JP4456798B2 - Nano-composite transparent resin composition, molded article using the same, automotive part, and production method thereof - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機ガラス等の代替に好適な透明樹脂組成物およびその製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、樹脂の光線透過性を悪化させることなく、部材の剛性向上ならびに熱膨張の低減が図れる表面改質シリカ組成物が配合されたナノ複合透明樹脂組成物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
透明材料部材において、樹脂材料は、無機材料に比べ軽量でかつ成形の自由度が大きいという利点はあるが、一方で弾性率が小さいため剛性が低い、熱膨張係数が大きい、また硬度が低いため表面が傷つき易いという難点がある。このため、透明樹脂材料は、従来、自動車において例えばヘッドランプやサンルーフなど比較的低剛性でかつ表面処理のしやすい小物部品には採用されているものの、自動車外装のかなりの面積を占める窓ガラスについては所定の機能を満足するものがまだなく、本格的な採用までには至っていない。
【0003】
このような透明樹脂材料の欠点を克服するために、無機系微粒子材料を透明樹脂に配合する有機/無機ナノコンポジット材料の研究開発が活発となり、各種の手法が提案されてきた。例えば、特開平11−343349号公報には、樹脂製ウィンドウに関する新しい材料組成とその製造技法が開示され、詳細には、樹脂製ウィンドウの強度または剛性及び透明性を確保することを目的として、無機のシリカ微粒子を透明な非結晶の有機高分子(透明樹脂)に分散・混合した透明樹脂組成物からなる樹脂製ウィンドウが開示されている。また、上記公報においては、例えば、実施例1では、メタクリル酸メチルに重合開始剤としての過酸化ベンゾイルを混合し、加熱した後、これにメチルエチルケトン溶剤に分散させたシリカ微粒子を滴下しながら重合反応を行なうことによって樹脂組成物を得ることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報で開示される透明樹脂組成物は、高い透明性を維持しながら表面硬度を上昇させるという効果は認められるものの、一方で要求される弾性率の増大効果、換言すれば剛性向上効果は必ずしも十分とは言えず、これより窓ガラスへの適用までには至っていない。より詳細に述べると、シリカ微粒子が配合された複合樹脂材料の曲げ弾性率は、実施例11の3,500MPaが最大であるのに対して、シリカ微粒子が配合されていない複合樹脂材料(ポリメチルメタクリレート樹脂)の曲げ弾性率が3,200MPa(参考例1)であり、シリカ微粒子が配合されたことによる曲げ弾性率の上昇率は9.4%に過ぎない。これは、樹脂とシリカ微粒子との間の相互作用が十分に発揮されていないためと考えられる。
【0005】
すなわち、従来の有機ガラスや複合樹脂材料は、無機材料に比べて強度・剛性が小さいため、例えば自動車の窓ガラスのような大型でかつある程度の剛性が要求される部品に適用しようとする場合には厚みを増す必要があるが、そのような対応では形状の自由度は確保できるものの樹脂化の大きな狙いである軽量化の効果が薄れる。
【0006】
近年このような背景から、さらに可視光線の波長(380〜770nm)よりもはるかに小さい数10nmオーダの無機系微粒材料を透明樹脂に配合する有機/無機ナノコンポジット材の研究開発が活発となり、各種の手法が提案されているが、実用までには至っていない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特に透明性に優れ、弾性率の向上を実現し得る樹脂組成物の製造方法の提供を課題とする。
【0008】
また、樹脂材料は、無機材料に比べて強度・剛性が小さいため、例えば自動車の窓ガラスのような大型の部品に適用しようとする場合には、厚みを増す必要があるが、そのような対応では形状の自由度は確保できるものの樹脂化の大きな狙いである軽量化の効果が薄れる。このため、本発明は、樹脂材料の弾性率を向上できる樹脂組成物およびその製造方法の提供を課題とする。
【0009】
さらに、樹脂材料は、無機材料に比べて熱膨脹率が大きいため、例えば自動車の窓ガラスのような大型の部品に適用しようとする場合には、窓枠の鋼材との熱ひずみによりガラスそのものが割れたり、樹脂ガラス表面に波打ちが発生する恐れがあるため、熱ひずみを避ける構造設計をする必要がある。このため、本発明は、樹脂材料の熱膨張率を低減できる樹脂組成物およびその製造方法の提供をも課題とする。
【0010】
加えて、従来の弾性率の向上と熱膨張率の低減を同時に達成させる手段の一つとしての無機充填材を配合する方法では、部材の弾性率の向上ならびに熱膨張率の低減は図れるものの、透過光線の反射・散乱や吸収が増大して部材の透明性がという問題が発生する。これらは、一方を良くすれば他方が悪くなるという二律背反的な関係にある。このため、本発明は、透明性を保ちながら樹脂部材の弾性率を向上させ、かつ熱膨張率を低減させ得る樹脂組成物およびその製造方法の提供を課題とする。さらに該樹脂組成物を用いた成形体、自動車用部品とそれらの製造方法の提供をも課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、赤外線吸収特性において、シリカの有するシラノール基の自由水酸基(−OH)の吸収ピークを330〜450cm-1低波数側にシフトさせる水素結合性官能基と不飽和二重結合基を有する樹脂モノマーを用いて水素結合を介してシリカの表面が修飾されてなる表面改質シリカ組成物と母材樹脂モノマーからなり、該母材樹脂モノマーは該樹脂モノマーと重合しており、および該表面改質シリカ組成物は母材樹脂モノマー100質量部に対して3〜100質量部配合されることを特徴とするナノ複合樹脂組成物によって達成される。
【0012】
【発明の効果】
本発明者等は、これらの観点から鋭意検討した結果、上記課題を解決するには、母材樹脂に均一に分散させるための無機充填材の適切な材料選定に加え、母材樹脂と無機充填材との間に強い相互作用を形成させる必要があるとの見解に達した。ついで、その見解に基づいて実験によりその方策を種々確認したところ、母材樹脂と無機充填材が各々備えている官能基の間に水素結合を形成させるという本発明に係わる新しい技法を見出すに至った。
【0013】
より詳細に述べると、本発明者等は、▲1▼シラノール基(−Si−OH)を有するシリカに、特定の樹脂モノマーを加えてシラノール基と樹脂モノマー骨格中に含まれるカルボニル等の官能基との間の水素結合を形成する表面改質シリカ組成物を作製する際に、表面改質用の樹脂モノマーとして、当該シリカが有するシラノール基中の自由水酸基の赤外線吸収ピークを330cm-1以上低波数側にシフトさせる水素結合性の官能基及び表面改質後に配合される母材樹脂モノマーと重合するための不飽和二重結合基を有するモノマーを使用する;さらに▲2▼当該表面改質シリカ組成物を、不飽和二重結合基を有する母材樹脂モノマー、重合開始剤および溶媒からなる混合溶液に配合して、母材樹脂モノマーと表面改質シリカ組成物の樹脂モノマーと重合させることによって得られる、ナノ複合樹脂組成物は、高い透明性を維持したままで弾性率の向上及び熱膨張率の低減が同時に図れるものであることを見出し、本発明に至った。以下、本発明の効果を請求項ごとに記載する。
【0014】
請求項1は、シリカのシラノール基(−Si−OH)と樹脂モノマーに含まれる水素結合性官能基とを反応させて水素結合をより強固に形成させた後、樹脂モノマーと母材樹脂モノマーとを重合することによって、機械的強度に優れたナノ複合樹脂組成物が得られる。また、モンモリロナイト等の粘土質の無機充填材とは異なり着色を防止することができる樹脂組成物を得ることができる。
【0015】
請求項2は、シリカ中のシラノール基との水素結合性に優れた特定の官能基を有する樹脂モノマーを選択することにより、シリカ表面の改質を再現性良くかつ迅速に行なうことができ、水素結合性及び場合によっては透明性に優れた樹脂組成物となる。
【0016】
請求項3は、特定の材料を母材樹脂モノマーとして選択することにより、表面改質シリカ組成物の表層に存在する不飽和二重結合基を持つ樹脂モノマーとの結合性に優れた、ゆえに機械的強度に優れたナノ複合樹脂組成物が得られる。
【0017】
請求項4は、表面改質シリカ組成物の形状を球状または鎖状とすることにより、粒子同士の凝結を起こさずに、シリカを安定した状態で母材樹脂モノマー中に分散でき、透明性を保ちながら透明樹脂部材の弾性率向上と熱膨張率低減を達成することができる。
【0018】
請求項5は、表面改質シリカ組成物の粒径を可視光線の波長(380nm)以下とすることにより、可視光の透過を妨げることがなく、ゆえに母材樹脂モノマー中に安定した状態で分散することによって、透明性を保ちながら透明樹脂部材の弾性率向上と熱膨張率低減を達成することができる。
【0019】
請求項6は、シリカ組成物の平均一次粒子径を低減することで透明性の確保に優れる。
【0020】
請求項7〜33、36、37、38は、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物を用いた各種用途に関するものであり、本発明のナノ複合樹脂組成物による強度が高く、熱膨張率が低くかつ樹脂モノマーや母材樹脂モノマーの種類によっては透明性が高いという特性をいかして、軽量化と成形の自由度が要求される無機ガラス代替用途としての樹脂ウィンドウ(特に、熱線付き樹脂製ウインドウ);自動車の内外装部品成形体及び車両用外板;樹脂製ワイパーシステム;樹脂製ドアミラーステイ;樹脂製ピラー;樹脂成形体;樹脂製ミラー;樹脂製ランプリフレクター;樹脂製エンジンルーム内カバー及びケース;樹脂製冷却装置部品;大気と連通した中空構造および/または密閉された中空構造を有する樹脂一体成形体;ひとつの部品に二種類以上の機能が付与される一体成形部品;可動部と非可動部を有する成形体;ならびに炭化水素系燃料を収納する部品あるいは容器など、透明性、剛性、高温時にソリなどが抑制された上記樹脂組成物を使用することで、大型かつ剛性および耐衝撃性に対する要求性の強い車両用途に有効に使用できる。
【0021】
請求項34は、乾式製造法により製造される粉末状シリカ(乾式製法粉)を出発原料として用いることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のナノ複合樹脂組成物の製造方法であり、該方法によれば、シリカの事前処理としての疎水化が不要であり、薬剤の不使用と工程削減からより安価な表面改質シリカ組成物が得られ、ゆえにこのような特定の改質シリカ組成物が均一に分散した透明性、剛性に優れるナノ複合樹脂組成物を簡便に製造することができる。
【0022】
請求項35は、湿式製造法により製造されるコロイダルシリカ(湿式製法粉)を出発原料として用いることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のナノ複合樹脂組成物の製造方法であり、該方法によれば、シリカの事前処理としての疎水化が不要であり、薬剤の不使用と工程削減からより安価な表面改質シリカ組成物が得られ、ゆえにこのような特定の改質シリカ組成物が均一に分散した透明性、剛性に優れるナノ複合樹脂組成物を簡便に製造することができる。
【0023】
請求項36は、請求項1〜6のいずれかに記載のナノ複合樹脂組成物からなる樹脂シートを金型に挿入し、該挿入積層体間に加圧流体を注入して中空構造を形成することを特徴とする、樹脂一体成形体の製造方法であり、不要の工程を増加させることなく自動車用樹脂一体成形体を製造できる。
【0024】
請求項37は、請求項1〜6のいずれかに記載のナノ複合樹脂組成物を金型に充填し、溶融樹脂内に加圧流体を注入して中空構造を形成することを特徴とする、樹脂一体成形体の製造方法であり、不要の工程を増加させることなく自動車用樹脂一体成形体を製造できる。
【0025】
請求項38は、請求項1〜6のいずれかに記載のナノ複合樹脂組成物からなる樹脂シートを金型に挿入し、シートに溶融樹脂を金型に充填し、溶融樹脂内に加圧流体を注入して中空構造を形成することを特徴とする、樹脂一体成形体の製造方法であり、不要の工程を増加させることなく自動車用樹脂一体成形体を製造できる。
【0026】
本発明のナノ複合樹脂組成物は、母材樹脂モノマーに配合する無機成分としてのシリカの親和性向上に加え、両者間の水素結合の強化に着目して開発検討してきたものである。その結果、透明性を損なわずに強度向上と線膨張係数の低減を図れる手法を見出した。この材料を自動車や家電あるいは住宅等の工業用途に用いれば、部材の軽量化と造型の自由度の拡大を図ることができる。例えば、既述の自動車のウィンドウなどの諸用途で使用すれば、無機ガラスと代替でき、車両の軽量化と新規デザインの創出に大いに貢献できる。さらに、車両用途において軽量化が達成できると同時に、省燃費とCO2排出低減から地球環境の保全にも寄与することになる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の第一は、赤外線吸収特性において、シリカの有するシラノール基の自由水酸基(−OH)の吸収ピークを330〜450cm-1低波数側にシフトさせる水素結合性官能基と不飽和二重結合基を有する樹脂モノマーを用いて水素結合を介してシリカの表面が修飾されてなる表面改質シリカ組成物と母材樹脂モノマーからなり、該母材樹脂モノマーは該樹脂モノマーと重合しており、および該表面改質シリカ組成物は母材樹脂モノマー100質量部に対して3〜100質量部配合されることを特徴とするナノ複合樹脂組成物である。
【0028】
本発明の第一の特徴の一は、ナノ複合樹脂組成物の無機成分として配合する表面改質シリカ組成物において、当該シリカの化学的性質ならびに表面改質に用いる修飾用の樹脂モノマーの性能要件にある。すなわち、本発明に用いる無機充填材は、表面にシラノール基(−Si−OH)を有するシリカに特定される。無機成分をシリカに特定するのは、シリカのシラノール基(−Si−OH)と樹脂モノマーの水素結合性官能基との間に水素結合を形成でき、ゆえにこのような状態で表面改質シリカ組成物の樹脂モノマーと母材樹脂モノマーとを重合させることにより得られる複合樹脂組成物は強度等の本来備えていた物性を十分に発揮できることが判明したからである。上述したように、本発明によれば、シラノール基と樹脂モノマーとの間に水素結合を形成させてより強固な物性の複合樹脂材料を得ることができるため、モンモリナイト等の粘土質の無機充填材とは異なり、その形成複合樹脂材料は着色されないという利点がある。
【0029】
本発明で用いられる表面改質シリカ組成物は、赤外線吸収特性において、シリカの有するシラノール基の自由水酸基(−OH)の吸収ピークを330〜450cm-1低波数側にシフトさせる水素結合性官能基と不飽和二重結合基を有する樹脂モノマーを用いて水素結合を介してシリカの表面が修飾されたものである。
【0030】
本発明において使用できるシリカとしては、シラノール基(−Si−OH)を有する無機シリカであれば特に制限無く使用できる。シラノール基の末端の水素原子は、活性なプロトン性の性質をもちアルカリ成分とよく反応し、かつ窒素原子、フッ素原子、更にはカルボニル基に含まれる酸素原子等の電気陰性度の大きい原子を含む官能基との間に水素結合を形成する性質がある。このため、表面改質シリカ組成物を母材樹脂モノマーと混合すると、母材樹脂モノマー中にしっかりと混合される。下記本発明の第二及び第三でその表面改質方法については詳述するが、微粒子シリカとしては、一般に市販されている四塩化珪素(SiCl4)の高温加熱加水分解品や珪酸ソーダ((SiO2)n・Na2O)の加水分解により得られるもの等を原料とすることができる。前者は微粉末状で、後者は水分散型あるいは有機溶媒分散型のコロイド状で販売されているが、本発明では双方の微粒子シリカを表面改質シリカ組成物の原料として用いることができる。なお、後者のコロイダルシリカでは、近年、球状シリカが4〜5個連結した、長さが40〜50nmの鎖状シリカが販売され(例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックST−UPなど)、本発明では、このような鎖状シリカも、従来の球状シリカと同様にしてシリカ組成物の原料として用いることができる。また、微粒子シリカは、その形状は、特に制限されるものはなく、上述したように、球状であっても鎖状であってもよいが、平均一次粒子径が380nm以下であること、より好ましくは5〜100nmであることが好ましい。これを樹脂モノマーと混合した場合に、透明性を保ちながら樹脂部材の弾性率向上と熱膨張率低減を達成することができるためである。
【0031】
本発明で用いられるシリカを表面改質するための樹脂モノマーは、シリカのシラノール基の自由水酸基の赤外線吸収ピークを330〜450cm-1低波数側にシフトさせる水素結合性の官能基と母材となる母材樹脂モノマーと単独重合あるいは共重合が可能な不飽和二重結合基を持つモノマーであることが必須の要件である。この際、シリカのシラノール基の自由水酸基のシフト量については、そのシフト量が大きいほどシリカと母材樹脂の水素結合によるが相互作用が強くなり、所期の強固な物性のナノ複合樹脂組成物が得られることを考慮してその下限を330cm-1とした。また、表面改質剤として特に好ましく使用される樹脂モノマーによるシリカのシラノール基の自由水酸基のシフト量を以下に示す。すなわち、アクリル酸では429cm-1、メタクリル酸では354cm-1、メタクリル酸メチルでは324cm-1、2−ヒドロキシエチルアクリレートでは361cm-1、及びアクリル酸ジメチルアミノエチルでは345cm-1である。
【0032】
また、本発明で使用されるシリカ表面改質用の樹脂モノマーは、所望の用途に応じて適宜選択され、特に制限されるものではないが、水素結合形成性という点を考慮すると、シリカに含まれるシラノール基と水素結合を形成しやすい酸素原子(O)、窒素原子(N)及びフッ素原子(F)等の電気陰性度の大きい原子を含む官能基を有する樹脂モノマーが好ましく、また、シリカのシラノール基との水素結合性を考慮して、特にカルボニル基(−CO−)を有する樹脂モノマーが好ましく使用される。また、樹脂製ウィンドウ等の用途によっては、透明樹脂モノマーであることが好ましい。なお、本明細書における透明樹脂モノマーとは、全光線透過率が75%以上の樹脂を構成するモノマーをいう。ただし、上述したように、樹脂モノマーは、シリカのシラノール基の自由水酸基の赤外線吸収ピークを所定量シフトさせる特性を有し、かつ母材樹脂モノマーと重合できる不飽和二重結合基を具備するものに限られる。
【0033】
上記点を考慮して、本発明で使用されるシリカ表面改質用の樹脂モノマーの具体例としては、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系高分子材料、ポリカーボネート系高分子材料等のポリアリーレート系高分子材料、ポリアセタール系高分子材料、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル系高分子材料、ポリエーテルエーテルケトン系高分子材料、ポリエーテルケトン系高分子材料等を構成するモノマーなどの酸素原子を含む官能基を有する樹脂のモノマー;ポリアミド系高分子材料、ポリアミドイミド系高分子材料等を構成するモノマーなどの窒素原子を含む官能基を有する樹脂のモノマー;ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂を構成するモノマーなどのフッ素原子を含む官能基を有する樹脂のモノマーなどが挙げられる。これらのうち、表面改質シリカ組成物に含まれるシラノール基と樹脂モノマーに含まれる官能基との水素結合性を勘案すると、(メタ)アクリル系高分子材料を構成するモノマー及びポリアミド系高分子材料を構成するモノマーが好ましく、特にアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が好ましく挙げられる。この際、樹脂モノマーは、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0034】
本発明による表面改質シリカ組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知のシリカ表面改質方法が使用できるが、好ましくは、シリカの状態によって最適な製造方法が使用される。
【0035】
すなわち、第一の方法は、乾式製造法により製造される粉末状(球状)シリカを用いて、本発明のナノ複合樹脂組成物を製造するものである。したがって、本発明の第二は、一次粒子形状が球状であるシラノール基を有する粉末状シリカを、シリカの有するシラノール基の自由水酸基(−OH)の吸収ピークを330〜450cm-1低波数側にシフトさせる水素結合性官能基及び不飽和二重結合基を有する樹脂モノマーを用いて表面を修飾して表面改質シリカ組成物をなし、ついで該表面改質シリカ組成物を、母材樹脂モノマーならびに重合開始剤および/または溶媒を含む混合溶液に配合して、該表面改質シリカ組成物の樹脂モノマーと該混合溶液の母材樹脂モノマーとを重合してナノ複合樹脂組成物を製造することを特徴とする本発明のナノ複合樹脂組成物の製造方法である。
【0036】
本発明の第二において、前述のように、乾式法によるシリカの工業的製造は、四塩化珪素(SiCl4)の高温加水分解法を採ることが多い。本発明の第二の方法は、高温下で水素と酸素を流して水を形成させ、同時に当該形成水を四塩化珪素に接触、加水分解させて製造されるシラノール基を有する微粉末状のシリカ(乾式製法粉)を出発原料として使用するものである。なお、この方法により製造されるシリカは、表面エネルギーを最小にしようとする力が働くためか、その一次粒子の形状は限りなく球状に近い。これを受けて、本発明の第二で使用されるシリカの一次粒子形状を球状と規定した。
【0037】
このようなシリカを用いるナノ複合透明樹脂組成物の製造方法は、下記及び実施例で詳述するが、概略的には次のようである。まず、上記のようにして製造されたシリカに水素結合性の官能基と不飽和二重結合を持つ樹脂モノマーを接触させてシリカの表面を改質し、表面改質シリカ組成物を作製する。この改質は、シリカと樹脂モノマー両材料間の水素結合の形成によるものであり、形成の有無および強さの度合は赤外線分光光度計を用いて、自由水酸基と水素結合性水酸基の吸収周波数の変化を観測して評価する。次に、この表面改質シリカ組成物を、母材樹脂モノマーと重合開始剤および必要に応じて加えた溶媒からなる混合溶液に加え、所定の温度及び時間、重合反応を行ない、所期のナノ複合透明樹脂組成物を得る。この際、重合開始剤および溶媒は、母材樹脂モノマーの種類に基づいて選べばよいが、塊状重合の場合には、溶媒は不要である。なお、前記シラノール基含有シリカはチキソトロピック性があり、その特性から接着剤や塗料等の工業分野で幅広く利用されている。しかしながら、その反面、シラノール基は親水性のため、本発明に係わるような樹脂材料への適用に当たっては予め疎水化処理をする必要があり、疎水化の種々の技法が提案されている。これに対して、本発明に係わる表面改質シリカ組成物は、前記したような水素結合性と重合性の特性に加え、系を疎水化する機能も兼ね備えている。これにより、シリカの事前処理としての疎水化が不要となり、薬剤の不使用と工程削減からより安価な表面改質シリカ組成物が得られるという利点もある。
【0038】
また、第二の方法は、湿式製造法により製造される水分散型あるいは有機溶媒分散型のコロイダルシリカを用いて、本発明のナノ複合樹脂組成物を製造するものである。したがって、本発明の第三は、一次粒子形状が球状あるいは鎖状であるシラノール基を有するコロイダルシリカ溶液を、シリカの有するシラノール基の自由水酸基(−OH)の吸収ピークを330〜450cm-1低波数側にシフトさせる水素結合性官能基及び不飽和二重結合基を有する両親媒性の樹脂モノマーを用いて表面を修飾して表面改質シリカ組成物をなし、ついで該表面改質シリカ組成物を、母材樹脂モノマーならびに重合開始剤および/または溶媒を含む混合溶液に配合して、該表面改質シリカ組成物の樹脂モノマーと該混合溶液の母材樹脂モノマーとを重合してナノ複合樹脂組成物を製造することを特徴とする本発明のナノ複合樹脂組成物の製造方法である。
【0039】
