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JP4302199B2 - 複数人で観察可能な実体顕微鏡 - Google Patents

複数人で観察可能な実体顕微鏡 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変倍光学系を含む共通の光学系の後方にて左右の目のための光束に分ける左右一対の開口絞りを有し、左右の光束を左右の目で立体観察を行なう実体顕微鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
実体顕微鏡は、物体を拡大観察でき、しかも立体的情報を得ることができるために、物体に対する作業を行なう際に有効であり特に手術用顕微鏡として用いることが有効である。
【0003】
このような実体顕微鏡について、手術用顕微鏡を例として述べる。
【0004】
手術用顕微鏡は、より困難な手術を可能にするため、複数の観察者が像を同時にしかも自由な方向より観察し得る構成であることが望まれている。
【0005】
この要求に応じるために、左右の目で見る夫々の像を形成する光束を一つの変倍光学系を通すようにした手術用顕微鏡の例として、特開平4−156412号公報に記載されている手術用顕微鏡が知られている。この従来例は、変倍光学系の後方に設けられた左右光路用の開口絞りを変倍光学系の光軸の周りに回転させることにより観察方向を自由に変えることができ、又複数の観察者による観察が可能な構成のものである。
【0006】
又、他の従来例として、特開平9−318882号公報に記載された実体顕微鏡が知られている。この従来例は、前述の変倍光学系の後方にリレー系配置して収差を良好に補正するようにしている。そのために長くなった光路長を反射部材を設けることにより光束を折り曲げてアイポイントを物体側に下げるようにしている。又、変倍に伴う立体感の変化を少なくするために、絞りを開口と共役の位置におくようにしている。
【0007】
図10は、自由な方向からの観察を可能にした実体顕微鏡の一例を示す図である。図において、1はハーフミラー、2は対物レンズ、3は立体感調整絞り、4,5,6は夫々反射部材、7はアフォーカルズーム系、8は光分割部材、9は反射部材、10はリレー系第1レンズ、11,12,13は反射部材、14はリレー系第2レンズである。
【0008】
このような従来の実体顕微鏡において、ハーフミラー1の物体側とは反対側(図においてハーフミラー1の上方)には観察物体の観察軸と同軸で照明するための照明装置が設けられている。この照明装置により照明された物体よりの光束は、ハーフミラー1により反射され対物レンズ2を通ってアフォーカル光束になる。このアフォーカル光束は、変倍に伴う立体感の変化を抑えるため立体感調整用絞り3経て、反射部材4,6により反射されて図面上方に向かう。反射部材6の後方に配置されている対物レンズ2と同軸のアフォーカルズーム系7を通った後に光分割部材8により分割される。つまりアフォーカルズーム系7を射出した光束は、光分割部材8により反射され、反射部材9により反射され図面の下方に向けられ、その後アフォーカル光束を結像させるリレー系の第1レンズ10により物体像を形成した後、反射部材11,12,13により夫々反射されて物体からの入射光軸(ハーフミラー1への入射光軸)の延長線上を図面上方に向けられ、入射光軸にほぼ平行になる。これにより、光路長の長い光学系を用いた場合でも物体位置と観察者の目の位置とを近づけることができ、アイポイント位置を下げることができ、普通の実体顕微鏡と同等に扱うことを可能にしている。この光学系において、リレー系の結像点付近にレンズを配置すれば瞳位置の調整が行ないやすい。
【0009】
次に、本発明の実体顕微鏡のように複数の観察者による観察を行なう中間鏡筒部分の従来例として2人観察用に光束を分割する中間鏡筒部分に関して図11をもとに述べる。
【0010】
図11において、15は主観察側と副観察側に分割するビームスプリッター、16は主観察側に設けられたダハプリズム、17は主観察側の鏡筒である。又18は平行四辺形のプリズム、19は3回反射のダハプリズム、20はイメージローテータ、21は副観察側鏡筒で、これらにより副観察側の光学系を構成している。
【0011】
この図11に示す中間鏡筒部分においては、1回結像リレー系を射出後の光束のうちビームスプリッター15に入射し、このビームスプリッターを透過する光束は、主観察側へ向う。つまり、ビームスプリッター15を透過した光束は、正立のダハプリズム16により正立像とされた後、主観察側鏡筒17に入射して主観察者により観察される。
【0012】
又、ビームスプリッター15にて反射された光束は、副観察側へ向うもので平行四辺形のプリズム18へ入射し、これを射出後ダハプリズム19を通って正立像になり、イメージローテーター20を通ってから副鏡筒21に入射して副観察者にて観察される。
【0013】
以上の通りの副観察側の中間鏡筒は、主観察側と適切な距離だけ離すために平行四辺形のプリズムを用い、リレー系の光軸を回転軸として回転可能にし、平行四辺形状のプリズム16とダハプリズム19との間の光軸を回転軸として回転可能にしてダハプリズム19より後方の光学系を回転させこれと同時にこの回転の2倍の角度で副観察側鏡筒を回転させることにより、像の回転なしに覗く方向を変えることができる。また開口部は、光路長が主観察側とほぼ一致するように、主観察側と副観察側の鏡筒19と21からはずれた位置にあり、イメージローテータの小型化を考慮して開口部はイメージローテータ20の前に設置してある。
【0014】
この中間鏡筒を用いれば、2人の観察者により同時に観察が可能である。又分割部を数段重ね配置することにより、3人以上の観察者による同時観察も可能になる。
【0015】
この中間鏡筒を用いた実体顕微鏡を手術用に用いれば複数の手術者の参加が可能である。しかし、手術者と術部との距離は短い方が望ましい。又手術者が3人であれば、より高度な手術が可能になり、物体と目とが3人共近くかつ像の明るい顕微鏡が望まれる。
