JP4443148B2 - Carbon fiber bundle, chopped carbon fiber bundle and method for producing the same, carbon fiber reinforced thermoplastic resin composition and molded article thereof - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂の補強材として用いられる炭素繊維束、及びチョップド炭素繊維束及びその製造方法、更にチョップド炭素繊維束を用いた繊維強化熱可塑性樹脂組成物及びそれからなる成形品に関し、更に詳しくは、炭素繊維束を製造する際に好適なサイジング剤に係わる。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維は、繊維強化樹脂における補強材として知られ、これを配合した複合材は繊維強化複合材と称される。一般に、炭素繊維は、束状をなし、その取り扱い性や複合材の物性を向上させることを目的に、水溶性又は水分散性エポキシ樹脂等を主成分とするサイジング剤を付着させるサイジング処理が施されている。一方、熱可塑性樹脂をマトリクス樹脂とする繊維強化複合材では、炭素繊維束は、通常5〜15mm長に切断されたチョップド炭素繊維束の形態で供されるが、チョップド炭素繊維束の形態とする際にも、集束性を付与するために、マトリクス樹脂に対して適合性のあるサイジング剤を2〜5質量%付着させる処理が行われている。
【0003】
チョップド炭素繊維束と熱可塑性樹脂とを混練しペレットを製造するに当たっては、チョップド炭素繊維束が定量的に押出機内に供されることが必要であるが、そのためにはチョップド炭素繊維束の形態安定性が重要である。形態が適切でないと、吐出斑が生じ、炭素繊維含有量斑の原因となる。また、一定の押出速度が得られなくなるため、ストランド切れが発生し、ペレットの生産性が大幅に低下する恐れもある。更に、長繊維ペレットといわれるタイプの熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂にした材料も注目され、その際には炭素繊維束は、チョップド化せずに連続した束の形態で、ペレット製造工程に投入されることになる。この場合、炭素繊維束には毛羽やフライが発生し易く、またバラケ易く、その取り扱いが難しいことから、炭素繊維束にサイジング剤を付着させることは不可欠である。
【0004】
一方、マトリックス樹脂の熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネイト樹脂、ナイロン樹脂やポリエステル樹脂等がよく用いられるが、最近、リサイクル性、経済性の面から、ポリオレフィン系樹脂を用いられるケースが増えてきている。特にポリプロピレン樹脂は、近年注目されているマトリックス樹脂である。
【0005】
ポリオレフィン系樹脂は、基本的に無極性であることから、炭素繊維やガラス繊維といった強化繊維との界面接着性が非常に悪く、複合材料としての機械特性を十分に発現しないことが多い。そのため、マトリックス樹脂に酸変性ポリオレフィン樹脂を少量添加して、接着性を向上させたり、或いはオレフィン系樹脂とシランカップリング剤より構成する収束剤で処理したガラス繊維、更には、変性ポリプロピレンを必須成分とする収束剤でガラス繊維などの無機繊維を処理し、マトリックスであるポリプロピレン、ポリオレフィン樹脂との界面接着性を上げる処方が行われている(特許文献1参照)。
【0006】
また、炭素繊維の補強材としての性能と特性が広く認知されるにつれて、量産対応可能で安価な経済性に優れた炭素繊維が求められるようになっている。特にポリオレフィン系樹脂をマトリックス樹脂に用いることの大きな要因の一つには、低価格であることがある。従って、炭素繊維にも低価格化の要請が非常に強く、その低価格化を実現するには、設備当たり、或いは時間当たりの製造能力向上が必要であるが、その一手段として炭素繊維束の太目付化が提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
しかしながら、マトリックス樹脂に変性ポリオレフィンを添加する方法では、十分な補強材とする繊維との界面接着性を向上させ得るには多量の添加が必要となり、リサイクル性、経済性において優れたものとはならない。従い、繊維の表面にそのような結合剤を付着させ、複合化した際にこのような化合物を界面相に偏在させる手法が優れている。一方、炭素繊維は、ガラス繊維表面のような水酸基が多く存在していないことから、シランカップリング剤が、界面接着性を向上させる効率がかなり低く、中心的な連結剤としての作用を期待することはできない。更に、単繊維としてのフィラメント径は7μm以下で、ガラス繊維の10〜16μmと比較して非常に細く、そのため、擦過等による毛羽立ちが生じ易い。また、炭素繊維束を形成するフィラメント数も12000本或いはそれ以上であり、一般的なガラス繊維束の600本程度のものに比べ際立って多い。従って、ガラス繊維用の収束剤をそのまま用いても、繊維束の集束性、ドレイプ性、取り扱い性が十分なレベルにはならず、また、複合後の界面接着性は思うように向上しないものとなっている。
【0008】
また、特許文献1に記載されている変性ポリプロピレンを必須成分とする収束剤では、まだ十分にオレフィン系樹脂との界面接着性を発現しているレベルにはなく、また、炭素繊維束に十分な集束性、ドレイプ性、取り扱い性を付与することができなかった。更に、炭素繊維束に太目付化を適用しようとすると、以下のような不都合がある。
【0009】
チョップド炭素繊維束では形態安定性が重要であることを述べたが、太目付になるにつれて、単位束の嵩が大きくなり、サイジング剤の付着の不均一化や束幅拡大による繊維配向に沿った割れが発生しやすくなり、束幅の均一なチョップド炭素繊維束を得ることが難しくなるという問題がある。また、切断工程での処理速度(搬送速度)を上げると、太目付になるにつれて、ガイドやバー等での毛羽発生、巻き付きが多発し、生産性が低下するという問題もある。また、毛羽発生に起因して、複合化時の工程通過性が悪化する恐れもある。
【0010】
【特許文献1】
特開平6−107442号公報
【特許文献2】
特開2000−248432号公報
【特許文献3】
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、マトリックス樹脂として、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン樹脂との良好な界面接着性を形成するサイジング剤で処理された炭素繊維束を提供し、更に形態安定性に優れ、繊維強化複合材製造時の取り扱い性に優れ、経済性に優れたチョップド炭素繊維束を提供すること、そして炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物及びその組成物からなる成形品を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の炭素繊維束は、数平均分子量20,000以下、ASTM D1386に準じて測定された酸価が23〜120mgKOH/gである酸変性されたポリプロピレン樹脂(化合物a)、ポリオキシ系ではない脂肪族系主鎖を有しエポキシ基を含有する樹脂(化合物b)、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂(化合物c)を構成成分とするサイジング剤で収束されたことを特徴とするものである。
【0013】
サイジング剤の構成成分の一つである酸変性ポリプロピレン樹脂は、炭素繊維とマトリックス樹脂の複合化の際に必須の成分である。複合化の際、酸変性ポリプロピレン樹脂分子中の酸基が炭素繊維表面との相互作用を増強し、一方骨格であるポリプロピレン鎖は、ポリオレフィン等のマトリックス樹脂であるとポリマー分子の絡み合いにより、マトリックス樹脂と強固な結合を生じさせ、その結果酸変性ポリプロピレン樹脂は、有効なカップリング剤として働く。酸変性ポリプロピレン樹脂の分子量は、20000以下、好ましくは10000以下、より好ましくは7000以下であることが望ましい。20000を超える分子量の場合、界面相近傍での酸変性ポリプロピレン樹脂のモビリティーが十分でなく、マトリックス樹脂との分子同士の絡み合いの程度が小さく、界面接着性を十分に強くすることができない。ここで、酸変性されたポリプロピレン樹脂の数平均分子量は、GPCで測定される。
