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JP4302364B2 - 液晶媒体 - Google Patents

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JP4302364B2
JP4302364B2 JP2002185470A JP2002185470A JP4302364B2 JP 4302364 B2 JP4302364 B2 JP 4302364B2 JP 2002185470 A JP2002185470 A JP 2002185470A JP 2002185470 A JP2002185470 A JP 2002185470A JP 4302364 B2 JP4302364 B2 JP 4302364B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正の誘電異方性および高い光学異方性を有する液晶媒体であって、これが、末端アルケニル基から成る1種または2種以上のビフェニル誘導体を含むことを特徴とする液晶媒体、並びに電気光学的ディスプレイおよび投射システム、特に反射性ディスプレイ、LCoS(登録商標)ディスプレイおよび複屈折効果に基づくディスプレイ、例えばOCBディスプレイにおけるこの使用に関する。
【0002】
【従来の技術】
OCB(光学的に補償されたベンド)のディスプレイは、複屈折効果に基づいており、ベンド構造を有する液晶層を含む。またpiセルとしても知られている、ベンドセルは、最初に、P. Bos et al., SID 83 Digest, 30 (1983)により、電気的に制御可能な二分の一波長板について提案されており、一方、ディスプレイについてのOCBモードは、Y. Yamaguchi, T. MiyashitaおよびT. Uchida, SID 93 Digest, 277 (1993)により、続いてT. Miyashita et alの、特にProc. Eurodisplay, 149 (1993), J. Appl. Phys. 34, L177 (1995), SID 95 Digest, 797 (1995)およびC.-L. Kuo et al., SID 94 Digest, 927 (1994)中の論文により記載された。
【0003】
OCBセルは、ベンド整列を有する液晶セルおよび正のΔεを有する液晶媒体を含む。さらに、前述の論文中に報告されたOCBディスプレイは、1つまたは2つ以上の複屈折光学的抑制(retardation)フィルムを含んで、黒色状態におけるベンドセルによる光漏出を解消する。OCBディスプレイは、いくつかの利点、例えばねじれネマティック(TN)セルに基づく従来のディスプレイよりも広い視野角および短い切り換え時間を有する。
【0004】
前述の論文は、液晶相は、光学異方性Δnについて高い値および誘電異方性Δεについて比較的高い正の値を有しなければならず、好ましくは、弾性係数の間の比率K33/K11について、および粘度についてむしろ低い値を有して、OCB効果に基づく高度情報ディスプレイ素子のために使用可能でなければならないことを示した。電気光学的ディスプレイ素子におけるOCB効果の工業的適用は、多数の要求を満たさなければならないLC相を必要とする。ここで特に重要なのは、水分、空気および物理的効果、例えば熱、赤外線領域、可視領域および紫外線領域における放射並びに直流および交流電界に対する化学的耐性である。さらに、工業的に用いることができるLC相は、好適な温度範囲における液晶中間相、比較的高い複屈折、正の誘電異方性および低い粘度を必要とする。
【0005】
LCoS(登録商標)(シリコン上の液晶)ディスプレイは、従来技術において知られており、Three-Five Systems Inc. (Tempe, Arizona, USA)から入手できる。LCoS(登録商標)マイクロディスプレイは、代表的には、シリコン背面およびカバーガラスによりはさまれた、ねじれネマティック構造を有する液晶層を含む、反射性ディスプレイである。シリコン背面は、画素の整列であり、これらの各々は、同時に導電体である、鏡表面を有する。各々の画素は、電圧を印加することによりホメオトロピック配向に切り換えることができる、ねじれネマティック配向を有する活性液晶層により覆われた固定した鏡を含む。LCoS(登録商標)マイクロディスプレイは、小さく、代表的には1.0”より小さい対角線を有するが、これらは、1/4 VGA(78,000画素)からUXGA+(2,000,000画素を超える)までの高度な解像度を可能にする。
【0006】
小さい画素の大きさのため、LCoS(登録商標)ディスプレイはまた、代表的には約1ミクロンである、極めて薄いセルの厚さを有する。従って、これらのディスプレイにおいて用いられる液晶相は、特に、通常は低いΔnを有するLC相を必要とする、従来の反射タイプLCディスプレイとは対照的に、光学異方性Δnについて低い値を有しなければならない。
【0007】
現在まで開示されている液晶中間相を有する一連の化合物には、いずれも、これらのすべての要求を満たす単一の化合物はない。従って、一般的に、2〜25種、好ましくは3〜18種の化合物の混合物が、LC相として用いることができる物質を得るために製造される。しかし、理想的な相は、この方法においては容易に得ることができない。その理由は、同時に高い複屈折および低い粘度を有する液晶材料が、現在まで入手可能ではなかったからである。
