JP4453802B2 - ラミネートフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はラミネートフィルムの製造法に関する。詳しくは各種ガスの遮蔽に優れ、内容物の保存を目的とした食品や医薬品などの包装材料に使用されるガスバリア性ラミネートフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、包装材料としてその強度、商品保護性、作業適性、印刷等による宣伝効果等の理由から、異種のポリマー材料を組み合わせた複合フレキシブルフィルムが主流になってきている。このような複合フィルムは一般には、商品保護の役割を有する外層となる熱可塑性プラスチックフィルム層などとシーラント層となる熱可塑性プラスチックフィルム層などからなり、これらの貼り合わせには、ラミネートフィルム層に接着剤を塗布してシーラント層を接着させるドライラミネート法や、必要に応じてラミネートフィルム層にアンカーコート剤を塗布し溶融したシーラント層となるプラスチックフィルムを圧着してフィルム状にラミネートさせる押出しラミネート法が行なわれている。
【0003】
また、これらの方法で使用する接着剤は、接着性能が高い点から、一般には水酸基等の活性水素基を有する主剤とイソシアネート基を有する硬化剤からなる二液型ポリウレタン系接着剤が主流となっている(例えば、特許文献1あるいは特許文献2参照。)。
【0004】
しかしながらこれらの二液型ポリウレタン系接着剤は、一般にその硬化反応がそれほど速いものではないことから、所望の接着性を確保するために張り合わせ後に1日〜5日間の長時間におよぶエージングによる硬化促進を行う必要があった。また、イソシアネート基を有する硬化剤を使用することから、硬化後に未反応のイソシアネート基が残存した場合、この残存イソシアネート基は大気中の水分と反応して二酸化炭素を発生することからラミネートフィルム内に気泡が発生する等の問題があった。
一方、これらの問題を解決する方法として、ポリウレタン系接着剤(特許文献3参照。)およびエポキシ系ラミネート用接着剤(特許文献4参照。)が提案されている。
【0005】
しかし、上述の各ポリウレタン系接着剤や特許文献4で提案されたエポキシ系接着剤のガスバリア性は高いものではないことから、包装材料にガスバリア性が要求される場合にはポリ塩化ビニリデン(PVDC)コート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナやシリカなどを蒸着した無機蒸着フィルム層などの各種ガスバリア層とシーラント層となる可撓性ポリマーフィルム層との間に、接着剤層やアンカーコート層などの接着の役割を担う層を別途ラミネートさせる必要があり(例えば、特許文献5参照。)、ラミネートフィルムの製造コストやラミネートにおける作業工程で不利を被るものであった。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−51574号公報
【特許文献2】
特開平9−316422号公報
【特許文献3】
特開2000−154365号公報
【特許文献4】
特表2002−515534号公報
【特許文献5】
特開平10−71664号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記問題点を解決し、経済性及び製造工程での作業性が有利な、ガスバリア性を有し、短いエージング時間で所望の接着力が発現するラミネートフィルムの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、少なくとも基材、接着剤層、シーラント層から成るラミネートフィルムの製造方法において、その接着剤層をガスバリア性接着剤により形成させ、ラミネート後、更に特定の条件でエージングする製造方法が、ガスバリア性を有し、短時間で所望の接着性を発現しうるラミネートフィルムを経済的、かつ作業性が有利な方法で製造できることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は少なくとも基材、接着剤層、およびシーラント層から成るラミネートフィルムの製造方法であって、該接着剤層を形成する、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤を主成分とするエポキシ樹脂組成物の硬化反応物中に(1)式に示される骨格構造が40重量%以上含有され、且つラミネート後、(2)式を満たす条件でエージングすることを特徴とするラミネートフィルムの製造方法である。
【化2】
【数2】
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、接着剤層を形成するエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤を主成分とし、該組成物の反応により形成される硬化物中に上記(1)式の骨格構造が40重量%以上、好ましくは45重量%以上、より好ましくは50重量%以上含有されることを特徴としている。接着剤層を形成する前記硬化物中に上記(1)式の骨格構造が高いレベルで含有されることにより、高いガスバリア性が発現する。以下に、硬化物を形成するエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤について説明する。
【0011】
本発明において、エポキシ樹脂は脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物または複素環式化合物のいずれであってもよいが、高いガスバリア性の発現を考慮した場合には芳香族部位を分子内に含むエポキシ樹脂が好ましく、上記(1)式の骨格構造を分子内に含むエポキシ樹脂がより好ましい。具体的にはメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミン部位および/またはグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、レゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂などが使用できるが、中でもメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0012】