【0016】
しかし、この従来例では、これら要求を十分に満足するとはいえない。
【0017】
また目に見えない光や微弱な光から手術に有効な情報が得られ、例えば赤外線で観察すると皮膚が透明になり血管の位置が明確になり、又蛍光観察により癌細胞が特有の蛍光を発することがある。これらを観察するためにはテレビ画像が有効であり、テレビ画像は、輪郭強調や色強調により僅かな差を強調でき判定しやすくなる。これらテレビ画像は、複数の手術者に立体観察できる状態で提供して手術時に作業しながら確認できることが望ましい。しかもテレビ撮影位置が、作業の邪魔にならないように配置され小型であることが望ましい。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、多数の観察者により観察を行なう実体顕微鏡で、アイポイントが手術面に近い位置にくるようにした実体顕微鏡を提供することにある。
【0019】
本発明の第2の目的は、観察者の観察方向に合わせた立体撮像ができる実体顕微鏡を提供することにある。
【0020】
本発明の第3の目的は、多数の観察者による観察および立体撮像を可能にし、小型な撮像装置とした実体顕微鏡を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の実体顕微鏡は、対物レンズ系と、変倍光学系と、鏡筒光学系とよりなり、前記対物レンズ系と変倍光学系との光軸が一致しかつ少なくとも一つの結像点を有し、前記鏡筒光学系は、左右一対の開口絞りと結像レンズと接眼レンズとよりなり、前記左右の開口絞りにより夫々決定される左右観察光軸が変倍光学系の光軸と異なるところを通り、変倍光学系からの光束を透過と反射とに分ける光分割面を有する反射部材を有し、前記反射部材のうちの一つの反射部の光分割面もしくは光分割面を延長した面と他の反射部材の光分割面もしくは光分割面を延長した面とが交差する面が前記変倍光学系からの光束の内側にあることを特徴とする。
【0022】
即ち、本発明は例えば図10に示すような対物レンズ系と変倍光学系と更に鏡筒光学系とよりなり、対物光学系と変倍光学系の光軸が一致しており、かつ少なくとも一つの結像点を有し、鏡筒光学系が左右一対の開口絞りと結像レンズと接眼レンズとよりなるもので、多数の観察者により同時に観察することを可能としたものである。
【0023】
そのために、本発明の実体顕微鏡は、例えば前記図10に示す対物レンズ2とそれと同軸に設置されたアフォーカル変倍系7と、1回結像アフォーカルリレー系10〜14からなる構成のものの、前記アフォーカルリレー系射出後の光束を例えば図1、2に示すような3分割プリズム22を用いて中央から2分して左方向透過・反射、右方向透過・反射に3分割したものである。そして左方向に反射する面と右方向に反射する面との交線が1回結像のアフォーカルリレー系の射出光軸と交わるようにしたことを特徴としている。これによって分割プリズムを小型化でき分割プリズムを透過する側である主観察者のアイポイントが物体から離れないようにすることができ、又全体の像の明るさの減少を少なくし得る。また、分割プリズムによる分割を増やして更に多くの観察者による観察を可能にした場合も、各分割面の境界がリレー系の第2レンズ(図2におけるレンズ14)より射出する光束内に例えば図1の幅Dの光束内に位置するようにすれば、同様の効果が得られる。
【0024】
又、本発明の実体顕微鏡の他の構成は、前述の通り対物レンズ、変倍光学系、鏡筒光学系等よりなるもので、更に立体撮像系を設け、この立体撮像系による立体画像が鏡筒光学系による観察像に対応するようにしたことを特徴としている。
【0025】
そのため、鏡筒光学系を複数設け、その観察光学系にそれぞれに対応した立体撮像を行なうようにし撮像された立体像を観察し得るようにした。つまり、立体テレビ光学系の前に反射回数と瞳の位置とを合わせる反射部材を設けた構成とし、これを副観察側の左右のいずれかの鏡筒の代りに設置して使用する。この場合、立体テレビ光学系を設置した鏡筒と他の鏡筒とが観察位置が変らないように連動させることが好ましい。又テレビ撮影系を図10に示す光分割部材8の透過側に配置して、これと主観察側鏡筒とが連動して動くようにしてもよい。このようにして、主観察側、副観察側のいずれも、テレビ像と観察像とを切り替えても観察位置に差がないようにすることができる。
【0026】
このように構成することにより、肉眼では見えない光で形成された像や、暗くて確認しにくい像や、画像処理により強調した像等を観察像と切り替え観察し又は重ねることによって、作業上違和感なく間違えが少なく効率的な作業が可能である。
【0027】
次に本発明の実体顕微鏡の他の構成で、前述の通りの実体顕微鏡に第1の光路と第2の光路からなる一対の光路を有する立体撮像装置を備えており、この立体撮像装置は、光束を1回結像する結像光学系を有し、立体撮像装置の開口絞りが鏡筒光学系の開口絞りとほぼ一致するようにしたことを特徴としている。
【0028】
即ち、例えば図10に示す構成の光学系における光分割部材8の透過側又は、例えば図1に示す左右の副観察側鏡筒21のうちの一方にテレビ撮影系を取り付けるようにしたもので、観察側の瞳と撮影系の開口絞りとを一致させるようにする必要がある。そのため、本発明では撮影系内部にて1回結像させて開口絞りを設けその物体側に開口絞りの共役位置を設けるようにした。その際に左右の光路長を合わせるために図5に示す通りの構成にした。つまり光路長を調整するため両光路の光軸が平行になる部分を設け、この光軸が平行な区間に設けられた反射部材を移動させることにより光路長を調整し、この移動量の2倍に光路長が延びるようにして大きな変更なしに光路長を調整し得るようにした。この部分は、図5に示す構成では、左目用光路の反射部材37Lの入射光軸から反射部材38Lの射出光軸までであり、又右目用光路の反射部材36Rの入射光軸から反射部材37Rの射出光軸までの部分である。これにより小型のまま調整が可能になる。更にこの構成を左右の光学系の両方に採用すれば、平行の光軸により決まる平面が直交するため小さい容積での配置が可能になる。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実体顕微鏡の第1の実施の形態について述べる。