【0008】
OCBモードおよびLCoS(登録商標)ディスプレイは、マトリックスディスプレイとして動作することができる。マトリックス液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)が、知られている。個別の画素を個別に切り換えるために用いることができる非線形素子の例は、能動的素子(即ちトランジスタ)である。これは、次に、「アクティブマトリックス」と呼ばれ、2つのタイプの間で区別をすることができる:
1.基板としてのシリコンウエファー上のMOS(金属酸化物半導体)トランジスタ、
2.基板としてのガラス板上の薄膜トランジスタ(TFT)。
【0009】
タイプ1の場合において、用いられる電気光学的効果は、通常動的散乱またはゲスト−ホスト効果である。基板材料としての単結晶シリコンの使用により、ディスプレイの大きさが制限される。その理由は、種々の部分表示をモジュラー集合させてさえも、接合部分に問題が生じるからである。
【0010】
好適であって、さらに有望なタイプ2の場合において、用いられる電気光学的効果は、通常TN効果である。2種の技術の間で区別がなされる:化合物半導体、例えばCdSeを含むTFT、または多結晶または無定形シリコンを基材とするTFT。後者の技術に関しては、格別の研究努力が、世界中でなされている。
【0011】
TFTマトリックスは、当該ディスプレイの1枚のガラス板の内側に施され、一方他方のガラス板の内側は、透明な対向電極を担持している。画素電極の大きさと比較すると、TFTは極めて小さく、像に対する有害な効果は事実上有していない。この技術はまた、各フィルター素子が切り換え可能な画素に対して反対に位置するように、モザイク状の赤色、緑色および青色フィルターを配列した全色コンパティブル画像ディスプレイにまで発展させることができる。
【0012】
本明細書中に開示されているTFTディスプレイは、通常、透過光内に交差偏光板を備えたTNセルとして動作し、背面から照射される。しかし、OCBモードディスプレイの場合において、反射性ディスプレイはまた、T. Uchida, T. IshinabeおよびM. Suzukiにより、SID 96 Digest, 618 (1996)中で提案されている。
【0013】
MLCディスプレイの用語は、本明細書中では、集積非線型素子を備えたマトリックスディスプレイのすべてを包含する。即ち、アクティブマトリックスに加えて、またバリスターまたはダイオード(MIM=金属−絶縁体−金属)等の受動素子を備えたディスプレイが包含される。
【0014】
このタイプのMLCディスプレイは、TV用途に(例えばポケット型TV受像機)あるいは自動車または航空機構築用の高度情報ディスプレイ用に特に適する。コントラストの角度依存性および応答時間に関連する問題に加えて、MLCディスプレイでは、液晶混合物の不適切な比抵抗値による問題が生じる[TOGASHI, S., SEKIGUCHI, K., TANABE, H., YAMAMOTO, E., SORIMACHI, K., TAJIMA, E., WATANABE, H., SHIMIZU, H., Proc. Eurodisplay 84, 1984年9月: A210-288 Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings, 141頁以降、Paris; STROMER, M., Proc. Eurodisplay 84, 1984年9月: Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays, 145頁以降、Paris]。
【0015】
抵抗値の減少に伴って、MLCディスプレイのコントラストは悪化する。液晶混合物の比抵抗値は、一般的に、MLCディスプレイの内部表面との相互作用によって、MLCディスプレイの寿命全体を通じて減少するため、長い動作期間にわたり許容される抵抗値を有しなければならないディスプレイについて、大きい(初期)抵抗値は極めて重要である。
【0016】
ここに開示されているMLC−TNディスプレイの欠点は、これらの比較的低いコントラスト故に、これらのディスプレイにおける比較的高い視野角依存性およびグレーシェード(grey shades)の生成の困難さである。
【0017】
従って、MLCディスプレイ、特に複屈折効果に基づくディスプレイ、例えば極めて高い比抵抗値および同時に広い動作温度範囲、短い応答時間および低いしきい値電圧を有し、この助けにより、種々のグレーシェードを生成することができるOCBディスプレイに対する多大な要求が継続している。さらに、同時に低い粘度、高い複屈折および比較的高い正の誘電異方性を示すOCBモードディスプレイ用の液晶媒体に対する多大な要求がある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の欠点を有しないか、または有していても小さい程度であり、同時に極めて高い抵抗を有する、MLCディスプレイ、特にLCoS(登録商標)および反射性ディスプレイおよびOCBモードのディスプレイを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