【0014】
また、ASTM D1386に準じて測定された酸価は、23〜120mgKOH/g、好ましくは29〜90 mgKOH/g、より好ましくは35〜80mgKOH/gであることが望ましい。酸価が23mgKOH/g未満では、炭素繊維表面との相互作用が小さく、高い界面接着性は得られない、一方、酸価が120 mgKOH/gを超える場合は、マトリックス樹脂、特にポリオレフィン系樹脂との親和性が低下し、その結果マトリックスポリマー分子との絡み合いが十分に生じず、界面接着性を十分に強くすることができない。このような酸変性ポリプロピレン樹脂としては、吉村油化学(株)製GF−101(水系エマルジョン)、クラリアント社製HostamontAR503、AR504等が具体的に挙げられる。
【0015】
サイジング剤の構成成分であるポリオキシ系ではない脂肪族系主鎖を有しエポキシ基を含有する樹脂(化合物b)は、マトリックス樹脂とのより優れた界面接着性を発現させることができる。エポキシ基は、炭素繊維表面との化学的な相互作用が非常に強く、化学結合も比較的容易に形成することが知られている。従って、酸変性ポリプロピレン樹脂と共存させることにより、より効果的なマトリックス樹脂と炭素繊維のカップリング剤として作用させることが可能となる。エポキシ基含有樹脂としては、ポリオキシ系ではない脂肪族系主鎖を有するものであれば、特に限定されることなく用いることができる。
【0016】
マトリックス樹脂とするポリオレフィン系樹脂との親和性の点から、エポキシ基含有樹脂の主鎖は、極性部を有さない脂肪族系のものがよく、特に比較的長い脂肪族鎖を有するタイプのもがより好ましく用いられる。例えば、エポキシ化ポリブタジエン、脂肪族系モノ(ジ)グリシジルエーテル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸変性BPA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエーテル等を挙げることができる。また、エポキシ基にも特に制限はなく、グリシジル基、脂環式エポキシ基等を用いることができる。
【0017】
また、サイジング剤の構成成分であるオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂(化合物c)は、酸変性ポリプロピレン樹脂は分子量が比較的小さく、酸変性ポリプロピレン樹脂単独では炭素繊維束に十分な集束性を付与できないといった問題点を改善し、炭素繊維束に十分な集束性とドレープ性を付与することを可能にするものである。またオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂は、ポリオレフィン系マトリックス樹脂との十分な親和性を確保することができる。
【0018】
好ましいオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ASTM D1525−70に準じて測定されたビカット軟化点が120℃以下、好ましくは110℃以下、より好ましくは90℃以下のものである。炭素繊維束にサイジング剤として水系サイジング剤溶液を付着させ、その後水を蒸発させる工程において、一般的に乾燥温度は140℃程度であるが、その際オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂が十分に軟化している方が、乾燥後の炭素繊維束の集束性が良好となる。このようなオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂としては、吉村油化学(株)製GFE−1030(水系エマルジョン)、出光石油化学(株)製TPO−M142、R110E、T310E等が具体的に挙げられる。
【0019】
本発明におけるサイジング剤のこれら3種の化合物の組成比率は、サイジング剤総質重に対して、化合物aが35質量%以上、化合物bが30質量%以上、化合物cが20質量%以上であることが好ましい。上述したように、それぞれの化合物は、それぞれ重要な役割を担っていることから、その役割を効果的に発現させるために、それぞれの最低の存在比率が決定される。
【0026】
一方、既述したポリオキシ系ではない脂肪族系主鎖を有しエポキシ基を含有する樹脂(化合物b)として、エチレン或いはプロピレンとエポキシ基含有モノマーとの共重合物(化合物d)または、エチレン或いはプロピレンとエポキシ基含有モノマーとアクリル酸エステルとの共重合物(化合物e)を用いることにより、ポリオレフィン系樹脂とより優れた界面接着性と集束性を有する炭素繊維束を得ることができる。
【0027】
更に、サイジング剤に、分子中にエポキシ基、ビニル基、アミノ基、メタクリル基、アクリル基、直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤を添加することができる。また、シランカップリング剤は1種のみ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。シランカップリング剤の中でも、特にエポキシシラン系、アミノシラン系、直鎖アルキル基系が好適である。エポキシシラン系において、シラン化合物のエポキシ基としては、グリシジル基、脂環式エポキシ基等が好適であり、かかるシランカップリング剤としては、日本ユニカー(株)製A−186、A−187、AZ−6137、AZ−6165等が具体的に挙げられる。
【0028】
また、アミノシラン系としては、1級アミン、2級アミン或いはその双方を有するものが挙げられ、日本ユニカー(株)製A−1100、A−1110、A−1120、Y−9669、A―1160等が用いられる。また、直鎖アルキル基系としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基を有するものが挙げられ、日本ユニカー(株)製AZ−6171、AZ―6177、信越シリコーン(株)製KBM−3103C等が具体的に挙げられる。
【0029】
本発明においては、ガラス繊維強化複合材の処理に利用されているシランカップリング剤を用いているが、シランカップリング剤は、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とする炭素繊維強化複合材においては、界面接着力をより向上させる。なお、ガラス繊維強化複合材においては、ガラス繊維基質との親和性に有効に働くと考えられているが、炭素繊維強化複合材では、用いるマトリックス樹脂によってその効果の程度が異なることから、炭素繊維基質よりもむしろマトリックス樹脂との相互作用に効いているものと推察される。
【0030】
シランカップリング剤の添加量はサイジング剤の水以外の総成分量(総固形分量)100質量%に対して、5質量%以下、好ましくは4質量%以下であることが望ましい。添加量が5質量%を超えると、シラン化合物のシラン架橋が進行し、炭素繊維束の集束状態が硬く脆弱となり、縦割れが発生しやすくなり、更に界面接着性を低下させる原因となる恐れがある。
【0031】
本発明の炭素繊維束は、前述のサイジング剤の構成成分を水に溶解或いは分散させた水系サイジング剤溶液で処理することにより得られる。工業的な生産を考えると、安全面、経済面から、水系のサイジング剤溶液を用いて処理することが好ましい。サイジング剤の構成成分を水に分散させる目的で、界面活性剤が乳化剤として用いられる。この時、乳化剤としては、特に限定されるものではなく、アニオン系、カチオン系、ノニオン系乳化剤等を用いることができる。中でも、アニオン系又はノニオン系乳化剤が好ましい。また、シランカップリング剤を添加する場合、シランカップリング剤の水中での安定性、更に成形後の繊維強化熱可塑性樹脂材料の物性安定性の点からノニオン系乳化剤が特に好ましい。
【0032】
サイジング剤の付着方式は特に限定されるものではなく、サイジング剤中にロールの一部を浸漬させ表面転写した後、このロールに炭素繊維束を接触させて付着させるタッチロール方式、炭素繊維束を直接サイジング剤中に浸漬させ、その後必要に応じてニップロールを通過させて付着量を制御する浸漬方式等が挙げられる。また、炭素繊維束へのサイジング剤の付着量は、特に制限はないが、連続繊維した炭素繊維束においては、炭素繊維束に対するサイジング剤の付着量が水以外の成分量で0.3〜5質量%の範囲であることが好ましい。
