JP4300365B2 - 車両の制動力制御装置 - Google Patents
車両の制動力制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4300365B2 JP4300365B2 JP2004299058A JP2004299058A JP4300365B2 JP 4300365 B2 JP4300365 B2 JP 4300365B2 JP 2004299058 A JP2004299058 A JP 2004299058A JP 2004299058 A JP2004299058 A JP 2004299058A JP 4300365 B2 JP4300365 B2 JP 4300365B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- target deceleration
- braking
- braking operation
- final target
- vehicle
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Regulating Braking Force (AREA)
Description
一方、車両の制動力制御装置としては、上記の制動操作応答式ブレーキ装置と制動システムを共用するが、車間距離制御や車速制御のため運転者による制動操作とは切り離して車輪を自動的に制動し、自動ブレーキ用目標減速度を実現するようにした自動ブレーキ装置がある。
この際、目標減速度を一旦リセットしたのでは、上記の切り替え直後から車両減速度を増大させることができず、減速度の不連続による違和感がある。
当該最終目標減速度のドライバ基準目標減速度への接近を制動操作量に応じて行わせるようになすことで、踏み戻し時に運転者が制動操作で予期したとは異なる違和感のある車両減速度が発生するという問題や、再踏み込み時に運転者が意図するブレーキペダル操作とは逆方向の減速度変化が発生するという問題を解消可能にした車両の制動力制御装置を提案することを目的とする。
先ず前提となる制動力制御装置を説明するに、これは、
運転者の制動操作とは切り離して車輪を自動的に制動し、自動ブレーキ用目標減速度を実現する自動ブレーキ手段と、
基本的には運転者の制動操作に応じたドライバ基準目標減速度を実現するよう車輪を制動するが、自動ブレーキ手段による制動中に運転者の制動操作があった時は、該制動操作の直前における自動ブレーキ用目標減速度に、制動操作量の増加に応じた目標減速度補正量を加算して得られる最終目標減速度が実現されるよう車輪を制動し、制動操作量の低下があった後は該最終目標減速度を前記ドライバ基準目標減速度に向け接近させつつこの最終目標減速度が実現されるよう車輪を制動する制動操作応答ブレーキ手段とを具えたものである。
本発明は、かかる制動力制御装置において、前記制動操作量の低下後における最終目標減速度のドライバ基準目標減速度への接近を制動操作量に応じて行わせるよう構成すると共に、当該制動操作量が前記の低下で0になる前に再度増大される再踏み込み時、制動操作量の再増大速度が遅いほど制動操作量の変化に対する前記最終目標減速度の変化率を小さくする再踏み込み時最終目標減速度変化率補正手段を設けた点に特徴づけられる。
制動操作量の低下があったことで最終目標減速度をドライバ基準目標減速度へ向けて接近させる時、制動操作量の低下中は最終目標減速度が制動操作量との間に或る相関関係を持って低下することとなり、運転者による制動操作量の低下時に予期した通りの車両減速度を発生させることができ、予期したとは異なる車両減速度が発生する違和感を解消、若しくは緩和することができる。
制動操作量の低下直後に再度制動操作量を増大させる再踏み込みが行われる時は、これに呼応して最終目標減速度が増大され、かかる再踏み込み時に、運転者が意図するブレーキペダル操作とは逆方向の減速度変化を生ずることがなくなり、運転者が逆方向の減速度変化に戸惑うという問題も回避することができる。
図1は、本発明のー実施例になる制動力制御装置を具えた、車両の液圧ブレーキ装置を示すものである。
この液圧ブレーキ装置は、車輪1(図では1個のみを示す)に関連して設けられたホイールシリンダ2への液圧供給により制動力を発生するもので、自動ブレーキ手段および制動操作応答ブレーキ手段に兼用し、具体的には以下のような構成とする。
なお、ブレーキ液圧配管6を図1では、1個の車輪1に設けたホイールシリンダ2のみに接続しているが、図示せざる他の3輪に係わるホイールシリンダにも同様に接続することは言うまでもない。
油圧ブースタ4はポンプ8を具え、このポンプ8はリザーバ7から吸入して吐出したブレーキ液をアキュムレータ9内に蓄圧し、アキュムレータ内圧を圧力スイッチ10によりシーケンス制御する。
油圧ブースタ4は、アキュムレータ9内の圧力を圧力源としてブレーキペダル3の踏力を倍力し、この倍力した踏力でマスターシリンダ5内のピストンカップを押し込む。
