JP4318985B2 - ソマトスタチンアナログ誘導体およびその利用 - Google Patents
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Description
で示されるソマトスタチンアナログのN末端に1,4,7,10-テトラ−アザシクロドデカン−1,4,7,10−4酢酸(1,4,7,10-テトラ−アザシクロドデカン−1,4,7,10-tetraacetic acid、以下、「DOTA」と略称)と放射性核種との錯体を含有するソマトスタチン受容体陽性癌および転移癌の治療のための医薬組成物が開示されている。上記の式でA’がPheであるオクトレオチド(Octreotide)とジエチレントリアミン5酢酸(Diethylenetriamine pentaaceticAcid、以下「DTPA」と略称)との複合体が111Inに配位している、111In-DTPA-Phe1-octreotideは、既に欧米で臨床使用されている(非特許文献1、非特許文献2)。
また、特許文献5には、式:
本発明はまた、上記のキャリア物質と金属との錯体、及びそれを含有するソマトスタチン受容体陽性の腫瘍等の診断及び治療用の医薬組成物を提供することを目的とするものである。
とりわけ本発明は、オクトレオチド等のソマトスタチン陽性腫瘍の診断および/または治療に有用な、ソマトスタチンアナログ部分を含む物質の腎集積性を改善することを目的とするものである。
即ち、本発明は式(I):
で示される、診断及び/または治療用の金属をソマトスタチン結合性受容体を発現している標的細胞に送達させるためのキャリア物質を提供するものである。
(1)AがPhe、BがThr、YがThr(ol)
(2)AがTyr、BがThr、YがThr(ol)
(3)AがTyr、BがVal、YがTrp-NH2
(4)AがTyr、BがVal、YがThr-NH2
(5)AがTyr、BがVal、YがThr-OH
N末端アミノ酸(カルボキシル化/アミノ化Phe1またはNa1)と上記の環状ペプチドとの組合せにより、既知のソマトスタチンアナログの誘導体が得られる。
即ちXがカルボキシまたはアミノフェニルであって、C末端側ペプチドが(1)の場合はオクトレオチド(Octreotide)、(2)の場合はTyr3-オクトレオチド(Tyr3-octreotide)、(3)の場合はバプレオチド(Vapreotide)、(5)の場合はTyr3-オクトレオテート(Tyr3-octreotate)の誘導体に相当する。また、Xがカルボキシまたはアミノナフチルであって、C末端側ペプチドが(4)の場合はランレオチド(Lanreotide)誘導体に相当する。従って、Xがカルボキシ又はアミノ置換基を有するフェニルである場合は、A、B、Yが(1)、(2)、(3)および(5)のいずれかの組み合わせ、Xがカルボキシ又はアミノ置換基を有するナフチルである場合は、A、B、Yが(4)の組み合わせであることが好ましく、特にXがカルボキシ又はアミノ置換基を有するフェニルであり、A、B、Yが(1)の組み合わせであることが好ましい。
なお、本明細書中、特記しない限り、アミノ酸はD‐体、L−体のいずれであってもよい。
また、全ての場合で、他の臓器より腎臓で高い放射能集積が認められたが、集積量とその態様はアミノ体及びカルボキシ体と、メチル体及びPhe体ではかなり異なっていた。特に、アミノ体の場合、投与10分後ではPhe体とほぼ同等であるが、投与30分後では有意に腎放射能集積が低くなった。また、カルボキシ体の場合には、試験した期間全体にわたってPhe体より低い腎放射能集積を示した。特に、投与30分後から6時間後までは有意に低くなった。これに対してメチル体の場合は、Phe体と比較して腎集積の改善を認めなかった。金属を用いる画像診断では、投与後数10分から3日間の間に診断を行うことが一般的であり、上記の結果はカルボキシ体やアミノ体が診断の精度を向上しうることを示している。この結果はまた、これらの物質が安全性の高い治療薬であることをも示すものである。これらの化合物はオクトレオチドおよびその誘導体に相当するが、オクトレオチドのD-Phe体とL-Phe体では、体内動態が殆ど変わらないことは既知である("Renal Metabolism of 111In-DTPA-D-Phe1-octreotide in vivo." Biocojugate Chem. 9(6), 662-670, 1998)。
