JP4460785B2 - 超音波処置装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波プローブとジョーとの間で生体組織を把持しながら超音波を利用して生体組織の切開、切除、或いは凝固等の処置を行う超音波処置装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、超音波を利用して生体組織の切開、切除、或いは凝固等の処置を行う超音波処置装置として、例えば特開平10−5236号公報などに示されている装置がある。この超音波処置装置には、挿入部外套管の基端部に手元側の操作部が連結され、この操作部に超音波振動を発生する超音波振動子が配設されるとともに、挿入部外套管の先端部に生体組織を処理するための処置部が配設されている。
【0003】
また、挿入部外套管の内部には超音波振動子からの超音波振動を処置部側の超音波プローブに伝達する振動伝達部材が挿通されている。この振動伝達部材の基端部は超音波振動子に接続されている。さらに、処置部には超音波プローブに対峙して回動自在に支持されるジョーが配設されている。
【0004】
また、操作部にはジョーを超音波プローブに対して開閉操作する操作ハンドルが配設されている。さらに、挿入部外套管の内部にはジョーの操作ロッドが軸方向に進退可能に挿入されている。そして、操作ハンドルの操作にともない操作ロッドが軸方向に進退され、この操作ロッドの進退動作に連動して処置部のジョーを超音波プローブに対して開閉操作し、ジョーの閉操作にともない超音波プローブとジョーとの間で生体組織を把持するようになっている。続いて、この状態で、超音波振動子からの超音波振動を振動伝達部材を介して処置部側の超音波プローブに伝達することにより、超音波を利用して生体組織の切開、切除、或いは凝固等の処置を行うようになっている。
【0005】
また、特開平10−5236号公報の超音波処置装置の操作部には処置の操作性向上のため回転ノブが設けられている。この回転ノブは挿入部外套管の基端部に固定されている。さらに、この装置では回転ノブの操作にともない処置部のジョーを超音波プローブの中心軸を中心に軸回り方向に回転駆動する回転駆動機構が設けられている。
【0006】
また、特に内視鏡下外科手術においては内視鏡による観察中に内視鏡の視野内の処置部分が処置部によって隠されることを防止するために生体組織を処置する処置部の部分を先端がカーブした形状に成形し、内視鏡によって内視鏡の視野内の処置部分を観察しやすくして処置し易いようにした処置具が広く用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開平10−5236号公報の超音波処置装置のように処置部のジョーを超音波プローブの中心軸を中心に軸回り方向に回転駆動する回転駆動機構を備えた超音波凝固切開装置では処置部の超音波プローブは円形断面形状に形成されている。そのため、処置部のジョーを超音波プローブの中心軸を中心に軸回り方向に回転駆動させた際に回転角度が変化してもジョーと超音波プローブとの間の噛合部では位置ずれが生じないようになっている。
【0008】
しかしながら、処置部のジョーを超音波プローブの中心軸を中心に軸回り方向に回転駆動する回転駆動機構を備えた超音波凝固切開装置で処置部の超音波プローブをカーブした形状に成形した場合には実際は部品精度の関係上、ある程度のガタつきが生じるので、処置部のジョーを超音波プローブの中心軸を中心に軸回り方向に回転駆動させた際に、ジョーとプローブとの間を常に同じ向きになるように追従させることが難しい。そのため、プローブとジョーとの間には回転方向に多少のずれが生じるので、その状態ではプローブとジョーとの間で生体組織を把持して凝固、切開を行う際にジョーがプローブに対して把持部の全長にわたり均一に当らない可能性があり、超音波を利用して生体組織の切開、切除、或いは凝固等の処置を行ううえで十分に機能を発揮できないおそれがある。
【0009】
また、再使用可能な超音波処置具においては、洗滌性、滅菌性を確保する必要があり、単純なユニットに分解できる構成である必要がある。このような複数のユニットに分解できる構成では、各ユニットの構成部品の精度によってもガタが生じる。
【0010】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、先端処置部に挿入部中心軸に対して非対称な部分を備えている場合であってもジョーをプローブに対して把持部全長にわたり均一に当てることができ、安定した凝固切開能力を発揮させることができる超音波処置装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は挿入部外套管の基端部に連結された操作部に超音波振動を発生する超音波振動子、前記挿入部外套管の先端部に生体組織を処理するための処置部がそれぞれ配設され、前記処置部と一体的に構成されるとともに前記挿入部外套管の内部に前記超音波振動子からの超音波振動を前記処置部に伝達する振動伝達部材たる超音波プローブ、が着脱可能に挿通されるとともに、前記処置部に対峙して回動自在に挿入部外套管に支持され、処置部との間に生体組織を把持するジョーと、前記操作部に配設され、前記ジョーを前記処置部に対して開閉操作する操作手段と、前記ジョーと前記操作手段との間を連結し、前記操作手段からの操作力を前記ジョー側に伝達する操作力伝達部材と、前記処置部及びジョーを前記挿入部外套管の中心軸の軸回り方向に回転駆動する回転駆動機構とを備え、前記処置部に前記挿入部外套管の中心軸から外れる方向に湾曲させた非対称形状の湾曲部を設け、前記回転駆動機構により処置部及びジョーを同時に前記挿入部外套管の中心軸の軸回り方向に回転したとき、前記処置部と前記ジョーとの接合面間の回転方向の位置ずれを防止する位置ずれ防止部を設けたことを特徴とする超音波処置装置である。
そして、本請求項1の発明では回転駆動機構によって処置部を挿入部外套管の中心軸の軸回り方向に回転駆動した際に、位置ずれ防止部によって超音波プローブとジョーとの接合面間の回転方向の位置ずれを防止するようにしたものである。
【0012】
請求項2の発明は前記位置ずれ防止部は、前記振動伝達部材の周囲に配設され、前記回転駆動駆動機構の一部を構成するとともに、前記振動伝達部材が挿通されるチャンネル構成体と、前記振動伝達部材との間に介設された弾性体からなるスぺーサと前記振動伝達部材との接合部に円形以外の異形状の係合面を設けたものであることを特徴とする請求項1に記載の超音波処置装置である。
そして、本請求項2の発明ではチャンネル構成体と、振動伝達部材との間に介設された弾性体からなるスぺーサと振動伝達部材との接合部の異形状の係合面によって超音波プローブとジョーとの接合面間の回転方向の位置ずれを防止するようにしたものである。
【0013】
請求項3の発明は前記スぺーサは、前記振動伝達部材の超音波振動の節の位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の超音波処置装置である。
そして、本請求項3の発明では振動伝達部材の超音波振動の節の位置に配置されているスぺーサによって振動伝達部材をチャンネル構成体側に保持させることにより、振動伝達部材の超音波振動がスぺーサを介してチャンネル構成体側に伝達されることを防止するようにしたものである。
【0014】
請求項4の発明は前記操作部は、高周波電流が供給される通電用のコネクタ部を有し、
前記スぺーサは、前記コネクタ部からの高周波電流を前記振動伝達部材に通電するための導電ゴムによって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の超音波処置装置である。
そして、本請求項4の発明では操作部のコネクタ部から供給される高周波電流を導電ゴムのスぺーサによって振動伝達部材に通電するようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図12を参照して説明する。図1は本実施の形態の超音波処置装置1全体の組立状態を示すものである。この超音波処置装置1には3つのユニットに分解可能な3つの組み立てユニット、すなわちハンドルユニット(操作部)2と、プローブユニット3と、振動子ユニット4とを備えている。これらの3つのユニット2〜4は図1で示す状態に組み立てられるようになっている。
【0016】
この振動子ユニット4には図3に示すように円筒状の振動子カバー5a内に超音波振動を発生する図示しない超音波振動子が内蔵されている。さらに、超音波振動子の先端部には超音波振動の振幅拡大を行なうホーン7の基端部が連結される。このホーン7の先端部にはプローブ取付け用のねじ穴部7aが形成されている。
【0017】
また、振動子カバー5aの後端部には図示しない電源本体より電流を供給するためのハンドピースコード5bの一端部が接続されている。このハンドピースコード5bの他端部には図示しない電源本体へ接続するための図示しないハンドピースプラグが接続されている。
【0018】
また、図2に示すように振動子ユニット4の先端部にはハンドルユニット2との着脱用のユニット連結部6が取付けられている。このユニット連結部6には接続リング6aと、リング状のアタッチメント部材6bと、固定リング6cと、係合リング8とが設けられている。ここで、振動子カバー5aの先端部内周面にはアタッチメント取付け用のねじ穴部5cが形成されている。このねじ穴部5cには接続リング6aの外周面の雄ねじ部が螺着されている。さらに、この接続リング6aの雄ねじ部の先端部には固定リング6cが螺着されている。
【0019】
また、接続リング6aの内周面にはアタッチメント部材6bの基端部外周面が螺着されている。このアタッチメント部材6bの先端部外周面には係合リング8が装着されている。この係合リング8はリングの一部を切り離したC字型の形状の所謂Cリングによって形成されている。なお、係合リング8の断面形状は図2に示すように外周を円弧とする略半月状の断面形状に形成されている。そして、このユニット連結部6がハンドルユニット2の後述する操作部本体12の振動子接続部11に着脱可能に連結されるようになっている。
【0020】
また、図5(A)に示すようにプローブユニット3には振動子ユニット4におけるホーン7の先端側のねじ穴部7aに着脱可能に連結される細長い略棒状の振動伝達部材9が設けられている。この振動伝達部材9の基端部にはホーン7のねじ穴部7aに連結される取付けねじ9aが形成されている。そして、この取付けねじ9aが振動子ユニット4におけるホーン7のねじ穴部7aにねじ込み固定されている。これにより、プローブユニット3と、振動子ユニット4との間が一体的に組み付けられている。
【0021】