ここで、この目的は、末端アルケニル基を有する少なくとも1種のビフェニル誘導体を含むネマティック液晶混合物を、これらのディスプレイ素子において用いる場合に、達成することができることが見出された。
【0020】
本発明の液晶混合物は、これらが、
・広いネマティック相範囲、
・複屈折率の高い値、
・正の誘電異方性、
・低い粘度、および
・高いUV安定性
を示すことを特徴とする。
【0021】
従って、本発明の液晶混合物を電気光学的ディスプレイにおいて用いる際に、従来技術の混合物を含むディスプレイと比較して、応答時間および駆動電圧の値を減少させ、同時に満足し得るグレースケール性能、広い視野角および高いコントラストを示すディスプレイを達成することが可能である。
【0022】
本発明は、従って、正の誘電異方性を有する極性化合物の混合物に基づく液晶媒体であって、これが、式I
【化10】
Figure 0004302364
式中、
は、1〜15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシであり、およびRは、2〜7個のC原子を有するアルケニルである、
で表される1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、液晶媒体に関する。
【0023】
式Iで表される好ましい化合物は、Rが、1〜8個のC原子を有するアルキルであるものである。極めて好ましくは、Rは、メチル、エチルまたはプロピル、特にメチルである。
式Iで表されるさらに好ましい化合物は、Rが、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、3E−ブテニルまたは3E−ペンテニル、特に3E−ブテニルまたは3E−ペンテニルであるものである。
【0024】
極めて好ましいのは、式Ia
【化11】
Figure 0004302364
式中、alkylは、1〜8個のC原子を有するアルキル基、特にメチルであり、R2aは、H、メチル、エチルまたはn−プロピル、特にメチルである、
で表される化合物である。
【0025】
液晶混合物は、好ましくは、さらに、1種または2種以上の式II
【化12】
Figure 0004302364
式中、
は、式Iの意味の1つを有し、
は、F、Cl、CF、OCF、OCHF、7個までの炭素原子を有するフルオロアルキルまたはフルオロアルコキシであり、および
およびYは、各々互いに独立してHまたはFである、
で表されるターフェニル化合物を含む。
式IIで表される好ましい化合物は、Xが、FまたはClであるもの、特にYおよびYがHであるものである。
【0026】
液晶混合物は、好ましくは、さらに、式III〜VIII
【化13】
Figure 0004302364
【化14】
Figure 0004302364
式中、
は、9個までのC原子を有するアルキル、アルコキシ、フルオロアルキル、アルケニルまたはオキサアルケニルであり、
は、CFO、Cまたは単結合であり、
は、CFO、CまたはCであり、
は、F、Cl、CF、OCF、OCHF、7個までの炭素原子を有するフルオロアルキルまたはフルオロアルコキシであり、
〜Yは、互いに独立してHまたはFであり、および
rは、0または1である、
から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
【0027】
式IIIで表される化合物は、好ましくは、以下の式:
【化15】
Figure 0004302364
式中、RおよびXは、前に示した意味を有し、Rは、好ましくは、1〜8個のC原子を有するn−アルキルまたは2〜7個のC原子を有するアルケニルであり、Xは、好ましくはF、Cl、CF、OCFまたはOCHF、特にFまたはOCFである、
から選択される。
【0028】
特に好ましくは、液晶混合物は、1種または2種以上の式IIIa1
【化16】
Figure 0004302364
式中、alkenylは、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、3E−ブテニルまたは3E−ペンテニル、特に3E−ブテニルまたは3E−ペンテニル、特にビニルである、
で表される化合物を含む。
【0029】
式IVで表される化合物は、好ましくは、以下の式
【化17】
Figure 0004302364
【0030】
【化18】
Figure 0004302364
【0031】
【化19】
Figure 0004302364
式中、RおよびXは、前に示した意味を有し、Rは、好ましくは、1〜8個のC原子を有するn−アルキルまたは2〜7個のC原子を有するアルケニルであり、Xは、好ましくはF、Cl、CF、OCFまたはOCHF、特にFまたはOCFである、
から選択される。
【0032】
特に好ましいのは、式IVa、IVbおよびIVcで表される化合物であり、特にここで、Xは、Fである。さらに好ましいのは、式IVfで表される化合物である。
【0033】
式VIで表される化合物は、好ましくは、以下の式
【化20】
Figure 0004302364
【0034】
【化21】
Figure 0004302364
式中、RおよびXは、前に示した意味を有し、Rは、好ましくは、1〜8個のC原子を有するn−アルキルまたは2〜7個のC原子を有するアルケニルであり、Xは、好ましくはF、Cl、CF、OCFまたはOCHF、特にFまたはOCFである、
から選択される。
特に好ましいのは、式VIa、VIbおよびVIcで表される化合物である。
【0035】