【0030】
本発明の第1の実施の形態は、変倍光学系を射出する光束を分割して複数の観察者による観察を可能にするもので、例えば図10に示す光学系(対物レンズや変倍光学系等を含む光学系)のリレー系の第2レンズ14より射出する光束を光分割部材によって複数に分割して多くの観察者により観察することを可能にする構成のものである。
【0031】
図1,図2は、本発明の実体顕微鏡の第1の実施の形態で変倍光学系を射出する光を主観察側と二つの副観察側とに分割する分割系を示し、これら図1、2は一例として光束を3分割する分割系である。
【0032】
図1は副観察側を示し、14はリレー系の第2レンズ、22L,22Rは夫々第2レンズ14よりの光束を分割するための光分割部材(光分割プリズム)で、この分割部材により透過側つまり主観察側(図2)と左右の反射により二つの副観察側の3方向に分割する。この光分割プリズム22L,22Rの反射面の交わる線(交線)とリレー系第2レンズ14の射出光軸とが交わるように構成されている。これにより、左右の副観察側に均等に光を分割することが可能になる。この光分割プリズム22を透過する主観察側への光束は、図2に示すように主観察側ダハプリズム23へ入射し、このダハプリズム23により180°回転させる鏡筒が取付けられる。鏡筒は結像レンズと正立光学系と眼幅調整機構を有し、傾斜角が可変である。この状態で立体観察調整絞りとアフォーカルズーム系の最高倍率のときの共役の位置に開口絞り25が配置されており、最高倍率の時に立体感が大きくなるのを抑えるようにしている。
【0033】
光分割プリズム22L,22Rで反射した左右の副観察側は、リレー系の第2レンズ14の射出光軸を含む面に対して対称に配置されている。
【0034】
次に、この第1の実施の形態の副観察側について更に詳細に述べる。
右副観察側では、リレー系の第2レンズ14より光分割部材22Rへ入射した光束が、その内部のハーフミラー面にて反射された後にさらに1回内部にて反射され光分割部材22Rの入射光軸に対して45°傾いた方向に射出される。この光分割部材22Rを射出した光束は、副観察側ダハプリズム28に入射し、内部で反射面とダハ面により計3回反射された後光分割部材22Rの入射光軸に対して垂直な方向につまり水平面の方向に射出される。続いて楔プリズム30が配置されこれにより像心の移動を少なくしている。つまりこの楔プリズム30によりイメージローテータプリズム29の加工精度不足を補い、イメージローテータプリズムを安価になし得る。この楔プリズム30の射出側には副観察側鏡筒21が設けられている。
【0035】
この副観察側鏡筒21は、主観察側鏡筒と異なり開口絞りを有していないが、それ以外は主観察側鏡筒と同じである。開口絞りは、例えば図10に示す立体感調整絞り3のアフォーカルズーム系7が最高倍率の時の共役位置に設けられ、この実施の形態の光学系では楔プリズム30と副観察側鏡筒21との間に位置している。尚、左副観察側は、右副観察側と対称であって、その作用は同じである。
【0036】
又、開口絞りと鏡筒の像面とにより決まる光軸(観察光軸)は、光分割部材22Rよりに設定されており、図9に示す通りである。図9はリレー系の第2レンズ14側から光分割プリズム22L,22Rを見た図であり、主観察側の左目用開口部54L、右目用開口部54R、左副観察側の左右の目用の開口部55L,55R、右副観察側の左右の目用の開口部56L,56Rを示している。又、リレー系の第2レンズ14の射出光束57は、倍率があがるにつれて立体感調整絞りにより狭められて最高の倍率では、射出光束58になる。このように配置することにより、光分割部材22L,22Rにより光束が狭められ、視野周辺の減光や像のけられを少なくすることができる。
【0037】
ここで図9に示すように鏡筒の光軸間隔をAとし、左右の副観察側の左右観察光軸を含む面の距離をBとするとき、下記条件を満足すれば視野周辺の減光が少ない。
【0038】
0.6≦B/A≦0.8
視野周辺に多少視野周辺の減光が生じた場合でも、結像レンズの焦点距離を長くしたり、又は接眼レンズの倍率を上げる等して鏡筒光学系の倍率を上げることにより視野を狭くすれば視野周辺の減光をなくすことができる。
【0039】
また、副観察側の光学系は、イメージローテータプリズム29と楔プリズム30とを一体にして左目用と右目用の二つの観察光軸の中間の軸を回転軸にして回転できるようになっていて、つまり図1の60に示すように回転し得るようになっていて、第1の回転部を構成している。また開口絞りを含む副観察側鏡筒21も左右の観察光軸の中心を回転軸として符号61に示すように回転できるようにして、第2の回転部を構成している。
【0040】
前記の第1の回転部の回転角α1と第2回転部の回転角α2とを下記の関係で回転させれば像の回転なしに鏡筒を回転させることができる。
【0041】
α1:α2=1:2
これは、主観察側の観察者が鏡体を前後に傾けた場合の副観察者の像補正として有効である。
【0042】
また、光分割部材22Rと副観察側ダハプリズム28の間の左右の観察光軸の中間を回転軸に副観察側ダハプリズム28から副鏡筒21までを、図1の67で示すように回転させることにより、観察方向を多少変えることができる。この場合、反射面の境界は、リレー系の第2レンズ14の射出光軸上にならないが、射出光束内の反射面にはこの反射面の境界が含まれる。同様に、光分割部材22Rの入射側の左右観察光軸の中間の軸を回転軸に光分割部材22Rから副観察用鏡筒21までを一体にして多少回転させることにより観察方向を少し変えることができる。
【0043】
