JP4336757B2 - 応力センサ装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パーソナルコンピュータ用ポインティングディバイスや、各種電子機器用多機能スイッチ等に用いることができる応力センサ装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歪みゲージが配された基板が回路板に固定されてなる応力センサ装置については、特開2000−267803号公報にその開示がある。その構造は、図7に示すように基板21の下面と印刷回路板22とを固着させているのははんだ23のみとなっている。またこのはんだ23は8箇所に配され、歪みゲージ(抵抗体)24から印刷回路板22への電気接続部を兼ねている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記構造を採用することにより、図7(a)のようにポスト25へx軸方向の応力を付与した場合、及び同図(b)のようにポスト25へz軸方向の応力を付与した場合のいずれも、当該応力がはんだ23のみからなる電気接続部へ直接に付与されることとなる。これは長期間に亘り繰り返して前記応力を付与した場合、はんだ/基板界面及びはんだ/印刷回路板界面における剥離の発生が懸念される。当該剥離が生じると、基板21と印刷回路板22との電気接続を阻害することとなる。
【0004】
そこで本発明が解決しようとする課題は、歪みゲージが配された基板が回路板に固定されてなる応力センサ装置において、長期間に亘る使用に対しても前記基板と回路板との電気接続をより確実に維持することができる応力センサ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の歪みゲージ8が配された基板1が回路板2に固定されてなる応力センサ装置の第1の構成は、基板1と回路板2とが直接接触する部分を有するよう固着され、且つ前記歪みゲージから回路板2への電気接続が、基板1上面、基板1下面、基板1側面、基板1スルーホール内壁面、電気線から選ばれる1以上を経由して為されることを特徴とする。
【0006】
また上記課題を解決するため、本発明の歪みゲージ8が配された基板1が回路板2に固定されてなる応力センサ装置の第2の構成は、基板1と回路板2とが歪みゲージ8から回路板2への電気接続に関与しない部材で固着され、且つ歪みゲージ8から回路板2への電気接続が、基板1上面、基板1下面、基板1側面、基板1スルーホール内壁面、電気線から選ばれる1以上を経由して為されることを特徴とする。
【0007】
また上記課題を解決するため、本発明の歪みゲージ8が配された基板1が回路板2に固定されてなる応力センサ装置の第3の構成は、基板1が回路板2面の第1の凹部4に嵌合状態で固着され、且つ歪みゲージ8から回路板2への電気接続が、基板1上面、基板1下面、基板1側面、基板1スルーホール内壁面、第1の凹部4内側面、電気線から選ばれる1以上を経由して為されることを特徴とする。
【0008】
これら第1〜3の構成では、基板1と回路板2とを接続、固定しているのは電気接続部5のみとなっていない。従って付与された応力が電気接続部5以外の部分へ分散される。このため同じ用途での長期間に亘る使用に対して、基板1と回路板2との電気接続をより確実に維持することができる。
【0009】
例えば本発明の第1及び第2の構成の例を図1(a)に示した。これはポスト6に応力を付与することにより基板1を撓ませ、歪みゲージ8を伸張・収縮させて前記応力の大きさ、方向等を検出する応力センサ装置の例である。基板1と回路板2の接触領域には接着剤等(図示しない)の歪みゲージ8から回路板2への電気接続に関与しない部材が配され、両者が固定されている。また歪みゲージ8からは、基板の下面(図1(a)において歪みゲージ8が配されている面)から基板スルーホール(図示しない)、基板の上面、及び基板の側面を経由して回路板2まで伸びる電気接続部5を有している。
【0010】
