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JP4301830B2 - 粉砕装置およびその洗浄方法並びに滅菌方法 - Google Patents

粉砕装置およびその洗浄方法並びに滅菌方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば医薬品や食品等の原料を粉砕する粉砕装置およびその洗浄方法並びに滅菌方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医薬品や食品等を製造する場合は、最終製品にする前に、粒径の大きな原料を粉砕機により粉砕し、粉砕物を分級機へ送り、そして、分級機において、所望の粒径のものを排出させ、捕集するという工程が一般に行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、そのような工程に用いられる粉砕機が開示されている。そこでは、ホッパから供給される原料は粉砕ゾーンを形成するジェットノズルやインジェクタにおいて粉砕され、分級ゾーンへ移り、所定の粒径になったものは排出される一方、それより大きいものは粗粒戻り経路を通って上記粉砕ゾーンへ戻って再度粉砕されるようになっている。
【0004】
また、特許文献2にはジェットミルの構成が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−152559号公報(公開日平成2年6月12日)
【0006】
【特許文献2】
特開2000−42441号公報(公開日平成12年2月15日)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来は、粉砕機と分級機とが別々の装置になっている。その結果、分級機ではねられた、粒径が所望のものより大きいもの(粗粒品と称する)は、分級機の後の工程へは進めない。再利用しようとすれば、一旦稼働を停止し、粗粒品を分級機から取り出し、粉砕機へ戻すという人為的な作業が必要になり、効率が悪い。また、処理品を途中で取り出したり、これを再度戻したりすることは、医薬品や食品の粉砕装置としては不適当である。あるいは、上記公報に記載の技術のように、分級機から粉砕機へ戻る管(戻り経路)を設けることも考えられるが、その分部品点数が増えてしまう。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、効率よく所望の粒径の粉砕物を得ることができ、かつ、戻り経路用の部品点数の増加を防いで、簡素な構成で所望の粒径の粉砕物を得ることができる粉砕装置およびその洗浄方法並びに滅菌方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、医薬品や食品等の原料を粉砕するため、洗浄後に加熱蒸気を導入して粉砕装置内を滅菌し、その後、クリーンエアー(無菌エアー)を導入し、通気させて乾燥させるのに適した構造の粉砕装置を提供することにある。
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る粉砕装置は、粉砕対象物を粉砕する粉砕装置において、壁面としての側面と、側面の両端部にそれぞれ接する底面とを有する空間であり、装置に入った粉砕対象物を旋回運動させて粉砕対象物同士を衝突させることにより粉砕対象物を粉砕する粉砕部と、上記粉砕部の軸部から開口して設けられ、粉砕部内で粉砕対象物が所望の粒径になるとそれを粉砕部から受け取って粉砕物として排出する粉砕物排出部とを備え、粉砕対象物が粉砕部に入る入口である粉砕対象物供給部は、粉砕部の上記側面から開口しており、上記粉砕対象物の旋回運動を加速させる加速流体が粉砕部に入る入口である加速流体供給部は、粉砕部の上記側から開口しており、上記粉砕部内に、上記粉砕物排出部の開口部と中心を同じくする円錐形状であって、粉砕物を粉砕物排出部へ導く通路の壁を形成する第1通路部材と、上記粉砕物排出部の開口部と中心を同じくする円錐形状で、上記粉砕物排出部形成された部分だけくり抜かれたことだけ異なるものの、上記第1通路部材の円錐形状と合同な円錐形状であって、上記第1通路部材と斜面同士を対向させるように配置されることで、上記第1通路部材が形成する壁と対向、粉砕物を粉砕物排出部へ導く通路の壁を形成する第2通路部材とを備えていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成により、粉砕部は、粉砕対象物とこれを搬送する流体が旋回運動を行う空間である。上記側面は、粉砕対象物や搬送流体の通路の壁面である。粉砕対象物が装置に入ると、粉砕対象物は、渦状に旋回運動し、その過程で粉砕対象物同士の衝突により粉砕される。そして、例えば圧力気体(空気)などの、粉砕対象物の移動を加速するための流体である加速流体に乗って粉砕されながら旋回し、そして所望の粒径になると、排出される。所望の粒径にならない限り排出されない。所望の粒径になったものは必ず排出される。
【0012】
すなわち、分級ではねられた粗粒品が、再度、同じ空間内で粉砕され、分級され、最後には所望の粒径になって排出される。所望の粒径になったものは速やかに排出され、過剰に粉砕されることがない。
【0013】
したがって、粗粒品を分級機から出して粉砕機へ戻す作業をしなくても、すべての粉砕対象物を無駄なく所望の粒径の粉砕物へ変えることができる。
【0014】
それゆえ、効率よく所望の粒径の製品を得ることができ、かつ、戻り経路用の部品点数の増加を防いで、簡素な構成で所望の粒径の粉砕物を得ることができる。
【0015】