さらに、振動伝達部材9にはプローブユニット3側から伝達される超音波振動の節の位置(複数個所)に弾性部材でリング状に形成されているフランジ状の支持体であるゴムリング9bが設けられている。
【0022】
また、本実施の形態の振動伝達部材9の最先端部には処置部(超音波プローブ)9cが配設されている。この処置部9cには図11(A)に示すように中心軸O1から外れる方向に湾曲させた非対称形状、例えば円弧形状の湾曲部10が形成されている。
【0023】
また、図1に示すように、ハンドルユニット2は細長い挿入シース部2aと、この挿入シース部2aの先端部に配設された先端作用部2bと、挿入シース部2aの基端部に配設された操作部2cとからなる。ここで、ハンドルユニット2の操作部2cには略円筒状の操作部本体12が設けられている。そして、この操作部本体12の基端部に振動子接続部11が形成されている。
【0024】
また、操作部本体12の外周面には固定ハンドル13と、回動する可動ハンドル(操作手段)14とが設けられている。さらに、操作部本体12の基端部上方には高周波接続用の電極ピン15が後傾させて取り付けられている。
【0025】
また、固定ハンドル13の上側部分は円筒状の操作部本体12と一体成形されている。さらに、固定ハンドル13の操作端部には親指以外の指の複数のものを選択的に差し込める指掛け孔13aが設けられ、可動ハンドル14の操作端部には同じ手の親指を掛ける指掛け孔14aが設けられている。
【0026】
また、可動ハンドル14の上端部側には二股状の連結部14b1,14b2が形成されている。これらの二股状の連結部14b1,14b2は図3に示すように操作部本体12の両側に配置されている。さらに、各連結部14b1,14b2の上端部にはハンドル枢支軸17が内方向に向けて突設されている。これらのハンドル枢支軸17は後述する挿入部外套管19の軸線より上側位置の支点で操作部本体12に連結されている。これにより、可動ハンドル14はハンドル枢支軸17によって回動可能に枢支されている。ここで、左右の各ハンドル枢支軸17は左右別々に操作部本体12内に突出しないように取り付けられている。なお、各ハンドル枢支軸17には高周波絶縁用の絶縁キャップ17aが取り付けられている。
【0027】
さらに、可動ハンドル14の各連結部14b1,14b2にはハンドル枢支軸17の近傍部位に後述する操作ロッド(操作力伝達部材)30(図6参照)に進退力を伝達する作動ピン18が内方向に向けて突設されている。これらの作動ピン18は挿入部外套管19の略軸線上に配置されている。ここで、操作部本体12には作動ピン18の挿通用の窓12aが形成されている。そして、可動ハンドル14の各作動ピン18は操作部本体12の窓12aを通って操作部本体12の内部に延出されている。
【0028】
また、挿入シース部2aには挿入部外套管19が設けられている。この挿入部外套管19の基端部は回転ノブ(回転駆動機構)20とともに操作部本体12の先端部にこの挿入部外套管19の中心線の軸回り方向に回転可能に取付けられている。ここで、挿入部外套管19は図7に示すように金属管からなる外パイプ21の外周面に絶縁チューブ22が装着されて形成されている。この絶縁チューブ22は挿入部外套管19の外周面全体を基端部までの大部分被覆する状態に設けられている。
【0029】
また、ハンドルユニット2の先端作用部2bには生体組織を把持するための片開き型のジョーユニット24が旋回可能に取り付けられている。このジョーユニット24には図6(A)、図7(A)に示すように略U字型の形状のジョー本体24aと、対象物(臓器)を把持する把持部材25と、把持部取付け部材26とが設けられている。
【0030】
さらに、ジョー本体24aにおけるU字型の一対のアーム24b1,24b2の各基端部には図6に示すように斜め後方に向けて屈曲させた脚部24cがそれぞれ形成されている。
【0031】
また、図8(A)に示すようにジョー本体24aにおける各アーム24b1,24b2の先端部には把持部材25の支持用の支持ピン27が挿通されている。さらに、このジョー本体24aの各脚部24cの上縁部側には図8(B)に示すように後述する操作ロッド30との連結ピン24dがそれぞれ挿入されている。
【0032】
また、ジョー本体24aの各アーム24b1,24b2間のスリット24eには把持部材25が把持部取付け部材26を介して取付けられている。この把持部材25は例えばPTFE(テフロン:デュポン社商標名)等の低摩擦材料で形成されている。
【0033】
また、把持部材25には支持ピン27の挿入孔が形成されている。そして、把持部材25は支持ピン27によりジョー本体24aに対して揺動可能に連結されている。これにより、ジョーユニット24の閉操作時に振動伝達部材9の処置部9cに対してジョーユニット24の把持部材25を押し付けた際に、処置部9cの撓みに応じてジョーユニット24の把持部材25を追随させて支持ピン27を中心に揺動させ、把持部材25と処置部9cとの間の接触部全体で対象物(臓器)を均一な力で把持するようになっている。
【0034】
さらに、この把持部材25には凝固切開対象の生体組織との接触面側に滑り止めの歯25aを複数並設させて、鋸歯状に形成した滑り止め歯部25bが形成されている。そして、この把持部材25の滑り止め歯部25bによって凝固切開対象の生体組織を滑ることなく把持するようになっている。
【0035】
また、本実施の形態のジョーユニット24の把持部材25には振動伝達部材9の処置部9cとの対向面側に図6および図9に示すように振動伝達部材9の湾曲部10と対応する円弧形状の湾曲部25cが形成されている。さらに、この把持部材25における処置部9cとの対向面側に図8(A)に示すように振動伝達部材9の処置部9cの接触面9mの形状(図11(B)参照)と対応する凹陥状の把持面25dが形成されている。そして、ジョーユニット24の全閉位置では把持部材25の下側の把持面25dは振動伝達部材9の処置部9cの接触面9mと隙間なく密着するようになっている。
【0036】
また、挿入部外套管19の内部にはチャンネル管である内パイプ28が挿通されている。この内パイプ28は図6および図8(D)に示すように円形状の外周面の一部に平面部28aが形成された略D字状の断面形状に成形されている。そして、内パイプ28内にはプローブユニット3の振動伝達部材9が挿通されている。また、挿入部外套管19と内パイプ28の平面部28aとの間には三日月状の空間である副チャンネル29が形成されている。この副チャンネル29内にはジョーユニット24を開閉する操作力を伝達する操作ロッド30が進退自在に挿通されている。
【0037】
この操作ロッド30は図6に示すように略平板状の板状部材によってロッド本体30aが形成されている。さらに、この操作ロッド30の先端部には横向きのロッド本体30aを約90°捻って縦向きに屈曲させたジョー連結部30bが形成されている。そして、このジョー連結部30bとジョー本体24aの各脚部24cの上縁部側との間が連結ピン24dによって回動自在に連結されている。
【0038】
また、挿入部外套管19の先端部にはジョーユニット24を保持するジョー保持部材31が取付けられている。このジョー保持部材31の基端部には図6に示すように略管状の嵌合固定部31aが形成されている。そして、ジョー保持部材31の嵌合固定部31aは挿入部外套管19の管内に配設された連結パイプ32の先端部32aに嵌合固定されている。さらに、連結パイプ32の基端部32bには内パイプ28の先端部が連結されている。
【0039】
また、ジョー保持部材31の先端部には図8(B)に示すように左右一対のアーム状のジョー取付部31b1,31b2が形成されている。さらに、各ジョー取付部31b1,31b2には枢支孔31cが形成されている。これらの各ジョー取付部31b1,31b2の枢支孔31cにはジョー本体24aの枢支軸となる支点ピン33が嵌合されている。そして、ジョー本体24aはこれらの支点ピン33を枢支軸としてジョー保持部材31に対して旋回可能に取り付けられている。これにより、操作ロッド30を軸方向に進退させる動作にともないジョーユニット24の開閉操作が行われるようになっている。ここで、操作ロッド30を先端側に押すことによりジョーユニット24が閉じるようになっている。このジョーユニット24の閉操作時には、プローブユニット3の振動伝達部材9の処置部9cに対してジョーユニット24の把持部材25を押し付けることにより、処置部9cとジョーユニット24の把持部材25との間で対象物(臓器)を把持するようになっている。なお、ジョーユニット24は生体組織の剥離にも使用されるようになっている。
【0040】
また、挿入部外套管19における外パイプ21の基端部外周面には図12に示すようにパイプ固定部材41が固定されている。このパイプ固定部材41の外周面には略円筒状の偏心筒体42が取り付けられている。この偏心筒体42の中心線は挿入部外套管19の中心線に対して偏心させた状態で配置されている。
【0041】
さらに、偏心筒体42の基端部には半径方向に沿って縦穴部42aが穿設されている。この縦穴部42aにはガイドピン43が挿入されている。このガイドピン43の先端部はパイプ固定部材41の基端部に嵌挿されている。
【0042】
また、パイプ固定部材41の基端部にはプラスチック材料によって形成された押えリング44が嵌着されている。この押えリング44の内周面は内パイプ28の内径寸法よりも小径に設定されている。これにより、金属製の内パイプ28が振動伝達部材9に直接接触することが防止されている。なお、この押えリング44には操作ロッド挿通孔44aが形成されている。この挿通孔44aには操作ロッド30の基端部が挿通されている。
【0043】
さらに、この押えリング44にはガイドピン43の先端部に突設された小径な先端突起43aが嵌着されている。これにより、挿入部外套管19における外パイプ21と、パイプ固定部材41と、偏心筒体42と、押えリング44との間がガイドピン43によって回転方向の位置規制が行なわれている。
【0044】
また、偏心筒体42の外周面には雄ねじ状の回転ノブ取付ねじ部42bが形成されている。この回転ノブ取付ねじ部42bには回転ノブ20の内周面に形成された雌ねじ部が螺着され、回転ノブ20が取り付けられている。これにより、回転ノブ20の回転時には回転ノブ20の回転力が偏心筒体42に伝達され、さらにガイドピン43と、パイプ固定部材41と、押えリング44と、挿入部外套管19における外パイプ21と、内パイプ28とに伝達され、これらが回転ノブ20とともに一体的に回転駆動されるようになっている。
【0045】
また、偏心筒体42の基端部側には図2に示すように操作部本体12の内部側に延設された大径な回転筒部42cが配設されている。図2はハンドルユニット2の操作部本体12の内部構成を示すものである。ここで、操作部本体12の前端部には内方向側に向けて屈曲されたフランジ部12bが突設されている。