ここでポスト6を通じて基板1に付与された応力の殆どは、実質的に前記接着剤及び回路板2の上面(基板1と接触する面)に分散され、電気接続部5には殆ど応力が付与されない。また仮に前記接着剤を使用せずに、電気接続部5のみが基板1と回路板2とを固定する部材である場合でも、ポスト6を通じて基板1に付与された応力は回路板2の上面に分散されるため、電気接続部5に応力が集中することは無い。このためこの場合でも、同じ用途での長期間に亘る使用に対して、基板1と回路板2との電気接続を従来に比して確実に維持することができる。
【0011】
特に応力センサ装置の用途が、パーソナルコンピュータのキーボードのキー13の隙間に配されたポインティングディバイスの場合、通常図2に示すようにユーザはポスト6の支柱側面に触ることができないため、基板1面と平行方向(x、y方向)の方向指示の際には、ポスト6の頂面に指先15を当てて、下側(z方向)へ押しつけながらx、y方向へ指15をずらす操作をする。又はz方向への応力付与のみに特別な機能、例えばマウスのクリックと同じ機能を設定している場合もあり、この場合は略z方向のみに応力が付与される操作がなされる。これらのような操作をする場合には回路板2上面がz方向の応力の多くを受けることとなる。そのため電気接続部5へはユーザの付与した応力のごく僅かが伝わることとなる。従って仮に前記接着剤を使用せずに、電気接続部5のみが基板1と回路板2とを固定する部材である場合でも、長期間に亘る使用に対して、基板1と回路板2との電気接続を従来に比して確実に維持することができる。
【0012】
本発明の第3の構成例を図1(b)に示す。ここでは回路板2が掘削等の機械加工により形成した第1の凹部4を有しており、第1の凹部4に基板1が嵌合している以外は上記した本発明の第1及び第2の構成と全く同じ構成である。ここでポスト6を通じて基板1に付与された応力の殆どは、接着剤及び第1の凹部4の底面及び側面に分散され、電気接続部5には殆ど応力が付与されない。また仮に前記接着剤を使用せずに、電気接続部5のみが基板1と回路板2とを固定する部材である場合でも、ポスト6を通じて基板1に付与された応力は、第1の凹部4の底面及び側面に分散されるため、電気接続部5に応力が集中することは無い。この第3の構成の場合、第1及び第2の構成に無い第1の凹部4の側面への応力の分散があるため、第1及び第2の構成よりも応力分散効果が大きく、電気接続部5への応力負担がより低減できる。特に前述した図2におけるx、y方向への応力付与の際には、殆どの応力が第1の凹部4側面及び底面に分散され、残りの僅かな応力を電気接続部5が負担することとなると考えられる。従って第3の構成は、同じ用途での長期間に亘る使用に対して、基板1と回路板2との電気接続を第1及び第2の構成よりも更に確実に維持することができる。
【0013】
第1の構成において、「基板1と回路板2とが直接接触する部分を有するよう」とあるが、これは対向する基板1面と回路板2面の全てが直接接していなくともよく、前述した応力分散効果が得られる程度に接する箇所があればよいことを意味する。また第1の構成において、「固着され」とあるが、固着手段の具体例は、電気接続部5を兼ねるはんだや、フラットケーブル等の電気線の張力を利用した固着等も含まれる。
【0014】
第2の構成において、「電気接続に関与しない部材で固着」とあるが、この具体例は前述した接着剤等である。この場合使用できる接着剤は、非導電性接着剤や、応力センサの電気特性に影響を与えないように配置された導電性接着剤である。これら非導電性接着剤、導電性接着剤に含まれる接着剤は、例えばエポキシ系、アクリル系、シリコーン系、ゴム系等である。また接着剤を用いず、機械的手段で固着させてもよい。ここで機械的手段の具体例は、後述する図4(b)のように回路板2の壁面溝に基板1を嵌め込んで固定する等である。
【0015】