【0033】
次に、本発明のチョップド炭素繊維束は、前記サイジング剤溶液を付着させ、所定長さに切断した後、乾燥させてなり、炭素繊維束に対するサイジング剤の付着量が水以外の成分量で1〜5質量%であることがより好ましい。また、本発明のチョップド炭素繊維束は、炭素繊維束の目付が0.4〜15g/m、好ましくは0.6〜10g/m、より好ましくは0.8〜8g/mであると共に、切断時の繊維束幅/厚みが3〜10であるチョップド炭素繊維束であることが好ましい。炭素繊維束の目付が0.4g/m未満では、経済的に不都合であり、更にペレット製造工程でのチョップド炭素繊維束の導入工程通過性を悪化させる。一方、15g/mを越える場合は、サイジング剤の炭素繊維束への浸透が完全に行わせることが難しくなり、形状の安定したチョップド炭素繊維束を製造することができなくなる。
【0034】
本発明のチョップド炭素繊維束の製造は、水系サイジング剤を付着させ、所定長さに切断した後、乾燥させる方法によって行い、炭素繊維束に対しサイジング剤を水以外の成分量で1〜5質量%付着させる。サイジング剤の付着量が1質量%未満では、後の切断工程及び乾燥工程において十分な集束性が得られず、繊維割れや毛羽が発生し、押出機投入時にトラブルが発生する恐れがある。一方、付着量が5質量%を超えると、集束力が強くなるため後の工程の通過性は良好となるものの、押出機内での樹脂への均一な分散が難しくなり、成形品の外観不良や、分散斑による機械物性の低下を招く恐れがある。
【0035】
サイジング剤の付着方式は、特に限定されるものではなく、サイジング剤中にロールの一部を浸漬させ表面転写した後、このロールに炭素繊維束を接触させて付着させるタッチロール方式、炭素繊維束を直接サイジング剤中に浸漬させ、その後必要に応じてニップロールを通過させて付着量を制御する浸漬方式等が挙げられる。中でもタッチロール方式が好適であり、さらに炭素繊維束を複数のタッチロールに接触させ複数段階で付着させる方式が、付着量や束幅制御の観点から特に好適である。
【0036】
炭素繊維束にサイジング剤を付着させた後、引き続き湿潤状態にある炭素繊維束を切断し、チョップド炭素繊維束の形態とする。切断工程は、水を含むサイジング剤の表面張力による炭素繊維の集束効果と、切断時の衝撃性のせん断力を湿潤状態の柔軟な状態で吸収して繊維割れを防ぐことを利用したものである。本発明でのの切断工程においては、炭素繊維束の含水率が20〜60質量%、好ましくは25〜50質量%の湿潤状態で切断する必要がある。含水率が20質量%未満では、切断時に繊維割れや毛羽が発生しやすくなる恐れがある。また、含水率が60質量%を超えると、繊維表面に水が過剰に付着した状態となるため、水の表面張力により炭素繊維が丸く集束し、切断時にミスカットや刃の目詰まりの発生頻度が高くなる恐れがある。また、必要に応じて、含水率を調整するために、切断前に水やサイジング剤による追加付着処理を行ってもよい。
【0037】
切断方式としては、特に制限はないが、ロータリーカッター方式等が好適である。また、切断長(チョップド炭素繊維長)は、2〜30mm、好ましくは4〜24mm、より好ましくは6〜20mmとすることが望ましい。ロータリーカッター方式では、用いる装置の歯先間隔を調節することにより切断長を調整することができる。ロータリーカッター方式での切断に際しては、繊維束厚みが厚くなり過ぎると切り損じを生じたり、ロータに炭素繊維が巻き付いて操作不能になったり、切断後の形状不良が生じたりするので、繊維束厚みは薄い方が有利である。また、炭素繊維束の目付が1.5g/mを超える太目付炭素繊維束の場合、炭素繊維束をできるだけ開繊させ、繊維束内部までサイジング剤を均一に付着させることが重要である。従って、ガイドロール、コームガイド、スプレッダーバー等を用いて、サイジング処理工程前後の炭素繊維束の束幅/厚みが大きくなるように制御しながら、かつサイジング処理後の炭素繊維束には実質的に撚りの無いように走行させることが好ましい。
【0038】
短く切断されたチョップド炭素繊維束は、束幅が広くなると繊維配向に沿って縦割れし易くなり、製造中や製造後の使用時にその形態を維持することが困難な傾向にある。このことは特に太目付炭素繊維束において顕著であるが、本発明者はサイジング剤の成分の中に、エラストマー成分を加えることにより、形成される皮膜の強度、特に皮膜伸度が大きいサイジング剤とすることができ、太目付炭素繊維束の形態安定性が効果的に保たれる。
【0039】
即ち、束幅を極端に狭くして断面円形状又は断面楕円形状にしないこと、具体的には束幅/厚みが3以上、好ましくは3〜10になるように束幅を制御することが好ましい。束幅/厚みが3以上であると、ロータリーカッターでの切断工程でのミスカットの発生を抑制することできる。また、束幅/厚みが10を超えると、切断時のミスカットが発生し難くなるものの、厚みが薄くなりすぎて切断後に炭素繊維束の縦割れが生じ易くなり、後の工程通過性が悪化する恐れがある。また、太目付炭素繊維束を汎用タイプ並みに薄く広げて切断するには、同時に処理可能な炭素繊維本数が減少し、その減少分を補うためにカッターの幅広化或いは処理速度の高速化等必要となり、設備面の負荷や生産効率の低下を招く恐れがある。
【0040】
従って、束幅/厚みが3〜10となるようにロータリーカッターに付随するガイドの幅を調節し、炭素繊維束の束幅を制御することが好ましい。なお、当然のことながら太目付炭素繊維束にあっては、炭素繊維幅が広がっており、ロータリーカッターのガイドにおいては、繊維束は折りたたまれた状態となるため、束幅を狭くする方向に調整することが望ましい。
【0041】
次に、切断後のチョップド炭素繊維束を乾燥するが、乾燥方法としては、熱風乾燥法等が挙げられる。また、熱風乾燥法を採用する場合、水分の蒸発効率を向上させると共に、チョップド炭素繊維束同士の接着を防止するために、振動させた状態で移送しながら乾燥を行うことが好ましい。なお、乾燥時の振動が強すぎると、繊維割れが発生し易くなり、束幅/厚みが3未満のチョップド炭素繊維束の割合が多くなる。また、振動が弱すぎると、繊維同士の擬似接着が起こり、団子状になってしまう。従って、適切な振動条件に設定する必要がある。また、細分化されたチョップド炭素繊維を振るい落とすだけでなく、熱風の通りをよくするために、メッシュ振動板上を移送させながら、振動乾燥することがより好ましい。また、乾燥効率を向上させるために、赤外線放射等の補助手段を併用することもできる。
【0042】
本発明のチョップド炭素繊維束の製造に当たって、サイジング処理される炭素繊維束は、既にその製造工程でサイジング処理をされているものでも、またサイジング処理されたものであってもよい。本発明によれば、形態安定性に優れ、繊維強化複合材の製造時の取り扱い性に優れたチョップド炭素繊維束を提供することができる。本発明は、特に目付が1.5g/mを超える太目付チョップド炭素繊維束を得る場合に対して有効であり、その製造工程の安定化、高品質化を実現することができ、量産対応可能で安価な経済性に優れたチョップド炭素繊維束を提供することができる。
【0043】
本発明のチョップド炭素繊維束を用いてマトリックス樹脂とする熱可塑性樹脂と混練することにより、炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物とすることができる。チョップド炭素繊維束の熱可塑性樹脂への混練に際しては、チョップド炭素繊維束を押出機に供給し、熱可塑性樹脂と混練してペレット化し、ペレットとすることが好ましい。また、本発明の炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、射出成形法等の公知の成形法により成形することにより、任意の形状の成形品(繊維強化複合成形品)を提供することができる。
【0044】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を調製するに当たっては、組成物の総重量に対して、本発明のチョップド炭素繊維束を3〜60質量%、好ましくは5〜50質量%配合することが好ましい。チョップド炭素繊維束を3質量%以上配合することにより成形品の機械物性向上効果が顕著に発現する。また、60質量%を超えると、それ以上の著しい向上効果が得られないと共に、ペレット製造時の工程安定性が低下し、ペレットの繊維含有量斑等が生じ、成形品の品質安定性が悪化する恐れがある。