また、上記のように、上記粉砕部内に、上記粉砕物排出部の開口部と中心を同じくする円錐形状であって、粉砕物を粉砕物排出部へ導く通路の壁を形成する第1通路部材と、上記円錐形状が、粉砕物排出部が形成された部分だけくり抜かれた形状であって、上記第1通路部材と斜面同士を対向させるように配置されることで、上記第1通路部材が形成する壁と対向する、粉砕物を粉砕物排出部へ導く通路の壁を形成する第2通路部材とを備えている。
【0016】
上記の構成により、粉砕部内で、粉砕物排出部の開口部と中心を同じくする円錐形状および円錐形状から粉砕物排出部形成部分だけくり抜かれた形状の上記第1通路部材、第2通路部材が、互いに斜面が対向することで、粉砕物を粉砕物排出部へ導く通路の壁を形成している。
【0017】
粉砕部の外周部から中心部へ向かって進む搬送流体および粉砕物の通路は、第1通路部材と第2通路部材との両斜面に挟まれた斜面形状であるため、進むにつれて通路の幅が狭くなっていく。
【0018】
したがって、第1通路部材と第2通路部材との両斜面に沿って、粉砕物を滑らかに粉砕物排出部へ移動させることができる。
【0019】
それゆえ、スムーズに粉砕物を排出させることができる。
【0020】
また、本発明に係る粉砕装置は、上記の構成に加えて、上記加速流体供給部が、粉砕部の側面に所定の取り付け角度をもって取り付けられた、加速流体を粉砕部内へ供給する加速流体供給管を備えていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成により、加速流体を粉砕部内へ供給する加速流体供給管が、粉砕部の側面に所定の取り付け角度をもって取り付けられている。
【0022】
加速流体供給部が粉砕部の側面の接線となす角を小さくすると、搬送流体、およびそれに乗っている粉砕対象物は、粉砕部の側面により沿うように移動する。その結果、粉砕対象物が粉砕部内において粉砕される時間が長くなり、その分粉砕物は細かくなる。
【0023】
逆に、加速流体供給部が粉砕部の側面の接線となす角を大きくすると、搬送流体、およびそれに乗っている粉砕対象物は、加速流体の噴出に伴う、より強い攪拌作用を受けて粉砕され、かつ旋回渦の中心へ向かいやすくなる。その結果、粉砕対象物が粉砕部内において粉砕される時間が短くなり、その分粉砕物は粗くなる。
【0024】
上記加速流体供給管は、粉砕装置を製造するときに、上記取り付け角度が固定した状態としてもよい。特に、医薬品原料などのように無菌設備が必要な状況では、可動部を作らないということは無菌化のためには必須条件である。また、医薬品原料以外の場合であれば、粉砕装置を製造するときには、上記取り付け角度は固定でなく可動としておき、製造時の条件変更に併せて適宜調整できるようにすることもできる。
【0025】
したがって、加速流体供給部の加速流体供給管の、粉砕部への取り付け角度を調整するだけで、得られる粉砕物の粒径を変えることができる。
【0026】
それゆえ、上記の構成による効果に加えて、より簡単な構成で粉砕物の粒径を変えることができる。
【0027】
また、本発明に係る粉砕装置は、上記の構成に加えて、上記粉砕対象物供給部が粉砕部から下方に向かって開口していることを特徴としている。
【0028】
また、本発明に係る粉砕装置の洗浄方法は、上記の粉砕装置に対し、粉砕対象物供給部、加速流体供給部、粉砕物排出部のうちの少なくとも一つから、粉砕装置を洗浄するための洗浄流体を供給することによって粉砕装置内部を洗浄し、洗浄終了後、洗浄流体の供給を行わない状態で、粉砕対象物供給部、加速流体供給部、粉砕物排出部のうちの少なくとも一つを通して洗浄流体を粉砕装置から排出させることを特徴としている。
【0029】
上記の構成により、装置を傾けて、粉砕対象物供給部が装置から下方向へ向かって開口する状態で設置すれば、加速流体供給部、粉砕物排出部がいずれも粉砕対象物供給部より上部にくる。
【0030】
したがって、粉砕装置を洗浄するときには、例えば洗浄水や洗浄液など、装置を洗浄するための洗浄流体を粉砕対象物供給部から入れれば、洗浄終了後、洗浄流体は粉砕対象物供給部等から自然に汚れとともに排出され、洗浄流体や汚れは粉砕装置内に貯まらないようにすることができる。
【0031】
装置を移動・回転させることなく内部を洗浄することができるというのは、医薬品原料などのように無菌設備で粉砕処理する場合には特に好適である。
【0032】
それゆえ、上記の構成による効果に加えて、装置を分解することなく、また装置を傾けて設置した場合はそれに加えて装置を移動・回転させることなく、内部を洗浄することができ、洗浄流体や汚れが内部に貯まるのを容易に防ぐことができる。
【0033】
なお、洗浄中であって洗浄流体の供給中に、洗浄流体が粉砕装置内部に溜まっている状態を維持しながら洗浄流体を排出する時間を1回以上設けてもよい。さらに、洗浄中であって洗浄流体の供給中はずっと、洗浄流体が粉砕装置内部に溜まっている状態を維持しながら洗浄流体を排出するようにしてもよい。洗浄流体の供給中に洗浄流体を排出するには、
(i) 粉砕対象物供給部
(ii) 粉砕対象物供給部、加速流体供給部
(iii)粉砕対象物供給部、粉砕物排出部
(iv) 粉砕対象物供給部、加速流体供給部、粉砕物排出部
のいずれであってもよい。
【0034】
また、洗浄後の滅菌のための加熱蒸気および乾燥用気体のクリーンエアー(無菌エアー)の導入については、一般的には供給部位を粉砕対象物供給部と加速流体供給部とし、排出部位を粉砕対象物供給部と粉砕物排出部とすることができる。また、上記供給部位として粉砕物排出部を用いてもよい。また、上記排出部位として加速流体供給部を用いてもよい。
【0035】
また、本発明に係る粉砕装置は、上記の構成に加えて、上記粉砕対象物供給部が粉砕部から上方に向かって開口していることを特徴としている。
