JP4318434B2 - 無電極放電灯点灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、負荷の異常時において、出力を制限する回路を備えた無電極放電灯点灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の無電極放電灯点灯装置としては、特開平10−106774に開示されたものがあり、図7はその回路図である。このものは、直流電源回路1と、インバータ回路2と、共振回路3と、誘導コイルLcおよび無電極放電灯Laから構成された負荷回路5と、第1の異常検出回路6aおよび第2の検出回路8aと、出力制限回路7と、を備えて構成されている。さらに、このものは、図8に示すように、共振回路3と負荷回路5の間を電線4にて接続することにより、照明器具内における、負荷回路5の配置の自由度を高めることができる。
【0003】
この無電極放電灯点灯装置の動作を説明すると、このものは、スイッチSWをONすると、交流電源VacよりスイッチSWを介して整流器DBと電解コンデンサC0で整流・平滑して直流電圧Eを得る。この直流電圧Eをスイッチング素子Q1、Q2及びその駆動回路2bからなる自励式のハーフブリッジ式インバータ回路2により高周波の電圧に変換する。この高周波の電圧を電源として、共振回路3が共振し、誘導コイルLcに電力を供給する。これにより、誘導コイルLcは、無電極放電灯Laに高周波磁界を発生させ、無電極放電灯Laが点灯する。
【0004】
さらに、このものには、負荷の異常を検出する第1の異常検出回路6aおよび第2の検出回路8aが設けられている。第1の異常検出回路6aは、無電極放電灯Laの不点状態(無電極放電灯Laを装着しているにもかかわらず、寿命末期や使用環境を超えた低温や高温によりランプが点灯しない状態)や無負荷状態(無電極放電灯Laが装着されていない状態)などの異常を検出する。この検出回路は、共振回路3に発生する電圧を検出することにより、正常点灯状態と異常点灯状態とを判定しており、具体的には、不点状態や無負荷状態であるときには、共振回路3に発生する電圧が正常点灯状態のときよりも上昇するので、予め閾値を設定し、電圧が閾値以下のときは、正常とし、閾値以上のときは、異常と判定している。そして、異常の場合には、異常信号を出力制限回路7に出力している。
【0005】
また、第2の検出回路8aは、万一の取扱いの不備等により電線4が外れていることを検出するためのものである。この検出回路は、誘導コイルLcに発生する電圧を検出することにより、電線4が外れているかどうかを判定しているもので、具体的には、電線4が外れている場合には、誘導コイルLcの電圧が正常点灯状態のときよりも上昇するので、予め閾値を設定し、電圧が閾値以下のときは、正常とし、閾値以上のときは、電線4が外れている異常と判定する。そして、異常と判定した場合、異常信号を出力制限回路7に出力する。そして、この異常信号を受けた出力制限回路7は、インバータ回路2の出力を制限し、これにより無電極放電灯点灯装置の回路素子を保護している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した無電極放電灯点灯装置では、無電極放電灯Laが不点状態や無負荷状態のときに異常を検出するための第1の異常検出回路6a、および、電線4が外れたことを検出するための第2の検出回路8a、の2つの検出回路が必要となる。また、各々の回路の検出箇所もインダクタンス素子L1と抵抗R4の接続箇所、および、抵抗R4と誘導コイルLcの接続箇所、の2箇所が必要となる。さらに、2箇所で高周波電圧を検出すると、各々の箇所において電圧値や位相や波形が異なるため、この検出電圧が第1の異常検出回路6aと第2の検出回路8aとの相互の間において影響を及ぼしあい、誤動作の原因となることがあるうえに、また、回路の複雑化を招くこととなる。