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JP4329089B2 - 流体コントローラ - Google Patents

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JP4329089B2
JP4329089B2 JP2000004582A JP2000004582A JP4329089B2 JP 4329089 B2 JP4329089 B2 JP 4329089B2 JP 2000004582 A JP2000004582 A JP 2000004582A JP 2000004582 A JP2000004582 A JP 2000004582A JP 4329089 B2 JP4329089 B2 JP 4329089B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両ステアリングシステムに使用する流体コントローラに関し、より詳細には、不等面積ステアリングシリンダとともに使用されるそのようなコントローラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、完全流体リンク式ステアリングシステムを利用する多くの車両は、以前から、両方向のステアリングのため、一対のステアリングシリンダを備えており、これらのシリンダは、両方向への操舵のため、作動流体が一方のシリンダのヘッドエンド(底部側)および他方のシリンダのロッドエンド(ロッド)側に導入される構造とされ、すなわち、両方向の操舵について、作動流体の流れに対して同じ操舵比になるようになっている。あいにく、そのような構造は、2つのシリンダおよびそれらに接続される配管のために高価である。しかし、ある種の車両においては、単一のシリンダを使用することができるが、これは、本質的に、両方向の操舵について作動流体の流れに対して同じ操舵比を有する両ロッド型のものである。
【0003】
今日、本発明に関連する形式の流体コントローラを含む完全流体リンク式ステアリングシステムを利用する多くの車両があり、単一のロッドを有するために「不等面積」ステアリングシリンダといわれる単一のステアリングシリンダのみを利用することが望ましいと考えれられている。不等面積シリンダは、シリンダから延びる単一のロッドのみを備えており、このシリンダは、流体圧力を受ける一定の断面積(受圧面積)を有する「ロッドエンド」およびこれよりも大きな断面積(受圧面積)を有する「ヘッドエンド」を有する。多くの車両への適用において、リンク構造および装置全体が簡単になるため、単一の不等面積シリンダの使用が望まれており、これにより、両ロッドシリンダを使用する場合よりも安価になる。
【0004】
別の観点から、車両製造業者は、「負荷反力」機能を有する形式の流体コントローラを使用することを好み、これは、流体コントローラが中立にあるとき、制御流体ポート(すなわち、ステアリングシリンダに接続されるポート)が流体メータ(一般的にはジェロータギヤセット)の両側に流体接続される。これにより、操舵車輪にかかる外部負荷は、流体メータに反力負荷を作用させて、順次、ステアリングホィールを介して車両運転者によって感じとられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
負荷反力は、少なくとも多くの車両への適用において、非常に望ましい機能であるが、本発明以前には、車両製造業者は、多くの理由からステアリングシステムが負荷反力および単一の不等面積ステアリングシリンダの両方を含むことはできないと言いつづけてきた。第1の理由は、不等面積シリンダへのおよび不等面積シリンダからの負荷反力による流体の流れは、シリンダのヘッドエンドへのおよびヘッドエンドからの流れが、シリンダのロッドエンドへのおよびロッドエンドからの流れよりも大きくなるからである。結果として、流体メータの両側に接続されたシリンダにおいては、ヘッドエンドが収縮しているとき圧力が増大し、また、ロッドエンドが収縮しているときキャビテーションが生じることになる。いずれの場合でも、流体コントローラの性能は、許容できるものではない。圧力の増大は、ホースの破裂およびその他の圧力に関連する問題を招き、一方、キャビテーションは、流体「カラム」内の負圧によってステアリング制御の性能損失を生じる。
