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JP4327055B2 - 車両のエンジン出力制限装置 - Google Patents

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Description

この発明は、エンジン回転速度や車両速度が規定値以下になるようにエンジン出力を制御する車両のエンジン出力制限装置に関する。
車両にはエンジン出力制限装置が設けられているものがある。
このエンジン出力制限装置は、エンジン回転速度や車両速度が規定値以上になるのを抑制するものであり、これらが規定値に達した時点で、エンジン点火のカットや間引き、或いは、燃料供給の停止を行うようにしている。
特開2003−41963号公報
しかし、この従来のエンジン出力制限装置は、エンジン点火のカットや間引き、或いは、燃料供給の停止によってエンジン出力を制限するようにしているため、エンジン燃焼が一時的に不安定になることが予測され、走行フィーリングの低下や排気性能の低下を来たすことが懸念される。
そこでこの発明は、燃焼を不安定にすることなくエンジン出力を制限できるようにして、走行フィーリングと排気性能の向上を図ることのできるハイブリッド車両における車両のエンジン出力制限装置を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、運転者のアクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段(例えば、後述する実施形態におけるアクセルセンサ91)と、エンジンの吸気配管に配置されたスロットルバルブ(例えば、後述する実施形態におけるスロットルバルブ17)をモータによって開度調整する電子制御スロットル(例えば、後述する実施形態における電子制御スロットル90)と、前記アクセル操作量検出手段の出力に基づいて前記電子制御スロットルを制御する制御手段(例えば、後述する実施形態における制御ユニット7)と、前記制御手段によって制御され、駆動輪に対して動力を供給する電動モータ(例えば、後述する実施形態における電動モータ21b)と、を備え、車両の駆動源を前記エンジンまたは前記電動モータの少なくとも一方に切換えが可能であり、エンジン回転速度または車両速度が規定値以下になるようにエンジン出力を制限すると共に、前記電動モータの出力制御を、前記アクセル操作量検出手段の出力に基づいて決定するハイブリッド車両におけるエンジン出力制限装置において、前記制御手段は、エンジン回転速度または車両速度が規定値に達したときに、アクセル操作量検出手段で検出されるアクセル操作量に応じたスロットルバルブの標準開度に対し、前記スロットルバルブの開度を減少させるようにした。
この発明の場合、車両は、エンジン駆動、電動モータ駆動、エンジンと電動モータの同時駆動のいずれかの駆動モードで走行することになるが、エンジンが駆動される走行時には、電子制御スロットルの制御によってスロットルバルブの実開度を標準開度よりも減少させ、それによってエンジン出力が制限される。したがって、このときエンジンの燃焼自体は安定的に行われる。また、電動モータによる駆動時には、同モータはアクセル操作量検出手段の出力に基づいて正確に制御される。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、エンジンの動力を変速して駆動輪に伝達する無段変速機と、前記エンジンと無段変速機の間に介装され、エンジン回転速度が所定回転速度を超えたときに前記エンジンから無段変速機に動力を伝達する遠心クラッチと、を備え、前記制御手段は、前記エンジン回転速度が、前記遠心クラッチの接続する所定回転速度を超え、かつエンジン回転速度または車両速度が規定値に達したときに、前記アクセル操作量検出手段で検出されるアクセル操作量に応じたスロットルバルブの標準開度に対し、前記スロットルバルブの開度を減少させるようにした。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、エンジンから動力を受けて発電を行うACGスタータモータを備え、前記遠心クラッチが接続されていない状態では、前記ACGスタータモータで発電された電力によって前記電動モータを駆動するようにした。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記スロットルバルブの開度を減少させるときには、エンジンの点火カットと燃料停止を行わないようにした。