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、その目的とするところは、負荷の異常を検出する回路の簡素化が図れる無電極放電灯点灯装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の無電極放電灯点灯装置は、直流電圧を高周波の電圧に変換して出力するインバータ回路と、このインバータ回路の出力端に接続された少なくともコンデンサ素子とインダクタンス素子とを有する共振回路と、この共振回路から出力される電流により高周波磁界を発生する誘導コイルとこの誘導コイルの近傍に配置された無電極放電灯とを有し共振回路と電線により結線される負荷回路と、無負荷時には電流値が通常時よりも大きくなることを利用して前記共振回路の所定の箇所の電流値が第1の閾値を超えたときに無電極放電灯が無負荷であるとして異常信号を出力する異常検出回路と、この異常信号を受けてインバータ回路の出力を制限する出力制限回路と、を備えたものにおいて、結線される前記電線の少なくとも一線が開放された状態である電線外れ時には電流値が通常時よりも小さくなることを利用して前記所定の箇所の電流値が第1の閾値より小さい第2の閾値以下となったときに電線外れであるとして第2の異常信号を出力する結線異常検出部を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明の無電極放電灯点灯装置は、請求項1において、前記結線異常検出部は、異常検出回路に設けられたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明の無電極放電灯点灯装置は、請求項1又は2において、前記第2の閾値は、無電極放電灯が正常に点灯しているときの所定の箇所の電流値よりも低い値としたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明の無電極放電灯点灯装置は、請求項1乃至請求項3いずれかにおいて、前記所定の箇所の電流値は、前記共振回路を構成するインダクタンス素子の2次巻線の電流値であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明の無電極放電灯点灯装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、商用電源を直流電圧に変換する直流電源を備え、前記異常検出回路は、前記直流電源が所定の電圧を出力した後に動作を開始することを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明の無電極放電灯点灯装置は、請求項1乃至請求項5のいずれかにおいて、前記出力制限回路に、前記異常検出回路からの異常信号が所定の時間継続した場合に、前記インバータ回路の出力を所定の値に制限する出力制限タイマー回路を設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を図1〜図3を用いて説明する。図1は無電極放電灯点灯装置の回路図、図2は異常検出回路の閾値を示した説明図、図3はインバータ回路から負荷回路側を見たときのインピーダンス特性図、図4は電線が外れた場合の異常検出回路の動作を示すタイミング図である。
【0015】
この無電極放電灯点灯装置は、直流電源回路1と、インバータ回路2と、共振回路3と、電線4(以降、電力線4と称する。)と、誘導コイルLcおよび無電極放電灯Laから構成された負荷回路5と、異常検出回路6と、出力制限回路7と、を備えて構成している。
【0016】
直流電源回路1は、商用の交流電源ACからの交流電圧を直流電圧に変換するもので、整流回路DBと、電解コンデンサC0と、を備えている。整流回路DBは、商用の交流電源ACからの交流電圧を脈流電圧に整流して出力するものであり、ダイオードブリッジで構成している。また、電解コンデンサC0は、整流回路DBから出力された脈流電圧を平滑し、直流電圧に変換する。
【0017】
インバータ回路2は、電解コンデンサC0からの直流電圧を高周波でかつ矩形波の電圧に変換する。具体的には、電界コンデンサC0の両端に接続された起動回路2aと、同様に電界コンデンサC0の両端に直列に接続されたスイッチング素子Q1、Q2と、スイッチング素子Q1、Q2のゲートに接続された駆動回路2bと、を備えて構成している。起動回路2aは、インバータ回路2のスイッチング素子Q1を起動するためのものであり、電解コンデンサC0の両端に直列接続された抵抗R1とR2と、抵抗R1、R2の接続点A1及びスイッチング素子Q1、Q2の接続点A2の間に挿入されたコンデンサC1と、コンデンサC1の両端に直列接続された抵抗R3とダイオードD2と、接続点A1及びスイッチング素子Q1のゲート端子間に直列接続されたトリガ素子Q3(例えばPUT)とダイオードD1と、トリガ素子Q3のアノード・ゲート間に並列接続された抵抗R5及びコンデンサC5と、トリガ素子Q3のカソード・ゲート間に接続されたツェナーダイオードZD1と、を備えて構成している。駆動回路2bは、インバータ回路2の起動後にスイッチング素子Q1、Q2を動作させるものであり、1次巻線n1と二次巻線n2、n3とを有したトランスTと、トランスTの二次巻線n3の両端に接続されたコンデンサC2と、により構成している。