【0006】
従来技術の負荷反力および不等面積シリンダの組み合わせの更なる欠点は、車両の中立位置に対応するシリンダ位置がないことである。ヘッドエンドとロッドエンドとが不等面積でロッドに作用する力がバランスされるということは、ロッドエンドの圧力がヘッドエンドの圧力よりも高いことを意味し、このため、ステアリング入力がない状態で、ロッドエンドからヘッドエンドへ流れが生じることになる。この流れは、継続的な車両の横流れおよびステアリングホィールの回転を生じ、この状態は、運転者が許容できるものではない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、負荷反力型であるが、従来技術のコントローラの圧力の増大およびキャビテーション問題を解消することができる不等面積ステアリングシリンダとともに使用するための改良された流体コントローラを提供することをである。
【0008】
本発明の更なる目的は、上述の目的を達成するとともに、望ましくない車両の横流れおよびステアリングホィールの回転を防止する改良された流体コントローラを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記および他の目的は、加圧流体源から不等面積流体圧作動装置への流体の流れを制御するために作動する改良された流体コントローラの提供によって達成される。このコントローラは、加圧流体源に接続する入口ポートと、システムリザーバに接続する戻りポートと、不等面積装置に接続する第1および第2制御流体ポートとを形成するハウジング手段を含んでいる。バルブ手段がハウジング手段に配置されて、中立位置および少なくとも1つの作動位置を形成し、作動位置は、ハウジング手段とバルブ手段とが協働して入口ポートから第1制御流体ポートへ、および、第2制御流体ポートから戻りポートへの流体接続を提供する主流体通路を形成し、この主流体通路は、流体メータを含んでいる。中立位置では、ハウジング手段およびバルブ手段が協働して、流体メータを通して第1、第2制御流体ポート間の流体接続を許容する負荷反力流体通路を形成する。
【0010】
本発明の改良された流体コントローラは、バルブ手段が、中立位置にあるとき、負荷反力流体通路と戻りポートとの間の流体接続を許容するように作動する手段を含んでいることを特徴とする。これにより、負荷が作用されて不等面積装置が第1方向へ動かされるとき、流体は負荷反力流体通路から戻りポートへ流れることができる。負荷が作用されて不等面積装置が第2方向へ動かされるとき、流体は、戻りポートから負荷反力流体通路へ流れることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明するが、これらは、本発明を限定するものではない。図1は、本発明の教示に従って製造された流体コントローラを含む車両油圧式ステアリング装置の概略油圧回路図である。この装置は、ここでは簡単のために定吐出量型ポンプとして示された流体ポンプ11(加圧流体源)を含んでおり、ポンプ11の入口は、システムリザーバ13に接続されている。ポンプ11の出口は、油圧式ステアリング装置へ、より詳細には、流体コントローラ15へ向かっている。
【0012】
図1を参照すると、流体コントローラ15は、入口ポート17、戻りポート19および一対の制御流体ポート(シリンダポート)21,23(第1および第2制御流体ポート)を含んでおり、制御流体ポート21,23は、ステアリングシリンダ25(流体圧装置)の両端部に接続されている。本発明の一つの特徴に従って、ステアリングシリンダ25は、不等面積シリンダ、すなわち、断面積(受圧面積)Aを有する「ロッドエンド」および断面積(受圧面積)Bを有する「ヘッドエンド」を備え、断面積Bが断面積Aよりも幾分大きいシリンダである。
【0013】