【0036】
また、本発明に係る粉砕装置の洗浄方法は、上記の粉砕装置に対し、粉砕対象物供給部、加速流体供給部、粉砕物排出部のうちの少なくとも一つから、粉砕装置を洗浄するための洗浄流体を供給することによって粉砕装置内部を洗浄し、洗浄終了後、洗浄流体の供給を行わない状態で、粉砕装置の最下部に配置された加速流体供給部を通して洗浄流体を粉砕装置から排出させることを特徴としている。
【0037】
上記の構成により、装置を傾けて、粉砕対象物供給部が装置から上方向へ向かって開口する状態で設置すれば、粉砕対象物供給部が加速流体供給部、粉砕物排出部より上部にくる。
【0038】
したがって、粉砕装置を洗浄するときには、例えば洗浄水や洗浄液など、装置を洗浄するための洗浄流体を粉砕対象物供給部から入れれば、洗浄終了後、洗浄流体は加速流体供給部、粉砕物排出部等から自然に汚れとともに排出され、洗浄流体や汚れは粉砕装置内に貯まらないようにすることができる。
【0039】
装置を移動・回転させることなく内部を洗浄することができるというのは、医薬品原料などのように無菌設備で粉砕処理する場合には特に好適である。
【0040】
それゆえ、上記の構成による効果に加えて、装置を分解することなく、また装置を傾けて設置した場合はそれに加えて装置を移動・回転させることなく、内部を洗浄することができ、洗浄流体や汚れが内部に貯まるのを容易に防ぐことができる。
【0041】
なお、洗浄中であって洗浄流体の供給中に、洗浄流体が粉砕装置内部に溜まっている状態を維持しながら洗浄流体を排出する時間を1回以上設けてもよい。さらに、洗浄中であって洗浄流体の供給中はずっと、洗浄流体が粉砕装置内部に溜まっている状態を維持しながら洗浄流体を排出するようにしてもよい。洗浄流体の供給中に洗浄流体を排出するには、
(i) 加速流体供給部
(ii) 加速流体供給部、粉砕物排出部
のいずれであってもよい。
【0042】
また、洗浄後の滅菌のための加熱蒸気および乾燥用気体のクリーンエアー(無菌エアー)の導入については、一般的には供給部位を粉砕対象物供給部と加速流体供給部とし、排出部位を粉砕対象物供給部と粉砕物排出部とすることができる。また、上記供給部位として粉砕物排出部を用いてもよい。また、上記排出部位として加速流体供給部を用いてもよい。
【0043】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1および図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0044】
本実施の形態に係る粉砕装置は、医薬品原料や食品原料等を所定の粒径にまで粉砕して排出するものであり、旋回流型の気流式粉砕機(ジェットミル)である。
【0045】
図1に示すように、本粉砕装置11は、粉砕部12、原料供給部13(粉砕対象物供給部)、粉砕物排出口14(粉砕物排出部)を備えている。
【0046】
粉砕部12は、粉砕物排出口14を中心として厚みを持った円盤形状、あるいは同じく円柱(円筒)形状をしている。または、中心部に設けた排気口への気流の流出を考慮した形状で、旋回気流(搬送流体)の旋回(渦)運動に沿った形状とすることもできる。粉砕部12は、原料(粉砕対象物)を旋回気流に乗せて旋回させ、旋回渦の中心に向かって移動させる過程で原料に対して加速エアー(加速流体)を噴出させて加速・攪拌し、原料同士の衝突や摩擦によって粉砕する空間である。粉砕部12は、壁面である側面12aと、側面12aの両端部にそれぞれ接する底面12b・底面12cとを有している。底面12bは、粉砕物排出口14が設けられている側であり、底面12cは、粉砕物排出口14が設けられていない側である。底面12b・底面12cの内壁面をそれぞれM、Nとする。なお、側面12aは、後述のエアーノズル20を取り付けられるとともに、旋回気流および原料の移動や原料の粉砕に支障がなければ直線状でなくてもよい(図1(b)参照)。側面12aに空いている穴21は、後述のエアーノズル20eに通ずる穴である。粉砕部12の外周は図中A点(回転角0度)から始まり、B点(回転角90度)、C点(回転角180度)、D点(回転角270度)を経て一周する。
【0047】
原料供給部13は、粉砕部12へ原料を搬送する気流を入れる管である。原料供給部13は、粉砕部12の円の外周の接線方向に、線分ARの位置から原料供給口13aまで直線状に延びる形状をしている。ただし、原料供給部13の延伸方向の側面を図1(a)のように旋回気流の回転面に垂直な方向から見た場合に線として表される2辺のうち、A点から遠いほう、すなわちD点に近いほうの辺をFとし、辺Fと直線PAとの交点がRである。
【0048】
原料供給部13は、その端部に、原料を搬送する気流の入口である原料供給口13aを有している。
【0049】
粉砕物排出口14は、粉砕部12の底面12bにおける旋回渦の中心から、粉砕装置11の外へ延びる例えば円柱形状をしている。なお、粉砕物排出口14は、底面12b・底面12cに垂直でも、傾けてもよい。粉砕物排出口14は、所定の粒径になった原料を粉砕物として気流とともに粉砕部12から排出する管である。粉砕物排出口14は、その内部に、粉砕物を排出する通路である例えば円柱形状の粉砕物排出通路14aを有している。粉砕物排出通路14aの延伸方向(粉砕物の排出方向)を方向Gとする。
【0050】
粉砕部12は、その内部に下部コーン15(第1通路部材)と上部コーン16(第2通路部材)とを有している。これらのコーンは、粉砕装置11の内部の中心部に位置し、粉砕物の排出口を中心として設けられており、旋回気流の向きや速度を整える整流盤の役目を果たす。
【0051】