【0045】
本発明でマトリックス樹脂として用いられる熱可塑性樹脂としては、特に制限はないが、サイジング剤の主成分であるオレフィン系化合物との親和性の観点から、ポリオレフィン系樹脂が最適であり、他にはポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、ポリエーテルサルフィン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらのアロイ系樹脂の群から選ばれる樹脂であることが好ましい。特にポリオレフィン系樹脂をマトリックスと用いる場合、機械特性をより向上する目的で、各種の変性ポリオレフィン樹脂を少量添加してもよい。
【0046】
本発明の炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物よりなる成形品は、本発明のチョップド炭素繊維束を用いて得られたものであるので、機械物性に優れると共に、生産性、経済性に優れる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0048】
(実施例1〜4、比較例1〜4)
[ポリプロピレン系成形品]
チョップド炭素繊維束の製造:
原料の炭素繊維束として、ポリアクリル繊維をプレカーサーとする12000本又は50000本のフィラメントよりなるパイロフィルTR30S−12L又はTR30L−50L(三菱レイヨン(株)製炭素繊維束)を用い、開繊バーと炭素繊維幅規制バーとを複数回交互に通過させ、所定の炭素繊維束幅とした後、サイジング剤を付着させるサイジング処理を行い炭素繊維束を得た。使用するサイジング剤の構成成分と組成比をそれぞれ表1と表2に示した。なお、サイジング剤の使用に当たっては、水分量を調整し、サイジング剤濃度を調整した。また、サイジング剤を付着させる方式としては、サイジング剤槽にロールの一部を浸漬し、ロール表面に転写した後、ロール表面に炭素繊維束を接触させる方式で、2個のタッチロールを用い、炭素繊維束の表裏両面に対して塗布を実施するタッチロール方式を採用した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
また、表2において、各成分の重量含有率は、水溶性又は水分散性樹脂純成分の、サイジング剤の水以外の総成分量100質量%に対する配合量(質量%)、シランカップリング剤の添加量は、シランカップリング剤純成分のサイジング剤の水以外の総成分量に対する添加量(質量%)を意味する。次に、湿潤状態の炭素繊維束をロータリーカッターを用いて長さ6mmに切断し、最後に、床振動式熱風乾燥炉に連続的に投入し、150℃にて乾燥させることにより、チョップド炭素繊維束を得た。
【0052】
ペレット及び成形品の製造:
マトリックス樹脂としてポリプロピレン樹脂とこれに変性ポリプロピレン樹脂を併用し、チョップド炭素繊維束を表3に示す配合にポリプロピレン系樹脂と混合し、この混合物を250℃に加熱した二軸押出機に供給し、また、繊維状充填剤をサイドフィーダーにより溶融樹脂へ供給し混練してペレットを得た。
【0053】
得られたペレットを直径20mm、35オンスのスクリューインライン成形機で、シリンダー温度250℃、金型温度60℃にて各成形品を作製した。また、この成形品の力学的特性として、引張り物性と曲げ物性を、各々JIS K7113、JIS K7203に準拠し測定した。表3において、各略号は以下のものを表す。
PP:ポリプロピレン(出光(株)製J−5051HP)
変性PP:無水マレイン酸共重合ポリプロピレン(三菱化学(株)製マスターバッチP503)
【0054】
炭素繊維束のストランドの物性、サイジング処理条件、切断時の含水率、チョップド炭素繊維束の外観、切断長(チョップド炭素繊維束の繊維長)を表3に示す。なお、炭素繊維束のストランド物性は、JIS R7601に準拠し測定した。また、サイジング剤の付着量は、JIS R7601の抽出法に準拠し測定した。また、ペレット製造時に用いた熱可塑性樹脂の種類及びチョップド炭素繊維束の配合量、成形品の物性の評価結果を表3に示した。また、表3において、サイジング剤濃度は、サイジング剤総量に対する水以外の総成分量(質量%)、ペレット製造時の炭素繊維束の配合量は、ペレット中のチョップド炭素繊維束の配合量(質量%)を意味する。
【0055】
【表3】
【0056】
(実施例5〜6、比較例5〜8)
[ポリプロピレン系成形品及びナイロン系成形品]
実施例1〜4、比較例1〜4と同様にして、表2に示したサイジング剤を用い、サイジング剤濃度6質量%、トウ幅8mm、トウ幅/厚み比4、サイジング剤付着量2.5質量%、切断時含水量42質量%の条件にて得た切断長6mmのチョップド炭素繊維束を用い、マトリックス樹脂としてポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂をそれぞれ用い、表4に示した配合に混合し、この混合物を310℃に加熱した二軸押出機に供給し、また、繊維状充填剤をサイドフィーダーにより溶融樹脂へ供給し混練してペレットを得た。次にこのペレットを直径20mm、35オンスのスクリューインライン成形機で、シリンダー温度310℃、金型温度80℃、にて各成形品を作成した。表4において、略号は以下のものを表す。
PP:ポリプロピレン(出光(株)製J−5051HP)
N66:ナイロン66(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ノバミッド301 0SR)
【0057】
用いた炭素繊維束、サイジング剤の種類、サイジング処理条件を表4に示す。なお、炭素繊維束のストランド物性、サイジング剤の付着量の測定は、実施例1〜9と同様にして行い、また、ペレット製造時に用いたチョップド炭素繊維束の配合量、成形品の物性の評価結果を表4に示した。表4において、サイジング剤濃度はサイジング剤総量に対する水以外の総成分量(質量%)、ペレット製造時の炭素繊維束の配合量はペレット中のチョップド炭素繊維束の配合量(質量%)を意味する。
【0058】
【表4】
【0059】
(実施例7〜8)
実施例1において、原料の炭素繊維束としてポリアクリル繊維をプレカーサーとする12000本のフィラメントよりなるパイロフィルTR40又はMR40(三菱レイヨン(株)製炭素繊維束)を用い、またサイジング剤として表2に示したサイジング剤Eを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系成形品を作成し、成形品の物性の評価結果を表5に示した。
【0060】
【表5】
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性樹脂、特にポリオレフィン系樹脂との親和性に優れ、炭素繊維強化樹脂成形品の機械物性に優れた炭素繊維束を提供することができ、更に形態安定性に優れ、繊維強化複合材製造時の取り扱い性に優れ、経済性に優れたチョップド炭素繊維束を提供することができる。また、本発明は、目付けが、1.5g/m以上の太目付炭素繊維束に対して好適なるものであり、その製造工程の安定化、高品質化を実現させることができる。本発明の炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物よりなる成形品は、本発明のチョップド炭素繊維束を用いて得られたものであるので、機械物性に優れると共に、生産性、経済性に優れる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a carbon fiber bundle used as a reinforcing material for a thermoplastic resin, a chopped carbon fiber bundle and a method for producing the same, a fiber reinforced thermoplastic resin composition using the chopped carbon fiber bundle, and a molded article comprising the same. Specifically, the present invention relates to a sizing agent suitable for producing a carbon fiber bundle.
