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JP4314777B2 - 透明導電膜積層体の製造方法 - Google Patents

透明導電膜積層体の製造方法 Download PDF

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JP4314777B2
JP4314777B2 JP2002107758A JP2002107758A JP4314777B2 JP 4314777 B2 JP4314777 B2 JP 4314777B2 JP 2002107758 A JP2002107758 A JP 2002107758A JP 2002107758 A JP2002107758 A JP 2002107758A JP 4314777 B2 JP4314777 B2 JP 4314777B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明導電膜積層体及びその製造方法に関し、更に詳しくは、透明性、導電性に優れるとともに、透明導電層の基材に対する密着性及び耐久性にも優れた透明導電膜積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示素子に代表されるディスプレイ素子は、より薄葉化、より軽量化、より大型化、任意の形状化、曲面表示対応等の高度な要求がある。特にポケベルや携帯電話や電子手帳及びペン入力機器等の身につけて携帯するいわゆる個人情報端末機器の利用の拡大につれて、従来のガラス基板に替わってプラスチックを基板とする液晶表示パネルが検討され、一部で実用化されはじめた。こうしたプラスチック基板は、ガラス基板に比較して軽量化・薄葉化の要望を満たしてくれる。また、プラスチック基板の中でも、シート形状のリジットな基板でなくフレキシビリティに優れるフィルム状の基板は本用途に好適に用いられる。
【0003】
上記において透明基板に透明無機薄膜を積層して導電性を付与してなる透明導電膜積層体においては、導電性には優れるものの、特に基材が透明プラスチックシート(ハードコート層が形成されている場合もある)である場合には、基材に対する透明導電層の密着性に問題があり、更に基材と反射防止層との可撓性が異なることから、透明導電層が基材の可撓性に追従することができず、透明導電層に微細クラックが発生して透明導電層が部分的に剥落し、液晶ディスプレイなどに用いられている場合、断線が起こり、液晶ディスプレイの商品価値を著しく落とすことになる。
【0004】
このような問題を解決する方法として、特開平9−174747号、同10−111500号、特開2000−338303号そして特開2001−125079号などにプライマー層を設ける方法が開示されているが溶剤を用いてプライマー層を形成する場合、該溶剤を除去する必要が生じ、生産性が低下するばかりでなく、環境への影響も大きい。またプラズマCVD法を用いる場合でも真空プロセスを必要とし、よって生産性の向上は大きくは見こめない。更に、溶剤は完全に除去されず、次工程、例えば透明導電膜形成法として広く用いられているスパッタリングプロセスに導入する場合、低圧力下での製膜となるため、製膜室に導入する際の真空引きに多大な時間を要し、生産性はやはり低下する。また、完全に除去しきれない溶剤はその後に設けられた透明導電膜の特性を経時で劣化させる。また、プライマー層を形成した後、透明導電層を形成する場合、いったんロールに巻き取る操作が加わることになるが、その際におきるブロッキングなどを防止するために更に配慮が必要となる。
【0005】
更に、液晶素子などの表示素子として透明導電膜積層体を用いる場合、その製造プロセスそして使用条件を考慮すると、空気や水蒸気等がプラスチックフィルムを透過して液晶層内部に入り込んで表示欠陥を発生する現象を防止するためにガスバリヤ性を有する層(ガスバリヤ層)をフィルム上に積層する必要がある。
【0006】
一方、透明導電膜は液晶表示素子、有機EL素子、太陽電池、タッチパネル、電磁波シールド材、赤外線反射膜等に広く使用されている。透明導電膜としてはPt、Au、Ag、Cu等の金属薄膜、SnO2、In23、CdO、ZnO2、SnO2:Sb、SnO2:F、ZnO:AL、In23:Snなどの酸化物及びドーパントによる複合酸化物膜、カルコゲナイド、LaB6、TiN、TiC等の非酸化物がある。中でも錫をドープした酸化インジウム膜(以下、ITOという)が、優れた電気特性とエッチングによる加工の容易さからもっとも広く使用されている。これらは真空蒸着法やスパッタリング法,イオンプレーティング法、真空プラズマCVD法、スプレーパイロリシス法、熱CVD法、ゾルゲル法等により形成されている。
【0007】
近年液晶表示素子、有機EL素子等のフラットパネルディスプレイにおいては大面積化、高精細化が進んでおり、より高性能な透明導電膜が求められている。液晶素子においては電界応答性の高い素子あるいは装置を得るうえから、電子移動度の高い透明導電膜の利用が求められている。また、有機EL素子においては電流駆動方式をとるために、より低抵抗な透明導電膜が求められている。
【0008】
透明導電膜の形成方法の中で真空蒸着法やスパッタリング法は、低抵抗な透明導電膜を得ることができる。工業的にはDCマグネトロンスパッタリング装置を用いることにより比抵抗値で10-4Ω・cmオーダーの優れた導電性を有するITO膜を得ることが出来る。
【0009】
しかしながら、これらの物理的製作法(PVD法)では気相中で目的物質を基板に堆積させて膜を成長させるものであり、真空容器を使用する。そのため装置が大がかりで高価なうえ原料の使用効率が悪くて生産性が低い。また大面積の成膜も困難であった。さらに、低抵抗品を得るためには製膜時に200〜300℃に加熱する必要があり、プラスチックフィルムへの低抵抗な透明導電膜の製膜は困難である。
【0010】
ゾルゲル法(塗布法)は分散調液、塗布、乾燥といった多くのプロセスが必要なだけでなく、被処理基材との接着性が低いためにバインダー樹脂が必要となり透明性が悪くなる。また、得られた透明導電膜の電気特性もPVD法に比較すると劣る。
【0011】
熱CVD法は、スピンコート法やディップコート法、印刷法などにより基材に目的物質の前駆物質を塗布し、これを焼成(熱分解)することで膜を形成するものであり、装置が簡単で生産性に優れ、大面積の成膜が容易であるという利点があるが、通常焼成時に400℃から500℃の高温処理を必要とするため基材が限られてしまうという問題点を有していた。特に、プラスチックフィルム基板への成膜は困難である。
【0012】
上記、ゾルゲル法(塗布法)による高機能な薄膜が得にくいデメリット、および、真空装置を用いることによる低生産性のデメリットを克服する方法として、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する方法(以下、大気圧プラズマCVD法という)が提案されている。特開2000−303175号公報に大気圧プラズマCVD法により透明導電膜を形成する技術が開示されている。しかしながら、得られる透明導電膜の抵抗は比抵抗値で〜10-2Ω・cmと高く、比抵抗値1×10-3Ω・cm以下の優れた電気特性が要求される液晶素子、有機EL素子、PDP、電子ペーパー等のフラットパネルディスプレイ用透明導電膜としては不十分である。更に、CVD原料にトリエチルインジウムを用いており、この化合物は常温、大気中で発火、爆発の危険性があるなど、安全性にも問題がある。
【0013】
また、特開2001−74906には赤外線及び電磁波防止機能を有し、ハードコート層/透明導電層/反射防止層とを高い密着性を有する、耐擦傷性、表面硬度に優れたPDP又はFED用反射防止フィルム及びその製造方法として透明導電層の例が開示されているが、該特許に記載の透明導電層ではより低抵抗な透明導電膜という要求に到底応えることはできない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高い透明性、導電率、基材への密着性をもつ高性能な透明導電膜を高い生産性で、かつ環境負荷を低くしつつ生産する製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0016】
1.透明基材上に、プライマー層及び透明導電層を積層してなる透明導電膜積層体の製造方法において、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、周波数150kHz以上の連続したサイン波の高周波電圧で、且つ、1〜50W/cm の電力を供給して放電させた電界をプライマー層及び透明導電層を形成する際の放電空間に印加し、少なくとも1種類以上の不活性ガスと、少なくとも1種類以上の有機金属化合物及び少なくとも1種類以上の反応性ガスからなる混合ガスを放電空間に導入してプラズマ状態にして該透明基材を晒すことによって、該透明基材上に該プライマー層を形成し、更に、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、少なくとも1種類以上の不活性ガスと、少なくとも1種類以上の有機金属化合物及び少なくとも1種類以上の反応性ガスからなる混合ガスを放電空間に導入してプラズマ状態にして上記透明基材上にプライマー層を形成した基材を晒すことによって、該プライマー層上に該透明導電層を形成することを特徴とする透明導電膜積層体の製造方法。
【0017】