【0046】
さらに、操作部本体12の先端開口部の内部には略円筒状の回転筒部42cが後方側から嵌挿されている。この回転筒部42cには図3に示すように操作部本体12のフランジ部12bの内面側に当接する肩部42dの前方にフランジ部12bの内径寸法よりも小さい第1の雄ねじ部42eが形成されている。
【0047】
また、操作部本体12の内部側に挿入された回転筒部42cの第1の雄ねじ部42eとフランジ部12bとの間には前方側から固定リング45が螺挿されている。この固定リング45は回転筒部42cの第1の雄ねじ部42eと螺合されている。そして、この固定リング45の先端のフランジ部45aと回転筒部42cの肩部42dとの間で操作部本体12の前端のフランジ部12bを挟むようになっている。
【0048】
ここで、固定リング45の挿入端部が回転筒部42cの肩部42dと当接した状態で、回転筒部42cの肩部42dと、固定リング45のフランジ部45aの基端側端面との間の間隔はフランジ部12bの軸方向の長さより僅かに大きく設定されている。これにより、回転筒部42cと固定リング45とを一体でフランジ部12bに対して回転可能になっている。そして、回転筒部42cの先端部に第1の雄ねじ部42eよりも小径な偏心筒体42が連結されている。
【0049】
また、回転筒部42cの内部には駆動軸接続部材(進退動作部材)46が挿入部外套管19の中心線方向に沿って進退自在に挿入されている。この駆動軸接続部材46の先端部には操作ロッド30の基端部が固定ピン47によって固定されている。
【0050】
さらに、駆動軸接続部材46の基端部には回転固定ピン48が突設されている。この回転固定ピン48の外端部は回転筒部42cの基端部に形成された長穴状の係合溝49に挿入されている。この係合溝49は挿入部外套管19の軸方向に延設されている。そして、回転筒部42cと駆動軸接続部材46とは軸方向に相互に移動可能としつつ、回転固定ピン48により回転方向の相互移動が阻止されている。
【0051】
これにより、回転ノブ20の回転操作時には、回転ノブ20を回す力は偏心筒体42と一体で回転する回転筒部42cから回転固定ピン48を経由して駆動軸接続部材46に伝えられる。そのため、挿入部外套管19及びその内部の部材、さらに、挿入部外套管19の基端部に取り付けた偏心筒体42や回転筒部42c、回転ノブ20を含む各部材は駆動軸接続部材46と一体となって操作部本体12に対して回転するようになっている。
【0052】
さらに、駆動軸接続部材46の外周面にはOリング50が嵌着されている。そして、このOリング50によって回転筒部42cと駆動軸接続部材46の外周面との間の気密を保つようになっている。
【0053】
また、駆動軸接続部材46の内周面にはスライダ取付け部材51の先端部が固定ねじ52によってねじ止め固定されている。このスライダ取付け部材51の基端部には外方に向けて屈曲された外向きのフランジ部51aが突設されている。
【0054】
さらに、スライダ取付け部材51の外周面にはコイルばねである制限バネ53と、ばね受け用のリング状のスライダ54とが配設されている。そして、制限バネ53は駆動軸接続部材46とスライダ54との間で挟んだ状態で取り付けられている。なお、この制限バネ53はその自由長より圧縮して取り付けられて装備荷重が与えられている。
【0055】
また、スライダ54の外周面には、可動ハンドル14と係合するリング状の係合溝54aが形成されている。このスライダ54の係合溝54aには図3に示すように可動ハンドル14の各連結部14b1,14b2の作動ピン18の内端部が操作部本体12の窓12aを通って挿入されている。ここで、作動ピン18の内端部にはスライダ54の係合溝54aの溝幅と対応する大きさの小径な先端係合部18aが形成されている。そして、この作動ピン18の先端係合部18aがスライダ54の係合溝54a内に挿入されてこの係合溝54aに沿って周方向に摺動自在に係合されている。なお、作動ピン18は可動ハンドル14の各連結部14b1,14b2にそれぞれねじ止め固定されている。さらに、各作動ピン18の外端部には高周波絶縁用の絶縁キャップ18bが取り付けられている。
【0056】
そして、可動ハンドル14を握る操作(閉操作)時にはハンドル枢支軸17を中心として作動ピン18を図1中で時計回り方向に回転移動させるようになっている。このとき、作動ピン18の移動範囲においては作動ピン18は略直線状に先端側に進ませるようになっている。この作動ピン18の動きによってスライダ54は先端側に前進移動されるようになっている。さらに、このスライダ54の前進移動動作はスライダ取付け部材51から固定ねじ52を介して駆動軸接続部材46に伝達され、この駆動軸接続部材46によって操作ロッド30が先端に向けて押し出されるようになっている。ここで、制限バネ53はその自由長より圧縮して取り付けられて装備荷重が与えられていることにより、装備荷重以下のハンドル操作力に対しては弾性変形することなく直截にジョーユニット24を開閉させ、これにより操作感が良くなるようになっている。なお、制限バネ53の装備荷重以上の力が加えられると、制限バネ53は弾性変形してそれ以上のハンドル操作力の伝達を阻止する。これにより、ジョーユニット24から振動伝達部材9の処置部9cに加えられる力が過大になることがなくなり、処置部9cの過大な変位を防止して切開、凝固の機能を維持するようになっている。
【0057】
また、図1に示すように操作部本体12の振動子接続部11には高周波ケーブルを接続するための電極取付部56が形成されている。この電極取付部56には図2に示すように電極ピン取付穴57が形成されている。この電極ピン取付穴57には電極ピン15が取り付けられている。この電極ピン15にはピン本体15aの基端部に固定ねじ15bが形成されている。さらに、ピン本体15aの先端部には図示しない高周波ケーブルを接続する接続部15cが形成されている。そして、この電極ピン15はピン本体15aの中間部に電極絶縁カバー58を取り付けた状態で、固定ねじ15bにより、電極ピン取付穴57に取り付けられている。なお、電極ピン15の接続部15cの反対側には円錐形の尖端部15dが形成されている。
【0058】
また、操作部本体12の基端部内周面には振動子ユニット4の連結時に振動子ユニット4のユニット連結部6を係脱可能に係止する係止部材取付け用のねじ穴部59が形成されている。このねじ穴部59には金属などの導電材料で形成された略リング状の接続部材60と、固定リング61とが順次螺挿されている。
【0059】
さらに、接続部材60には外筒部60aと、この外筒部60aよりも後方側に突設された内筒部60bと、これらの外筒部60aと内筒部60bとの間を結ぶ連結部60cとが設けられている。ここで、この接続部材60の外筒部60aの外周面は操作部本体12のねじ穴部59に螺合する雄ねじ部60a1が形成されている。そして、接続部材60はこの雄ねじ部60a1により操作部本体12のねじ穴部59に軸方向に位置調節可能に取り付けられている。なお、接続部材60の位置調節後、操作部本体12のねじ穴部59に螺着される固定リング61により固定されている。ここで、電極ピン15は尖端部15dを接続部材60の外周の雄ねじ部60a1に突き当てて導通させるようになっている。
【0060】
また、固定リング61には基端部内周面に略円錐状の係合突部61aが突設されている。そして、超音波処置装置1のハンドルユニット2と、プローブユニット3と、振動子ユニット4との組み立て時には予めプローブユニット3と、振動子ユニット4との間が一体的に組み付けられた後、続いてこの組み付けユニットがハンドルユニット2に組み付けられるようになっている。このとき、プローブユニット3と、振動子ユニット4との組み付けユニットはハンドルユニット2における接続部材60の内筒部60bの後端開口部から挿入され、続いて挿入部外套管19の内パイプ28内に挿入されるようになっている。
【0061】
そして、プローブユニット3の最先端部の処置部9cは図1に示すように挿入シース部2aの前方に突出され、ジョーユニット24との間で生体組織を把持可能な状態にセットされるようになっている。このとき、ハンドルユニット2における操作部本体12の振動子接続部11には振動子ユニット4におけるハンドピース5のユニット連結部6が着脱可能に連結されるようになっている。
【0062】
さらに、このユニット連結部6の連結時には図2に示すように接続部材60の内筒部60bの外周面に沿ってユニット連結部6が先端側に向けて挿入される。このとき、ユニット連結部6の係合リング8が弾性変形しながら振動子接続部11における固定リング61の係合突部61aを乗り越え、ユニット連結部6の先端面が接続部材60の基端側の連結部60cの当接面に当接した時点で、係合リング8が弾力によって固定リング61の係合突部61aに圧接されて摩擦力を発生し、係脱可能に係合固定されるようになっている。
【0063】
また、操作部本体12の内部には接続部材60と電気的に導通される金属などの導電材料で形成された円筒状の導電筒62が配設されている。この導電筒62には中間部より基端部側に向けて軸方向に延びるすり割り状のスリットが周方向に複数形成されている。さらに、導電筒62の基端部にはフランジ状の係合突起62aが外向きに突設されている。この係合突起62aは導電筒62のばね力によって接続部材60の内筒部60bの係合溝部60d内に挿入されて係合された状態で連結されている。これにより、導電筒62が接続部材60に軸回り方向に回転自在に、かつ軸方向には固定された状態で支持されている。
【0064】
さらに、導電筒62の先端部側にはスライダ取付け部材51の内部に挿入される小径な小径筒部62bが形成されている。この小径筒部62bの内径寸法は振動伝達部材9の基端部側の外径寸法が最大の部分、すなわち先細状のホーン部9dの基端部の最大径部分9eよりも大径に設定されている。なお、可動ハンドル14の開閉操作時にはスライダ54のスライド動作と一体的にスライダ取付け部材51が軸方向に移動する際にスライダ取付け部材51は導電筒62の小径筒部62bに沿ってスライド動作するようになっている。
【0065】
また、図5(A)に示すように振動伝達部材9の最も基端側の振動の節の位置には図5(D)に示すように円形断面の両側面を平面状に切欠いた位置決め用の平面部9f1,9f2が形成されている。そして、ここに断面形状が円形とは異なる異形断面形状部分9gが形成されている。
【0066】
