を取付ける。ここで、パッキン40の内部当接層44の径は供給口33、35の径よりも大きくされているが、上述したようにパッキン40はゴム等の弾力性の素材により成形されている。したがって、パッキン40を変形させることにより内部当接層44を供給口33(又は供給口35)よりフィルタユニット30の内部に挿入し、内部当接層44と外部当接層42でエンドプレート32(34)を挟み込み取付けが完了する。
次に、パッキン40が取付けられたフィルタユニット30a、30bをシャフト10に取付ける。具体的には、まず、下押え板22が取付けられていないシャフト10の雌ネジ20側からフィルタユニット30a、30bを取付ける。すなわち、フィルタユニット30a、30bに取付けたパッキン40の貫通孔48にシャフト10の軸部12を挿入する。このとき、貫通孔48の内周面の内部Oリング50が変形してパッキン40と軸部12の間を気密に密封する。
次に、軸部12の雌ネジ20に下押え板22をねじ込み、上押え板14及び下押え板22によりフィルタユニット30a、30bを軸部12の両端から締付ける。このとき、上押え板14及び下押え板22に配設したOリング28a、28bがパッキン40に密着することにより、フィルタユニット30a、30bの気密性が更に高められる。
以上の手順でフィルタ装置の組立てが終了する。なお、分解するときは上述した手順を逆に行えば良い。
【0015】
上述した手順で組立てられたフィルタ装置において、未処理液から不純物を除去する際のフィルタ装置の作用について図1に基づいて説明する。
フィルタ装置により未処理液から不純物を除去するには、流入口16より加圧した未処理液を軸部12内に供給する(図中の矢印▲1▼)。軸部12内に供給された未処理液は、流出口18よりフィルタユニット30a、30bの内部空間に流出し(図中の矢印▲2▼)、フィルタ部材36の内周面から外周面に通過する際に、フィルタ部材36により不純物が除去される。
この際、フィルタユニット30a、30bの内部空間は加圧された未処理液により圧力が高い状態となるため、パッキン40の内部当接層44にはエンドプレート32,34側に向かって圧力が作用することとなる。したがって、内部当接層44は未処理液の圧力によりエンドプレート32,34に密着し、未処理液が内部当接層44とエンドプレート32,34の隙間から外部に漏れ出すことが防止される。また、パッキン40と軸部12の隙間は、内部Oリング50により密封され、さらに上押え板14及び下押え板22に取付けたOリング28a、28bによって、パッキン40と軸部12の隙間から未処理液が漏れ出すことが防止される。したがって、フィルタユニット30a、30bの気密性が高く保持されることとなる。
【0016】
なお、上述したフィルタ装置において、フィルタ部材36に付着・堆積したスラッジ等の不純物を除去するときは、フィルタ装置をシャフト10が取付けられた状態のまま設置場所から清掃場所に運び分解を行う。
フィルタ装置の分解後は、フィルタユニット30a(30b)の一方の供給口33(35)から噴水ノズル等を挿入する。そして、この噴水ノズル等から洗浄液をフィルタ部材36の内周面に吹き付け、フィルタ部材36の内周面に付着したスラッジ等を除去する。このとき、洗浄後の洗浄液は、下方にある供給口33(又は供給口35)からフィルタユニット30a(30b)外に排出される。
【0017】
以上、説明したように、本実施の形態のフィルタ装置では、フィルタユニット30の供給口33、35の開口面積が大きく形成されているため、供給口33,35から内部に挿入した噴水ノズル等の操作が行い易くクリーニング作業を容易に行うことができる。また、供給口33、35の開口面積が大きくされても、パッキン40の内部Oリング50及び内部当接層44によりフィルタユニット30a、30bが気密に保たれるため、フィルタ装置としての濾過能力に問題が生じることはない。
また、上述したフィルタ装置はシャフト10ごと持運びができるため、設置・取り外し等を容易に行うことができる。また、部品点数が少なく、かつ、複雑な構造を有していないため、組立て・分解が容易に行うことができ、また、壊れ難い構造となっている。
さらに、上述したフィルタ装置においては、フィルタユニットを2つ重ねて用いることにより、一つ当たりのフィルタユニットの深さを浅くしクリーニング作業を容易に行うことができる。
【0018】
以上、本発明の好適な一実施の形態に係るフィルタ装置ついて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限られることなく、多くの変更例が本発明に包含される。
例えば、上述したパッキン40は射出成形等により一体成形して製作されたが、一体成形する必要は必ずしもなく、3枚のパッキンを適宜接着して構成しても良い。この場合は、中間のパッキンに設ける貫通口の径を他のパッキンよりも若干小さくして、軸部12とパッキン40の隙間を密封する密封手段を構成しても良い。
【0019】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、これは例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るフィルタ装置の全体断面図
【図2】図1に示すフィルタ装置の各部品を示す図面
【図3】フィルタユニットの分解斜視図
【図4】パッキンの断面図
【図5】図1に示すフィルタ装置を組立てる際の手順を説明するための図面
【符号の説明】
10・・シャフト
30a,30b・・フィルタユニット
32,34・・エンドプレート
40・・パッキン
42・・外部当接層
44・・内部当接層
50・・内部Oリング
Claims (4)
- 供給管から供給された未処理液を処理するフィルタユニットを有するフィルタ装置において、
前記フィルタユニットは、筒状に形成されたフィルタ部材と、該フィルタ部材の両端部にそれぞれ結合する2枚のエンドプレートを備え、該2枚のエンドプレートの少なくとも一方には前記供給管よりも大きな開口面積を有する供給口が形成されており、
該供給口から前記フィルタユニット内に前記供給管を挿入したときに、前記供給管と前記供給口との間を密閉する弾力性を備えた密閉部材を有し、
該密閉部材には、前記供給管が貫通する貫通孔が形成され、該貫通孔の内周面に当該密閉部材と前記供給管とを密封する密封手段が設けられており、さらに、前記フィルタユニットの内側から前記エンドプレートに当接し前記供給管と前記エンドプレートとの間を密封する第1の蓋状部が設けられていることを特徴とするフィルタ装置。 - 前記密閉部材には、さらに前記フィルタユニットの外側から前記エンドプレートに当接する第2の蓋状部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置。
- 前記供給管が、未処理液の発生源とは別体で設けられ、
前記供給管には、前記発生源で発生した未処理液が内部に流入する流入口と、該流入口から流入した未処理液を外部に流出するための流出口が設けられ、
前記供給管が、前記フィルタユニットの外部に流入口が位置し、かつ前記フィルタユニットの内部に流出口が位置するように位置決めされることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタ装置。 - 前記2枚のエンドプレートの両者に前記供給口が形成されており、前記供給管が前記フィルタユニットを貫通して位置決めされている請求項3に記載のフィルタ装置。
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