[0002]
[Prior art]
Carbon fiber is known as a reinforcing material in a fiber reinforced resin, and a composite material containing the carbon fiber is called a fiber reinforced composite material. In general, carbon fibers are bundled and subjected to a sizing treatment to attach a sizing agent mainly composed of a water-soluble or water-dispersible epoxy resin for the purpose of improving the handleability and the physical properties of the composite material. Has been. On the other hand, in a fiber reinforced composite material using a thermoplastic resin as a matrix resin, the carbon fiber bundle is usually provided in the form of a chopped carbon fiber bundle cut to a length of 5 to 15 mm, but in the form of a chopped carbon fiber bundle. In some cases, 2-5 mass% of a sizing agent that is compatible with the matrix resin is applied in order to impart convergence.
[0003]
In producing pellets by kneading a chopped carbon fiber bundle and a thermoplastic resin, it is necessary to quantitatively provide the chopped carbon fiber bundle in an extruder. For this purpose, the morphological stability of the chopped carbon fiber bundle is required. Sex is important. If the form is not appropriate, ejection spots occur, causing carbon fiber content spots. Further, since a constant extrusion speed cannot be obtained, strand breakage may occur, and the productivity of pellets may be significantly reduced. Furthermore, a material in which a thermoplastic resin of a type called a long fiber pellet is used as a matrix resin is also attracting attention. In this case, a carbon fiber bundle is put into a pellet manufacturing process in the form of a continuous bundle without being chopped. It will be. In this case, it is indispensable to attach a sizing agent to the carbon fiber bundle because fluff and fly are easily generated in the carbon fiber bundle, are easily broken, and are difficult to handle.
[0004]
On the other hand, polycarbonate resin, nylon resin, polyester resin, and the like are often used as the thermoplastic resin of the matrix resin. Recently, however, polyolefin resins are increasingly used from the viewpoint of recyclability and economy. In particular, polypropylene resin is a matrix resin that has attracted attention in recent years.
[0005]
Since the polyolefin-based resin is basically nonpolar, the interfacial adhesiveness with a reinforcing fiber such as carbon fiber or glass fiber is very poor, and the mechanical properties as a composite material are often not sufficiently exhibited. Therefore, a small amount of acid-modified polyolefin resin is added to the matrix resin to improve adhesion, or glass fiber treated with a sizing agent composed of an olefin resin and a silane coupling agent, and further, modified polypropylene is an essential component. The prescription which raises the interfacial adhesiveness with the polypropylene which is a matrix, and polyolefin resin by processing inorganic fiber, such as glass fiber, with the sizing agent which is made (refer patent document 1).
[0006]
Further, as the performance and characteristics of carbon fibers as a reinforcing material are widely recognized, carbon fibers that can be mass-produced and that are inexpensive and excellent in economic efficiency have been demanded. In particular, one of the major factors in using a polyolefin resin as a matrix resin is its low cost. Therefore, there is an extremely strong demand for lower prices for carbon fibers, and in order to realize lower prices, it is necessary to improve the production capacity per equipment or per hour. The thickening has been proposed (see Patent Document 2).
[0007]
However, the method of adding the modified polyolefin to the matrix resin requires a large amount of addition in order to improve the interfacial adhesion with the fiber as a sufficient reinforcing material, and it does not become excellent in recyclability and economy. . Therefore, a technique is excellent in which such a compound is unevenly distributed in the interfacial phase when such a binder is adhered to the surface of the fiber and combined. On the other hand, since carbon fiber does not have many hydroxyl groups like the glass fiber surface, the silane coupling agent has a considerably low efficiency of improving the interfacial adhesion and is expected to act as a central coupling agent. It is not possible. Furthermore, the filament diameter as a single fiber is 7 μm or less, which is very thin as compared with 10 to 16 μm of glass fiber. Further, the number of filaments forming the carbon fiber bundle is 12,000 or more, which is remarkably larger than that of a general glass fiber bundle of about 600. Therefore, even if the sizing agent for glass fibers is used as it is, the bundle property, draping property, and handleability of the fiber bundle are not at a sufficient level, and the interfacial adhesion after the composite is not improved as expected. It has become.
[0008]
Moreover, in the sizing agent which uses the modified polypropylene described in Patent Document 1 as an essential component, it is not yet at a level that sufficiently exhibits interfacial adhesion with an olefin resin, and is sufficient for a carbon fiber bundle. Convergence, drape, and handleability could not be imparted. Furthermore, when trying to apply thickening to the carbon fiber bundle, there are the following disadvantages.
[0009]
Although we mentioned that morphological stability is important for chopped carbon fiber bundles, the bulkiness of unit bundles increased with increasing weight, and it was in line with fiber orientation due to uneven sizing agent adhesion and bundle width expansion. There is a problem that cracking is likely to occur and it is difficult to obtain a chopped carbon fiber bundle having a uniform bundle width. Further, when the processing speed (conveying speed) in the cutting process is increased, there is a problem that as the weight becomes thicker, fluffing and winding occur frequently in the guide, the bar, etc., and the productivity is lowered. In addition, due to the occurrence of fluff, there is a possibility that the process passability at the time of compounding is deteriorated.
[0010]
[Patent Document 1]
JP-A-6-107442
[Patent Document 2]
JP 2000-248432 A
[Patent Document 3]
[0011]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made in view of such circumstances, and an object of the present invention is to provide a carbon fiber bundle treated with a sizing agent that forms good interfacial adhesion with a polyolefin resin, particularly a polypropylene resin, as a matrix resin. A chopped carbon fiber bundle having excellent shape stability, excellent handleability during the production of a fiber reinforced composite material, and excellent economic efficiency, and a carbon fiber reinforced thermoplastic resin composition and its composition It is to provide a molded article comprising:
[0012]
[Means for Solving the Problems]
The carbon fiber bundle of the present invention has an acid-modified polypropylene resin (compound a) having a number average molecular weight of 20,000 or less and an acid value measured according to ASTM D1386 of 23 to 120 mgKOH / g, a fat that is not polyoxy It is characterized by being converged with a sizing agent comprising a resin (compound b) having an epoxy group main chain and containing an epoxy group, and an olefinic thermoplastic elastomer resin (compound c) as constituent components.
[0013]
The acid-modified polypropylene resin, which is one of the constituent components of the sizing agent, is an essential component when the carbon fiber and the matrix resin are combined. When complexing, the acid group in the acid-modified polypropylene resin molecule enhances the interaction with the carbon fiber surface, while the polypropylene chain that is the skeleton is entangled with the polymer molecule if it is a matrix resin such as polyolefin. As a result, the acid-modified polypropylene resin acts as an effective coupling agent. The molecular weight of the acid-modified polypropylene resin is desirably 20000 or less, preferably 10,000 or less, and more preferably 7000 or less. When the molecular weight exceeds 20000, the mobility of the acid-modified polypropylene resin in the vicinity of the interfacial phase is insufficient, the degree of entanglement between the molecules with the matrix resin is small, and the interfacial adhesion cannot be sufficiently increased. Here, the number average molecular weight of the acid-modified polypropylene resin is measured by GPC.
[0014]
The acid value measured according to ASTM D1386 is preferably 23 to 120 mgKOH / g, preferably 29 to 90 mgKOH / g, more preferably 35 to 80 mgKOH / g. When the acid value is less than 23 mgKOH / g, the interaction with the carbon fiber surface is small and high interfacial adhesion cannot be obtained. On the other hand, when the acid value exceeds 120 mgKOH / g, the matrix resin, particularly the polyolefin resin, As a result, the entanglement with the matrix polymer molecules does not occur sufficiently, and the interfacial adhesion cannot be sufficiently increased. Specific examples of such acid-modified polypropylene resins include GF-101 (aqueous emulsion) manufactured by Yoshimura Oil Chemical Co., Ltd., Hostamont AR503, AR504 manufactured by Clariant, and the like.