さらに、導電筒62の小径筒部62bの先端部内周面には振動伝達部材9の振動の節部近傍に位置する箇所に導電性のシリコンゴムなどの導電ゴム製のリング状の導電部材63が取り付けられている。この導電部材63の内周面には振動伝達部材9の異形断面形状部分9gと対応する異形状穴部63aが形成されている。この異形状穴部63aには振動伝達部材9の円形断面部分と対応する円形穴部63bと、平面部9f1,9f2と対応する平面部63c1,63c2とがそれぞれ形成されている。そして、超音波処置装置1の組み立て時には振動伝達部材9の異形断面形状部分9gが導電部材63の異形状穴部63aに係合され、この係合部によって振動伝達部材9と導電部材63との間の接合面間の回転方向の位置ずれを防止する第1の位置ずれ防止部64が形成されている。
【0067】
また、導電筒62の小径筒部62bの外周面には図3に示すように円形断面の両側面を平面状に切欠いた位置決め用の平面部62c1,62c2が形成されている。そして、ここに断面形状が円形とは異なる異形断面形状部分62dが形成されている。
【0068】
さらに、スライダ取付け部材51の内周面には導電筒62の異形断面形状部分62dと対応する異形状穴部51bが形成されている。この異形状穴部51bには導電筒62の小径筒部62bの円形断面部分と対応する円形穴部51cと、平面部62c1,62c2と対応する平面部51d1,51d2とがそれぞれ形成されている。そして、超音波処置装置1の組み立て時には導電筒62の異形断面形状部分62dがスライダ取付け部材51の異形状穴部51bに係合され、この係合部によって導電筒62とスライダ取付け部材51との間の接合面間の回転方向の位置ずれを防止する第2の位置ずれ防止部65が形成されている。
【0069】
これにより、回転ノブ20の回転時には、回転ノブ20を回す力は偏心筒体42と一体で回転する回転筒部42cから回転固定ピン48を経由して駆動軸接続部材46、スライダ取付け部材51に伝えられたのち、第2の位置ずれ防止部65を介して導電筒62に伝えられ、さらに第1の位置ずれ防止部64を介して振動伝達部材9に伝達されて処置部9cとジョーユニット24とが同時に軸回り方向に回転されるようになっている。そして、この回転ノブ20の回転時には、導電筒62とスライダ取付け部材51との間の第2の位置ずれ防止部65と、振動伝達部材9と導電部材63との間の第1の位置ずれ防止部64とによってジョーユニット24を閉じて振動伝達部材9の処置部9cに接合させた状態で処置部9cとジョーユニット24との接合面間の回転方向の位置ずれが防止されている。
【0070】
また、振動伝達部材9の最も先端部に近い振動の節の位置に第2の異形断面形状部分9hが形成されている。この第2の異形断面形状部分9hには図5(B)に示すように円形断面の両側面を平面状に切欠いた位置決め用の平面部9i1,9i2がそれぞれ形成されている。
【0071】
さらに、振動伝達部材9の基端部にはねじ回し用の工具を掛けるスパナ掛け部9jが形成されている。このスパナ掛け部9jには図5(E)に示すように円形断面の両側面を平面状に切欠いた位置決め用の平面部9k1,9k2がそれぞれ形成されている。
【0072】
また、振動伝達部材9の第2の異形断面形状部分9hと対応する管壁部分、すなわち図8(C)に示すように連結パイプ32の内周面には振動伝達部材9の第2の異形断面形状部分9hと係合する係合穴部32cが形成されている。この係合穴部32cには振動伝達部材9の第2の異形断面形状部分9hに合わせて円形断面の両側面を平面状に成形した位置決め用の平面部32c1,32c2がそれぞれ形成されている。そして、超音波処置装置1の組み立て時には振動伝達部材9の第2の異形断面形状部分9hが連結パイプ32の係合穴部32cに係合され、この係合部によって振動伝達部材9と連結パイプ32との間の接合面間の回転方向の位置ずれを防止する第3の位置ずれ防止部67が形成されている。
【0073】
また、駆動軸接続部材46の内周面にはプラスチック材料によって形成された押えリング68が嵌着されている。この押えリング68の内周面は駆動軸接続部材46の内径寸法よりも小径に設定されている。これにより、金属製の駆動軸接続部材46が振動伝達部材9に直接接触することが防止されている。
【0074】
さらに、スライダ取付け部材51のフランジ部51aにはシール用のゴムリング69が取付けられている。そして、このゴムリング69によってスライダ取付け部材51と導電筒62の小径筒部62bとの間の気密を保つようになっている。
【0075】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の超音波処置装置1はハンドルユニット2、プローブユニット3、振動子ユニット4の3つのユニットに分解可能である。そして、この超音波処置装置1の使用時には予めプローブユニット3の取付けねじ9aが振動子ユニット4のねじ穴部7aの雌ねじ部にねじ込み固定されて分解状態のプローブユニット3と振動子ユニット4とが一体化される。その後、プローブユニット3と振動子ユニット4との一体化ユニットがハンドルユニット2に取付けられる。
【0076】
このハンドルユニット2への取付作業時にはプローブユニット3がハンドルユニット2における操作部本体12の振動子接続部11における接続部材60の内筒部60bの後端開口部から操作部本体12の内部に挿入され、続いて挿入部外套管19の内パイプ28内に挿入される。
【0077】
そして、プローブユニット3の最先端部の処置部9cは図1に示すように挿入シース部2aの前方に突出され、ジョーユニット24との間で生体組織を把持可能な状態にセットされる。このとき、ハンドルユニット2における操作部本体12の振動子接続部11には振動子ユニット4におけるハンドピース5のユニット連結部6が着脱可能に連結される。
【0078】
さらに、このユニット連結部6の連結時には図2に示すように接続部材60の内筒部60bに沿ってユニット連結部6が先端側に向けて挿入される。このとき、ユニット連結部6の係合リング8が弾性変形しながら振動子接続部11における固定リング61の係合突部61aを乗り越え、ユニット連結部6の先端面が接続部材60の基端側の連結部60cの当接面に当接した時点で、ハンドピース5の係合リング8が弾力によって固定リング61の係合突部61aに圧接されて摩擦力を発生し、係脱可能に係合固定される。ここで、係合リング8と固定リング61の係合突部61aとの当接部には径方向の力と軸方向の力との2つの方向の力が発生され、それらによる摩擦力と当接力とにより軸方向にも周方向にも強固に固定される。この状態で、ハンドルユニット2と、プローブユニット3と、振動子ユニット4とを図1で示す組み付け状態に組み立てる作業が終了する。
【0079】
そして、この超音波処置装置1の組み立て時には振動伝達部材9の超音波振動の節の位置に取り付けた複数のゴムリング9bによって、内パイプ28の内部で振動伝達部材9が位置決めされる。このとき、ゴムリング9bによって、金属製の内パイプ28が振動伝達部材9に直接接触することが防止されている。
【0080】
また、この超音波処置装置1の組み立て時には導電筒62の異形断面形状部分62dがスライダ取付け部材51の異形状穴部51bに係合され、この係合部によって導電筒62とスライダ取付け部材51との間の接合面間の回転方向の位置ずれを防止する第2の位置ずれ防止部65が形成される。同様に、振動伝達部材9の異形断面形状部分9gが導電部材63の異形状穴部63aに係合され、この係合部によって振動伝達部材9と導電部材63との間の接合面間の回転方向の位置ずれを防止する第1の位置ずれ防止部64が形成される。さらに、振動伝達部材9の第2の異形断面形状部分9hが連結パイプ32の係合穴部32cに係合され、この係合部によって振動伝達部材9と連結パイプ32との間の接合面間の回転方向の位置ずれを防止する第3の位置ずれ防止部67が形成される。
【0081】
また、超音波処置装置1の使用時には、ハンドルユニット2の固定ハンドル13を握り、可動ハンドル14を操作する。この可動ハンドル14の操作により、挿入シース部2b内で操作ロッド30が進退し、先端作用部2aの把持部材25を取り付けたジョー本体24aを開閉する。
【0082】
ここで、可動ハンドル14を握る操作(閉操作)を行った場合には作動ピン18がハンドル枢支軸17を中心として図1中で時計回り方向に回転移動される。このとき、作動ピン18の移動範囲においては略直線状に先端側に進ませる。この作動ピン18の動きはスライダ54の係合溝54aの前後の壁面と作動ピン18との係合部を介してスライダ54に伝達され、スライダ54が先端側に移動される。
【0083】
さらに、このスライダ54の前進移動動作はスライダ取付け部材51から固定ねじ52を介して駆動軸接続部材46に伝達され、この駆動軸接続部材46によって操作ロッド30が先端に向けて押し出される。これにより、挿入部外套管19内で操作ロッド30が前進し、図7に実線で示すようにジョーユニット24の把持部材25が振動伝達部材9の処置部9cに対して押し付けられる状態でジョーユニット24が全閉状態に閉じられる。なお、ジョーユニット24の全閉位置では把持部材25の下側の把持面25dは振動伝達部材9の処置部9cの接触面9mと隙間なく密着する。このとき、ハンドルユニット2の先端のジョーユニット24の把持部材25と、プローブユニット3の振動伝達部材9の先端の超音波プローブである処置部9cとの間で処置対象物を把持、加圧し、処置部9cと処置対象物との超音波振動による摩擦熱で凝固、切開が行われる。
【0084】
また、処置対象物の超音波処置時にはジョーユニット24を閉じた状態で、摩擦熱を発生させるために生体組織をしっかり挟むので、振動伝達部材9の処置部9cは把持部材25からの押圧力で下方向に撓む。このとき、ジョー本体24aの支持ピン27を中心に把持部材25が揺動することにより、傾いた処置部9cに対して垂直に把持部材25を押し付けることができる。これにより、把持部材25の全長にわたって確実に生体組織の凝固・切開を行うことができる。
【0085】
また、操作部本体12内の制限バネ53をその自由長より圧縮して取り付けて装備荷重を与えることにより、可動ハンドル14の閉操作時には制限バネ53の装備荷重以下のハンドル操作力に対しては制限バネ53が弾性変形することなく直截にジョーユニット24が開閉される。これにより、ジョーユニット24の開閉操作時における可動ハンドル14の操作感が良くなる。
【0086】
なお、可動ハンドル14の閉操作時に制限バネ53の装備荷重以上の力が加えられると、制限バネ53が弾性変形してそれ以上のハンドル操作力の伝達が阻止される。これにより、ジョーユニット24から振動伝達部材9の処置部9cに加えられる力が過大になることがなくなり、処置部9cの過大な変位を防止して切開、凝固の機能を維持することができる。
【0087】
また、可動ハンドル14を全閉位置から開く操作時には作動ピン18がハンドル枢支軸17を中心として図1中で反時計回り方向に回転移動される。このときの作動ピン18の移動動作にともないスライダ54が後方側に移動される。