第3の構成において、「第1の凹部に嵌合状態で固着」とあるが、ここで言う嵌合状態とは、必ずしも基板1の全ての端部が第1の凹部4の側面に接している状態を言うのではなく、基板1の回路板2の側面に沿った2以上の方向への移動を抑制する程度に基板1の端部が第1の凹部4の側面に接している状態を言う。またここで言う固着の手段は、(1)基板1と回路板2との接触箇所における接着剤による固定、(2)基板1と回路板2との電気接続のためのはんだによる固定、(3)(1)の接着剤と(2)のはんだとの併用による固定、(4)基板1と第1の凹部4の側面との接触圧を高く維持することによる固定等がある。
また、ここで第1の凹部4の形成法としては、旋盤等を用いた機械加工等がある。その他、回路板2がエポキシ系等の積層板である場合、量産性に優れる手法としては、異なる大きさの穴を有する2枚の積層板を、当該穴の中心位置を対応させた状態で更にその2枚の積層板を積層、つまり加熱してプレス加工する等が好適である。
【0016】
また第1〜第3の構成において、「歪みゲージから回路板への電気接続が、基板の上面、基板の下面、基板の側面、基板のスルーホール内壁面、電気線から選ばれる1以上を経由して為される」とあるが、製造の容易さ、コスト等の面を考慮すると、電気接続の経由箇所は少ない方が有利である。特に基板1の側面を電気接続の経由箇所とするためには、それを実現するためだけの設備や工程が必要となる場合がある。またフラットケーブルのような電気線による電気接続は、作業工程の自動化が他の手段に比して困難である。従って基板1の上面、基板1の下面のどちらか一方又は両方及び必要に応じて基板のスルーホール内壁面を経由する電気接続手段とするのが好ましい。但し、電気線や基板1の側面を経由する電気接続としても良いことは勿論である。
【0017】
また第3の構成において、電気接続経路の一つに第1の凹部4の内側面を挙げている。これは例えば、基板1の上面が回路板2の上面よりも下に位置した場合には第1の凹部4の側面に電気接続経路を形成する必要があることを考慮したことによる。第1の凹部4の内側面は、上記基板1の端部と同様、電気接続経路を形成するのが比較的困難であるが、必要に応じて導体ペーストを塗布する等で対応することができる。
【0018】
第1〜3の構成において、回路板2に、基板1の下向きへの撓みを許容する第2の凹部7若しくは穴3を有することが好ましい。この理由は、応力センサ装置において、下向き(z方向)への応力付与に何らかの機能を付与することにより、多機能化が図れるためである。例えば図2に示したようなコンピュータのポインティングディバイスとして本発明の応力センサ装置を使用した場合、いわゆるマウスをクリックする機能を前記下向きへの応力付与に対応させることができる。また、いわゆる携帯電話等の小型携帯機器用の多方向スイッチとして本発明の応力センサ装置を使用した場合には、所定時間下向きへの応力付与をしたときに当該携帯機器の電源のオン・オフの命令に対応させる等が可能である。回路板2に穴3を形成する手段としては、公知の穴開け加工が適していると考えられる。また回路板2に第2の凹部7を形成する手段としては、掘削等の機械加工が適していると考えられる。また、この場合歪みゲージ9から回路板2への電気接続経路は、基板1の上面、基板1の下面、基板1の側面、基板1のスルーホール11の内壁面、第2の凹部7の内壁面、穴3の内壁面、電気線、第3の構成の場合はそれに加えて第1の凹部4の内側面から選ばれる1以上となる。
【0019】
また第3の構成及びそれを基本とした好ましい構成において、嵌合状態で回路板2の面と、基板1の上面とが実質的に一平面上にあることが更に好ましい。この理由は図1(b)に示すように基板1の側面及び第1の凹部4の内側面を経由しないで電気接続部5の形成が可能となるためである。これは前述のように、基板1の側面や第1の凹部4の内側面を経由する電気接続部5の形成は比較的困難であることを考慮したことによる。
【0020】
また第3の構成及びそれを基本とした好ましい構成において、嵌合状態で基板1が回路板2の面に沿って回転不可能であることが更に好ましい。その理由は、基板1が回転してしまうと、電気接続部5を形成する際にその作業性の面で不利なためである。
【0021】