また、本発明の医薬組成物がソマトスタチン受容体陽性腫瘍を破壊するための放射性治療に用いられる場合、金属としてはRe-186、Re-188、Y-90、Cu-64、Sn-117mおよびSm-153から選択される放射性金属が好ましい。
さらに、本発明の医薬組成物が生体の腫瘍部位をMRI画像診断するための診断薬である場合には、金属としてGd、Dy、FeおよびMnから選択される常磁性金属が好ましい。
本発明の放射性診断薬はボーラス投与による静脈注射等の一般的に用いられる非経口手段により投与でき、その投与量は患者の体重、年令及び適当な放射線イメージング装置等の諸条件を考慮し、イメージングが可能と考えられる放射能量が得られるように決定される。ヒトを対象とする場合、通常は37〜1,110MBqの範囲が好ましい。
本発明の治療薬で治療しうる癌の例として、下垂体、胃腸膵臓癌、中枢神経系、乳、前立腺、卵巣または結腸癌、小細胞肺癌、パラガングリオーマ、腎臓癌、皮膚癌、神経芽腫、褐色細胞腫、髄様甲状腺癌、骨髄腫、リンパ腫、ホジキンおよび非ホジキン病、骨癌およびそれらの転移癌が挙げられる。
また、本発明の放射性治療薬は、ソマトスタチン受容体を発現する自己免疫または炎症性疾患、例えば関節リウマチの治療にも使用し得る。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
2−1:試薬
以下の実施例に用いた試薬は以下の通りである。
ジエチレントリアミン:1級 東京化成工業株式会社
トリフルオロ酢酸エチル:1級 東京化成工業株式会社
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA):1級 東京化成工業株式会社
シリカゲル60 H:MERCK社
ワコーゲル(Wakogel)C-200:和光純薬工業株式会社
ブロモ酢酸 tert-ブチル:1級 東京化成工業株式会社
水素化ナトリウム:特級 石津製薬株式会社
ヒドラジン無水物:1級 東京化成工業株式会社
ブロモ酢酸ベンジル:1級 東京化成工業株式会社
パラジウム/カーボン(Pd/C):1級 ナカライテスク株式会社
9−フルオロメトキシカルボニル-O-t-ブチル-L-スレオニン
(Fmoc-Thr(But)-OH):株式会社ペプチド研究所
エチレングリコールジメチルエーテル:特級 東京化成工業株式会社
N-メチルモルホリン:特級 ナカライテスク株式会社
クロロギ酸イソブチル:特級 ナカライテスク株式会社
2-クロロトリチルクロリドレジン(2-chlorotrityl chloride resin):NOVA biochem社
乾燥ピリジン(dehydrated pyridine):関東化学株式会社
ピペリジン:特級 ナカライテスク株式会社
1,3-ジイソプロピルカルボジイミド (DIPCDI):1級 Sigma Aldrich Chem. Co.
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール (HOBt・H2O):1級 東京化成工業株式会社
9-フルオレニルメトキシカルボニル-S-アセトアミドメチル-L-システイン
(Fmoc-Cys(Acm)-OH):株式会社ペプチド研究所
Nα-9-フルオレニルメトキシカルボニル-Nε-tert-ブチルオキシカルボニル-L-リジン
(Fmoc-Lys(Boc)-OH):株式会社ペプチド研究所
9-フルオレニルメトキシカルボニル-D-トリプトファン
(Fmoc-D-Trp-OH):株式会社ペプチド研究所
9-フルオレニルメトキシカルボニル-L-フェニルアラニン
(Fmoc-Phe-OH):株式会社ペプチド研究所
Fmoc-p-カルボキシ-Phe(OtBu)-OH:BACHEM社
Fmoc-p-アミノ-Phe(Boc)-OH:BACHEM社
Fmoc-p-methyl-Phe-OH:BACHEM社
チオアニゾール:1級 東京化成工業株式会社
トリフルオロ酢酸(TFA):1級 東京化成工業株式会社
グアニジン塩酸塩:特級 ナカライテスク株式会社
ヨウ素(I2):特級 石津製薬株式会社
L-(+)-アスコルビン酸:特級 石津製薬株式会社
塩化インジウム-111 (129.5 MBq/ml in 0.02 N HCl)(111InCl3):日本メジフィジックス社
ヒト血清アルブミン:Sigma Aldrich Chem. Co.