2.透明基材上に、プライマー層、ガスバリヤ層及び透明導電層を積層してなる透明導電膜積層体の製造方法において、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、周波数150kHz以上の連続したサイン波の高周波電圧で、且つ、1〜50W/cm の電力を供給して放電させた電界をプライマー層、ガスバリヤ層及び透明導電層を形成する際の放電空間に印加し、少なくとも1種類以上の不活性ガスと、少なくとも1種類以上の有機金属化合物及び少なくとも1種類以上の反応性ガスからなる混合ガスを放電空間に導入してプラズマ状態にして該透明基材を晒すことによって、該透明基材上に該プライマー層を形成し、更に、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、少なくとも1種類以上の不活性ガスと、少なくとも1種類以上の有機金属化合物及び少なくとも1種類以上の反応性ガスからなる混合ガスを放電空間に導入してプラズマ状態にして上記透明基材上にプライマー層を形成した基材を晒すことによって、該プライマー層上に該ガスバリヤ層を形成し、次いで、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、少なくとも1種類以上の不活性ガスと、少なくとも1種類以上の有機金属化合物及び少なくとも1種類以上の反応性ガスからなる混合ガスを放電空間に導入してプラズマ状態にして上記透明基材上にプライマー層及びガスバリヤ層を形成した基材を晒すことによって、該ガスバリヤ層上に該透明導電層を形成することを特徴とする透明導電膜積層体の製造方法。
【0018】
3.ガスバリヤ層がマグネシウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、タングステン、タンタル、アルミニウム、亜鉛、インジウム、クロム、バナジウム、ニオブ、錫のうち少なくとも1種類の元素を含む無機化合物であることを特徴とする前記2記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0019】
4.プライマー層が前記一般式(1)の膜であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0020】
5.一般式(1)のMがケイ素であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0021】
6.透明導電膜を形成するために放電空間に導入される有機金属化合物が前記の一般式(2)又は一般式(3)で表される有機金属化合物であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0022】
7.プライマー層あるいは透明導電膜を形成する前記放電空間に少なくとも1種類の不活性ガスを含有する混合ガスを導入し、該不活性ガスがアルゴンまたはヘリウムを含有することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0024】
.ガスバリヤ層を形成する前記放電空間に少なくとも1種類の不活性ガスを含有する混合ガスを導入し、該不活性ガスがアルゴンまたはヘリウムを含有することを特徴とする前記2〜6のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0026】
.前記高周波電圧が150MHz未満であることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0027】
10.高周波電圧が200kHz以上であることを特徴とする前記記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0028】
11.高周波電圧が800kHz以上であることを特徴とする前記又は1記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0029】
12.電力が1.2W/cm以上であることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0030】
13.電力が50W/cm以下であることを特徴とする前記12記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0031】
14.電力が20W/cm以下であることを特徴とする前記12又は13記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0033】
15.電極の少なくとも一方が誘電体で被覆されていることを特徴とする前記8〜1のいずれか1項に記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0034】
16.誘電体の比誘電率が6〜45の無機物であることを特徴とする前記1に記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0035】
17.電極の表面粗さRmaxが10μm以下であることを特徴とする前記1又は1記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0036】
18.透明導電性薄膜が酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、Fドープ酸化錫、Alドープ酸化亜鉛、Sbドープ酸化錫、ITO、In−ZnO系アモルファス透明導電膜から選ばれる少なくとも1種を主成分とすることを特徴とする前記1〜17のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0037】
19.透明導電膜がITO膜であって、該ITO膜がIn/Sn原子数比で100/0.1〜100/15の範囲であることを特徴とする前記1〜18のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0039】
20.透明基材上にガスバリヤ層がない場合はプライマー層を形成した後、ガスバリヤ層を有する場合はガスバリヤ層を形成した後、巻き取ることなく透明導電性膜を形成することを特徴とする前記1〜19のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0040】
21.透明導電膜の炭素含有量が0〜5.0原子数濃度の範囲であることを特徴とする前記1〜2のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
【0047】
本発明を更に詳しく説明する。上記製造方法及び該製造方法により作製された透明導電膜積層体は高い透明性、導電率、基材との密着性を有すばかりでなく、プライマー層に溶剤を含まないため、経時での特性、特に導電率変化が少なく、ガスバリヤ層を設ける場合にも真空プロセスが必要ないため、高い生産性を保持できるという優れた特性をもつ。
【0048】
本発明は大気圧または大気圧近傍の圧力下において、反応性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上にプライマー層及び透明導電層又はプライマー層、ガスバリヤ層及び透明導電層をそれぞれ独立に積層してなる透明導電膜積層体の製造方法において、前記反応性ガスが、還元ガスを含有することを特徴とする透明導電膜形成方法である。
【0049】
本発明の大気圧プラズマCVDにおいては、対向する電極間に、150kHz〜150MHzの高周波電圧で、且つ、1.2〜50W/cmの電力(出力密度)を供給し、反応性ガスを励起してプラズマを発生させる。
【0050】
本発明において、電極間に印加する高周波電圧の周波数の上限値は、好ましくは15MHz以下である。
【0051】
また、高周波電圧の周波数の下限値としては、好ましくは200kHz以上である。より好ましくは800kHz以上である。
【0052】
また、電極間に供給する電力の下限値は、1.2W/cm2以上である。上限値としては、50W/cm2以下、好ましくは50W/cm2以下である。尚、放電面積(cm2)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
【0053】
また、電極間に印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であっても構わないが、本発明の効果を高く得るためには、連続したサイン波であることが好ましい。
【0054】
本発明においては、このような電圧を印加して、均一なグロー放電状態を保つことができる電極をプラズマ放電処理装置に採用する必要がある。
【0055】
このような電極としては、金属母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。少なくとも対向する印加電極とアース電極の片側に誘電体を被覆すること、更に好ましくは、対向する印加電極とアース電極の両方に誘電体を被覆することである。誘電体としては、比誘電率が6〜45の無機物であることが好ましく、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。
【0056】
また、基材を電極間に載置あるいは電極間を搬送してプラズマに晒す場合には、基材を片方の電極に接して搬送出来るロール電極仕様にするだけでなく、更に誘電体表面を研磨仕上げし、電極の表面粗さRmax(JIS B 0601)を10μm以下にすることで、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことができ、放電状態を安定化できること、更に熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、かつポーラスで無い高精度の無機誘電体を被覆することで大きく耐久性を向上させることができる。
【0057】
また、高温下での金属母材に対する誘電体被覆による電極製作において、少なくとも基材と接する側の誘電体を研磨仕上げすること、更に電極の金属母材と誘電体間の熱膨張の差をなるべく小さくすることが必要であり、そのため製作方法において、母材表面に、応力を吸収出来る層として泡混入量をコントロールして無機質の材料をライニングする、特に材質としては琺瑯等で知られる溶融法により得られるガラスであることが良く、更に導電性金属母材に接する最下層の泡混入量を20〜30vol%とし、次層以降を5vol%以下とすることで、緻密でかつひび割れ等が発生しない良好な電極が出来る。
【0058】