[0015]
The resin (compound b) which has an aliphatic main chain which is not a polyoxy type and is an epoxy group, which is a constituent component of the sizing agent, can exhibit more excellent interfacial adhesion with the matrix resin. It is known that the epoxy group has a very strong chemical interaction with the carbon fiber surface and forms a chemical bond relatively easily. Therefore, by making it coexist with acid-modified polypropylene resin, it becomes possible to act as a more effective matrix resin and carbon fiber coupling agent. Any epoxy group-containing resin can be used without particular limitation as long as it has an aliphatic main chain that is not polyoxy.
[0016]
From the viewpoint of affinity with the polyolefin resin used as the matrix resin, the main chain of the epoxy group-containing resin is preferably an aliphatic resin having no polar part, and particularly a type having a relatively long aliphatic chain. Is more preferably used. Examples include epoxidized polybutadiene, aliphatic mono (di) glycidyl ether, dimer acid diglycidyl ester, dimer acid-modified BPA type epoxy resin, hydrogenated bisphenol A type diglycidyl ether, and aliphatic polyglycidyl ether. . Moreover, there is no restriction | limiting in particular also in an epoxy group, A glycidyl group, an alicyclic epoxy group, etc. can be used.
[0017]
In addition, the olefinic thermoplastic elastomer resin (compound c), which is a component of the sizing agent, has a relatively small molecular weight in the acid-modified polypropylene resin, and the acid-modified polypropylene resin alone cannot impart sufficient convergence to the carbon fiber bundle. This improves the problem and makes it possible to impart sufficient bundling and draping properties to the carbon fiber bundle. In addition, the olefinic thermoplastic elastomer resin can ensure sufficient affinity with the polyolefin matrix resin.
[0018]
Preferred olefin-based thermoplastic elastomers are those having a Vicat softening point of 120 ° C. or less, preferably 110 ° C. or less, more preferably 90 ° C. or less, measured according to ASTM D1525-70. In the step of attaching an aqueous sizing agent solution as a sizing agent to the carbon fiber bundle and then evaporating the water, the drying temperature is generally about 140 ° C., but at that time the olefinic thermoplastic elastomer resin is sufficiently softened. The better the convergence of the carbon fiber bundle after drying. Specific examples of such olefinic thermoplastic elastomer resins include GFE-1030 (water-based emulsion) manufactured by Yoshimura Oil Chemical Co., Ltd., TPO-M142, R110E, and T310E manufactured by Idemitsu Petrochemical Co., Ltd.
[0019]
The composition ratio of these three compounds of the sizing agent in the present invention is such that the compound a is 35% by mass or more based on the total weight of the sizing agent, Compound b Is 30% by mass or more, and compound c is preferably 20% by mass or more. As mentioned above, each compound plays an important role. Effective role The minimum abundance of each is determined for expression.
[0026]
On the other hand, as a resin (compound b) having an aliphatic main chain that is not polyoxy-based and containing an epoxy group, ethylene or a copolymer of propylene and an epoxy group-containing monomer (compound d), or ethylene or By using a copolymer (compound e) of propylene, an epoxy group-containing monomer, and an acrylate ester, a carbon fiber bundle having a polyolefin resin and better interfacial adhesion and convergence can be obtained.
[0027]
Furthermore, a silane coupling agent having an epoxy group, a vinyl group, an amino group, a methacryl group, an acrylic group or a linear alkyl group in the molecule can be added to the sizing agent. Moreover, a silane coupling agent may be used individually by 1 type, and 2 or more types can also be mixed and used for it. Among the silane coupling agents, epoxy silane, amino silane, and linear alkyl group are particularly preferable. In the epoxy silane system, the epoxy group of the silane compound is preferably a glycidyl group, an alicyclic epoxy group or the like, and as such a silane coupling agent, A-186, A-187, AZ manufactured by Nippon Unicar Co., Ltd. Specific examples thereof include -6137 and AZ-6165.
[0028]
Examples of aminosilanes include those having primary amines, secondary amines, or both. A-1100, A-1110, A-1120, Y-9669, A-1160, etc. manufactured by Nippon Unicar Co., Ltd. Is used. Examples of the linear alkyl group include those having a hexyl group, an octyl group, and a decyl group, such as AZ-6171, AZ-6177 manufactured by Nippon Unicar Co., Ltd., KBM-3103C manufactured by Shin-Etsu Silicone Co., Ltd. Specific examples.
[0029]
In the present invention, the silane coupling agent used for the treatment of the glass fiber reinforced composite material is used, but the silane coupling agent is a thermoplastic resin. Matrix resin In the carbon fiber reinforced composite material, the interfacial adhesive force is further improved. In addition, in glass fiber reinforced composite materials, it is considered to work effectively for affinity with glass fiber substrates, but in carbon fiber reinforced composite materials, it is used. Matrix resin Rather than the carbon fiber substrate Matrix resin It is inferred that it is effective in the interaction with.
[0030]
The addition amount of the silane coupling agent is 5% by mass or less, preferably 4% by mass or less with respect to 100% by mass of the total component amount (total solid content) other than water of the sizing agent. When the addition amount exceeds 5% by mass, the silane crosslinking of the silane compound proceeds, the bundled state of the carbon fiber bundle becomes hard and brittle, vertical cracks are likely to occur, and the interfacial adhesion may be further reduced. is there.
[0031]
The carbon fiber bundle of the present invention can be obtained by treating with a water-based sizing agent solution in which the constituent components of the sizing agent are dissolved or dispersed in water. In view of industrial production, it is preferable to use an aqueous sizing agent solution for safety and economy. For the purpose of dispersing the constituents of the sizing agent in water, a surfactant is used as an emulsifier. At this time, the emulsifier is not particularly limited, and an anionic, cationic, nonionic emulsifier, or the like can be used. Of these, anionic or nonionic emulsifiers are preferred. Further, when a silane coupling agent is added, a nonionic emulsifier is particularly preferable from the viewpoint of stability of the silane coupling agent in water and stability of physical properties of the fiber-reinforced thermoplastic resin material after molding.
[0032]
The method of attaching the sizing agent is not particularly limited. A touch roll method in which a part of the roll is immersed in the sizing agent and the surface is transferred, and then the carbon fiber bundle is brought into contact with the roll to attach the carbon fiber bundle. Examples include a dipping method in which the amount of adhesion is controlled by dipping directly in a sizing agent and then passing through a nip roll as necessary. In addition, the amount of the sizing agent attached to the carbon fiber bundle is not particularly limited. However, in a carbon fiber bundle having continuous fibers, the amount of the sizing agent attached to the carbon fiber bundle is 0.3 to 5 in terms of the amount of components other than water. It is preferably in the range of mass%.
[0033]
Next, the chopped carbon fiber bundle of the present invention is made by adhering the sizing agent solution, cutting it to a predetermined length, and drying it. The amount of the sizing agent attached to the carbon fiber bundle is 1 in terms of the amount of components other than water. More preferably, it is -5 mass%. The chopped carbon fiber bundle of the present invention has a carbon fiber bundle weight of 0.4 to 15 g / m, preferably 0.6 to 10 g / m, more preferably 0.8 to 8 g / m, and is cut. A chopped carbon fiber bundle having a fiber bundle width / thickness of 3 to 10 is preferable. When the basis weight of the carbon fiber bundle is less than 0.4 g / m, it is economically inconvenient, and further deteriorates the chopped carbon fiber bundle introduction process passability in the pellet manufacturing process. On the other hand, when it exceeds 15 g / m, it becomes difficult to allow the sizing agent to completely penetrate the carbon fiber bundle, and it becomes impossible to produce a chopped carbon fiber bundle having a stable shape.