更に、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂やメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することがより好ましく、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することが特に好ましい。
【0013】
また、柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂を適切な割合で混合して使用することもできる。
【0014】
本発明におけるエポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類とエピハロヒドリンの反応により得られる。例えば、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂は、メタキシリレンジアミンにエピクロルヒドリンを付加させることで得られる。
ここで、前記グリシジルアミン部位は、キシリレンジアミン中のジアミンの4つの水素原子と置換できる、モノ−、ジ−、トリ−および/またはテトラ−グリシジルアミン部位を含む。モノ−、ジ−、トリ−および/またはテトラ−グリシジルアミン部位の各比率はメタキシリレンジアミンとエピクロルヒドリンとの反応比率を変えることで変更することができる。例えば、メタキシリレンジアミンに約4倍モルのエピクロルヒドリンを付加反応させることにより、主としてテトラグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂が得られる。
【0015】
エポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対し過剰のエピハロヒドリンを水酸化ナトリウム等のアルカリ存在下、20〜140℃、好ましくはアルコール類、フェノール類の場合は50〜120℃、アミン類の場合は20〜70℃の温度条件で反応させ、生成するアルカリハロゲン化物を分離することにより合成される。
生成したエポキシ樹脂の数平均分子量は各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対するエピハロヒドリンのモル比により異なるが、約80〜4000であり、約200〜1000であることが好ましく、約200〜500であることがより好ましい。
【0016】
本発明において、エポキシ樹脂硬化剤は、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物または複素環式化合物のいずれであってもよく、ポリアミン類、フェノール類、酸無水物またはカルボン酸類などの一般に使用され得るエポキシ樹脂硬化剤を使用することができる。これらのエポキシ樹脂硬化剤は、ラミネートフィルムの使用用途およびその用途における要求性能に応じて選択することが可能である。
具体的には、ポリアミン類としてはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族アミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミンなどの脂環式アミン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミンなどの芳香族アミンが挙げられる。
また、これらのポリアミン類を原料とするエポキシ樹脂またはモノグリシジル化合物との反応生成物、炭素数2〜4のアルキレンオキシドとの反応生成物、エピクロルヒドリンとの反応生成物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物、これらのポリアミン類とのとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物と、一価のカルボン酸および/またはその誘導体との反応生成物などが使用できる。
【0017】
フェノール類としてはカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの多置換基モノマー、およびレゾール型フェノール樹脂などが挙げられる。
また、酸無水物またはカルボン酸類としてはドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物などの脂肪族酸無水物、(メチル)テトラヒドロ無水フタル酸、(メチル)ヘキサヒドロ無水フタル酸などの脂環式酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの芳香族酸無水物、およびこれらのカルボン酸などが使用できる。
【0018】
高いガスバリア性の発現を考慮した場合には、芳香族部位を分子内に含むエポキシ樹脂硬化剤が好ましく、上記(1)式の骨格構造を分子内に含むエポキシ樹脂硬化剤がより好ましい。
具体的にはメタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン、およびこれらを原料とするエポキシ樹脂またはモノグリシジル化合物との反応生成物、炭素数2〜4のアルキレンオキシドとの反応生成物、エピクロルヒドリンとの反応生成物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物、これらのポリアミン類とのとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物と、一価のカルボン酸および/またはその誘導体との反応生成物などを使用することがより好ましい。