また第3の構成及びそれを基本とした好ましい構成において、基板1面の歪みゲージレイアウトが、基板1面に沿った180°の回転によっても等価であり、且つ基板1の外形が基板1面に沿った180°のみの回転により同外形であることが好ましい。その理由は、基板1を回路板2の第1の凹部4へ嵌合する作業をする際に、基板1の方向を気にすることなく作業が可能であり、製造工程への負担を小さくできるためである。ここで基板1の外形は例えば長方形、平行四辺形、ひし形、楕円等である。またここで、基板1の外形は極力正方形や円形に近い形状が更に好ましい。その理由は、基板1の外形がそれに付与した応力の方向によって撓みやすい又は撓みにくい特性を有すると、応力センサ装置の制御部に負担をかけるためである。またここで、基板1面に沿った90°の回転によっても等価な歪みゲージレイアウトである場合、基板1の外形は正方形であることが更に好ましい。
【0022】
また第1〜3の構成及びそれを基本とした好ましい構成において、基板1の一方の面に、樹脂又は繊維強化樹脂からなるポスト6が固着されることが更に好ましい。ポストの材質としては、セラミックが従来からあったが、セラミックは焼結工程時に多大なエネルギーを要する上に、成形時の形状によっては焼結時にヒビが入る場合がある等の不都合がある。それに対し樹脂又は繊維強化樹脂は、成形性に優れ、且つ硬化温度がセラミックの焼結温度に比して非常に低く、エネルギー消費が少なく、且つ前記のようなヒビも入りにくいためである。
【0023】
また本発明の応力センサ装置の製造方法は、縦横に多数の分割用溝を有する大型の基板に対し、当該分割溝で囲まれた一区画内に一つの応力センサとして機能するに必要な歪みゲージ8を形成する第1の工程と、前記分割用溝に沿って大型の基板を分割し、個々の応力センサとする第2の工程と、表面に第1の凹部4を有する回路板2の第1の凹部4へ前記応力センサを嵌合する第3の工程と、回路板2の表面のランドと、歪みゲージ8との電気接続をする第4の工程とをこの順に実施し、歪みゲージ8と対応する基板1面位置にポスト6を固定する工程を、第1の工程後第2の工程前、第2の工程後第3の工程前、第3の工程後第4の工程前、又は第4の工程後に実施することを特徴とする。
【0024】
この本発明の製造方法において、歪みゲージ8の形成は例えばスクリーン印刷法等の厚膜技術や、スパッタリング、蒸着、CVD等の薄膜技術による。この場合、一度の膜形成工程により多数の応力センサ用歪みゲージが形成可能であり、量産時に有利となる。また歪みゲージ8と対応する基板1面位置にポスト6を固定する工程(第5の工程)は、ポスト6の耐熱性や取扱い性、製造工程の効率等を考慮して適宜その工程実施時期を選択する。例えば耐熱性に優れたセラミック製ポスト6である場合、比較的高温下に曝されるおそれのある第4の工程前に第5の工程を実施しても何ら問題は無い。ここで、第4の工程が比較的高温下に曝されるおそれがある理由は、電気接続をはんだリフローにより実施する場合があるためである。また、第5の工程を同時期に全て終了させた方が、効率的である場合には、大型の基板を分割させる第2の工程前に実施した方が有利である。またポスト6を挟持して第3の工程を実施した方が基板1の取扱い性が向上する場合にも同様に第5の工程を第2の工程前に実施した方が有利である。
【0025】
【発明の実施の形態】
一辺がその隣り合う辺よりも3%長い長方形の形状を1単位とし、それが多数のスルーホール11の中心を通る分割用溝で縦横に区切られて存在する、大型のアルミナ製基板1を用意する。まず図3に示す各基板1の下面にAg−Pd系の導体ペーストをいわゆるスルーホール印刷(スクリーン印刷技術)により形成し、それを焼成する。次に基板1の上面の各スルーホール11近辺に同様にスルーホール印刷により導体9を形成し、それを焼成する。更に酸化ルテニウム系の抵抗体ペーストを図3に示すレイアウトとなるよう基板1下面にスクリーン印刷し、焼成して抵抗体10を得る。次いで4つの抵抗体10それぞれに対し一定の抵抗値になるようレーザトリミングを施す。その後抵抗体10を覆うようにシリコーン系樹脂を更にスクリーン印刷し、硬化工程を経て保護膜(図示しない)を得る。これで基板1面に沿った180°の回転によっても等価な歪みゲージ8のレイアウトを有する応力センサの集合体が得られる。また各歪みゲージ8からの電気接続経路は、基板1の下面からスルーホール11の内壁面を経由して基板1の上面に至る経路となる。