図2と関連してより詳細に述べられる流体コントローラ15は、本発明の譲受人に譲渡された米国再発行特許第25,126号および米国特許第5,638,864 号に記述されている一般的な形式のものであり、これらの特許の内容は参考として本説明に含まれる。より具体的には、コントローラ15は、符号27で概略的に示されるバルブ構造(バルブ手段)を含んでおり、バルブ構造27は、図1に概略的に示される中立位置から左回転位置L(第1作動位置)および右回転位置R(第2作動位置)へ移動可能である。バルブ構造27がいずれかの回転位置にあるとき、バルブ構造27を通る加圧流体の流れは、流体メータ29を通って流れ、この流体メータ29の一つの機能は、メータであり、該当する制御流体ポート21または23へ流通される流体の適当量を計測することである。図1のみに概略的に示されるように、流体メータ29は、拡張容積室29E および収縮容積室29C を含んでいる。当業者には良く知られているように、流体メータ29の他の機能は、バルブ構造27を追従移動させることであり、これによって、所望量の流体がステアリングシリンダ25へ流通された後、バルブ構造がその中立位置へ復帰される。図1において、この追従移動は、符号31で概略的に示される機械的な追従連結によって達成される。
【0014】
図1に概略的に示されるように、バルブ構造27は、バルブ構造がその中立位置から、その右回転位置Rまたは左回転位置Lのいずれかの作動位置へ移動したとき、複数の可変オリフィスを形成する。これらの可変オリフィスについては、図3ないし図5の詳細な記述に関連して、更に詳細に後述される。
【0015】
流体コントローラ 15
図2を参照すると、流体コントローラ15の構造が、いくらか詳細に記載されている。コントローラ15は、ハウジング部分33(ハウジング手段)、ポートプレート35、流体メータ29を備えた部分およびエンドプレート37を含むいくつかの部分から構成されている。これらの部分は、ハウジング部分33に螺着された複数のボルト39によって、緊密にシールされて結合され、一体に保持されている。ハウジング部分33は、入口ポート17、戻りポート19および制御流体ポート21,23を形成している。
【0016】
ハウジング部分33に形成されたバルブボア41内に、バルブ構造27が回転可能に配置されている。バルブ構造27は、回転可能な主弁部材43(以下、「スプール43」ともいう)と、これと協働する相対回転可能な追従弁部材45(以下、「スリーブ45」ともいう)とを備えている。スプール43の前端部(図中左端部)は、縮径されて1組の内側スプライン47を形成する部分となっており、このスプライン47はスプール43とステアリングホィール(図示せず)とを機械的に連結させるためのものである。スプール43およびスリーブ45については、より詳細に後述する。
【0017】
流体メータ29は、従来技術において公知のものでよく、内歯付リング49および外歯付星形部材51(追従手段)を含んでいる。星形部材51は、1組の内側スプライン53が形成され、これによって、駆動軸57の後端部(図中右端部)に形成された1組の外側スプライン55にスプライン結合されている。駆動軸57は、二又に分かれた前端部を有しており、この前端部は、スプール43のピン開口61に挿通されたピン59によって駆動軸57とスリーブ45とを駆動連結できるようにしている。このようにして、ステアリングホィールおよびスプール43の回転に応答してバルブ構造27を通って流れる加圧流体は、流体メータ29を介して流れ、リング49内で星形部材51を軌道回転運動させる。このような星形部材51の運動は、(図1の追従連結31を構成する)駆動軸57およびピン59によって、スリーブ45を追従移動させる。この追従移動は、ステアリングホィールに与えられた一定の回転速度に対して、スプール43とスリーブ45との特定の相対変位を維持する。複数の板ばね63がスリーブ45の開口を通して延ばされて、スリーブ45をスプール43に対するその中立位置へ付勢している。
【0018】
図2において、ハウジング部分33は、スリーブ45の周りを囲む4つの環状室17c ,19c ,21c ,23c を形成しており、スリーブ45の外側表面と種々のポート17,19,21および23との間を流体連通させていることがわかる。種々の環状室は、対応するポートの参照符号に文字cを付して示されている。
【0019】
