JP4301666B2 - 排熱吸収冷凍機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジン、スターリングエンジン、ミラーサイクルガスエンジンといった原動機などから発生する排熱を回収して冷凍用媒体を取り出すように構成した排熱吸収冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の排熱吸収冷凍機としては、図5の従来例の概略構成図に示すようなアンモニア吸収冷凍機があった。
この従来例によれば、ガスエンジン01に、カップリング02を介して発電機03が連動連結されている。
【0003】
ガスエンジン01の低温排熱源としてのエンジン冷却部の出口と入口とにわたって、ジャケット冷却水を循環する第1のポンプ04を介装した循環配管05が接続され、この循環配管05に、単効用吸収冷凍機を構成する再生器06が設けられている。再生器06には、ガスエンジン01からのジャケット冷却水(温度85〜95℃)によって蒸発可能なアンモニアを冷媒とし、かつ、水を吸収剤とした非共沸混合媒体としてアンモニア−水系溶液が収容されている。このジャケット冷却水は、通常ガスエンジン01の排気ガスの排熱も排気ガス熱交換器を介して回収している。
【0004】
再生器06には、精溜器07を介して水を分離したアンモニア蒸気を供給するように凝縮器08が連通接続され、かつ、再生器06に第1の配管09を介して吸収器010が接続されるとともに、凝縮器08に第2の配管011を介して蒸発器012が接続され、更に、吸収器010と蒸発器012とが連通接続され、単効用吸収冷凍機が構成されている。
【0005】
凝縮器08では、再生器06で蒸発したアンモニアを凝縮液化し、その液化したアンモニアを蒸発器012に噴霧供給により戻すようになっている。
また、蒸発器012では、吸収器010における水によるアンモニアの吸収に伴い、アンモニアが蒸発するようになっている。
【0006】
再生器06と吸収器010とにわたって、溶液ポンプ013を介装した第3の配管014が接続され、この第3の配管014と第1の配管09との間に熱交換器015が設けられ、再生器06に戻す液化したアンモニア−水系溶液を、再生器06から吸収器010に流すアンモニア−水系溶液によって加熱するようになっている。
【0007】
上記構成により、ガスエンジン01からの低温排熱であるジャケット冷却水を利用して、蒸発器012でのアンモニアの蒸発に伴い、冷水を得るようになっている。
【0008】
ところが、アンモニアや、LiBr(リチウムブロマイド)などの吸収式冷凍機では、吸収プロセスや蒸発プロセスにたよっているために、電動型圧縮機によって冷媒を強制的に圧縮・膨張する冷媒回路を備えた冷凍機に比べ、成績係数が低くなる傾向にある。
【0009】
そのため、従来より、吸収式冷凍機の成績係数を高くする方法が種々検討され、その一つとして、蒸発器012と吸収器010との間に電動型圧縮機を設け、蒸発器012内の蒸気を吸引し、その吸引した蒸気を吸収器010に加圧供給するようなプロセスが提案されている。
【0010】
この構成によれば、吸収器010内での圧力は低下しないため、前述のような電動型圧縮機によって冷媒を強制的に圧縮・膨張する冷媒回路を備えた冷凍機の場合と同様に低温の温度を取り出すことができる。また、性能面においても、電動型圧縮機に使用する電力を除いた場合の成績係数を 1.2倍以上に高めることができる。また、従来の方法では、デューリング線図上、ジャケット冷却水レベルの温度を加熱源として、−10℃以下の冷熱を取り出すことができないが、この構成によれば取り出すことができるようになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電動型圧縮機の場合、電動モータと圧縮機とを連動連結し、伝動軸の軸受部に対して潤滑と漏洩に対するシールをしなければならず、例えば、アンモニア吸収冷凍機に適用した場合、潤滑油が系内に混入するとアンモニアの蒸発が阻害されるなど、冷媒への伝熱に弊害を及ぼすなど、潤滑油と漏洩の問題が、開発を阻害する大きな要因になっていた。