【0088】
さらに、このスライダ54の後退動作はスライダ取付け部材51から固定ねじ52を介して駆動軸接続部材46に伝達され、この駆動軸接続部材46によって操作ロッド30が後方側に向けて引き戻される。これにより、挿入部外套管19内で操作ロッド30が後退し、この操作ロッド30とともに接続部材34の連結ピン36も挿入部外套管19の中心軸と平行に後退する。このとき、連結ピン36はジョー本体24aの連結ピン24dの中を摺動しながら後退し、図7に仮想線で示すようにジョーユニット24の把持部材25が振動伝達部材9から離れる方向、すなわちジョーユニット24が支点ピン33を枢支軸として時計回りに旋回し、振動伝達部材9の処置部9cに対して開く。
【0089】
また、回転ノブ20の回転操作時には、回転ノブ20を回す力は回転筒部42cと一体で回転する回転筒部42cから回転固定ピン48を経由して駆動軸接続部材46に伝えられる。そのため、挿入部外套管19及びその内部の部材、さらに、挿入部外套管19の基端部に取り付けた偏心筒体42や回転筒部42c、回転ノブ20を含む各部材は駆動軸接続部材46と一体となって操作部本体12に対して回転する。さらに、回転ノブ45を回す力は回転筒部42cから回転固定ピン48を介して駆動軸接続部材46に伝えられ、スライダ取付け部材51、制限バネ53、スライダ54も一体で回転する。これにより、操作ロッド30が捩られることが防止される。
【0090】
さらに、回転ノブ20の回転時には、回転ノブ20を回す力は偏心筒体42と一体で回転する回転筒部42cから回転固定ピン48を経由して駆動軸接続部材46、スライダ取付け部材51に伝えられたのち、第2の位置ずれ防止部65を介して導電筒62に伝えられ、さらに第1の位置ずれ防止部64を介して振動伝達部材9に伝達されて処置部9cとジョーユニット24とが同時に軸回り方向に回転される。そして、この回転ノブ20の回転時には、第2の位置ずれ防止部65によって導電筒62とスライダ取付け部材51との間の回転方向の位置ずれが防止され、さらに第1の位置ずれ防止部64によって振動伝達部材9と導電部材63との間の回転方向の位置ずれが防止されるとともに、第3の位置ずれ防止部67によって振動伝達部材9と連結パイプ32との間の回転方向の位置ずれが防止される。そのため、ジョーユニット24を閉じて振動伝達部材9の処置部9cに接合させた状態で処置部9cとジョーユニット24との接合面間の回転方向の位置ずれが防止される。
【0091】
また、電極ピン15の接続部15cに繋がれた高周波ケーブルから供給される高周波電流は、尖端部15dから接続部材60に流れ、さらに導電筒62から導電ゴム製の導電部材63を経由して、振動伝達部材9へと達する。その後、処置部9cの先端から放電され、高周波処置が行なわれる。
【0092】
ここで、ジョー保持部材31及び挿入部外套管19の外パイプ21は金属製であり、導電性である。そして、ジョー保持部材31は絶縁カバー32で、挿入部外套管19は絶縁チューブ22でそれぞれ絶縁被覆されている。これにより、処置対象となる部分以外に高周波電流を流さないようになっている。
【0093】
また、本実施の形態の超音波処置装置1では再使用を可能にするため使用後、ハンドルユニット2、プローブユニット3、振動子ユニット4の3つに分解可能である。こうすることにより、分解されたハンドルユニット2、プローブユニット3、振動子ユニット4の3つのユニットの夫々をブラシ等により積極的に洗滌することが可能となる。そのため、超音波処置装置1の洗滌時の利便性を高めることができる。
【0094】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態では超音波処置装置1の組み立て時には導電筒62の異形断面形状部分62dがスライダ取付け部材51の異形状穴部51bに係合され、この係合部によって導電筒62とスライダ取付け部材51との間の接合面間の回転方向の位置ずれを防止する第2の位置ずれ防止部65が形成される。同様に、振動伝達部材9の異形断面形状部分9gが導電部材63の異形状穴部63aに係合され、この係合部によって振動伝達部材9と導電部材63との間の接合面間の回転方向の位置ずれを防止する第1の位置ずれ防止部64が形成される。さらに、振動伝達部材9の第2の異形断面形状部分9hが連結パイプ32の係合穴部32cに係合され、この係合部によって振動伝達部材9と連結パイプ32との間の接合面間の回転方向の位置ずれを防止する第3の位置ずれ防止部67が形成される。
【0095】
そして、超音波処置装置1の回転ノブ20の回転時には、第2の位置ずれ防止部65によって導電筒62とスライダ取付け部材51との間の回転方向の位置ずれが防止され、さらに第1の位置ずれ防止部64によって振動伝達部材9と導電部材63との間の回転方向の位置ずれが防止されるとともに、第3の位置ずれ防止部67によって振動伝達部材9と連結パイプ32との間の回転方向の位置ずれが防止される。そのため、ジョーユニット24を閉じて振動伝達部材9の処置部9cに接合させた状態で処置部9cとジョーユニット24との接合面間の回転方向の位置ずれが防止される。したがって、振動伝達部材9の処置部9cに図11(A)に示すように中心軸O1から外れる方向に湾曲させた非対称形状、例えば円弧形状の湾曲部10を形成した場合であっても回転ノブ20の回転角度のいかんにかかわらず常にジョーユニット24を振動伝達部材9の処置部9cに対して把持部材25を全長にわたり均一に当てることができ、安定した凝固切開能力を発揮させることができる。
【0096】
さらに、本実施の形態では高周波電流の通電経路となる導電筒62の小径筒部62bに取付けた導電部材63の内周面に振動伝達部材9の異形断面形状部分9gと対応する異形状穴部63aを形成し、振動伝達部材9の異形断面形状部分9gと導電部材63の異形状穴部63aとの係合部によって振動伝達部材9と導電部材63との間の接合面間の回転方向の位置ずれを防止する第1の位置ずれ防止部64を形成したので、回転ノブ20の回転時の振動伝達部材9の回転方向の位置ずれ防止機構の構成を簡素化することができる。
【0097】
また、振動伝達部材9の先端部に第2の異形断面形状部分9hを形成するとともに、連結パイプ32の内周面に振動伝達部材9の第2の異形断面形状部分9hと係合する係合穴部32cを形成し、振動伝達部材9の第2の異形断面形状部分9hと連結パイプ32の係合穴部32cとの係合部によって振動伝達部材9と連結パイプ32との間の接合面間の回転方向の位置ずれを防止する第3の位置ずれ防止部67を形成したので、回転ノブ20の回転時に振動伝達部材9の先端部側でも振動伝達部材9の回転方向の位置ずれを防止することができる。そのため、振動伝達部材9の回転方向の位置ずれを一層、効果的に防止することができる。
【0098】
また、図13(A)〜(C)は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図12参照)の超音波処置装置1の構成を次の通り変更したものである。
【0099】
すなわち、本実施の形態では図15に示すように超音波処置装置1のジョーユニット24における把持部取付け部材26とジョー本体24aの一対のアーム24b1,24b2との間の連結部に適宜の隙間を設け、支持ピン27を介して把持部取付け部材26が一定の角度回動可能に取り付けられている。これにより、把持部材25が一定の角度回動可能な状態に支持されている。
【0100】
さらに、ジョー本体24aの一対のアーム24b1,24b2には支持ピン27が挿通される長穴状のピン挿通孔71が形成されている。これらのピン挿通孔71の長穴はジョーユニット24の閉操作時に振動伝達部材9の処置部9cに対してジョーユニット24の把持部材25を押し付ける方向に沿って延設されている。
【0101】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の超音波処置装置1ではジョーユニット24の把持部材25を閉じ、ジョーユニット24の把持部材25と振動伝達部材9の処置部9cとの間で生体組織を把持した場合に振動伝達部材9の処置部9cの撓みに追従して支持ピン27を介して把持部取付け部材26が適宜の角度回動する。そのため、ジョーユニット24の閉操作時に振動伝達部材9の処置部9cに対してジョーユニット24の把持部材25を押し付けた際に、処置部9cの撓みに応じてジョーユニット24の把持部材25を追随させて支持ピン27を中心に揺動させ、把持部材25と処置部9cとの間の接触部全体で生体組織を均一な力で把持することができる。
【0102】
さらに、ジョー本体24aの支持ピン27は一対のアーム24b1,24b2の長穴状のピン挿通孔71に沿って移動可能に支持されているので、ジョーユニット24の閉操作時には把持部材25は振動伝達部材9の軸まわりの回転方向にも一定の角度回動可能となっている。そのため、振動伝達部材9の軸まわりの回転方向に振動伝達部材9の処置部9cに対してジョーユニット24の把持部材25がある程度の角度ずれた場合でも、追従して均一に当てることができる。
【0103】
また、図16乃至図18は本発明の第3の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図12参照)の超音波処置装置1のプローブユニット3における振動伝達部材9の基端部の取付けねじ9aを振動子ユニット4におけるホーン7のねじ穴部7aにねじ込み固定するためのトルクレンチ81を設けたものである。
【0104】
本実施の形態のトルクレンチ81には図16(A)に示すように操作アーム82と、この操作アーム82の先端部に回動支点である回動ピン83を介して回動自在に連結されたヘッド部84とが設けられている。ここで、操作アーム82の先端部には図16(B)に示すように軸方向に延設されたスリット82aが形成されている。そして、このスリット82aの両側にヘッド部84を挟持する二股状の挾持部82b1,82b2が形成されている。
【0105】
また、図17(A)に示すようにヘッド部84には回動ピン83との連結端部とは反対側の端部に略矩形状のワーク係合凹部84aが形成されている。そして、トルクレンチ81の使用時には、このワーク係合凹部84aに振動伝達部材9のスパナ掛け部9jが挿入されて係合されるようになっている。
【0106】
さらに、ヘッド部84には回動ピン83との連結端部とワーク係合凹部84aとの間に長穴状のスロット84bが形成されている。このスロット84bは回動ピン83を中心とする円弧に沿って延設されている。
【0107】