[0034]
The production of the chopped carbon fiber bundle of the present invention is performed by a method in which an aqueous sizing agent is attached, cut to a predetermined length, and dried, and the sizing agent is added to the carbon fiber bundle in an amount of components other than water in an amount of 1 to 5 mass. %. If the amount of sizing agent attached is less than 1% by mass, sufficient convergence cannot be obtained in the subsequent cutting step and drying step, and fiber cracking and fluffing may occur, causing troubles when the extruder is introduced. On the other hand, if the adhesion amount exceeds 5% by mass, the focusing force becomes strong, and the subsequent process is easy to pass. However, it is difficult to uniformly disperse the resin in the extruder. There is a risk that mechanical properties are deteriorated due to dispersed spots.
[0035]
The attachment method of the sizing agent is not particularly limited, and a touch roll method in which a part of the roll is immersed in the sizing agent and the surface is transferred, and then the carbon fiber bundle is brought into contact with the roll, and the carbon fiber bundle is attached. May be directly dipped in the sizing agent, and then, if necessary, may be passed through a nip roll to control the amount of adhesion. Among them, the touch roll method is preferable, and a method in which the carbon fiber bundle is brought into contact with a plurality of touch rolls and adhered in a plurality of stages is particularly preferable from the viewpoint of controlling the amount of adhesion and the bundle width.
[0036]
After the sizing agent is attached to the carbon fiber bundle, the carbon fiber bundle in a wet state is subsequently cut into a chopped carbon fiber bundle. The cutting process utilizes the focusing effect of carbon fibers due to the surface tension of a sizing agent containing water and the absorption of shearing force at the time of cutting in a wet and soft state to prevent fiber cracking. . In the cutting process in the present invention, it is necessary to cut the carbon fiber bundle in a wet state in which the moisture content of the carbon fiber bundle is 20 to 60% by mass, preferably 25 to 50% by mass. If the moisture content is less than 20% by mass, there is a risk that fiber breakage and fluff are likely to occur during cutting. Also, if the moisture content exceeds 60% by mass, water is excessively attached to the fiber surface, so that the carbon fiber is rounded by the surface tension of the water, and the frequency of occurrence of miscuts and blade clogging during cutting. May increase. Moreover, in order to adjust a moisture content as needed, you may perform the additional adhesion process by water or a sizing agent before cutting | disconnection.
[0037]
Although there is no restriction | limiting in particular as a cutting system, A rotary cutter system etc. are suitable. The cutting length (chopped carbon fiber length) is 2 to 30 mm, preferably 4 to 24 mm, and more preferably 6 to 20 mm. In the rotary cutter method, the cutting length can be adjusted by adjusting the tooth tip interval of the apparatus to be used. When cutting with the rotary cutter method, if the fiber bundle thickness becomes too thick, the fiber bundle thickness will be cut, or the carbon fiber will be wrapped around the rotor, making it impossible to operate, and resulting in poor shape after cutting. Is more advantageous. Further, in the case of a thick-weight carbon fiber bundle having a basis weight of 1.5 g / m or more, it is important to open the carbon fiber bundle as much as possible and to uniformly attach the sizing agent to the inside of the fiber bundle. Therefore, the carbon fiber bundle after the sizing process is substantially controlled while controlling the bundle width / thickness of the carbon fiber bundle before and after the sizing process using a guide roll, a comb guide, a spreader bar, etc. It is preferable to run so that there is no twist.
[0038]
A chopped carbon fiber bundle that has been cut short is liable to be longitudinally cracked along the fiber orientation when the bundle width is widened, and it tends to be difficult to maintain its form during use or after use. This is particularly noticeable in thick-weight carbon fiber bundles, but the present inventors added a sizing agent having a large film strength, particularly a film elongation, by adding an elastomer component to the sizing agent component. The shape stability of the thick-weighted carbon fiber bundle can be effectively maintained.
[0039]
That is, it is preferable to control the bundle width so that the bundle width is extremely narrow so as not to have a circular cross section or an elliptical cross section, specifically, the bundle width / thickness is 3 or more, preferably 3 to 10. . Generation | occurrence | production of the miscut in the cutting process with a rotary cutter can be suppressed as bundle width / thickness is 3 or more. Further, if the bundle width / thickness exceeds 10, miscutting at the time of cutting becomes difficult to occur, but the thickness becomes too thin and carbon fiber bundles are liable to be longitudinally cracked after cutting, and the subsequent process passability deteriorates. There is a fear. In addition, in order to widen and cut thick carbon fiber bundles as thin as general-purpose types, the number of carbon fibers that can be processed at the same time decreases, and in order to compensate for the decrease, it is necessary to widen the cutter or increase the processing speed. As a result, there is a risk of reducing the load on the facility and the production efficiency.
[0040]
Therefore, it is preferable to control the bundle width of the carbon fiber bundle by adjusting the width of the guide attached to the rotary cutter so that the bundle width / thickness is 3 to 10. As a matter of course, the carbon fiber bundle has a wider width in the thick carbon fiber bundle, and the fiber bundle is folded in the guide of the rotary cutter. It is desirable to do.
[0041]
Next, the cut chopped carbon fiber bundle is dried, and examples of the drying method include a hot air drying method. When the hot air drying method is employed, it is preferable to perform drying while transporting in a vibrated state in order to improve moisture evaporation efficiency and prevent adhesion between chopped carbon fiber bundles. In addition, when the vibration at the time of drying is too strong, it becomes easy to generate | occur | produce a fiber crack, and the ratio of the chopped carbon fiber bundle whose bundle width / thickness is less than 3 increases. On the other hand, if the vibration is too weak, pseudo-bonding between the fibers occurs, resulting in a dumpling shape. Therefore, it is necessary to set an appropriate vibration condition. In addition to shaking the chopped carbon fibers, it is more preferable to vibrate and dry while transporting the mesh diaphragm to improve the flow of hot air. In order to improve the drying efficiency, auxiliary means such as infrared radiation can be used in combination.
[0042]
In the production of the chopped carbon fiber bundle of the present invention, the carbon fiber bundle to be sized may be already sized in the production process or may be sized. According to the present invention, it is possible to provide a chopped carbon fiber bundle that is excellent in shape stability and excellent in handleability during the production of a fiber-reinforced composite material. The present invention is particularly effective for obtaining a thick chopped carbon fiber bundle having a basis weight exceeding 1.5 g / m, and can stabilize the manufacturing process and improve the quality, and can be used for mass production. Thus, it is possible to provide a chopped carbon fiber bundle that is inexpensive and excellent in economic efficiency.
[0043]
A carbon fiber reinforced thermoplastic resin composition can be obtained by kneading with a thermoplastic resin as a matrix resin using the chopped carbon fiber bundle of the present invention. In kneading the chopped carbon fiber bundle into the thermoplastic resin, it is preferable to supply the chopped carbon fiber bundle to an extruder, knead with the thermoplastic resin, and pelletize the pellet. Moreover, the carbon fiber reinforced thermoplastic resin composition of the present invention can be molded by a known molding method such as an injection molding method to provide a molded product (fiber reinforced composite molded product) having an arbitrary shape.
[0044]
In preparing the thermoplastic resin composition of the present invention, the chopped carbon fiber bundle of the present invention is preferably blended in an amount of 3 to 60 mass%, preferably 5 to 50 mass%, based on the total weight of the composition. By blending 3% by mass or more of the chopped carbon fiber bundle, the effect of improving the mechanical properties of the molded product is remarkably exhibited. On the other hand, if it exceeds 60% by mass, no further significant improvement effect can be obtained, the process stability at the time of pellet production is lowered, the fiber content unevenness of the pellet is generated, and the quality stability of the molded product is deteriorated. There is a fear.