【0012】
また、同時に、電動型圧縮機の駆動に必要な電力が大きくてランニングコストが増大する問題があった。もちろん、潤滑油や漏洩の問題だけであれば、密閉式のキャンドモータを用いることも可能であるが、ランニングコストやイニシャルコストが増大する欠点があった。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、請求項1に係る発明は、ランニングコストおよびイニシャルコストのいずれも安価にして冷凍用媒体を得られるようにすることを目的とし、請求項2に係る発明は、軸受部に対する潤滑と漏洩に対するシールを安価にして良好に行えるようにすることを目的とし、請求項3および請求項4に係る発明は、常温から低温まで冷却するような場合に、成績係数を高くできるようにすることを目的する。そして、請求項5に係る発明は、熱回収をより良好に行えるようにすることを目的とし、請求項6に係る発明は、高温排熱源からの排熱回収効率を向上できるようにすることを目的する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の排熱吸収冷凍機は、上述のような目的を達成するために 130℃よりも低い温度の排熱を発生する低温排熱源と、
130℃よりも高い温度の排熱を発生する高温排熱源と、
再生器(8) と吸収器(12)と凝縮器(10)と蒸発器(14)とから成る単効用吸収冷凍機と、
前記低温排熱源からの排熱を熱源とするように前記低温排熱源と前記再生器(8) とにわたって接続される循環配管(7) と、
前記低温排熱源からの排熱によって蒸発可能な冷媒を含む非共沸混合媒体を前記吸収器(12)から前記再生器(8) に供給する配管(16)と、
前記再生器(8) から前記吸収器(12)に非共沸混合媒体を供給する配管(11)の途中に接続されて再生器(8) から前記吸収器(12)に供給する非共沸混合媒体の一部を取り出す分岐配管(19)と、
前記高温排熱源に接続されて前記高温排熱源からの排気ガスを取り出すガス配管(4) と、
前記ガス配管(4) と前記分岐配管(19)との間に設けられて、前記高温排熱源からの排気ガスにより非共沸混合媒体を加熱して蒸発させる熱交換器(20)と、
前記分岐配管(19)に設けられて、前記熱交換器(20)で蒸発した非共沸混合媒体の蒸気によって駆動する蒸気タービン(21)と、
前記蒸発器(14)と前記吸収器(12)とを連通接続する蒸気路と、
前記蒸気路に設けられるとともに前記蒸気タービン(21)に一体的に連動連結されて前記蒸発器(14)内の蒸気を吸引して前記吸収器(12)との間に圧力差を発生させる圧縮機(27)と、
前記蒸発器(14)に付設されて冷凍用媒体を取り出す冷凍用媒体取り出し管(34)と、
を備えて構成する。
【0015】
なお、例えば、排気ガスの熱を高温部と低温部の複数の熱交換器を用いて、 130℃よりも高い温度の排熱と 130℃よりも低い温度の排熱とを取り出して使用する場合も、それぞれ高温排熱源および低温排熱源とみなす。
【0016】
また、請求項2に係る発明の排熱吸収冷凍機は、前述のような目的を達成するために、請求項1に係る発明の排熱吸収冷凍機における圧縮機(27)と蒸気タービン(21)とを連動連結する伝動軸(26)を気体軸受(30)によって支持するとともに、前記気体軸受(30)と分岐配管(19)とを接続し、熱交換器(20)で蒸発した非共沸混合媒体の蒸気を前記気体軸受(30)に供給して潤滑するように構成する。
【0017】
また、請求項3に係る発明の排熱吸収冷凍機は、前述のような目的を達成するために、請求項1または請求項2に係る発明の排熱吸収冷凍機における低温排熱源と高温排熱源とを有する原動機(41)を設け、前記原動機(41)にターボ冷凍機(42)を連動連結し、前記ターボ冷凍機(42)で冷却した後の被冷却物を冷凍用媒体取り出し管(44)から取り出される冷凍用媒体と熱交換させて冷却するように構成する。