また、操作アーム82の先端部には案内棒85と、ストッパ86とが装着されている。ここで、案内棒85には操作アーム82の一側部に配置される第1の案内棒構成部材87と、操作アーム82の他側部に配置される第2の案内棒構成部材88とが設けられている。さらに、第1の案内棒構成部材87には操作アーム82の挾持部82b1,82b2間にそれぞれ嵌挿されるとともに、ヘッド部84のスロット84bに挿入される雄ねじ部87aが形成されている。また、第2の案内棒構成部材88にはねじ穴部88aが形成されている。そして、このねじ穴部88aに雄ねじ部87aが螺着されて第1の案内棒構成部材87と第2の案内棒構成部材88とが操作アーム82の先端部に固定されている。
【0108】
さらに、ストッパ86は操作アーム82のスリット82aの後方側に配置されている。このストッパ86には操作アーム82の一側部に配置される第1のストッパ構成部材89と、操作アーム82の他側部に配置される第2のストッパ構成部材90とが設けられている。なお、図17(A)に示すように操作アーム82のスリット82aの後方側にはストッパ挿通孔82cが形成されている。さらに、第1のストッパ構成部材89には操作アーム82のストッパ挿通孔82cに挿入される雄ねじ部89aが形成されている。また、第2のストッパ構成部材90にはねじ穴部90aが形成されている。そして、このねじ穴部90aに雄ねじ部89aが螺着されて第1のストッパ構成部材89と第2のストッパ構成部材90とが操作アーム82の両側に固定されている。さらに、各ストッパ構成部材89,90の外端部には外側フランジ91および内側フランジ92がそれぞれ形成されている。
【0109】
また、案内棒85にはダブルトーション形のねじりコイルばね93が装着されている。このねじりコイルばね93には第1の案内棒構成部材87に巻装される第1コイル93a1と、第2の案内棒構成部材88に巻装される第2コイル93a2と、第1コイル93a1と第2コイル93a2との内端部間に配設された略U字状のヘッド押圧部93bと、第1コイル93a1の外端部から延出された略直線状の第1コイル固定端部93c1と、第2コイル93a2の外端部から延出された略直線状の第2コイル固定端部93c2とが設けられている。
【0110】
そして、ねじりコイルばね93のヘッド押圧部93bはヘッド部84の下縁部に当接されている。さらに、ねじりコイルばね93の第1コイル固定端部93c1は第1のストッパ構成部材89の外側フランジ91と内側フランジ92との間に挿入された状態で係止されている。同様に、第2コイル固定端部93c2は第2のストッパ構成部材90の外側フランジ91と内側フランジ92との間に挿入された状態で係止されている。これにより、ねじりコイルばね93の第1コイル固定端部93c1および第2コイル固定端部93c2はそれぞれ外側フランジ91と内側フランジ92との間で横移動が規制される状態で係止されている。
【0111】
さらに、ねじりコイルばね93のヘッド押圧部93bが当接されたヘッド部84の下縁部には滑らかな曲面の一部にクリック感を出すための段差を設けた段差部94が形成されている。なお、ヘッド部84の表面には図16(A)に示すようにトルクを加える方向を示す矢印などの表示部95が設けられている。
【0112】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態のトルクレンチ81は自然状態ではねじりコイルばね93のばね力によって図17(A)に示す初期位置で保持されている。そして、ヘッド部84のワーク係合凹部84aに振動伝達部材9のスパナ掛け部9jが挿入されて係合されたセット状態で、表示部95の矢印方向にトルクを加えることにより、このトルクレンチ81を使用して振動伝達部材9の基端部の取付けねじ9aを振動子ユニット4におけるホーン7のねじ穴部7aにねじ込み固定する締め付け作業が行われる。
【0113】
このとき、トルクレンチ81に加えられるトルクが予め設定された所定の設定値を超えるとねじりコイルばね93が収縮し、図18に示すように操作アーム82に対して回動ピン83を中心にヘッド部84が回動される。これにより、トルクレンチ81を使用して振動伝達部材9の基端部の取付けねじ9aを振動子ユニット4におけるホーン7のねじ穴部7aにねじ込み固定する締め付け作業時に振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付けトルクを一定にすることができる。
【0114】
また、操作アーム82に対して回動ピン83を中心にヘッド部84が回動される動作時にはねじりコイルばね93のヘッド押圧部93bがヘッド部84の下縁部の滑らかな曲面に沿って移動する。このとき、ねじりコイルばね93のヘッド押圧部93bがヘッド部84の下縁部の段差部94を乗り越える際に急激に振動伝達部材9の締め付けトルクを変化(低下)させることができるので、クリック感を出すことができる。
【0115】
なお、トルクレンチ81に加えられるトルクを緩めると図18の回動状態から図17(A)の初期状態に戻る。
【0116】
また、ホーン7のねじ穴部7aから振動伝達部材9の取付けねじ9aを外す際は反時計回り方向にトルクを加える。このとき、図17(A)に示すように雄ねじ部87aがスロット84bの終端部に突き当てられた状態で保持される。そのため、振動伝達部材9を取外す為の十分なトルクを加えることができる。
【0117】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のトルクレンチ81では振動伝達部材9の基端部の取付けねじ9aを振動子ユニット4におけるホーン7のねじ穴部7aにねじ込み固定する締め付け作業時に振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付けトルクを一定にすることができる。そのため、振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付け作業時に締め付けトルクのばらつきを防止できるので、振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付けが強すぎてホーン7のねじ穴部7aから振動伝達部材9の取付けねじ9aを取り外すことができなくなることを防止することができるとともに、振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付けが緩すぎて超音波振動の伝達効率が低下することを防止することができる。
【0118】
さらに、本実施の形態のトルクレンチ81では案内棒85に装着されているダブルトーション形のねじりコイルばね93が外部に露出された状態で配置されているので、一般の工業用トルクレンチのようにトルクレンチ本体内にばねや、トルク調整機構などを組み込んだものに比べて構成を簡素化することができ、安価となる。
【0119】
また、本実施の形態のトルクレンチ81は一般の工業用トルクレンチに比べて洗滌性が高い。そのため、特に手術中に滅菌室内で振動伝達部材9の交換作業などを行い、使用後に洗滌作業が必要になる場合に本実施の形態のトルクレンチ81を有効に使用することができる効果がある。
【0120】
また、図19(A)〜(C)は本発明の第4の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第3の実施の形態(図16乃至図18参照)のトルクレンチ81とは異なる構成のトルクレンチ101を設けたものである。
【0121】
本実施の形態のトルクレンチ101には一端部が閉塞され、他端部側が開口された円筒状のトルクレンチ本体102が設けられている。このトルクレンチ本体102の閉塞端部103には略中央部位にねじ穴104が形成されている。
【0122】
また、トルクレンチ本体102の開口端部側には一対のスリット105が形成されている。さらに、このトルクレンチ本体102の開口端部側には回動支点である回動ピン106を介してヘッド部107が回動自在に連結されている。ここで、ヘッド部107は図19(B)に示すようにトルクレンチ本体102の開口端部側の一対のスリット105内に挿入された状態で、回動ピン106を介して回動自在に支持されている。
【0123】
また、ヘッド部107には回動ピン106との連結端部とは反対側の外端部に略矩形状のワーク係合凹部107aが形成されている。そして、トルクレンチ101の使用時には、このワーク係合凹部107aに振動伝達部材9のスパナ掛け部9jが挿入されて係合されるようになっている。
【0124】
また、ヘッド部107にはトルクレンチ本体102の開口端部側に挿入された部分に平面部108が形成されている。さらに、この平面部108の両側にはストッパ107b1,107b2がそれぞれ形成されている。なお、平面部108におけるストッパ107b2側の端部には肩部109が形成されている。
【0125】
また、トルクレンチ本体102の内部には摺動自在な一対のディスク110,111が設けられている。これらのディスク110,111間には圧縮コイルばね112が設けられている。
【0126】
さらに、トルクレンチ本体102のねじ穴104にはトルク調整部材113の雄ねじ部114が螺着されている。このトルク調整部材113の内端部はディスク111に連結されている。また、このトルク調整部材113の外端部にはグリップ115が連結されている。
【0127】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態のトルクレンチ101は自然状態ではトルクレンチ本体102内の圧縮コイルばね112のばね力によって図19(A)に示す初期位置で保持されている。このとき、ヘッド部107の平面部108がディスク110に接触した状態で保持されるとともに、平面部108の片側のストッパ107b1がスリット105の終端部に当接された状態で保持されている。そして、ヘッド部107のワーク係合凹部107aに振動伝達部材9のスパナ掛け部9jが挿入されて係合されたセット状態で、図19(A)中で時計回り方向にトルクを加えることにより、このトルクレンチ101を使用して振動伝達部材9の基端部の取付けねじ9aを振動子ユニット4におけるホーン7のねじ穴部7aにねじ込み固定する締め付け作業が行われる。
【0128】
このとき、トルクレンチ101に加えられるトルクが予め設定された所定の設定値を超えると圧縮コイルばね112が収縮し、図19(C)に示すようにトルクレンチ本体102に対して回動ピン106を中心にヘッド部107が回動される。これにより、トルクレンチ101を使用して振動伝達部材9の基端部の取付けねじ9aを振動子ユニット4におけるホーン7のねじ穴部7aにねじ込み固定する締め付け作業時に振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付けトルクを一定にすることができる。
【0129】