式VIIで表される化合物は、好ましくは、以下の式
【化22】
Figure 0004302364
【0036】
【化23】
Figure 0004302364
式中、RおよびXは、前に示した意味を有し、Rは、好ましくは、1〜8個のC原子を有するn−アルキルまたは2〜7個のC原子を有するアルケニルであり、Xは、好ましくはF、Cl、CF、OCFまたはOCHF、特にFまたはOCFである、
から選択される。
特に好ましいのは、式VIIa、VIIbおよびVIIkで表される化合物であり、特に、XがFであるものである。
【0037】
液晶混合物は、好ましくは、さらに、式IX〜XVI
【化24】
Figure 0004302364
【0038】
【化25】
Figure 0004302364
式中、RおよびXは、前に示した意味を有し、Y、Y、Y、YおよびYは、互いに独立してHまたはFである、
から選択された1種または2種以上の4環式化合物を含む。Rは、好ましくは、1〜8個のC原子を有するn−アルキルまたは2〜7個のC原子を有するアルケニルである。Xは、好ましくはF、Cl、CF、OCFまたはOCHF、特にFまたはOCFである。YおよびYは、好ましくはHである。特に好ましいのは、式XVI(式中、YおよびYは、Fであり、Yは、HまたはFであり、YおよびYは、Hである)で表される化合物である。
【0039】
は、好ましくはHである。特に好ましいのは、式XVIで表される化合物であり、ここで、YおよびYは、Fであり、Yは、HまたはFであり、YおよびYは、Hである。
【0040】
液晶混合物は、好ましくは、さらに、式XVII〜XIX
【化26】
Figure 0004302364
式中、R、YおよびXは、前に示した意味を有し、フェニレン環は、随意に、F、ClまたはCNで一置換または多置換されている、
から選択された1種または2種以上の化合物を含む。好ましくは、Rは、1〜8個のC原子を有するn−アルキルまたは2〜7個のC原子を有するアルケニルであり、Xは、F、Cl、CF、OCFまたはOCHF、特にFまたはClであり、少なくとも1つのフェニレン環は、Fで置換されている。
【0041】
式XVIIで表される好ましい化合物は、式XVIIa
【化27】
Figure 0004302364
式中、Xは、FまたはCl、特にFである、
で表されるものである。
式XVIIIで表される好ましい化合物は、YがFであり、Xが、FまたはCl、特にFであるものである。
【0042】
液晶混合物は、好ましくは、さらに、式XX〜XXIII
【化28】
Figure 0004302364
式中、RおよびRは、独立して互いに式I中のRの意味の1つを有し、Lは、HまたはFである、
から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
【0043】
式XXで表される化合物において、RおよびRは、好ましくは、1〜8個のC原子を有するアルキルまたは2〜7個のC原子を有するアルケニルである。式XXI、XXIIおよびXXIIIで表される化合物において、RおよびRは、好ましくは、1〜8個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシである。
【0044】
本発明は、さらに、電気光学的ディスプレイ、好ましくは、OCB効果に基づくアクティブマトリックスアドレッシングを有するディスプレイ、反射性ディスプレイまたはLCoS(登録商標)ディスプレイであって、誘電体として、前記した液晶媒体を含むことを特徴とする電気光学的ディスプレイに関する。
好ましくは、混合物は、本質的に、一般式I、IIおよびIII〜XXIIIを含む群から選択された化合物を含む。
【0045】
本発明の好ましい態様は、以下のものを含む混合物に関する:
・少なくとも5重量%、好ましくは5〜30重量%の、式Iで表される1種または2種以上の化合物。
・少なくとも10重量%、好ましくは10〜45重量%の、式IIで表される1種または2種以上の化合物。
・20〜75重量%、好ましくは25〜68重量%の、式IV、特に式IVa、IVbおよびIVc
【化29】
Figure 0004302364
式中、RおよびXは、前に示した意味を有する、
で表される1種または2種以上の化合物。
【0046】
・少なくとも1種の式Iaで表される化合物(特に、式中、Rは、CHであり、R2aは、CHである)。
・少なくとも1種の式IIで表される化合物(式中、Xは、Clであり、YおよびYは、Hである)。
・少なくとも1種の式IIIa1で表される化合物(特に、式中、alkenylは、ビニルである)。
・少なくとも1種の式VII、特に式VIIkで表される化合物(式中、Xは、Fである)。
【0047】
・少なくとも1種の式IXで表される化合物(特に、式中、X、Y、YおよびYは、Fである)。
・1種または2種以上の式XVIで表される化合物(式中、Xは、F、OCFまたはOCHFであり、YおよびYは、Fであり、Yは、HまたはFであり、YおよびYは、Hである)。
・1種または2種以上の以下の式
【化30】
Figure 0004302364
式中、RおよびXは、式Iにおいて示した意味を有し、Xは、好ましくはFまたはClである、
で表されるフッ素化ターフェニル。
・少なくとも1種の式XXIで表される化合物(式中、Lは、HまたはFである)。
【0048】