【0018】
また、請求項4に係る発明の排熱吸収冷凍機は、前述のような目的を達成するために、請求項1または請求項2に係る発明の排熱吸収冷凍機における低温排熱源と高温排熱源とを有する原動機を設け、前記原動機に発電機を連動連結し、前記発電機の発電電力線に電動ターボ冷凍機を接続し、前記電動ターボ冷凍機で冷却した後の被冷却物を冷凍用媒体取り出し管から取り出される冷凍用媒体と熱交換させて冷却するように構成する。
【0019】
また、請求項5に係る発明の排熱吸収冷凍機は、前述のような目的を達成するために、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4のいずれかに係る発明の排熱吸収冷凍機における蒸気路の圧縮機(27)と吸収器(12)との間に、前記圧縮機(27)からの吐出ガスによって、吸収器(12)から再生器(8) に供給される非共沸混合媒体を加熱する熱交換器(25)を設けて構成する。
【0020】
また、請求項6に係る発明の排熱吸収冷凍機は、前述のような目的を達成するために、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5のいずれかに係る発明の排熱吸収冷凍機における高温排熱源から熱交換器(20)を経た排ガス配管に、給湯用温水取り出し用の熱交換器(33)を設けて構成する。
【0021】
低温排熱源からの排熱によって蒸発可能な冷媒を含む非共沸混合媒体としては、アンモニア−水系の混合溶液、メタノール−水系の混合溶液等が使用できる。この非共沸混合媒体は、冷媒と吸収剤以外に、腐食防止などのために若干の第三成分を含んでいてもよい。
【0022】
【作用】
請求項1に係る発明の排熱吸収冷凍機の構成によれば、低温排熱源からの排熱を熱源として単効用吸収冷凍機を作動する。一方、高温排熱源からの排気ガスにより、再生器(8) から吸収器(12)に供給される、約85℃などと比較的高温の非共沸混合媒体を熱交換器(20)を介して加熱して非共沸混合媒体の蒸気を発生させ、その蒸気によって蒸気タービン(21)を駆動し、蒸気タービン(21)に一体的に連動連結した圧縮機(27)を駆動する。この圧縮機(27)により、蒸発器(14)内の蒸気を吸引して蒸発器(14)内の圧力を吸収器(12)内の圧力よりも低下させ、蒸発器(14)での蒸発に伴い、冷凍用媒体取り出し管(34)を通じて低温の冷凍用媒体を取り出すことができる。
【0023】
また、請求項2に係る発明の排熱吸収冷凍機の構成によれば、蒸気タービン(21)を作動するための、熱交換器(20)で蒸発した非共沸混合媒体の蒸気自体を潤滑剤として気体軸受(30)に供給し、その気体軸受(30)によって、圧縮機(27)と蒸気タービン(21)とを連動連結する伝動軸(26)を支持する。
【0024】
また、請求項3に係る発明の排熱吸収冷凍機の構成によれば、原動機(41)に連動連結したターボ冷凍機(42)によって被冷却物を冷却し、その被冷却物を、原動機(41)からの排熱によって得られる冷凍用媒体と熱交換させて冷却する。
【0025】
また、請求項4に係る発明の排熱吸収冷凍機の構成によれば、原動機に発電機を連動連結して発電し、その発電機の電力で駆動される電動ターボ冷凍機によって被冷却物を冷却し、その被冷却物を、原動機からの排熱によって得られる冷凍用媒体と熱交換させて冷却する。
【0026】
また、請求項5に係る発明の排熱吸収冷凍機の構成によれば、圧縮機(27)からの吐出ガスの排熱によって、吸収器(12)から再生器(8) に供給される非共沸混合媒体を加熱する。
【0027】
また、請求項6に係る発明の排熱吸収冷凍機の構成によれば、蒸気タービン(21)駆動用蒸気の発生のために熱回収された排気ガスを熱交換器(33)に供給し、その排気ガスの顕熱および潜熱を、給湯用温水の取り出しのために回収する。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る排熱吸収冷凍機の第1実施例を示す概略構成図であり、原動機としてのガスエンジン1に、カップリング2を介して発電機3が連動連結されている。