リング49内の星形部材51の軌道回転、噛み合い相互作用は、複数の拡張および収縮流体容積室29E ,29C (図1参照)を形成し、また、各室に隣接するポートプレート35は、当業者には良く知られているように、流体ポート(図2には示さない)を形成している。ハウジング部分33には、複数の軸方向ボア(図2には示さない)が設けられており、各軸方向ボアは、一端部において、ポートプレート35の流体ポートの1つに開放連通し、他端部において、バルブボア41に開放連通している。
【0020】
バルブ構造 27
主に図3および図4を参照すると、スプール43およびスリーブ45がより詳細に示されている。図3はスプール43の外側表面を示しているのに対して、図4は概してスリーブ45の外側表面上と同様に内表面上にも配置されたポートを示していることに注目すべきである。スプール43は、環状溝65を形成し、また、それに連通する複数の軸方向溝67を形成する。各軸方向溝67から円周方向にずらされて配置されているのが、より長い軸方向溝69(第1流体通路)で、各軸方向溝67と円周上で整合するように配置されているのが、よりいっそう長い軸方向溝71(通路手段、第2流体通路)であり、これらの機能は後述する。図2の流体コントローラは、負荷反力型であるから、各軸方向溝69は、実際に一対の平行の軸方向溝である。スプール43は、環状溝65の右側に複数の軸方向のオープン−センタ溝73を形成し、これらの各溝73は、その右端側へ向けて、スプール43の内部に開放連通している。公知であるが本発明と関係のないスプール43の他の構造上の詳細は、説明しない。
【0021】
図4の左端側において、スリーブ45は、当該技術において周知の方法で戻りポート19に連通する複数のポート75(通路手段、タンクポート)を形成している。右端側において、スリーブ45は、環状室17c に連通する複数の圧力ポート77を形成している。圧力ポート77の左側に、バルブ構造27と流体メータ29の拡張および収縮容積室29E ,29C との間を接続する複数のメータポート79が配置されている。本実施形態における単なる一例として、星形部材51は、6(N)個の外歯を有し、また、リング49は、7(N+1)個の内歯を有しており、そして、12(2N)個のメータポート79が設けられている。メータポート79の左側に、環状室23c に連通する複数のシリンダポート81(第2シリンダポート)が配置され、また、さらに左側に、環状室21c に連通する複数のシリンダポート83(第1シリンダポート)が配置されている。また、スリーブ45は、複数のオープンセンタ孔85を形成し、これらのオープンセンタ孔85は、圧力ポート77と同様、環状室17c を介して入口ポート17に連通されており、オープンセンタ孔85の機能については後述する。
【0022】
バルブ構造 27 の作動
流体コントローラ15およびバルブ構造27の基本的な作動は、上記参照した特許の趣旨に沿えば、容易に明らかになると考えられる。しかしながら、コントローラ15およびバルブ構造27の作動は、図2ないし図4に示す構造および概略図である図1と部分的に関連して簡単に説明する。バルブ構造27の作動は、図3ないし図5(図5は、図2ないし図4に対する拡大図)に関連して、スプール43(破線参照)とスリーブ45(実線参照)とを重ね合わせて説明する(但し、特に注意される点を除いて、スリーブ45の内側表面上におけるスプールおよびスリーブの特徴のみを示す)。
【0023】
バルブ構造27が中立位置(ステアリングホィールが回転しない)にあるとき、入口側の流体は、入口ポート17から環状室17c へ導入される。圧力ポート77は、環状室17c に開放連通するが、中立位置では、圧力ポート77内の加圧流体は、スプール43によって形成された何れのスロットおよび溝の圧力をも生じないので、圧力ポート77を通した流れは存在しない。代わりに、入口側の流体は、当業者には周知の方向で、環状室17c からオープンセンタ孔85および軸方向溝73を介して流れ、最終的にはシステムリザーバ13に到達する。バルブ構造が中立にあるとき生じる負荷反力状態については後に説明する。
【0024】