また、左右の副観察側を一体にして、リレー系の第2レンズ14の射出光軸を回転軸として図1の68に示すように回転させることにより3人の観察位置を変えることができる。このとき、主観察側は副観察側の動きに連動して動かない方が好ましい。
【0044】
次に、本発明の実体顕微鏡の第1の実施の形態における主観察側について、その一例としての3人観察部(3分割)のものについて述べる。
【0045】
この第1の実施の形態の主観察部は、図2に示す通りの構成であって、図10に示すハーフミラー1の光軸に垂直な方向(以後シフト方向と呼ぶ)にハーフミラー1への入射光軸の延長上から接眼レンズのアイポイントが離れないようにした例である。つまりハーフミラー1への入射光軸から観察者の目が離れないようにした例である。接眼レンズのアイポイントは、前記入射光軸より離れてもよいがハーフミラー2の入射光軸方向は観察者の目に近い方が観察しながらの物体への各種作業を行なうためには好ましいとの観察者の要望が強いことによる。この第1の実施例は、この要望に沿った構成にしたものである。即ち、主観察側のダハプリズム23は、図1に示す副観察側のダハプリズムと同じであるが、主観察側ではこのダハプリズム23より射出する光束を2回反射の反射プリズム24を通してシフト方向に反射するようにしている。この反射プリズム24を射出後に開口絞り25を設置してある。これは、立体感調整絞りのアフォーカルズーム系の最高倍率でリレーする位置に設置してある。この開口絞り25の像側には内部に開口絞りがない主観察側鏡筒21が取付けられている。
【0046】
この主観察側の第1の実施の形態は、以上のような構成にすることによってアイポイントが入射光軸方向に近づき、シフト方向に離れた位置になる。
【0047】
又、左右の開口絞り25の中間の軸を回転軸にして主観察側鏡筒21を図2に符号62にて示すように回転させることにより主観察者が任意の向きでの観察が可能になり楽な姿勢での観察が可能である。
【0048】
又、前述の第1の実施の形態の副観察側における左右の副観察用の光束は、光分割部材(22L,22R,)で別の面を通るので、心や同焦において差が生じ、これを補正するためには、主観察側の反射部材24と鏡筒21の間にアフォーカル変倍レンズを挿入し、この変倍レンズにより心および同焦の調整をすればよい。尚、後に示す第2の実施の形態においても同様である。
【0049】
図3、図4は本発明の第2の実施の形態の主観察側および副観察側の構成を示す図である。
【0050】
図3は、第2の実施の形態における3人観察用を例として主観察側の光学系を示した図である。この光学系は、図4に示す光分割部材31により分割され反射された後の出射光束を2回反射のための反射面を互いに平行に配置したものである。つまり光束出射後に二つの反射部材(反射プリズム)26および27を配置し、これら反射プリズムをその反射面が互いに平行になるように配置した。これによって、ダハプリズム23を出射した光の光軸と平行のままアイポイント位置の調整が可能になる。又、2回反射のプリズムを二つのプリズム26,27にて構成することにより立体感調整絞りとほぼ共役の位置である両プリズムの間に開口絞り25を設置し得るようにした。又開口絞り25を通過後プリズム27の出射方向と平行な方向に出射した光束の位置に主観察側鏡筒21を配置し第1の実施の形態と同様にアフォーカル変倍レンズを設けることにより、心や同焦の調整を可能にした。又、反射プリズム27と鏡筒とを反射プリズム26の出射方向に許容範囲内で移動させることが可能であるが、許容範囲を超えると像のけられが生ずるため好ましくない。又開口絞り25も許容範囲内での移動が可能であるが、許容範囲を超えると像面での左右の明るさの差が大になる。このような鏡筒等の移動により、観察者はアイポイントの入射光軸方向とシフト方向の位置を自由に選ぶことができ、適切なアイポイントが得られる。この場合、連続な調整ではなく、反射プリズム26と27の間に間隔を離すための特定のユニットを挿入することにより調整を行なってもよい。この手段によれば、突出部を有する鏡筒の干渉を防止し得る。
【0051】
図4は、本発明の実体顕微鏡の第2の実施の形態における3分割式を例とした分割部(副観察側)の光学系を示す図である。この実施の形態は、左右の副観察側のアイポイントが低くなるようにした例で、そのため光分割部材31より出射する光束の角度が水平に対して30°になるようにし、又反射プリズム32と副観察側の2回反射ダハプリズム33により、このダハプリズム33より出射する光束が水平方向になるようにしてある。又この実施の形態では、ダハプリズム33の出射後に第1の実施の形態と同様にイメージローテータプリズム29と楔プリズム30を、更に鏡筒21を配置した構成になっている。
【0052】
以上のように、この第2の実施の形態の副観察側は、光分割の射出角を小さくしたことにより副観察側のアイポイントが低くなっている。又、分割プリズム31の左右のハーフミラー面の交線は、リレー系第2レンズ14の射出光軸の延長上にくるようにしてある。この光軸を回転軸にして副観察側だけを図4の68に示すように回転させることが出来る。この場合、反射面の境界は、リレー系の第2レンズ14の射出光軸上にならないが射出光束内の反射面内にはこの反射面の境界が含まれる。
【0053】
以上述べた第1、第2の実施の形態を示す図1乃至図4は、いずれも一つの光軸しか図示していないが、いずれも左目用および右目用の光学系よりなり、したがって左右二つの光路(光軸)を有する光学系である。なお、図1や図4に示した副観察側の光学系と図2及び図3に示した主観察側の光学系は、それぞれ自由に組み合わせて使用することができる。また、図4の副観察側の光学系は、回転軸69で左右に分離した構成にすることも可能で、この場合、副観察側の光学系の一つを図1の副観察側の光学系に置き換えて使用することもできる。このように2つの光学系に分けた場合、図1と同様に、個々の副観察側の光学系を独立して回転させることも可能になる。なお、図1においても、副観察側の光学系の一つを図4の副観察側の光学系に置き換えることもできる。