【0029】
高温排熱源としてのガスエンジン1の排気管にガス配管4が接続され、そのガス配管4に、NOx成分を除去する脱硝装置5が付設されている。
【0030】
ガスエンジン1の低温排熱源としてのエンジン冷却部の出口と入口とにわたって、ジャケット冷却水を循環する第1のポンプ6を介装した循環配管7が接続され、この循環配管7に、単効用吸収冷凍機を構成する再生器8が設けられている。再生器8には、ガスエンジン1からのジャケット冷却水(温度85〜95℃)によって蒸発可能なアンモニアを冷媒とし、かつ、水を吸収剤とした非共沸混合媒体としてのアンモニア−水系溶液が収容されている。
【0031】
再生器8には、精溜器9を介して水を分離したアンモニア蒸気を供給するように凝縮器10が連通接続され、再生器8に第1の配管11を介して吸収器12が接続されるとともに、凝縮器10に第2の配管13を介して蒸発器14が接続され、更に、吸収器12と蒸発器14とが蒸気路を介して連通接続され、単効用吸収冷凍機が構成されている。
【0032】
凝縮器10では、再生器8で蒸発した冷媒を凝縮液化し、その液化した冷媒を蒸発器14に噴霧供給により戻すようになっている。
蒸発器14では、吸収器12における吸収剤による冷媒の吸収に伴い、冷媒が蒸発するようになっている。
【0033】
再生器8と吸収器12とにわたって、第1の溶液ポンプ15を介装した第3の配管16が接続され、この第3の配管16と第1の配管11との間に第1の熱交換器17が設けられ、再生器8に戻す液化したアンモニア−水系溶液を、再生器8から吸収器12に流すアンモニア−水系溶液によって加熱するようになっている。
【0034】
第1の配管11の再生器8と第1の熱交換器17との間に、第2の溶液ポンプ18を介装した分岐配管19が接続され、この分岐配管19とガス配管4とにわたって第2の熱交換器20が設けられ、液化したアンモニア−水系溶液をガスエンジン1からの排気ガスとの伝熱により加熱し、高温高圧の蒸気を発生させるように構成されている。
【0035】
分岐配管19に蒸気タービン21が接続されるとともに、その蒸気タービン21と吸収器12とが第4の配管22を介して接続され、単効用吸収冷凍機の作動媒体であるアンモニア−水系溶液の高温高圧の蒸気によって蒸気タービン21を駆動するとともに、蒸気タービン21から排出される蒸気を吸収器12に戻すように構成されている。
【0036】
第3の配管16において、開閉弁23を介装したバイパス配管24が第1の熱交換器17と並列に接続され、そのバイパス配管24と第4の配管22とにわたって第3の熱交換器25が設けられ、再生器8に戻す液化したアンモニア−水系溶液を、蒸気タービン21から排出されるアンモニア−水系溶液の蒸気によって加熱するようになっている。
【0037】
図2の断面図に示すように、蒸気タービン21に伝動軸26を介して圧縮機27が一体的に連動連結され、蒸気タービン21、伝動軸26および圧縮機27が、パッキング28を介してシールした状態で一体化されたケーシング29内に収容されるとともに、伝動軸26が気体軸受30を介して回転自在に支持されている。
【0038】
第2の配管13の途中箇所に第4の熱交換器31が設けられ、この第4の熱交換器31と吸収器12との間に前述の圧縮機27が設けられ、圧縮機27によって蒸発器14内の蒸気を吸引し、第4の熱交換器31を経てから吸収器12に供給するようになっている。この蒸発器14と吸収器12とを接続する蒸気配管を蒸気路と称する。
【0039】
ガス配管4の第2の熱交換器20の下流側において、給湯管32とにわたって給湯用温水取り出し用の熱交換器33が設けられ、第2の熱交換器20で蒸気タービン21駆動用の蒸気発生のために顕熱分が回収された後の排気ガスから顕熱および潜熱を回収して給湯用温水を得るように構成されている。