また、電極の母材に誘電体を被覆する別の方法として、セラミックスの溶射を空隙率10vol%以下まで緻密に行い、更にゾルゲル反応により硬化する無機質の材料にて封孔処理を行うことであり、ここでゾルゲル反応の促進には、熱硬化やUV硬化が良く、更に封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の無い緻密な電極が出来る。
【0059】
このような電極を用いたプラズマ放電処理装置について、図1〜図6を参照しながら説明する。図1〜図6のプラズマ放電処理装置は、アース電極であるロール電極と、対向する位置に配置された印加電極である固定電極との間で放電させ、当該電極間に反応性ガスを導入してプラズマ状態とし、前記ロール電極に巻回された長尺フィルム状の基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、薄膜を形成するものであるが、本発明のプライマー層、ガスバリヤ層及び透明導電層の形成方法(以下本発明の薄膜形成方法という)を実施する装置としてはこれに限定されるものではなく、グロー放電を安定に維持し、薄膜を形成するために反応性ガスを励起してプラズマ状態とするものであればよい。他の方式としては、基材を電極間ではない電極近傍に載置あるいは搬送させ、発生したプラズマを当該基材上に吹き付けて薄膜形成を行うジェット方式等がある。
【0060】
図1は、本発明の薄膜形成方法に用いられるプラズマ放電処理装置のプラズマ放電処理容器の一例を示す概略図である。
【0061】
図1において、長尺フィルム状の基材Fは搬送方向(図中、時計回り)に回転するロール電極25に巻回されながら搬送される。固定されている電極26は複数の円筒から構成され、ロール電極25に対向させて設置される。ロール電極25に巻回された基材Fは、ニップローラ65、66で押圧され、ガイドローラ64で規制されてプラズマ放電処理容器31によって確保された放電処理空間に搬送され、放電プラズマ処理され、次いで、ガイドローラ67を介して次工程に搬送される。また、仕切板54は前記ニップローラ65、66に近接して配置され、基材Fに同伴する空気がプラズマ放電処理容器31内に進入するのを抑制する。
【0062】
この同伴される空気は、プラズマ放電処理容器31内の気体の全体積に対し、1体積%以下に抑えることが好ましく、0.1体積%以下に抑えることがより好ましい。前記ニップローラ65および66により、それを達成することが可能である。
【0063】
尚、放電プラズマ処理に用いられる混合ガス(不活性ガスと、反応性ガスである還元ガスおよび有機金属化合物)は、給気口52からプラズマ放電処理容器31に導入され、処理後のガスは排気口53から排気される。
【0064】
図2は、図1と同様に、本発明の製造方法に用いられるプラズマ放電処理装置に設置されるプラズマ放電処理容器の一例を示す概略図であるが、図1においては、ロール電極25に対向する固定されている電極26は円柱型の電極が用いられているのに対し、角柱型電極36に変更した例を示している。
【0065】
図1に示した円柱型の電極26に比べて、図2に示した角柱型の電極36は、放電範囲を広げる効果があるので、本発明の薄膜形成方法に好ましく用いられる。
【0066】
図3(a)、(b)は各々、上述の円筒型のロール電極の一例を示す概略図、図4(a)、(b)は各々、円筒型で固定されている電極の一例を示す概略図、図5(a)、(b)は各々、角柱型で固定されている電極の一例を示す概略図である。
【0067】
図3(a)及び図3(b)において、アース電極であるロール電極25cは、金属等の導電性母材25aに対しセラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体25bを被覆した組み合わせで構成されているものである。セラミック被覆処理誘電体を片肉で1mm被覆し、ロール径を被覆後200φとなるように製作し、アースに接地してある。または、金属等の導電性母材25Aへライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体25Bを被覆した組み合わせ、ロール電極25Cで構成してもよい。ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いので、更に好ましく用いられる。金属等の導電性母材25a、25Aとしては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレスが好ましい。また、溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、更に好ましく用いられる。尚、本実施の形態においては、ロール電極の母材は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材を使用している(不図示)。
【0068】
図4(a)、(b)および図5(a)、(b)は、印加電極である固定の電極26c、電極26C、電極36c、電極36Cであり、上記記載のロール電極25c、ロール電極25Cと同様な組み合わせで構成されている。すなわち、中空のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を被覆し、放電中は冷却水による冷却が行えるようになっている。尚、セラミック被覆処理誘電体の被覆後12φまたは15φとなるように製作され、当該電極の数は、上記ロール電極の円周上に沿って14本設置している。
【0069】
印加電極に電圧を印加する電源としては、特に限定はないが、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等が使用できる。
【0070】
図6は、本発明に用いられるプラズマ放電処理装置の一例を示す概念図である。図6において、プラズマ放電処理容器31の部分は図2の記載と同様であるが、更に、ガス発生装置51、電源41、電極冷却ユニット60等が装置構成として配置されている。電極冷却ユニット60の冷却剤としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が用いられる。
【0071】
図6に記載の電極25、36は、図3、4、5等に示したものと同様であり、対向する電極間のギャップは、例えば1mm程度に設定される。
【0072】
上記電極間の距離は、電極の母材に設置した固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。上記電極の一方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.5mm〜20mmが好ましく、特に好ましくは1mm±0.5mmである。
【0073】
前記プラズマ放電処理容器31内にロール電極25、固定されている電極36を所定位置に配置し、ガス発生装置51で発生させた混合ガスを流量制御して、給気口52よりプラズマ放電処理容器31内に入れ、前記プラズマ放電処理容器31内をプラズマ処理に用いる混合ガスで充填し排気口53より排気する。次に電源41により電極36に電圧を印加し、ロール電極25はアースに接地し、放電プラズマを発生させる。ここでロール状の元巻き基材61より基材Fを供給し、ガイドローラ64を介して、プラズマ放電処理容器31内の電極間を片面接触(ロール電極25に接触している)の状態で搬送され、基材Fは搬送中に放電プラズマにより表面が放電処理され、その後にガイドローラ67を介して、次工程に搬送される。ここで、基材Fはロール電極25に接触していない面のみ放電処理がなされる。
【0074】
電源41より固定されている電極36に印加される電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧が0.5〜10kV程度で、電源周波数は0.5kHz以上150MHz以下に調整される。ここで電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードとパルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用しても良いが連続モードの方がより緻密で良質な膜が得られる。
【0075】
プラズマ放電処理容器31はパイレックス(R)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとっても良い。
【0076】
また、放電プラズマ処理時の基材への影響を最小限に抑制するために、放電プラズマ処理時の基材表面の温度を常温(15℃〜25℃)〜300℃以下の温度に調整することが好ましく、更に好ましくは常温〜200℃以下、より好ましくは常温から100℃以下に調整することである。上記の温度範囲に調整する為、必要に応じて電極、基材は冷却手段で冷却しながら放電プラズマ処理される。
【0077】
本発明においては、上記の放電プラズマ処理が大気圧または大気圧近傍で行われる。ここで大気圧近傍とは、20kPa〜110kPaの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
【0078】
また、本発明の薄膜形成方法に係る放電用電極においては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整されることが、本発明に記載の効果を得る観点から好ましいが、更に好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。
【0079】
また、JIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)は0.5μm以下が好ましく、更に好ましくは0.1μm以下である。
【0080】
本発明におけるプライマー層としては一般式(1)の膜であるものが好ましい。
【0081】
これらのプライマー層の化学的組成については後述のX線光電子分光法(XPS)で求める事ができる。
【0082】