n-オクタノール:特級 和光純薬工業株式会社
HPLCの溶離液:HPLC グレードの有機溶媒および蒸留水製造装置(MILLI-Q-Labo, MILLIPORE)で得た蒸留水
その他の試薬はすべて試薬特級品である。
実施例に用いた装置とその使用方法は以下の通りである。
(1) 高速原子衝突質量分析(fast atom bombardment mass spectra:FAB-MS)
FAB-MSスペクトルの測定には、70-SE型質量分析計(VG 社製)を用いた。
(2)-1 非放射性化合物のRP-HPLC実験
送液ポンプに、LC-9A (島津製作所)を2台使用し、高圧グラジェント法により行った。また、検出器には、紫外可視吸光度計 SPD-6AV (島津製作所)、記録計には C-R6A CHROMATOPAC (島津製作所)を使用した。
分取時には COSMOSIL 5C18-ARIIカラム(サイズ:20 × 250 mm, ナカライテスク株式会社)を使用し、移動相には 0.1 % トリフルオロ酢酸(TFA)/H2O とアセトニトリルを用い、流速 5 ml/min で、60分間でアセトニトリルを直線勾配で増加させた。
(DTPA-p-アミノ-Phe1-オクトレオチド: 15→40 %、DTPA-p-カルボキシ-Phe1-オクトレオチド: 20→40 %、DTPA-p-メチル-Phe1-オクトレオチド: 20→40 %)
分析時には、ガードカラムとして COSMOSIL 5C18-ARIIカラム(サイズ:4.6 × 10 mm, ナカライテスク株式会社)を接続した COSMOSIL 5C18-ARIIカラム(サイズ:4.6 × 150 mm, ナカライテスク株式会社)を使用し、移動相には 0.1 % トリフルオロ酢酸(TFA)/H2O とアセトニトリルを用い、流速 0.9 ml/min で、30分間でアセトニトリルを直線勾配で増加させた。(DTPA-p-アミノ-Phe1-オクトレオチド: 15→40 %、DTPA-p-カルボキシ-Phe1-オクトレオチド: 20→40 %、DTPA-p-メチル-Phe1-オクトレオチド: 20→40 %)。
送液ポンプに LC-10AT (島津製作所)を2台使用し、高圧グラジェント法により行った。
カラムには、COSMOSIL 5C18-MS カラム(サイズ:4.6 × 150 mm, ナカライテスク株式会社)を使用し、移動相には 0.05 M 酢酸緩衝液(pH 5.5)とメタノールを用い、流速 1 ml/min でグラジェント溶出した。アミノ体の場合は最初の 10 分間でメタノールを0 % に保ち、続く15分間でメタノールを 0 % から 50 % に直線勾配で増加させ、最後の 20 分間はメタノールを 50 % に保った。カルボキシ体の場合は最初の 10 分間でメタノールを 0 % に保ち、続く 15 分間でメタノール を 0 % から 45 % に直線勾配で増加させ、最後の 20 分間はメタノールを 45 % に保った。メチル体の場合は最初の 10 分間でメタノールを 5 % に保ち、続く 15 分間でメタノールを 5 % から 65 % に直線勾配で増加させ、最後の 20 分間はメタノールを 65 % に保った。
また、溶出液をフラクションコレクター(RediFrac, Pharmacia LKB)で分取し、それぞれの画分の放射能(カウント)をシンチレーションカウンターにより測定した。
セルロースアセテート膜には、Separax-SP (Jokoh Co. Ltd., Tokyo)、パワーサプライには PS 1510 (Jokoh Co. Ltd., Tokyo)、泳動槽には EC-100 (Adbantec)を用い、CAE を行った。
アミノ酸分析は、6 N塩酸で、110 ℃、24 時間、酸加水分解した後、Hitachi L 8500 アミノ酸分析器(日立製作所)で分析した。
放射能の測定には、Aloka ARC 2000, Tokyo を使用した。
マウスの尿と糞を採取するため、代謝ケージ(Metabolica, MM type;株式会社杉山元医理器)を使用した。
1.モノリアクティブDTPA(mDTPA)の合成
mDTPAの合成は、アラノら(Arano, Y., Uezono, T., Akizawa, H. et al., J.Med.Chem., 39, 3451-3460 (1996))の方法に従って行った。
But:tert-ブチル
Bz:ベンジル
3-((tert-ブトキシカルボニル)メチル)-6-(2-((トリフルオロアセチル)アミノ)エチル)-3,6-ジアザオクタン二酸 ジ-tert-ブチルの合成
ジエチレントリアミン(1) (3.18 g, 3.36 ml, 30.9 mmol)の無水アセトニトリル溶液(24 ml)を0 ℃以下に保ち、これにトリフルオロ酢酸エチル(4.38 g, 3.69 ml, 30.9 mmol)の無水アセトニトリル溶液(36 ml)を滴下し、2 時間撹拌した後、さらに室温で 1 時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残さを無水アセトニトリル溶液(120 ml)に溶解させ、0 ℃以下に冷却した後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(13.95 g, 18.81 ml, 108 mmol)の存在下、ブロモ酢酸tert-ブチル(21.06 g, 17.43 ml, 108 mmol)を滴下し、遮光し、室温で24 時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残さを酢酸エチル(300 ml)に溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム(300 ml)で 2 回洗浄し、有機層を無水硫酸カルシウム(CaSO4)で乾燥させ、溶媒を減圧留去した。残さを酢酸エチル:ヘキサン(1 : 8)を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーに付し、目的物を淡黄色油状物質として得た(収量: 10.25 g, 収率: 61.4 %)。