【0026】
そして各応力センサに対し、ポリビニルテレフタレート(PVT)を成形したポスト6をその底面が前記基板1上面に当接するよう、且つ抵抗体10と略対応する位置にポスト6底面の4辺がそれぞれ位置するようエポキシ系接着剤で固定する。前記PVTは、剛性に優れるため付与された応力を正確に伝達できる利点、またリフロー工程にも絶えられる耐熱性を有している利点を有しているため、特に好適に使用できる。
【0027】
その後上記基板1の分割用溝に沿って大型の基板1を分割して、多数の1単位(個々)の基板1を有する応力センサを得る。
【0028】
回路板2はエポキシ系樹脂を主成分とする印刷回路板である。それに対し打ち抜き加工により正方形の穴3を開け、更に機械加工により深さが基板1の厚みと同じ第1の凹部4を形成した。このとき穴3は、4つの歪みゲージ8の配置による四角形よりも明らかに大きく、且つ第1の凹部4の最外輪郭は、基板1の各辺サイズと略同等とした。
【0029】
図1(b)に示すように、上記個々の応力センサに係る基板1を回路板2へ嵌合する。それに先立ち、第1の凹部4の底面及び側面には、エポキシ系の接着剤を配し、基板1と回路板2を固着させる。その後図3における基板1上面の導体9における、前記嵌合状態で回路板2の上面と近接又は接触する部分、つまりスルーホール11部分以外の導体9と、回路板2面のランドとをはんだ付けにより電気接続する。
【0030】
その後回路板2上には応力センサ制御に必要な電子部品等が実装され、本発明の応力センサ装置を得る。
【0031】
以下、本発明の実施の形態の他の例を説明する。
図4(a)は、第1の凹部4を穴3の縁をいわゆる面取りする機械加工により形成した形態である。この場合電気接続部5は、導電性接着剤で形成するのが好ましい。この例の一つ目の利点は、基板1を第1の凹部4に嵌合する工程が容易になることである。すなわち、回路板2は基板1の外形寸法よりも大きい開口部を有することになり、多少の嵌め込み時の位置ずれが許容される。この例の二つ目の利点は、回路板2の加工が図1(b)の第1の凹部4の形成時よりも容易な点である。特に回路板2の厚さが薄い場合、加工の容易さが重要な要因となり、図4(a)の利点が発揮される。またこの例の3つめの利点は、第1の凹部4の存在のため穴3がテーパー状となり、それにより基板1を下方に予め少し押し付けることで、基板1端部と第1の凹部4側面との圧接力が高まることである。これにより、ユーザがポスト6を通して基板1へ応力付与した場合の応力分散効果が高まる。
【0032】
図4(b)は、回路板2の壁面溝に基板1を嵌め込んで固定する形態である。又は回路板2がプリプレグを積層したものをプレスして作製されたものである場合、そのプレス前に基板1をプリプレグ間に挟んでおき、その後プレスして回路板2と基板1とを固定した形態である。この形態の利点は、回路板2と基板1との固定の確実性向上にある。
【0033】
図4(c)は、第1の凹部4に基板1が嵌合されており、且つ回路板2の上面よりも基板の1上面が上に位置している形態である。これは基板1の厚さが通常よりも厚い場合や、回路板2が通常よりも薄い場合にこのような形態となる。
【0034】
図4(d)は、第2の凹部7を有する形態である。第2の凹部7の形成法は、第1の凹部4の形成法と同手法でなされ得る。
【0035】
図4(e)は、基板1の上面に歪みゲージ8が配された形態である。この形態の利点は、歪みゲージ8から回路板2への電気接続経路を基板1の上面のみとし得ることである。これにより導体形成工程を省略でき、またスルーホール11を有する大型基板を用いる必要もない。一般的にスルーホール11を有する大型基板は、その製造に際して困難性を有し、またそのためコスト高となる面を有している。本実施の形態では、それら不利な点を解消できている。