また、トルクレンチ本体102に対して回動ピン106を中心にヘッド部107が回動される動作時にはヘッド部107が傾く際に肩部109がディスク110を押圧する。このとき、振動伝達部材9の締め付けトルクを急激に変化(低下)させることができるので、クリック感を出すことができる。
【0130】
なお、トルクレンチ101に加えられるトルクをゆるめると図19(C)の回動状態から図19(A)の初期状態に戻る。
【0131】
また、ホーン7のねじ穴部7aから振動伝達部材9の取付けねじ9aを外す際は反時計回り方向にトルクを加える。このとき、図19(A)に示すようにストッパ107b1がスリット105の終端部に突き当てられた状態で保持される。そのため、振動伝達部材9を取外す為の十分なトルクを加えることが出来る。
【0132】
そこで、本実施の形態のトルクレンチ101でも第3の実施の形態のトルクレンチ81と同様に振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付け作業時に締め付けトルクのばらつきを防止できるので、振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付けが強すぎてホーン7のねじ穴部7aから振動伝達部材9の取付けねじ9aを取り外すことができなくなることを防止することができるとともに、振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付けが緩すぎて超音波振動の伝達効率が低下することを防止することができる。
【0133】
また、図20および図21(A),(B)は本発明の第5の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第3の実施の形態(図16乃至図18参照)のトルクレンチ81、第4の実施の形態(図19(A)〜(C)参照)のトルクレンチ101とは異なる構成のトルクレンチ121を設けたものである。
【0134】
すなわち、本実施の形態のトルクレンチ121には板状のトルクレンチ本体122が設けられている。このトルクレンチ本体122の先端部には略矩形状のワーク係合凹部123aが形成されている。そして、トルクレンチ121の使用時には、このワーク係合凹部123aに振動伝達部材9のスパナ掛け部9jが挿入されて係合されるようになっている。
【0135】
さらに、このトルクレンチ本体122の中央部位にはワーク係合凹部123aに連結されたスリット123bが形成されている。そして、このスリット123bの両側に二股状の弾性腕部123c1,123c2が形成されている。
【0136】
また、トルクレンチ本体122の基端部側には略円筒状のカラー部材124が装着されている。このカラー部材124の先端部124aには図21(B)に示すようにトルクレンチ本体122の弾性腕部123c1,123c2を押さえる押さえ部124bが形成されている。
【0137】
さらに、カラー部材124の内部にはトルクレンチ本体122の基端部123に固定された内筒部125が軸方向に摺動自在に配設されている。なお、カラー部材124の内周面には内筒部125との接合面間を摩擦係止するOリング129が嵌着されている。
【0138】
また、カラー部材124の基端部124cには略中央部位にねじ穴124dが形成されている。このねじ穴124dにはトルク調整部材126の雄ねじ部127が螺着されている。このトルク調整部材127の内端部は内筒部125に連結されている。さらに、このトルク調整部材127の外端部にはグリップ128が連結されている。
【0139】
また、トルクレンチ本体122の一方の弾性腕部123c1にはロック操作位置を示すロック操作位置表示部130aと、リリース操作位置を示すリリース操作位置表示部130bとが設けられている。ここで、ロック操作位置表示部130aはトルクレンチ本体122の基端部側に配置され、リリース操作位置表示部130bはこのロック操作位置表示部130aよりも先端側に配置されている。
【0140】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態のトルクレンチ121は振動伝達部材9の基端部の取付けねじ9aを振動子ユニット4におけるホーン7のねじ穴部7aにねじ込み固定する締め付け作業を行う場合には、図20に示すようにカラー部材124の先端部がロック操作位置表示部130aの「Lock」の表示と一致する位置にセットする。
【0141】
この状態で、トルクレンチ121にトルクを加えることにより、このトルクレンチ121を使用して振動伝達部材9の基端部の取付けねじ9aを振動子ユニット4におけるホーン7のねじ穴部7aにねじ込み固定する締め付け作業が行われる。このとき、振動伝達部材9の基端部の取付けねじ9aに加えるトルクが一定の値を超えるとトルクレンチ本体122の弾性腕部123c1,123c2が弾性変形して、ワーク係合凹部123aの幅が広がる。そのため、ワーク係合凹部123a内の振動伝達部材9のスパナ掛け部9jが空回りを始めるので、振動伝達部材9のスパナ掛け部9jを締め付けるトルクは一定となる。
【0142】
また、振動伝達部材9の基端部の取付けねじ9aを振動子ユニット4におけるホーン7のねじ穴部7aから取り外す場合にはカラー部材124の先端部とリリース操作位置表示部130bの「Release」の位置を合わせる。これにより、振動伝達部材9のスパナ掛け部9jを締め付ける時よりも大きなトルクを加えることが出来る為、振動伝達部材9の取付けねじ9aをホーン7のねじ穴部7aから確実に外すことが出来る。
【0143】
そこで、本実施の形態のトルクレンチ121でも第3の実施の形態のトルクレンチ81と同様に振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付け作業時に締め付けトルクのばらつきを防止できるので、振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付けが強すぎてホーン7のねじ穴部7aから振動伝達部材9の取付けねじ9aを取り外すことができなくなることを防止することができるとともに、振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付けが緩すぎて超音波振動の伝達効率が低下することを防止することができる。
【0144】
また、図22は本発明の第6の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第5の実施の形態(図20および図21(A),(B)参照)のトルクレンチ121を次の通り変更したトルクレンチ131を設けたものである。
【0145】
すなわち、本実施の形態のトルクレンチ131には板状のトルクレンチ本体122の先端部にはロック操作用の略矩形状のワーク係合凹部123aが形成されている。そして、トルクレンチ131によるロック操作での使用時には、このワーク係合凹部123aに振動伝達部材9のスパナ掛け部9jが挿入されて係合されるようになっている。
【0146】
さらに、このトルクレンチ本体122の中央部位にはワーク係合凹部123aに連結されたスリット123bが形成されている。そして、このスリット123bの両側に二股状の弾性腕部123c1,123c2が形成されている。
【0147】
また、トルクレンチ本体122の基端部側にはリリース操作用の略矩形状のワーク係合凹部132が形成されている。そして、トルクレンチ131によるリリース操作での使用時には、このワーク係合凹部132に振動伝達部材9のスパナ掛け部9jが挿入されて係合されるようになっている。
【0148】
さらに、トルクレンチ本体122の表面にはロック操作用のワーク係合凹部123a側にロック操作位置を示すロック操作位置表示部133a、リリース操作用のワーク係合凹部132側にリリース操作位置を示すリリース操作位置表示部133bがそれぞれ形成されている。
【0149】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態のトルクレンチ131は振動伝達部材9の基端部の取付けねじ9aを振動子ユニット4におけるホーン7のねじ穴部7aにねじ込み固定する締め付け作業を行う場合には、ロック操作用のワーク係合凹部123aが使用される。
【0150】
この状態で、トルクレンチ131にトルクを加えることにより、このトルクレンチ131を使用して振動伝達部材9の基端部の取付けねじ9aを振動子ユニット4におけるホーン7のねじ穴部7aにねじ込み固定する締め付け作業が行われる。このとき、振動伝達部材9の基端部の取付けねじ9aに加えるトルクが一定の値を超えるとトルクレンチ本体122の弾性腕部123c1,123c2が弾性変形して、ワーク係合凹部123aの幅が広がる。そのため、ワーク係合凹部123a内の振動伝達部材9のスパナ掛け部9jが空回りを始めるので、振動伝達部材9のスパナ掛け部9jを締め付けるトルクは一定となる。
【0151】
また、振動伝達部材9の基端部の取付けねじ9aを振動子ユニット4におけるホーン7のねじ穴部7aから取り外す場合にはリリース操作用のワーク係合凹部132が使用される。
【0152】
この状態で、トルクレンチ131にトルクを加えることにより、振動伝達部材9のスパナ掛け部9jを締め付ける時よりも大きなトルクを加えることが出来る為、振動伝達部材9の取付けねじ9aをホーン7のねじ穴部7aから確実に外すことが出来る。
【0153】
そこで、本実施の形態のトルクレンチ131でも第3の実施の形態のトルクレンチ81と同様に振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付け作業時に締め付けトルクのばらつきを防止できるので、振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付けが強すぎてホーン7のねじ穴部7aから振動伝達部材9の取付けねじ9aを取り外すことができなくなることを防止することができるとともに、振動伝達部材9の取付けねじ9aの締め付けが緩すぎて超音波振動の伝達効率が低下することを防止することができる。
【0154】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1) 挿入部中心軸に対して非対称形状をした先端作用部を有する超音波処置具において、プローブとプローブの先端処置部を除く基端部まで覆うシースとの挿入部軸周りの回転固定をゴムにより行った超音波処置具。
【0155】
(付記項2) 高周波電流による処置も可能な超音波処置具において、シースとプローブの回転固定と前記高周波通電のための接点部材を兼ねていて、その部材が導電ゴムからなる付記項1の超音波処置具。
【0156】