【0054】
次に本発明の実体顕微鏡において、立体撮影系を用いての立体画像を得るようにしたもので、この立体画像が観察像に対応するようにした構成の実施の形態である第3の実施の形態について述べる。
【0055】
図5は、この本発明の実体顕微鏡の第3の実施の形態の斜視図である。この図において34L,34Rは左右の観察系の結像レンズ、35L,36L,37L,38L,40Lおよび35R,36R,37R,38R,40Rは夫々左右の観察系の反射部材(反射プリズム、全反射プリズム、反射ミラー)、39L,41Lおよび39R,41Rは夫々左右のリレー光学系である。
【0056】
図示する光学系において、左目観察用の光路は、撮影系結像レンズ34Lを透過し、反射部材(反射プリズム)35Lにより撮影系結像レンズ34Lの光軸を含む面に垂直な方向に反射し、反射部材(反射プリズム)36Lにより反射部材35Lの入射と射出の左目用撮影光軸に垂直方向に反射され次に反射部材36Lにより反射部材35Lの入射と射出の左目用撮影光軸に垂直方向に反射し、反射部材37Lにより左目結像レンズ34L通過の左目用撮影光軸に平行な方向に反射され、反射部材(反射プリズム)38Lの反射面により反射部材36Lと反射部材37Lの間の左目用撮影光軸に平行な方向に向けられ、反射部材(反射プリズム)40Lの反射面により反射部材35Lと反射部材36Lの間の左目用撮影光軸に平行な方向に光束を向ける。又反射部材(反射プリズム)42Lは、テレビカメラの位置に合わせて取付けた反射部材で、小型のテレビカメラを取り付ける場合は設ける必要はなく、反射部材40Lの射出光軸の延長上に取り付けてもよい。又59Rは左目側の撮像面である。
【0057】
一方右目用観察系は、光束が左目用結像レンズ34Rを透過後反射部材35Rの反射面により反射部材35Lと反射部材36Lの間の左目用撮影光軸と平行であって入射する左右撮影用光軸を含む面に対し反対方向に反射する。この面で反射された光束は、反射部材36Rの反射面により反射部材36Lと反射部材37Lの間の左目用撮影光軸と平行で同じ向きの方向へ反射される。次に光束は、反射部材37Rの反射面により反射部材35Rと反射部材36Rに平行で反対方向に向けられ、反射部材38Rにより反射部材37Lと反射部材38Lと平行で同じ向きに反射され、反射部材40Rにより反射部材40Lと反射部材42Lの間の左目用光軸と平行で同じ向きに反射される。更に光束は、反射部材42Rも左目用反射部材42Lと同様にテレビカメラの大きさによっては省略してもよい。又59Rは右目側の撮像面である。
【0058】
以上述べたように左右の撮影光学系により、左右両光学系は、左右のプリズム系の回転による像の回転は一致する。
【0059】
前記の左右撮影光学系のレンズ系は、立体感調整絞り3と共役の位置に開口絞りをおく必要がある。したがって開口絞りの像が撮影系の外に形成されるようにする必要がある。そのため撮影系内部にて1回結像させ、この像を再度結像させるリレーレンズを配置する必要がる。そしてこの2回目の結像点にテレビ撮影系をおき像を撮影するようにすればよい。この第1の結像点と第2の結像点の間に開口絞りを置いて像を撮影系の外部に出して立体感調整絞り3と共役の位置にリレーするものである。
【0060】
上記リレー系の実施例を示す。
【0061】
図6、図7は、このリレー系の左目用の光路の実施例を示すもので、下記データを有する。実施例1
1 =52.2595 d1 =3.8000 n1 =1.52249 ν1 =59.84
2 =-25.8263 d2 =2.2000 n2 =1.61293 ν2 =36.99
3 =-92.6980 d3 =4.0000
4 =∞ d4 =20.0000 n3 =1.56883 ν3 =56.36
5 =∞ d5 =19.0000 n4 =1.56883 ν4 =56.36
6 =∞ d6 =40.5000
7 =∞ d7 =13.0000 n5 =1.56883 ν5 =56.36
8 =∞ d8 =8.5000
9 =∞ d9 =12.0000 n6 =1.56883 ν6 =56.36
10=∞ d10=19.0000
11=∞ d11=11.0000 n7 =1.56883 ν7 =56.36
12=∞ d12=5.8000
13=∞(絞り) d13=7.7000
14=16.7708 d14=3.1404 n8 =1.69680 ν8 =55.53
15=144.6710 d15=4.3618
16=79.2665 d16=1.5331 n9 =1.67270 ν9 =32.10
17=9.0778 d17=3.0000
18=12.3898 d18=3.9647 n10=1.58913 ν10=61.14
19=-62.1435 d19=4.0000
20=∞ d20=21.7300 n11=1.56883 ν11=56.36
21=∞ d21=31.5000
22=∞(像)
【0062】
実施例2
1 =48.7360 d1 =5.0000 n1 =1.48749 ν1 =70.23
2 =-30.5370 d2 =2.0000 n2 =1.83400 ν2 =37.16
3 =-57.0210 d3 =4.0000
4 =∞ d4 =20.0000 n3 =1.56883 ν3 =56.36
5 =∞ d5 =20.0000 n4 =1.56883 ν4 =56.36
6 =∞ d6 =30.5000
7 =∞ d7 =12.0000 n5 =1.56883 ν5 =56.36
8 =∞ d8 =10.0000
9 =∞ d9 =12.0000 n6 =1.56883 ν6 =56.36
10=∞ d10=18.0000
11=∞ d11=2.5000 n7 =1.51633 ν7 =64.14
12=-35.4270 d12=3.0000
13=∞ d13=12.0000 n8 =1.56883 ν8 =56.36
14=∞ d14=3.0000
15=∞(絞り) d15=14.9936