本発明の第三において、前述のように、湿式法によるシリカの工業的製造は、珪酸ソーダ(水ガラス(SiO2)n・Na2O)の加水分解法を採ることが多い。すなわち、本発明の第三の方法では、珪酸ソーダに水を加えてポリケイ酸を成し、ついでアルカリ下で加熱をして格子生成させた後、濃縮して水分散型のコロイダルシリカとする。このようにして得られるシリカは、pHが9〜10.5のシラノール基を有するアルカリ性の水分散型シリカ組成物である。このシリカ組成物が出発原料として主に使用されるが、この際、上記のようにして得られたアルカリ性の水分散型シリカ組成物について、イオン交換法によりNaを除去すればpH2〜4のシラノール基を有する酸性の水分散型シリカ組成物とすることができ、または、溶媒を置換することによって、有機溶媒分散型シリカ組成物を得ることができる。これらはいずれも製品として販売されており、本発明に係わる対象のシリカ(湿式製法粉)である。この湿式製法粉状態のシリカは、既述のように、球状と鎖状があり、この際、前者の平均一次粒子径は10〜20nmのものであり、後者の平均一次粒子径は10〜20nm、長さが40〜50nmのものである。溶媒中で処理をするため粒子同士の凝結がなく、シリカは安定した状態で溶媒中に分散している。
【0040】
このようなシリカを用いるナノ複合透明樹脂組成物の製造方法は、下記及び実施例で詳述するが、概略的には次のようである。まず、コロイダルシリカに水素結合性の官能基と不飽和二重結合を持つ樹脂モノマーを接触させてシリカの表面を改質した後、乾燥して、微粉末状の表面改質シリカ組成物を得る。ここで、用いられる樹脂モノマーは、上記発明の第一で記載された樹脂モノマーに関する記載と同様であるが、親水基と親水基の両基を有する両親媒性の樹脂モノマーである。このような両親媒性の樹脂モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミドおよび2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。この際、両親媒性の樹脂モノマーは、単独で使用されてあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。なお、先の水分散型のコロイダルシリカに予めトルエン等の有機溶媒を加え、次に両親媒性の樹脂モノマーを配合して表面改質シリカ組成物を成し、水を除去して有機溶媒分散型の表面改質シリカ組成物としてもよい。この改質は、前記乾式製粉と同様、シリカと樹脂モノマー両材料間の水素結合の形成によるものであり、形成の有無および強さの度合は赤外線分光光度計を用いて、自由水酸基と水素結合性水酸基の吸収周波数の変化を観測して評価する。次に、この表面改質シリカ組成物を、母材樹脂モノマーと重合開始剤および必要に応じて加えた溶媒からなる混合溶液に加え、所定の温度及び時間、重合反応を行ない、所期のナノ複合透明樹脂組成物を得る。この際、重合開始剤および溶媒は、母材樹脂モノマーの種類に基づいて選べばよいが、塊状重合の場合には、溶媒は不要である。
【0041】
なお、前記本発明の第三と同様であるが、シラノール基含有シリカはチキソトロピック性があり、その特性から接着剤や塗料等の工業分野で幅広く利用されている。しかしながら、その反面、シラノール基は親水性のため、本発明に係わるような樹脂材料への適用に当たっては予め疎水化処理をする必要があり、疎水化の種々の技法が提案されている。これに対して、本発明に係わる表面改質シリカ組成物は、前記したような水素結合性と重合性の特性に加え、系を疎水化する機能も兼ね備えている。これにより、シリカの事前処理としての疎水化が不要となり、薬剤の不使用と工程削減からより安価な表面改質シリカ組成物が得られるという利点もある。
【0042】
以下、本発明による表面改質シリカ組成物の製造方法を詳述する。
【0043】
本発明による表面改質シリカ組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知のシリカ表面改質方法が使用できる。例えば、表面改質シリカ組成物は、シラノール基を有するシリカに、改質剤としての上記したような特定の樹脂モノマーで処理することによって製造される。
【0044】
すなわち、シリカを樹脂モノマーで改質する方法としては、シクロヘキサン等の溶媒中にシリカを分散し、ついで改質剤である樹脂モノマーを添加し、還流処理をする、いわゆる液相法によって行なうことができる。反応終了後、生成物をシクロヘキサンで洗浄する。この際、微粒子シリカを分散させる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のパラフィン系炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン、シクロへキサン等のシクロパラフィン系炭化水素;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系炭化水素;トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。シリカは、上記溶媒中に10〜45質量%の濃度に調整する。改質条件は、特に制限されず、樹脂モノマーの種類や濃度等によって異なり、シリカの有するシラノール基の自由水酸基(−OH)の赤外吸収ピークが330〜450cm-1低波数側にシフトするような条件であればよい。例えば、好ましい改質温度は、40〜200℃であり、還流時間は0.5時間以上である。
【0045】
このような改質は、真空ラインの中でシリカを加熱して吸着水を除去した後、改質剤である上記樹脂モノマーの蒸気を導入して200〜300℃で加熱する、いわゆる気相法によっても行なうことができる。改質条件は、特に制限されず、樹脂モノマーの種類や濃度等によって異なり、シリカの有するシラノール基の自由水酸基(−OH)の赤外吸収ピークが330〜450cm-1低波数側にシフトするような条件であればよい。なお、改質前のシリカが水に分散したコロイド状である場合には、水との反応性を回避するために水を例えばメチルエチルケトン等の有機溶媒に置換する必要がある。このような脱水方法は特開平2000−44226号等で開示されている。
【0046】
上述したようにしてシリカ表面が改質された本発明による表面改質シリカ組成物の形状については特に限定されず、一般的な粒子状や球状、略球状だけでなく、鎖状、直方体や板状、繊維のような直線形状、枝分かれした分岐形状等も用いることができるが、好ましくは粒子状、特に球状や鎖状である。また、本発明による表面改質シリカ組成物の粒径もまた、表面改質シリカ組成物が母材樹脂モノマー中に均一に分散できるような粒径であれば特に限定されないが、高強度・低熱膨張率でかつ透明性の高いナノ複合透明樹脂組成物を得ることを考慮すると、出来るだけ粒径の小さいシリカを用いるのが望ましい。より望ましくは、可視光線波長(380〜770nm)である380nm以下、特に望ましくは5〜100nmの平均一次粒子径を有する表面改質シリカ組成物が使用できる。平均一次粒子径を380nm以下とすることでこれを配合した樹脂組成物の透明性を担保できる。なお、平均一次粒子径が5〜100nmのものは、透明性の確保の点で優れる。なお、本明細書において、「平均一次粒子径」とは、シリカ組成物の直線距離で最も長い部分の長さの平均値をいう。
【0047】
次に、本発明による表面改質シリカ組成物及び母材樹脂モノマーからのナノ複合樹脂組成物の製造方法を詳述する。すなわち、本発明において、このような表面改質シリカ組成物は、さらに母材樹脂モノマーに配合されて、表面改質シリカ組成物の表層に存在する不飽和二重結合基を持つ樹脂モノマーと単独重合あるいは共重合される。
【0048】
本発明において、表面改質シリカ組成物の配合量は、母材樹脂モノマー100質量部に対して、3〜100質量部の範囲であることを必須要件とする。シリカ組成物の配合量を特定範囲に制限することで、剛性、耐衝撃性等の強度を確保し、熱膨張率を低減することができるからである。当該シリカ組成物の配合量が増すにつれて水素結合の存在割合が増し、それにつれて複合樹脂材料の強度は増しかつ熱膨張率も低下するが、母材樹脂モノマー100質量部に対する配合量が100質量部を超えても更なる特性向上は少なく、逆に透明性が低下し、また比重が高くなって部材の質量が増える場合がある。したがって、表面改質シリカ組成物の配合量は、母材樹脂モノマー100質量部に対して100質量部を上限とするのが望ましい。一方、母材樹脂モノマー100質量部に対する配合量が3質量部以上あれば、線膨張係数の低減効果は低いものの、複合樹脂材料の強度が向上しその効果が認められるが、配合量が3質量部を下回ると、熱膨張率の低減効果が低く、ナノ複合樹脂組成物の強度向上や熱膨張率低減の機能に劣り、シリカ無添加の透明樹脂材との差異はない場合があるからである。なお、ナノ複合透明樹脂組成物の強度向上は、シリカ組成物の配合量が3質量部以上になると認められ、40質量部以下であると所定の機能の全てを確保でき、かつ重量増加を最小限に押さえることができる。これらより、表面改質シリカ組成物の配合量は、母材樹脂モノマー100質量部に対して、3〜40質量部とするのがより望ましい。
【0049】
本発明で用いられる母材樹脂モノマーは、表面改質シリカ組成物の表層に存在する不飽和二重結合基を持つ樹脂モノマーと単独重合あるいは共重合が可能であれば、特に制限されずに公知のモノマーが使用できる。具体的には、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのアルキレン;スチレン、オルソメチルスチレン、メタメチルスチレン、パラメチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族炭化水素;塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルアルコールなどのビニル系モノマー;テトラフルオロエチレン等のフッ素系モノマー;ならびに(メタ)アクリル酸系モノマーが挙げられる。これらのうち、表面改質シリカ組成物の表層に存在する不飽和二重結合基を持つ樹脂モノマーとの重合性を考慮すると、エチレン、プロピレン、スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルアルコール、テトラフルオロエチレン等のフッ素系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましく使用される。この際、母材樹脂モノマーは、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0050】
また、上記母材樹脂モノマーのうち、自動車窓ガラスなど屋外での使用頻度の高い部材には、透明性に加え、耐候性の良い(メタ)アクリル酸系モノマーを使用することが特に好ましい。上記(メタ)アクリル酸系モノマーは、官能性モノマーと非官能性モノマーに大別される。このうち、官能性モノマーの具体例としては、カルボキシル基を有するものとしてアクリル酸およびメタクリル酸が、ヒドロキシル基を有するものとしてメタクリル酸ヒドロキシルエチルおよびメタクリル酸ヒドロキシプロピルが、アマイド基を有するものとしてアクリルアマイドおよびメタアクリルアマイドが、グリシジル基を有するものとしてアクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸グリシジルそしてメタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸第三ブチルアミノエチル等が挙げられる。さらに、非官能性モノマーの具体例としては、硬質モノマーに分類されるメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸正ブチルおよびメタクリル酸イソブチルが、そして軟質モノマーに分類されるメタクリル酸正ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸正ブチル、アクリル酸イソブチルおよびアクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらのモノマーは、単独であるいは2種以上の混合物として母材樹脂モノマーとして使用することができる。なお、本発明において、シリカの修飾用の樹脂モノマーと母材樹脂モノマーが同一の場合には単独重合体のナノ複合樹脂組成物となり、異質の場合には共重合体のナノ複合樹脂組成物となる。
【0051】
本発明において、ナノ複合樹脂組成物は、上記のようにしてシリカのシラノール基と樹脂モノマーの水素結合性官能基との水素結合を介してシリカ表面が改質された表面改質シリカ組成物が形成された後、この表面改質シリカ組成物を母材樹脂モノマー中に配合して、シリカ表面上の樹脂モノマーと母材樹脂モノマーとを重合させることによって調製される。この際、表面改質シリカ組成物は、母材樹脂モノマー、重合開始剤、および必要であれば溶媒と直接混合されても、あるいは予め他の溶媒に溶解された後溶液の形態で混合されてもよい。後者の場合、使用できる他の溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のパラフィン系炭化水素類;シクロブタン、シクロペンタン、シクロへキサンなどのシクロパラフィン系炭化水素;メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、アセトン、ベンゼンなどの芳香族系炭化水素等が挙げられる。また、この際の溶解液中の表面改質シリカ組成物の濃度は、特に制限はないが、混合の均一性や操作性の点から10〜45質量%であることが好ましい。
【0052】
本発明において、混合溶液を構成する溶媒は、使用される母材樹脂モノマーや表面改質シリカ組成物の種類によって適宜選択される。例えば、メチルメタアクリレートなどを主な母材樹脂モノマーとして使用する場合には、アセトン、アニリン、キシレン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、トルエン及びメチルエチルケトンなどの芳香族系やケトン系の有機溶媒を好ましく使用することができる。溶媒の量は、特に制限されないが、混合溶液の均一性や音波処理や重合反応の操作性の点から、溶媒における母材樹脂モノマーの濃度が、10〜40質量%となるような量であることが好ましい。本発明では、溶媒は、樹脂モノマーの重合反応後に、除去されることで、本発明のナノ複合透明樹脂組成物を調製することができる。なお、凝固用の溶剤としては、エタノール、メタノール、ブタノールなどのアルコール類やヘキサンなどが挙げられ、その配合量は、重合反応後の溶液100質量部に対して、10〜300質量部、より好ましくは50〜100質量部である。
【0053】
本発明のナノ複合樹脂組成物には、必要に応じて透明性を阻害しない程度に、様々な添加剤、例えば帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、エネルギー消剤、難燃剤、顔料、着色剤等を添加してもよい。
【0054】
本発明のナノ複合樹脂組成物は、強度が高く、熱膨張率が低くかつ使用される樹脂モノマーや母材樹脂モノマーの種類によっては透明性が高いという特性を兼ね備えているため、これらの機能が要求される部材に好適であり、例えば、内装材では計器盤の透明カバーならびに外装材では窓ガラス(ウィンドウ)やヘッドランプ、サンルーフ及びコンビネーションランプカバー類などの、自動車や家電そして住宅に用いられる透明部材・備品に適している。特に、本発明のナノ複合樹脂組成物は、軽量化と成形の自由度が要求される無機ガラス代替用途としての樹脂製ウィンドウ(特に、熱線付き樹脂製ウインドウ);車両用内外装部品成形体及び車両用外板;樹脂製ワイパーシステム;樹脂製ドアミラーステイ;樹脂製ピラー;樹脂成形体;樹脂製ミラー;樹脂製ランプリフレクター;樹脂製エンジンルーム内カバー及びケース;樹脂製冷却装置部品;大気と連通した中空構造および/または密閉された中空構造を有する樹脂一体成形体;一の部品に異なる2種以上の機能が付与される一体成形部品;可動部と非可動部を有する成形体;ならびに炭化水素系燃料を収納する部品あるいは容器で、その効果を有効に発揮できる。
【0055】
すなわち、請求項7〜33、36、37、38は、本発明に係わるナノ複合樹脂組成物の用途に関するものである。
【0056】
以下、本発明に係わるナノ複合樹脂組成物の用途について詳述する。
【0057】
本発明の第四は、上記記載の本発明のナノ複合樹脂組成物を用いた車両用内外装部品成形体及び車両用外板である。
【0058】
本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、加熱時/成形時の寸法安定性及び透明性にも優れるため、車両用の内外装部品成形体や車両用外板の用途に好適である。例えば、図1で示すような、ドアモール1、ドアミラーのフレーム枠2、ホイールキャップ3、スポイラー4、バンパー5、ウィンカーレンズ6、ピラーガーニッシュ7、リアフィニッシャー8、ヘッドランプカバー(図示せず)等の車両用外装部品成形体、図2a、図2bで示すような、フロントフェンダー21、ドアパネル22、ルーフパネル23、フードパネル24、トランクリッド25、バックドアパネル(図示せず)等の車両用外板が挙げられる。
【0059】
本発明の第五は、本発明のナノ複合樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂製ワイパーシステム、樹脂製ドアミラーステイ、樹脂製ピラーである。本発明のナノ複合樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、加熱時/成形時の寸法安定性、透明性にも優れるため、例えばワイパーシステム、ドアミラステーやピラー等のような視界の向上が要求される部品の用途に好適である。
【0060】
従来のワイパーシステムは、黒色塗装仕上げの鋼鉄と黒色のゴムで構成され、低速作動時に視界が妨げられるという課題があった。また、従来のドアミラステーは、外板と同色もしくは黒色塗装仕上げの樹脂製であり、右左折時の視界が妨げられるという課題があった。また、従来のピラーは鋼鉄製であり、フロントピラー、センターピラーは通常走行時や右左折時、リアピラーは後方移動時や後方確認時に視界が妨げられるという課題があった。これらの部品に透明な樹脂材料を使用できれば視界は向上するが、高い剛性や耐熱性、加熱時/成形時の寸法安定性も要求されることから、従来の透明樹脂材料では実現が難しかった。これに対して、本発明の高剛性、低熱膨張率及び低熱収縮率を兼ね備えるナノ複合樹脂組成物を上記したような透明材として用いることで、これらの課題が解決可能となり、透明な上記部品が得られることが判明した。また、これらの部品の透明化は視界向上だけでなく、意匠性の向上にも寄与できると期待される。
【0061】
本発明のワイパーシステムの一実施態様を、図3に模式的に示す。図3に示されるように、ワイパーシステム30は、ワイパーアーム31とワイパーブレード32から構成され、ワイパーアーム固定用ナット穴33を中心として半弧を描くように作動する。ワイパーブレード32は、一般に弾性を有する支持部分と軟らかいゴム部分とから構成され、本発明のワイパーシステムにおいては、ワイパーアーム、ワイパーブレード、ワイパーブレード支持部分の少なくとも1つに本発明の樹脂組成物を透明材として用いたものである。なお、本発明のワイパーシステムにおいては、該ゴム部分として耐久性が高く比較的透明性の高いシリコンゴム等を用いることが好ましい。また、ワイパーブレードの支持部分として、本発明の樹脂組成物に適量のアクリルゴム成分を加えた樹脂組成物を用いて調製してもよい。ワイパーブレードの支持部分に適度な弾性を与えることができるからである。このような樹脂組成物としては、例えば、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、アクリルゴム(アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルやその共重合体等で、例えば日本ゼオン株式会社製Nipol AR31がある)を1〜30質量部添加したものがある。
【0062】
また、本発明において、ワイパーシステム、ドアミラーステイ及びピラーは、本発明のナノ複合樹脂組成物のみを透明材として用いてもよいが、例えば、本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体として構成されることも可能である。このような多層積層体は、少なくとも本発明の樹脂組成物からなる層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層が本発明の樹脂組成物からなり、より好ましくは中間層にも該樹脂組成物層を設ける。このように多層積層体とすることで、本発明の樹脂組成物以外の他の付加機能をも付与することが可能となる。多層積層体を用いる場合の各層の厚さは、最終的な成形品の厚さと積層数から至適な厚さを選択することができる。このような多層積層体とする場合の他の樹脂としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン/メチルメタアクリレート共重合体がある。また、本発明の樹脂組成物や上記多層積層体を用いたワイパーシステム、ドアミラーステイやピラーの製造方法や構成は特に限定されず、それぞれ単独の部品としてもよいし、ドアミラーステイやピラーとして使用できるのであれば、例えば後記する一体成形体の製造方法等によって、ドアミラーステイとフロントピラーや各ピラーと樹脂ルーフパネルとの一体成形体とすることもできる。
【0063】
本発明の第六は、透明部と不透明部を有する樹脂成形体であって、少なくとも透明部が本発明の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂成形体である。本発明のナノ複合樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、加熱時/成形時の寸法安定性、耐薬品性、透明性にも優れるため、透明部と不透明部とを有し、これらを一体に成形した樹脂成形体の用途にも好適に使用できる。このような樹脂成形体を、自動車部品を例に説明する。
【0064】
自動車には、各種ランプ類やカバー、ガラス等の透明な部品と、外板や各種内装部品のような不透明な部品が混在している。これらの部品にはそれぞれ透明性、剛性、耐熱性、低線膨張率、低成形収縮率、耐薬品性等、異なる様々な特性が要求されるため、従来の樹脂材料ではこれら透明な部品と不透明な部品との一体化は難しかった。しかしながら、本発明の樹脂組成物は、射出成形、真空圧空成形などによって容易に成形できるため、本発明の樹脂組成物を透明材として使用して、高剛性、高耐熱性、低線膨張率、低成形収縮率、高耐薬品性を確保しつつ、透明な部分と不透明な部分とを一体成形させ、部品点数及び工程数の削減、部品重量を低下させることができる。また、透明部と不透明部の一体形成により、従来分割されていた外形線が一つの連続するラインで形成できるため、部品外観の向上が図れる。より具体的には、透明性を必要とするヘッドランプはその周囲に存在するバンパ、フロントグリル、フェンダ、フードといった不透明の別の部品と接している。これらを一体成形すると部品点数の削減が可能となり、一体化された部品を組み付ければよいため、組み立て時の工程数も削減できる。特に、本発明の樹脂組成物は耐熱性に優れるため、ランプの熱源が近くて樹脂が溶融するなどの問題もない。従来のヘッドランプはポリカーボネート樹脂製でできているため耐光性が低く、太陽光に暴露されると黄変するため表層コーティングが必要であった。しかしながら、本発明の樹脂組成物を用いるとこのような問題も解決される。
【0065】
このような樹脂成形体の製造方法としては特に制限させるものではない。例えば、透明性が必要とされる部品として自動車用ガラスがあり、ドアに付属するサイドガラス、バックドアガラス、リアフェンダーとルーフに接着してあるリアクウォーターガラス、リアガラス等と称呼されている。本発明の樹脂組成物を用いることにより、これらとガラスとの一体成形部品を得ることができる。例えば、サイドガラスやバックドアガラスは、ドアアウターとドアインナーとの間にガラスが配置される構造である。予めドアアウターとドアインナーとを用いて内部に中空部を形成させ、該中空部に本発明の樹脂組成物を流し込むことで、ドアアウター・ドアインナー・ガラスを一体に成形することができる。同様にして、ピラーガーニッシュとリアクウォーターガラスとを一体化することもできる。本発明の樹脂成形体を図4で示すが、上記ピラーガーニッシュとリアクウォーターガラスとを一体化した樹脂成形体に限らず、ランプ・フード・フェンダー一体樹脂成形体41、ピラーガーニッシュ・ガラス一体樹脂成形体42、ルーフ・フェンダ・ガラス一体樹脂成形体43、バックドア・ガラス一体樹脂成形体44、ドア・ガラス一体樹脂成形体45等がある。なお、ドアロックやワイパーモーター等は後工程で部品の中空部に設置すればよい。
【0066】
また、例えば、自動車用内装材としてインストルメントパネルがあるが、従来から、計器類、その透明なカバー、クラスターリッドは別部品で作られている。しかしながら、本発明の樹脂組成物を用いることにより、透明樹脂部と不透明樹脂部が一体で成形できるため、予めインストルメントパネル51と計器類のカバー52を一体的に成形しておき、インストルメントパネルに数種の部品を集約することで、部品点数削減しかつ軽量化を図ることができる。このようなインストルメントパネルと計器類のカバーとの一体化の例を、図5に模式的に示す。
【0067】