【0018】
共振回路3は、スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間にトランスTの1次巻線n1を介して直列接続されたインダクタンス素子L1とコンデンサC3と、インダクタンス素子L1とコンデンサC3との接続点と電力線4の間に平列接続された抵抗R4及びコンデンサC4と、を備えて構成している。
【0019】
電力線4は、同軸ケーブルからなり、抵抗R4とコンデンサC4の接続点と負荷回路5までの間、並びにグランドと負荷回路5までの間を接続している。
【0020】
負荷回路5は、電力線4を介して接続された高周波電力供給用の誘導コイルLcと、この近傍に配置された無電極放電灯Laと、を備えて構成している。
【0021】
異常検出回路6は、共振回路3の所定の箇所の電圧値又は電流値(ここでは、トランスTの1次巻線n1の電圧値)が、第1の閾値を超えたときに無電極放電灯Laが異常であるとして異常信号を出力制限回路7に出力する。具体的には、オペアンプIC1と、この正入力端子とグランドの間に平列接続された抵抗R6及びコンデンサC6と、オペアンプIC1の負入力端子に設けられて第1の閾値となる直流電源E1と、トランスTの1次巻線n1とコンデンサC3との接続点からオペアンプIC1の正入力端子に接続されたダイオードD3とオペアンプIC1の出力端子に接続されたD7と、を備えて構成している。そして、直流電源E1の電圧V1は、無電極放電灯Laの正常点灯状態(不点状態や無負荷状態あるいは、電力線4が外れているなどの状態でない通常の点灯状態)のコンデンサC6の両端電圧Vc6に対し、Vc6<V1の関係となるように設定する。
【0022】
出力制限回路7は、抵抗R7〜R12と、スイッチング素子Q4〜Q6と、ダイオードD5、D6と、ツェナーダイオードZD3と、コンデンサC7と、を備えて構成している。詳しくは、コンデンサC0の両端に、抵抗R11とR12を直列接続し、抵抗R12の両端に、コンデンサC7並びにツェナーダイオードZD3を並列接続することにより、発振停止回路7の電源回路を構成している。また、スイッチング素子Q2のゲートとグランド間には、ダイオードD5を介してスイッチング素子Q6のドレイン・ソースを接続している。さらに、コンデンサC7の両端には、抵抗R8とスイッチング素子Q4のドレイン・ソースが直列接続している。同様に、コンデンサC7の両端には、抵抗R9とスイッチング素子Q5のドレイン・ソースを直列接続している。また、スイッチング素子Q5のドレイン・ソース間には、抵抗R10とスイッチング素子Q6のゲート・ソースを並列接続し、スイッチング素子Q5のゲートには、スイッチング素子Q4のドレインを接続している。さらに、抵抗R9とスイッチング素子Q5のドレインとの接続点からは、ダイオードD6を介して抵抗R7をグランドに接続している。そして、スイッチング素子Q4 のゲート・ソースを抵抗R7の両端に接続している。
【0023】
ここで重要なことは、所定の箇所の電圧値又は電流値が第1の閾値より小さい第2の閾値以下となったときに、第2の異常信号を出力する結線異常検出部6aを設けたことである。そして、この結線異常検出部6aを異常検出回路6に設けたことである。具体的には、結線異常検出部6aをダイオードD8と、オペアンプIC2と、オペアンプIC2の正入力端子に設けた直流電源E2と、により構成し、オペアンプIC2の負入力端子に、トランスTの1次巻線n1に発生する電圧(つまりコンデンサC3に流れる電流)をダイオードD3を介して入力している。そして、直流電源E1の電圧V1より直流電源E2の電圧V2を小さい値とし、これを第2の閾値としている。さらに、第2の閾値である電圧V2を、無電極放電灯Laの正常点灯状態(不点状態や無負荷状態あるいは、電力線4が外れているなどの状態でない通常の点灯状態)のコンデンサC6の両端電圧Vc6に対し、V2<Vc6(例えばV2=1V、Vc6=2V)の関係となるように設定している。そして、オペアンプIC2の出力をダイオードD8を介して出力制限回路7に出力し、出力制限回路7によりインバータ回路2の出力を停止させるようにしているのである。
【0024】