式Iで表される化合物およびこれらの合成は、ドイツ国特許出願DE 10128492.6に記載されている。式II〜XXIIIで表される化合物は、従来技術から知られているか、または既知の方法により製造することができる。
式Iで表される化合物を用いることにより、同時に高い複屈折および高い透明点を有する、本発明の液晶混合物を得ることが可能である。式IIで表される化合物を用いると、本発明の混合物において高い値の複屈折がもたらされる。
液晶混合物は、好ましくは、少なくとも75Kのネマティック相範囲、60℃より高い、特に70℃より高い透明点を有する。
【0049】
液晶混合物における複屈折Δnは、好ましくは、少なくとも0.18、極めて好ましくは少なくとも0.19であり、特に0.20またはこれより高い。誘電異方性は、好ましくは、+6より大きく、極めて好ましくは少なくとも+7.5である。
【0050】
本発明の混合物は、通常、示した核構造および他の非シアノ成分を有する媒体極性成分に基づいている。しかし、当然、HRについての極度に高い値が必要ではない場合、例えばTNまたはSTN使用については、このような混合物はまた、さらに、既知のシアノLC成分、好ましくは式XXIV
【化31】
Figure 0004302364
式中、R、r、YおよびYは、前に示した意味を有し、
【化32】
Figure 0004302364
は、トランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンである、
を含むことができる。得られた混合物は、極めて低い温度(屋外での使用)を含む極めて広いネマティック相範囲を達成するのに重要である。
【0051】
混合物は、好ましくは、媒体極性のハロゲン化された成分に基づいており、および/または実質的にシアノ成分を含まない。
式I〜XXIVで表される成分において、R、R、RおよびRは、好ましくは、1〜7個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基であるか、または直鎖状メトキシアルキル(メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、メトキシペンチル、メトキシヘキシル、メトキシヘプチル)である。
【0052】
用語「アルケニル」は、2〜7個のC原子を有する直鎖状および分枝状アルケニル基を含む。直鎖状アルケニル基が、好ましい。さらに好ましいアルケニル基は、C〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニル、C〜C−4−アルケニル、C〜C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特にC〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニルおよびC〜C−4−アルケニルである。
【0053】
これらのうちで、特に好ましいアルケニル基は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニルおよび6−ヘプテニルである。5個までのC原子を有するアルケニル基が、特に好ましい。
【0054】
本発明の混合物の調製は、従来の方法において実施される。一般的に、小さい方の量で用いられる成分の所望の量を、主成分を構成する成分に、好ましくは高温で溶解する。これらの温度を、主成分の透明点よりも高く選択する場合には、溶解の工程の完全性を、特に容易に観察することができる。
しかし、成分の溶液を、好適な有機溶媒、例えばアセトン、クロロホルムまたはメタノール中で混合し、溶媒を蒸留により除去することも可能である。
好適な添加剤により、本発明の液晶相を、これらを、すべての以前に開示されている種類のAMDにおいて用いることができるように修正することができる。
【0055】
【実施例】
以下の例は、本発明を、これを限定せずに例示する作用を有する。例において、液晶物質の融点および透明点を、摂氏度で示す。パーセンテージは、重量による。
本特許出願において、および以下の例において、LC化合物のすべての化学構造を、頭文字により示し、この化学式への変換は、以下に示すようになされる。すべての残基C2n+1およびC2m+1は、それぞれ、n個およびm個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基である。表Bのコードは、自明である。表Aにおいて、核構造についての頭文字のみを示す。具体的に、この頭文字に、ダッシュおよび置換基R、R、LおよびLについてのコードが続く。
【0056】
【表1】
Figure 0004302364
【0057】
表A:
【化33】
Figure 0004302364
【0058】
【化34】
Figure 0004302364
【0059】
以下の略語を用いる。
Δnは、20℃および589nmにおいて測定した光学異方性を示し、
は、20℃および589nmにおける異常屈折率を示し、
Δεは、20℃における誘電異方性を示し、
εは、分子軸の方向に平行な誘電定数を示し、
cpは、透明点[℃]を示す。
【0060】
例1
以下のものを含む液晶混合物を調製した。
【表2】
Figure 0004302364
【0061】
例2
以下のものを含む液晶混合物を調製した。
【表3】
Figure 0004302364
【0062】
例3
以下のものを含む液晶混合物を調製した。
【表4】
Figure 0004302364
【0063】