下部コーン15は、粉砕物排出口14と中心を同じくする円錐形状をしている。上部コーン16は、同じく、粉砕物排出口14と中心を同じくする円錐形状が、その円錐の頂点を含みその円錐の軸に同心の円柱(円筒)形状の、粉砕物排出口14の粉砕物排出通路14a形成部分だけくり抜かれて穴16aが形成された形状をしている。下部コーン15と上部コーン16とは、粉砕部12内で対称的に配置され、互いに斜面が対向することで、原料および加速流体を粉砕物排出口14の粉砕物排出通路14aへ導く通路の壁を形成している。
【0052】
下部コーン15は、ここで挙げた構成以外にも、上記構成を変形して、上部コーン16の穴16aと対向する個所を下部コーン15の円錐の底面に平行な平面で切ってできる円錐台とすることもできる。
【0053】
粉砕部12が円盤形状あるいは円柱形状をしている場合は、その上部コーン16と下部コーン15との底面の直径を粉砕部12の内径の1/2以上とすることができる。すなわち、粉砕部12の半径をr、上部コーン16と下部コーン15との底面の半径をいずれもaとすると、1/2≦a/r≦1とすることができる。粉砕部12が旋回気流の渦状運動に沿った形状をしている場合は、A点から一周した位置における粉砕部12の半径をr、上部コーン16と下部コーン15との底面の半径をいずれもaとすると、1/2≦a/r≦1とすることができる。このようにすることで、原料が粉砕される空間のうちの大きな割合の部分で、円錐の斜面による、方向Gに関して中央に向かって原料を良好に誘導することができる。特に、粉砕部12の外周に近い部分、すなわち原料の旋回運動の初期のうちから、方向Gに関して中央に向かって原料を良好に誘導することができる。
【0054】
また、下部コーン15と、穴16aが形成される前の上部コーン16とは、ここでは、合同な円錐としている。したがって、高さ、底面半径がそれぞれ等しい。そして、方向Gにおける粉砕部12内部の中央点をQとすると、下部コーン15と、穴16aが形成される前の上部コーン16とは、その頂点同士が点Qで一致する。また、粉砕物排出通路14aにおける下部コーン15に近い側の端面をH、同じく下部コーン15から遠い側の端面をJとすると、端面Hの方向G上の位置は、点Qよりも端面J側にある。これにより、粉砕部12の中央付近に集まってきた原料が粉砕物排出通路14aへ入りやすくなる。また、上記のように下部コーン15と、穴16aが形成される前の上部コーン16とが合同な円錐であり、したがって高さ、底面半径がそれぞれ等しい円錐の斜面に挟まれた空間が粉砕部12内に形成され、斜面の傾斜角度も、下部コーン15と上部コーン16とで互いに等しい。その結果、粉砕部12内を移動する原料の粉体の渦平面に対して上部コーン16側および下部コーン15側で両コーンによる斜面が対称になる。そのため、粉砕部12内を移動する原料の粉体は、その流れる速さや向きが、渦平面に対して上部コーン16側および下部コーン15側で等しくなり、均一な流れを生むことができるので、より好適に粉砕物の分級を行うことができる。
【0055】
下部コーン15と、穴16aが形成される前の上部コーン16とを合同な円錐としているため、粉砕物排出口14の内側の半径をs、面Mと面Hとの距離(粉砕物排出口14が粉砕部12内で突き出ている長さ)をhとし、下部コーン15の底面の半径をa、高さをbとすると、b/a=h/(a−s)である。
【0056】
粉砕部12の、円の側面部である側面12aには、エアーノズル20(加速流体供給管、加速流体供給部)が設けられている。エアーノズル20は、粉砕部12へ圧力エアーを供給する。ここでは、エアーノズル20として、エアーノズル20aないしエアーノズル20iの9個が設けられている。エアーノズル20はいずれも、粉砕部12の円の外周の接線方向から所定の角度(取り付け角度)を有して取り付けられる。エアーノズル20の向く方向、すなわち粉砕部12外周への取り付け角度は、ここでは、旋回気流および旋回気流に乗って移動する原料の流れに沿ったものとしている。すなわち、各エアーノズル20が取り付けられた位置において、粉砕部12外周の弧の法線方向から、搬送エアーおよび原料がやって来る側(図1(a)中、例えばB点においてはA点側、C点においてはB点側、D点においてはC点側)へ倒れるように傾斜している。なお、この取り付け角度は、粉砕装置11製造時または操作時等に、適宜調整するように構成することもできる。
【0057】
加速流体供給部としてのエアーノズル20の位置は、渦の軸中心(図1中、P点)の周りに、上記粉砕対象物供給部を起点(図1中、A点)として、旋回気流の回転方向に向かってみたときに、例えば、90度ないし270度の位置とすることができる。例えば、180度(図1中、C点)とすることができる。それ以外にも、例えば、90度(図1中、B点)や、270度(図1中、D点)とすることもできる。あるいは、90度ないし270度に含まれない位置(0ないし90度、または270度ないし360度)とすることもできる。
【0058】
エアーノズル20aないしエアーノズル20cは、上記の表現でいえば90度の位置近傍である。すなわち、エアーノズル20bがちょうど90度の位置であり、エアーノズル20aは90度よりやや小さい位置、エアーノズル20cは90度よりやや大きい位置である。同様に、エアーノズル20dないしエアーノズル20fは、上記の表現でいえば180度の位置近傍である。すなわち、エアーノズル20eがちょうど180度の位置であり、エアーノズル20dは180度よりやや小さい位置、エアーノズル20fは180度よりやや大きい位置である。同様に、エアーノズル20gないしエアーノズル20iは、上記の表現でいえば270度の位置近傍である。すなわち、エアーノズル20hがちょうど270度の位置であり、エアーノズル20gは270度よりやや小さい位置、エアーノズル20iは270度よりやや大きい位置である。