次に、この無電極放電灯点灯装置の動作を説明する。スイッチSWをオンして交流電源Vacを投入すると、交流電圧が整流回路DBに印加される。整流回路DBは、これを脈流電圧に変換し、電解コンデンサC0により直流電圧に変換する。そして、電解コンデンサC0から抵抗R1、コンデンサC1、インダクタンス素子L1、抵抗R4、電力線4、誘導コイルLc、電力線4を介し、電解コンデンサC0に戻る閉ループに電流が流れてコンデンサC1が充電される。この充電により、コンデンサC1の両端電圧Vc1は徐々に上昇し、この電圧Vc1がツェナーダイオードZD1のツェナー電圧を越えるとトリガ素子Q3がONし、コンデンサC1、トリガ素子Q3、ダイオードD1、トランスTの2次巻線n2、コンデンサC1に戻る閉ループに電流が流れ、スイッチング素子Q1のゲート・ソース間に電圧が発生してスイッチング素子Q1がONする。スイッチング素子Q1のONにより、電解コンデンサC0からスイッチング素子Q1、インダクタンス素子L1、コンデンサC3、トランスTの1次巻線n1、電解コンデンサC0に戻る閉ループに電流が流れる。この電流により、トランスTの2次巻線n2、n3に誘起電圧が発生し、以後、スイッチング素子Q1、Q2は交互にON/OFFを繰り返す。
【0025】
これにより、共振回路3に振動電流が流れてインバータ回路2が自励発振し、インバータ回路2は、数MHzから数百MHzの高周波電圧を発生する。そして、インバータ回路2から誘導コイルLcに高周波電流を流すことにより誘導コイルLcからは高周波電磁界が発生する。誘導コイルLcの近傍に設けられた無電極放電灯Laは、誘導コイルLcから発生した高周波電磁界により内部に高周波プラズマ電流を発生させる。この高周波プラズマ電流により、無電極放電灯Laから紫外線もしくは可視光線が放出されて無電極放電灯Laは、点灯状態となる。そして、インバータ回路2が自励発振すると、トランスTの1次巻線n1に発生する電圧はダイオードD3、抵抗R6、コンデンサC6により整流平滑され、コンデンサC6の両端には、電圧Vc6が発生する。
【0026】
なお、インバータ回路2が発振すると、スイッチング素子Q1がONしたとき、電解コンデンサC0、スイッチング素子Q1、ダイオードD2、抵抗R3、抵抗R2、電解コンデンサC0に戻る閉ループに電流が流れるので、起動回路1は停止する。
【0027】
次に、異常検出回路6の動作を説明する。ここでは、無電極放電灯Laの正常点灯状態と、不点状態や無負荷状態と、電力線4が外れている電力線外れ状態と、についてする。まず、正常点灯状態においては、オペアンプIC1は、正入力端子の電圧Vc6よりも負入力端子の電圧V1が高いので出力端子の電位はローレベルとなる。また、オペアンプIC2は、正入力端子の電圧V2よりも負入力端子の電圧Vc6が高いので出力端子の電圧はローレベルとなる。その出力信号を受けてスイッチング素子Q4はオフ、スイッチング素子Q5はオン、スイッチング素子Q6はオフされる。よって、インバータ回路2は正常動作を継続し、無電極放電灯Laは、点灯を継続する。
【0028】
この状態で電力線4が外れると、結線異常検出部6aが動作する。詳しくは、電力線4が外れるとコンデンサC6に発生する電圧Vc6が第2の閾値、すなわち、オペアンプIC2の正入力端子の電圧V2よりも低くなる。これによりオペアンプIC2の出力端子の電圧がハイレベルの電圧すなわち異常信号を出力し、スイッチング素子Q4はオン、スイッチング素子Q5はオフ、スイッチング素子Q6はオンする。従って、出力制限回路7はインバータ回路2のスイッチング素子Q2をオフし、発振を停止させる。なお、スイッチング素子Q5がオフした場合は、電源回路1より抵抗R11、R9、ダイオードD6を介してスイッチング素子Q4のゲート端子に電圧が供給され、スイッチング素子Q4、Q6はオン状態を保持し、インバータ回路2は、発振停止状態を継続する。
【0029】
次に、無電極放電灯Laの正常点灯状態に、無電極ランプ6が不点状態や無負荷状態になった場合を説明する。この場合には、コンデンサC6に発生する電圧Vc6が第1の閾値すなわちオペアンプIC1の負入力端子の電圧E1よりも高くなる。これによりオペアンプIC2の出力端子の電圧がハイレベルの電圧すなわち異常信号を出力し、以降は、前述したものと同様の動作となりインバータ回路2は発振を停止し、その状態が継続される。
【0030】
なお、図3に高周波電源2の出力端から負荷回路5側をみたインピーダンスの周波数特性を示す。それぞれ正常点灯状態、無負荷状態、電力線外れ状態、におけるインピーダンスの周波数特性を示したものである。この無電極放電灯点灯装置においては、始動性を向上させるため、図3のように始動時(無負荷状態)に誘導コイルLcへ供給される高周波電力が大きくなるようにLC共振点付近を動作周波数としている。さらに、その動作周波数を通常の共振回路に見られるように、共振周波数よりも高い周波数で動作するように設定している。