【0040】
蒸発器14に、冷凍用媒体としてのブラインを取り出す冷凍用媒体取り出し管34が付設されている。このブラインとの熱交換により、食品とか下水処理システムでの下水汚泥などの被冷却物を冷却・冷凍するのである。
凝縮器10および吸収器12には、クーリングタワーからの冷却水を供給する冷却管35が通されている。
【0041】
気体軸受30には、第2の熱交換器20で発生した高温高圧の蒸気が供給され、単効用吸収式冷凍機の作動媒体であるアンモニア−水系溶液によって潤滑するように構成されている。この気体軸受30からの蒸気は、第4の配管22を通じて吸収器12に戻されるようになっている。
【0042】
上記第1実施例では、蒸気タービン21から排出されるアンモニア−水系溶液の蒸気を吸収器12に供給するように構成しているが、その蒸気の温度が 100℃を越えるような場合には、再生器8に供給するようにしても良い。
【0043】
また、上記第1実施例では、気体軸受30に、第2の熱交換器20で発生した高温高圧の蒸気を供給するように構成しているが、例えば、吸収器12からのアンモニア−水系溶液を供給するなど、要するに、単効用吸収式冷凍機の作動媒体であるアンモニア−水系溶液によって潤滑するものであれば、各種の構成が採用できる。
【0044】
また、上記第1実施例では、ガスエンジン1によって発電機3を駆動して電力を取り出す、いわゆるコジェネレーションシステムを示したが、ガスエンジン1によって各種の機械装置を駆動する場合にも適用できる。
【0045】
図3は、第2実施例を示す概略構成図であり、第1実施例と異なるところは次の通りである。
すなわち、発電機3に代えてターボ冷凍機を用いるものであり、ガスエンジン41にターボ冷凍機42が連動連結され、被冷却物の処理搬送路43がターボ冷凍機42を経た後、冷凍用媒体取り出し管44から取り出される冷凍用媒体と熱交換し、被冷却物を冷却するように構成されている。他の構成は第1実施例と同じであり、その説明は省略する。
【0046】
この第2実施例によれば、常温から−10℃以下の低温まで冷却する場合において、ターボ冷凍機42の特性を有効に活用し、全体としての成績係数を大幅に高くできる。
ターボ冷凍機42は、常温から−10℃程度までの範囲で極めて成績係数が高いが、それよりも低温になると極端に成績係数が低下する。その低温での冷却を、本発明の単効用吸収冷凍機と蒸気タービンおよび圧縮機を組み合わせた冷凍構成によって行い、成績係数を低下させないようにしているのである。
【0047】
上述第2実施例の変形例として、ターボ冷凍機42に代えて電動ターボ冷凍機を用いるように、ガスエンジン41に発電機を連動連結するとともに、その発電機の発電電力線に電動ターボ冷凍機を接続し、その電動ターボ冷凍機で冷却した後の被冷却物を冷凍用媒体取り出し管から取り出される冷凍用媒体と熱交換させて冷却するように構成しても良い。
【0048】
図4は、本発明に係る排熱吸収冷凍機の第3実施例を示す概略構成図であり、第1実施例と異なるところは次の通りである。
すなわち、圧縮機27からの蒸気路が、第3の熱交換器24と蒸気タービン21との間において第4の配管22に接続され、圧縮機27からの吐出ガスによって、吸収器12から再生器8に供給される非共沸混合媒体を加熱するように構成されている。
【0049】
上述実施例では、再生器8から吸収器12に供給される非共沸混合媒体であるアンモニア−水系溶液の一部を取り出し、第2の熱交換器20を排ガスボイラとして蒸気を発生させているため、吸収器12から非共沸混合媒体を取り出す場合に比べて、吸収剤に対する冷媒の濃度、すなわち、水に対するアンモニアの濃度が低い部分を使用でき、ランキン効率を向上できている。
【0050】