3,6-ビス((tert-ブトキシカルボニル)メチル)-9-(トリフルオロ-アセチル-3,6,9-トリアザウンデカン二酸 ジ-tert-ブチルの合成
N,N-ジメチルホルムアミド(82 ml)に懸濁させた水素化ナトリウム(0.908 g, 22.71 mmol)を-15 ℃以下に保ち、これに化合物 (2) (10.25 g, 18.93 mmol)の N,N-ジメチルホルムアミド溶液(14 ml)を滴下し、室温で 1 時間撹拌した。0 ℃以下に冷却した後、ブロモ酢酸 tert-ブチル(5.54 g, 4.59 ml, 28.4 mmol)を滴下し、室温で 4 時間撹拌した。反応液に 酢酸エチル(400 ml)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム(400 ml)で 2 回洗浄し、有機層を CaSO4 で乾燥させ、溶媒を減圧留去した。残さを酢酸エチル:ヘキサン(1:8)を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーに付し、目的物を淡黄色油状物質として得た(収量: 7.51 g, 収率: 60.5 %)。
FAB-MS(C30H53N3O9F3)(MH+): m/z 計算値, 656; 実測値, 656。
1-ベンジル tert-ブチル 3,6,9-トリス((tert-ブトキシカルボニル)メチル)-3,6,9-トリアザウンデカン二酸の合成
化合物(3)(7.4 g, 11.3 mmol)の tert-ブチルアルコール溶液(74 ml)を0 ℃以下に保ち、これに無水ヒドラジン(35.4 ml, 1.13 mol)を加え、3 時間撹拌した。反応液に クロロホルム(400 ml)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム(400 ml)で 2 回洗浄し、有機層を CaSO4 で乾燥させ、溶媒を減圧留去した。残さをN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.19 g, 2.95 ml, 16.9 mmol)の存在下、ブロモ酢酸ベンジル(3.89 g, 2.68 ml, 9.6 mmol)を滴下し、室温で 24 時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル(350 ml)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム(350 ml)で2回洗浄し、有機層をCaSO4 で乾燥させ、溶媒を減圧留去した。残さを酢酸エチル:ヘキサン(1 : 3)を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーに付し、目的物を淡黄色油状物質として得た(収量: 3.4 g, 収率: 42.5 %)。
FAB-MS(C37H62N3O10 (MH+): m/z 計算値, 708; 実測値, 708。
3,6,9-トリス((tert-ブトキシカルボニル)メチル)-3,6,9-トリアザウンデカン二酸 tert-ブチル (mDTPA)の合成
化合物 (4) (1.55 g, 2.19 mmol)を酢酸エチル(5.6 ml)に溶解させ、10 % パラジウム/炭素(0.1 g)の存在下、水素置換を行い、室温で 4.5 時間撹拌した。パラジウム/炭素を濾去した後、溶媒を減圧留去し、mDTPA を淡黄色油状物質として得た(収量: 1.26 g, 収率: 93.1 %)
FAB-MS(C30H56N3O10)(MH+): m/z 計算値, 618; 実測値, 618。
(1)Fmoc-Thr(Bu t )-ol の合成
a:N-メチルモルホリン, クロロギ酸イソプロピル;b:NaBH4
Fmoc: 9-フルオレニルメトキシカルボニル
But: tert-ブチル
Fmoc-Thr(But)-ol は、ロドリゲッツら(Rodrigues, M., Lilnares, M., Doulut, S. et al., Tetrahedron Lett., 32, 923-926 (1991))の方法に従って合成した。
Fmoc-Thr(But)-OH (1.99 g, 5 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(5 ml) を -15 ℃に保ち、これにN-メチルモルホリン (0.65 ml, 5 mmol)と クロロギ酸イソプロピル(0.65 ml, 5 mmol)を加え、1 分間撹拌した。速やかに沈殿物を取り除き、0 ℃以下に冷却した後、水(2.5 ml)に懸濁させたホウ水素化ナトリウム(0.57 g, 15 mmol)を加え、30 分間撹拌した。水(125 ml)を加えて反応を終了させ、酢酸エチル (50 ml)により 3 回抽出した。有機層を合わせ、5 % 炭酸水素ナトリウム溶液(150 ml)で 2 回洗浄し、有機層をCaSO4 で乾燥させ、溶媒を減圧留去した。残さをクロロホルム:メタノール(19 : 1)を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーに付し、目的物を白色油状物質として得た(収量: 1.21 g, 収率: 36.2 %)。