上記方法により、ガスバリヤ層、透明導電膜及び透明基材と接着性のよいプライマー層を得ることが可能である。該プライマー層を形成するために用いる反応ガスとしては、具体的には以下のものをあげることができる。ケイ素化有機金属化合物、特に特にβジケトン金属錯体、金属アルコキシド、アルキル金属等の有機金属化合物が好ましく用いられる。合物としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、へキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。チタン化合物としてはチタンテトラi−プロポキシド、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトラt−ブトキシドなどのチタンアルコキシドが挙げられる。その他の金属についても、金属アルコキシド、アルキル金属が好ましく用いられる。
【0083】
膜組成、炭素含有率は、XPS表面分析装置を用いてその値を測定する。XPS表面分析装置としては、特に限定なく、いかなる機種も使用することができるが、本実施例においてはVGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定した。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5〜1.7eVとなるように設定した。測定をおこなう前に、汚染による影響を除くために、薄膜の膜厚の10〜20%の厚さに相当する表面層をエッチング除去する必要がある。表面層の除去には、希ガスイオンが利用できるイオン銃を用いることが好ましく、イオン種としては、He、Ne、Ar、Xe、Krなどが利用できる。本測定においては、Arイオンエッチングを用いて表面層を除去した。
【0084】
先ず、結合エネルギー0eVから1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求めた。
【0085】
次に、検出された、エッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンをおこない、各元素のスペクトルを測定した。得られたスペクトルは、測定装置、あるいは、コンピューターの違いによる含有率算出結果の違いを生じせしめなくするために、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM (Ver.2.3以降が好ましい)上に転送した後、同ソフトで処理をおこない、炭素含有率の値を原子数濃度(atomic concentration:at%)として求めた。錫とインジウムの比も、上記結果から得られた原子数濃度の比とした。
【0086】
定量処理をおこなう前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションをおこない、5ポイントのスムージング処理をおこなった。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps×eV)を用いた。バックグラウンド処理には、Shirleyによる方法を用いた。
【0087】
Shirley法については、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B5,4709(1972)を参考にすることができる。
【0091】
本発明におけるガスバリヤ層としてはマグネシウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、タングステン、タンタル、アルミニウム、亜鉛、インジウム、クロム、バナジウム、ニオブ、錫のうち少なくとも1種類の元素を含む無機化合物であることが好ましい。この中でもガスバリヤ性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コストの点からケイ素の酸化物を主成分とするバリヤ膜が好ましい。より好ましくはケイ素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5から2.0のケイ素酸化物を主成分とする金属酸化物が好ましい。特に本発明では大気圧または大気圧近傍の圧力下において、少なくとも1種類以上の不活性ガスと、少なくとも1種類以上の有機金属化合物及び少なくとも1種類以上の反応性ガスからなる混合ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、基材を前記プラズマ状態の混合ガスに晒すことによって、前記基材上に形成することによりバリヤ性の優れた膜を形成する事が可能である。該ガスバリヤ層を形成する方法は上記プライマー層を形成する方法に準じて行えばよく、試行錯誤により上記組成の酸化物膜を形成する条件を見出す事が可能である。
【0092】
ガスバリヤ膜を形成するためにプラズマ空間中に導入する有機金属化合物は以下のものをあげることができる。ケイ素化有機金属化合物、β−ジケトン金属錯体、金属アルコキシド、アルキル金属等の有機金属化合物が好ましく用いられる。具体的な化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、へキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0093】
本発明におけるガスバリヤ層は実質的にMO2-xの組成であらわされ、好ましいxの範囲は0.2〜−0.2である。
【0094】
透明導電膜とは、光学的に透明で導電性を有する薄膜を指す。古くから研究開発が行われており、代表的な透明導電膜は、金属薄膜、酸化物(SnO2、ZnO2、In23)、複合酸化物(ITO、IZO、FTO、ATO)、非酸化物(カルコゲナイド、TiN)などをあげることができる。
【0095】
本発明は前記プライマー層上に透明導電膜を形成する、又はバリヤー層更にそのバリヤー層の上に透明導電膜を形成する。バリヤー層及び透明導電膜の形成方法としては、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、反応性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に透明導電膜を形成する透明導電膜の形成方法である。この方法によって、生産性高く、高性能な透明導電膜積層体を形成することができる。上記大気圧プラズマ法は先のプライマー層に関する記載と同様の方法で実施できる。
【0096】
本発明の透明導電膜を形成するにあたり、使用するガスは、基材上に設けたい透明導電膜の種類によって異なるが、基本的に、不活性ガスと、透明導電膜を形成するためにプラズマ状態となる反応性ガスの混合ガスである。ここで不活性ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン更には窒素ガス等が挙げられるが、本発明に記載の効果を得るためには、アルゴンまたはヘリウムが特に好ましく用いられる。本発明で用いる反応性ガスは複数用いることが可能であるが、少なくとも1種類は、放電空間でプラズマ状態となり、透明導電膜を形成する成分を含有するものである。このような反応性ガスとしては特に制限はないが、有機金属化合物が好ましく用いられる。有機金属化合物の種類は問わないが、分子内に酸素を有する有機金属化合物が好ましく、特にβジケトン金属錯体、金属アルコキシド、アルキル金属等の有機金属化合物が好ましく用いられる。より好ましくは前記一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物から選ばれる反応ガスである。
【0097】
式中Mはインジウム、亜鉛、錫から選ばれる少なくとも1種類の金属である。またRは炭素数1〜10の少なくとも1つ以上のフッ素を含むフルオロアルキル基を示す。
【0098】
一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物の中で好ましい例は、インジウムヘキサフルオロペンタンジオネート、インジウムメチル(トリメチル)アセチルアセテート、インジウムアセチルアセトナート、インジウムイソポロポキシド、インジウムトリフルオロペンタンジオネート、トリス−(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)インジウム、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ−n−ブチルジアセトキシスズ、ジ−t−ブチルジアセトキシスズ、テトライソプロポキシスズ、テトラブトキシスズ、ジンクアセチルアセトナート等を挙げることが出来る。
【0099】
この中で特に、好ましいのはインジウムアセチルアセトナート、トリス−(2,2,6,6−テトラメチル3,5−ヘプタンジオネート)インジウム、ジンクアセチルアセトナート、ジ−n−ブチルジアセトキシスズである。これらの有機金属化合物は一般に市販されており、たとえばインジウムアセチルアセトナートであれば東京化成工業(株)から容易に入手することができる。
【0100】
本発明においてはこれら分子内に少なくとも1つ以上の酸素原子を含有する有機金属化合物のほかに導電性を向上させるために行われるドーピング用のガスを用いることができる。ドーピングに用いられる反応性ガスとしては、例えば、アルミニウムイソプロポキシド、ニッケルアセチルアセトナート、マンガンアセチルアセトナート、ボロンイソプロポキシド、n−ブトキシアンチモン、トリ−n−ブチルアンチモン、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ−n−ブチルジアセトキシスズ、ジ−t−ブチルジアセトキシスズ、テトライソプロポキシスズ、テトラブトキシスズ、テトラブチルスズ、ジンクアセチルアセトナート、6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタン、4フッ化メタン等を挙げることができる。
【0101】
さらに本発明においては、透明導電膜の構成元素を含む反応ガスの他に酸素などの酸化性を有するガス、水素などの還元性を有するガス、その他、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化炭素、二酸化炭素などを適宜用いることも可能である。
【0102】