16=14.4950 d16=3.1000 n9 =1.63980 ν9 =34.46
17=30.3850 d17=4.0121
18=-25.5920 d18=2.0000 n10=1.72825 ν10=28.46
19=10.6910 d19=4.5100
20=31.4850 d20=1.4500 n11=1.80518 ν11=25.42
21=17.0410 d21=3.3800 n12=1.81600 ν12=46.62
22=-17.0410 d22=11.2749
23=∞ d23=21.2450 n13=1.56883 ν13=56.36
24=∞ d24=33.5830
25=∞(像)
リレー系の実施例1は、図6に示すもので、34Lは結像レンズ、平面板35L,36L,37L,38L,40Lはいずれも図5に示す反射プリズム、41Lはリレーレンズ、43Lは開口絞りである。
【0063】
この実施例1は、結像レンズ34Lによりアフォーカル系7を射出したアフォーカル光束を反射部材35L,36Lを通った後に反射部材37Lの内部に結像する。結像後、反射部材38L、40Lを透過後、立体感調整絞り3と共役の位置に開口絞り43Lを設け、その後方に反射部材37L内に形成された像を再結像するためのリレーレンズ41Lを配置し、このリレーレンズ41Lにより反射部材42Lを透過して撮像面59Lに結像させるように構成されている。
【0064】
右目用の観察系も左目用の観察系と構成は同一であるが、反射部材の配置位置が左目用と若干異なる。すなわち、実施例1では、反射部材37Rは、反射部材37Lより7.5mm物体側にある。また、反射部材38Rは、反射部材38Lより9.5mm像側にある。一方実施例2では、37Rは、37Lより4.5mm物体側にある。また、38Rは、38Lより13.5mm像側にある。いずれにせよ、右目用の観察光学系と左目用の観察光学系の反射部材の配置は、光路長を変えずに結像性能への影響なく図5のような配置にすることができる。
【0065】
この実施例1は、リレー系を射出する主光線が平行ではないので、モザイクフィルタを使った単板テレビカメラを用いるには問題がないが、3色分解プリズムを使った3板テレビカメラを用いると色シェーディングが発生する。
【0066】
リレー系の実施例2は、図7に示す構成で、アフォーカルズーム系7を射出するアフォーカル光束を結像レンズ34Lにより平行平板(反射部材)37Lと38Lの中間に結像する。この光束は反射部材38Lを通過後リレーレンズ39Lにより反射部材42Lの後方に再結像する。この時、リレーレンズ41Lを射出する光束はテレセントリックになっている。
【0067】
このように、実施例2はリレーレンズ41Lを射出する光束がテレセントリックであることを特徴とし、これによって、干渉膜による色分解プリズムを用いても色シェーディングの発生を抑え得る。つまりリレーレンズ39Lはテレセントリックにしてかつ収差の良好に補正された構成になっている。
【0068】
本発明の実体顕微鏡のように、立体撮影系は、視差による左右の像のずれを除いて倍率がフォーカス位置などの左右の像の差があると観察しにくくなる。そのために左右の光学系は一般に同じものが用いられ、したがって左右の光路長を一致させる必要がある。また、テレビカメラの形状により位置が決められる等の制限のなかで小型化する必要がある。更に本発明の光学系は、全長が長くなりそのために、機械的な移動が少なくてしかも光路長を十分とり得るように光学系のレイアウトをすることが有効である。
【0069】
そのため、二つ以上の反射面を含んでいて入射から射出までの光軸が平面上に位置し、入射と射出の光軸が平行になり光の進行方向が逆向きになる構成にすることが好ましい。
【0070】
図5に示す光学系は、反射部材(反射プリズム)36Lの射出からリレーレンズの入射までの構成と反射部材(反射プリズム)35Rの射出から反射部材36Rへの入射までの光軸までの区間が上記の通りの配置になっている。これにより、反射部材を光軸方向に動かしたとき、移動量の2倍の長さだけ光路長が変わり光路長の調整にとって有効である。
【0071】
又図5に示す構成において、左目用光路は、反射部材37Lと反射部材38Lを平行光軸方向に移動させ、つまり矢印63、64方向に移動させ、又、右目用光路は反射部材36Rと反射部材37Rとを移動させ、つまり矢印65、66方向に移動させ、この部分を調整箇所として使用することも有効である。更に、左右の撮影光路で前記平面を直交させるようにすれば立体的突出を小さく抑えることができ望ましい。又、反射部材35L、36L、35R、36R等を固定とする場合、35Lと36L、35Rと36Rは接合させることが光学系全体の小型化等が可能になり望ましい。尚前記リレー系の実施例はいずれも35Lと36Lおよび35Rと36Rを接合させたものである。
【0072】
この立体撮影系は、左右の目用の入射光軸を含む面が、図10に示す光分割部材8の入射光軸と反射した光軸とを含む面とが平行であって、かつ光分割部材8の反射部材9の側に撮影系結像レンズ34Rが来るようにすれば主観察側と同じ向きに副観察側の像の向きを合わせることができる。
【0073】
本発明における以上のような構成の立体撮影系は、図10に示す光学系の光分割部材8の後方に配置することを考えているため撮影系の反射部材による反射は奇数回である。しかし、この撮影系を図1〜図4における観察用鏡筒21位置に取り付けて撮影するとき、撮影系に入射するまでの反射回数が偶数回であるために、像は裏像になり、又立体感調整絞り3と開口絞りの位置が合わなくなり、そのため反射回数を合わせ、開口絞りと立体感調整絞り3とを共役関係を保つために奇数回の反射の反射部材を立体撮影系の結像レンズ34L,34Rの前において、鏡筒の代りに取り付けられるようにする必要がある。
【0074】
次に、本発明の実体顕微鏡の第4の実施の形態である複数観察者にテレビ画像を提供するようにした構成の光学系について説明する。
【0075】