請求項1の記載の発明によると、エンジンが駆動される走行時には、スロットルバルブの実開度をアクセル操作量に応じた標準開度よりも減少させることによってエンジン出力を制限するので、エンジン燃焼の不安定化が生じなくなり、その結果、エンジン駆動、電動モータ駆動、エンジンと電動モータの同時駆動のいずれの駆動モードにあっても、同様に違和感の無い走行フィーリングを得ることができ、また、エンジンが駆動される走行時には排気性能が向上する。
以下、この発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、前側とは車両の前進方向をいうものとし、さらに、右側及び左側とは車両が前進する方向に向かって右側及び左側をいうものとする。
この実施形態の車両はハイブリット型スクータであり、この車両は、図1に示すように、電動モータ21bを含むパワーユニット11がユニットスイング式として後輪WRと共に車体フレーム10に揺動可能に支持されている。
この車両の車体前方には前輪WFを軸支するフロントフォーク1が設けられており、そのフロントフォーク1は車体フレーム10の一部を成すヘッドパイプ2に回転可能に支持されている。フロントフォーク1の上端部はハンドル3に連結されており、車両はこのハンドル3の操作によって操舵可能とされている。ヘッドパイプ2には後部下方に延出するダウンパイプ4が取り付けられ、このダウンパイプ4の下端には中間フレーム5が略水平に延設されている。そして、中間フレーム5の後端部には、後部上方に向かって延出する後部フレーム6が設けられている。車体フレーム10は、以上のヘッドパイプ2、ダウンパイプ4、中間フレーム5、及び、後部フレーム6を主要素として構成されている。
車体フレーム10の周囲は車体カバー13で覆われ、その車体カバー13の略中央の上方膨出部分には搭乗者が着座するシート14が固定されている。そして、そのシート14の前方位置には搭乗者が足を置くステップフロア15が一段下がって形成されている。シート14の下方には、例えばヘルメットや荷物等を収納するためのユーティリティスペースとして機能する収納ボックス100が設けられている。
ここで、パワーユニット11の概略構成を図2によって説明すると、このパワーユニット11は、第1の動力源であるエンジン20と、エンジン20を始動するための始動機としての機能に加えて発電機としても機能するACGスタータモータ21aと、エンジン20の動力を機関運転速度に応じた変速比に変換して駆動輪である後輪WRに伝達する無段変速機23と、エンジン20と無段変速機23の間に介装されて動力伝達を断切する遠心クラッチ40と、無段変速機23から後輪WR側には動力を伝達するが、後輪WRから無段変速機23側には動力を伝達しないワンウェイクラッチ44と、このワンウェイクラッチ44の後輪WR側出力部(従動軸60)と後輪WRの車軸68の間にあって後輪WRに伝達する出力を減速する減速機構69と、この減速機構69の入力側に連結されて、第2の動力源である発動機として機能すると共に発電機としても機能する前記電動モータ21bと、を備えている。なお、この実施形態の場合、無段変速機23と従動軸60、減速機構69等が、エンジン20の動力を駆動輪(後輪WR)側に伝達する動力伝達装置を構成している。
このパワーユニット11は基本的に二系統の駆動系を有し、その一方の駆動系は、エンジン20の動力を遠心クラッチ40、無段変速機23、ワンウェイクラッチ44、従動軸60及び減速機構69を介して後輪WRに伝達し、他方の駆動系は、電動モータ21bの動力を従動軸60と減速機構69を介して後輪WRに伝達するようになっている。
また、ACGスタータモータ21aと電動モータ21bにはバッテリ74が接続され、これらのモータ21a,21bが始動機や発動機として機能するときにはバッテリ74から各モータ21a,21bに電力を供給し、各モータ21a,21bが発電機として機能するときにはこれらの回生電力をバッテリ74に充電するようになっている。さらに、この実施形態の車両の場合、発進時等における電動モータ21bの駆動は、ACGスタータモータ21aで発電された電力によって主に行われる。
なお、エンジン20やACGスタータモータ21a、電動モータ21b等の制御は制御ユニット7により行われる。
エンジン20は、吸気配管16から空気と燃料の混合気を吸入して燃焼させる構成とされ、吸気配管16内には吸入空気量を制御する電子制御スロットル90が設けられている。この電子制御スロットル90は、モータ(図示せず)によって開度調整されるスロットルバルブ17を備え、前記モータが制御ユニット7内に構成される制御手段によって制御されるようになっている。また、スロットルバルブ17とエンジン20との間には、燃料を噴射するインジェクタ18と、吸気配管16内の負圧を検出する負圧センサ19が配設されている。