【0031】
従って、無負荷状態では、回路のインピーダンスが正常点灯時よりも小さくなるので共振回路3の共振電流が大きくなり、この結果コンデンサC6に発生する電圧Vc6が大きくなる。一方、電力線4が外れた場合には、回路のインピーダンスが正常点灯時よりも大きくなるので共振回路3の共振電流が小さくなり、この結果コンデンサC6に発生する電圧Vc6が小さくなる。
【0032】
この実施の形態によると、所定の箇所の電圧値又は電流値が第1の閾値より小さい第2の閾値以下となったときに第2の異常信号を出力する結線異常検出部6aを設けたことにより、不点状態や無負荷状態、および、電線が外れた状態を回路上の1箇所の電流、又は、電圧で検出できるとともに回路出力を所定の値に制限することができる。
【0033】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を図4〜図6を用いて説明する。図4は無電極放電灯点灯装置の回路図、図5は異常検出回路の検出電圧と第1の閾値を示したタイミング図、図6は異常検出回路の動作を示したタイミング図である。このものは、第1の実施の形態における異常検出回路6と出力制限回路7を変えたものである。
【0034】
図において、直流電源1は、インダクタ素子L2と、スイッチング素子Q3と、ダイオードD1と、平滑コンデンサC0および電源制御回路と、を備えて構成した、所謂、昇圧チョッパ回路である。この昇圧チョッパ回路は、商用の交流電源ACからの交流電圧を直流電圧に変換し、この直流電圧の出力が一定になるような動作をしている。なお、直流電源1としては、所謂、昇降圧チョッパ回路や交流電源Vacを用いない直流電源等、直流電圧を出力するものであればよい。
【0035】
インバータ回路2は、スイッチング素子Q1、Q2と、スイッチング素子Q1、Q2を他励制御する駆動回路と、を備えて構成している。
【0036】
異常検出回路6は、共振回路3のインダクタンス素子L1の2次巻線n2と、ダイオードD3、D7およびD8と、コンデンサC6と、抵抗R6と、R13〜R16と、オペアンプIC1およびIC2と、を備えて構成している。ここでオペアンプIC1の負入力端子には、コンデンサC7の電圧を抵抗R13とR14にて分圧したV1を印加し、オペアンプIC2の正入力端子には、コンデンサC7の電圧を抵抗R15とR16にて分圧したV2を印加している。そして、第1の実施の形態と同様に電圧V1を第1の閾値とし電圧V2を第2の閾値とし、無電極放電灯Laの正常点灯状態においては、コンデンサC6の両端の電圧Vc6が、V2<Vc6<V1の関係となるようにV1およびV2を設定している。
【0037】
出力制限回路7は、スイッチング素子Q6と、オペアンプIC3と、ダイオードD5、D6と、平滑コンデンサC7およびコンデンサC8と、ツェナーダイオードZD3と、抵抗R7〜R12、R17と、を備えて構成している。その他の第1の実施の形態と同一の構成部材には同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0038】
次に重要なことを述べると、所定の箇所の電圧値又は電流値を、共振回路3を構成するインダクタンス素子L1の2次巻線n2の電圧値又は電流値としたことである。つまり、インダクタンス素子L1に2次巻線n2を形成し、この一端を異常検出回路6のダイオードD3へ接続したことである。さらに、出力制限回路7に、異常検出回路6からの異常信号が所定の時間継続した場合に、インバータ回路2の出力を所定の値に制限する出力制限タイマー回路7aを設けたことである。そして、具体的には、この出力制限タイマー回路7aをオペアンプIC3と、コンデンサC8と、抵抗R7〜R9、R17と、により構成したことである。
【0039】
このように構成された無電極放電灯点灯装置を点灯させると、第1の実施の形態で説明したものと同様に、共振回路3のインダクタンス素子L1に電流が流れ、その2次巻線n2に電圧が発生する。そして、2次巻線n2に発生した電圧は、ダイオードD3を介してコンデンサC6に印加される。そして、異常検出回路6は、第1の実施の形態で説明したものと同様に、無電極放電灯Laの不点状態や無負荷状態、および、電力線4の外れ状態を検出し、出力制限回路7に信号を出力する。
【0040】