前述の3分割により3人の観察者により同時に観察する本発明の光学系を利用してテレビ画像を観察し得るようにした構成の実施の形態について述べる。
【0076】
図8は、前記テレビ画像を観察し得る構成について示すもので、図において、44L,44Rは夫々左右の目用の観察用結像レンズ、45L,45Rは反射部、46L,47Lおよび46R,47Rはイメージローテータ、48L,48Rおよび49L,49Rは反射部材、50L,50Rは像挿入部材、51L,51Rは接眼レンズ、52L,52Rは表示装置、53L,53Rは結像レンズである。
【0077】
図8に示す構成の観察用鏡筒は、左目側の光学系において結像レンズ44Lにアフォーカル光束が入射しこのレンズにて結像される。反射部材45により入射光軸に垂直な方向に反射し、イメージローテータ46L,47Lに入射しその内部で5回反射した後入射光軸の延長線上に射出する。ここでイメージローテータ47Lより射出した光束は、反射部材48Lに入射しその内部で3回反射した後入射光軸と平行であって入射方向とは逆方向に射出する。この反射プリズム48Lより射出した光束は反射部材49Lに入射して直角方向に反射され射出する。この反射部材49Lにて反射した後に結像レンズ44Lによる結像点が位置する。この結像レンズ44Lにより形成された像は、接眼レンズ51Lにより左目に拡大観察される。
【0078】
又、右目の側についても全く同様の作用により接眼レンズ51Rを通して右目にて拡大観察される。
【0079】
以上の光学系において、イメージローテータ46L,47Lおよび46R,47Rにより像は、正立像になるように、イメージローテータをその光軸を回転軸として回転することにより正立像になし得る。
【0080】
図8においては、その構成がわかり易いように記載してあるため、この図の状態のイメージローテータでは正立像にならないが、実際には回転軸のまわりに90°回転した配置である。
【0081】
ここで傾斜角を変化させるためにはイメージローテータを回転軸のまわりに角θ回転させることによりイメージローテータ以降の反射部材48Lから接眼レンズ51Lまでを同じ回転軸のまわりに2θ回転させることにより像を回転させることなしに、傾角を可変にすることができる。
【0082】
また、接眼レンズの眼幅調整を行なうためには、反射部材49Lから接眼レンズ51Lまでを、反射部材29Lの入射光軸の方向に移動させることにより行なうことができる。
【0083】
又、同焦が維持されるようにするためには、接眼レンズ51Lも眼幅調整の移動にともない光軸方向に動くようになっている。
【0084】
又、立体撮影系で撮影した画像を表示するために、鏡筒に表示装置52L、52Rを設置してこれをリレーレンズ53L、53Rにより接眼レンズ51L、51Rの像面に合わせるように構成されている。
【0085】
このように像挿入部材50Lにより、撮影系の画像をそのまま接眼レンズ51Lに観察することができる。又表示装置52Lは、液晶モニターのほか反射型液晶ディスプレイでもよい。また像挿入部材50Lは、切り替えて使用する場合切替ミラー又合成する場合はハーフミラーが用いられる。
【0086】
更にテレビ撮像系は、主観察側に設ける場合は、反射部材8の後方に配置し、又副観察側に設ける場合は、3人観察のうちの左右で使わない方の副観察側に取り付けるようにすればよい。この副観察側のうちの撮影系を取り付けた副撮影系は、他の副観察側の副観察系に像の向きを合わせるようにすることが望ましい。そのために、この副撮影系の前に取り付ける奇数回反射の反射部材は、反射部材内部の光軸により形成される面(光軸を含む面)が、副撮影系の左右の光軸を含む面と平行になるようにすればよい。更に、副撮影系の右目用射出光路に副撮影系の左目撮影系を合わせればよい。これにより副観察側で撮影画像に切り替えても同じ向きの像を得ることができる。この撮影画像は、実際の観察像と開口位置の差による視差が発生するが、その差は僅かであり実用上問題はない。
【0087】
又主観察側は、鏡筒を鏡筒入射のリレー系の第2レンズ14の射出光軸の延長上の軸を回転軸にして回転し、この回転と連動させて主観察側用撮影光学系をアフォーカルズーム系7の光軸を回転軸として回転させ、また副観察側は、3分割プリズムを左右の副観察側を一体にしてリレー系の第2レンズ14射出の光軸を回転軸として回転させることにより副撮影系と副観察系の像の関係を維持し得る。また、反射部材28の入射光軸を回転軸として回転させる場合、副観察系と副撮影系との像の向きの差がでないように左右連動して動くことができる。
【0088】
またイメージローテータ29による鏡筒の回転は、物体側の光軸は動かないため連動機構は必要ない。したがって、イメージローテータ29に立体撮影系を取り付ける場合、イメージローテータ29や撮像装置は固定させることが望ましい。
【0089】
上記のような構成にすることにより左右の立体撮影系と画像挿入装置を取り付けても観察者のアイポイントが高くなることはなく、主観察者と副観察者の二人の観察者が共に良好な立体感でのテレビ観察像を得ることができる。
【0090】
本発明の実体顕微鏡において、特許請求の範囲に記載する構成のほか、次の各項に記載する実体顕微鏡も発明の目的を達成し得る。
【0091】
(1)特許請求の範囲の請求項2に記載する実体顕微鏡で、前記鏡筒光学系の観察方向の変更に合わせて前記立体撮像系の撮像方向が変化するようにしたことを特徴とする実体顕微鏡。
【0092】
(2)前記の(1)の項に記載する実体顕微鏡で、前記変倍系がアフォーカル変倍系とリレー系よりなり、少なくとも一つの立体撮影系がアフォーカル変倍系と1回結像リレー系の間に配置された光分割部材により分割された光束中に配置されたことを特徴とする実体顕微鏡。
【0093】
(3)前記の(2)の項に記載する実体顕微鏡で、前記1回結像リレー系を射出後の光束に他の撮像系を備えた撮像装置を設け、該撮像装置と前記光分割部材により分割された光束中の撮像系を備えた撮像装置とが共通である実体顕微鏡。
【0094】