また、第1の熱交換器17に供給される上流側で非共沸混合媒体であるアンモニア−水系溶液の一部を取り出す結果、第1の熱交換器17で吸収器12から再生器8に供給されるアンモニア−水系溶液の加熱に供される熱量が少なくなることになる。しかしながら、再生器8から吸収器12に供給されるアンモニア−水系溶液の温度が約85℃で、吸収器12から再生器8に供給されるアンモニア−水系溶液の温度約32℃に比べて十分高い上に、下降流に比較して吸収器12から再生器8に供給される上昇流の方がエンタルピ落差が小さく、上昇流によって律速されるため、第1の熱交換器17での熱交換量は変わらず、悪影響を与えることはない。
【0051】
上述実施例のガスエンジン1としては、ミラーサイクルガスエンジンやディーゼルエンジンやスターリングエンジンなど各種のガスエンジンを用いることができる。
【0052】
なお、わかりやすくするために、特許請求の範囲、ならびに、課題を解決するための手段および作用それぞれの欄において、構成部材に参照図番を付しているが、これに制限されるものでは無い。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明の排熱吸収冷凍機によれば、低温排熱源からの排熱を熱源として単効用吸収冷凍機を作動しながら、高温排熱源からの排熱により蒸気タービンを駆動して圧縮機を駆動し、蒸発器内の圧力を吸収器内の圧力よりも低下させて低温の冷凍用媒体を取り出すから、低温排熱源および高温排熱源からの排熱によって冷凍用媒体を取り出すことができ、ランニングコストおよびイニシャルコストのいずれも安価にして、零度よりも低温の冷凍用媒体を得ることができる。
すなわち、例えば、上述の圧縮機として電動型圧縮機を用いれば、圧縮機の駆動に電力を要するためにランニングコストが増大する。本発明ではこのような駆動電力が不要である。
また、蒸気タービンを駆動する蒸気と、蒸発器内の圧力を吸収器内の圧力よりも低下させるために圧縮機によって吸引する蒸気とが、いずれも単効用吸収冷凍機の作動媒体である非共沸混合媒体の蒸気であり、また、軸受潤滑を同一媒体で行えることから、蒸気タービンと圧縮機ならびにそれらを連動連結する伝動軸を同じケーシング内に収容することができ、電動モータと圧縮機とを連動連結する伝動軸に対する軸受部の潤滑と漏洩に対するシールに複雑な構成を採用したり、密閉式のキャンドモータを用いたりする場合に比べてイニシャルコストを安価にできる。
しかも、再生器から吸収器に供給する非共沸混合媒体を熱交換器に供給し、高温排熱源からの排気ガスと熱交換させて蒸気タービン駆動用の蒸気を発生させるから、排気ガスの顕熱のみで蒸気を発生することができ、熱交換器あるいは排ガス配管の酸性凝縮水による腐食損傷を回避できるために高価な材料を用いる必要が無く、例えば、吸収器からの非共沸混合媒体を用いる場合に比べて安価にできる利点がある。
詳述すれば、再生器から吸収器に供給する非共沸混合媒体の温度が約85℃と高いのに対して、吸収器からの非共沸混合媒体を用いる場合、その非共沸混合媒体の温度が約32℃程度と低いため、蒸気を発生させるために多量の熱量を必要とし、高温排熱源からの排気ガスの顕熱のみならず潜熱まで消費されることになる。排気ガスが凝縮液化すると、排気ガス中の亜硫酸成分などによって酸性凝縮水が生じ、この酸性凝縮水が高圧下で熱交換器あるいは排ガス配管に作用して腐食損傷させる。この結果、腐食損傷による破裂等を防止するためにチタン等の高級な耐腐食性材料が必要になって高価になってしまうのである。
【0054】
また、請求項2に係る発明の排熱吸収冷凍機によれば、蒸気タービンと圧縮機とを連動連結する伝動軸の気体軸受の潤滑を、蒸気タービンを作動する非共沸混合媒体の蒸気自体によって行うから、その蒸気の一部が軸受から漏洩しようとも異物にならず、潤滑油を用いる場合のような高いシール構成を不要にでき、軸受部に対する潤滑と漏洩に対するシールを、簡単な構成で安価にして良好に行える。
【0055】