透明導電膜主成分として用いられる反応性ガスとドーピングを目的に少量用いられる反応性ガスの量比は、成膜する透明導電膜の種類により異なる。例えば、酸化インジウムにスズをドーピングして得られるITO膜においては得られるITO膜のIn/Snの原子数比が100/0.1〜100/15の範囲になるように反応性ガス量を調整する。好ましくは、100/0.5〜100/10の範囲になるよう調整する。In/Snの原子数比はXPS測定により求めることができる。酸化錫にフッ素をドーピングして得られる透明導電膜(FTO膜という)においては、得られたFTO膜のSn/Fの原子数比が100/0.01〜100/50の範囲になるよう反応性ガスの量比を調整する。Sn/Fの原子数比はXPS測定により求めることが出来る。In23−ZnO系アモルファス透明導電膜においては、In/Znの原子数比が100/50〜100/5の範囲になるよう反応性ガスの量比を調整する。In/Znの原子数比はXPS測定で求めることが出来る。
【0103】
更に、反応性ガスには透明導電膜主成分となる反応性ガスとドーピングを目的に少量用いられる反応性ガスがある。更に、透明導電膜の抵抗値を調整する為に反応性ガスを追加することも可能である。透明導電膜の抵抗値を調整する為に用いる反応性ガスとしては、例えば、チタントリイソプロポキシド、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等を挙げることができる。
【0104】
上記反応性ガスは、混合ガスに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。透明導電膜の膜厚としては、0.1nm〜1000nmの範囲の透明導電膜が得られる。
【0105】
本発明においては、大気圧近傍の圧力下で透明導電膜を形成するが、その際の基材の温度は特に制限はない。基材として用いる材料の熱物性に依存する。基材としてガラスを用いる場合は500℃以下、後に記す、高分子を用いる場合は300℃以下が好ましい。
【0106】
本発明の透明導電膜の形成方法は大気圧または大気圧近傍の圧力下において、少なくとも1種類以上の不活性ガスと、少なくとも1種類以上の反応性ガスからなる混合ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に薄膜を形成した後、熱処理することを特徴としている。
【0107】
熱処理の温度としては50〜300℃の範囲が好ましい。好ましくは100〜250℃の範囲である。加熱の雰囲気も特に制限はない。空気雰囲気、水素などの還元性ガスを含む還元雰囲気、酸素などの酸化性ガスを含有するような酸化雰囲気、あるいは真空、窒素、希ガスなど不活性ガス雰囲気下のうちから適宜選択することが可能である。還元、酸化雰囲気をとる場合、還元性ガス、酸化性ガスを希ガスや窒素などの不活性ガスで希釈して用いることが好ましい。このような場合、還元性ガス、酸化性ガスの濃度は0.01〜5%が好ましく、より好ましくは0.1〜3%である。
【0108】
また、本発明の透明導電膜の形成方法によって得られる透明導電膜は、反応性ガスとして有機金属化合物を用いるため、微量の炭素を含有する場合がある。その場合の炭素含有率は、0〜5.0原子数濃度であることが好ましい。特に好ましくは0.01〜3原子数濃度の範囲内にあることが好ましい。
【0109】
基材を構成する材料も特に限定はない。ガラスを用いることも可能であるが、大気圧または大気圧近傍の圧力下であることと、低温のグロー放電であることから、樹脂フィルムを好ましく用いることができる。
【0110】
例えば、フィルム状のセルローストリアセテート等のセルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、更にこれらの上にゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等を塗設したもの等を使用することが出来る。また、これら基材は、支持体上に防眩層やクリアハードコート層を塗設したり、バックコート層、帯電防止層を塗設したものを用いることが出来る。
【0111】
上記の支持体(基材としても用いられる)としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。
【0112】
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することもできる。中でもゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)などの市販品を好ましく使用することができる。更に、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルフォンなどの固有複屈折率の大きい素材であっても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、更には縦、横方向に延伸条件等を適宜設定することにより、得ることが出来る。また、本発明に係る支持体は、上記の記載に限定されない。膜厚としては10μm〜1000μmのフィルムが好ましく用いられる。
【0113】
さらに、フィルムの最外層に防汚層を設けることも可能である。その他、必要に応じてガスバリア性、耐溶剤性を付与するための層等を設けることも可能である。
【0114】
これらの層の形成方法は特に限定はなく、塗布法、真空蒸着法、スパッタリング法、大気圧プラズマCVD法等を用いることができる。特に好ましいのは大気圧プラズマCVD法である。
【0115】
これらの層の大気圧プラズマCVDによる形成方法としては例えば反射防止膜の形成方法としては特願2000−021573号等に開示された方法を用いることができる。
【0116】
本発明においては、上記記載のような基材面に対して本発明に係わる透明導電膜を設ける場合、平均膜厚に対する膜厚偏差を±10%になるように設けることが好ましく、更に好ましくは±5%以内であり、特に好ましくは±1%以内になるように設けることが好ましい。
【0117】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、作製した透明導電膜積層体の評価は以下の方法によった。
【0118】
<透過率>
JIS−R−1635に従い、日立製作所製分光光度計U−4000型を用いて測定を行った。試験光の波長は550nmとした。
【0119】
<抵抗率>
JIS−R−1637に従い、四端子法により求めた。なお、測定には三菱化学製ロレスタ−GP、MCP−T600を用いた。
【0120】
<炭素含有率の測定>
膜組成、炭素含有率は、XPS表面分析装置を用いてその値を測定する。測定は明細書記載の方法にて行った。
【0122】
<屈曲性>
耐屈曲耐久性、及び耐屈曲耐久性試験後のサンプルの断線の程度を調べた。なお、耐屈曲耐久性は、透明導電層が外側になる様に、φ6mmの丸棒の周囲に沿って100gの荷重をかけ1分間変形させて元に戻した後の抵抗値Rと変形させる前の抵抗値R0の比R/R0と定義する。
【0123】
<劣化試験>
透明導電膜積層体フィルムを縦横10cmの長さに切断した。このフィルムについて室温25℃相対湿度50%における表面抵抗を三菱化学製ロレスタ−GP、MCP−T600をを用いて測定した。この表面抵抗値をR0とする。このフィルムを温度80℃相対湿度40%の恒温恒湿漕で1週間処理し、再度表面抵抗値を測定した。この値をRとし、R/R0の比を求めた。この比は1に近い方が好ましい。
【0124】
実施例1
175μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基材とし、プラズマ放電装置には、電極が平行平板型のものを用い、この電極間に上記PET基材を載置し、且つ、混合ガスを導入して薄膜形成を行った。
【0125】
尚、電極は、以下の物を用いた。200mm×200mm×2mmのステンレス板に高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行った。このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmax5μmとなるように加工した。このように電極を作製し、アース(接地)した。
【0126】
一方、印加電極としては、中空の角型の純チタンパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆したものを複数作製し、対向する電極群とした。
【0127】
また、プラズマ発生に用いる使用電源は日本電子(株)製高周波電源JRF−10000にて周波数13.56MHzの電圧で且つ5W/cm2の電力を供給した。
【0128】
電極間に以下の組成の反応性ガスを流した。
不活性ガス:ヘリウム 98.5体積%
反応性ガス1:酸素 0.25体積%
反応性ガス2:テトラエトキシシラン 1.25体積%
前記基材上に上記反応性ガス、反応条件により大気圧プラズマ処理を行い、プライマー層を形成した。
【0129】
次いで上記反応性ガスを以下の組成に切り替えて透明導電膜をプライマー層上に製膜した。
不活性ガス:ヘリウム 98.5体積%
反応性ガス1:酸素 0.25体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
製膜後、前述した評価方法で評価し結果を表1に示す。
【0130】
実施例2
実施例1においてプライマー層形成の際に反応性ガスを下記の組成としたこと以外は実施例1と同様にしてプライマー層を形成し、その上に実施例1と同様に錫ドープ酸化インジウム膜を形成し、実施例1と同様に評価を行った。
不活性ガス:ヘリウム 97.75体積%
反応性ガス1:酸素 0.25体積%
反応性ガス2:テトラエトキシシラン 2.00体積%
実施例3
実施例1においてプライマー層形成の際に反応性ガスを下記の組成としたこと以外は実施例1と同様にしてプライマー層を形成し、その上に実施例1と同様に錫ドープ酸化インジウム膜を形成し、実施例1と同様に評価を行った。
不活性ガス:ヘリウム 99.25体積%
反応性ガス1:酸素 0.25体積%
反応性ガス2:テトラエトキシシラン 0.50体積%
比較例4