【0059】
なお、上記のように、例えば、エアーノズル20として、エアーノズル20aないしエアーノズル20cのみとすることもできる。そのなかでも、エアーノズル20bのみとすることもできる。同様に、例えば、エアーノズル20として、エアーノズル20dないしエアーノズル20fのみとすることもできる。そのなかでも、エアーノズル20eのみとすることもできる。同様に、例えば、エアーノズル20として、エアーノズル20gないしエアーノズル20iのみとすることもできる。そのなかでも、エアーノズル20hのみとすることもできる。
【0060】
エアーノズル20から送り込むエアーの圧力を大きくすれば、エアーの速度を大きくすることができる。エアーノズル20から送り込むエアーの圧力は、例えば0.5MPaとすることができる。また、エアーノズル20の数を多くすれば、旋回力および粉砕力を大きくすることができる。また、送り込むエアー量を同じにしてエアーノズル20の径を小さくすれば、エアーの速度を大きくすることができる。
【0061】
本装置は、従来の粉砕装置を製造するのと同様の製造設備、製造工程にて製造することができる。
【0062】
原料としては、例えばマンニトールを用いることができる。マンニトールは医薬品の賦形剤としてよく用いられる。原料としては、これ以外にも、例えば医薬品原料では、添加剤としての乳糖、微結晶セルロース、澱粉、ソルビトール、タルクや、薬物としてのイブプロフェン、エテンザミド、インスリン、各種ビタミン等を挙げることができ、また食品原料では、コーヒー、茶、スープ、果汁、調味料等を挙げることができる。
【0063】
得られる粉砕物の粒径(直径)としては、例えば数10μmのものを得ることが可能である。
【0064】
粉砕装置11を屋内に置く場合、図1(b)の図中、下方向が下になる置き方、すなわち、粉砕部12の、粉砕物排出口14が設けられていない側の底面12cが下になる置き方(置き方1)や、そこから、原料供給部13が下方になるように傾ける置き方(置き方2)がある。
【0065】
また、図2に示すような置き方、つまり、図1(a)の図中、直線Lが水平になり、その上に粉砕装置11が来るような置き方(置き方3)がある。原料供給部13の延びる方向は粉砕部12の外周の接線方向と平行(直線AE)になっているが、直線Lは、この方向と角度θをなす直線である。すなわち、原料供給部13における粉砕部12の外周の延長となっている部分(A点ないしE点部分)と、原料供給口13aとが接触する点(図1中、E点)を起点として、原料供給部13の長手方向(直線AE)を角度θだけ、水平から上方へ傾ける置き方である。θは例えば3度以上である。
【0066】
例えば、原料供給部13が、粉砕部12の円の接線方向に開口しており、エアーノズル20が、粉砕部12の円の接線方向に開口しており、粉砕物排出口14が、粉砕部12の渦の軸部から開口した構成および置き方とすることができる。
【0067】
上記の置き方2や置き方3のように置けば、粉砕装置11を洗浄するときには、例えば洗浄水や洗浄液など、粉砕装置11を洗浄するための洗浄流体を、原料供給部13、エアーノズル20、粉砕物排出口14の少なくとも一つから入れれば、洗浄中は、洗浄流体は、原料供給部13、エアーノズル20、または粉砕物排出口14から自然に汚れとともに排出され、洗浄後、洗浄流体の供給を止めると、洗浄流体は原料供給部13から自然に汚れとともに排出される。その結果、洗浄流体や汚れが粉砕装置11内に貯まらないようにすることができる。
【0068】
なお、洗浄中であって洗浄流体の供給中に、洗浄流体が粉砕装置内部に溜まっている状態を維持しながら洗浄流体を排出する時間を1回以上設けてもよい。さらに、洗浄中であって洗浄流体の供給中はずっと、洗浄流体が粉砕装置内部に溜まっている状態を維持しながら洗浄流体を排出するようにしてもよい。
【0069】
また、図2に示すような置き方3の上下を逆さまにした置き方、つまり、図1(a)の図中、直線Lが水平になり、その下に粉砕装置11が来るような置き方(置き方4)がある。
【0070】
上記の置き方4のように置けば、粉砕装置11を洗浄するときには、例えば洗浄水や洗浄液など、粉砕装置11を洗浄するための洗浄流体を、原料供給部13、エアーノズル20、粉砕物排出口14の少なくとも一つから入れれば、洗浄中は、洗浄流体は、エアーノズル20または粉砕物排出口14から自然に汚れとともに排出され、洗浄後、洗浄流体の供給を止めると、洗浄流体は、粉砕装置の最下部に配置されたエアーノズル20から自然に汚れとともに排出される。その結果、洗浄流体や汚れが粉砕装置11内に貯まらないようにすることができる。
【0071】
置き方4の場合も、置き方3の場合と同様、洗浄中であって洗浄流体の供給中に、洗浄流体が粉砕装置内部に溜まっている状態を維持しながら洗浄流体を排出する時間を1回以上設けてもよい。さらに、洗浄中であって洗浄流体の供給中はずっと、洗浄流体が粉砕装置内部に溜まっている状態を維持しながら洗浄流体を排出するようにしてもよい。
【0072】
洗浄が済んで、洗浄流体の排出も済んだら、加熱蒸気を導入して粉砕装置内部を滅菌し、その後、濡れた粉砕装置の内部を乾燥するために、乾燥用のクリーンエアー(無菌エアー)を導入すればよい。この導入は、上記置き方3、4のいずれの場合も、原料供給部13、エアーノズル20、粉砕物排出口14のうち一つ以上から注入し、その後、同じくこれら3つのうちの一つ以上から排出させればよい。
【0073】