図3および図4に関連して図1を参照して、ステアリングホィールが反時計方向に回転したとき(左旋回状態)、スプール43は、その中立位置からスリーブ45に対して変位し、オープンセンタ孔85が移動してオープンセンタ溝73との流体接続からはずれ、そして、流体は、圧力ポート77を通して流れはじめて軸方向溝67に流入し、これにより、1つおきのメータポート79を流れる。オープン−センタ型コントローラでは、圧力ポート77の重なり面積は、図1において符号86で概略的に示される主流量制御オリフィスを形成し、また、A1オリフィスとしても表される。同時に、各軸方向溝67は、メータポート79の1つに連通しはじめ、これらの間のオーバラップの面積は、可変オリフィスを形成し、これらの組み合わせは、可変流量制御オリフィス(A2オリフィス)を形成する。1つおきのメータポート79は、軸方向溝67に連通され、交互のメータポート79は、長い軸方向溝69に連通される。これらの各メータポート79とそれぞれの軸方向溝69との間のオーバラップの面積は、可変オリフィスを形成し、これらの組み合わせは、可変流量制御オリフィス(A3オリフィス)を形成する。
【0025】
図1においてLで示す位置にあるスプール43およびスリーブ45によって、各溝69は、シリンダポート83の隣接する1つに連通しはじめ、これらの間のオーバラップが可変オリフィスを形成し、これらの個々のオリフィスの組み合わせが可変流量制御オリフィス91(A4オリフィス)を形成する。当業者には周知のように、シリンダポート83は、環状室21c によってシリンダポート21に連通され、そして、シリンダ25のロッドエンドAに接続される。シリンダ25のヘッドエンドBから戻る流体は、シリンダポート23に流入し、環状室23c を通して流れ、そして、軸方向溝71に流体連通しているシリンダポート81を通して流れる。ポート81と溝71とのオーバラップ面積は、可変オリフィスを形成し、これらの個々の可変オリフィスの組み合わせは、可変流量制御オリフィス93(A5オリフィス)を形成する。このようにして、可変流量制御オリフィスA1,A2,A3,A4およびA5を通る流路が、ここに説明するように、左旋回状態における「主流体通路」を形成する。
【0026】
負荷反力
主に図5を参照するが図1と関連して、コントローラ15の負荷反力機能を説明する。図5の中立位置にあるバルブ構造27によって、軸方向溝69の上部がこれに隣接するメータポート79に流体連通し、そして、シリンダポート83に連通して、順次、制御ポート21に接続する。同時に、軸方向溝69の下部がこれに隣接するメータポート79に流体連通し、そして、シリンダポート81に連通して、順次、制御ポート23に接続する。ポート81、溝69、ポート79、メータ29、他のポート79、他の溝69およびポート83を通した結果のポート21,23間の流路は、図1においてLRで示される負荷反力流体通路を形成する。このようにして、中立位置にあるバルブ機構27によって、ステアリングシリンダ25に作用する外部負荷は、その作用方向に応じて、流体を負荷反力流体通路LRを通して一方または他方へ強制的に移動させる。
【0027】
例えば、作用された負荷がロッドを図1において左へ移動させようとする場合、ロッドエンド側の室Aが収縮して、流体を加圧してポート21から通路LRを通して押し出して、ポート23からヘッドエンド側の室Bへ送る。しかしながら、前述したように、ロッドエンド側の室から押し出される流体の量は、ヘッドエンド側の室を満たすには充分でなく、キャビテーションが発生する。一方、作用された負荷がロッドを図1において右へ移動させようとする場合、ヘッドエンド側の室Bが収縮して、流体を加圧してポート23から通路LRを通して押し出して、ポート21からロッドエンド側の室Aへ送る。しかしながら、前述したように、ヘッドエンド側の室から押し出される流体の量は、ロッドエンド側の室に対して多過ぎて、圧力の上昇が生じる。
【0028】
本発明の重要な特徴によると、コントローラ15が負荷反力モードで作動している場合、付加的な流体通路が設けられて、負荷反力流体通路LRをより低圧の流体源に連通させる。より低圧の流体源は、一般的には戻りポート19であり、あるいは、少なくともコントローラのドレン領域である。この付加的な流体通路を完成するため、スリーブ45の外表面に環状溝が設けられ、この重要性について更に説明する。スリーブ45には、一対のボア97,99(通路手段、第3流体通路)も設けられる。好ましくは、2組のボア97,99が直径方向に配置されて、環状溝95(通路手段、第3流体通路)がこれらのボア間を開放連通させる。