また、本発明の樹脂組成物を使用して、樹脂成形体の一部が透明部であり他の部分が不透明である、高強度・高剛性を保持した部材とすることもできる。例えば、ルーフの一部に本発明の樹脂組成物を用いると該部分を透明にすることができ、ガラス製サンルーフを設けなくとも透明なルーフとすることができる。なお、上記樹脂成形体において、不透明部は着色していてもよい。
【0068】
本発明における透明部と不透明部とを有する樹脂成形体において、着色した不透明部の樹脂成形体を得るには、着色した原料樹脂を用いる方法、不透明部に塗装または印刷して着色する方法、または不透明樹脂として着色シートを使用する方法等がある。
【0069】
着色した原料樹脂の調製方法としては、原料樹脂に予め顔料を分散させておく方法の他、原料樹脂ペレットと顔料ペレットを同時に溶融・混練させ、射出成形機を用いて金型内に射出して着色樹脂を得る方法がある。該着色樹脂を用いて本発明の樹脂成形体を製造するには、続いて金型を開き、または溶融樹脂通過経路を新たに作り、別のシリンダを用いて金型の空隙部に透明溶融樹脂を射出すればよい。これによって透明部と着色した不透明部とを有する樹脂成形体を製造することができる。なお、不透明樹脂を先に射出するか透明樹脂を先に射出するかはどちらでも良い。
【0070】
塗装または印刷により着色した不透明部を形成するには、予め透明樹脂を溶融して目的の樹脂成形体を形成し、その後該樹脂成形体の表面または裏面から塗装または印刷を施して着色および不透明性を確保する方法である。溶融樹脂の賦形前に塗装または印刷を施し、その後に賦形することもできる。
【0071】
不透明樹脂として着色シートを使用する場合には、予め着色された不透明シートを予備賦形しておき金型内に配置し、続いて溶融透明樹脂を金型内に注入し、樹脂を冷却固化させ、その後に金型より取り出せば、本発明の樹脂成形体を得ることができる。
【0072】
また、上記方法によれば、例えばルーフ・フェンダ・ガラス一体樹脂成形体として、ガラス部が透明部であり、ルーフとフェンダとが不透明である樹脂成形体に限られず、ガラスの上部とルーフの一部が透明部であり、フェンダとガラスおよびルーフの残部が不透明の樹脂成形体とすることもできる。
【0073】
更に、本発明の透明部と不透明部とが一体成形された樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物と顔料とによって構成できるが、本発明の樹脂組成物と他の樹脂とを積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも該樹脂組成物層を設けることができる。このように多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。なお、多層を構成する他の樹脂の種類や各層の厚さは、樹脂成形体の用途に応じて適宜選択することができる。
【0074】
本発明の第七は、本発明の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする熱線付き樹脂製ウィンドウ、樹脂製ミラー、樹脂製ランプリフレクター、樹脂製エンジンルーム内カバーおよびケース、樹脂製冷却装置部品である。
【0075】
本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、熱時/成形時の寸法安定性、耐薬品性、透明性にも優れるため、例えば樹脂製ウィンドウや樹脂製ミラー、ランプリフレクター、エンジンルーム内カバーおよびケース等の部品の用途に好適であり、部品点数、工程数、重量の低減が可能になる。更に本発明の樹脂組成物を透明材として用いることで、透明性が要求される部品の材料代替が可能になり、防曇性や視界の向上が図られる。例えば、図6に示すリアウィンドウ63、ドアウィンドウ62、フロントウィンドウ61などの樹脂製ウィンドウは、防曇機能を付与するため成形体の内部や表面に加熱可能な熱線ヒータを設けることがある。従来の透明樹脂材料を用いた場合には、熱線ヒータによる樹脂材料の耐熱性や熱膨張が課題となるが、本発明の樹脂組成物は加熱時/成形時の寸法安定性に優れるため、本発明の樹脂組成物を用いるとこれらの問題がない。また、本発明の樹脂組成物は高い剛性を有するので、フロントウィンドウ61、ドアウィンドウ62、リヤウィンドウ63等の大型部品に応用可能で軽量化することができる。尚、熱線ヒータの形成方法としては、特に制限されず、公知の方法が使用でき、例えば、フィルム化された熱線部をインサート成形する方法や、室内側表面に熱線部を蒸着・塗布・印刷法等により形成する方法等が挙げられる。
【0076】
また、本発明の透明樹脂を用いて樹脂製サイドミラー64(図6参照)を製造すると、従来のガラスや透明樹脂を用いた場合に比べ軽量化ができ、これに熱線ヒータを設ければ防曇機能を付与することも可能になる。図6に示したサイドミラー以外にも車室内のルームミラー等にも適用可能である。
【0077】
また、図7に自動車ランプの横断面図を示す。車体側基体71に固定されたアウタ部材72の内部にリフレクター73が配置され、該リフレクター73にはバルブ74と光軸調整器75が連結し、該アウタ部材ははさらにアウタレンズ76が嵌合されている。従来の樹脂材料を用いてリフレクター73を構成すると、耐熱性・線膨張率・線膨張異方性に劣る場合があったが、本発明の樹脂組成物を用いるとこれらの問題が解決できる。特に、本発明の樹脂組成物は高い剛性を有するため軽量で高耐熱性が確保でき、かつ寸法安定性と表面平滑性に優れるランプリフレクターとでき、ヘッドランプ、フォグランプ、リアコンビランプ等のリフレクター、またはヘッドランプのサブリフレクター等に好適に使用できる。尚、反射部の形成方法としては、例えば該部材を製造する際に反射膜部をインサート成形する方法や、該部材を射出成形・プレス成形により成形後に、反射部に蒸着膜を形成させる方法等がある。
【0078】
また、本発明の樹脂組成物を使用して、エンジンルーム内カバーおよびケースに応用することができる。エンジンルーム内を図8および図9に示す。本発明の樹脂組成物は透明性、耐熱性、耐薬品性、剛性強度に優れるため、温度条件の厳しいエンジンルーム内において使用可能で、かつ軽量な部品とすることができる。このような部品としては、例えば、ラジエーター81、冷却液リザーブタンク82、ウオシャータンクインレット83、電気部品ハウジング84、ブレーキオイルタンク85、シリンダーヘッドカバー86、エンジンボディー91、タイミングチェーン92、ガスケット93、フロントチェーンケース94などがある。しかも、本発明の樹脂組成物は透明であるため、上記ウオッシャータンクインレット、電気部品ハウジング、ブレーキオイルタンク、シリンダーヘッドカバー、タイミングベルトカバー等のタンクあるいはカバー内の視認性を向上させることができる。
【0079】
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、耐薬品性、剛性強度に優れたより軽量な部品とすることができることから、自動車エンジンルーム内で冷却水との接触下で使用される部品用途に好適に使用される。このような樹脂製冷却装置部品を図10、11に示す。例えば、図10に示すウォータパイプ101、O−リング102、ウォータポンプハウジング103、ウォータポンプインペラ(羽車)104、ウォータポンプ105、ウォータポンププーリ106、図11に示すウォータパイプ111、サーモスタットハウジング112、サーモスタット113、ウォータインレット114等のラジエタータンクのトップおよびベースなどのラジエタータンク部品、冷却液リザーブタンク、バルブなどの部品が挙げられる。該樹脂組成物を使用すると軽量化、耐薬品性向上、燃費向上が図られるため、その実用価値が高い。
【0080】
なお、本発明の上記各部品は、本発明の樹脂組成物のみでも構成できるが、例えば本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも該樹脂組成物層を設けることができる。多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。なお、各層を構成する他の樹脂の種類や各層の厚さなどは、使用目的に応じて適宜選択することができる。
【0081】
本発明の第八は、上記樹脂組成物を含んで成る、大気と連通した中空構造および/あるいは密閉された中空構造を有することを特徴とする樹脂一体成形体である。上記のように、本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、加熱時/成形時の寸法安定性にも優れるため、例えばドアやルーフ、フード等のような中空構造を有する部品の用途に好適である。本発明の樹脂一体成形体としては、自動車の外板および内外装部品が好ましく挙げられる。この際、自動車の外板および内外装部品は、鋼板と樹脂パネルより構成され、かつ部品内部に補機等を装着する中空構造を有している部品が多い。例えば、側面ドアおよびバックドアは、外側および内側を鋼板で中空構造を構成し、塗装を経て組み立て工程で内側鋼板に樹脂パネルを取り付け、中空構造内に各種補機等を取り付けている。また、ルーフ、フード、トランクリッド、バックドア等は、外板および補強レインホース等を鋼板で構成し、塗装後に内側に樹脂部品を取り付けている。これらの中空構造を有する部品は大型であり、剛性や寸法安定性も要求されるため、従来の樹脂材料では一体成形が難しかった。しかしながら、高剛性、低熱膨張率、低熱収縮率を有する本発明の樹脂組成物を使用すると一体成形が可能となり、これらの部品の部品点数、工程数、重量の低減が可能になる。
【0082】
本発明の樹脂一体成形体は、本発明の樹脂組成物のみでも構成できるが、例えば本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも該樹脂組成物層を設けることができる。多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。多層積層体を構成する他の樹脂の種類や各層の厚さなどは、使用目的に応じて適宜選択することができる。なお、このような多層積層体として、本発明の熱可塑性樹脂積層体を使用することもできる。
【0083】
本発明の樹脂一体成形体は、最表面層に表皮材、意匠印刷層等の加飾層を設けることで意匠性、触感、質感を高め商品性を向上することができるため、一体成形体の最表層が加飾材で構成されることが好ましい。例えば、起毛シート、エンボス紋様シート、レーザー紋様シート、木目調シート等の表皮材を最表面層に設けた成形体は、ルーフ室内側、ピラーガーニッシュ類、インストルメントパネル等に用いることができる。前述の多層積層体を用いた場合には、意匠印刷層はその中間層に設けてもよく、表層を透明材とすることで光沢感、深み感を高めることができる。
【0084】
本発明の中空構造を有する一体成形体において、中空構造は、気体、液体若しくは固体またはこれらの混合物が充填、封入されることが好ましい。断熱性能、遮音性能を向上させることができるからである。充填、封入される材料は、特に制限されず、公知の充填・封入材が使用できるが、例えば、透明性が要求される場合には、窒素、アルゴン、二酸化炭素、空気等の気体が好ましく、透明性が要求されない場合には、前述の気体の他、封入時の加熱で液状を示しかつ封入後の常温では固体状になるパラフイン、ワックス等が好ましい。上記封入材により、夏期には車室内から冷熱の逃げ、外気の高熱の侵入を、冬期には温熱の逃げ、外気の冷熱の侵入を抑制し快適な車室内環境を維持できる。また二重壁で内に中空部を有する構造により、外部からの騒音エネルギーを緩和、あるいは吸収し静粛な車室内環境を達成できる。また、フードに本発明の樹脂一体成形体を適用することでエンジンルームからの放射音、放射熱を低減できる。
【0085】
本発明の中空構造を有する一体成形体の製造方法は、特に限定されず、公知の方法が適用できるが、例えば、一般的な真空圧空成形法、射出成形法、ブロー成形法、プレス成形法等を用いることができる、また、例えば、下記方法が好適に用いられる。
【0086】
第一の方法としては、加圧流体導入経路を備えたホルダーに、2枚の本発明の樹脂組成物よりなる樹脂シートを固定し、公知の方法でホルダーをシールして2枚のシート間に密閉空間を形成する。各シートを荷重たわみ温度以上に加熱し、開放状態の金型に挿入した後に、軟化したシートの外周部を金型で押圧して溶着する。この際、外周部を溶着する前あるいは溶着しつつあるいは溶着した後に、好ましくは溶着する前あるいは溶着した後に、2枚のシート間の密閉空間に加圧流体を注入し、シートを拡張しつつ/または拡張後、金型を閉状態にして成形体が冷却するまで加圧流体圧を保持し、これにより中空構造を形成する。好ましくは、真空引き孔を設けた金型を用い、シート拡張時に真空吸引を併用して、金型面とシートとの密着性を高める。真空吸引を用いることによって、得られる一体成形体の転写性を向上できる。すなわち、本発明の第九は、本発明の樹脂組成物を含んでなる樹脂シート2枚を加熱し、これを開状態の金型に挿入し、シート外周部を押圧し、外周部を溶着する前あるいは溶着した後にシート間に加圧流体を注入し、シートを拡張しつつ/または拡張した後に、金型を閉状態にし、加圧流体圧を保持し中空構造を形成する、本発明の樹脂一体成形体の製造方法である。
【0087】
第二の方法としては、閉状態の金型内に溶融した本発明の樹脂組成物を充填しつつあるいは充填した後、金型を後退して、キャビティ容積を拡大しつつ溶融樹脂内部に加圧流体を注入し中空構造を形成する方法である。すなわち、本発明の第十は、閉状態の金型内に溶融した本発明の樹脂組成物を充填しつつ/または充填後、キャビティ容積を拡大しつつ加圧流体を溶融樹脂内に注入し中空構造を形成する、本発明の樹脂一体成形体の製造方法である。
【0088】
第三の方法としては、金型片面のキャビティ面に本発明の樹脂組成物よりなる樹脂シートを1枚インサートし、背面に溶融樹脂を充填しつつ、あるいは充填後に金型を後退しキャビティ容積を拡大しつつ溶融樹脂内部に加圧流体を注入し中空構造を形成する方法、あるいは2枚の樹脂シートを用い金型両面のキャビティ面にシートをインサートし、シート間に溶融樹脂を充填しキャビティ容積を拡大し加圧流体を注入し中空構造を形成する方法である。すなわち、本発明の第十一は、開状態の金型キャビティ面に本発明の樹脂組成物を含んでなる樹脂シートを1枚もしくは2枚インサートし、金型を閉状態で2枚のシート間もしくは1枚のシート背面に溶融樹脂を充填しつつまたは充填した後、キャビティ容積を拡大しつつ加圧流体を溶融樹脂内に注入し中空構造を形成する、本発明の樹脂一体成形体の製造方法を提供するものである。
【0089】
上記態様において、シートに充填される樹脂の種類は、本発明の樹脂組成物からなるシートと密着する樹脂であれば特に制限されないが、好ましくは、シートの樹脂組成物と接する樹脂種と同種の樹脂またはこれとSP値が近いものが使用される。このような充填樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、熱可塑性ポリウレタン樹脂等が挙げられ、特にポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。ここにポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAに代表される二価のフェノール系化合物から誘導される重合体で、ホスゲン法、エステル交換法、あるいは固相重合法のいずれにより製造されたものでもよい。更に、従来からあるポリカーボネート樹脂の他にエステル交換法で重合したポリカーボネート樹脂でもよい。
【0090】
本発明において、加圧流体しては、特に制限されず、樹脂シートの成分等を考慮して公知の加圧流体から選択される。例えば、空気、窒素ガス等の気体、水やシリコンオイル等の液体などが好ましく使用される。
【0091】
本発明の中空構造を有する樹脂一体成形体の適用部品としては、図12、13に示すように、例えば、フード121、ドア122、バックドア123、ルーフ124、フェンダー125、ウィンドウ126、トランクリッド127、センターコンソールボックス131、ピラーガーニッシュ132、インストルメントパネル133、ヘッドライニング等を挙げることができる。これらの部品はインナー/アウターおよび付帯する部品やレインホース等を同時にかつ一体で成形でき、部品数の低減および工程数を短縮することができる。更に中空部に気体、液体、固体あるいはこれらの混合物を封入することで、断熱性能、遮音性能等の付加的な機能を付与することができる。例えばフードではレインホースとの一体化や遮音・遮熱機能の付与が可能であり、ルーフではヘッドライニングとの一体化や断熱・遮音機能の付与が可能であり、ドアやフェンダーではインナー/アウターの一体化が可能である。
【0092】
本発明の第十二は、本発明の樹脂組成物を含んで成る、異なる機能を有する2種類以上の部品を統合することを可能にし、ひとつの部品に異なる2種類以上の機能が付与される一体成形部品である。ここに異なる機能とは、例えば、インストルメントパネルのような表示機能、エアコンダクトなどのような通風機能、ルーフレール等の固定機能などをいう。本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、加熱時/成形時の寸法安定性、耐薬品性等の多彩な機能を有するため、種々の機能の確保が期待される部材に応用することができ、これらを一体成形することで異なる機能を有する二種類以上の部品を統合し、ひとつの部品に二種類以上の機能が付与された一体成形部品とすることができる。これによって大型部品の一体化、いわゆるモジュール化やインテグレーション(統合化)に好適であり、高品質を維持しながら部品点数、工程数、重量の低減が可能になる。
【0093】
例えば、大型内装部品である図14に示すインストルメントパネルは、現在、パネル部141とエアコンのエアダクトやケース142、クロスカービーム(ステアリングクロスメンバー)を別々に作り、これらを車の製造ラインで組み立てている。従来の樹脂材料でパネル部とエアコンのエアダクトやケースを一体成形しようとすると、大型かつ複雑な形状の部品のため、成形収縮によるヒケや歪み、熱時の膨張などが課題となるが、本発明の樹脂組成物を用いることでこのような課題が解決可能となる。また、本発明の樹脂組成物は上記したように高耐熱性を有し、加熱時/成形時の寸法安定性に優れているので、このような一体成形により部品全体を構造体とすることが可能で、従来スチールが使用されているクロスカービーム(ステアリングクロスメンバー)を廃することが可能である。また本発明の樹脂組成物を用いることでスチールでは後付けする必要があったブラケット等も一体成形可能となる。また一体成形時に金型内に表皮材等の加飾材を投入しインサート成形することにより、加飾材との一体成形も可能になる。同様の効果は例えばドアに適用した場合でも得られる。現在のドアインナーパネルはスチール製が主で、ここにサイドウィンドウ用のガイドレールやレギュレータ、ドアロック、スピーカ等の各種部品が製造ラインで組み付けられる。本発明の樹脂組成物を用いることでドアインナーパネル、ガイドレール、スピーカハウジング等を一体成形することができる。
【0094】
図15に本発明の一体成形部品の他の例を示す。図15に示すように、大型外装部品であるルーフレール151を例にすると、前述した本発明の樹脂組成物製のルーフパネル152との一体成形が可能となる。ルーフレールは重量がかかり、また温度的にも厳しい環境で使用されるため、従来の樹脂材料では特に剛性と耐熱性が課題となっていた。しかしながら、本発明の樹脂組成物を用いるとこのような課題が解決可能となる。同様の効果は例えばスポイラーに適用した場合でも得られ、前述した本発明の樹脂組成物製のトランクリッドとの一体成形が可能である。
【0095】
また、大型車体部品であるラジエタコア(図16)を例にすると、現在フロントエンドモジュールとして樹脂製のラジエタコアが世に出つつあるが、本発明の樹脂組成物を用いることで更に耐熱性、耐薬品性、剛性強度に優れた、より軽量な部品とすることができ、またファンシュラウドやブラケット等も一体成形可能となる。また、本発明では、樹脂組成物を透明材として用いることも可能であり、このような場合には、例えば、ラジエタのリザーバタンク、ヘッドランプカバー等の透明部材の一体成形も可能である。さらに、従来は別体であったバンパ補強材の一体化も可能となる。
【0096】
また、エンジンルーム内部品であるエアクリーナーやスロットルチャンバー等を例にすると、耐熱性と耐薬品性に優れ低線膨張の本発明の樹脂組成物を用いることで、これらの一体成形が可能となる。従来よりこのような一体化は試みられているが、エンジンルーム内は高温かつオイル等の薬品による厳しい環境であり、従来の樹脂材料ではこの対策が課題になるが、本発明の樹脂組成物を用いることでこのような課題が解決可能となる。同様の効果はインテークマニホールドやシリンダヘッドカバーに適用した場合でも得られ、前述の部品とともに一体成形することも可能である。
【0097】
本発明の一体成形部品は、本発明の樹脂組成物のみでも構成できるが、本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも該樹脂組成物層を設けることができる。多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。このような多層積層体として、上記熱可塑性樹脂積層体がある。
【0098】
本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、加熱時/成形時の寸法安定性にも優れるため、例えば、スロットルチャンバーのような可動部と非可動部を有する部品の用途に好適である。したがって、本発明の第十三は、本発明の樹脂組成物を含んで成る可動部と非可動部を有する成形体である。
【0099】
自動車の吸排気系部品やエアコンユニット内には、可動部と非可動部を有する部品が多数用いられている。これらの部品は、主に空気などの気体の流れを制御するためのものであり、非可動部としての、気体を流路となる、即ち、流動気体を導入する筒状の部品(成形体)と、可動部としての、気体流動を制御する開閉可能な蓋から構成され、例えば、スロットルチャンバーやエアコンユニット内の各ドアが挙げられ、これらの部品では気密性が重要となる。
【0100】
従来の樹脂材料を用いてこれらの部品の筒状部分と蓋部分を成形しようとすると、成形収縮率や熱膨張率が大きいため、寸法精度が上げられず、開閉部分の気密性が課題であった。また、特にエンジンルーム内の部品に適用する場合、耐熱性も要求されるため、この点も課題となった。しかしながら、低熱膨張率、低熱収縮率、高耐熱性を有する本発明の樹脂組成物を用いることで、これらの課題が解決可能となり、気密性に優れた部品とすることができる。また、本発明の樹脂組成物は高剛性であるため、これらの樹脂組成物を用いることにより、部品の軽量化とそれによるレスポンスの向上が可能となる。
【0101】
本発明の可動部と非可動部を有する成形体の製造方法は、特に制限されず公知の方法が使用できる。本発明の可動部と非可動部を有する成形体は、例えば、射出成形法を用いて可動部と非可動部を別々に成形した後、これらを組み立てる方法を使用してもよいが、例えば、二色成形法等の方法で可動部と非可動部を一体成形することが好ましい。気密性がより向上し、また工程数や部品数の低減が可能になるためである。図17に示すスロットルチャンバーを例に取ると、例えば、下記方法で製造可能である。
【0102】
スロットルチャンバーは、非可動部である筒状のチャンバー部171と可動部である開閉バルブ172および開閉バルブシャフト173とを有する。まず、二色成形用金型内に、開閉バルブ用金属製シャフトをセットし、次に円筒状のチャンバーを射出成形し、続いて円盤状の開閉バルブを成形するためにスライドコアを後退して円盤状の開閉バルブを射出成形する。このとき金属製シャフトと円盤状の開閉バルブが一体化される。本発明によれば、可動部が気体流動を制御する開閉蓋であり非可動部は流動気体を導入する筒状成形品にも、好ましく応用することができる。
【0103】
本発明の樹脂組成物は、炭化水素系燃料の遮断性、ガスバリア性、耐薬品性に優れるため、炭化水素系燃料を収納する部品または容器、炭化水素系燃料を収納する部品または容器、例えば、燃料タンク等の炭化水素系燃料を収納する車両用の一連の燃料系部品、灯油容器等の家庭用品の用途に好適である。したがって、本発明の第十四は、本発明の樹脂組成物を含んで成る炭化水素系燃料を収納する部品あるいは容器である。
【0104】
図18に、このような部品や容器である、自動車等の車両における樹脂製燃料タンクを示す。フィラーチューブ181を介して炭化水素系燃料であるガソリンが燃料タンク182に注入・貯蔵され、ついで当該ガソリンが燃料ポンプ183によりエンジン(図示せず;付号184としてのみ表示する)に圧送される形式の燃料系システムとなっている。燃料系部品において本発明の樹脂組成物が適用できる部品としては、燃料タンク182、フィラーキャップ185、ベントチューブ186、フューエルホース187、フューエルカットオフバルブ、デリバリーパイプ、エバポチューブ、リターンチューブ、フューエルセンダーモデュール等が挙げられる。燃料タンクはこれら車両の燃料系システム部品の中で最大規模の部品である。近年樹脂化が進み、部品形状の自由度増の効果により金属製に比べ貯蔵燃料量が約10リットルほど増大、かつ重量も25%程度軽減された。この利点から燃料タンクの樹脂化への期待が一層高まっている。
