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JP4452994B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ドライバがステアリングを操舵するときにその操舵力をアシストする電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来より、ドライバのステアリング操作における操舵力をブラシレスモータによりアシストする電動パワーステアリング装置が知られている。この電動パワーステアリング装置は、ステアリングに加わる操舵トルクの大きさに応じてブラシレスモータを駆動させることで、操舵トルクを補助している。また、車の発進時あるいは駐車時すなわち低速走行時ないし略停止時にステアリングの操舵角が最大になることがある。(一般にこれを「端当て」という。)この端当て付近では、ブラシレスモータの駆動を制御するための三相インバータの一相に集中して電流が流れることがある。さらに、端当て付近では、ステアリングに加わる操舵力が大きくなるため、ブラシレスモータを駆動する三相インバータに大きな電流が流れる。
この影響により、端当て付近において、集中して電流が流れる三相インバータの一相の発熱量が増大してその信頼性に影響を及ぼす恐れがある。この問題を解決する対策の1つとしてステアリングの操舵角が所定角度に達すると、三相インバータの駆動を停止したり、三相インバータの全相に供給する電流を制限することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開昭61−184171号公報
しかしながら、このような電動パワーステアリング装置においては、操舵角が所定値を越えると三相インバータを停止させたり、全相に供給する電流を制限するために、ステアリングが急に重く感じてドライバの操舵に大きな力が必要になり、操舵フィーリングが悪化してしまうという問題を生じる。
本発明の課題は、ステアリングの端当て付近において、操舵フィーリングを悪化させることなく、三相インバータの発熱量、さらにはモータの発熱量を制限することができる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を解決するために、本発明では、ブラシレスモータと、該ブラシレスモータを駆動する三相電流を制御する複数の半導体素子を有する三相インバータとを備えた電動パワーステアリング装置において、
車両の速度を検出する車速検出手段と、ステアリングの操舵角を検出し、操舵角信号を出力する操舵角センサと、検出された操舵角に応じ、三相インバータにより三相電流を流すための信号を出力する制御装置を備え、制御装置は、操舵角センサから出力された操舵角信号から操舵角をモニタするとともに、三相電流の各相をモニタし、ステアリングが最大操舵角付近に達した時であって、三相電流のいずれかが電流最大値付近の所定値以上に達していると判断したとき、かつ車両の速度が予め定められた所定値以下のときに、三相インバータに流れる三相電流を、操舵角センサで検出された操舵角に対する三相電流とは異なる三相電流となるようにシフトして、電流最大値付近の所定値以上の電流が流れている相に流れる電流を低減し、三相電流におけるいずれの相においても所定の操舵トルクにおける最大電流値未満となるように制御することを特徴としている。
このようにすると、ステアリングの最大操舵角付近において、三相インバータに最大電流が流れないため、三相インバータの発熱量を制限することができる。さらに、ステアリングの最大操舵角付近に達した時に、三相電流を低減することにより、操舵補助力が急激に減少せず、操舵フィーリングの悪化を招くことを抑制できる。
また、本発明では、三相インバータは、ブラシレスモータに供給される三相電流をPWM信号に基づいて制御するためのスイッチング素子を有し、PWM信号のデューティ値を制御することにより、電流最大値付近の所定値以上の電流が流れている相に流れる電流を低減することを特徴としている。このようにすると、PWM信号のデューティ値、すなわちパルス幅を変化することにより、精度良く制御することができる。
また、本発明では、操舵角を舵角センサで検出することを特徴としている。このようにすると、最大舵角を適確に検出して、三相インバータに流れる電流を精確に制御することができる。
また、本発明では、ブラシレスモータの回転位置を検出するレゾルバを有し、操舵角をレゾルバの出力に基づいて検出することを特徴としている。このようにすると、舵角センサが不要となり、コスト及び部品点数の低減を図ることができる。
また、本発明では、ブラシレスモータと、ブラシレスモータを駆動する三相電流を制御する複数の半導体素子を有する三相インバータと、ブラシレスモータの回転位置を検出するレゾルバとを備えた電動パワーステアリング装置の組み付け方法において、電動パワーステアリング装置のパワーをONにして、三相インバータからブラシレスモータに流れる三相電流をモニタできるようにし、ステアリングを最大操舵角付近まで回転させて止め、このときの三相インバータを流れる三相電流のうちいずれかの相の電流値が最大電流値であるか否かを判定し、いずれかの相の電流値が最大電流値であれば、最大電流値のピーク点がこのときの操舵角に対してずれるように、ブラシレスモータ及びレゾルバの組み付け位置を調整してステアリング軸に組み付け、このときの操舵角に対していずれの相の電流値も最大電流値未満となるようにすることを特徴としている。このようにすると、ステアリングが最大操舵角にあるときに三相電流が最大電流値をとらない信頼性に優れた電動パワーステアリング装置を生産することができる。