例4
以下のものを含む液晶混合物を調製した。
【表5】
Figure 0004302364
【0064】
例5
以下のものを含む液晶混合物を調製した。
【表6】
Figure 0004302364
【0065】
例6
以下のものを含む液晶混合物を調製した。
【表7】
Figure 0004302364
【0066】
例7
以下のものを含む液晶混合物を調製した。
【表8】
Figure 0004302364
【0067】
例8
以下のものを含む液晶混合物を調製した。
【表9】
Figure 0004302364
【0068】
比較例
以下のものを含む液晶混合物を調製し、
【表10】
Figure 0004302364
これは、式Iで表される化合物(PP−1−2V1)を含む例1〜8の混合物よりも顕著に低い光学異方性を示す。

Claims (15)

  1. 正の誘電異方性を有する極性化合物の混合物に基づく液晶媒体であって、1種または2種以上の式Ia
    Figure 0004302364
    式中、alkylは、1〜8個のC原子を有するアルキル基であり、R 2a は、メチル、エチルまたはn−プロピルである、
    で表される化合物を含むことを特徴とする、液晶媒体。
  2. alkylが、メチルである、請求項1に記載の液晶媒体。
  3. 2a が、メチルである、請求項1または2に記載の液晶媒体。
  4. alkylおよびR 2a が、メチルである、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶媒体。
  5. さらに、1種または2種以上の式II
    Figure 0004302364
    式中、
    は、式Iの意味の1つを有し、
    は、F、Cl、CF、OCF、OCHF、7個までの炭素原子を有するフルオロアルキルまたはフルオロアルコキシであり、および
    およびYは、各々互いに独立してHまたはFである、
    で表される化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の液晶媒体
  6. さらに、式III〜VIII
    Figure 0004302364
    式中、
    は、9個までのC原子を有するアルキル、アルコキシ、フルオロアルキル、アルケニルまたはオキサアルケニルであり、
    は、CFO、Cまたは単結合であり、
    は、CFO、CまたはCであり、
    は、F、Cl、CF、OCF、OCHF、7個までの炭素原子を有するフルオロアルキルまたはフルオロアルコキシであり、
    〜Yは、互いに独立してHまたはFであり、および
    rは、0または1である、
    から選択された1種または2種以上の化合物を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の液晶媒体
  7. さらに、式IX〜XVI
    Figure 0004302364
    Figure 0004302364
    式中、RおよびXは、前に示した意味を有し、Y、Y、Y、YおよびYは、互いに独立してHまたはFである、
    から選択された1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の液晶媒体
  8. さらに、式XVII〜XIX
    Figure 0004302364
    式中、R、YおよびXは、前に示した意味を有し、フェニレン環は、随意にF、ClまたはCNで一置換または多置換されている、
    から選択された1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の液晶媒体
  9. さらに、式XX〜XXIII
    Figure 0004302364
    式中、RおよびRは、互いに独立して、式IにおけるRの意味の1つを有し、Lは、HまたはFである、
    から選択された1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の液晶媒体
  10. 20〜75重量%の式IVa、IVbおよびIVc
    Figure 0004302364
    式中、RおよびXは、前に示した意味を有する、
    から選択された1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の液晶媒体
  11. 5〜15重量%の式Iaで表される1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の液晶媒体
  12. 10〜45重量%の式IIで表される1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の液晶媒体
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の液晶媒体の、液晶ディスプレイにおける使用。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載の液晶媒体を含む、電気光学的液晶ディスプレイ。
  15. 請求項1〜12のいずれかに記載の液晶媒体を含む、LCoSまたはOCBモードの電気光学的液晶ディスプレイ。
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