【0105】
ここで、燃料タンクの樹脂化の現状と課題について詳述する。従来から、母材樹脂としてオレフィン系のHDPE(高密度ポリエチレン)が使用され、その工法として吹き込み法で成形が行われてきた。これらの材料と工法には大きな変化はなかったが、タンクの層構造は大きく変化した。例えば、当初は単層型燃料タンクであったが、炭化水素の蒸散規制法の施行に伴い、炭化水素の透過低減のため燃料タンクの多層化が余儀なくされた。その結果、現在燃料タンクはHDPE/PA(ポリアミド)またはHDPE/EVOH(エチレン酢酸ビニル共重合体)の両端をHDPEで構成する3種5層からなる多層構造タンクが主流となっている。この場合の成形は、従来と同じ吹き込成形である。
【0106】
単層型燃料タンクにおいて、タンクより多くの炭化水素系燃料が透過するのは両者の相溶性が良いのが原因である。相溶の尺度である溶解度パラメータ(以下SP値)はHDPEが7.9、炭化水素系燃料が6〜8であり、両者は同じ領域にある。一方、多層タンクに用いるPAのSP値は13.6で、炭化水素系燃料とのSP値の開きが大きい、換言すれば相溶性が悪い領域にある。これらより多層燃料タンクにおけるPA材は炭化水素系燃料のタンク外への透過を阻止するバリアー層として設置されたものである。当該多層燃料タンクの創出により炭化水素の蒸散規制法を満たす技法が確立されたものの成形工程が煩雑となって大幅な価格上昇を招いた。上記問題に加えて、複数の樹脂の積層構造としたため、リサイクルの円滑性が失われ、リサイクル社会という時代の要請に応えがたい新たな課題を残した。
【0107】
これに対して、本発明の樹脂組成物中の表面改質シリカ組成物はシラノール基を残しているためSP値は11を超え、前述のPAやEVOHに相当する炭化水素系燃料の透過阻止の機能がある。また、本発明の樹脂組成物の主たる成分は、アクリル等の極性基を有するSP値が11以上の樹脂が主体であり、炭化水素系燃料としてのガソリンとは馴染みにくい、換言すれば相溶性が悪い材料構成となっているため、燃料タンクとしてより望ましい状態の材料である。従って、本発明の樹脂組成物を用いれば、単層型でも炭化水素の蒸散法規制を満たす車両用の燃料タンクを提供することができる。これにより課題である製造コストの低減が図れ、かつリサイクルの社会的要請に応えることできるようになる。この際、本発明の樹脂組成物は、単層型または必要であれば多層型のいずれの場合であっても、従来と同様、吹き込成形によって車両用燃料タンクに成形することが使用できる。
【0108】
なお、車両用の燃料タンクに比べるとは効果はやや低いものの、本発明の樹脂組成物は灯油容器等の家庭用品に用いることもできる。これにより灯油の大気への蒸散が軽減され、地球環境の保全に寄与することができる。
【0109】
上記したように本発明では、更に、顔料等の着色剤をナノ複合樹脂組成物に混練したり、着色層を挿入して所望の色調を有する部品を得ることも可能である。このため、上記記載の自動車以外でも美観、平滑性、透明感等の外観品質が要求され、かつ高剛性や表面の耐擦傷性を求められる用途、例えば建造物の外装材、内装材、鉄道車両の内装材等にも使用できる。
【0110】
このような車両用部品や建築用内装材などを含む各種部材の製造方法としては、上記で詳述したが、射出成形、真空圧空成形等を部品や用途に合わせて適宜選択すればよい。一般的なガラス繊維強化樹脂は、せん断応力を繰り返し受けることによってガラス繊維が壊れるためにその物性が徐々に低下しリサイクル性も低いが、本発明のナノ複合樹脂組成物は上記表面改質シリカ組成物を用いているためせん断応力を受けにくく、物性の低下を抑えることができる。
【0111】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例における各種評価は以下の方法により、特記しない場合には、「部」は質量部を、「%」は質量%を示す。
【0112】
(ナノ複合樹脂組成物の評価方法)
(1)水素結合の状態は、赤外分光光度計(日本分光(株)製 FT−IR620)で計測した。
【0113】
(2)全光線透過率は、ヘイズメータ(村上色彩研究所製 HM―65)で計測した。75%以上を合格とした。
【0114】
(3)シリカの分散状態は、透過電子顕微鏡(日立製作所(株)製 H−800)で観測した。
【0115】
(4)曲げ強度・弾性率は、オートグラフ(島津製作所(株)製 DCS−10T)で計測した。曲げ強度130MPa以上を合格とし、また、曲げ弾性率3GPa以上を合格とした。
【0116】
(5)線膨張係数は、熱機械測定装置(セイコー電子工業(株)製 TMA120C)で計測した。線膨張係数6×]10-5/℃以下を合格とした。
【0117】
実施例1:乾式製法粉を用いたナノ複合樹脂組成物I
ステップI:表面改質Aシリカ組成物の製造
平均一次粒径が20nmの微粒子シリカ(日本アエロジル(株)製、アエロジル#90G)20部を、恒温水槽に浸漬してある80℃の恒温状態の三口フラスコに入れた。なお、当該アエロジル#90Gの赤外吸収特性を計測したところ、シラノール基に係わるその自由水酸基(−OH)の吸収ピーク波数は3740cm-1であった。次に、連結されているもう一方の三口フラスコに樹脂モノマーとしてアクリル酸を10部入れ、80℃に加温し、設定温度に達した後に両フラスコ間にある開閉コックを開き、アクリル酸の蒸気をシリカのフラスコ内に導入、ついでコックを閉じて系を密閉とした。1時間後、脱気コックを開いて未反応のアクリル酸の蒸気を除去し、アクリル酸モノマーで表面が修飾された表面改質シリカ組成物(以下、Aシリカ組成物と呼称)を得た。
【0118】
このようにして得られたAシリカ組成物の色は白色で、処理前後の概観上の色調変化は認められなかった。また、Aシリカ組成物について赤外吸収特性を計測したところ、シリカのシラノール基に係わる3740cm-1の自由水酸基吸収ピークが消失し、新たに波数3311cm-1に水素結合に起因する水酸基(−OH)の吸収ピークが出現した。これは、シラノール基の−OHとアクリル酸の持つカルボニル基(−C=O)との間に水素結合が形成されたためであると考えられる。この結果、樹脂モノマーにより表面修飾(水素結合形成)によりAシリカ組成物のシラノール基の水酸基は429cm-1低波数側にシフトした。
【0119】
ステップII:ナノ複合樹脂組成物の製造
フラスコに、有機溶媒としてトルエン50部、母材樹脂モノマーとしてメタクリル酸メチル(MMA)20部、反応開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.05部、および上記ステップIで得られたAシリカ組成物を2部加え、攪拌子で攪拌し、混合溶液とした。やや乳白色の曇りのある溶液であった。次に、フラスコ内の空気を窒素等の不活性ガスで置換して系内を密封し、この溶液を80℃の温度下で24時間処理してメタクリル酸メチルとAシリカ組成物上の樹脂モノマーとしてのアクリル酸を共重合させた。反応終了後、ヘキサンを滴下して沈殿させ、本発明に係わるPMMA系のナノ複合樹脂組成物(以下、A複合樹脂組成物と呼称)を得た。
【0120】
ステップIII:A複合樹脂組成物の特性評価
上記ステップIIで得られたA複合樹脂組成物を乾燥して粒とし、これを押出法により厚さ2mmのシートに成形した。得られた成形シートについて全光線透過率、曲げ強度、曲げ弾性率及び線膨張係数を計測した。結果を表1に示す。
【0121】
実施例2〜6:乾式製法粉を用いたナノ複合樹脂組成物B〜F
ステップI:表面改質B〜Fシリカ組成物の製造
平均一次粒径が20nmの微粒子シリカ(日本アエロジル(株)製、アエロジル#90G)20部を、恒温水槽に浸漬してある80℃の恒温状態の三口フラスコに入れた。次に、表面改質用の樹脂モノマーとしてメタクリル酸、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミドおよび2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の5種を用いてそれぞれシリカの表面改質を行なった以外は、実施例1と同一の条件で同様の操作を行なうことによって、それぞれ、メタクリル酸を樹脂モノマーとして使用したメタクリル酸系改質シリカ組成物(以下、Bシリカ組成物と呼称)、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステルを樹脂モノマーとして使用したアクリル酸ジメチルアミノエチルエステル系改質シリカ組成物(以下、Cシリカ組成物と呼称)、2−ヒドロキシエチルアクリレートを樹脂モノマーとして使用した2−ヒドロキシエチルアクリレート系改質シリカ組成物(以下、Dシリカ組成物と呼称)、アクリルアミドを樹脂モノマーとして使用したアクリルアミド系改質シリカ組成物(以下Eシリカ組成物と呼称)及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を樹脂モノマーとして使用した2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸系改質シリカ組成物(以下、Fシリカ組成物と呼称)の5種の表面改質シリカ組成物を得た。
【0122】
このようにして得られたB〜Fシリカ組成物色はいずれも白色で、上記Aシリカ組成物同様、処理前後の概観上の色調変化は認められなかった。また、これらシリカ組成物について赤外吸収特性を計測したところ、実施例1と同様、シリカのシラノール基に係わる3740cm-1の自由水酸基吸収ピークが消失し、新たに表1に示す位置に水素結合に起因する水酸基(−OH)の吸収ピークが出現した。これは、実施例1と同様、シラノール基の有する水酸基(−OH)と樹脂モノマーの有するカルボニル基(−C=O)との間に水素結合が形成されたためであると考えられる。
【0123】
ステップII:ナノ複合樹脂組成物の製造
フラスコに、有機溶媒としてトルエン50部、母材樹脂モノマーとしてメタクリル酸メチル(MMA)20部、反応開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.05部、および上記ステップIで得られたB〜Fシリカ組成物を各々2部加え、攪拌子で攪拌し、混合溶液とした。いずれもやや乳白色の曇りのある溶液であった。次に、実施例1と同一の条件でメタクリル酸メチルとB〜Fシリカ組成物上の樹脂モノマーとしてのアクリル酸を共重合させた。反応終了後、ヘキサンを滴下して沈殿させ、それぞれ、メタクリル酸系ナノ複合樹脂組成物(以下、B複合樹脂組成物と呼称)、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル系ナノ複合樹脂組成物(以下、C複合樹脂組成物と呼称)、2−ヒドロキシエチルアクリレート系ナノ複合樹脂組成物(以下、D複合樹脂組成物と呼称)、アクリルアミド系ナノ複合樹脂組成物(以下、E複合樹脂組成物と呼称)及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸系ナノ複合樹脂組成物(以下、複合樹脂組成物Fと呼称)の5種のナノ複合樹脂組成物を得た。
【0124】
ステップIII:B〜F複合樹脂組成物の特性評価
上記ステップIIで得られたB〜F複合樹脂組成物を乾燥して粒とし、これを押出法により厚さ2mmのシートに成形した。得られた成形シートについて全光線透過率、曲げ強度、曲げ弾性率及び線膨張係数を計測した。結果を表1に示す。
【0125】
実施例7、8:湿式製法粉を用いたナノ複合樹脂組成物a,e
ステップI:表面改質G,Hシリカ組成物の製造
平均一次粒径15nm、濃度20wt%の水分散型のコロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、スノーテックスST20)100部を、恒温水槽に浸漬してある攪拌機を備えたフラスコに入れた。次に、攪拌機で攪拌しながら、この溶液に樹脂モノマーとしてアクリル酸を10部加え、80℃で、1時間、反応処理を行なった。所定時間処理した後、水を除去して乾燥し、アクリル酸モノマーで表面が修飾された表面改質シリカ組成物(以下、aシリカ組成物と呼称)を得た。
【0126】
別途、樹脂モノマーとしてアクリルアミドを用いる以外は、上記と同様の条件で操作を行なうことによって、アクリルアミドモノマーで表面が修飾された表面改質シリカ組成物(以下、eシリカ組成物と呼称)を得た。
【0127】
これらのa及びeシリカ組成物両者の赤外吸収特性を計測したところ、表1の結果が得られ、その特性は、それぞれ、前記Aシリカ組成物およびFシリカ組成物とほぼ同じであった。
【0128】
ステップII:ナノ複合樹脂組成物の製造
Aシリカ組成物の代わりに、aシリカ組成物及びeシリカ組成物をそれぞれ使用する以外は、実施例1におけるステップIIと同一の条件でメタクリル酸メチルとAシリカ組成物上の樹脂モノマー(それぞれ、アクリル酸及びアクリルアミド)との共重合を行ない、反応終了後、ヘキサンを滴下して沈殿させることによって、それぞれ、アクリル酸系ナノ複合樹脂組成物(以下、a複合樹脂組成物と呼称)およびアクリルアミド系ナノ複合樹脂組成物(以下、e複合樹脂組成物と呼称)の2種のナノ複合樹脂組成物を得た。
【0129】
ステップIII:a,e複合樹脂組成物の特性評価
上記ステップIIで得られたa,e複合樹脂組成物の2種を各々乾燥して粒となし、これを押出法により厚さ2mmのシートに成形した。得られたシートついて全光線透過率、曲げ強度、曲げ弾性率そして線膨張係数を計測したところ表1の結果が得られた。
【0130】
実施例9,10:非両親媒性の樹脂モノマーを用いたナノ複合樹脂組成物I,J
ステップI:表面改質I,Jシリカ組成物の製造
平均一次粒径が20nmの微粒子シリカ(日本アエロジル(株)製、アエロジル#90G)20部を、恒温水槽に浸漬してある80℃の恒温状態の三口フラスコに入れ、表面改質用の樹脂モノマーとしてメタクリル酸メチルおよびアクリル酸エチルをそれぞれ使用する以外は、実施例1と同一の条件で操作することにより、それぞれ、メタクリル酸メチル系改質シリカ組成物(以下、Iシリカ組成物と呼称)およびアクリル酸エチル系改質シリカ組成物(以下、Jシリカ組成物と呼称)の2種の改質シリカ組成物を得た。
【0131】
このようにして得られたI,Jシリカ組成物色はいずれも白色で、上記Aシリカ組成物同様、処理前後の概観上の色調変化は認められなかった。また、これらシリカ組成物について赤外吸収特性を計測したところ、実施例1と同様、シリカのシラノール基に係わる3740cm-1の自由水酸基吸収ピークが消失し、新たに表1に示す位置に水素結合に起因する水酸基(−OH)の吸収ピークが出現したが、両者とも波数の低波数側へのシフト量は、A〜Hに比べ相対的に少なかった。これは、カルボキシル基がエステル化され、シリカとの水素結合力が低下したためであると考えられる。
【0132】
ステップII:ナノ複合樹脂組成物の合成
フラスコに、有機溶媒としてトルエン50部、母材樹脂モノマーとしてメタクリル酸メチル(MMA)20部、反応開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.05部、および上記ステップIで得られたI,Jシリカ組成物を各々2部加え、攪拌子で攪拌し、混合溶液とした。いずれもやや乳白色の曇りのある溶液であった。次に、実施例1と同一の条件でメタクリル酸メチルとI,Jシリカ組成物上の樹脂モノマーとしてのアクリル酸を共重合させた。反応終了後、ヘキサンを滴下して沈殿させ、それぞれ、メタクリル酸メチル系ナノ複合樹脂組成物(以下、I複合樹脂組成物と呼称)およびアクリル酸エチル(以下、J複合樹脂組成物と呼称)の2種のナノ複合樹脂組成物を得た。
【0133】
ステップIII:I,J複合樹脂組成物の特性評価
上記ステップIIで得られたI,J複合樹脂組成物を乾燥して粒とし、これを押出法により厚さ2mmのシートに成形した。得られた成形シートについて全光線透過率、曲げ強度、曲げ弾性率及び線膨張係数を計測した。結果を表1に示す。
【0134】
【表1】
【0135】
表1の結果に示されるように、シリカ赤外吸収ピーク波数と物性の間には密接な関係があり、低波数側へのシフト量が大きくなれば物性が向上する傾向が認められる。これは、既述のように、シリカと樹脂モノマーとの相互作用(水素結合形成)のためであると考えられる。総合的には、波数の低波数側へのシフト量は330cm-1以上とする必要がある。
【0136】
比較例1
粒状のポリメチルメタクリレート樹脂(三菱レイヨン(株)製アクリペットVH)を押出法により厚さ2mmのシートに成形した。得られたシートついて、全光線透過率、曲げ強度、曲げ弾性率及び線膨張係数を計測した。結果を表1に示す。表1に示されるように、このシートは、高い透明性を有するが、物性が目標値を満たさず、不合格である。
【0137】
実施例11:表面改質シリカ組成物の適正配合量について
ステップI
フラスコに、有機溶媒としてトルエン250部、母材樹脂モノマーとしてメチルメタクリレート(MMA)100部、反応開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)25部及び実施例2と同様にして製造されたメタクリル酸系改質シリカ組成物(Bシリカ組成物)を、それぞれ、1、5、10、20、40、60、80、100、及び120部加え、それぞれについて、攪拌子で攪拌し、ついでフラスコ内の空気を窒素等の不活性ガスで置換して系内を密封し、この溶液を80℃の温度下で24時間処理して、Bシリカ組成物のメタクリル酸とMMAとを重合させた。反応終了後、ヘキサンを滴下して沈殿させ、本発明に係わる10種のメタクリル酸系ナノ複合樹脂組成物を得た。
【0138】
ステップII
上記ステップIで得られた10種のメタクリル酸系ナノ複合樹脂組成物を乾燥して粒とし、これを押出法により厚さ2mmのシートに成形した。得られた成形シートについて、全光線透過率、シリカ組成物の分散状態、曲げ強度、曲げ弾性率及び線膨張係数を計測した。結果を表2に示す。なお、表面改質シリカ組成物を配合しないものを比較例2とした。結果を表2に示す。
【0139】
【表2】
【0140】
表2の結果に示されるように、配合量が3部未満では、比較例2の表面改質シリカ組成物を配合しなかったポリメチルメタクリレート樹脂と比較した際の、線膨張係数の低減効果が低く、また、曲げ強度や曲げ弾性率の改善の効果が薄い。また、配合量が100部を超えると、線膨張係数の低減効果ならびに曲げ強度及び曲げ弾性率の改善効果などの物性改善の効果が認められず、逆に、全光線透過率が合格ラインである75%を下回り、透明性が低下する。これに対して、シリカ組成物の配合量を3〜100質量部の範囲では、透明性を損なうことなく、ナノ複合透明樹脂組成物の熱膨張率の低減、ならびに曲げ強度及び曲げ弾性率の改善が達成できる。このため、本発明では、表面改質シリカ組成物の配合量は、母材樹脂モノマー100質量部に対して、3〜100質量部である必要がある。また、表面改質シリカ組成物の配合量が増えるにつれてナノ複合透明樹脂組成物の比重が増すため、部材の質量が増加することが考えられ、樹脂ウィンドウ等の軽量化が求められる用途によっては好ましくない場合がある。このような点を考慮すると、表面改質シリカ組成物の配合量を、母材樹脂モノマー100質量部に対して、3〜40質量部の範囲とするのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係る樹脂組成物の車両用外装部品用途の一例を示す説明図である。
【図2】 図2a、図2bは、本発明に係る樹脂組成物の車両用外板用途の一例を示す説明図である。
【図3】 図3は、本発明に係る樹脂製ワイパーシステの模式図である。
【図4】 図4は、本発明に係る樹脂製ドアミラーステイの車両用外装部品用途の一例を示す説明図である。
【図5】 図5は、本発明に係る透明樹脂部と不透明樹脂部とを一体で成形したインストルメントパネルを示す図である。
【図6】 図6は、本発明に係る樹脂製ミラー、樹脂製ウィンドウを示す図である。
【図7】 図7は、本発明の樹脂製ランプリフレクターを用いたヘッドランプ部を示す横断面図である。
【図8】 図8は、本発明に係る樹脂組成物を用いたエンジンルーム内部品の一例を示す説明図である。
【図9】 図9は、本発明に係る樹脂組成物を用いたエンジンルーム内部品の一例を示す説明図である。
【図10】 図10は、本発明に係る樹脂組成物を用いた樹脂製冷却装置部品の一例を示す図である。
【図11】 図11は、本発明に係る樹脂組成物を用いた樹脂製冷却装置部品の一例を示す図である。
【図12】 図12は、本発明に係る樹脂組成物を用いた中空構造を有する樹脂一体成形体の一例を示す図である。
【図13】 図13は、本発明に係る樹脂組成物を用いた中空構造を有する樹脂一体成形体の一例を示す図である。
【図14】 図14は、本発明に係る樹脂組成物を用いた一体成形部品の一例を示す説明図である。
【図15】 図15は、本発明に係る樹脂組成物を用いた一体成形部品の一例を示す説明図である。
【図16】 図16は、本発明に係る樹脂組成物を用いた一体成形部品の一例を示す説明図である。
【図17】 図17は、本発明に係る樹脂組成物を用いた可動部と非可動部を有する成形体の一例を示す図であり、図18Aは該成形体の横断面図、図18Bは該成形体の上面図である。
【図18】 図18は、本発明に係る樹脂組成物の車両用外装部品用途の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…ドアモール、2…ドアミラーのフレーム枠、3…ホイールキャップ、
4…スポイラー、5…バンパー、6…ウィンカーレンズ、
7…ピラーガーニッシュ、8…リアフィニッシャー、
21…フロントフェンダー、22…ドアパネル、23…ルーフパネル、
30…ワイパーシステム、31…ワイパーアーム、
32…ワイパーブレード、33…ワイパーアーム固定用ナット穴、
41…ランプ・フード・フェンダー一体樹脂成形体、
42…ピラーガーニッシュ・ガラス一体樹脂成形体、
43…ルーフ・フェンダ・ガラス一体樹脂成形体、
44…バックドア・ガラス一体樹脂成形体、
45…ドア・ガラス一体樹脂成形体、
51…インストルメントパネル、52…計器類のカバー、
61…フロントウィンドウ、62…ドアウィンドウ、
63…リアウィンドウ、64…サイドミラー、
71…車体側基体、72…アウタ部材、73…リフレクター、
74…バルブ、75…光軸調整器75、76…アウタレンズ、
81…ラジエーター、82…冷却液リザーブタンク、
83…ウオシャータンクインレット、84…電気部品ハウジング、
85…ブレーキオイルタンク、86…シリンダーヘッドカバー、
91…エンジンボディー、92…タイミングチェーン、
93…ガスケット、94…フロントチェーンケース、
101…ウォータパイプ、102…O−リング、
103…ウォータポンプハウジング、
104…ウォータポンプインペラ(羽車)、105…ウォータポンプ、
106…ウォータポンププーリ、
111…ウォータパイプ、112…サーモスタットハウジング、
113…サーモスタット、114…ウォータインレット、
121…フード、122…ドア、123…バックドア、124…ルーフ、
125…フェンダー、126…ウィンドウ、127…トランクリッド、
131…センターコンソールボックス、132…ピラーガーニッシュ、
133…インストルメントパネル、
141…パネル部、142…エアコンのエアダクトやケース、
151…ルーフレール、152…ルーフパネル、
171…チャンバー部、172…開閉バルブ、
173…開閉バルブシャフト、
181…フィラーチューブ、182…燃料タンク、
183…燃料ポンプ、185…フィラーキャップ、
186…ベントチューブ、187…フューエルホース、188…空気室。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a transparent resin composition suitable for substitution of inorganic glass and the like and a method for producing the same. More specifically, the present invention relates to a nanocomposite transparent resin composition containing a surface-modified silica composition that can improve the rigidity of a member and reduce thermal expansion without deteriorating the light transmittance of the resin, and a method for producing the same It is about.