【0019】
高いガスバリア性および各種フィルム材料との良好な接着性を考慮した場合には、エポキシ樹脂硬化剤として、下記の(A)と(B)の反応生成物、または(A)、(B)および(C)の反応生成物を用いることが特に好ましい。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
【0020】
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸などのカルボン酸およびそれらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体が好ましい。
【0021】
また、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、グリコール酸、安息香酸などの炭素数1〜8の一価のカルボン酸およびそれらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などを上記多官能性化合物と併用して開始ポリアミンと反応させてもよい。反応により導入されるアミド基部位は高い凝集力を有しており、エポキシ樹脂硬化剤中に高い割合でアミド基部位が存在することにより、より高い酸素バリア性および各種フィルム材料への良好な接着強度が得られる。
【0022】
(A)と(B)、または(A)と(B)および(C)の反応モル比は、(A)に含有されるアミノ基の数に対する(B)に含有される反応性官能基の数の比、または(A)に含有されるアミノ基の数に対する(B)および(C)に含有される反応性官能基の合計数の比として、0.3〜0.97の範囲が好ましい。0.3より少ない比率では、エポキシ樹脂硬化剤中に十分な量のアミド基が生成せず、高いレベルのガスバリア性および各種フィルム材料に対する接着性が発現しない。また、エポキシ樹脂硬化剤中に残存する揮発性分子の割合が高くなり、得られる硬化物からの臭気発生の原因となる。また、エポキシ基とアミノ基の反応により生成する水酸基の硬化反応物中における割合が高くなるため、高湿度環境下での酸素バリア性が著しく低下する要因となる。一方、0.97より高い範囲ではエポキシ樹脂と反応するアミノ基の量が少なくなり優れた耐衝撃性や耐熱性などが発現せず、また各種有機溶媒あるいは水に対する溶解性も低下する。得られる硬化物の高いガスバリア性、高い接着性、臭気発生の抑制および高湿度環境下での高い酸素バリア性を特に考慮する場合には、ポリアミン成分に対する多官能性化合物のモル比が0.6〜0.97の範囲がより好ましい。より高いレベルの各種フィルム材料に対する接着性の発現を考慮した場合には、エポキシ樹脂硬化剤中に、該硬化剤の全重量を基準として、少なくとも6重量%のアミド基が含有されることが好ましい。
【0023】
高い粘着性の発現を考慮した場合には、例えばエポキシ樹脂硬化剤であるメタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンと、該ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物の反応比を、ポリアミン成分に対する多官能性化合物のモル比で0.6〜0.97、好ましくは0.8〜0.97、特に好ましくは0.85〜0.97の範囲とし、反応生成物であるオリゴマーの平均分子量を高くしたエポキシ樹脂硬化剤を使用することが好ましい。
より好ましいエポキシ樹脂硬化剤は、メタキシリレンジアミンと、アクリル酸、メタクリル酸および/またはそれらの誘導体との反応生成物である。ここで、メタキシリレンジアミンに対するアクリル酸、メタクリル酸および/またはそれらの誘導体の反応モル比は0.8〜0.97の範囲が好ましい。
【0024】
本発明におけるエポキシ樹脂組成物の主成分であるエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の配合割合については、一般にエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応によりエポキシ樹脂硬化物を作製する場合の標準的な配合範囲であってよい。具体的には、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数の比が0.5〜5.0の範囲である。0.5より少ない範囲では残存する未反応のエポキシ基が、得られる硬化物のガスバリア性を低下させる原因となり、また5.0より多い範囲では残存する未反応のアミノ基が、得られる硬化物の耐湿熱性を低下させる原因となる。得られる硬化物のガスバリア性および耐湿熱性を特に考慮する場合には、0.8〜3.0の範囲がより好ましく、0.8〜1.4の範囲が特に好ましい。
また、得られる硬化物の高湿度環境下での高い酸素バリア性の発現を考慮した場合には、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数の比が0.8〜1.4の範囲が好ましい。
【0025】
また、本発明において、前記エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリウレタン系樹脂組成物、ポリアクリル系樹脂組成物、ポリウレア系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物を混合してもよい。
【0026】
前記エポキシ樹脂組成物には各種フィルム材料に塗布時の表面の湿潤を助けるために、必要に応じてシリコンあるいはアクリル系化合物といった湿潤剤を添加しても良い。適切な湿潤剤としては、ビック・ケミー社から入手しうるBYK331、BYK333、BYK348、BYK381などがある。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01〜2.0重量%の範囲が好ましい。