実施例1においてプライマー層、透明導電層の形成の際、周波数10kHzの電圧で且つ5W/cmの電力を供給したこと以外は実施例1と同様にしてPET基板上に透明導電膜積層体を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
【0131】
比較例5
実施例1において特開2001−74906の実施例1と同様にして波高値10kV、放電電流密度100mA/cm、周波数6kHzのパルス電界を印加し、且つ5W/cmの電力を供給したこと以外は実施例1と同様にしてPET基板上に透明導電膜積層体を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
【0132】
比較例6
実施例1において投入する電力を0.1W/cmとすること以外は実施例1と同様にしてPET基板上に透明導電膜積層体を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
【0133】
実施例7
実施例1において投入する電力を10W/cm2とすること以外は実施例1と同様にしてPET基板上に透明導電膜積層体を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
【0134】
比較例1
実施例1においてプライマー層を以下の構成としたこと以外は実施例1と同様にして透明導電膜積層体を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
【0135】
容器外部が水冷された撹拌容器内にビニルトリメトキシシラン(信越化学社製、商品名KBM1003)148質量部を入れ、激しく撹拌を行いながら0.01規定の塩酸水54部を徐々に添加し、更に3時間ゆっくりと撹拌を行うことによりビニルトリメトキシシランの加水分解液を得た。ついでトリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成化学社製、商品名アロニックスM−309)50質量部、前記ビニルトリメトキシシランの加水分解液を100質量部、未加水分解のビニルトリメトキシシラン10質量部、光開始剤2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製、商品名ダロキュアー1173)8質量部およびレベリング剤としてシリコンオイル(東レ・ダウコーニングシリコン社製、SH28PA)0.02質量部を混合して塗液とした。この塗液を基材上にバーコーターを用いてコーティングし、60℃で1分間加熱して塗膜中の残留溶剤を揮発除去した後、160W/cmの高圧水銀灯を用いて、積算光量800mJ/cm2の条件で紫外線を照射して塗膜の硬化を行いプライマー層を得た。
【0136】
比較例2
実施例1においてプライマー層を以下の構成としたこと以外は実施例1と同様にして透明導電膜積層体を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
分子量約1040、融点55℃のエポキシアクリレートプレポリマー(昭和高分子株式会社製VR−60);100質量部
ジエチレングリコール;200質量部
酢酸エチル;100質量部
ベンゼンエチルエーテル;2質量部
シランカップリング剤(信越化学株式会社製KBM−503);1質量部
を50℃にて撹はん溶解して均一な溶液を得た後ディップ法により塗布し、80℃、10分の条件で加熱した後紫外線を照射をして高分子フィルムの片側にプライマー層を形成した。
【0137】
実施例8
実施例1においてポリエチレンテレフタレートを非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルム(JSR社製ARTONフィルム:厚さ100μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして透明導電膜積層体を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
【0138】
実施例9
実施例1においてポリエチレンテレフタレートを流延法で形成したポリカーボネートフィルム(帝人社製ピュアエース:厚さ100μm)としたこと以外は実施例1と同様にして透明導電膜積層体を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
【0139】
比較例3
比較例1においてポリエチレンテレフタレートを非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルム(JSR社製ARTONフィルム:厚さ100μm)としたこと以外は、比較例1と同様にして透明導電膜積層体を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
【0140】
比較例4
比較例1においてポリエチレンテレフタレートを流延法で形成したポリカーボネートフィルム(帝人社製ピュアエース:厚さ100μm)としたこと以外は比較例1と同様にして透明導電膜積層体を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
【0141】
比較例5
比較例2においてポリエチレンテレフタレートを非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルム(JSR社製ARTONフィルム:厚さ100μm)としたこと以外は、比較例2と同様にして透明導電膜積層体を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
【0142】
比較例6
実施例1において透明導電層を以下の方法により作製したこと以外は実施例1と同様にして透明導電膜積層体を形成し、実施例1と同様に評価を行った。
【0143】
PET基材をDCマグネトロンスパッタ装置に装着し、真空槽内を1.33322×10-3Pa以下まで減圧した。尚、スパッタリングターゲットは酸化インジウム:酸化錫95:5の組成のものを用いた。この後、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを(Ar:O2=1000:3)を1×10-3Paとなるまで導入し、スパッタ出力100W、基板温度100℃にて製膜を行い、評価を行った。
【0144】
比較例7
実施例1において透明導電層を京都エレックス(株)製有機ITOペーストニューフロコートEC−Lをディップコートして作製すること以外は実施例1と同様にして透明導電膜積層体を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
【0145】
比較例8
比較例6においてプライマー層を比較例1と同様に作製したこと以外は比較例1と同様にして透明導電膜積層体を形成し、実施例1と同様に評価を行った。
【0146】
実施例1から3及び7から9、比較例4aから6a及び比較例1から8の評価結果を表1にまとめる。尚、表1において、TEOSはテトラエトキシシラン(SiO(OEt))を表す。用いたテトラエトキシシランの、x及びyの比率も記載した。また、APG(Atmospheric Pressure Glow Plasma)は大気圧グロー放電を意味する。
【0147】
【表1】
Figure 0004314777
【0148】
表1より本発明の透明導電膜積層体は、透過率、抵抗率、炭素含有率、In/Sn、屈曲性、劣化試験の総てに優れていることが判る。
【0149】
実施例10
実施例1においてプラズマ放電装置を図6に示したものを2つ用意し、基材を日本ゼオン社製ゼオノアZF16(厚さ100μm)とした2000mの長尺フィルムとし第一の放電装置でプライマー層を、第二の放電装置で透明導電層を形成し、透過率、比抵抗、耐久性、劣化試験を行った。
【0150】
比較例9
実施例10において、比較例1でもちいたプライマー層をコーティングした後、一度巻き取り、ついで実施例10で用いた透明導電層形成のためのプラズマ放電装置で透明導電層を作製し、透過率、比抵抗、屈曲性、劣化試験を行った。
【0151】
比較例10
実施例10において、比較例1でもちいたプライマー層をコーティングした後、一度巻き取り、真空槽、スパッタリングターゲット、気体導入系を有する巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置を用いプライマー層上に錫ドープ酸化インジウム膜を作製した。装置内にフィルムを導入し、内部を4.000×10-3Paまで減圧した。尚、スパッタリングターゲットは酸化インジウム:酸化錫95:5の組成のものを用いた。この後でフィルムの巻き返しを行い、脱ガス処理を行った。ついでアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを(Ar:O2=98.8:1.2)を1×10-3Paとなるまで導入し、メインロールの温度を室温、フィルムの繰り出し速度を0.1m/min、投入電力密度1W/cm2として製膜を行い、実施例10と同様に評価を行った。
【0152】
実施例10、比較例9、10の評価結果を表2にまとめる。尚、実施例10と比較して、比較例9での全製膜時間は3倍、比較例10では5倍であった。尚、表2における、TEOS、x、y及びAPGはそれぞれ表1の各々と同義である。
【0153】
【表2】
Figure 0004314777
【0154】
表2より本発明の透明導電膜積層体は、透過率、抵抗率、炭素含有率、In/Sn、屈曲性、劣化試験の総てに優れていることが判る。
【0155】
実施例11
プライマー層つきPETフィルムA1の作製
175μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基材とし、プラズマ放電装置には、電極が平行平板型のものを用い、この電極間に上記PET基材を載置し、且つ、混合ガスを導入して薄膜形成を行った。
【0156】
尚、電極は、以下の物を用いた。200mm×200mm×2mmのステンレス板に高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行った。このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmax5μmとなるように加工した。このように電極を作製し、アース(接地)した。