[0002]
[Prior art]
In transparent material members, resin materials have the advantage of being lighter and more flexible than inorganic materials, but on the other hand, they have low elasticity, low rigidity, high thermal expansion coefficient, and low hardness. There is a drawback that the surface is easily damaged. For this reason, transparent resin materials are conventionally used for small parts such as headlamps and sunroofs that are relatively low-rigidity and easy to surface-treat in automobiles. Has not yet satisfied the specified functions, and has not yet been fully adopted.
[0003]
In order to overcome such drawbacks of transparent resin materials, research and development of organic / inorganic nanocomposite materials in which inorganic fine particle materials are blended with transparent resins has become active, and various methods have been proposed. For example, Japanese Patent Application Laid-Open No. 11-343349 discloses a new material composition relating to a resin window and a manufacturing technique thereof. Specifically, for the purpose of ensuring the strength or rigidity and transparency of a resin window, an inorganic material is disclosed. A resin-made window made of a transparent resin composition in which silica fine particles are dispersed and mixed in a transparent amorphous organic polymer (transparent resin) is disclosed. In the above publication, for example, in Example 1, benzoyl peroxide as a polymerization initiator is mixed with methyl methacrylate and heated, and then the polymerization reaction is performed while dripping silica fine particles dispersed in a methyl ethyl ketone solvent. It is described that a resin composition is obtained by performing the above.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
However, the transparent resin composition disclosed in the above publication is recognized to have an effect of increasing the surface hardness while maintaining high transparency, but on the other hand, it is required to increase the required elastic modulus, in other words, to improve the rigidity. Is not necessarily sufficient, and has not yet been applied to window glass. More specifically, the flexural modulus of the composite resin material containing silica fine particles is the maximum at 3,500 MPa in Example 11, whereas the composite resin material containing no silica fine particles (polymethyl) is used. The flexural modulus of the methacrylate resin) is 3,200 MPa (Reference Example 1), and the rate of increase in the flexural modulus due to the incorporation of silica fine particles is only 9.4%. This is presumably because the interaction between the resin and the silica fine particles is not sufficiently exhibited.
[0005]
In other words, conventional organic glass and composite resin materials have lower strength and rigidity than inorganic materials, so when applying to large parts that require a certain degree of rigidity, such as automotive window glass, for example. Although it is necessary to increase the thickness, such a measure can secure the degree of freedom of the shape, but the effect of reducing the weight, which is a major aim of resinization, is reduced.
[0006]
In recent years, research and development of organic / inorganic nanocomposite materials in which inorganic fine particle materials of the order of several tens of nm, which are much smaller than the wavelength of visible light (380 to 770 nm), are blended in transparent resins have become active. This method has been proposed, but has not been put to practical use.
[0007]
This invention is made | formed in view of the said situation, and makes it a subject to provide the manufacturing method of the resin composition which is excellent in especially transparency and can implement | achieve the improvement of an elasticity modulus.
[0008]
In addition, since resin materials have lower strength and rigidity than inorganic materials, it is necessary to increase the thickness when applying to large parts such as automobile window glass. Then, although the degree of freedom of the shape can be secured, the effect of weight reduction, which is a major aim of resinization, is diminished. For this reason, this invention makes it a subject to provide the resin composition which can improve the elasticity modulus of a resin material, and its manufacturing method.
[0009]
Furthermore, since the thermal expansion coefficient of resin materials is larger than that of inorganic materials, the glass itself breaks due to thermal strain with the steel material of the window frame when it is applied to large parts such as automobile window glass. In addition, since there is a risk of undulations occurring on the surface of the resin glass, it is necessary to design a structure that avoids thermal distortion. For this reason, this invention also makes it a subject to provide the resin composition which can reduce the thermal expansion coefficient of a resin material, and its manufacturing method.
[0010]
In addition, in the conventional method of blending an inorganic filler as one of the means for simultaneously achieving the improvement of the elastic modulus and the reduction of the thermal expansion coefficient, although the improvement of the elastic modulus of the member and the reduction of the thermal expansion coefficient can be achieved, There arises a problem that the reflection / scattering and absorption of the transmitted light is increased and the transparency of the member is increased. These are in a trade-off relationship that if one is improved, the other is worse. For this reason, this invention makes it a subject to provide the resin composition which can improve the elasticity modulus of a resin member, and can reduce a thermal expansion coefficient, and its manufacturing method, maintaining transparency. Furthermore, another object of the present invention is to provide a molded article, an automobile part using the resin composition, and a production method thereof.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
The above problem is that, in the infrared absorption characteristics, the absorption peak of free hydroxyl group (—OH) of silanol group possessed by silica is 330 to 450 cm. -1 From a surface-modified silica composition in which the surface of silica is modified through a hydrogen bond using a resin monomer having a hydrogen-bonding functional group and an unsaturated double bond group shifted to a low wavenumber side, and a base resin monomer The matrix resin monomer is polymerized with the resin monomer, and the surface-modified silica composition is blended in an amount of 3 to 100 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the matrix resin monomer. This is achieved by the composite resin composition.
[0012]
【The invention's effect】
As a result of intensive studies from these viewpoints, the present inventors have solved the above problem by selecting an appropriate material for the inorganic filler to be uniformly dispersed in the matrix resin, in addition to the matrix resin and the inorganic filler. It came to the view that it was necessary to form a strong interaction with the material. Next, various measures were confirmed by experiments based on that view, and a new technique according to the present invention for forming hydrogen bonds between the functional groups of the base resin and the inorganic filler was found. It was.
[0013]
More specifically, the present inventors added (1) a functional group such as carbonyl contained in the silanol group and the resin monomer skeleton by adding a specific resin monomer to silica having a silanol group (—Si—OH). When producing a surface-modified silica composition that forms a hydrogen bond with the silica, an infrared absorption peak of a free hydroxyl group in the silanol group of the silica is 330 cm as a resin monomer for surface modification. -1 Use a monomer having a hydrogen bonding functional group that shifts to a low wave number side and an unsaturated double bond group for polymerization with a matrix resin monomer blended after surface modification; and (2) the surface modification The porous silica composition is blended in a mixed solution consisting of a matrix resin monomer having an unsaturated double bond group, a polymerization initiator and a solvent, and polymerized with the matrix resin monomer and the resin monomer of the surface-modified silica composition. The nanocomposite resin composition obtained by this has been found to be capable of simultaneously improving the elastic modulus and reducing the thermal expansion coefficient while maintaining high transparency, and has reached the present invention. Hereinafter, the effect of the present invention will be described for each claim.
[0014]
Claim 1 is a method in which a silanol group (-Si-OH) of silica and a hydrogen bonding functional group contained in a resin monomer are reacted to form a hydrogen bond more firmly, and then a resin monomer and a base resin monomer By polymerizing, a nanocomposite resin composition having excellent mechanical strength can be obtained. Further, unlike a clay-like inorganic filler such as montmorillonite, a resin composition capable of preventing coloring can be obtained.
[0015]
According to the second aspect of the present invention, by selecting a resin monomer having a specific functional group excellent in hydrogen bonding property with silanol groups in silica, the silica surface can be modified with good reproducibility and quickly. It becomes the resin composition excellent in bondability and depending on the case.
[0016]
According to the third aspect of the present invention, by selecting a specific material as a base material resin monomer, the bonding property with the resin monomer having an unsaturated double bond group present in the surface layer of the surface-modified silica composition is excellent. A nanocomposite resin composition having excellent mechanical strength can be obtained.
[0017]
According to the fourth aspect of the present invention, the surface-modified silica composition can be dispersed in the matrix resin monomer in a stable state without causing aggregation between particles by making the shape of the surface-modified silica composition spherical or chain-like. While maintaining, it is possible to achieve improvement in elastic modulus and reduction in thermal expansion coefficient of the transparent resin member.
[0018]
According to the fifth aspect of the present invention, the particle diameter of the surface-modified silica composition is set to be equal to or less than the wavelength of visible light (380 nm), so that transmission of visible light is not hindered, and thus dispersed in a matrix resin monomer in a stable state. By doing so, it is possible to achieve improvement in elastic modulus and reduction in thermal expansion coefficient of the transparent resin member while maintaining transparency.
[0019]
Claim 6 is excellent in ensuring transparency by reducing the average primary particle size of the silica composition.
[0020]
[0021]
Claim 34 uses the powdery silica (dry process powder) manufactured by a dry manufacturing method as a starting material, The manufacturing method of the nano composite resin composition in any one of Claims 1-6 characterized by the above-mentioned According to this method, hydrophobization as a pretreatment of silica is unnecessary, and a cheaper surface-modified silica composition can be obtained from the non-use of chemicals and the reduction of the process. A nanocomposite resin composition excellent in transparency and rigidity in which a porous silica composition is uniformly dispersed can be easily produced.
[0022]
Claim 35 is a method for producing a nanocomposite resin composition according to any one of claims 1 to 6, wherein colloidal silica (wet process powder) produced by a wet production method is used as a starting material. Yes, the method does not require hydrophobization as a pretreatment of silica, and a cheaper surface-modified silica composition can be obtained from the non-use of chemicals and the reduction of the process. A nanocomposite resin composition excellent in transparency and rigidity in which the silica composition is uniformly dispersed can be easily produced.
[0023]
Claim 36 inserts the resin sheet which consists of a nano composite resin composition in any one of Claims 1-6 into a metal mold | die, injects a pressurized fluid between this insertion laminated body, and forms a hollow structure. This is a method for producing a resin integrated molded body, which can produce an automobile resin integrated molded body without increasing unnecessary steps.
[0024]
Claim 37 is characterized in that the nanocomposite resin composition according to any one of claims 1 to 6 is filled in a mold, and a pressurized fluid is injected into the molten resin to form a hollow structure. This is a method for manufacturing a resin integrated molded body, and an automobile resin integrated molded body can be manufactured without increasing unnecessary steps.
[0025]
Claim 38 inserts a resin sheet comprising the nanocomposite resin composition according to any one of claims 1 to 6 into a mold, fills the mold with a molten resin, and pressurizes fluid in the molten resin. Is a method for producing a resin-integrated molded body characterized in that a hollow structure is formed by injecting a resin, and an automobile resin-integrated molded body can be produced without increasing unnecessary steps.
[0026]
The nanocomposite resin composition of the present invention has been developed and studied with a focus on strengthening the hydrogen bond between the two in addition to improving the affinity of silica as an inorganic component to be blended with the matrix resin monomer. As a result, the present inventors have found a technique capable of improving the strength and reducing the linear expansion coefficient without impairing transparency. If this material is used for industrial applications such as automobiles, home appliances or houses, the weight of the members can be reduced and the degree of freedom in molding can be increased. For example, if it is used in various applications such as the window of an automobile described above, it can be replaced with inorganic glass, which can greatly contribute to the weight reduction of vehicles and creation of new designs. In addition, weight savings can be achieved in vehicle applications, while at the same time saving fuel consumption and CO 2 It will contribute to the preservation of the global environment from the reduction of emissions.
[0027]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
In the first aspect of the present invention, in the infrared absorption characteristics, the absorption peak of free hydroxyl group (—OH) of silanol group possessed by silica is 330 to 450 cm. -1 From a surface-modified silica composition in which the surface of silica is modified through a hydrogen bond using a resin monomer having a hydrogen-bonding functional group and an unsaturated double bond group shifted to a low wavenumber side, and a base resin monomer The matrix resin monomer is polymerized with the resin monomer, and the surface-modified silica composition is blended in an amount of 3 to 100 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the matrix resin monomer. It is a composite resin composition.
[0028]
One of the first characteristics of the present invention is that in the surface-modified silica composition blended as an inorganic component of the nanocomposite resin composition, the chemical properties of the silica and the performance requirements of the resin monomer for modification used for the surface modification It is in. That is, the inorganic filler used in the present invention is specified as silica having a silanol group (—Si—OH) on the surface. The inorganic component is identified as silica because a hydrogen bond can be formed between the silanol group (-Si-OH) of the silica and the hydrogen bondable functional group of the resin monomer. This is because it has been found that the composite resin composition obtained by polymerizing the resin monomer and the base resin monomer can sufficiently exhibit the originally provided physical properties such as strength. As described above, according to the present invention, a composite resin material having stronger physical properties can be obtained by forming a hydrogen bond between a silanol group and a resin monomer, and therefore a clay-like inorganic filler such as montmorillonite. Unlike that, there is an advantage that the formed composite resin material is not colored.
[0029]
The surface-modified silica composition used in the present invention has an absorption peak of free hydroxyl group (—OH) of silanol group of 330 to 450 cm in infrared absorption characteristics. -1 The surface of the silica is modified through a hydrogen bond using a resin monomer having a hydrogen bonding functional group and an unsaturated double bond group that are shifted to the low wave number side.
[0030]
As silica that can be used in the present invention, any inorganic silica having a silanol group (—Si—OH) can be used without any particular limitation. The terminal hydrogen atom of the silanol group has active protonic properties, reacts well with alkali components, and includes atoms with high electronegativity such as nitrogen atoms, fluorine atoms, and oxygen atoms contained in carbonyl groups. It has the property of forming hydrogen bonds with functional groups. For this reason, when the surface-modified silica composition is mixed with the matrix resin monomer, it is firmly mixed in the matrix resin monomer. The surface modification methods of the second and third aspects of the present invention will be described in detail below. As fine particle silica, commercially available silicon tetrachloride (SiCl) is generally used. Four ) Hydrolyzed products of high temperature and sodium silicate ((SiO 2 ) n ・ Na 2 A material obtained by hydrolysis of O) can be used as a raw material. The former is in the form of fine powder and the latter is sold in the form of a water-dispersed or organic solvent-dispersed colloid. In the present invention, both fine-particle silicas can be used as raw materials for the surface-modified silica composition. As the latter colloidal silica, chain silica having a length of 40 to 50 nm in which 4 to 5 spherical silicas are connected has recently been sold (for example, Snowtech ST-UP manufactured by Nissan Chemical Industries, Ltd.) In the present invention, such chain silica can also be used as a raw material for the silica composition in the same manner as conventional spherical silica. Further, the shape of the fine particle silica is not particularly limited, and as described above, it may be spherical or chain-like, but the average primary particle diameter is more preferably 380 nm or less. Is preferably 5 to 100 nm. This is because when this is mixed with a resin monomer, an improvement in the elastic modulus and a reduction in the thermal expansion coefficient of the resin member can be achieved while maintaining transparency.
[0031]
The resin monomer for surface modification of silica used in the present invention has an infrared absorption peak of free hydroxyl group of silanol group of silica of 330 to 450 cm. -1 It is an essential requirement to be a monomer having an unsaturated double bond group that can be homopolymerized or copolymerized with a hydrogen bonding functional group to be shifted to the low wavenumber side and a matrix resin monomer as a matrix. At this time, as for the shift amount of the free hydroxyl group of the silanol group of silica, the larger the shift amount, the stronger the interaction is due to the hydrogen bond between the silica and the base resin, and the expected nanophysic resin composition with strong physical properties. The lower limit is 330 cm considering that -1 It was. Moreover, the shift amount of the free hydroxyl group of the silanol group of the silica by the resin monomer used especially preferably as a surface modifier is shown below. That is, 429 cm for acrylic acid -1 354cm for methacrylic acid -1 324cm for methyl methacrylate -1 , 361 cm for 2-hydroxyethyl acrylate -1 And 345 cm for dimethylaminoethyl acrylate -1 It is.
[0032]
Further, the resin monomer for modifying the silica surface used in the present invention is appropriately selected according to the desired application and is not particularly limited. However, in view of hydrogen bond formation, it is included in the silica. A resin monomer having a functional group containing an atom having a large electronegativity such as an oxygen atom (O), a nitrogen atom (N), and a fluorine atom (F) that easily forms a hydrogen bond with a silanol group is preferable. In consideration of hydrogen bonding with a silanol group, a resin monomer having a carbonyl group (—CO—) is particularly preferably used. Moreover, it is preferable that it is a transparent resin monomer depending on uses, such as a resin-made window. In addition, the transparent resin monomer in this specification means the monomer which comprises resin with a total light transmittance of 75% or more. However, as described above, the resin monomer has a characteristic of shifting the infrared absorption peak of the free hydroxyl group of the silanol group of silica by a predetermined amount and has an unsaturated double bond group that can be polymerized with the matrix resin monomer. Limited to.