粉砕装置11を移動・回転させることなく、内部を洗浄することができるというのは、医薬品原料などのように無菌設備で粉砕処理する場合には特に好適である。それゆえ、粉砕装置11を分解することなく、また粉砕装置11を傾けて設置した場合は粉砕装置11を分解・移動・回転させることなく、内部を洗浄することができ、洗浄流体や汚れが内部に貯まるのを防ぐことができる。すなわち、上記の置き方2、3、4のように、原料(被粉砕物)の供給口が粉砕装置11の下方または上方になるように配置すれば、粉砕装置11は、CIP/SIP(Clean in Place/Sterilize in Place)(洗浄と滅菌)に対応した装置として、(1)洗浄性に優れていること、(2)機内に内容物が残らないこと、(3)洗浄水が溜まらないこと、(4)滅菌のための加熱蒸気の導入や機内を乾燥するためのクリーンエアーの導入が容易なこと、等の条件を満たす。したがって、医薬品や食品の製造装置用に好適に使用することができる。
【0074】
図2に示すように、粉砕装置11を用いた粉砕システムとしては、原料を送る管が凍結乾燥・粗砕機31の供給口に接続され、凍結乾燥・粗砕機31の排出口が粉砕装置11の原料供給部13へ接続され、粉砕装置11のエアーノズル20にはエアー供給機33からエアーを送る管が接続され、粉砕装置11の粉砕物排出口14には、粉砕装置11から排出される粉砕物を捕集する捕集機35が接続された構成とすることができる。
【0075】
凍結乾燥・粗砕機31、エアー供給機33、捕集機35としては公知の構成を採用できる。捕集機35は、例えばサイクロンやバッグフィルタ(集塵機)などを使用できる。
【0076】
医薬品原料の場合は、凍結乾燥・粗砕機31までは無菌設備でなくてもよく、本粉砕装置11、エアー供給機33、捕集機35は無菌設備とする。
【0077】
次に、動作について説明する。例えば気流などに乗せて、原料の粉体(粒子)を原料供給口13aから粉砕部12へと送り込む。気流に乗った原料は、粉砕部12の外周側面形状に従って粉砕部12内で旋回運動させられる。旋回方向は、図1(a)中、右回りである。すなわち、原料供給部13の端部である原料供給口13a(E点)から、粉砕部12の中心(P点)の周りに、原料供給部13と粉砕部12との境目(A点)へと進む方向である。そして、気流に乗った原料は、粉砕部12の中心(P点)にある粉砕物排出口14へと移動する。その結果、原料が粉砕物排出口14近傍へと運ばれ、運ばれる過程で、各原料は、粉砕部12の内面や他の原料と衝突や摩擦を起こして、より小さい粒径の粒子へと粉砕される。一方、エアーノズル20から粉砕部12内部へ向けて噴射する圧力エアーは、原料の旋回流を加速し、原料を攪拌し、エアーノズル20(ノズルの噴出口)付近での粉砕効率を高める。すなわち、圧力エアーが高速度で流れると、その周囲にある空気もそれに引き込まれる形で流体とともに加速される。その際に被粉砕物である原料も空気に乗って加速されるなかで相互間の衝突と摩擦とが激しく行われることになり、粉砕が促進される。
【0078】
このとき、原料は、所定の粒径(粒度)(Dとする)にまで粉砕されると、粉砕物排出口14から、粉砕装置11の外へと排出される。すなわち、所望の粒径のものだけを分級して得ることができる。原料は、所定の粒径にならない限り、粉砕装置11内で渦状の旋回を続ける。
【0079】
本装置を用いて分級して得られる粉体(粒子)、すなわち粉砕物の粒径Dは次式で求めることができる。ここで、Bは粉砕対象物を送り込む気流の入口、すなわち原料供給口13aの幅であり、μは加速流体としてのエアー(空気)の粘度であり、ρsは粉体すなわち粉砕対象物・粉砕物の密度であり、ρfは加速流体としてのエアー(空気)の密度であり、viは原料供給口13aにおける気流の速度である。
【0080】
【数1】
Figure 0004301830
【0081】
すなわち、このような粒径の粉体においては、この粉砕部12内の任意の半径位置で、回転による遠心沈降速度がその点における内側に向かう気流速度(vrとする)と等しくなり、これより粒径の大きい粉体は遠心力が大であるため外方へ移動して旋回を続ける一方、これより粒径の小さい粉体は気流による抗力のほうが大きいため中心出口である粉砕物排出口14から排出されることになる。
【0082】
ここで、前述のように、エアーノズル20から送り込むエアーの圧力、エアーノズル20の数、エアーノズル20の径を調節すれば、vrを調節できるので、排出される粉砕物の粒径を調節することができる。さらに、エアーノズル20の粉砕部12への取り付け角度を調節すれば、やはりvrを調節できるので、排出される粉砕物の粒径を調節することができる。
【0083】
ここで、上述したように、粉砕部12内で、粉砕物排出口14を中心とする円錐形状および円錐形状が粉砕物排出口14形成部分だけくり抜かれた形状の上記下部コーン15、上部コーン16が、互いに斜面が対向することで、気流を粉砕物排出口14へ導く通路の壁を形成している。気流や原料は、下部コーン15と上部コーン16との両斜面に挟まれた通路を、粉砕部12の外周部から軸中心部へ向かって進むと、斜面形状であるため、進むにつれて通路の幅が狭くなっていく。したがって、下部コーン15と上部コーン16との両斜面に沿って、原料を滑らかに粉砕物排出口14へ移動させることができ、粉砕物を、よりスムーズに排出させることができる。
【0084】
特に、上述したように、下部コーン15と、粉砕物排出口14形成部分だけくり抜かれる前の上部コーン16とを互いに合同な形状とすれば、半径や斜面の傾斜度が等しくなるため、気流および原料の流れがより均一になり、原料をいっそう滑らかに粉砕物排出口14へ移動させることができ、粉砕物を、よりスムーズに排出させることができる。
【0085】