次に、図3を参照しながら、パワーユニット11の具体的な構成について説明する。
エンジン20は、シリンダブロック26のシリンダ27内にピストン25が摺動自在に収容され、そのピスン25にコンロッド24を介してクランク軸22が連結されている。シリンダブロック26はシリンダ27の軸線が略水平になるように配置され、その頭部にはシリンダ27の一端を閉塞するようにシリンダヘッド28が固定されている。このシリンダヘッド28とピストン25の間には混合気を燃焼させる燃焼室20aが形成されている。
シリンダヘッド28には、燃焼室20aへの混合気の吸気または排気を制御するバルブ(不図示)と、点火プラグ29とが配設されている。バルブの開閉は、シリンダヘッド28に軸支されたカム軸30の回転により制御される。カム軸30は一端側に従動スプロケット31を備え、従動スプロケット31とクランク軸22の一端に設けた駆動スプロケット32との間には無端状のカムチェーン33が掛け渡されている。カム軸30はこのカムチェーン33を通してクランク軸22の回転に連動する。また、カム軸30の一端には、エンジン20を冷却するためのウォータポンプ34が設けられている。
クランク軸22を軸支するクランクケース48の車幅方向右側にはステータケース49が連結されており、その内部にはACGスタータモータ21aが収納されている。このACGスタータモータ21aは、いわゆるアウタロータ形式のモータであり、そのステータは、ステータケース49に固定されたティース50に導線を巻き掛けたコイル51から成る。一方、アウタロータ52はクランク軸22に固定され、ステータの外周を覆う略円筒形状を呈している。また、アウタロータ52の内周面にはマグネット53が固設されている。
アウタロータ52には、ACGスタータモータ21aを冷却するための遠心ファン5
4aが取り付けられており、この遠心ファン54aがクランク軸22に同期して回転すると、ステータケース49のカバー55の側面55aに形成された冷却風取入用の吸気口から、外気が取り入れられる。
また、クランクケース48から車幅方向に突出したクランク軸22の左端部には遠心クラッチ40を介して無段変速機23の駆動側伝動プーリ58が取り付けられている。
無段変速機23は、クランク軸22に軸支されたこの駆動側伝導プーリ58と、クランク軸22と平行な軸線を持って配置された従動軸60にワンウェイクラッチ44を介して装着された従動側伝動プーリ62と、この駆動側伝導プーリ58から従動側伝導プーリ62に回転動力を伝達する無端状のVベルト63と、を備えている。
駆動側伝動プーリ58は、図4の拡大図に示すように、スリーブ58dを介してクランク軸22に対して回転自在に装着されており、スリーブ58d上に固着された駆動側固定プーリ半体58aと、スリーブ58dに対しその軸方向には摺動可能であるが周方向には回転不能に取り付けられた駆動側可動プーリ半体58cと、を備えている。そして、駆動側可動プーリ半体58cには、遠心力に応じてそのプーリ半体58cを駆動側固定プーリ半体58a方向に変位させるウエイトローラ58bが取り付けられている。
一方、従動側伝動プーリ62は、従動軸60に対しその軸方向の摺動は規制されているが周方向には回転自在に取り付けられた従動側固定プーリ半体62aと、該従動側固定プーリ半体62aのボス部62c上にその軸方向に摺動可能に取り付けられた従動側可動プーリ半体62bとを備え、従動側可動プーリ半体62bの背面側(車幅方向左側)には、該従動側可動プーリ半体62bを従動側固定プーリ半体62a側に向けて常時付勢するスプリング64が設けられている。
そして、これら駆動側固定プーリ半体58aと駆動側可動プーリ半体58cとの間、及び従動側固定プーリ半体62aと従動側可動プーリ半体62bとの間にそれぞれ形成された断面略V字状のベルト溝に前記Vベルト63が巻き掛けられている。
かかる構成の無段変速機23は、クランク軸22の回転数が上昇すると、駆動側伝動プーリ58においては、ウエイトローラ58bに遠心力が作用して駆動側可動プーリ半体58cが駆動側固定プーリ半体58a側に摺動する。このとき、この摺動した分だけ駆動側可動プーリ半体58cが駆動側固定プーリ半体58aに近接し、駆動側伝動プーリ58の溝幅が減少するので、駆動側伝動プーリ58とVベルト63との接触位置が駆動側伝動プーリ58の半径方向外側にずれ、Vベルト63の巻き掛け径が増大する。これに伴い、従動側伝動プーリ62においては、従動側固定プーリ半体62aと従動側可動プーリ半体62bとにより形成される溝幅が増加する。つまり、クランク軸22の回転数に応じて、Vベルト63の巻き掛け径(伝達ピッチ径)が連続的に変化し、変速比が自動的かつ無段階に変化する。