次に、出力制限回路7の動作を説明する。異常検出回路6が無負荷状態や電力線4の外れ状態を検出し、異常信号であるハイレベル信号を出力すると、抵抗R9を介してコンデンサC8が充電される。そして、コンデンサC8の電圧すなわちオペアンプIC3の正入力端子の電位が、オペアンプIC3の負入力端子の電位である抵抗R7とR8の分圧を超えるまで異常信号が継続すると、オペアンプIC3の出力端子がハイレベルとなり、ダイオードD6を介してスイッチング素子Q6のゲート電位が上昇して、スイッチング素子Q6をオンさせる。そして、スイッチング素子Q6がONすることによりスイッチング素子Q2のゲート・ソース間が短絡され、インバータ回路2の出力が停止し、回路を保護することができる。
【0041】
図5に無負荷時の共振回路3の電圧又は電流、すなわち、コンデンサC6の電圧Vc6の一例を示す。無負荷時には第1の閾値より大きい期間が一定時間T0継続するとインバータ回路2の発振を停止させている。さらに一定時間停止した後、再びインバータ回路2の発振を開始させても、無負荷状態や不点状態が継続している場合、再び、この動作を繰り返すことにより、回路を保護している。このとき、繰り返し回数は、限定しても良い。なお、ここでは、インバータ回路2の発振を停止させているが、直流電源1の出力を低減させてインバータ回路2の出力を制限して、無電極放電灯点灯装置の回路素子を保護してもよい。
【0042】
この実施の形態によると、所定の箇所の電圧値又は電流値を、共振回路3を構成するインダクタンス素子L1の2次巻線n2の電圧値又は電流値としたこと、つまり他の回路には、影響を及ぼさない独立したもので行ったことにより、その検出電圧を比較的自由に設定できるので閾値の設定が容易となる。さらに、出力制限回路7に、異常検出回路6からの異常信号が所定の時間継続した場合に、インバータ回路2の出力を所定の値に制限する出力制限タイマー回路7aを設けたことにより、例えば、無電極放電灯Laの始動時(一時的に無負荷の状態になる)に異常検出回路6から一時的にハイレベルの出力信号すなわち異常信号が出力される、あるいは、ノイズ等による異常検出回路6の誤動作で異常検出回路6から一時的にハイレベルの出力信号すなわち異常信号が出力される、などの誤作動が発生しても、出力制限回路7が動作しないようにできる。
【0043】
なお、異常検出回路6は、商用電源を直流電圧に変換する直流電源1が所定の電圧を出力した後に動作を開始するようにしてもよい。この異常検出回路6が動作するタイミングを図6に示した。ここでは、異常検出回路6に無電極放電灯点灯装置の起動時に直流電源1が所定の電圧を出力するのに十分な、一定時間Tsの休止区間を設け、この間は異常検出回路6の出力は、ローレベルを維持し、この休止区間が終了後、異常検出回路6が動作を開始するようにしている。これにより直流電源1が起動してからインバータ回路2が起動するまでの間に共振回路3の電圧又は電流が第2の閾値を超えず、異常検出回路6が電力線4の外れ状態であると判断してしまうことを防止できる。なお、一定時間Tsは、例えば異常検出回路6および出力制限回路7の電源となる抵抗R12と並列に接続している平滑コンデンサC7の容量により容易に設定することができる。
【0044】
【発明の効果】
請求項1記載の発明にあっては、直流電圧を高周波の電圧に変換して出力するインバータ回路と、このインバータ回路の出力端に接続された少なくともコンデンサ素子とインダクタンス素子とを有する共振回路と、この共振回路から出力される電流により高周波磁界を発生する誘導コイルとこの誘導コイルの近傍に配置された無電極放電灯とを有し共振回路と電線により結線される負荷回路と、無負荷時には電流値が通常時よりも大きくなることを利用して前記共振回路の所定の箇所の電流値が第1の閾値を超えたときに無電極放電灯が無負荷であるとして異常信号を出力する異常検出回路と、この異常信号を受けてインバータ回路の出力を制限する出力制限回路と、を備えた無電極放電灯点灯装置において、結線される前記電線の少なくとも一線が開放された状態である電線外れ時には電流値が通常時よりも小さくなることを利用して前記所定の箇所の電流値が第1の閾値より小さい第2の閾値以下となったときに電線外れであるとして第2の異常信号を出力する結線異常検出部を設けたことにより、負荷の異常を回路上の1箇所の電流で検出できるのでこれらの異常を検出する回路の簡素化が図れる。
【0045】
請求項2記載の発明にあっては、前記結線異常検出部は、異常検出回路に設けられたことにより、請求項1に記載の効果をさらに高めることができる。
【0046】
請求項3記載の発明にあっては、前記第2の閾値は、無電極放電灯が正常に点灯しているときの所定の箇所の電流値よりも低い値としたことにより、請求項1又は2に記載の効果を奏するうえに、正常点灯状態と電線の外れ状態を確実に区別して検出することができる。