【0029】
ボア97は、少なくとも一部が軸方向溝69の下部に連通され、これにより、負荷反力流体通路LRに接続される。ボア99は、少なくとも一部が軸方向溝71に連通され、この軸方向溝71は、バルブ構造が中立位置にあるとき、全開でタンクポート75に流体連通され、これにより、戻りポート19を介してリザーバ13等の低圧流体源に連通される。図1において、オリフィスは、それぞれ、ボア97と溝69,71とのオーバラップによって形成されており、ボアの参照符号を付してある。ステアリングシリンダ25に負荷が作用してロッドを図1において左へ移動させようとしたとき、流体は、ロッドエンド側の室Aからポート21を通して押し出されて、負荷反力流体通路LRを介してヘッドエンド側の室Bへ流れる。しかしながら、受圧面積が大きいため室Bが負圧となる傾向により、流体がリザーバ13から導入されることになり、ポート75、軸方向溝71、ボア99、溝95およびボア97を通って溝69に流入し、シリンダポート81を出て制御ポート23へ流れて、室Bにおけるキャビテーションを防止する。
【0030】
ステアリングシリンダ25に負荷が作用してロッドを図1において右へ移動させようとしたとき、流体は、ヘッドエンド側の室Bからポート23を通して押し出されて、負荷反力流体通路LRを介してロッドエンド室Aへ流れる。しかしながら、受圧面積が小さいため室Aの圧力が増大する傾向により、負荷反力流体通路LR内の流体がボア97、溝95およびボア99を介して溝71へ流出し、そして、タンクポート75からリザーバ13へ流出して、室Aにおける過度の圧力の増大を防止する。
【0031】
当業者が本説明を読んで理解すれば、ボア97および99の他のポートに対する大きさは、ロッドエンド室Aのヘッドエンド室Bに対する比に幾分依存することが明らかになるはずである。受圧面積AとBとが近ければボアおよびオリフィス97,99は小さくすべきである。反対に受圧面積AとBとの差が大きければ、ボアおよびオリフィス97,99は大きくすべきである。ボア97およびおよび99の大きさの選択は、当業者によって可能な範囲のことである。
【0032】
ステアリングホイールが回転されるとすぐに、スプール43がスリーブ45に対して変位して、ボア97と溝69との連通またはボア99と溝71との連通がゼロへ向かって減少する。一般的に、いずれの作動方向においても、負荷反力流体通路は、スプールとスリーブとの回転角が数度以内で遮断するが、本発明によれば、リザーバへのまたはリザーバからの付加的な流体通路も遮断される。
【0033】
以上の説明において、本発明を詳細に説明してきたが、本説明を読んで理解することにより、当業者には本発明の様々な変更例および修正例が明らかになるであろう。このような全ての変更例および修正例は、特許請求の範囲に含まれる限りにおいて、本発明に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】不等面積ステアリングシリンダを含む油圧パワーステアリングシステムの概略油圧回路図である。
【図2】本発明に係る形式の流体コントローラの軸方向断面図である。
【図3】図2に示す流体コントローラのスプールバルブの拡大平面図である。
【図4】図2に示す流体コントローラの図3と同じ比率の拡大平面図である。
【図5】負荷反力位置である中立位置にある図3および図4に示すバルブ構造を重ね合わせた部分拡大図である。
【符号の説明】
11 ポンプ
13 リザーバ
15 流体コントローラ
17入口ポート
19 戻りポート
21,23 制御流体ポート
25 ステアリングシリンダ
27 バルブ構造
29流体メータ
33ハウジング部分
71軸方向溝
75 ポート
95環状溝
97,99 ボア
A ロッドエンド室
B ヘッドエンド室
LR 負荷反力流体通路

Claims (8)

  1. 加圧流体源(11)から不等面積流体圧作動装置(25)への流体の流れを制御する流体コントローラ(15)であって、