【0027】
また、前記エポキシ樹脂組成物と後述の希釈溶媒を混合する場合においては、混合液の泡立ちを抑えるために、シリコンあるいはアクリル系化合物といった消泡剤を添加しても良い。適切な消泡剤としては、ビック・ケミー社から入手しうるBYK052、BYK067N、BYK070、BYK080、などがある。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01〜2.0重量%の範囲が好ましい。
【0028】
前記エポキシ樹脂組成物には各種フィルム材料に塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01〜5.0重量%の範囲が好ましい。
【0029】
また、前記エポキシ樹脂組成物により形成される接着剤層のガスバリア性、耐衝撃性、耐熱性などの諸性能を向上させるために、該エポキシ樹脂組成物の中にシリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機フィラーを添加しても良い。
フィルムの透明性を考慮した場合には、このような無機フィラーが平板状であることが好ましい。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01〜10.0重量%の範囲が好ましい。
【0030】
また、前記エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、酸素捕捉機能を有する化合物等を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
【0031】
さらに、前記エポキシ樹脂組成物により形成される接着剤層のプラスチックフィルム、金属箔、紙などの各種フィルム材料に対する接着性を向上させるために、該エポキシ樹脂組成物の中にシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01〜5.0重量%の範囲が好ましい。
【0032】
本発明において、基材として使用されるフィルム材料としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、メタキシレンアジパミド(N-MXD6)などのポリアミド系フィルム、ポリアクリロニトリル系フィルム、ポリ(メタ)アクリル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、カートンなどの紙類、アルミや銅などの金属箔、およびこれらの材料にポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂やポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)系樹脂、アクリル系樹脂などの各種ポリマーによるコーティングを施したフィルム、シリカ、アルミナ、アルミなどの各種無機化合物あるいは金属を蒸着させたフィルム、無機フィラーなどを分散させたフィルム、酸素捕捉機能を付与したフィルムなどが使用できる。また、コーティングする各種ポリマーについても無機フィラーを分散させることができる。無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどが挙げられるが、モンモリロナイトなどの層状珪酸塩が好ましく、またその分散方法としては例えば押出混錬法や樹脂溶液への混合分散法など従来公知の方法が使用できる。酸素捕捉機能を付与させる方法としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等を含む組成物を少なくとも一部に使用する方法等が挙げられる。
これらのフィルム材料の厚さとしては10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的であり、プラスチックフィルムの場合は一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよい。
【0033】
これらのフィルム材料の表面には、膜切れやはじきなどの欠陥のない接着剤層が形成されるように必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されることが望ましい。このような処理は各種フィルム材料に対する接着層の良好な接着を促進する。また、フィルム材料の表面に適切な表面処理がなされた後で、必要に応じて印刷層を設けることもできる。印刷層を設ける際には、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機等の従来のポリマーフィルムへの印刷に用いられてきた一般的な印刷設備が同様に適用され得る。また、印刷層を形成するインキについても、アゾ系、フタロシアニン系などの顔料、ロジン、ポリアミド樹脂、ポリウレタンなどの樹脂、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの溶剤等から形成される従来のポリマーフィルムへの印刷層に用いられてきたインキが同様に適用され得る。
【0034】
本発明において、シーラント層を形成するフィルム材料としては、ヒートシール性を有する各種可撓性ポリマーフィルムが使用できるが、良好なヒートシール性の発現を考慮した場合には、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルムを選択することが好ましい。これらのフィルムの厚さは、10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的であり、フィルムの表面には火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されていてもよい。
【0035】