【0047】
請求項4記載の発明にあっては、前記所定の箇所の電流値は、前記共振回路を構成するインダクタンス素子の2次巻線の電流値であることにより、請求項1乃至3に記載の効果を奏するうえに、他の回路には、影響を及ぼさない独立したものとなるので、その検出電圧を比較的自由に設定できる。
【0048】
請求項5記載の発明にあっては、商用電源を直流電圧に変換する直流電源を備え、前記異常検出回路は、前記直流電源が所定の電圧を出力した後に動作を開始することにより、請求項1乃至4に記載の効果を奏するうえに、無電極放電灯点灯装置の起動状態において、異常検出回路の誤動作を防ぐことができる。
【0049】
請求項6記載の発明にあっては、前記出力制限回路に、前記異常検出回路からの異常信号が所定の時間継続した場合に、前記インバータ回路の出力を所定の値に制限する出力制限タイマー回路を設けたことにより、請求項1乃至5に記載の効果を奏するうえに、無電極放電灯の始動状態において、異常検出回路の誤動作により出力が変動することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る無電極放電灯点灯装置の回路図である。
【図2】同上の無電極放電灯点灯装置の異常検出回路の閾値を示した説明図である。
【図3】同上の無電極放電灯点灯装置の電線が外れた場合の異常検出回路の動作を示すタイミング図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る無電極放電灯点灯装置の回路図である。
【図5】同上の無電極放電灯点灯装置の異常検出回路の検出電圧と第1の閾値を示したタイミング図である。
【図6】同上の無電極放電灯点灯装置の異常検出回路の動作を示すタイミング図である。
【図7】従来例に係る無電極放電灯点灯装置の回路図である。
【図8】同上の無電極放電灯点灯装置の負荷回路を電線で延長した回路図である。
【符号の説明】
1 直流電源回路
2 インバータ回路
3 共振回路
4 電線(電力線)
5 負荷回路
6 異常検出回路
6a 結線異常検出部
7 出力制限回路
7a 出力制限タイマー回路
La 無電極放電灯
Lc 誘導コイル
Claims (6)
- 直流電圧を高周波の電圧に変換して出力するインバータ回路と、このインバータ回路の出力端に接続された少なくともコンデンサ素子とインダクタンス素子とを有する共振回路と、この共振回路から出力される電流により高周波磁界を発生する誘導コイルとこの誘導コイルの近傍に配置された無電極放電灯とを有し共振回路と電線により結線される負荷回路と、無負荷時には電流値が通常時よりも大きくなることを利用して前記共振回路の所定の箇所の電流値が第1の閾値を超えたときに無電極放電灯が無負荷であるとして異常信号を出力する異常検出回路と、この異常信号を受けてインバータ回路の出力を制限する出力制限回路と、を備えた無電極放電灯点灯装置において、結線される前記電線の少なくとも一線が開放された状態である電線外れ時には電流値が通常時よりも小さくなることを利用して前記所定の箇所の電流値が第1の閾値より小さい第2の閾値以下となったときに前記電線外れであるとして第2の異常信号を出力する結線異常検出部を設けたことを特徴とする無電極放電灯点灯装置。
- 前記結線異常検出部は、異常検出回路に設けられたことを特徴とする請求項1記載の無電極放電灯点灯装置。
- 前記第2の閾値は、無電極放電灯が正常に点灯しているときの所定の箇所の電流値よりも低い値としたことを特徴とする請求項1又は2記載の無電極放電灯点灯装置。
- 前記所定の箇所の電流値は、前記共振回路を構成するインダクタンス素子の2次巻線の電流値であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の無電極放電灯点灯装置。
- 商用電源を直流電圧に変換する直流電源を備え、前記異常検出回路は、前記直流電源が所定の電圧を出力した後に動作を開始することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の無電極放電灯点灯装置。
- 前記出力制限回路に、前記異常検出回路からの異常信号が所定の時間継続した場合に、前記インバータ回路の出力を所定の値に制限する出力制限タイマー回路を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の無電極放電灯点灯装置。
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