    前記加圧流体源(11)に接続する入口ポート(17)と、システムリザーバ(13)に接続する戻りポート(19)と、前記不等面積流体圧作動装置(25)に接続する第1および第2制御流体ポート(21,23)とを形成するハウジング手段(33)と、
    該ハウジング手段に配置されて、中立位置および少なくとも1つの作動位置を形成し、この作動位置では、前記ハウジング手段(33)と協働して前記入口ポート(17)から前記第1制御流体ポート(21)への流体接続を提供する主流体通路を形成し、該主流体通路は流体メータ(29)を含み、前記中立位置では、前記ハウジング手段(33)と協働して、前記流体メータ(29)を介して前記第1および第2制御流体ポート(21,23)間を流体接続する負荷反力流体通路(LR)を形成するバルブ手段(27)とを備え、
    (a)前記バルブ手段(27)は、該バルブ手段(27)が前記中立位置にあるとき、前記負荷反力流体通路(LR)と前記戻りポート(19)との間を流体接続するように作動する通路手段(97,95,99,71,75)を含み、該通路手段は、
    (i)負荷が前記不等面積流体圧装置(25)を第1方向へ移動させるように作用されたとき、流体が前記負荷反力流体通路(LR)から前記戻りポート(19)へ流れるようにし、
    (ii)負荷が前記不等面積流体圧装置(25)を前記第1方向とは反対の第2方向へ移動させるように作用されたとき、流体が前記戻りポート(19)から前記負荷反力流体通路(LR)へ流れるようにすることを特徴とする流体コントローラ。
  2. 前記不等面積流体圧作動装置は、ヘッドエンド室(B)およびロッドエンド室(A)を有するシリンダ(25)を備え、前記第1方向において、前記ヘッドエンド室(B)が収縮され、前記第2方向において、ロッドエンド室(A)が収縮されることを特徴とする請求項1に記載の流体コントローラ。
  3. 前記流体メータ(29)は、前記主流体通路および前記流体メータ(29)を通る流体の流れの体積に比例して前記バルブ手段(27)を追従運動させるように作動する追従手段(51)を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の流体コントローラ。
  4. 前記バルブ手段(27)は、回転する主弁部材(43)およびこれと協働して相対回転する追従弁部材(45)を備え、前記主弁部材(43)および前記追従弁部材(45)が相互に前記中立位置を形成することを特徴とする請求項1に記載の流体コントローラ。
  5. 前記追従弁部材(45)は、略シリンダ状で前記主弁部材(43)の周りに配置されて、前記流体メータ(29)の拡張容積室(29E)に流体接続する第1メータポート(79)および前記流体メータ(29)の収縮容積室(29C)に流体接続する第2メータポート(79)を形成することを特徴とする請求項4に記載の流体コントローラ。
  6. 前記追従弁部材(45)は、さらに、前記第1制御流体ポート(21)に流体接続する第1シリンダポート(83)および前記第2制御流体ポート(23)に流体接続する第2シリンダポート(81)を形成することを特徴とする請求項5に記載の流体コントローラ。
  7. 前記主弁部材(43)は、前記第1および第2メータポート(79)に流体接続し、かつ、前記バルブ手段が中立位置にあるとき前記第1および第2シリンダポート(83,81)に流体連通する第1流体通路(69)を形成し、該第1流体通路(69)と前記第1および第2メータポート(79)と前記第1および第2シリンダポート(83,81)とで前記負荷反力流体通路(LR)を構成することを特徴とする請求項6に記載の流体コントローラ。
  8. 前記追従弁部材(45)は、タンクポート(75)を形成し、前記主弁部材(43)は、前記バルブ手段(27)が前記中立位置にあるとき、前記タンクポートに流体接続する第2流体通路(71)を形成し、前記負荷反力流体通路(LR)と前記戻りポート(19)との間を流体接続するように作動する通路手段は、前記バルブ手段が前記中立位置にあるとき、前記第1および第2流体通路(69,71)間を流体接続する第3流体通路(97,95,99)を形成することを特徴とする請求項7に記載の流体コントローラ。
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