【0157】
一方、印加電極としては、中空の角型の純チタンパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆したものを複数作製し、対向する電極群とした。
【0158】
また、プラズマ発生に用いる使用電源は日本電子(株)製高周波電源JRF−10000にて周波数150kHzの電圧で且つ2W/cm2の電力を供給した。
【0159】
電極間に以下の組成の反応性ガスを流した。
不活性ガス:ヘリウム 98.5体積%
反応性ガス1:酸素 0.25体積%
反応性ガス2:テトラエトキシシラン 1.25体積%
前記基材上に上記反応性ガス、反応条件により大気圧プラズマ処理を行い、プライマー層を形成した。上記方法により作製したプライマー層つきのPETフィルムををA1とする。
【0160】
プライマー層つきPETフィルムA2の作製
次に反応性ガスを以下の組成とし、上記方法と同様にしてPET上にプライマー層を形成した。これをA2とする。
不活性ガス:ヘリウム 97.75体積%
反応性ガス1:酸素 0.25体積%
反応性ガス2:テトラエトキシシラン 2.00体積%
プライマー層つきPETフィルムA3の作製
反応性ガスを以下の組成とし、上記方法と同様にしてPET上にプライマー層を形成した。これをA3とする。
不活性ガス:ヘリウム 99.25体積%
反応性ガス1:酸素 0.25体積%
反応性ガス2:テトラエトキシシラン 0.50体積%
プライマー層つきPETフィルムBの作製
容器外部が水冷された撹拌容器内にビニルトリメトキシシラン(信越化学社製、商品名KBM1003)148質量部を入れ、激しく撹拌を行いながら0.01規定の塩酸水54部を徐々に添加し、更に3時間ゆっくりと撹拌を行うことによりビニルトリメトキシシランの加水分解液を得た。ついでトリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成化学社製、商品名アロニックスM−309)50質量部、前記ビニルトリメトキシシランの加水分解液を100質量部、未加水分解のビニルトリメトキシシラン10質量部、光開始剤2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製、商品名ダロキュアー1173)8質量部およびレベリング剤としてシリコンオイル(東レ・ダウコーニングシリコン社製、SH28PA)0.02質量部を混合して塗液とした。この塗液を基材上にバーコーターを用いてコーティングし、60℃で1分間加熱して塗膜中の残留溶剤を揮発除去した後、160W/cmの高圧水銀灯を用いて、積算光量800mJ/cm2の条件で紫外線を照射して塗膜の硬化を行いプライマー層を得た。
【0161】
プライマー層つきPETフィルムCの作製
水720質量部、2−プロパノール1080質量部の混合溶媒に、酢酸88質量部を加えた後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン725質量部と3−アミノプロピルトリメトキシシラン176質量部を順次加えて3時間攪拌したものを塗液としてフィルムにロールコーティングして乾燥膜厚約2μmの樹脂硬化層を形成した。
【0162】
ガスバリヤ層の作製
上記方法によりプライマー層を形成したPETフィルム上にガスバリヤ層を形成した。ガスバリヤ層の形成は以下の方法に依った。
【0163】
ガスバリヤ層い1の作製
プライマー層つきPETフィルムをプライマー層A1を形成したものと同様の装置にて以下の反応ガスをもちいて大気圧プラズマ処理を行い、ガスバリヤ層を形成した。尚プラズマ発生に用いる使用電源は日本電子(株)製高周波電源JRF−10000にて周波数13.56MHzの電圧で且つ5W/cm2の電力を供給した。
不活性ガス:ヘリウム 96.75体積%
反応性ガス1:酸素 0.50体積%
反応性ガス2:テトラエトキシシラン 1.25体積%
ガスバリヤ層い2の作製
ガスバリヤ層い1の作製において反応性ガスを以下の組成とした事以外はガスバリヤ層い1の作製と同様にしてガスバリヤ層い2を作製した。
不活性ガス:ヘリウム 98.5体積%
反応性ガス1:酸素 0.25体積%
反応性ガス2:テトラエトキシシラン 1.25体積%
ガスバリヤ層い3の作製
ガスバリヤ層い1の作製において、周波数10kHzの電圧で且つ5W/cm2の電力を供給したこと以外はい1と同様にしてプライマー層つき基板上にガスバリヤ層を作製した。
【0164】
ガスバリヤ層い4の作製
ガスバリヤ層い1の作製において、特開2001−74906の実施例1と同様にして波高値10kV、放電電流密度100mA/cm2、周波数6kHzのパルス電界を印加し、且つ5W/cm2の電力を供給したこと以外はい1と同様にしてプライマー層つき基板上にガスバリヤ層を作製した。
【0165】
ガスバリヤ層い5の形成方法
ガスバリヤ層い1の作製において、投入する電力を0.1W/cm2とすること以外はい1と同様にしてプライマー層つき基板上にガスバリヤ層を作製した。
【0166】
ガスバリヤ層い6の作製方法
ガスバリヤ層い1の作製において、投入する電力を10W/cm2とすること以外はい1の作製と同様にしてい1と同様にしてプライマー層つき基板上にガスバリヤ層を作製した。
【0167】
ガスバリヤ層ろの作製
通常のマグネトロンスパッタ装置にてBドープしたSiターゲットとして4.000×10-4Paまで排気した後、O2/Ar=3:7の混合ガスを100sccm導入し、圧力を0.1067Paになるように調整した。メインロール温度25℃、投入電力密度1W/cm2、フィルム速度1.0m/分の条件で反応性スパッタリングを行い、約30nmの厚みの酸化珪素によるガスバリヤ層を形成した。
【0168】
ガスバリヤ層はの作製
減圧プラズマCVD装置を用い、以下の条件でガスバリヤ層を形成した。
印加電力 30kW
圧力 66.66Pa
HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)流量 1slm
酸素ガス流量 10slm
成膜用ドラム表面温度(成膜温度) 100℃
上記のガス流量単位slmは、standard liter per minuteのことである。
【0169】
上記の方法にてプライマー層、ガスバリヤ層を形成したPETフィルム上に以下の方法で透明導電膜を形成した。
【0170】
透明導電膜の形成方法
プライマー層、ガスバリヤ層つきPETフィルムを上に透明導電膜を形成し、透明導電膜積層体を形成した。透明導電膜の形成法は以下に依った。
【0171】
透明導電膜11の形成方法
反応ガスとして以下の組成のガスを用いてプライマー、ガスバリヤ層つき基板上に透明導電膜積層体を作製した。プラズマ発生に用いる使用電源は日本電子(株)製高周波電源JRF−10000にて周波数13.56MHzの電圧で且つ5W/cm2の電力を供給した。
不活性ガス:ヘリウム 98.5体積%
反応性ガス1:酸素 0.25体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
透明導電膜12の形成方法
透明導電膜11の作製において、周波数10kHzの電圧で且つ5W/cm2の電力を供給したこと以外は11と同様にしてプライマー、ガスバリヤ層つき基板上に透明導電膜積層体を作製した。
【0172】
透明導電膜13の形成方法
透明導電膜11の作製において、特開2001−74906号の実施例1と同様にして波高値10kV、放電電流密度100mA/cm2、周波数6kHzのパルス電界を印加し、且つ5W/cm2の電力を供給したこと以外は11と同様にしてプライマー、ガスバリヤ層つき基板上に透明導電膜積層体を作製した。
【0173】
透明導電膜14の形成方法
透明導電膜11の作製において、投入する電力を0.1W/cm2とすること以外は11の作製と同様にしてプライマー、ガスバリヤ層つき基板上に透明導電膜積層体を作製した。
【0174】
透明導電膜15の作製方法
透明導電膜11の作製において、投入する電力を10W/cm2とすること以外は11の作製と同様にしてプライマー、ガスバリヤ層つき基板上に透明導電膜積層体を作製した。
【0175】
透明導電膜2の形成方法
プライマー、ガスバリヤ層つきPET基材をDCマグネトロンスパッタ装置に装着し、真空槽内を1.3332×10-3Pa以下まで減圧した。尚、スパッタリングターゲットは酸化インジウム:酸化錫95:5の組成のものを用いた。この後、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを(Ar:O2=1000:3)を1×10-3Paとなるまで導入し、スパッタ出力100W、基板温度100℃にて透明導電膜積層体を形成した。
【0176】
透明導電膜3の形成方法
透明導電層を京都エレックス(株)製有機ITOペーストニューフロコートEC−Lをディップコートして作製すること以外は透明導電膜11の作製と同様にして透明導電膜積層体を作製した。
【0177】
上述した、プライマー層、ガスバリヤ層及び透明導電膜を表3のように組み合わせて透明導電膜積層体を27個作製した。
【0178】
得られた透明導電膜積層体の評価を上述した方法により行った。尚、ガスバリヤ性の評価方法は以下に記す。
【0179】
<ガスバリヤ性>
酸素透過度をもってガスバリヤ性の指標とした。酸素透過度は、透明導電層を積層する前の、プライマー層とガスバリヤ層が積層された高分子フィルムについて測定した。測定は、MOCON社製オキシトラン2/20型を用いて、40℃90%RHの環境下で測定した。
【0180】
【表3】
Figure 0004314777
【0181】
表3より本発明の透明導電膜積層体は、ガスバリヤ性、透過率、抵抗率、屈曲性、劣化試験の総てに優れていることが判る。
【0182】
【発明の効果】