(4)特許請求の範囲の請求項1に記載する実体顕微鏡で、前記光分割部材の光分割面又は光分割面を延長した面が交差する位置が前記変倍光学系の光軸と一致するようにしたことを特徴とする実体顕微鏡。
【0095】
(5)前記の(4)の項に記載する実体顕微鏡で、前記光分割部材の光分割面で反射された複数の反射光束がそれぞれ左右の目の観察用の開口絞りによって決まる光軸を共通に使用するイメージローテーターを有していることを特徴とする実体顕微鏡。
【0096】
(6)特許請求の範囲の請求項3に記載する実体顕微鏡で、前記第1の光路と前記第2の光路がいずれも結像光学系を有し、前記両結像光学系が同じレンズにて構成され、前記立体撮像系中に像の向きおよび倍率を一致させるための反射部材を備えたことを特徴する実体顕微鏡。
【0097】
(7)前記の(6)の項に記載する実体顕微鏡で、立体撮像系内部の結像点と像面との間にある開口と像点との間にレンズを配置して撮影系がテレセントリックであるようにした実体顕微鏡。
【0098】
(8)前記の(7)の項に記載する実体顕微鏡で、立体撮像系の反射回数が奇数回と偶数回とに切り替え得るようにしたことを特徴とする実体顕微鏡。
【0099】
(9)特許請求の範囲の請求項3に記載する実体顕微鏡で、前記第1の光路と前記第2の光路がそれぞれ少なくとも二つの反射面を有し、前記反射面の一つに入射する第1の光軸と、前記反射面から出射する第2の光軸とが平行になるようにしたことを特徴とする実体顕微鏡。
【0100】
(10)前記の(9)の項に記載する実体顕微鏡で、前記第1の光路における前記第1の光軸と前記第2の光軸とを含む第1の平面と、前記第2の光路における前記第1の光軸と第2の光軸を含む第2の平面とが互いに交差するようにしたことを特徴とする実体顕微鏡。
【0101】
(11)前記の(10)の項に記載する実体顕微鏡で、前記第1の平面と前記第2の平面とが直交するようにしたことを特徴とする実体顕微鏡。
【0102】
(12)特許請求の範囲の請求項2に記載する実体顕微鏡で、前記変倍光学系からの光束を透過と反射とに分割する光分割面を有する光分割部材を複数有し、前記鏡筒光学系が前記光分割部材のうちの一つに接続され、前記立体撮像系が他の光分割部材に接続されていることを特徴とする実体顕微鏡。
【0103】
【発明の効果】
本発明の実体顕微鏡によれば、複数の観察者により同一の視野で同一の倍率の立体像を夫々見やすい位置で観察でき、しかも各観察者のアイポイントが、物体に近い位置に来るようにし得る。又本発明によれば小型で像の左右差の少ない観察を行なうことが可能で、鏡筒の代りに取り付けることも可能な立体撮影装置を備えた実体顕微鏡を実現し得る。又、この撮像装置を備えた実体顕微鏡もアイポイントを物体に近づけることが可能であり、複数の観察者により観察像とかわらないテレビ画像での観察が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実体顕微鏡の第1の実施の形態の副観察側の構成を示す図
【図2】 本発明の実体顕微鏡の第1の実施の形態の主観察側の構成を示す図
【図3】 本発明の実体顕微鏡の第2の実施の形態の主観察側の構成を示す図
【図4】 本発明の実体顕微鏡の第2の実施の形態の副観察側の構成を示す図
【図5】 本発明の実体顕微鏡に用いる撮像系の構成を示す図
【図6】 前記撮像系で用いるリレー系の実施例1の断面図
【図7】 前記撮像系で用いるリレー系の実施例2の断面図
【図8】 テレビ画像での観察を可能にした光学系の構成を示す図
【図9】 3人観察用の分割部の開口の位置関係を示す図
【図10】従来の実体顕微鏡の対物レンズからリレー系までの構成を示す図
【図11】従来の実体顕微鏡の2人観察用の分割部の構成を示す図
【符号の説明】
21 鏡筒
22L、22R 光分割部材
23、28 ダハプリズム
25 開口絞り
29 イメージローテータ

Claims (7)

  1. 対物レンズ系と、変倍光学系と、鏡筒光学系とよりなり、前記対物レンズ系と変倍光学系との光軸が一致し、かつ少なくとも一つの結像点を有し、前記鏡筒光学系が左右一対の開口絞りと結像レンズと接眼レンズとよりなり、前記左右の開口絞りにより決定される左右観察光軸が変倍光学系の光軸と異なるところを通る実体顕微鏡において、前記実体顕微鏡が第1の光路と第2の光路の一対の光路を有する立体撮像系を更に備え、前記立体撮像系が光束を1回結像する左右の結像光学系を有し、左右の立体撮像光学系を構成する二つの光路が夫々光路を変更する反射面を有し、前記反射面にて多数回変更された左右の光路が互いに対称でない異なる経路を通って結像面に像を形成するようにした実体顕微鏡。
  2. 前記第1の光路と第2の光路が撮影系のリレー光学系を射出した光束を反射面にて90°偏向させて前記光束に垂直な面内に移動され更に前記面内にて前記第1、第2の二つの光路が互いに対称でない異なる経路を通った後に夫々結像する請求項1の実体顕微鏡。
  3. 前記二つの光路が前記内にて夫々異なる方向に偏向した後に前記に直角な方向に偏向し更に前記に平行な他の同一内を夫々異なる光路に沿って移動した後に夫々結像する請求項2の実体顕微鏡。
  4. 前記第1の光路と第2の光路中に両光路の光軸が互いに平行になる区間を設けた請求項2又は3の実体顕微鏡。
  5. 前記第1と第2の各光路に配置されている反射面のうちの夫々一つの反射面に入射する光束の光軸と前記反射面にて反射される光束がその像側に配置された他の反射面にて反射された光束の光軸とが互いに平行になるようにした請求項4の実体顕微鏡。
  6. 前記第1の光路における前記の平行な二つの光軸により決定される平面と、前記第2の光路における前記の平行な二つの光軸により決定される平面とが互いに直交するように構成された請求項4又は5の実体顕微鏡。
  7. 前記撮像光学系が変倍光学系の光軸を回転軸とし回転できることを特徴とする請求項3から6の実体顕微鏡。
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