また、遠心クラッチ40は、クランク軸22のうちの、無段変速機23の駆動側固定プーリ半体58aを貫通した車体左側の端部に設けられている。この遠心クラッチ40は、上記スリーブ58dに固着されたカップ状のアウタケース40aと、このアウタケース40aを貫通したクランク軸22の左端部に固着されたインナプレート40bと、このインナプレート40bのアウタケース40a内に臨む面にウェイト40cを介して半径方向外側を向くように取り付けられたシュー40dと、このシュー40dを半径方向内側に付勢するスプリング40eと、を備えている。なお、遠心クラッチ40のインナプレート40の外側端面には遠心ファン54が取り付けられ、伝動ケース59の吸気口59aから導入された外気を、遠心ファン54の吹き出し作用によって電動ケース59内に流通させるようになっている。
かかる構成の遠心クラッチ40は、ウェイト40cの遠心力とスプリング40eの付勢力とのバランスによって動力の断接を行い、クランク軸22の回転速度が所定値(例えば、3000rpm)以下のときはスプリング40eの付勢力によって動力伝達を遮断している。そして、この状態からクランク軸22の回転速度が上記所定値を超えると、ウェイト40cの遠心力がスプリング40eの付勢力に打ち勝ち、ウェイト40eが半径方向外側に移動することによってシュー40dがアウタケース40aの内周面に押圧される。このとき、シュー40dとアウタケース40aの間には摩擦摺動が起こり、この間に動力が徐々に伝達される。この結果、クランク軸22の回転が遠心クラッチ40を介してスリーブ58dに伝達され、そのスリーブ58dに固定された駆動側伝動プーリ58が駆動されることとなる。
また、ワンウェイクラッチ44は、カップ状のアウタクラッチ44aと、このアウタクラッチ44aに同軸に内挿されたインナクラッチ44bと、インナクラッチ44bからアウタクラッチ44aに対して一方向のみ動力を伝達可能にするローラ44cとを備えて構成されている。アウタクラッチ44aは、電動モータ21bのインナロータ本体を兼ね、インナロータ本体と同一部材で構成されている。なお、インナクラッチ44bの内周と、従動側固定プーリ半体62aにおけるボス部62cの左端部とは、互いにスプライン結合されている。
したがって、このワンウェイクラッチ44においては、無段変速機23の従動側伝動プーリ62に伝達されたエンジン20の動力は従動軸60と減速機構69を介して後輪WRに伝達するが、逆に、後輪WR側から減速機構69と従動軸60を介して入力された車両前進方向の回転力は無段変速機23側に伝達しない。このため、車両押し歩きの際や回生動作時においては、後輪WR側の動力はアウタクラッチ44aをインナクラッチ44bに対して空転させるのみで、無段変速機23とエンジン20には伝達されることがない。
減速機構69は、従動軸60及び後輪WRの車軸68と平行に軸支された中間軸73を備えると共に、従動軸60の右端部及び中間軸73の中央部にそれぞれ形成された第1の減速ギヤ対71,71と、中間軸73及び車軸68の左端部にそれぞれ形成された第2の減速ギヤ対72,72とを備えて構成されている。
この減速機構69では、従動軸60の回転を所定の減速比に減速し、これと平行に軸支された後輪WRの車軸68に伝達する。
また、電動モータ21bは、従動軸60をモータ出力軸とするインナロータ形のモータであり、前述のアウタクラッチ44aがインナロータ80のインナロータ本体を成している。この電動モータ21bのステータ83は、遠心クラッチ40と無段変速機23の側部を覆う伝導ケース59の内側にステータケース83aを介して固定されており、そのステータ83にはコイル83cを巻回したティース83bが設けられている。
また、アウタクラッチ44aはカップ状に形成され、その中央部に突設されたボス部80bが従動軸60とスプライン結合されている。そして、アウタクラッチ44aの開口側外周面には前記ステータ83のティース83bに対向するようにマグネット80cが装着され、アウタクラッチ44aの底部側外周面には、伝動ケース59の内壁59Aに取り付けられたロータセンサ81により検知される複数の被検知体82が装着されている。
かかる構成の電動モータ21bは、発進時やエンジン20の出力をアシストする際に発動機として機能する他、従動軸60の回転を電気エネルギーに変換し、図2に示すバッテリ74に回生充電する発電機(ジェネレータ)としても機能する。