[0033]
In consideration of the above points, specific examples of the resin monomer for modifying the silica surface used in the present invention include (meth) acrylic polymer materials such as polymethyl methacrylate, polyarynes such as polycarbonate polymer materials, etc. Oxygen atoms such as monomers constituting rate polymer materials, polyacetal polymer materials, thermoplastic polyester polymer materials such as polyethylene terephthalate, polyether ether ketone polymer materials, polyether ketone polymer materials, etc. Resin monomer having a functional group containing; Polymer monomer having a functional group containing a nitrogen atom, such as a monomer constituting a polyamide-based polymer material, a polyamide-imide polymer material, etc .; Constructing a fluororesin such as polytetrafluoroethylene Monomer having a functional group containing a fluorine atom, such as a monomer Etc., and the like. Among these, in consideration of hydrogen bonding between the silanol group contained in the surface-modified silica composition and the functional group contained in the resin monomer, the monomer constituting the (meth) acrylic polymer material and the polyamide polymer material Are preferable, and acrylic acid, methacrylic acid, dimethylaminoethyl acrylate, 2-hydroxyethyl acrylate, acrylamide, and 2-acrylamido-2-methylpropanesulfonic acid are particularly preferable. In this case, the resin monomer may be used alone or in the form of a mixture of two or more.
[0034]
The method for producing the surface-modified silica composition according to the present invention is not particularly limited, and a known silica surface-modifying method can be used, but the optimum production method is preferably used depending on the state of silica.
[0035]
That is, the first method is to produce the nanocomposite resin composition of the present invention using powdered (spherical) silica produced by a dry production method. Therefore, in the second aspect of the present invention, the powdery silica having a silanol group whose primary particle shape is spherical has a free hydroxyl group (—OH) absorption peak of the silanol group possessed by silica of 330 to 450 cm. -1 The surface is modified with a resin monomer having a hydrogen-bonding functional group and an unsaturated double bond group that shifts to a low wavenumber side to form a surface-modified silica composition. A nanocomposite resin composition is prepared by polymerizing a resin monomer of the surface-modified silica composition and a matrix resin monomer of the mixed solution by blending with a mixed solution containing a base resin monomer and a polymerization initiator and / or a solvent. It is the manufacturing method of the nano composite resin composition of this invention characterized by manufacturing.
[0036]
In the second aspect of the present invention, as described above, the industrial production of silica by the dry method is performed by silicon tetrachloride (SiCl). Four ) Is often used. The second method of the present invention is a fine powdery silica having silanol groups produced by flowing hydrogen and oxygen at high temperature to form water and simultaneously contacting and hydrolyzing the formed water with silicon tetrachloride. (Dry process powder) is used as a starting material. In addition, the silica produced by this method has a limit to the shape of the primary particles because of the force to minimize the surface energy. In response, the primary particle shape of the silica used in the second of the present invention was defined as spherical.
[0037]
Although the manufacturing method of the nano composite transparent resin composition using such a silica is explained in full detail in the following and an Example, it is as follows schematically. First, the silica produced as described above is brought into contact with a resin monomer having a hydrogen-bonding functional group and an unsaturated double bond to modify the surface of the silica to produce a surface-modified silica composition. This modification is due to the formation of hydrogen bonds between both the silica and resin monomer materials. The presence and absence of strength and the degree of strength are determined using an infrared spectrophotometer to determine the absorption frequency of free hydroxyl groups and hydrogen-bonded hydroxyl groups. Observe and evaluate changes. Next, this surface-modified silica composition is added to a mixed solution composed of a matrix resin monomer, a polymerization initiator, and a solvent added as necessary, and subjected to a polymerization reaction at a predetermined temperature and time, to achieve the desired nano-particles. A composite transparent resin composition is obtained. In this case, the polymerization initiator and the solvent may be selected based on the type of the matrix resin monomer, but no solvent is required in the case of bulk polymerization. The silanol group-containing silica has thixotropic properties and is widely used in industrial fields such as adhesives and paints because of its properties. On the other hand, since the silanol group is hydrophilic, it needs to be hydrophobized in advance for application to the resin material according to the present invention, and various hydrophobizing techniques have been proposed. On the other hand, the surface-modified silica composition according to the present invention has a function of hydrophobizing the system in addition to the above-described hydrogen bondability and polymerizability. This eliminates the need for hydrophobization as a pretreatment of silica, and has an advantage that a cheaper surface-modified silica composition can be obtained from the non-use of chemicals and the reduction of processes.
[0038]
In the second method, the nanocomposite resin composition of the present invention is produced using water-dispersed or organic solvent-dispersed colloidal silica produced by a wet production method. Therefore, the third aspect of the present invention is that a colloidal silica solution having a silanol group whose primary particle shape is spherical or chain-like, has an absorption peak of free hydroxyl group (—OH) of the silanol group possessed by silica of 330 to 450 cm. -1 A surface-modified silica composition is obtained by modifying the surface with an amphiphilic resin monomer having a hydrogen-bonding functional group and an unsaturated double bond group that shifts to a low wavenumber side, and then the surface-modified silica composition Are mixed in a mixed solution containing a matrix resin monomer and a polymerization initiator and / or a solvent, and the resin monomer of the surface-modified silica composition and the matrix resin monomer of the mixed solution are polymerized to form a nanocomposite. It is a manufacturing method of the nano composite resin composition of this invention characterized by manufacturing a resin composition.
[0039]
In the third aspect of the present invention, as described above, the industrial production of silica by a wet method is performed by using sodium silicate (water glass (SiO 2 2 ) n ・ Na 2 Often, the hydrolysis method of O) is employed. That is, in the third method of the present invention, water is added to sodium silicate to form polysilicic acid, then heated under alkali to form a lattice, and then concentrated to obtain water-dispersed colloidal silica. The silica thus obtained is an alkaline water-dispersed silica composition having a silanol group having a pH of 9 to 10.5. This silica composition is mainly used as a starting material. At this time, if the alkaline water-dispersed silica composition obtained as described above is removed by ion exchange, Na2 having a pH of 2 to 4 is used. An acidic water-dispersed silica composition having a group can be obtained, or an organic solvent-dispersed silica composition can be obtained by replacing the solvent. These are all sold as products, and are the silica (wet process powder) of interest according to the present invention. As described above, this wet-processed silica has a spherical shape and a chain shape. In this case, the former average primary particle size is 10 to 20 nm, and the latter average primary particle size is 10 to 20 nm. The length is 40 to 50 nm. Since the treatment is performed in a solvent, there is no aggregation between particles, and silica is dispersed in the solvent in a stable state.
[0040]
Although the manufacturing method of the nano composite transparent resin composition using such a silica is explained in full detail in the following and an Example, it is as follows schematically. First, colloidal silica is contacted with a resin monomer having a hydrogen bonding functional group and an unsaturated double bond to modify the surface of the silica, and then dried to obtain a fine powdery surface modified silica composition. . Here, the resin monomer used is the same as the resin monomer described in the first aspect of the invention, but is an amphiphilic resin monomer having both a hydrophilic group and a hydrophilic group. Specific examples of such amphiphilic resin monomers include acrylic acid, methacrylic acid, dimethylaminoethyl acrylate, 2-hydroxyethyl acrylate, acrylamide, and 2-acrylamido-2-methylpropane sulfonic acid. . In this case, the amphiphilic resin monomer may be used alone or in the form of a mixture of two or more. In addition, an organic solvent such as toluene is added to the water-dispersed colloidal silica in advance, then an amphiphilic resin monomer is blended to form a surface-modified silica composition, and water is removed to disperse the organic solvent. A surface-modified silica composition of the mold may be used. This modification is due to the formation of hydrogen bonds between both silica and resin monomer materials, as in the case of the dry milling, and the presence or absence and the degree of strength are determined using an infrared spectrophotometer and hydrogen bonds with free hydroxyl groups. The change in the absorption frequency of the ionic hydroxyl group is observed and evaluated. Next, this surface-modified silica composition is added to a mixed solution composed of a matrix resin monomer, a polymerization initiator, and a solvent added as necessary, and subjected to a polymerization reaction at a predetermined temperature and time, to achieve the desired nano-particles. A composite transparent resin composition is obtained. In this case, the polymerization initiator and the solvent may be selected based on the type of the matrix resin monomer, but no solvent is required in the case of bulk polymerization.
[0041]
In addition, although it is the same as that of the said 3rd of this invention, the silanol group containing silica has thixotropic property, and is widely utilized in industrial fields, such as an adhesive agent and a coating material, from the characteristic. On the other hand, since the silanol group is hydrophilic, it needs to be hydrophobized in advance for application to the resin material according to the present invention, and various hydrophobizing techniques have been proposed. On the other hand, the surface-modified silica composition according to the present invention has a function of hydrophobizing the system in addition to the above-described hydrogen bondability and polymerizability. This eliminates the need for hydrophobization as a pretreatment of silica, and has an advantage that a cheaper surface-modified silica composition can be obtained from the non-use of chemicals and the reduction of processes.
[0042]
Hereafter, the manufacturing method of the surface modification silica composition by this invention is explained in full detail.
[0043]
The method for producing the surface-modified silica composition according to the present invention is not particularly limited, and known silica surface modification methods can be used. For example, the surface-modified silica composition is produced by treating silica having silanol groups with a specific resin monomer as described above as a modifier.
[0044]
That is, as a method for modifying silica with a resin monomer, a so-called liquid phase method in which silica is dispersed in a solvent such as cyclohexane and then a resin monomer as a modifier is added and refluxed is performed. it can. After the reaction is complete, the product is washed with cyclohexane. At this time, as a solvent for dispersing the fine particle silica, paraffinic hydrocarbons such as pentane, hexane, heptane and octane; cycloparaffinic hydrocarbons such as cyclobutane, cyclopentane and cyclohexane; ketone carbonization such as methyl ethyl ketone and acetone Hydrogen; aromatic hydrocarbons such as toluene, xylene, benzene and the like. Silica is adjusted to a concentration of 10 to 45% by mass in the solvent. The modification conditions are not particularly limited, and vary depending on the type and concentration of the resin monomer. The infrared absorption peak of the free hydroxyl group (—OH) of the silanol group possessed by silica is 330 to 450 cm. -1 Any condition that shifts to the lower wavenumber side may be used. For example, the preferable reforming temperature is 40 to 200 ° C., and the reflux time is 0.5 hours or more.
[0045]
Such modification is a so-called gas phase method in which silica is heated in a vacuum line to remove adsorbed water, and then the vapor of the resin monomer as a modifier is introduced and heated at 200 to 300 ° C. Can also be done. The modification conditions are not particularly limited, and vary depending on the type and concentration of the resin monomer. The infrared absorption peak of the free hydroxyl group (—OH) of the silanol group possessed by silica is 330 to 450 cm. -1 Any condition that shifts to the lower wavenumber side may be used. In addition, when the silica before modification | reformation is the colloidal form disperse | distributed to water, in order to avoid the reactivity with water, it is necessary to substitute water with organic solvents, such as methyl ethyl ketone. Such a dehydration method is disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 2000-44226.
[0046]
The shape of the surface-modified silica composition according to the present invention in which the silica surface is modified as described above is not particularly limited, and is not limited to general particles, spheres, and substantially spheres, but also chains, cuboids, and plates. Shape, linear shape like a fiber, branched branched shape, and the like can be used, but it is preferably in the form of particles, particularly spherical or chain. The particle diameter of the surface-modified silica composition according to the present invention is not particularly limited as long as the particle diameter is such that the surface-modified silica composition can be uniformly dispersed in the matrix resin monomer. In consideration of obtaining a nanocomposite transparent resin composition having a high expansion coefficient and high transparency, it is desirable to use silica having a particle size as small as possible. More desirably, a surface-modified silica composition having an average primary particle size of 380 nm or less, particularly preferably 5 to 100 nm, which is a visible light wavelength (380 to 770 nm) can be used. By setting the average primary particle size to 380 nm or less, it is possible to ensure the transparency of the resin composition in which this is blended. In addition, the thing with an average primary particle diameter of 5-100 nm is excellent at the point of ensuring transparency. In the present specification, the “average primary particle diameter” refers to the average value of the length of the longest portion of the linear distance of the silica composition.
[0047]
Next, a method for producing a nanocomposite resin composition from the surface-modified silica composition and the matrix resin monomer according to the present invention will be described in detail. That is, in the present invention, such a surface-modified silica composition is further blended with a matrix resin monomer, and is alone with a resin monomer having an unsaturated double bond group present on the surface layer of the surface-modified silica composition. Polymerized or copolymerized.
[0048]
In the present invention, the compounding amount of the surface-modified silica composition is required to be in the range of 3 to 100 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the base resin monomer. This is because by limiting the blending amount of the silica composition to a specific range, strength such as rigidity and impact resistance can be secured and the thermal expansion coefficient can be reduced. As the blending amount of the silica composition increases, the proportion of hydrogen bonds increases, and the strength of the composite resin material increases and the coefficient of thermal expansion decreases accordingly. However, the blending amount with respect to 100 parts by weight of the base resin monomer is 100 parts by weight. Even if it exceeds the range, there is little further improvement in characteristics, and on the contrary, the transparency is lowered, and the specific gravity is increased to increase the mass of the member. Therefore, the amount of the surface-modified silica composition is desirably 100 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the base resin monomer. On the other hand, if the blending amount relative to 100 parts by weight of the base resin monomer is 3 parts by weight or more, although the effect of reducing the linear expansion coefficient is low, the strength of the composite resin material is improved and the effect is recognized. If it is less than the part, the effect of reducing the coefficient of thermal expansion is low, the strength of the nanocomposite resin composition and the function of reducing the coefficient of thermal expansion are inferior, and there may be no difference from the transparent resin material without addition of silica. . The improvement in strength of the nanocomposite transparent resin composition is recognized when the amount of the silica composition is 3 parts by mass or more, and when it is 40 parts by mass or less, all of the predetermined functions can be secured and the increase in weight is minimized. It can be held to the limit. From these, it is more desirable that the compounding amount of the surface-modified silica composition is 3 to 40 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the base resin monomer.
[0049]
The matrix resin monomer used in the present invention is not particularly limited as long as it can be homopolymerized or copolymerized with a resin monomer having an unsaturated double bond group present in the surface layer of the surface-modified silica composition. The monomer can be used. Specifically, alkylene such as ethylene, propylene and butylene; aromatic hydrocarbon such as styrene, orthomethyl styrene, metamethyl styrene, paramethyl styrene and α-methyl styrene; vinyl such as vinyl chloride, vinylidene chloride and vinyl alcohol Monomer, fluorine monomer such as tetrafluoroethylene, and (meth) acrylic acid monomer. Among these, considering the polymerizability with the resin monomer having an unsaturated double bond group present on the surface layer of the surface-modified silica composition, ethylene, propylene, styrene, vinyl chloride, vinylidene chloride, vinyl alcohol, tetrafluoro Fluorine monomers such as ethylene and (meth) acrylic acid monomers are preferably used. At this time, the base resin monomer may be used alone or in the form of a mixture of two or more.
[0050]
Of the above matrix resin monomers, it is particularly preferable to use a (meth) acrylic acid-based monomer having good weather resistance in addition to transparency for members that are frequently used outdoors such as automobile window glass. The (meth) acrylic acid monomers are roughly classified into functional monomers and non-functional monomers. Among these, specific examples of the functional monomer include acrylic acid and methacrylic acid having a carboxyl group, hydroxylethyl methacrylate and hydroxypropyl methacrylate having a hydroxyl group, and acrylic amide having an amide group. Examples of those having a glycidyl group include glycidyl acrylate, glycidyl methacrylate, dimethylaminoethyl methacrylate, and tert-butylaminoethyl methacrylate. Furthermore, specific examples of non-functional monomers include methyl methacrylate, ethyl methacrylate, normal butyl methacrylate and isobutyl methacrylate, which are classified as hard monomers, and positive hexyl methacrylate, methacrylic acid, which are classified as soft monomers. Examples include lauryl, methyl acrylate, ethyl acrylate, normal butyl acrylate, isobutyl acrylate, and 2-ethylhexyl acrylate. These monomers can be used as a base resin monomer alone or as a mixture of two or more. In the present invention, when the silica-modifying resin monomer and the matrix resin monomer are the same, a homopolymer nanocomposite resin composition is formed. Become.
[0051]
In the present invention, the nanocomposite resin composition is a surface-modified silica composition in which the silica surface is modified through hydrogen bonding between the silanol group of silica and the hydrogen bonding functional group of the resin monomer as described above. Once formed, the surface modified silica composition is blended into the matrix resin monomer and prepared by polymerizing the resin monomer on the silica surface and the matrix resin monomer. At this time, the surface-modified silica composition may be directly mixed with the matrix resin monomer, the polymerization initiator, and, if necessary, a solvent, or may be mixed in the form of a solution after being previously dissolved in another solvent. Also good. In the latter case, other solvents that can be used include paraffinic hydrocarbons such as pentane, hexane, heptane, and octane; cycloparaffinic hydrocarbons such as cyclobutane, cyclopentane, and cyclohexane; methyl ethyl ketone, toluene, xylene, and acetone. And aromatic hydrocarbons such as benzene. Further, the concentration of the surface-modified silica composition in the solution at this time is not particularly limited, but is preferably 10 to 45% by mass from the viewpoint of uniformity of mixing and operability.
[0052]
In the present invention, the solvent constituting the mixed solution is appropriately selected depending on the kind of the base resin monomer and the surface-modified silica composition used. For example, when methyl methacrylate is used as the main matrix resin monomer, aromatic or ketone organic solvents such as acetone, aniline, xylene, ethyl acetate, methyl acetate, butyl acetate, toluene and methyl ethyl ketone are used. It can be preferably used. The amount of the solvent is not particularly limited, but is such an amount that the concentration of the base resin monomer in the solvent is 10 to 40% by mass from the viewpoint of the uniformity of the mixed solution and the operability of the sonication or polymerization reaction. It is preferable. In the present invention, the solvent is removed after the polymerization reaction of the resin monomer, whereby the nanocomposite transparent resin composition of the present invention can be prepared. Examples of the coagulation solvent include alcohols such as ethanol, methanol, and butanol, and hexane. The blending amount is preferably 10 to 300 parts by mass, more preferably 100 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the solution after the polymerization reaction. Is 50 to 100 parts by mass.
[0053]
In the nanocomposite resin composition of the present invention, various additives such as an antistatic agent, an antioxidant, a heat stabilizer, an ultraviolet absorber, an antioxidant, an energy are added to the extent that the transparency is not hindered as necessary. You may add a quencher, a flame retardant, a pigment, a coloring agent, etc.
[0054]
Since the nanocomposite resin composition of the present invention has the characteristics of high strength, low coefficient of thermal expansion, and high transparency depending on the type of resin monomer and matrix resin monomer used, these functions are provided. Suitable for required parts, for example, transparent covers used in automobiles, home appliances and houses such as transparent covers for instrument panels for interior materials, and window glass, headlamps, sunroofs, and combination lamp covers for exterior materials. Suitable for materials and equipment. In particular, the nanocomposite resin composition of the present invention is a resin window (in particular, a resin window with a heat ray) as an alternative to inorganic glass that requires weight reduction and flexibility in molding; Resin wiper system; Resin door mirror stay; Resin pillar; Resin molded body; Resin mirror; Resin lamp reflector; Resin engine compartment cover and case; Resin cooling device parts; Resin molded body having a hollow structure and / or a sealed hollow structure; an integrally molded part in which two or more different functions are imparted to one part; a molded body having a movable part and a non-movable part; and hydrocarbon The effect can be effectively exhibited by a component or container for storing the system fuel.
[0055]
That is, claims 7 to 33, 36, 37, and 38 relate to the use of the nanocomposite resin composition according to the present invention.
[0056]
Hereinafter, the use of the nanocomposite resin composition according to the present invention will be described in detail.
[0057]
A fourth aspect of the present invention is a vehicle interior / exterior component molded body and vehicle exterior plate using the above-described nanocomposite resin composition of the present invention.
[0058]
Since the resin composition of the present invention has high rigidity and high heat resistance, and is excellent in dimensional stability and transparency during heating / molding, it is suitable for use in molded articles for interior and exterior parts for vehicles and exterior panels for vehicles. Is preferred. For example, as shown in FIG. 1, such as door molding 1,
[0059]
A fifth aspect of the present invention is a resin wiper system, a resin door mirror stay, and a resin pillar characterized by comprising the nanocomposite resin composition of the present invention. The nanocomposite resin composition of the present invention has high rigidity and high heat resistance, and is excellent in dimensional stability during heating / molding and transparency, so that it can be used in a field of view such as a wiper system, door mirror stay, pillar, etc. It is suitable for applications of parts that require improvement.
[0060]
The conventional wiper system is composed of black-painted steel and black rubber, and has a problem that visibility is hindered during low-speed operation. Further, the conventional door mirror stay is made of a resin having the same color as the outer plate or a black paint finish, and there is a problem that the visibility at the time of turning left and right is hindered. Further, the conventional pillars are made of steel, and the front pillars and center pillars have a problem that their visibility is hindered during normal driving and turning left and right, and the rear pillars are obstructed when moving backward and checking backwards. Visibility is improved if a transparent resin material can be used for these parts, but high rigidity, heat resistance, and dimensional stability at the time of heating / molding are also required, so that it has been difficult to realize with conventional transparent resin materials. On the other hand, these problems can be solved by using the nanocomposite resin composition having high rigidity, low thermal expansion coefficient and low thermal shrinkage ratio of the present invention as the transparent material as described above, and the transparent component described above It turned out to be obtained. In addition, the transparency of these parts is expected to contribute not only to improved visibility but also to improved design.
[0061]
One embodiment of the wiper system of the present invention is schematically shown in FIG. As shown in FIG. 3, the
[0062]
In the present invention, the wiper system, door mirror stay, and pillar may use only the nanocomposite resin composition of the present invention as a transparent material. For example, the resin composition of the present invention is laminated with another resin material. It can also be configured as a multilayer stack. Such a multilayer laminate only needs to contain at least one layer composed of the resin composition of the present invention, preferably the outermost surface layer and the lowermost layer of the laminate are composed of the resin composition of the present invention, and more preferably The intermediate layer is also provided with the resin composition layer. Thus, by setting it as a multilayer laminated body, it becomes possible to provide other additional functions other than the resin composition of this invention. As the thickness of each layer when using a multilayer laminate, an optimum thickness can be selected from the thickness of the final molded product and the number of laminated layers. Other resins in the case of such a multilayer laminate include polycarbonate, polystyrene, and styrene / methyl methacrylate copolymer. Moreover, the manufacturing method and structure of the wiper system, door mirror stay and pillar using the resin composition of the present invention and the multilayer laminate are not particularly limited, and each may be a single part or used as a door mirror stay or pillar. In this case, the door mirror stay and the front pillar, or each pillar and the resin roof panel can be integrally formed by, for example, a method for manufacturing the integrally formed body described later.