【0036】
図4(f)は、基板1上面に歪みゲージ8が配され、尚且つ歪みゲージ8の一部がポスト6底部と重なり合って位置している形態である。この形態は、図4(e)で述べた利点に加え、歪みゲージ8の感度を高めることができる利点を有している。その理由はポスト6に与えられた応力が基板1を介さずに略直接歪みゲージ8を刺激するためである。
【0037】
図4(g)は、図4(f)において、穴3を省略した形態である。ポスト6への下向き(z方向)への応力付与を感知するには、例えば図1(b)の構成では基板1を撓ませて全ての歪みゲージを同様(抵抗値が一斉に高くなる)に刺激する。穴3は基板1の撓みを許容する役割をしていた。しかしポスト6底面が直接歪みゲージ8を刺激可能な形態では、歪みゲージ8の特性値解析・制御の手段によっては、必ずしも基板1を撓ませる必要がない場合がある。その場合、本形態とすることが可能となる。
【0038】
図4(h)は、図4(g)において第1の凹部4を省略した形態である。この形態は回路板2への加工が必要無い利点がある。
【0039】
図4(i)は、回路板2の底面に第1の凹部4を形成し、そこに基板1を嵌合した形態である。ここでは接着剤等での基板1と回路板2との固定が必須となると考えられる。この形態の利点は、基板1の下面に歪みゲージ8を形成した場合でも、図4(e)の説明で記した、歪みゲージ8から回路板2への電気接続経路を基板1の上面のみとし得る効果を得ることができる点である。この利点を得るためには、図4(a)の形態において、基板1の下面を極力回路板2の底面まで近づける方法もある。
【0040】
図4(j)は、図4(i)において、第1の凹部4を省略した形態である。この形態は回路板2への加工が必要無い利点がある。
図4(k)は、図4(a)において、基板1端面が回路板2の第1の凹部4側面と略密着する嵌合が可能な形状であり、且つ回路板2下面と基板1下面とが1平面上に存在した形態である。この形態の利点は、第1の凹部4がテーパー状となっていることに起因する嵌合作業の容易化、及び第1の凹部4側面と略密着する嵌合が可能であることから、基板1が第1の凹部4に供給された後の基板1の傾き等の位置ずれ現象を抑制できる点にある。更に電気接続部5の形成が図4(e)と同程度に容易であるとともにスルーホール11を有する基板1を使用する必要が無いなどの利点がある。
【0041】
図5は応力センサの上面図であり、八角形の基板1と、四角形の穴3及び外形が四角形の第1の凹部4を組合せた場合の形態を示している。ここで第1の凹部4の外側が回路板2である。また歪みゲージは基板1の下面、つまりポスト6が配されているのと逆の面に配されている。同図(a)と(b)とを比較すると、同じ外形寸法の基板1、穴3及び第1の凹部4、更にはポスト6、歪みゲージ8の組合せであっても、(a)に比して(b)は感度が高いと考えられる。その理由は、(b)は基板1が撓みやすい方向(前記四角形の対角線方向)に歪みゲージ8が配されているためである。このように限られた領域で感度の高い応力センサ装置を設計する場合には、(b)の設計を選択することができる。
【0042】
図6は本発明で適用できる、図3とは別の歪みゲージ8のレイアウト例を示している。図3のレイアウトとは、180°の回転によっても等価なレイアウトとなる点で共通する。ただしポスト6に応力を付与した場合に伸縮する、歪みゲージ8の方向が図3のレイアウトでは電流進行方向であるのに対し、図6のレイアウトでは電流進行方向に対し垂直である点で相違する。そのため応力に対する感度は図3に比して図6の方が劣る。但し、図3のレイアウトでは、トリミング溝(図示しない)が歪みゲージ8の伸縮によって開閉するため、歪みゲージ8の抵抗値の可逆性が劣る欠点を有していた。その点、図6のレイアウトの場合、歪みゲージ8の伸縮がトリミング溝13に与える影響が極めて小さく、非常に良好な抵抗値可逆性を有する利点がある。