ところで、図2に示すように、制御ユニット7の入力側には、アクセルグリップ(この発明におけるアクセル)の操作量を検出するアクセルセンサ91(この発明におけるアクセル操作量検出手段)と、車両の走行速度を検出する車速センサ92と、エンジン20の回転速度を検出するエンジン回転センサ93が接続されており、制御ユニット7は、基本的にスロットルバルブ17の開度をアクセルグリップの操作量に応じた(比例した)開度に制御する(図6参照)。尚、図6は、この実施形態における車速V(A)とアクセルグリップの開度θa(B)とスロットルバルブ17の開度θv(C)の関係を示すものであり、図6(C)中の時間tまでの実線とt以後の破線a´を結ぶ特性線は、スロットルバルブ17の開度がアクセルグリップの開度に比例したスロットルバルブ17の標準開度を示している。
この実施形態においては、電子制御スロットル90と制御ユニット7はアクセルセンサ91と車速センサ92と共にこの発明にかかるエンジン出力制限装置を構成している。制御ユニット7は、車両速度Vが車両制限速度VL(規定値)に達したときに、図6(C)に示すように、スロットルバルブ17の前記標準開度(破線a´)に対してスロットルバルブ17の実開度を設定量dだけ減少させるように電子制御スロットル90のモータを制御する(実線a参照)。
次に、この自動二輪車の作動について説明する。
エンジン始動時は、クランク軸22上のACGスタータモータ21aを用いてクランク軸22を回転させる。このとき、遠心クラッチ40は接続されておらず、クランク軸22から無段変速機23への動力伝達は遮断されている。そして、クランク軸22の回転と同期してシリンダ27内に吸気された燃料混合気を点火プラグで燃焼させ、ピストン25を往復運動させる。
この状態から車両を発進させる場合には、ACGスタータモータ21aで発電される電力、若しくは、バッテリ74の電力によって電動モータ21bを稼動させ、運転者のアクセルグリップの操作量(開度)に応じた電動モータ21bの駆動力を後輪に伝達する。この間、エンジン20はアクセルグリップの開度に応じてクランク軸22の回転数が上昇し、その回転数が所定値(例えば、3000rpm)を越えると、クランク軸22の回転動力が遠心クラッチ40を介して無段変速機23へと伝達される。そして、エンジン20の動力が無段変速機23からワンウェイクラッチ44を介して減速機構69に伝達されると、後輪WRがその動力を受けて回転するようになり、その後電動モータ21bの駆動が停止してエンジン20による駆動走行に切り換えられる。
このように車両が一旦発進すると、基本的にはエンジン20の駆動によって走行することとなる。
エンジン20の駆動による走行時においては、基本的には、前述のように運転者によるスロットルバルブの開度操作にスロットルバルブ17の開度調整量が比例的に連動するが、図6に示すように車速Vが制限速度VL(規定値)に達すると、この発明にかかるエンジン出力制限装置による車速制限が機能する。以下、このときのエンジン出力制限装置の作動を図5に示すフローチャートを参照して説明する。
制御ユニット7(制御手段)では、S101において、車速センサ92の検出信号から車両の走行速度を検知し、つづくS102において、実際の車両速度Vが制限速度VL以上であるかどうかを判断する。S102において、車両速度Vが制限速度VLに達していないと判断されたときにはリターンし、車両速度Vが制限速度VL以上と判断されたときには、S103に進んでスロットルバルブ17の開度を標準開度に対して減少させる制御を行う。したがって、例えば、図6に示す運転状況下であれば、アクセルグリップの開度Vaが全開のままであっても車速Vが制限速度VLを超えた時点でスロットルバルブ17の開度がdだけ狭められ(図6(C)中の実線a参照)、その結果、吸入空気量が絞られてエンジン出力が制限される。これにより、車両の速度Vは制限速度VLに制限される。
このエンジン出力制限装置は、以上のようにアクセルグリップの操作量に対して実際のスロットルバルブ17の開度を減少させ、それによって吸入空気量を絞ってエンジン出力を制限するものであるため、エンジン点火のカットや間引き、燃料供給の停止等でエンジン出力を制限するようにしていた従来のものに比較して、出力制限時にエンジン20の燃焼の安定性を向上できる。したがって、運転者の走行フィーリングの低下や排気性能の低下を防止することができる。