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の電動パワーステアリング装置の最良形態について説明する。電動パワーステアリング装置にはモータのアシスト力をラックに伝えるラックアシスト型と、そのアシスト力をハンドルコラムに伝えるコラムアシスト型並びにステアリングギヤのピニオンに伝えるピニオンアシスト型がある。ここではコラムアシスト型を例にとって説明する。図1に電動パワーステアリング装置のブロック構成を示す。ステアリング1の操舵はコラムシャフト6を介して操舵角を検出する操舵角センサ(レゾルバ)と操舵トルクを検出するトルクセンサで構成される操舵検出手段2に連結されると共に、ステアリングギア11を介してタイヤに伝導されて操舵がおこなわれる。このとき、コラムシャフト6に伝導された操舵トルクは、トーションバーのねじれによる入力軸と出力軸の相対的角度差を磁界の変化として検出しそれをコイルで電流の変化として検出する、磁気式トルクセンサ等を使用したトルクセンサの操舵トルク信号に変換されて、マイコン等の使用したデジタル制御方式の制御装置5に入力する。
制御装置5ではこのトルク信号に対応したPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号を発生して、ブラシレスモータ3のバイポーラ駆動をおこなう6つの半導体素子(「半導体スイッチ」ともいう)、ここではNチャネルMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor)、を有する三相PWMインバータ4を使用する。その半導体素子MOS1〜MOS6をゲートに印加されたPWM信号によって高速でスイッチング(チョッピング)することによって、ブラシレスモータ3を駆動するための位相差が120度異なる正弦波状の三相電流U相、V相、W相を発生する。操舵トルクに対応した大きさの実効電流を有する三相電流U相、V相、W相によってブラシレスモータ3は回転し、所要の回転トルクを発生する。このブラシレスモータ3の出力は減速ギア12を介してステアリングギア11に伝導されて、運転者の操舵力を低減するアシストをおこなう。
次に本発明の中心課題のその解決方法について説明する。図1においてステアリング1の操舵角θ(deg)はそのコラムシャフトに装着された操舵検出手段2に含まれるレゾルバによって回転位置が検出され、その操舵力及び操舵角θ(deg)に対応して三相PWMインバータ4は三相電流U相、V相、W相を発生する。この操舵角θ(deg)と三相電流U相、V相、W相の関係は図2に示されるような特性になる。このとき、三相電流U相、V相、W相の各電流の瞬時値は制御装置5から出力されるPWM信号のPulse Duty:PDTで定まる。図2におけるa点に最大操舵角が来たときには、各相U、V、Wの電流値の関係は図3に示されるように、U相電流が最大値をとりその値を正規化して1とすれば、V、W相の電流は逆相でその電流値は0.5になる。このとき、U相の電力PはP=IR(I:各相の電流値、R:モータの実効負荷)----(1)の関係から、P=1に正規化すると、V、W相の電力はP=1/4となり、U相の四分の一になる。従ってU相が流れるMOSFETの発熱量は、V、W相が流れるMOSFETの発熱量の4倍になってそこに発熱が集中する結果を生む。
仮に、図2におけるb点に最大操舵角が来たときには、各相U、V、Wの電流値の関係は図4に示されるように、U相電流が0となり、V、W相の電流は逆相でその電流値は(√3)/2と等しくなる。このとき、前述の正規化条件を踏襲すると、V、W相の電力はP=3/4となり、前述のa点におけるU相の発生電力に対して25%減となる。このように何れの相の電流に対するMOSFETにも発熱が集中することが無い。ステアリング1が最大操舵角にあるときには、ドライバがさらに操舵角を増やしたいという心理的要因等によってステアリング1の操舵力(操舵トルク)が高まる恐れがある。三相電流の最大値はこの操舵トルクに応じて増大し操舵力を低減するように働くので、最大電流値にともなうMOSFETに対する発熱集中は三相PWMインバータ4の信頼性に影響する可能性がある。このように、最大操舵角において何れの相電流に対しても、最大電流値が流れないようにすることが、三相PWMインバータ4の信頼性を向上することになる。
次に、最大操舵角時に、三相電流U相、V相、W相が最大電流値未満になるように制御する方法について、図5のフローチャートを使用してそのポイントを説明する。プログラムP1で制御がスタートすると、プログラムP2で、操舵検出手段2に含まれるレゾルバから送出された操舵角信号を調べて操舵角をモニタする。プログラムP3で操舵角が最大操舵角に達すると、プログラムP4に至り三相PWMインバータ4の三相電流U相、V相、W相をモニタする。プログラムP5で三相電流U相、V相、W相のいずれかが電流最大値の90%以上に達すると、プログラムP6に至り、図示しない車輪速センサ等から入力された車速信号を調べて現在の車速をモニタする。プログラムP7で車速が所定値以下にあるか否か調べる。