本発明の応力センサ装置の設計に際し、使用材料やその他の条件により図3又は図6のレイアウトを適宜選択することができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明により、歪みゲージ8が配された基板1が回路板2に固定されてなる応力センサ装置において、長期間に亘る使用に対しても基板1と回路板2との電気接続をより確実に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の(a)第1、(b)第3の構成における応力センサ装置の構成例の概略図である。
【図2】応力センサ装置をパーソナルコンピュータのポインティングディバイスに用いた場合の使用状態を示す図である。
【図3】基板面に形成された歪みゲージ基板のレイアウトを示す図であり、(a)は下面を示し、(b)は上面を示す。
【図4】本発明の実施の形態の各種構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態の歪みゲージ基板のレイアウト例であって、基板と回路板の穴、第1の凹部の組合せを示す図である。
【図6】歪みゲージレイアウトを示す拡大図である。
【図7】従来の応力センサ装置の構造及び動作状態を示す図である。
【符号の説明】
1.基板
2.回路板
3.穴
4.第1の凹部
5.電気接続部
6.ポスト
7.第2の凹部
8.歪みゲージ
9.導体
10.抵抗体
11.スルーホール
13.キー
15.指(先)
Claims (7)
- 歪みゲージが配された基板が回路板に固定されてなる応力センサ装置において、
前記基板が前記回路板面の第1の凹部に嵌合状態で固着され、且つ前記歪みゲージから回路板への電気接続が、基板の上面、基板の下面、基板の側面、基板のスルーホール内壁面、第1の凹部内側面、電気線から選ばれる1以上を経由して為されることを特徴とする応力センサ装置。 - 回路板に、基板の下向きへの撓みを許容する第2の凹部若しくは穴を有し、且つ歪みゲージから回路板への電気接続が、基板の上面、基板の下面、基板の側面、基板のスルーホール内壁面、第2の凹部内壁面、穴内壁面、電気線から選ばれる1以上を経由して為されることを特徴とする請求項1に記載の応力センサ装置。
- 嵌合状態で回路板面と、基板の上面とが実質的に一平面上にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の応力センサ装置。
- 嵌合状態で基板が回路板面に沿って回転不可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の応力センサ装置。
- 基板面の歪みゲージレイアウトが、基板面に沿った180°の回転によっても等価であり、且つ基板外形が基板面に沿った180°のみの回転によって同外形であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の応力センサ装置。
- 基板の一方の面に、樹脂又は繊維強化樹脂からなるポストが固着されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の応力センサ装置。
- 縦横に多数の分割用溝を有する大型の基板に対し、当該分割溝で囲まれた一区画内に一つの応力センサとして機能するに必要な歪みゲージを形成する第1の工程と、
前記分割用溝に沿って大型の基板を分割し、個々の応力センサとする第2の工程と、
表面に第1の凹部を有する回路板の当該第1の凹部へ前記応力センサを嵌合する第3の工程と、
前記回路板表面のランドと、前記歪みゲージとの電気接続をする第4の工程とをこの順に実施し、
前記歪みゲージと対応する前記基板面位置にポストを固定する工程を、第1の工程後第2の工程前、第2の工程後第3の工程前、第3の工程後第4の工程前、又は第4の工程後に実施することを特徴とする応力センサ装置の製造方法。
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