本発明により、高い透明性、導電率、基材への密着性をもつ高性能な透明導電膜を高い生産性で、かつ環境負荷を低くしつつ生産する製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に用いられるプラズマ放電処理装置に設置されるプラズマ放電処理容器の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の製造方法に用いられるプラズマ放電処理装置に設置されるプラズマ放電処理容器の一例を示す概略図である。
【図3】(a)、(b)は各々、本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる円筒型のロール電極の一例を示す概略図である。
【図4】(a)、(b)は各々、本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる固定型の円筒型電極の一例を示す概略図である。
【図5】(a)、(b)は各々、本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる固定型の角柱型電極の一例を示す概略図である。
【図6】本発明の透明導電膜形成方法に用いられるプラズマ放電処理装置の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
25、25c、25C ロール電極
26、26c、26C、36、36c、36C 電極
25a、25A、26a、26A、36a、36A 金属等の導電性母材
25b、26b、36b セラミック被覆処理誘電体
25B、26B、36B ライニング処理誘電体
31 プラズマ放電処理容器
41 電源
51 ガス発生装置
52 給気口
53 排気口
60 電極冷却ユニット
61 元巻き基材
65、66 ニップローラ
64、67 ガイドローラ

Claims (21)

  1. 透明基材上に、プライマー層及び透明導電層を積層してなる透明導電膜積層体の製造方法において、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、周波数150kHz以上の連続したサイン波の高周波電圧で、且つ、1〜50W/cm の電力を供給して放電させた電界をプライマー層及び透明導電層を形成する際の放電空間に印加し、少なくとも1種類以上の不活性ガスと、少なくとも1種類以上の有機金属化合物及び少なくとも1種類以上の反応性ガスからなる混合ガスを放電空間に導入してプラズマ状態にして該透明基材を晒すことによって、該透明基材上に該プライマー層を形成し、更に、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、少なくとも1種類以上の不活性ガスと、少なくとも1種類以上の有機金属化合物及び少なくとも1種類以上の反応性ガスからなる混合ガスを放電空間に導入してプラズマ状態にして上記透明基材上にプライマー層を形成した基材を晒すことによって、該プライマー層上に該透明導電層を形成することを特徴とする透明導電膜積層体の製造方法。
  2. 透明基材上に、プライマー層、ガスバリヤ層及び透明導電層を積層してなる透明導電膜積層体の製造方法において、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、周波数150kHz以上の連続したサイン波の高周波電圧で、且つ、1〜50W/cm の電力を供給して放電させた電界をプライマー層、ガスバリヤ層及び透明導電層を形成する際の放電空間に印加し、少なくとも1種類以上の不活性ガスと、少なくとも1種類以上の有機金属化合物及び少なくとも1種類以上の反応性ガスからなる混合ガスを放電空間に導入してプラズマ状態にして該透明基材を晒すことによって、該透明基材上に該プライマー層を形成し、更に、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、少なくとも1種類以上の不活性ガスと、少なくとも1種類以上の有機金属化合物及び少なくとも1種類以上の反応性ガスからなる混合ガスを放電空間に導入してプラズマ状態にして上記透明基材上にプライマー層を形成した基材を晒すことによって、該プライマー層上に該ガスバリヤ層を形成し、次いで、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、少なくとも1種類以上の不活性ガスと、少なくとも1種類以上の有機金属化合物及び少なくとも1種類以上の反応性ガスからなる混合ガスを放電空間に導入してプラズマ状態にして上記透明基材上にプライマー層及びガスバリヤ層を形成した基材を晒すことによって、該ガスバリヤ層上に該透明導電層を形成することを特徴とする透明導電膜積層体の製造方法。
  3. ガスバリヤ層がマグネシウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、タングステン、タンタル、アルミニウム、亜鉛、インジウム、クロム、バナジウム、ニオブ、錫のうち少なくとも1種類の元素を含む無機化合物であることを特徴とする請求項2記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  4. プライマー層が下記一般式(1)の膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
    一般式(1) MO(R)
    (式中、Mはケイ素、ジルコニウム、チタン、タングステン、タンタル、アルミニウム、亜鉛、インジウム、クロム、バナジウム、ニオブ、錫の少なくとも1種の金属を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表し、xは1.50〜1.99、yは0.02〜1.00を表す。)
  5. 一般式(1)のMがケイ素であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  6. 透明導電膜を形成するために放電空間に導入される有機金属化合物が下記の一般式(2)又は一般式(3)で表される有機金属化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
    Figure 0004314777
    (式中、Mはインジウム、錫及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の少なくとも1つ以上のフッ素を含むフルオロアルキル基を表し、nは1〜2の整数を表す。)
  7. プライマー層あるいは透明導電膜を形成する前記放電空間に少なくとも1種類の不活性ガスを含有する混合ガスを導入し、該不活性ガスがアルゴンまたはヘリウムを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  8. ガスバリヤ層を形成する前記放電空間に少なくとも1種類の不活性ガスを含有する混合ガスを導入し、該不活性ガスがアルゴンまたはヘリウムを含有することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  9. 前記高周波電圧が150MHz未満であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  10. 高周波電圧が200kHz以上であることを特徴とする請求項9記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  11. 高周波電圧が800kHz以であることを特徴とする請求項又は10記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  12. 電力が1.2W/cm 以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  13. 電力が50W/cm 以下であることを特徴とする請求項12記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  14. 電力が20W/cmであることを特徴とする請求項12又は13記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  15. 電極の少なくとも一方が誘電体で被覆されていることを特徴とする請求項8〜14のいずれか1項に記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  16. 誘電体の比誘電率が6〜45の無機物であることを特徴とする請求項1記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  17. 電極の表面粗さRmaxが10μm以下であることを特徴とする請求項15又は16記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  18. 透明導電性薄膜が酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、Fドープ酸化錫、Alドープ酸化亜鉛、Sbドープ酸化錫、ITO、In −ZnO系アモルファス透明導電膜から選ばれる少なくとも1種を主成分とすることを特徴とする請求項〜17のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  19. 透明導電膜がITO膜であって、該ITO膜がIn/Sn原子数比で100/0.1〜100/15の範囲であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  20. 透明基材上にガスバリヤ層がない場合はプライマー層を形成した後、ガスバリヤ層を有する場合はガスバリヤ層を形成した後、巻き取ることなく透明導電性膜を形成することを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
  21. 透明導電膜の炭素含有量が0〜5.0原子数濃度の範囲であることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項記載の透明導電膜積層体の製造方法。
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