このように、本装置では、円盤状の粉砕部12の外周の接線方向に原料を原料供給部13から送り込むとともに、粉砕部12の外周から、エアーノズル20を介して気流を注入する。気流が粉砕部12内で渦状に求心的に進み、原料をそれに乗せて運ぶ過程で原料が粉砕部12の内面や他の原料との衝突により粉砕される。原料のうち、所望の粒径になったものは、粉砕物排出口14から出ていく。これにより、過粉砕も抑えられ、効率よく所望の粒径の製品を得ることができ、かつ、戻り経路用の部品点数の増加を防いで、簡素な構成で所望の粒径の粉砕物を得ることができる。
【0086】
本装置を使えば、例えば、得られる粉砕物の平均粒径をほとんど変えずに、その平均粒径より大きいもの(粗粒品)の割合を良好に減らすことができる。例えば、原料としてマンニトールを用い、凍結乾燥・粗砕機31から出た粉体において平均粒径より1mm以上大きいものが全粉体100g中で1.2%、同じく0.5〜1mmのものが1.5%という大きな範囲を持っていた場合に、本装置を通すと、平均粒径より0.5mm以上大きいものが全粉体100g中で0.03%と非常に少なくすることができた。
【0087】
なお、本粉砕装置は、粉砕対象物を粉砕する粉砕装置において、所定の空間で粉砕することにより所望の粒径となったものを排出する一方、所望の粒径より大きいものは上記空間で再度粉砕する粉砕分級部を備えたように構成することができる。
【0088】
また、本粉砕装置は、上記の構成に加えて、上記粉砕分級部が、粉砕対象物を粉砕するための流体である搬送流体が渦状にその中心周りに旋回運動する場であって、加速流体を沿わせることで搬送流体の渦の形状を決定する壁面を有し、装置に入った粉砕対象物を搬送流体に乗せて旋回運動に沿って旋回渦の中心周りに回転させる過程で加速流体により粉砕対象物を粉砕する粉砕部と、上記粉砕部の上記軸部から開口して設けられ、粉砕部内で粉砕対象物が所望の粒径になるとそれを粉砕部から受け取って粉砕物として排出する粉砕物排出部とを備えたように構成することができる。
【0089】
また、本粉砕装置は、上記の構成に加えて、上記粉砕部が、上記加速流体の旋回渦に沿った壁面としての側面と、側面の両端部にそれぞれ接する底面とを有する空間であり、粉砕対象物が粉砕部に入る入口である粉砕対象物供給部が粉砕部の上記側面から開口して設けられ、上記加速流体が粉砕部に入る入口である加速流体供給部が粉砕部の上記側面から開口して設けられているように構成することができる。
【0090】
【発明の効果】
以上のように、本発明の粉砕装置は、壁面としての側面と、側面の両端部にそれぞれ接する底面とを有する空間であり、装置に入った粉砕対象物を搬送流体に乗せて旋回運動させて粉砕対象物同士を衝突させることにより粉砕対象物を粉砕する粉砕部と、上記粉砕部の上記軸部から開口して設けられ、粉砕部内で粉砕対象物が所望の粒径になるとそれを粉砕部から受け取って粉砕物として排出する粉砕物排出部とを備え、粉砕対象物が粉砕部に入る入口である粉砕対象物供給部が粉砕部の上記側面から開口しており、上記粉砕対象物の旋回運動を加速する加速流体が粉砕部に入る入口である流体供給部が粉砕部の上記側面から開口しており、上記粉砕部内に、上記粉砕物排出部の開口部と中心を同じくする円錐形状であって、粉砕物を粉砕物排出部へ導く通路の壁を形成する第1通路部材と、上記円錐形状が、粉砕物排出部が形成された部分だけくり抜かれた形状であって、上記第1通路部材と斜面同士を対向させるように配置されることで、上記第1通路部材が形成する壁と対向する、粉砕物を粉砕物排出部へ導く通路の壁を形成する第2通路部材とを備えている構成である。
【0091】
これにより、粗粒品を分級機から出して粉砕機へ戻す作業をしなくても、すべての粉砕対象物を無駄なく所望の粒径の粉砕物へ変えることができる。それゆえ、効率よく所望の粒径の製品を得ることができ、かつ、戻り経路用の部品点数の増加を防いで、簡素な構成で所望の粒径の粉砕物を得ることができるという効果を奏する。
【0092】
また、第1通路部材と第2通路部材との両斜面に沿って、粉砕対象物を滑らかに粉砕物排出部へ移動させることができる。それゆえ、スムーズに粉砕物を排出させることができるという効果を奏する。
【0093】
また、本発明に係る粉砕装置は、上記の構成に加えて、上記加速流体供給部が、粉砕部の側面に所定の取り付け角度をもって取り付けられた、加速流体を粉砕部内へ供給する加速流体供給管を備えている構成である。
【0094】
これにより、加速流体供給部の加速流体供給管の、粉砕部への取り付け角度を調整するだけで、得られる粉砕物の粒径を変えることができる。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、より簡単な構成で粉砕物の粒径を変えることができるという効果を奏する。
【0095】
また、本発明に係る粉砕装置は、上記の構成に加えて、上記粉砕対象物供給部が粉砕部から下方に向かって開口している構成である。
【0096】
また、本発明に係る粉砕装置の洗浄方法は、上記の粉砕装置に対し、粉砕対象物供給部、加速流体供給部、粉砕物排出部のうちの少なくとも一つから、粉砕装置を洗浄するための洗浄流体を供給することによって粉砕装置内部を洗浄し、洗浄終了後、洗浄流体の供給を行わない状態で、粉砕対象物供給部を通して洗浄流体を粉砕装置から排出させる構成である。
【0097】
これにより、上記の構成による効果に加えて、装置を分解することなく、また装置を傾けて設置した場合はそれに加えて装置を移動・回転もさせることなく、内部を洗浄することができ、洗浄流体や汚れが内部に貯まるのを容易に防ぐことができるという効果を奏する。
【0098】
また、本発明に係る粉砕装置は、上記の構成に加えて、上記粉砕対象物供給部が粉砕部から上方に向かって開口している構成である。
【0099】