本発明において、前記エポキシ樹脂組成物からなる接着剤を各種フィルム材料等に塗布、乾燥、貼り合わせ、熱処理した後の接着剤層の厚さは0.1〜100μm、好ましくは0.5〜10μmが実用的である。0.1μm未満では十分なガスバリア性および接着性が発揮し難く、一方100μmを超えると均一な厚みの接着剤層を形成することが困難になる。
【0036】
前記接着剤は各種フィルム材料に対する好適な接着性能に加え、高いガスバリア性を有する事を特徴としており、低湿度条件から高湿度条件に至る広い範囲において高いガスバリア性を示す。このことから、該接着剤を使用したラミネートフィルムは、PVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナやシリカなどを蒸着した無機蒸着フィルム層などの一般に使用されているガスバリア性材料を使用することなく非常に高いレベルのガスバリア性が発現する。さらに、これら従来のガスバリア性材料とシーラント材料とを貼り合せる接着剤として併用することにより、得られるフィルムのガスバリア性を著しく向上させることもできる。
【0037】
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、ポリビニルアルコールコートフィルム、無機フィラーを分散させたポリビニルアルコールコートフィルム、メタキシレンアジパミド(N-MXD6)フィルムなどのガスバリア性フィルムは、高湿度条件下では、そのガスバリア性が低下するという欠点があるが、前記接着剤を使用して、これらのガスバリア性フィルムを含むラミネートフィルムを作製すると、この欠点を解消することができる。
【0038】
さらに、本発明において接着剤層を形成するエポキシ樹脂硬化物は、靭性、耐湿熱性に優れることから、耐衝撃性、耐煮沸処理性、耐レトルト処理性などに優れたガスバリア性ラミネートフィルムが得られる。
【0039】
本発明において、前記エポキシ樹脂硬化剤からなる接着剤を使用して、各種フィルム材料をラミネートする場合には、ドライラミネート、ノンソルベントラミネート、押出しラミネート等公知のラミネート法を用いることが可能である。
【0040】
前記接着剤をフィルム材料に塗布し、ラミネートする場合には、接着剤層となるエポキシ樹脂硬化反応物を得るのに十分な接着剤組成物(エポキシ樹脂組成物)の濃度および温度で実施されるが、これは開始材料およびラミネート方法の選択により変化し得る。すなわち、接着剤組成物の濃度は選択した材料の種類およびモル比、ラミネート方法などにより、溶媒を用いない場合から、ある種の適切な有機溶媒および/または水を用いて約5重量%程度の組成物濃度に希釈する場合までの様々な状態をとり得る。適切な有機溶媒としては、トルエン、キシレン、酢酸エチルなどの非水溶性系溶媒、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノールなどのグリコールエーテル類、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなどのアルコール類、N, N-ジメチルホルムアミド、N, N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられるがメタノール、エタノールおよび2-プロパノールからなる群より選ばれる一種以上を含む溶媒、例えばこれらのいずれかと酢酸エチルとの混合液など比較的低沸点溶媒が好ましく、メタノールを含む溶媒が特に好ましい。
【0041】
溶媒で希釈した接着剤溶液は、そのザーンカップ(No.3)粘度が5〜30秒(25℃)の範囲となるような濃度で希釈され得る。ザーンカップ(No.3)粘度が5秒以下では接着剤が被塗物に十分塗布されず、ロールの汚染などの原因となる。またザーンカップ(No.3)粘度が30秒以上では、接着剤がロールに十分移行せず、均一な接着剤層を形成するのは困難となる。たとえばドライラミネートではザーンカップ(No.3)粘度はその使用中に10〜20秒(25℃)であることが好ましい。
【0042】
また、溶媒を使用した場合には塗布後の溶媒乾燥温度は室温から約140℃までの様々なものであってよいが、溶媒の沸点に近く、被塗物への影響が及ばない温度が望ましい。乾燥温度が室温以下ではラミネートフィルム中に溶媒が残存し、接着不良や臭気の原因となる。また乾燥温度が140℃以上では、ポリマーフィルムの軟化などにより、良好な外観のラミネートフィルムを得るのが困難となる。例えば接着剤組成物を延伸ポリプロピレンフィルムに塗布する際は、60〜100℃が望ましい。
【0043】
接着剤組成物をポリマーフィルムに塗布する際の塗装形式としては、ロール塗布やスプレー塗布、エアナイフ塗布、浸漬、はけ塗りなどの一般的に使用される塗装形式のいずれも使用され得る。ロール塗布またはスプレー塗布が好ましい。例えば、ポリウレタン系接着剤成分をポリマーフィルムに塗布し、ラミネートする場合と同様のロールコートあるいはスプレー技術および設備が適用され得る。
【0044】
続いて、各ラミネート方法での具体的な操作について説明する。
ドライラミネート法の場合には、基材となるフィルム材料に前記接着剤の有機溶媒および/または水による希釈溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布後、溶媒を乾燥させ直ちにその表面に新たなフィルム材料をニップロールにより貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることができる。ニップロールにより貼り合せる場合、ニップロールは室温〜120℃に加熱して貼り合せることができるが、40〜100℃が望ましい。
【0045】
また、ノンソルベントラミネート法の場合には、基材となるフィルム材料に予め40〜100℃程度に加熱しておいた前記接着剤を40〜120℃に加熱したグラビアロールなどのロールにより塗布後、直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることができる。この場合もドライラミネート法の場合と同様に、ラミネート後(2)式を満たす条件でエージングすることが望ましい。