[0045]
The thermoplastic resin used as the matrix resin in the present invention is not particularly limited, but a polyolefin resin is optimal from the viewpoint of affinity with the olefin compound that is the main component of the sizing agent. Resin, ABS resin, AS resin, polyoxymethylene resin, polyphenylene sulfide resin, polyethersulfin resin, polyetherimide resin, nylon resin, polyester resin, and a resin selected from the group of these alloy resins preferable. In particular, when a polyolefin-based resin is used as a matrix, a small amount of various modified polyolefin resins may be added for the purpose of further improving mechanical properties.
[0046]
Since the molded article made of the carbon fiber reinforced thermoplastic resin composition of the present invention is obtained using the chopped carbon fiber bundle of the present invention, it is excellent in mechanical properties, and in productivity and economy.
[0047]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be specifically described by way of examples.
[0048]
(Example 1-4 Comparative Examples 1 to 4)
[Polypropylene molded products]
Production of chopped carbon fiber bundles:
As a raw material carbon fiber bundle, a pyrofil TR30S-12L or TR30L-50L (carbon fiber bundle manufactured by Mitsubishi Rayon Co., Ltd.) made of 12,000 or 50,000 filaments using polyacrylic fiber as a precursor is used. A carbon fiber bundle was obtained by alternately passing through a fiber width regulating bar a plurality of times to obtain a predetermined carbon fiber bundle width and then performing a sizing treatment to attach a sizing agent. Sizing agent used Table 1 and Table 2 show the components and composition ratios, respectively. In using the sizing agent, the amount of water was adjusted and the concentration of the sizing agent was adjusted. In addition, as a method of attaching the sizing agent, after immersing a part of the roll in the sizing agent tank and transferring it to the roll surface, using the two touch rolls, the carbon fiber bundle is brought into contact with the roll surface. A touch roll method was adopted in which coating was performed on both the front and back surfaces of the carbon fiber bundle.
[0049]
[Table 1]
[0050]
[Table 2]
[0051]
In Table 2, the weight content of each component is the amount of the water-soluble or water-dispersible resin pure component based on the total amount of the sizing agent other than water of 100% by mass (% by mass), the silane coupling agent The addition amount means the addition amount (% by mass) with respect to the total component amount other than water of the sizing agent of the pure component of the silane coupling agent. Next, the carbon fiber bundle in a wet state is cut into a length of 6 mm using a rotary cutter, and finally, it is continuously put into a floor vibration type hot air drying furnace and dried at 150 ° C., thereby chopped carbon fiber. Got a bunch.
[0052]
Manufacture of pellets and molded products:
A polypropylene resin and a modified polypropylene resin are used in combination as a matrix resin, a chopped carbon fiber bundle is mixed with a polypropylene resin in the formulation shown in Table 3, and the mixture is supplied to a twin-screw extruder heated to 250 ° C. The fibrous filler was supplied to the molten resin by a side feeder and kneaded to obtain pellets.
[0053]
Each of the obtained pellets was produced using a screw in-line molding machine having a diameter of 20 mm and a diameter of 35 ounces at a cylinder temperature of 250 ° C. and a mold temperature of 60 ° C. Further, as the mechanical properties of the molded product, tensile properties and bending properties were measured in accordance with JIS K7113 and JIS K7203, respectively. In Table 3, each abbreviation represents the following.
PP: Polypropylene (Idemitsu Co., Ltd. J-5051HP)
Modified PP: Maleic anhydride copolymerized polypropylene (Masterbatch P503, manufactured by Mitsubishi Chemical Corporation)
[0054]
Table 3 shows the physical properties of the strands of the carbon fiber bundle, the sizing treatment conditions, the moisture content at the time of cutting, the appearance of the chopped carbon fiber bundle, and the cut length (fiber length of the chopped carbon fiber bundle). The strand physical properties of the carbon fiber bundle were measured according to JIS R7601. Moreover, the adhesion amount of the sizing agent was measured according to the extraction method of JIS R7601. Table 3 shows the evaluation results of the types of thermoplastic resins used in the pellet production, the blended amount of the chopped carbon fiber bundle, and the physical properties of the molded product. In Table 3, the sizing agent concentration is the total amount of components other than water (mass%) with respect to the total amount of the sizing agent, and the blending amount of the carbon fiber bundle at the time of pellet production is the blending amount (mass of the chopped carbon fiber bundle in the pellet). %).
[0055]
[Table 3]
[0056]
(Example 5-6 Comparative Examples 5-8)
[Polypropylene molded products and nylon molded products]
Example 1-4 In the same manner as in Comparative Examples 1 to 4, the sizing agent shown in Table 2 was used, the sizing agent concentration was 6% by mass, the tow width was 8 mm, the tow width / thickness ratio was 4, the sizing agent adhesion amount was 2.5% by mass, and the cutting. Using a chopped carbon fiber bundle having a cutting length of 6 mm obtained under conditions of a moisture content of 42% by mass, using polypropylene resin and nylon resin as matrix resins, respectively, and mixing them in the composition shown in Table 4, this mixture was 310 ° C. The mixture was supplied to a twin-screw extruder heated to 1 and the fibrous filler was supplied to the molten resin by a side feeder and kneaded to obtain pellets. Next, each molded product was produced from the pellets with a screw in-line molding machine having a diameter of 20 mm and a diameter of 35 ounces at a cylinder temperature of 310 ° C. and a mold temperature of 80 ° C. In Table 4, abbreviations represent the following.
PP: Polypropylene (Idemitsu Co., Ltd. J-5051HP)
N66: Nylon 66 (Mitsubishi Engineering Plastics Novamid 3010SR)
[0057]
Table 4 shows the carbon fiber bundles used, types of sizing agents, and sizing treatment conditions. In addition, the measurement of the physical property of the strand of the carbon fiber bundle and the adhesion amount of the sizing agent was performed in the same manner as in Examples 1 to 9, and the blended amount of the chopped carbon fiber bundle used at the time of pellet production and the evaluation of the physical property of the molded product The results are shown in Table 4. In Table 4, the sizing agent concentration is the total amount of ingredients other than water (% by mass) relative to the total amount of the sizing agent, and the amount of carbon fiber bundles at the time of pellet production means the amount of chopped carbon fiber bundles (% by mass) in the pellets. To do.
[0058]
[Table 4]
[0059]
(Example 7-8 )
In Example 1, Pyrofil TR40 or MR40 (carbon fiber bundle manufactured by Mitsubishi Rayon Co., Ltd.) made of 12,000 filaments using polyacrylic fiber as a precursor is used as a raw material carbon fiber bundle, and the sizing agent is shown in Table 2. A polypropylene-based molded product was prepared in the same manner as in Example 1 except that the sizing agent E was used. Table 5 shows the evaluation results of the physical properties of the molded product.
[0060]
[Table 5]
[0061]
【The invention's effect】
According to the present invention, it is possible to provide a carbon fiber bundle that is excellent in affinity with a thermoplastic resin, particularly a polyolefin resin, and excellent in mechanical properties of a carbon fiber reinforced resin molded product, and further excellent in shape stability. It is possible to provide a chopped carbon fiber bundle that is excellent in handling at the time of manufacturing a fiber-reinforced composite material and excellent in economic efficiency. In addition, the present invention is suitable for a thick-weight carbon fiber bundle having a basis weight of 1.5 g / m or more, and can stabilize the production process and improve the quality. Since the molded article made of the carbon fiber reinforced thermoplastic resin composition of the present invention is obtained using the chopped carbon fiber bundle of the present invention, it is excellent in mechanical properties, and in productivity and economy.
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