FAB-MS(C23H29NO4)(MH+): m/z 計算値, 384; 実測値, 384
a:Fmoc-Thr(But)-ol, 脱水ピリジン
ウエンシュらの方法(Wenschuh, H., Beyerman, M., Haber, H. et al., J.Org.Chem., 60, 405-410 (1995))に従って、Fmoc-Thr(But)-olを2-クロロトリチル クロリドレジンに導入した。
2-クロロトリチルクロリドレジン(1.26 mmol/g; 200 mg, 0.252 mmol)と、Fmoc-Thr(But)-ol (289 mg, 0.76 mmol)を脱水ジクロロメタン (1.0 ml)と脱水N,N-ジメチルホルムアミド(1.0 ml)の混合溶媒に溶解し、脱水ピリジン(0.12 ml)を加え、窒素置換を行い、室温で 24 時間撹拌した。その後、N,N-ジメチルホルムアミド で洗浄し、メタノール(2.5 ml)を加え、30 分間撹拌することにより、未反応のトリチル基をエンドキャップした。次いで、N,N-ジメチルホルムアミドとジクロロメタンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。
マインホッファーらの方法(Meienhofer, J., Waki, M., Heimer, E.P. et al., Int.J.Pept.Protein Res., 13, 35-42 (1979))に従って、レジンに結合したFmoc-Thr(But)-olを定量した。
レジンサンプルを真空下で、恒量になるまで乾燥させ、1〜2×10-3 g (X)を正確に量り採り、ピペリジン(0.4 ml)とジクロロメタン(0.4 ml)を加え、30 分間反応させた。メタノール(1.6 ml)を添加して反応を終了させ、ジクロロメタンを加え、全量を正確に10 ml にして溶液を混和した。301 nmにおいて、対照溶液に対するサンプル溶液の吸光度 (A301)を測定し、置換率を次式により求めたところ、0.243 mmol/g であった。
置換率 (アミノ酸 mmol/レジン 1 g)=(A301/7800)×(10 ml/X)
20 %ピペリジン/ジメチルホルムアミド (2 ml)を加え、20 分間撹拌し、Fmoc基を除去した。次いで、ジメチルホルムアミドで洗浄し、2.5 等量の側鎖保護 F-moc-アミノ酸誘導体および縮合剤であるDIPCDIとHOBt・H2O を加え、ジメチルホルムアミド (1 ml)中で縮合反応を1.5 時間行った。本縮合反応を、カイザー試験(Kaiser Test)(Kaiser, E., Colescot, R.L., Bossinger, C.D. et al., Anal.Biochem., 34, 595-598 (1970))によって陰性になるまで繰り返した。このF-moc 基の除去と F-moc-アミノ酸誘導体の縮合を繰り返し、保護ペプチド鎖をそれぞれの N 末アミノ酸である p-アミノ-Phe, p-カルボキシ-Phe, あるいは p-メチル-Pheまで延長した。F-moc-アミノ酸には、Fmoc-Cys(Acm)-OH、Fmoc-Thr(But)-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-D-Trp-OH、Fmoc-Phe-OH、Fmoc-p-アミノ-Phe(Boc)-OH、Fmoc-p-カルボキシ-Phe(OtBu)-OH、Fmoc-p-メチル-Phe-OH を用いた。その後、2.5 等量の mDTPAおよびDIPCDIとHOBt・H2O を加え、ジメチルホルムアミド(1 ml)中で縮合反応を1.5 時間行い、保護DTPA-p-アミノ-Phe1-オクトレオチド(6)、保護DTPA-p-カルボキシ-Phe1-オクトレオチド(7)、および保護DTPA-p-メチル-Phe1-オクトレオチド(8)を得た。
保護DTPA-p-アミノ-Phe1-オクトレオチド(6)(100 mg)、保護 DTPA-p-カルボキシ-Phe1-オクトレオチド(7)(100 mg)または、保護 DTPA-p-メチル-Phe1-オクトレオチド(8)(100 mg)を0 ℃以下に保ち、これにチオアニソール(400 μl)の存在下、トリフルオロ酢酸(TFA) (4 ml)を加え、室温で 2 時間撹拌した。0 ℃以下に冷却した後、エーテル(5 ml)を加え、粗 [Cys(Acm)2,7]-DTPA-p-アミノ-Phe1-オクトレオチド、粗[Cys(Acm)2,7]-DTPA-p-カルボキシ-Phe1-オクトレオチド、または粗[Cys(Acm)2,7]-DTPA-p-メチル-Phe1-オクトレオチド(11)を沈殿させた。沈殿物を6 M グアニジン塩酸塩(5 ml)で抽出し、グラスフィルターを用いてレジン(樹脂)を取り除いた。水系フィルター(DISMIC-13HP,東京ろ紙株式会社)を用いた前処理を行った後、RP-HPLC により精製した。230 nm でモニターし、目的物を含むフラクションを集め、凍結乾燥し、[Cys(Acm)2,7]-DTPA-p-アミノ-Phe1-オクトレオチド(9)(収量: 8.09 mg, 収率: 15.4 %)、[Cys(Acm)2,7]-DTPA-p-カルボキシ-Phe1-オクトレオチド(10)(収量: 6.05 mg, 収率: 14.27 %)、または[Cys(Acm)2,7]-DTPA-p-メチル-Phe1-オクトレオチド(11)(収量: 5.56 mg, 収率: 10.57 %)を白色状粉末として得た。
[Cys(Acm)2,7]-DTPA-p-アミノ-Phe1-オクトレオチド:
FAB-MS(C69H101N16O21S2)(MH+): m/z 計算値, 1554; 実測値, 1554.