【0046】
押出しラミネート法の場合には、基材となるフィルム材料に接着補助剤(アンカーコート剤)として、本発明で使用する接着剤の主成分であるエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤の有機溶媒および/または水による希釈溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布し、室温〜140℃で溶媒の乾燥、硬化反応を行なった後に、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることによりラミネートフィルムを得ることができる。溶融させるポリマー材料としては低密度ポリエチレン樹脂や直線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0047】
いずれの場合も、ラミネート後(2)式を満たす条件でエージングすることにより、十分な反応率でエポキシ樹脂硬化反応物が形成され、高いガスバリア性が発現し、所望のラミネート強度を得る。エージング条件が(2)式を満たさない場合は、接着層の反応率が低く、十分なガスバリア性及びラミネート強度が得られない。ここで、エージング温度(x)は20〜80℃の範囲であることが好ましい。
これらのラミネート法およびその他の一般的に使用されうるラミネート法は必要に応じて組み合わせることも可能であり、用途や形態に応じてラミネートフィルムの層構成は変化し得る。
【0048】
本発明の製造方法により作製されるラミネートフィルムは、ラミネート直後に300mm/minの剥離速度でT型剥離をした場合のフィルム材料間の初期粘着力が30 g/15mm以上であることが好ましく、40g/15mm以上であることがより好ましく、50 g/15mm以上であることが特に好ましい。この粘着性が十分でない場合、ラミネートフィルムのトンネリングやフィルムを巻き取る際の巻きズレなどの問題が発生する。
また、前記ラミネートフィルムは、良好な酸素バリア性を有する。
【0049】
本発明の製造方法で得られたラミネートフィルムは食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装材料として使用することができる。多層包装材料として使用する場合には、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。すなわち、前記ラミネートフィルムをそのまま多層包装材料として使用することもできるし、必要に応じて酸素吸収層や熱可塑性樹脂フィルム層、紙層、金属箔層などをさらにラミネートさせることもできる。この際、前記接着剤を用いてラミネートさせても良いし、他の接着剤やアンカーコート剤を用いてラミネートさせても良い。
【0050】
前記多層包装材料を使用して製造する軟包装用袋等からなる包装用袋について説明する。かかる軟包装用袋等からなる包装用袋は、前記多層包装材料を使用し、そのヒートシール性樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その周辺端部をヒートシールしてシール部を形成して製造することができる。その製袋方法としては、例えば、前記多層包装材料を折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールする方法が挙げられる。包装用袋は内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
【0051】
前記包装用袋にその開口部から内容物を充填し、しかる後、その開口部をヒートシールすることで、本発明の包装用袋を使用した包装製品を製造することができる。充填できる内容物としては、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、パン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、漬物、煮豆、納豆、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、こんにゃく、山菜加工品、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コンビーフ類などの畜産加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子などの水産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼなどの果肉類、コーン、アスパラガス、マッシュルーム、玉ねぎ、人参、大根、じゃがいもなどの野菜類、ハンバーグ、ミートボール、水産フライ、ギョーザ、コロッケなどを代表とする冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、バター、マーガリン、チーズ、クリーム、インスタントクリーミーパウダー、育児用調整粉乳などの乳製品、液体調味料、レトルトカレー、ペットフードなどの食品類が挙げられる。また、タバコ、使い捨てカイロ、医薬品、化粧品などの包装材料としても使用され得る。
【0052】
【実施例】
以下に本発明の実施例を紹介するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0053】
また、ラミネート強度、ザーンカップ粘度等の評価方法は以下の通りである。
〈外観〉
ラミネートフィルムの外観を目視で判定した。
○:良好、△:やや不良、×:不良
〈ラミネート強度 (g/15mm)〉
JISK-6854に指定されている方法を用い、ラミネートフィルムのラミネート強度をT型剥離試験により300mm/minの剥離速度で測定した。