また、本発明に係る粉砕装置の洗浄方法は、上記の粉砕装置に対し、粉砕対象物供給部、加速流体供給部、粉砕物排出部のうちの少なくとも一つから、粉砕装置を洗浄するための洗浄流体を供給することによって粉砕装置内部を洗浄し、洗浄終了後、洗浄流体の供給を行わない状態で、粉砕装置の最下部に配置された加速流体供給部を通して洗浄流体を粉砕装置から排出させる構成である。
【0100】
これにより、上記の構成による効果に加えて、装置を分解することなく、また装置を傾けて設置した場合はそれに加えて装置を移動・回転もさせることなく、内部を洗浄することができ、洗浄流体や汚れが内部に貯まるのを容易に防ぐことができるという効果を奏する。
【0101】
本発明に係る粉砕装置の滅菌方法は、上記の粉砕装置に対し、洗浄流体による洗浄後に、粉砕対象物供給部、加速流体供給部、粉砕物排出部のうちの少なくとも一つから、加熱蒸気を粉砕装置内に導入して装置内部を滅菌し、その後、加熱蒸気を排出し、同様に無菌エアーを導入し、通気させて装置内を乾燥させる構成である。この滅菌および乾燥工程に関しては、上記粉砕装置の粉砕対象物供給部の開口部の向きはいずれであってもよく、いずれの向きであっても同様の操作手段により実施できる。
【0102】
これにより、上記の構成による効果に加えて、装置内を容易に無菌環境に保持することができ、医薬品や食品等の原料を無菌状態で粉砕処理することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る粉砕装置の一構成例を示すものであり、図1(a)は平面図、図1(b)は矢視断面図である。
【図2】粉砕装置を用いた粉砕システムを示すブロック図である。
【符号の説明】
11 粉砕装置
12 粉砕部
12a 側面
12b、12c 底面
13 原料供給部(粉砕対象物供給部)
13a 原料供給口
14 粉砕物排出口(粉砕物排出部)
14a 粉砕物排出通路
15 下部コーン(第1通路部材)
16 上部コーン(第2通路部材)
16a 穴
20、20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i エアーノズル(加速流体供給管、加速流体供給部)
21 穴
31 凍結乾燥・粗砕機
33 エアー供給機
35 捕集機

Claims (7)

  1. 粉砕対象物を粉砕する粉砕装置において、
    壁面としての側面と、側面の両端部にそれぞれ接する底面とを有する空間であり、装置に入った粉砕対象物を旋回運動させて粉砕対象物同士を衝突させることにより粉砕対象物を粉砕する粉砕部と、
    上記粉砕部の軸部から開口して設けられ、粉砕部内で粉砕対象物が所望の粒径になるとそれを粉砕部から受け取って粉砕物として排出する粉砕物排出部と
    を備え、
    粉砕対象物が粉砕部に入る入口である粉砕対象物供給部は、粉砕部の上記側面から開口しており、
    上記粉砕対象物の旋回運動を加速させる加速流体が粉砕部に入る入口である加速流体供給部は、粉砕部の上記側面から開口しており、
    上記粉砕部内に、
    上記粉砕物排出部の開口部と中心を同じくする円錐形状であって、粉砕物を粉砕物排出部へ導く通路の壁を形成する第1通路部材と、
    上記粉砕物排出部の開口部と中心を同じくする円錐形状で、上記粉砕物排出部形成された部分だけくり抜かれたことだけ異なるものの、上記第1通路部材の円錐形状と合同な円錐形状であって、上記第1通路部材と斜面同士を対向させるように配置されることで、上記第1通路部材が形成する壁と対向、粉砕物を粉砕物排出部へ導く通路の壁を形成する第2通路部材と、
    を備えていることを特徴とする粉砕装置。
  2. 上記加速流体供給部が、粉砕部の側面に所定の取り付け角度をもって取り付けられた、加速流体を粉砕部内へ供給する加速流体供給管を備えていることを特徴とする請求項1に記載の粉砕装置。
  3. 上記粉砕対象物供給部が粉砕部から下方に向かって開口していることを特徴とする請求項1または2に記載の粉砕装置。
  4. 上記粉砕対象物供給部が粉砕部から上方に向かって開口していることを特徴とする請求項1または2に記載の粉砕装置。
  5. 請求項3に記載の粉砕装置に対し、粉砕対象物供給部、加速流体供給部、粉砕物排出部のうちの少なくとも一つから、粉砕装置を洗浄するための洗浄流体を供給することによって粉砕装置内部を洗浄し、
    洗浄終了後、洗浄流体の供給を行わない状態で、粉砕対象物供給部、加速流体供給部、粉砕物排出部のうちの少なくとも一つを通して洗浄流体を粉砕装置から排出させることを特徴とする粉砕装置の洗浄方法。
  6. 請求項4に記載の粉砕装置に対し、粉砕対象物供給部、加速流体供給部、粉砕物排出部のうちの少なくとも一つから、粉砕装置を洗浄するための洗浄流体を供給することによって粉砕装置内部を洗浄し、
    洗浄終了後、洗浄流体の供給を行わない状態で、粉砕装置の最下部に配置された加速流体供給部を通して洗浄流体を粉砕装置から排出させることを特徴とする粉砕装置の洗浄方法。
  7. 請求項1ないし4のいずれかに記載の粉砕装置に対し、
    粉砕対象物供給部、加速流体供給部、粉砕物排出部のうちの少なくとも一つから、粉砕装置を洗浄するための洗浄流体を供給することによって粉砕装置内部を洗浄し、洗浄終了後、洗浄流体を粉砕装置から排出させ、
    粉砕対象物供給部、加速流体供給部、粉砕物排出部のうちの少なくとも一つから、加熱蒸気を粉砕装置内に導入して装置内部を滅菌し、加熱蒸気の排出後に、粉砕対象物供給部、加速流体供給部、粉砕物排出部のうちの少なくとも一つから、無菌エアーを導入し、通気させて装置内を乾燥させることを特徴とする粉砕装置の滅菌方法。
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