[0063]
6th of this invention is a resin molding which has a transparent part and an opaque part, Comprising: At least a transparent part contains the resin composition of this invention, It is a resin molding characterized by the above-mentioned. The nanocomposite resin composition of the present invention has high rigidity and high heat resistance, and has excellent dimensional stability during heating / molding, chemical resistance, and transparency, and thus has a transparent part and an opaque part. It can be used suitably also for the use of the resin molding which formed these integrally. Such a resin molded body will be described by taking an automobile part as an example.
[0064]
In automobiles, transparent parts such as various lamps, covers and glass, and opaque parts such as outer plates and various interior parts are mixed. These parts are required to have various different characteristics such as transparency, rigidity, heat resistance, low linear expansion rate, low molding shrinkage rate, chemical resistance, etc. Integration with other parts was difficult. However, since the resin composition of the present invention can be easily molded by injection molding, vacuum pressure molding or the like, using the resin composition of the present invention as a transparent material, high rigidity, high heat resistance, low linear expansion coefficient, A transparent part and an opaque part can be integrally molded while ensuring a low molding shrinkage rate and high chemical resistance, and the number of parts and the number of processes can be reduced, and the weight of parts can be reduced. Further, by integrally forming the transparent portion and the opaque portion, the contour line that has been conventionally divided can be formed by one continuous line, so that the appearance of the component can be improved. More specifically, a headlamp that requires transparency is in contact with other opaque parts such as a bumper, a front grille, a fender, and a hood around the headlamp. If these are integrally molded, the number of parts can be reduced, and the integrated parts can be assembled, so that the number of processes during assembly can also be reduced. In particular, since the resin composition of the present invention is excellent in heat resistance, there is no problem that the heat source of the lamp is close and the resin melts. Conventional headlamps are made of polycarbonate resin and thus have low light resistance. When exposed to sunlight, they turn yellow and require a surface coating. However, such a problem is solved when the resin composition of the present invention is used.
[0065]
It does not restrict | limit especially as a manufacturing method of such a resin molding. For example, there is a glass for automobiles that requires transparency, and it is called side glass attached to a door, back door glass, rear water glass bonded to a rear fender and a roof, rear glass, and the like. By using the resin composition of the present invention, an integrally molded part of these and glass can be obtained. For example, side glass and back door glass have a structure in which glass is disposed between a door outer and a door inner. A door outer and a door inner are formed in advance using a door outer and a door inner, and the resin composition of the present invention is poured into the hollow portion, whereby the door outer, the door inner and the glass can be integrally formed. Similarly, the pillar garnish and the reactive water glass can be integrated. Although the resin molded body of the present invention is shown in FIG. 4, it is not limited to the resin molded body in which the pillar garnish and the reactor glass are integrated, but the lamp / hood / fender integrated resin molded
[0066]
In addition, for example, there is an instrument panel as an interior material for automobiles. Conventionally, instruments, their transparent covers, and cluster lids are made of separate parts. However, since the transparent resin portion and the opaque resin portion can be integrally molded by using the resin composition of the present invention, the
[0067]
In addition, the resin composition of the present invention can be used to form a member having high strength and high rigidity in which a part of the resin molded body is a transparent part and the other part is opaque. For example, when the resin composition of the present invention is used for a part of the roof, the part can be made transparent, and a transparent roof can be obtained without providing a glass sunroof. In the resin molded body, the opaque portion may be colored.
[0068]
In the resin molded body having a transparent part and an opaque part in the present invention, in order to obtain a resin molded body having a colored opaque part, a method using a colored raw resin, a method of coloring by coating or printing on an opaque part, or There is a method of using a colored sheet as an opaque resin.
[0069]
As a method of preparing the colored raw material resin, in addition to a method in which the pigment is dispersed in advance in the raw material resin, the raw material resin pellet and the pigment pellet are simultaneously melted and kneaded and injected into a mold using an injection molding machine. There is a method for obtaining a colored resin. In order to produce the resin molded body of the present invention using the colored resin, the mold is subsequently opened or a molten resin passage is newly formed, and a transparent molten resin is formed in the mold cavity using another cylinder. Can be injected. Thereby, a resin molded body having a transparent portion and a colored opaque portion can be produced. Either the opaque resin or the transparent resin may be injected first.
[0070]
In order to form an opaque portion colored by painting or printing, a transparent resin is previously melted to form a desired resin molded body, and then painted or printed from the front or back surface of the resin molded body to be colored and opaque. It is a method to ensure. It is also possible to perform coating or printing before shaping the molten resin, and then shaping.
[0071]
When using colored sheets as opaque resin, pre-colored opaque sheet is pre-shaped and placed in the mold, then molten transparent resin is injected into the mold, and the resin is cooled and solidified. Then, if it is taken out from the mold, the resin molded body of the present invention can be obtained.
[0072]
Further, according to the above method, for example, as a roof / fender / glass integrated resin molded body, the glass portion is not limited to a resin molded body having a transparent portion and the roof and the fender are opaque. The part may be a transparent part, and the fender, the glass, and the remaining part of the roof may be an opaque resin molded body.
[0073]
Furthermore, the resin molded body in which the transparent portion and the opaque portion of the present invention are integrally molded can be constituted by the resin composition of the present invention and a pigment, but a multilayer in which the resin composition of the present invention and another resin are laminated. It is also possible to form a laminate. Such a multilayer laminate may contain at least one layer composed of the resin composition of the present invention, preferably the outermost layer and the lowermost layer of the laminate, and more preferably the resin composition layer also in the intermediate layer. Can be provided. Thus, by setting it as a multilayer laminated body, it becomes possible to provide the additional function which cannot be expressed only with the resin composition of this invention. In addition, the kind of other resin which comprises a multilayer, and the thickness of each layer can be suitably selected according to the use of a resin molding.
[0074]
A seventh aspect of the present invention is a resin window with heat rays, a resin mirror, a resin lamp reflector, a resin engine room inner cover and case, and a resin cooling device, comprising the resin composition of the present invention. It is a part.
[0075]
The resin composition of the present invention has high rigidity and high heat resistance, and is excellent in dimensional stability during heating / molding, chemical resistance, and transparency. For example, a resin window, a resin mirror, a lamp reflector, It is suitable for the use of parts such as engine room covers and cases, and the number of parts, the number of processes, and the weight can be reduced. Furthermore, by using the resin composition of the present invention as a transparent material, it becomes possible to substitute materials for parts that require transparency, and antifogging properties and visibility are improved. For example, resin windows such as the
[0076]
Further, when the resin side mirror 64 (see FIG. 6) is manufactured using the transparent resin of the present invention, the weight can be reduced as compared with the case of using the conventional glass or transparent resin. It is also possible to add a fogging function. In addition to the side mirror shown in FIG. 6, the present invention can be applied to a room mirror in a vehicle interior.
[0077]
FIG. 7 shows a cross-sectional view of the automobile lamp. A
[0078]
In addition, the resin composition of the present invention can be used for engine room covers and cases. The inside of the engine room is shown in FIGS. Since the resin composition of the present invention is excellent in transparency, heat resistance, chemical resistance, and rigidity, it can be used in an engine room having severe temperature conditions and can be a lightweight part. Examples of such parts include a
[0079]
Since the resin composition of the present invention can be made into a lighter component having excellent heat resistance, chemical resistance, and rigidity and strength, it is suitable for use in components used in contact with cooling water in an automobile engine room. used. Such resin cooling device parts are shown in FIGS. For example, a
[0080]
In addition, although each said component of this invention can be comprised only with the resin composition of this invention, it is also possible to comprise with the multilayer laminated body which laminated | stacked the resin composition of this invention with the other resin material, for example. Such a multilayer laminate may contain at least one layer composed of the resin composition of the present invention, preferably the outermost layer and the lowermost layer of the laminate, and more preferably the resin composition layer also in the intermediate layer. Can be provided. By using a multilayer laminate, it is possible to impart additional functions that cannot be expressed only by the resin composition of the present invention. In addition, the kind of other resin which comprises each layer, the thickness of each layer, etc. can be suitably selected according to the intended purpose.
[0081]
According to an eighth aspect of the present invention, there is provided a resin integrated molded body comprising a hollow structure communicating with the atmosphere and / or a sealed hollow structure, comprising the resin composition. As described above, the resin composition of the present invention has high rigidity, high heat resistance, and excellent dimensional stability during heating / molding, and thus has a hollow structure such as a door, roof, hood, etc. Suitable for parts application. Preferred examples of the resin integrated molded body of the present invention include an automobile outer plate and interior / exterior parts. At this time, many automobile outer plates and interior / exterior components are made of a steel plate and a resin panel and have a hollow structure in which an auxiliary machine or the like is mounted inside the component. For example, the side door and the back door have a hollow structure made of steel plates on the outside and inside, a resin panel is attached to the inner steel plate in the assembly process after painting, and various auxiliary machines are attached in the hollow structure. In addition, the roof, hood, trunk lid, back door, etc. are made of steel plates for the outer plate and the reinforced rain hose, and the resin parts are attached to the inside after painting. Since these parts having a hollow structure are large and require rigidity and dimensional stability, it has been difficult to perform integral molding with conventional resin materials. However, when the resin composition of the present invention having high rigidity, low thermal expansion coefficient, and low thermal shrinkage ratio is used, integral molding becomes possible, and the number of parts, the number of processes, and the weight of these parts can be reduced.
[0082]
The resin integrated molded body of the present invention can be composed of only the resin composition of the present invention, but it can also be composed of, for example, a multilayer laminate obtained by laminating the resin composition of the present invention with other resin materials. Such a multilayer laminate may contain at least one layer composed of the resin composition of the present invention, preferably the outermost layer and the lowermost layer of the laminate, and more preferably the resin composition layer also in the intermediate layer. Can be provided. By using a multilayer laminate, it is possible to impart additional functions that cannot be expressed only by the resin composition of the present invention. The kind of other resin constituting the multilayer laminate, the thickness of each layer, and the like can be appropriately selected according to the purpose of use. In addition, the thermoplastic resin laminated body of this invention can also be used as such a multilayer laminated body.
[0083]
Since the resin-integrated molded body of the present invention can be provided with a decorative layer such as a skin material and a design printing layer on the outermost surface layer, the design property, touch feeling, and texture can be improved and the productability can be improved. It is preferable that the outermost layer is made of a decorative material. For example, a molded body provided with a skin material such as a raised sheet, an embossed pattern sheet, a laser pattern sheet, and a woodgrain sheet on the outermost surface layer can be used for a roof interior side, a pillar garnish, an instrument panel, and the like. When the above multilayer laminate is used, the design print layer may be provided in the intermediate layer, and glossiness and depth can be enhanced by using a transparent material for the surface layer.
[0084]
In the integrally molded body having a hollow structure of the present invention, the hollow structure is preferably filled and sealed with a gas, a liquid, a solid, or a mixture thereof. This is because the heat insulation performance and sound insulation performance can be improved. The material to be filled and sealed is not particularly limited, and known filling and sealing materials can be used. For example, when transparency is required, a gas such as nitrogen, argon, carbon dioxide, or air is preferable. In the case where transparency is not required, paraffin, wax, or the like that exhibits a liquid state by heating at the time of encapsulation and becomes solid at room temperature after encapsulation is preferable in addition to the gas described above. With the above-mentioned encapsulating material, it is possible to maintain a comfortable vehicle interior environment by suppressing the escape of cold heat and intrusion of high temperature outside air in the summer and suppressing the escape of heat and air intrusion in the winter. Moreover, the structure having a hollow portion with a double wall can reduce or absorb noise energy from the outside and achieve a quiet vehicle interior environment. Moreover, the radiated sound and radiant heat from an engine room can be reduced by applying the resin integrated molding of this invention to a hood.
[0085]
The production method of the integrally molded body having a hollow structure of the present invention is not particularly limited, and a known method can be applied. For example, a general vacuum pressure forming method, injection molding method, blow molding method, press molding method, etc. Further, for example, the following method is preferably used.
[0086]
As a first method, two resin sheets made of the resin composition of the present invention are fixed to a holder having a pressurized fluid introduction path, and the holder is sealed by a known method between the two sheets. A sealed space is formed. Each sheet is heated above the deflection temperature under load and inserted into an open mold, and then the outer periphery of the softened sheet is pressed and welded with the mold. At this time, before or after welding the outer peripheral part, or after welding, preferably before or after welding, a pressurized fluid is injected into the sealed space between the two sheets to expand the sheet / Alternatively, after expansion, the mold is closed and the pressurized fluid pressure is maintained until the molded body cools, thereby forming a hollow structure. Preferably, a mold having a vacuum hole is used, and vacuum suction is used together with the sheet expansion to enhance the adhesion between the mold surface and the sheet. By using vacuum suction, the transferability of the obtained integrally molded body can be improved. That is, the ninth aspect of the present invention is to heat two resin sheets comprising the resin composition of the present invention, insert them into an open mold, press the outer peripheral portion of the sheet, and weld the outer peripheral portion. Resin of the present invention that injects pressurized fluid between sheets before or after welding and expands / or expands the sheet, then closes the mold and maintains the pressurized fluid pressure to form a hollow structure It is a manufacturing method of an integrally molded object.
[0087]
As a second method, the molten resin composition of the present invention is filled in a closed mold or is filled, and then the mold is retracted to pressurize the molten resin while expanding the cavity volume. In this method, a fluid is injected to form a hollow structure. That is, according to the tenth aspect of the present invention, a filled fluid is injected into the molten resin while filling the molten resin composition in the closed mold and / or after filling, and the cavity volume is expanded. It is a manufacturing method of the resin integrated molding of the present invention which forms a structure.
[0088]
As a third method, a single resin sheet made of the resin composition of the present invention is inserted into the cavity surface of one side of the mold, and the mold volume is retracted while filling the molten resin on the back surface or after filling. A method in which a pressurized fluid is injected into the molten resin while expanding to form a hollow structure, or two resin sheets are used to insert a sheet into the cavity surface on both sides of the mold, and the molten resin is filled between the sheets to fill the cavity volume. And a pressurized fluid is injected to form a hollow structure. That is, in the eleventh aspect of the present invention, one or two resin sheets containing the resin composition of the present invention are inserted into the open mold cavity surface, and the mold is closed between the two sheets. Alternatively, a method for producing a resin-integrated molded article of the present invention, wherein a hollow structure is formed by injecting a pressurized fluid into the molten resin while filling the back surface of the sheet with the molten resin or after filling the molten resin. Is to provide.
[0089]
In the above aspect, the type of resin filled in the sheet is not particularly limited as long as it is a resin that is in close contact with the sheet made of the resin composition of the present invention, A resin or one having an SP value close to that of the resin is used. Examples of such a filling resin include polycarbonate resin, styrene resin, poly-4-methylpentene-1, thermoplastic polyurethane resin, and the like, and it is particularly preferable to use polycarbonate resin. Here, the polycarbonate resin is a polymer derived from a divalent phenolic compound typified by bisphenol A, and may be produced by any of the phosgene method, the transesterification method, and the solid phase polymerization method. Furthermore, in addition to the conventional polycarbonate resin, a polycarbonate resin polymerized by a transesterification method may be used.
[0090]
In the present invention, the pressurized fluid is not particularly limited, and is selected from known pressurized fluids in consideration of the components of the resin sheet. For example, a gas such as air or nitrogen gas, or a liquid such as water or silicon oil is preferably used.
[0091]
Applicable parts of the resin integrated molded body having a hollow structure of the present invention include, for example, a
[0092]
The twelfth aspect of the present invention makes it possible to integrate two or more types of parts having different functions, comprising the resin composition of the present invention, and to give two or more types of different functions to one part. It is an integrally molded part. Here, the different functions include, for example, a display function such as an instrument panel, a ventilation function such as an air conditioner duct, and a fixing function such as a roof rail. The resin composition of the present invention has high rigidity and high heat resistance, and has various functions such as dimensional stability during heating / molding and chemical resistance. It can be applied, and by integrally molding these, two or more types of parts having different functions can be integrated to form an integrally molded part in which two or more types of functions are given to one part. This is suitable for integration of large parts, so-called modularization and integration (integration), and it is possible to reduce the number of parts, the number of processes and the weight while maintaining high quality.
[0093]
For example, the instrument panel shown in FIG. 14, which is a large interior component, is currently made separately from the
[0094]
FIG. 15 shows another example of the integrally molded part of the present invention. As shown in FIG. 15, when a
[0095]
In addition, taking a radiator core (FIG. 16), which is a large body part, as an example, a resin-made radiator core is currently appearing as a front-end module. However, by using the resin composition of the present invention, heat resistance and chemical resistance are further increased. Further, it is possible to obtain a lighter component having excellent rigidity and strength, and a fan shroud, a bracket and the like can be integrally formed. In the present invention, it is also possible to use the resin composition as a transparent material. In such a case, for example, a transparent member such as a radiator reservoir tank or a headlamp cover can be integrally formed. In addition, it is possible to integrate a bumper reinforcing material, which has conventionally been a separate body.
[0096]
In addition, when an air cleaner, a throttle chamber, or the like, which is a part in the engine room, is used as an example, the resin composition of the present invention having excellent heat resistance and chemical resistance and low linear expansion can be integrally formed. . Conventionally, such integration has been attempted, but the engine room is in a harsh environment due to high temperatures and chemicals such as oil, and this countermeasure is a problem with conventional resin materials. By using it, such a problem can be solved. The same effect can be obtained even when applied to an intake manifold or a cylinder head cover, and can be integrally formed with the aforementioned parts.
[0097]
The integrally molded part of the present invention can be composed of only the resin composition of the present invention, but can also be composed of a multilayer laminate in which the resin composition of the present invention is laminated with other resin materials. Such a multilayer laminate may contain at least one layer composed of the resin composition of the present invention, preferably the outermost layer and the lowermost layer of the laminate, and more preferably the resin composition layer also in the intermediate layer. Can be provided. By using a multilayer laminate, it is possible to impart additional functions that cannot be expressed only by the resin composition of the present invention. An example of such a multilayer laminate is the thermoplastic resin laminate.
[0098]
The resin composition of the present invention has high rigidity, high heat resistance, and excellent dimensional stability at the time of heating / molding. For example, for use in parts having a movable part and a non-movable part such as a throttle chamber. Is preferred. Accordingly, a thirteenth aspect of the present invention is a molded body having a movable part and a non-movable part comprising the resin composition of the present invention.
[0099]
Many parts having a movable part and a non-movable part are used in an intake / exhaust system part of an automobile and an air conditioner unit. These parts are mainly for controlling the flow of a gas such as air, and are cylindrical parts (molded bodies) as non-movable parts that serve as a flow path for gas, that is, to introduce a flowing gas. And a movable lid that can be opened and closed to control the gas flow, and includes, for example, a throttle chamber and doors in an air conditioner unit. Airtightness is important for these parts.
[0100]
When trying to mold the cylindrical part and lid part of these parts using conventional resin materials, the molding shrinkage rate and thermal expansion coefficient are large, so the dimensional accuracy cannot be increased and the airtightness of the opening and closing part is a problem. It was. In addition, particularly when applied to parts in the engine room, heat resistance is also required, which is also a problem. However, these problems can be solved by using the resin composition of the present invention having a low thermal expansion coefficient, a low thermal shrinkage ratio, and a high heat resistance, and a component having excellent airtightness can be obtained. In addition, since the resin composition of the present invention has high rigidity, the use of these resin compositions makes it possible to reduce the weight of the component and thereby improve the response.
[0101]
The manufacturing method of the molded body having the movable part and the non-movable part of the present invention is not particularly limited, and a known method can be used. The molded body having the movable part and the non-movable part of the present invention may be formed by separately molding the movable part and the non-movable part using, for example, an injection molding method, and then using a method of assembling them. It is preferable to integrally mold the movable part and the non-movable part by a method such as a two-color molding method. This is because airtightness is further improved and the number of processes and parts can be reduced. Taking the throttle chamber shown in FIG. 17 as an example, it can be manufactured by the following method, for example.
[0102]
The throttle chamber has a
[0103]
Since the resin composition of the present invention is excellent in the barrier property, gas barrier property, and chemical resistance of hydrocarbon fuel, it is a component or container for storing hydrocarbon fuel, a component or container for storing hydrocarbon fuel, for example, It is suitable for a series of fuel system parts for vehicles that contain hydrocarbon fuel such as a fuel tank, and household goods such as kerosene containers. Accordingly, a fourteenth aspect of the present invention is a component or container for housing a hydrocarbon fuel comprising the resin composition of the present invention.
[0104]
FIG. 18 shows a resin fuel tank in a vehicle such as an automobile, which is such a component or container. Gasoline, which is a hydrocarbon-based fuel, is injected and stored in the
[0105]
Here, the current state and problems of the fuel tank resinization will be described in detail. Conventionally, olefinic HDPE (high density polyethylene) has been used as a base material resin, and molding has been performed by a blowing method. Although there was no significant change in these materials and construction methods, the layer structure of the tank changed significantly. For example, it was initially a single-layer fuel tank, but with the enforcement of the hydrocarbon transpiration regulation law, multiple fuel tanks were forced to reduce hydrocarbon permeation. As a result, currently, the fuel tank is mainly a multi-layered tank composed of three types and five layers in which both ends of HDPE / PA (polyamide) or HDPE / EVOH (ethylene vinyl acetate copolymer) are composed of HDPE. The molding in this case is the same blow molding as the conventional one.
[0106]
In a single layer type fuel tank, a larger amount of hydrocarbon fuel permeates than the tank because of their good compatibility. The solubility parameter (SP value), which is a measure of compatibility, is 7.9 for HDPE and 6-8 for hydrocarbon fuels, and both are in the same region. On the other hand, the SP value of PA used in the multi-layer tank is 13.6, and the SP value with hydrocarbon-based fuel is wide, in other words, it is in a region where compatibility is poor. Thus, the PA material in the multilayer fuel tank is installed as a barrier layer that prevents the permeation of hydrocarbon fuel to the outside of the tank. Although the creation of the multilayer fuel tank has established a technique that satisfies the transpiration regulations of hydrocarbons, the molding process has become complicated, resulting in a significant increase in price. In addition to the above problems, the laminated structure of a plurality of resins has lost the smoothness of recycling, leaving a new issue that is difficult to meet the demands of an era of recycling society.