[Cys(Acm)2,7]-DTPA-p-カルボキシ-Phe1-オクトレオチド:
FAB-MS(C70H100N15O23S2)(MH+): m/z 計算値, 1582; 実測値, 1582.
[Cys(Acm)2,7]-DTPA-p-メチル-Phe1-オクトレオチド
FAB-MS(C70H101N15O21S2)(MH+): m/z 計算値, 1552; 実測値, 1552.
[Cys(Acm)2,7]-DTPA-p-アミノ-Phe1-オクトレオチド (9) (1 mg, 0.64 μmol)、[Cys(Acm)2,7]-DTPA-p-カルボキシ-Phe1-オクトレオチド (10) (1 mg, 0.63 μmol)、または[Cys(Acm)2,7]-DTPA-p-メチル-Phe1-オクトレオチド (11) (1 mg, 0.64 μmol)を 80 % 酢酸(324 μl)に溶解させ、20 % I2/メタノール(16.6 μl, 13.02 μmol)を加え、室温で 60 分間撹拌した。1 Mアスコルビン酸水溶液を加え、過剰量のヨウ素を還元させ、水系フィルター(DISMIC-13HP, 東京ろ紙株式会社)を用いた前処理を行った後、RP-HPLC により精製した。230 nm でモニターし、目的物を含むフラクションを集め、凍結乾燥し、DTPA-p-アミノ-Phe1-オクトレオチド(9)(収量: 292 μg, 収率: 32.19 %)、DTPA-p-カルボキシ-Phe1-オクトレオチド(10)(収量: 163 μg, 収率: 17.92 %)、または DTPA-p-メチル-Phe1-オクトレオチド(11)(収量: 306 μg, 収率: 33.71 %)を白色状粉末として得た。
また、得られたDTPA-p-アミノ-Phe1-オクトレオチド、DTPA-p-カルボキシ-Phe1-オクトレオチド、およびDTPA-p-メチル-Phe1-オクトレオチド の白色状粉末を、RP-HPLC により分析したところ、それぞれ、保持時間 17.13 分、17.65 分、22.52 分にメジャーピークが観測された。
DTPA-p-アミノ-Phe1-オクトレオチド
FAB-MS(C63H89N14O19S2)(MH+): m/z 計算値, 1410; 実測値, 1410
6 N塩酸での酸分解後のアミノ酸組成比:
Thr 1.00 (1) Phe 1.08 (1) Lys 0.99 (1) [括弧内は理論的組成比]
DTPA-p-カルボキシ-Phe1-オクトレオチド
FAB-MS(C64H88N13O21S2)(MH+): m/z 計算値, 1439; 実測値, 1439
6 N塩酸での酸分解後のアミノ酸組成比:
Thr 1.00 (1) Phe 1.63 (1) Lys 1.07 (1) [括弧内は理論的組成比]
DTPA-p-メチル-Phe1-オクトレオチド
FAB-MS(C64H90N13O19S2) (MH+): m/z 計算値, 1409; 実測値, 1409
6 N 塩酸での酸分解後のアミノ酸組成比:
Thr 1.00 (1) Phe 0.88 (1) Lys 1.02 (1) [括弧内は理論的組成比]。
10 μg の DTPA-p-アミノ-Phe1-オクトレオチド、DTPA-p-カルボキシ-Phe1-オクトレオチド、またはDTPA-p-メチル-Phe1-オクトレオチド を 0.1 %酢酸(100 μg)に溶解した後、111InCl3 の 0.02 N HCl 溶液(7.62〜12.5 μl)を加え、室温で 1 時間放置した。電気的性質の比較、脂溶性の比較には、ここで得られたサンプルを用いた。また、体内放射能分布には、次の操作により得られたサンプルを用いた。上記のサンプルに、さらに0.1 HSA (ヒト血清アルブミン)を含有する 10 mM HEPES (2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]エタンスルホン酸)緩衝液(pH 7.6)を加え、0.1 μg/100 μl の溶液を調製した。
アミノ体、カルボキシ体、およびメチル体を、RP-HPLCにより分析したところ、それぞれ、保持時間39 分、38 分、34 分にメジャーピークが観測された。
なお、調製したアミノ体、カルボキシ体、およびメチル体は、RP-HPLCによる分析で、放射化学的純度が95 % 以上であることを確認し、以後の実験に使用した。