また、請求項3に係る発明の排熱吸収冷凍機によれば、例えば、食品冷凍とか下水処理システムでの下水汚泥の凍結乾燥のように、常温から−20℃以下の低温まで冷却する場合に、常温から−10℃や−15℃程度までは、その範囲で極めて成績係数の高いターボ冷凍機によって被冷却物を冷却し、それより低温の範囲では原動機からの排熱によって得られる冷凍用媒体で冷却し、常温から低温まで冷却する場合に、全体としての成績係数を大幅に高くできる。
【0056】
また、請求項4に係る発明の排熱吸収冷凍機によれば、原動機に連動連結した発電機の電力によって電動ターボ冷凍機を駆動し、例えば、食品冷凍とか下水処理システムでの下水汚泥の凍結乾燥のように、常温から−20℃以下の低温まで冷却する場合に、常温から−10℃や−15℃程度までは、その範囲で極めて成績係数の高い電動ターボ冷凍機によって被冷却物を冷却し、それより低温の範囲では原動機からの排熱によって得られる冷凍用媒体で冷却し、常温から低温まで冷却する場合に、全体としての成績係数を大幅に高くできる。
【0057】
また、請求項5に係る発明の排熱吸収冷凍機によれば、圧縮機からの吐出ガスの排熱を、吸収器から再生器に供給される非共沸混合媒体の加熱に利用するから、熱回収をより良好に行える。
【0058】
また、請求項6に係る発明の排熱吸収冷凍機によれば、高温排熱源からの排気ガスの顕熱の範囲で、蒸気タービン駆動用蒸気の発生のための熱が排気ガスから回収され、その後の排気ガスを熱交換器に供給し、その排気ガスの顕熱および潜熱を回収して給湯用温水を取り出すから、高温排熱源からの排熱回収効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排熱吸収冷凍機の第1実施例を示す概略構成図である。
【図2】要部の断面図である。
【図3】第2実施例を示す概略構成図である。
【図4】第3実施例を示す概略構成図である。
【図5】従来例の概略構成図である。
【符号の説明】
1…原動機としてのガスエンジン
4…ガス配管
7…循環配管
8…再生器
10…凝縮器
11…第1の配管
12…吸収器
14…蒸発器
16…第3の配管
19…分岐配管
20…第2の熱交換器
21…蒸気タービン
25…第3の熱交換器
26…伝動軸
27…圧縮機
30…気体軸受
33…給湯用温水取り出し用の熱交換器
34…冷凍用媒体取り出し管
41…原動機としてのガスエンジン
42…ターボ冷凍機
44…冷凍用媒体取り出し管
Claims (6)
130℃よりも高い温度の排熱を発生する高温排熱源と、
再生器(8) と吸収器(12)と凝縮器(10)と蒸発器(14)とから成る単効用吸収冷凍機と、
前記低温排熱源からの排熱を熱源とするように前記低温排熱源と前記再生器(8) とにわたって接続される循環配管(7) と、
前記低温排熱源からの排熱によって蒸発可能な冷媒を含む非共沸混合媒体を前記吸収器(12)から前記再生器(8) に供給する配管(16)と、
前記再生器(8) から前記吸収器(12)に非共沸混合媒体を供給する配管(11)の途中に接続されて再生器(8) から前記吸収器(12)に供給する非共沸混合媒体の一部を取り出す分岐配管(19)と、
前記高温排熱源に接続されて前記高温排熱源からの排気ガスを取り出すガス配管(4) と、
前記ガス配管(4) と前記分岐配管(19)との間に設けられて、前記高温排熱源からの排気ガスにより非共沸混合媒体を加熱して蒸発させる熱交換器(20)と、
前記分岐配管(19)に設けられて、前記熱交換器(20)で蒸発した非共沸混合媒体の蒸気によって駆動する蒸気タービン(21)と、
前記蒸発器(14)と前記吸収器(12)とを連通接続する蒸気路と、
前記蒸気路に設けられるとともに前記蒸気タービン(21)に一体的に連動連結されて前記蒸発器(14)内の蒸気を吸引して前記吸収器(12)との間に圧力差を発生させる圧縮機(27)と、
前記蒸発器(14)に付設されて冷凍用媒体を取り出す冷凍用媒体取り出し管(34)と、
を備えたことを特徴とする排熱吸収冷凍機。
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