また、以上説明した実施形態においては、車速センサ92の信号を基に車両の速度を監視し、車両の速度が制限速度に達したところでスロットルバルブ17の開度を基準開度よりも減少させるようにしているが、エンジン回転センサ93の信号を基にエンジン20の回転速度を監視し、エンジン20の回転速度が規定値に達したところでスロットルバルブ17の開度を基準開度よりも減少させるようにしても良い。この場合、運転者の走行フィーリングの低下や排気性能の低下を招くことなく、エンジン回転速度の規定値以上の上昇を制限することができる。また、車速センサ92とエンジン回転センサ93の信号を基に車両の速度とエンジン20の回転速度の両方を監視し、いずれかが規定値を超えたときにスロットルバルブ17の開度を基準開度よりも減少させるようにしても良い。
なお、電動モータ21bによる駆動によって車両が走行しているときには、電動モータ21bがアクセルセンサ91の検出値に基づいて正確に制御されるため、車速の規定値以上の上昇は抑制される。
さらに、上記の実施形態では、図6に示すように車両の速度が規定値(制限速度VL)に達したところでスロットルバルブ17の開度を基準開度に対して所定開度dだけ一時に減少させているが、車両の速度が規定値に達した時点からスロットルバルブ17の開度を漸次緩やかに減少させるようにしても良い。このようにした場合、スロットルバルブ17の開度の減少が緩やかであることから、運転者の走行フィーリングの低下がより少なくなる。また、上記のようにエンジン20の回転速度を制限する場合にも、スロットルバルブ17の開度を同様に漸減させるようにしても良い。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
本発明の一実施形態を示すものであり、車両の側面図である。 図1に示す車両の概略システム構成を示す機能ブロック図である。 図1に示す車両のパワーユニットの断面図である。 図3の部分拡大図である。 図1に示す車両に搭載されたエンジン出力制限装置の処理の流れを示すフローチャートである。 同エンジン出力制限装置における車速V、アクセル開度θa、スロットルバルブ開度θvの対応関係を示した特性図。
符号の説明
7 制御ユニット
17 スロットルバルブ
21b 電動モータ
90 電子制御スロットル
91 アクセルセンサ

Claims (4)

  1. 運転者のアクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
    エンジンの吸気配管に配置されたスロットルバルブをモータによって開度調整する電子制御スロットルと、
    前記アクセル操作量検出手段の出力に基づいて前記電子制御スロットルを制御する制御手段と、
    前記制御手段によって制御され、駆動輪に対して動力を供給する電動モータと、を備え、
    車両の駆動源を前記エンジンまたは前記電動モータの少なくとも一方に切換えが可能であり、エンジン回転速度または車両速度が規定値以下になるようにエンジン出力を制限すると共に、前記電動モータの出力制御を、前記アクセル操作量検出手段の出力に基づいて決定するハイブリッド車両におけるエンジン出力制限装置において、
    前記制御手段は、エンジン回転速度または車両速度が規定値に達したときに、アクセル操作量検出手段で検出されるアクセル操作量に応じたスロットルバルブの標準開度に対し、前記スロットルバルブの開度を減少させることを特徴とするハイブリッド車両におけるエンジン出力制限装置。
  2. エンジンの動力を変速して駆動輪に伝達する無段変速機と、
    前記エンジンと無段変速機の間に介装され、エンジン回転速度が所定回転速度を超えたときに前記エンジンから無段変速機に動力を伝達する遠心クラッチと、を備え、
    前記制御手段は、前記エンジン回転速度が、前記遠心クラッチの接続する所定回転速度を超え、かつエンジン回転速度または車両速度が規定値に達したときに、前記アクセル操作量検出手段で検出されるアクセル操作量に応じたスロットルバルブの標準開度に対し、前記スロットルバルブの開度を減少させることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両におけるエンジン出力制限装置。
  3. エンジンから動力を受けて発電を行うACGスタータモータを備え、
    前記遠心クラッチが接続されていない状態では、前記ACGスタータモータで発電された電力によって前記電動モータを駆動することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両におけるエンジン出力制限装置。
  4. 前記スロットルバルブの開度を減少させるときには、エンジンの点火カットと燃料停止を行わないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両におけるエンジン出力制限装置。
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