111In-DTPA-p-アミノ-Phe1-オクトレオチド (アミノ体)、111In-DTPA-p-カルボキシ-Phe1-オクトレオチド (カルボキシ体)、および111In-DTPA-p-メチル-Phe1-オクトレオチド (メチル体)の電気的性質を比較するために、セルロースアセテート電気泳動(CAE)を行った。セルロースアセテート膜にSeparax-SP(Jokoh Co. Ltd., Tokyo)を用い、尿のpHに相当するpH5.0、6.0、7.0および血漿のpHに相当するpH7.4の 20 mMリン酸緩衝液中で60分間泳動した。結果を図1に示す。図中、AはpH5.0、BはpH6.0、CはpH7.0、DはpH7.4での結果を表している。図1に示すように、尿のpHに相当するpH5.0、6.0、7.0 および血漿のpHに相当するpH7.4では、Phe体に比べてアミノ体はマイナス側に移動し、カルボキシ体はプラス側に移動した。また、メチル体は、Phe体と同じ位置に移動した。これらの結果は、尿中および血漿中で、Phe体およびメチル体に比べてアミノ体はプラスに、カルボキシ体はマイナスに帯電し、Phe1残基の側鎖の電荷を反映していることを示している。
アミノ体、カルボキシ体、およびメチル体の脂溶性を比較するために、n-オクタノール/緩衝液分配比を以下のようにして求めた。
n-オクタノールとリン酸塩緩衝液を混合し、一晩放置して飽和させた。シリコンコーティング(シリコナイズ L-25, Fuji System Corporation)したプラスチックチューブに、有機層および水層からそれぞれ3 mlずつ採り、アミノ体、カルボキシ体、または メチル体の溶液(5 μl)を加えた。[1分間ボルテックス−1分間放置]を3回繰り返した後、20分間放置した。この操作を3回繰り返し、遠心分離した。上層(n-オクタノール層)と下層(緩衝液層)をそれぞれ1mlずつ採り、シンチレーションカウンターで放射能(カウント)を測定し、分配比(PC)を次式により算出した。
PC=[n-オクタノール層の放射能]/[緩衝液層の放射能]
なお、緩衝液には、尿のpHに相当するpH5.0、6.0、7.0 および血漿のpHに相当するpH7.4の0.1 Mリン酸塩緩衝液を用いた。結果を表1に示す。表1から明らかに、アミノ体、カルボキシ体は、いずれもPhe体に比べて低い脂溶性を示したが、pH 5.0、6.0では、アミノ体よりカルボキシ体が高い脂溶性を示し、pH 7.0、7.4 では、カルボキシ体よりアミノ体が高い脂溶性を示した。また、メチル体は、いずれのpHでもPhe体に比べて高い脂溶性を示した。しかし、いずれの脂溶性も極めて低かった。
エーテル麻酔下で、6 週齢の ddY 系雄性マウスから心臓採血し、20分間、4 ℃、900 gの遠心分離により、マウス血漿を調製した。アミノ体(5 μl, 0.5 μg, 126.4 kBq)、カルボキシ体(5 μl, 0.5 μg, 126.4 kBq)、またはメチル体(5 μl, 0.5 μg, 126.4 kBq)を、調製直後の新鮮なマウス血漿(450 μl)に加え、37 ℃でインキュベートした。1および3時間後に試料溶液を取り出し、分画分子量10,000の限外濾過膜(Microcon-10, Amicon Inc., Beverly, MA)で濾過した後、RP-HPLC により分析した。結果を図2に示す。縦軸は、0時間における未変化体の割合を100%としたときの、未変化体の割合(%)を示している。
アミノ体、カルボキシ体およびメチル体は、それぞれ、インキュベート1時間後に98、97、97 % が、3 時間後に98、97、96 %が未変化体として存在した。これらの結果は、アミノ体、カルボキシ体およびメチル体が、Phe体と同様に血中で安定に存在することを示している。
1群が5〜6匹よりなる6群の6週齢ddY系雄性マウス(体重 28〜30 g)に尾静脈よりアミノ体(0.1 ng, 100 μl)、カルボキシ体(0.1 ng, 100 μl)、またはメチル体(0.1 ng, 100 μl)を投与し、10および30分、1、3、6、および24時間後、断頭採血、解剖し、関心臓器(肝臓、腎臓、脾臓、膵臓および肺)を摘出し、血液と関心臓器の重量と放射能を測定した。また、放射能の体外排泄経路と排泄量を調べるため、マウスを24時間、代謝ケージで飼育し、投与直後から24時間後までに排泄された尿と糞を採取し、それぞれの放射能を測定した。対照として111In-DTPA-Phe1-オクトレオチド(Phe体)を用いて試験した。結果を表2〜5に示す。また、アミノ体、カルボキシ体、メチル体及びPhe体の腎臓における放射能活性の経時変化を図3に示す。