(付記項3) シースとプローブの回転固定と前記高周波通電のためのプローブとの電気的接続をプローブの振動の節部において行うことを特徴とする付記項1、2の超音波処置具。
【0157】
(付記項4) 先端把持部材が先端作用部に対して生体組織を把持した際にプローブの撓みに追従するようにピンを介して回動自在に取り付けられると共に、挿入部軸周りにも一定の角度で回動可能になっていることを特徴とする超音波処置具。
【0158】
(付記項5) 先端処置部に挿入部中心軸に対して非対称形状部分を有する鋏型の超音波凝固切開装置において、先端処置部を閉じた状態でジョーがプローブの撓みに追従する機構を備えたことと、ジョーとプローブとの挿入部軸周りの角度のずれに対しても追従する機構を備えたことを特徴とする超音波凝固切開装置。
【0159】
(付記項6) 先端に生体組織を把持するためのジョーを有する鉗子型の超音波凝固切開装置において、先端把持部材が超音波伝達部材に対して軸平行方向、軸中心とする回転方向及び軸に対して一定の角度で回動可能な生体組織を把持するための作用部を有することを特徴とする超音波凝固切開装置。
【0160】
(付記項7) 超音波振動子と超音波プローブとが螺合される超音波処置具に使用され、前記超音波振動子に超音波プローブを着脱する為のトルクレンチにおいて、
操作部としてのアームと、アームに回動自在に取付け前記超音波プローブと係合するヘッドと、アームに取り付け前記ヘッドに付勢力を与える弾性部材とからなるトルクレンチ。
【0161】
(付記項8) 付記項7において、
前記弾性部材はねじりコイルばねであるトルクレンチ。
【0162】
(付記項9) 付記項8において、
ねじりコイルばねの案内棒をヘッドの回動支点より先端側に設けたトルクレンチ。
【0163】
(付記項10) 付記項7において、
ヘッドの弾性部材との接触部付近に段差部を設けたトルクレンチ。
【0164】
(付記項11) 振動子と超音波プローブを着脱する為のスパナにおいて、本体部に回動自在に設けられたスパナ掛け部と、スパナ掛け部を一方向に付勢する弾性部材を設けたことを特徴とするスパナ。
【0165】
(付記項12) 付記項11において、
弾性部材の力量を調節する調整部材を本体部に設けたことを特徴とするスパナ。
【0166】
(付記項13) 振動子と超音波プローブを着脱する為のスパナにおいて、スパナ掛け部が、弾性変形可能な腕部の先端に設けられたことを特徴とするスパナ。
【0167】
(付記項14) 付記項13において、
弾性変形可能な腕部の周囲に進退自在なカラー部材を設けたことを特徴とするスパナ。
【0168】
(付記項15) 付記項7のトルクレンチは滅菌室内で使用されるものであることを特徴とするトルクレンチ。
【0169】
(付記項1〜6の従来技術) 特に内視鏡下外科手術においては処置し易いように先端がカーブした形状の処置具がよく用いられる。超音波凝固切開装置においてはこのような形状にした場合、処置の操作性向上のため挿入部が軸中心まわりに回転できる機構を設けると、ジョーとプローブは常に同じ向きになるよう追従しなければならない。
【0170】
(付記項1〜6が解決しようとする課題) しかし、実際は部品の精度の関係上ある程度のガタが生じ、回転方向にプローブとジョーの間に多少のずれが生じる。その状態では組織を把持して凝固、切開を行う際にジョーがプローブに対して把持部全長にわたり均一に当らない可能性があり、十分に機能を発揮しない恐れがある。
【0171】
(付記項1〜6の目的) 先端処置部が挿入部中心軸に対して非対称部分を有する超音波凝固切開装置において、先端ジョーをプローブに対して把持部全長にわたり均一にあたるようにすることで、安定した凝固切開能力を発揮する。
【0172】
(付記項7〜15の従来技術) 振動子と超音波プローブを着脱するスパナは、操作部とスパナ掛け部が剛体として一体的に形成されていた。
【0173】
(付記項7〜15が解決しようとする課題) よって、スパナを操作する者によって締め付け力量がばらつくという問題点があった。また、一般に工業用に用いられているトルクレンチは構造が複雑であり、高価かつ洗滌性が良好でなかった。
【0174】
(付記項7〜15の目的) 簡単な構造のスパナ(トルクレンチ)の提供。
【0175】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、処置部に前記挿入部外套管の中心軸から外れる方向に湾曲させた非対称形状の湾曲部を設け、ジョーを閉じた状態で超音波プローブとジョーとの接合面間の回転方向の位置ずれを防止する位置ずれ防止部を設けたので、先端処置部に挿入部中心軸に対して非対称な部分を備えている場合であってもジョーをプローブに対して把持部全長にわたり均一に当てることができ、安定した凝固切開能力を発揮させることができる。
【0176】
請求項2の発明によれば、チャンネル構成体と、振動伝達部材との間に介設された弾性体からなるスぺーサと振動伝達部材との接合部の異形状の係合面によって超音波プローブとジョーとの接合面間の回転方向の位置ずれを防止することができる。
【0177】
請求項3の発明によれば、振動伝達部材の超音波振動の節の位置に配置されているスぺーサによって振動伝達部材をチャンネル構成体側に保持させることにより、振動伝達部材の超音波振動がスぺーサを介してチャンネル構成体側に伝達されることを防止することができる。
【0178】
請求項4の発明によれば、操作部のコネクタ部から供給される高周波電流を導電ゴムのスぺーサによって振動伝達部材に通電することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の超音波処置装置全体の組立状態を示す側面図。
【図2】 第1の実施の形態の超音波処置装置における操作部の内部構成を示す縦断面図。
【図3】 図2のIII−III線断面図。
【図4】 図2のIV−IV線断面図。
【図5】 (A)は第1の実施の形態の超音波処置装置のプローブユニットを示す側面図、(B)は図5(A)の5B−5B線断面図、(C)は図5(A)の5C−5C線断面図、(D)は図5(A)の5D−5D線断面図、(E)は図5(A)の5E−5E線断面図。
【図6】 第1の実施の形態の超音波処置装置におけるハンドルユニットの挿入部の先端部分の分解斜視図。
【図7】 第1の実施の形態の超音波処置装置の先端処置部の詳細構成を示す縦断面図。
【図8】 (A)は図7の8A−8A線断面図、(B)は図7の8B−8B線断面図、(C)は図7の8C−8C線断面図、(D)は図7の8D−8D線断面図。
【図9】 第1の実施の形態の超音波処置装置におけるジョーユニットの湾曲状態を示す平面図。
【図10】 第1の実施の形態の超音波処置装置におけるジョーユニットの閉状態を示す側面図。
【図11】 (A)は第1の実施の形態の超音波処置装置におけるプローブユニットの処置部の湾曲部を示す平面図、(B)は図11(A)の11B−11B線断面図、(C)は処置部の湾曲部を示す側面図。
【図12】 第1の実施の形態の超音波処置装置における回転ノブの周囲部分の内部構成を示す要部の縦断面図。
【図13】 本発明の第2の実施の形態の超音波処置装置におけるジョーユニットの湾曲状態を示す要部の平面図。
【図14】 第2の実施の形態の超音波処置装置におけるジョーユニットの閉状態を示す側面図。
【図15】 図14の15−15線断面図。
【図16】 本発明の第3の実施の形態を示すもので、(A)はトルクレンチ全体の側面図、(B)はトルクレンチの平面図。
【図17】 第3の実施の形態のトルクレンチの要部の縦断面図、(B)は図17(A)の17B−17B線断面図。
【図18】 第3の実施の形態のトルクレンチの作用を説明するための要部の縦断面図。
【図19】 本発明の第4の実施の形態を示すもので、(A)はトルクレンチの縦断面図、(B)は図19(A)の19B−19B線断面図、(C)はトルクレンチの作用を説明するための縦断面図。
【図20】 本発明の第5の実施の形態を示すトルクレンチの縦断面図。
【図21】 (A)はトルクレンチの作用を説明するための縦断面図、(B)は図21(A)の21B−21B線断面図。
【図22】 本発明の第6の実施の形態を示すトルクレンチの縦断面図。
【符号の説明】
2a 挿入シース部
2c 操作部
9 振動伝達部材
9c 処置部(超音波プローブ)
10 湾曲部
14 可動ハンドル(操作手段)
19 挿入部外套管
20 回転ノブ(回転駆動機構)
24 ジョーユニット
25 把持部材
30 操作ロッド(操作力伝達部材)
65 第2の位置ずれ防止部
64 第1の位置ずれ防止部
Claims (4)
- 挿入部外套管の基端部に連結された操作部に超音波振動を発生する超音波振動子、前記挿入部外套管の先端部に生体組織を処理するための処置部がそれぞれ配設され、
前記処置部と一体的に構成されるとともに前記挿入部外套管の内部に前記超音波振動子からの超音波振動を前記処置部に伝達する振動伝達部材たる超音波プローブ、が着脱可能に挿通されるとともに、
前記処置部に対峙して回動自在に挿入部外套管に支持され、処置部との間に生体組織を把持するジョーと、
前記操作部に配設され、前記ジョーを前記処置部に対して開閉操作する操作手段と、
前記ジョーと前記操作手段との間を連結し、前記操作手段からの操作力を前記ジョー側に伝達する操作力伝達部材と、
前記処置部及びジョーを前記挿入部外套管の中心軸の軸回り方向に回転駆動する回転駆動機構とを備え、
前記処置部に前記挿入部外套管の中心軸から外れる方向に湾曲させた非対称形状の湾曲部を設け、
前記回転駆動機構により処置部及びジョーを同時に前記挿入部外套管の中心軸の軸回り方向に回転したとき、前記処置部と前記ジョーとの接合面間の回転方向の位置ずれを防止する位置ずれ防止部を設けたことを特徴とする超音波処置装置。 - 前記位置ずれ防止部は、前記振動伝達部材の周囲に配設され、前記回転駆動駆動機構の一部を構成するとともに、前記振動伝達部材が挿通されるチャンネル構成体と、前記振動伝達部材との間に介設された弾性体からなるスぺーサと前記振動伝達部材との接合部に円形以外の異形状の係合面を設けたものであることを特徴とする請求項1に記載の超音波処置装置。
- 前記スぺーサは、前記振動伝達部材の超音波振動の節の位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の超音波処置装置。
- 前記操作部は、高周波電流が供給される通電用のコネクタ部を有し、
前記スぺーサは、前記コネクタ部からの高周波電流を前記振動伝達部材に通電するための導電ゴムによって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の超音波処置装置。
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