〈ザーンカップ粘度 (秒)〉
ザーンカップNo.3((株)離合社製)を用い、カップ内の接着剤が全て流れ落ちる時間を計測した。
〈酸素透過率 (ml/m2・day・MPa )〉
酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX-TRAN10/50A)を使用して、ラミネートフィルムの酸素透過率を23℃、相対湿度60%の条件下で測定した。
【0054】
<エポキシ樹脂硬化剤a>
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.93molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。滴下終了後120℃で1時間攪拌し、さらに、生成するメタノールを留去しながら3時間で160℃まで昇温した。100℃まで冷却し、固形分濃度が70重量%になるように所定量のメタノールを加え、エポキシ樹脂硬化剤aを得た。エポキシ樹脂硬化剤a中のアミド基の含有率は21重量%であった。
【0055】
実施例1
メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD-X)を50重量部およびエポキシ樹脂硬化剤aを146重量部含むメタノール/酢酸エチル=7/3溶液(固形分濃度;35重量%)を作製し、そこにアクリル系湿潤剤(ビック・ケミー社製;BYK381)を0.4重量部加え、よく攪拌し、塗布液を得た。
この塗布液を厚み25μmのナイロン多層フィルム(三菱樹脂(株)製;スーパーニール)にバーコーターNo.6を使用して塗布し(塗布量:3.5 g/m2(固形分))、85℃で10秒乾燥させた後、厚み70μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを40℃に加熱したニップロールにより貼り合わせ、60℃で1時間エージングする(前記(2)式を満たす)ことによりラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについてそのラミネート強度を評価した。結果を表1に示す。接着層(エポキシ樹脂硬化物)中の(1)式の骨格構造の含有率は62.0重量%であった。結果を表1に示す。
【0056】
実施例2
60℃で一時間エージングする代わりに50℃で3時間エージングする(前記(2)式を満たす)こと以外は実施例1と同様の方法でラミネートフィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0057】
比較例1
60℃で一時間エージングする代わりに50℃で1時間エージングする(前記(2)式を満たさない)こと以外は実施例1と同様の方法でラミネートフィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0058】
比較例2
60℃で一時間エージングする代わりに40℃で1時間エージングする(前記(2)式を満たさない)こと以外は実施例1と同様の方法でラミネートフィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0059】
比較例3
ポリウレタン樹脂からなる主剤(東洋モートン(株)製;TM-329)を50重量部およびポリイソシアネート樹脂からなる硬化剤(東洋モートン(株)製;CAT-8B)を50重量部含む酢酸エチル溶液(固形分濃度;35重量%)を作製し、よく攪拌し、塗布液を得た。この塗布液を用いた以外は実施例1と同様の方法でラミネートフィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られるガスバリア性ラミネートフィルムは、接着層がガスバリア性を有しているため、各層をラミネートする際の経済性や製造工程での作業性などの面で有利となる。
また、該ラミネートフィルムはガスバリア性に加え、短時間のエージングにより所望の接着力が得られ、非ハロゲン系ガスバリア材料として様々な用途に応用される。
Claims (4)
- 少なくとも基材、接着剤層、およびシーラント層から成るラミネートフィルムのドライラミネート法による製造方法であって、該接着剤層が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂と下記の(A)と(B)の反応生成物、または(A)、(B)および(C)の反応生成物であるエポキシ樹脂硬化剤を主成分とするエポキシ樹脂組成物の硬化反応物により形成されたものであり、該硬化反応物中に(1)式に示される骨格構造が40重量%以上含有され、該エポキシ樹脂組成物の溶媒希釈液のザーンカップ(No.3)粘度が10〜20秒(25℃)であり、該溶媒希釈液を基材となるフィルム材料に塗布後、溶媒を乾燥させその表面に新たなフィルム材料を40〜100℃に加熱したニップロールにより貼り合わせ、且つラミネート後、エージング温度(x)が20〜80℃の範囲で(2)式を満たす条件でエージングすることを特徴とするラミネートフィルムの製造方法。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)アクリル酸、メタクリル酸および/またはそれらの誘導体
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
- 前記溶媒が、メタノール、エタノール、および2−プロパノールからなる群より選ばれる一種以上を含むものである請求項1に記載のラミネートフィルムの製造方法。
- 前記溶媒が、メタノールを含むものである請求項1に記載のラミネートフィルムの製造方法。
- 前記溶媒を60〜100℃で乾燥することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラミネートフィルムの製造方法。
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