その他の臓器においては、有意差が認められるポイントはあるものの、放射能の集積量は非常に少なかった。
また、投与して24時間後までに尿中および糞便中に排泄された放射能は、アミノ体の場合には、それぞれ82.03 %、5.80 %、カルボキシ体の場合には、それぞれ86.30 %、5.72 %、メチル体の場合には、それぞれ66.67 %、11.74 %であった。一方、Phe体ではそれぞれ57.54 %、22.81 %であった。この結果から金属は主として尿中に排泄されることが分かった。
アミノ体(100 μl, 0.1 ng, 9.25 kBq)、カルボキシ体(100 μl, 0.1 ng, 9.25 kBq)、または メチル体(100 μl, 0.1 ng, 9.25 kBq)を6週齢ddY系雄性マウス(体重28〜30g)に投与し、マウスを24時間、代謝ケージで飼育し、投与直後から24時間後までに排泄された尿を採取した。採取した尿を分画分子量10,000の限外濾過膜(Microcon-10, Amicon Inc., Beverly, MA)で濾過した後、RP-HPLCにより分析した。結果をそれぞれ、図4、図5及び図6に示す。アミノ体の場合には保持時間37分(図4)に、カルボキシ体の場合には保持時間41分(図5)に、メチル体の場合には保持時間33分(図6)に、未変化体のものと考えられるメジャーピークを観測した。
また、この結果(図4−6)をもとに、尿中に排泄された放射能のうち未変化体が占める割合を算出したところ(図7)、アミノ体では76.00 %、カルボキシ体では86.69 %、メチル体では71.14 % が未変化体であった。
(1)アミノ体、カルボキシ体、メチル体、Phe体は、いずれも血中で安定でありかつ速やかな血液からのクリアランスを示すことから、未変化体のまま臓器に移行すると考えられる。
(2)どの態様でも、試験した臓器のうち腎臓で高い放射能集積が認められ、放射能は主に尿中に排泄され、その70%以上は111In-DTPA-Phe1-オクトレオチドに準じた未変化体である(図7)。この結果は、アミノ体、カルボキシ体、メチル体、およびPhe体のいずれも、その大部分が未変化体のまま糸球体濾過されて尿中に排泄され、一部が腎細胞に取り込まれるという点でほぼ同様の放射能動態を示すことを示している。即ち、脂溶性、電気的性質の相違は、腎細胞に取り込まれる割合には影響しないことを示唆している。
(3)腎臓への放射能集積に関しては、図3から明らかなように、本発明のアミノ体の場合、投与30分から3時間後ではPhe体よりも低く、カルボキシ体の場合、検討したすべての時点でPhe体より低く抑制されており、腎細胞への取り込み後の迅速なクリアランスを示した。
本発明のカルボキシ体及びアミノ体はいずれもPhe体、メチル体に比較して、投与後画象診断に必要な期間を通して有意に低い腎集積を示すことから、診断薬として有望である。また、腎細胞への取り込み後迅速に排泄されるという性質は、腎臓の細胞に対する細胞毒性の発現を回避する上で極めて重要であり、治療薬としても極めて有望である。
Claims (8)
- Rが、DTPAである請求項1のキャリア物質。
- 診断及び/または治療用の金属と請求項1または2に記載のキャリア物質との腫瘍集積性の錯体。
- 金属が、Tc-99m、In-111、Cu-62、Ga-67、Ga-68、Re-186、Re-188、Y-90、Cu-64、Sn-117mおよびSm-153からなる放射性金属ならびにGd、Dy、FeおよびMnからなる常磁性金属から選択される、請求項3記載の腫瘍集積性の錯体。
- 請求項4記載の錯体を含有する腫瘍の診断または治療のための医薬組成物。
- 金属がTc-99m、In-111、Cu-62、Ga-67およびGa-68から選択される放射性金属である、生体の腫瘍部位を核医学的手法により画像診断するための、請求項5記載の医薬組成物。
- 金属がRe-186、Re-188、Y-90、Cu-64、Sn-117mおよびSm-153から選択される放射性金属である、放射性治療のための、請求項5記載の医薬組成物。
- 金属がGd、Dy、FeおよびMnから選択される常磁性金属である、生体の腫瘍部位をMRI画像診断するための、請求項5記載の医薬組成物。
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