[0107]
On the other hand, since the surface-modified silica composition in the resin composition of the present invention has a silanol group, the SP value exceeds 11, which prevents permeation of hydrocarbon fuels corresponding to the aforementioned PA and EVOH. There is a function. The main component of the resin composition of the present invention is mainly a resin having an SP value of 11 or more having a polar group such as acrylic, and is not easily compatible with gasoline as a hydrocarbon-based fuel, in other words, compatible. Since it has a poor material structure, it is a more desirable material for the fuel tank. Therefore, by using the resin composition of the present invention, it is possible to provide a fuel tank for a vehicle that satisfies the regulations for the transpiration of hydrocarbons even in a single layer type. This makes it possible to reduce the manufacturing cost, which is a problem, and to meet social demands for recycling. At this time, the resin composition of the present invention can be formed into a vehicle fuel tank by blow molding, as in the conventional case, whether it is a single layer type or a multilayer type if necessary.
[0108]
Although the effect is slightly lower than that of a fuel tank for vehicles, the resin composition of the present invention can also be used for household items such as kerosene containers. This reduces the transpiration of kerosene into the atmosphere and can contribute to the preservation of the global environment.
[0109]
As described above, in the present invention, it is also possible to obtain a component having a desired color tone by kneading a colorant such as a pigment into the nanocomposite resin composition or inserting a colored layer. For this reason, in addition to the automobiles described above, appearance quality such as aesthetics, smoothness, and transparency is required, and applications that require high rigidity and surface scratch resistance, such as building exterior materials, interior materials, and railway vehicles. It can also be used for interior materials.
[0110]
As described above in detail as a method for producing various members including such vehicle parts and building interior materials, injection molding, vacuum / pressure forming, etc. may be appropriately selected according to the parts and applications. The general glass fiber reinforced resin is broken by repeated shear stress, so the physical properties are gradually lowered and the recyclability is low. However, the nanocomposite resin composition of the present invention has the above surface-modified silica composition. Since a material is used, it is difficult to receive a shear stress and a decrease in physical properties can be suppressed.
[0111]
【Example】
Hereinafter, examples of the present invention will be described in detail. The present invention is not limited thereby. In addition, various evaluation in an Example and a comparative example is the following method, and unless otherwise specified, "part" shows a mass part and "%" shows the mass%.
[0112]
(Evaluation method of nano composite resin composition)
(1) The state of hydrogen bonding was measured with an infrared spectrophotometer (FT-IR620 manufactured by JASCO Corporation).
[0113]
(2) The total light transmittance was measured with a haze meter (HM-65 manufactured by Murakami Color Research Laboratory). More than 75% was accepted.
[0114]
(3) The dispersion state of silica was observed with a transmission electron microscope (H-800, manufactured by Hitachi, Ltd.).
[0115]
(4) The bending strength and elastic modulus were measured with an autograph (DCS-10T manufactured by Shimadzu Corporation). A bending strength of 130 MPa or more was accepted, and a bending elastic modulus of 3 GPa or more was accepted.
[0116]
(5) The linear expansion coefficient was measured with a thermomechanical measurement device (TMA120C manufactured by Seiko Electronics Industry Co., Ltd.). Linear expansion coefficient 6 ×] 10 -Five / ° C. or less was regarded as acceptable.
[0117]
Example 1: Nanocomposite resin composition I using dry process powder
Step I: Production of surface modified A silica composition
20 parts of fine particle silica (Aerosil # 90G, manufactured by Nippon Aerosil Co., Ltd.) having an average primary particle size of 20 nm was placed in a three-necked flask in a constant temperature state of 80 ° C. immersed in a constant temperature water bath. In addition, when the infrared absorption characteristic of the said Aerosil # 90G was measured, the absorption peak wave number of the free hydroxyl group (-OH) concerning a silanol group is 3740 cm. -1 Met. Next, 10 parts of acrylic acid as a resin monomer is placed in the other connected three-necked flask, heated to 80 ° C., and after reaching the set temperature, the open / close cock between both flasks is opened, and acrylic acid vapor is added. Was introduced into a silica flask, and then the cock was closed to seal the system. After 1 hour, the deaeration cock was opened to remove the vapor of unreacted acrylic acid to obtain a surface-modified silica composition whose surface was modified with an acrylic acid monomer (hereinafter referred to as A silica composition).
[0118]
The color of the A-silica composition thus obtained was white, and no change in the color tone on the appearance before and after the treatment was observed. Moreover, when the infrared absorption characteristic was measured about the A silica composition, it was 3740 cm related to the silanol group of silica. -1 The free hydroxyl absorption peak disappeared and a new wave number of 3311 cm -1 An absorption peak of a hydroxyl group (—OH) due to hydrogen bonding appeared. This is considered to be because a hydrogen bond was formed between —OH of the silanol group and a carbonyl group (—C═O) of acrylic acid. As a result, the hydroxyl group of the silanol group of the A silica composition was 429 cm by surface modification (hydrogen bond formation) with the resin monomer. -1 Shifted to the low wavenumber side.
[0119]
Step II: Production of nanocomposite resin composition
The flask was obtained in 50 parts of toluene as an organic solvent, 20 parts of methyl methacrylate (MMA) as a base resin monomer, 0.05 parts of AIBN (azobisisobutyronitrile) as a reaction initiator, and the above Step I. 2 parts of the A silica composition was added and stirred with a stirrer to obtain a mixed solution. The solution was slightly milky and cloudy. Next, the air in the flask is replaced with an inert gas such as nitrogen to seal the system, and this solution is treated at a temperature of 80 ° C. for 24 hours to treat methyl methacrylate and the resin monomer on the A silica composition. Acrylic acid as a copolymer was copolymerized. After completion of the reaction, hexane was added dropwise to obtain a PMMA-based nanocomposite resin composition (hereinafter referred to as A composite resin composition) according to the present invention.
[0120]
Step III: Characteristic evaluation of A composite resin composition
The A composite resin composition obtained in Step II was dried to form granules, which were formed into a sheet having a thickness of 2 mm by an extrusion method. The obtained molded sheet was measured for total light transmittance, bending strength, bending elastic modulus and linear expansion coefficient. The results are shown in Table 1.
[0121]
Examples 2 to 6: Nanocomposite resin compositions BF using dry process powder
Step I: Production of surface modified BF silica composition
20 parts of fine particle silica (Aerosil # 90G, manufactured by Nippon Aerosil Co., Ltd.) having an average primary particle size of 20 nm was placed in a three-necked flask in a constant temperature state of 80 ° C. immersed in a constant temperature water bath. Next, as surface modification resin monomers, five kinds of methacrylic acid, dimethylaminoethyl acrylate, 2-hydroxyethyl acrylate, acrylamide and 2-acrylamido-2-methylpropane sulfonic acid were used, respectively. A methacrylic acid-based modified silica composition using methacrylic acid as a resin monomer (hereinafter referred to as a B silica composition) is obtained by performing the same operation under the same conditions as in Example 1 except that the quality of the resin is changed. ), Dimethylaminoethyl acrylate-based modified silica composition (hereinafter referred to as C-silica composition) using dimethylaminoethyl acrylate as a resin monomer, and 2-hydroxyethyl acrylate as a resin monomer. Hydroxyethyl acrylate modification Rica composition (hereinafter referred to as D-silica composition), acrylamide-based modified silica composition (hereinafter referred to as E-silica composition) using acrylamide as a resin monomer, and 2-acrylamido-2-methylpropanesulfonic acid as resin Five types of surface-modified silica compositions of 2-acrylamido-2-methylpropanesulfonic acid-based modified silica composition (hereinafter referred to as F silica composition) used as monomers were obtained.
[0122]
The B to F silica composition colors thus obtained were all white, and no change in the color tone on the appearance before and after the treatment was observed as in the case of the A silica composition. Moreover, when the infrared absorption characteristic was measured about these silica compositions, it was 3740 cm related to the silanol group of a silica like Example 1. -1 The free hydroxyl group absorption peak disappeared, and a hydroxyl group (—OH) absorption peak due to hydrogen bonding appeared at the position shown in Table 1. This is presumably because a hydrogen bond was formed between the hydroxyl group (—OH) of the silanol group and the carbonyl group (—C═O) of the resin monomer, as in Example 1.
[0123]
Step II: Production of nanocomposite resin composition
The flask was obtained in 50 parts of toluene as an organic solvent, 20 parts of methyl methacrylate (MMA) as a base resin monomer, 0.05 parts of AIBN (azobisisobutyronitrile) as a reaction initiator, and the above Step I. Two parts of each of the BF silica compositions were added and stirred with a stir bar to obtain a mixed solution. All were slightly milky and cloudy solutions. Next, methyl methacrylate and acrylic acid as a resin monomer on the BF silica composition were copolymerized under the same conditions as in Example 1. After completion of the reaction, hexane is added dropwise to cause precipitation, and a methacrylic acid-based nanocomposite resin composition (hereinafter referred to as “B composite resin composition”) and an acrylic acid dimethylaminoethyl ester-based nanocomposite resin composition (hereinafter referred to as “C”). Composite resin composition), 2-hydroxyethyl acrylate nanocomposite resin composition (hereinafter referred to as D composite resin composition), acrylamide nanocomposite resin composition (hereinafter referred to as E composite resin composition), and Five types of nanocomposite resin compositions of 2-acrylamido-2-methylpropanesulfonic acid-based nanocomposite resin composition (hereinafter referred to as composite resin composition F) were obtained.
[0124]
Step III: Characterization of BF composite resin composition
The BF composite resin composition obtained in Step II was dried to form granules, which were formed into a sheet having a thickness of 2 mm by an extrusion method. The obtained molded sheet was measured for total light transmittance, bending strength, bending elastic modulus and linear expansion coefficient. The results are shown in Table 1.
[0125]
Examples 7 and 8: Nanocomposite resin compositions a and e using wet process powder
Step I: Production of surface-modified G and H silica compositions
100 parts of water-dispersed colloidal silica (Nissan Chemical Industry Co., Ltd., Snowtex ST20) having an average primary particle size of 15 nm and a concentration of 20 wt% was placed in a flask equipped with a stirrer immersed in a constant temperature water bath. Next, 10 parts of acrylic acid as a resin monomer was added to this solution while stirring with a stirrer, and a reaction treatment was performed at 80 ° C. for 1 hour. After the treatment for a predetermined time, water was removed and dried to obtain a surface-modified silica composition whose surface was modified with an acrylic acid monomer (hereinafter referred to as a silica composition).
[0126]
Separately, except that acrylamide was used as a resin monomer, a surface-modified silica composition (hereinafter referred to as e-silica composition) whose surface was modified with an acrylamide monomer was obtained by operating under the same conditions as described above. .
[0127]
When the infrared absorption characteristics of both a and e silica compositions were measured, the results shown in Table 1 were obtained, and the characteristics were almost the same as those of the A silica composition and the F silica composition, respectively.
[0128]
Step II: Production of nanocomposite resin composition
Instead of the A silica composition, methyl methacrylate and the resin monomer on the A silica composition (respectively, respectively) under the same conditions as in Step II in Example 1 except that the a silica composition and the e silica composition were used. Acrylic acid and acrylamide) are copolymerized, and after completion of the reaction, hexane is dropped to cause precipitation, whereby an acrylic acid-based nanocomposite resin composition (hereinafter referred to as a composite resin composition) and an acrylamide system, respectively. Two types of nanocomposite resin compositions, nanocomposite resin compositions (hereinafter referred to as e-composite resin compositions), were obtained.
[0129]
Step III: Characteristic evaluation of a, e composite resin composition
Two types of the a and e composite resin compositions obtained in Step II were each dried to form granules, which were formed into a sheet having a thickness of 2 mm by an extrusion method. When the total light transmittance, bending strength, bending elastic modulus, and linear expansion coefficient of the obtained sheet were measured, the results shown in Table 1 were obtained.
[0130]
Examples 9 and 10: Nanocomposite resin compositions I and J using non-amphiphilic resin monomers
Step I: Production of surface modified I, J silica composition
Resin monomer for surface modification by placing 20 parts of fine particle silica (Aerosil # 90G, manufactured by Nippon Aerosil Co., Ltd.) having an average primary particle size of 20 nm in a three-necked flask at 80 ° C. immersed in a constant temperature water bath Except that methyl methacrylate and ethyl acrylate are used as the same conditions as in Example 1, respectively, to obtain a methyl methacrylate-based modified silica composition (hereinafter referred to as I silica composition) and Two types of modified silica compositions were obtained: ethyl acrylate-based modified silica compositions (hereinafter referred to as J silica compositions).
[0131]
The I and J silica composition colors thus obtained were all white, and no change in the color tone on the appearance before and after the treatment was observed as in the case of the A silica composition. Moreover, when the infrared absorption characteristic was measured about these silica compositions, it was 3740 cm related to the silanol group of a silica like Example 1. -1 The free hydroxyl group absorption peak disappeared and a hydroxyl group (-OH) absorption peak due to hydrogen bonding appeared at the position shown in Table 1. Both of the shift amounts of the wave number toward the low wave number were A to It was relatively less than H. This is presumably because the carboxyl group was esterified and the hydrogen bonding strength with silica was reduced.
[0132]
Step II: Synthesis of nanocomposite resin composition
The flask was obtained in 50 parts of toluene as an organic solvent, 20 parts of methyl methacrylate (MMA) as a base resin monomer, 0.05 parts of AIBN (azobisisobutyronitrile) as a reaction initiator, and the above Step I. Two parts of each of the I and J silica compositions were added and stirred with a stir bar to obtain a mixed solution. All were slightly milky and cloudy solutions. Next, methyl methacrylate and acrylic acid as a resin monomer on the I, J silica composition were copolymerized under the same conditions as in Example 1. After completion of the reaction, hexane was added dropwise to cause precipitation, and methyl methacrylate nanocomposite resin composition (hereinafter referred to as I composite resin composition) and ethyl acrylate (hereinafter referred to as J composite resin composition), respectively. Two types of nanocomposite resin compositions were obtained.
[0133]
Step III: Characteristic evaluation of I and J composite resin composition
The I and J composite resin composition obtained in Step II was dried to form granules, which were formed into a sheet having a thickness of 2 mm by an extrusion method. The obtained molded sheet was measured for total light transmittance, bending strength, bending elastic modulus and linear expansion coefficient. The results are shown in Table 1.
[0134]
[Table 1]
[0135]
As shown in the results of Table 1, there is a close relationship between the silica infrared absorption peak wave number and the physical properties, and it is recognized that the physical properties tend to improve as the shift amount toward the low wave number increases. As described above, this is considered to be due to the interaction (hydrogen bond formation) between silica and the resin monomer. Overall, the shift amount of the wave number to the low wave number side is 330 cm. -1 It is necessary to do it above.
[0136]
Comparative Example 1
A granular polymethyl methacrylate resin (Acrypet VH manufactured by Mitsubishi Rayon Co., Ltd.) was formed into a sheet having a thickness of 2 mm by an extrusion method. About the obtained sheet | seat, total light transmittance, bending strength, a bending elastic modulus, and a linear expansion coefficient were measured. The results are shown in Table 1. As shown in Table 1, this sheet has high transparency, but the physical properties do not satisfy the target values, and is rejected.
[0137]
Example 11: Appropriate amount of surface-modified silica composition
Step I
In a flask, 250 parts of toluene as an organic solvent, 100 parts of methyl methacrylate (MMA) as a base resin monomer, 25 parts of AIBN (azobisisobutyronitrile) as a reaction initiator, and methacryl produced in the same manner as in Example 2 were used. 1, 5, 10, 20, 40, 60, 80, 100, and 120 parts of the acid-modified silica composition (B silica composition) were added, respectively, and each was stirred with a stirrer, and then in the flask The air was replaced with an inert gas such as nitrogen to seal the system, and this solution was treated at 80 ° C. for 24 hours to polymerize methacrylic acid B silica composition and MMA. After completion of the reaction, hexane was added dropwise to precipitate, and 10 kinds of methacrylic acid-based nanocomposite resin compositions according to the present invention were obtained.
[0138]
Step II
Ten types of methacrylic acid-based nanocomposite resin compositions obtained in Step I were dried to form granules, which were formed into a sheet having a thickness of 2 mm by an extrusion method. About the obtained molded sheet, the total light transmittance, the dispersion state of the silica composition, the bending strength, the bending elastic modulus, and the linear expansion coefficient were measured. The results are shown in Table 2. In addition, the thing which does not mix | blend a surface modification silica composition was made into the comparative example 2. The results are shown in Table 2.
[0139]
[Table 2]
[0140]
As shown in the results of Table 2, when the blending amount is less than 3 parts, there is an effect of reducing the linear expansion coefficient when compared with the polymethylmethacrylate resin in which the surface modified silica composition of Comparative Example 2 was not blended. Low, and the effect of improving the bending strength and bending elastic modulus is thin. Further, when the blending amount exceeds 100 parts, the effect of improving the physical properties such as the effect of reducing the linear expansion coefficient and the effect of improving the bending strength and the bending elastic modulus is not recognized, and conversely, the total light transmittance is an acceptable line. Below 75%, transparency decreases. On the other hand, when the blending amount of the silica composition is in the range of 3 to 100 parts by mass, the thermal expansion coefficient of the nanocomposite transparent resin composition is reduced and the flexural strength and flexural modulus are improved without impairing the transparency. Can be achieved. For this reason, in this invention, the compounding quantity of a surface-modified silica composition needs to be 3-100 mass parts with respect to 100 mass parts of base material resin monomers. In addition, the specific gravity of the nanocomposite transparent resin composition increases as the amount of the surface-modified silica composition increases, so the mass of the member is considered to increase, which is preferable depending on the application where weight reduction of the resin window or the like is required. There may not be. Considering such points, it is desirable that the amount of the surface-modified silica composition is in the range of 3 to 40 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the base resin monomer.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an explanatory view showing an example of a vehicle exterior part application of a resin composition according to the present invention.
FIG. 2a and FIG. 2b are explanatory views showing an example of a vehicle outer plate application of the resin composition according to the present invention.
FIG. 3 is a schematic view of a resin wiper system according to the present invention.
FIG. 4 is an explanatory view showing an example of a vehicle exterior part application of the resin door mirror stay according to the present invention.
FIG. 5 is a view showing an instrument panel obtained by integrally molding a transparent resin portion and an opaque resin portion according to the present invention.
FIG. 6 is a view showing a resin mirror and a resin window according to the present invention.
FIG. 7 is a cross-sectional view showing a headlamp unit using the resin lamp reflector of the present invention.
FIG. 8 is an explanatory view showing an example of an engine compartment component using the resin composition according to the present invention.
FIG. 9 is an explanatory view showing an example of an engine compartment part using the resin composition according to the present invention.
FIG. 10 is a view showing an example of a resin cooling device part using the resin composition according to the present invention.
FIG. 11 is a diagram showing an example of a resin cooling device component using the resin composition according to the present invention.
FIG. 12 is a view showing an example of a resin integrated molded body having a hollow structure using the resin composition according to the present invention.
FIG. 13 is a view showing an example of a resin integrated molded body having a hollow structure using the resin composition according to the present invention.
FIG. 14 is an explanatory view showing an example of an integrally molded part using the resin composition according to the present invention.
FIG. 15 is an explanatory view showing an example of an integrally molded part using the resin composition according to the present invention.
FIG. 16 is an explanatory view showing an example of an integrally molded part using the resin composition according to the present invention.
FIG. 17 is a view showing an example of a molded body having a movable part and a non-movable part using the resin composition according to the present invention, FIG. 18A is a cross-sectional view of the molded body, and FIG. It is a top view of this molded object.
FIG. 18 is an explanatory view showing an example of a vehicle exterior part application of the resin composition according to the present invention.
[Explanation of symbols]
1 ... door molding, 2 ... frame frame of door mirror, 3 ... wheel cap,
4 ... Spoiler, 5 ... Bumper, 6 ... Winker lens,
7 ... Pillar garnish, 8 ... Rear finisher,
21 ... Front fender, 22 ... Door panel, 23 ... Roof panel,
30 ... Wiper system, 31 ... Wiper arm,
32 ... wiper blade, 33 ... nut hole for fixing the wiper arm,
41. Lamp, hood and fender integrated resin molding,
42. Pillar garnish / glass-integrated resin molding,
43. Roof / fender / glass integrated resin molding,
44 ... back door / glass integrated resin molding,
45. Door / glass integrated resin molding,
51 ... Instrument panel, 52 ... Instrument covers,
61 ... Front window, 62 ... Door window,
63 ... Rear window, 64 ... Side mirror,
71 ... body side substrate, 72 ... outer member, 73 ... reflector,
74 ... Bulb, 75 ...
81 ... Radiator, 82 ... Coolant reserve tank,
83 ... Washer tank inlet, 84 ... Electrical component housing,
85 ... Brake oil tank, 86 ... Cylinder head cover,
91 ... Engine body, 92 ... Timing chain,
93 ... gasket, 94 ... front chain case,
101 ... Water pipe, 102 ... O-ring,
103 ... Water pump housing,
104 ... Water pump impeller (impeller), 105 ... Water pump,
106: water pump pulley,
111 ... Water pipe, 112 ... Thermostat housing,
113 ... Thermostat, 114 ... Water inlet,
121 ... Hood, 122 ... Door, 123 ... Back door, 124 ... Roof,
125 ... Fender, 126 ... Window, 127 ... Trunk lid,
131 ... Center console box, 132 ... Pillar garnish,
133 ... Instrument panel,
141 ... Panel part, 142 ... Air duct or case of air conditioner,
151 ... Roof rail, 152 ... Roof panel,
171 ... Chamber part, 172 ... Open / close valve,
173 ... open / close valve shaft,
181 ... filler tube, 182 ... fuel tank,
183 ... Fuel pump, 185 ... Filler cap,
186 ... Vent tube, 187 ... Fuel hose, 188 ... Air chamber.
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