車速が所定値以下にある(駐車・車庫入れ等の低速走行あるいはUターン等の中低速走行)ことが確認されると、プログラムP8に至って、三相電流U相、V相、W相の電流値を最大値の85%(最大値×√3/2)以下にするために、対応するMOSFETに入力されるPWM信号のPulse Duty:PDTを15%小さくする。三相電流U相、V相、W相の電流値が最大値の85%以下になれば、その発生電力は前述の(1)の関係から最大値の電力の73%以下となり、発熱量がかなり低減されることが分かる。プログラムP3、P5、P7の各ステップで条件に達していなければすべてP2に戻ってこの制御は再スタートする。なおP5で電流値が基準値[最大値の90%]に達したか否か判断するが、代わりに電流値の時間に対する変化を調べてその増加率等の推移から、三相電流が最大値に達する時刻を推測して事前に最大値を避けて適切な電流値に変更するようにPWM信号のPulse Duty:PDTを制御してもよい。
最後に、最大操舵角で三相電流が最大電流値未満になるように組み付ける電動パワーステアリング装置の生産方法について説明する。先ず電動パワーステアリング装置のパワーをONにして、三相インバータからブラシレスモータに流れる三相電流をモニタできるようにする。そしてステアリングを最大操舵角の位置まで回転させて止める。このときの三相電流が所定の操舵トルクにおいて最大電流であるか否かチェックする。いずれかの電流が最大電流値にあれば、ブラシレスモータの出力ギア、あるいはブラシレスモータの回転角を検出するレゾルバ、の組み付け位置を調整して最大値から所定値オフセット(例えば電流が最大値から20%低下した位置にずらす、すなわち最大電流値のピーク点を操舵角に対して数十分[ギアの減速比等で定まる]の1度だけずらす)して、最大電流値未満の状態に設定する。最終的には、ステアリングを左右の最大操舵角まで回転させて、両側の最大操舵角において三相電流U相、V相、W相が最大電流値に達していないことを確認する。このようにして最大操舵角における三相電流を最大値未満にする組付けが完了する。
本発明の電動パワーステアリング装置のブロック構成を説明する図。 本発明の電動パワーステアリング装置の三相PWMインバータの出力の三相電流と操舵角の関係を示す図。 最大操舵角が図2のa点に来たときの三相電流U相、V相、W相の関係を説明する図。 最大操舵角が図2のb点に来たときの三相電流U相、V相、W相の関係を説明する図。 最大操舵角において三相電流U相、V相、W相が最大電流値未満になるように制御するためのフローチャート。
符号の説明
1 ステアリング
2 操舵角検出手段(操舵センサ、レゾルバ、トルクセンサ)
3 ブラシレスモータ
4 三相PWMインバータ(三相インバータ、MOSFET)
5 制御装置(マイコン、デジタル制御方式)
6 コラムシャフト
10 バッテリ
11 ステアリングギア
θ 操舵角
DT PWM信号のPulse Duty
MOS1、MOS2、MOS3、MOS4、MOS5、MOS6 半導体素子(半導体スイッチ)

Claims (4)

  1. ブラシレスモータと、該ブラシレスモータを駆動する三相電流を制御する複数の半導体素子を有する三相インバータとを備えた電動パワーステアリング装置において、
    車両の速度を検出する車速検出手段と、
    ステアリングの操舵角を検出し、操舵角信号を出力する操舵角センサと、
    検出された前記操舵角に応じ、前記三相インバータにより前記三相電流を流すための信号を出力する制御装置を備え、
    前記制御装置は、前記操舵角センサから出力された前記操舵角信号から前記操舵角をモニタするとともに、前記三相電流の各相をモニタし、前記ステアリングが最大操舵角付近に達した時であって、前記三相電流のいずれかが電流最大値付近の所定値以上に達していると判断したとき、かつ前記車両の速度が予め定められた所定値以下のときに、
    前記三相インバータに流れる三相電流を、前記操舵角センサで検出された前記操舵角に対する三相電流とは異なる三相電流となるようにシフトして、前記電流最大値付近の所定値以上の電流が流れている相に流れる電流を低減し
    前記三相電流におけるいずれの相においても所定の操舵トルクにおける最大電流値未満となるように制御することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記三相インバータは、前記ブラシレスモータに供給される前記三相電流をPWM信号に基づいて制御するためのスイッチング素子を有し、
    前記PWM信号のデューティ値を制御することにより、前記電流最大値付近の所定値以上の電流が流れている相に流れる電流を低減することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記操舵角を舵角センサで検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記ブラシレスモータの回転位置を検出するレゾルバを有し、
    前記操舵角を前記レゾルバの出力に基づいて検出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の電動パワーステアリング装置。
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