この時マスターシリンダ5は、リザーバ7からのブレーキ液をブレーキ配管6内に封じ込めてブレーキペダル踏力に対応したマスターシリンダ液圧Pmcを発生させ、これを元圧としてホイールシリンダ液圧Pwcをホイールシリンダ2に供給することで車輪1を液圧制動することができる。
このアクチュエータ20は、ブレーキ配管6の途中に電磁切替弁21を挿置して具え、また、該電磁切替弁21よりもホイールシリンダ2の側においてブレーキ配管6に接続して、増圧弁22が挿置された増圧回路23、および、減圧弁24が挿置された減圧回路25をそれぞれ具える。
電磁切替弁21は、常態で図示のごとくブレーキ配管6を開通させることによりマスターシリンダ液圧Pmcをホイールシリンダ2に向かわせ、ソレノイド21aのON時にブレーキ配管6を遮断すると共にマスターシリンダ5をストロークシミュレータ26に通じさせてホイールシリンダ2によると同等の油圧負荷を与え、これによりブレーキペダル3に通常時と同じ操作フィーリングを与え続け得るようになす。
減圧弁24は、常態で図示のごとく減圧回路25を遮断しているが、ソレノイド24aのON時にその通電量に比例して減圧回路25を開度増大させてホイールシリンダ液圧Pwcの減圧割合を増大するものとする。
また、自動ブレーキ手段や、制動操作応答ブレーキ手段として機能させるべく、増圧弁22または減圧弁24によりホイールシリンダ液圧Pwcを増減圧制御する間は、切替弁21のONによりブレーキ配管6を遮断しておくことでマスターシリンダ液圧Pmcの影響を受けることなく、ホイールシリンダ液圧Pwcの増減圧を行い得るようにする。
運転者が要求する車両の制動力を表すマスターシリンダ液圧Pmcを検出する圧力センサ28からの信号と、
液圧制動トルクの実際値を表すホイールシリンダ液圧Pwcを検出する圧力センサ29からの信号と、
車輪2の周速である車輪速Vwを検出する車輪速センサ30からの信号と、
車両に作用する加減速度Gを検出する加速度センサ31からの信号とを入力する。
液圧ブレーキコントローラ27は、これら入力情報をもとに、後述する液圧制動力指令値が達成されるよう切替弁21、増圧弁22および減圧弁24を制御する。
図2は、10msecごとの定時割り込みにより繰り返し実行されるメインルーチン、図3は、このメインルーチンにおける最終目標減速度αdemの演算処理に関したサブルーチンを示す。
図2のステップS10においては、マスターシリンダ液圧Pmcおよび車輪1のホイールシリンダ液圧Pwcを算出する。
Fbpf(s)=s/{(1/ω2)s2+(2ζ/ω)s+1}・・・(1)
s:ラプラス演算子
ただし実際には、タスティン近似などで離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
自動ブレーキ用目標減速度αautoは、自動ブレーキ用コントローラが車間距離を制御したり、車速を制御するなどのために求めた減速度で、車間距離が設定値よりも短くなるにつれて増大され、車速が設定車速を大きく越えるほど増大される。
なお、以後では減速度を負の値として、また、制動トルクも負の値として取り扱うこととする。
また、運転者が指令する制動物理量(車両運転状態)は上記のマスターシリンダ液圧Pmcに限らず、マスターシリンダストロークや、ブレーキペダル踏力により検出してもよいことはいうまでもない。
つまり、先ず車両諸元により決まる定数K2を用いて目標減速度αdemを制動トルクに換算し、次いで、図4における規範モデル52の特性Fref(s)に、制御対象車両54の応答特性Pm(s)を一致させるためのフィードフォワード補償器(位相補償器)51の次式で表される特性CFF(s)に上記目標減速度(αdem)対応の制動トルクを通して目標減速度αdem用の制動トルク指令値Tdff(フィードフォワード補償量)を求める。
CFF(s)=Fref(s)/Pm(s)
=(Tp・s+1)/(Tr・s+1)・・・(2)
Tp:時定数
Tr:時定数
Pm:制御対象車両の車両モデル特性
(制動トルク指令値に対する車両減速度の特性)
制御の安定性や耐外乱性などの閉ループ性能は、フィードバック補償器53で実現され、目標減速度αdemに対する応答性は基本的には(モデル化誤差がない場合)フィードフォワード補償器51で実現される。
フィードバック補償量Tdfbの算出に当たっては先ず最終目標減速度αdemを、次式で表される特性Fref(s)を持った規範モデル52に通して規範モデル応答減速度αrefを求める。
Fref(s)=1/(Tr・s+1) ・・・(3)
△α=αref−αv ・・・(4)
そしてこの減速度フィードバック偏差Δαを、次式で表される特性CFB(s)のフィードバック補償器53に通して制動トルクフィードバック補償量Tdfbを求める。
CFB(s)=(Kp・s+Ki)/s ・・・(5)
ただし本実施例では、この特性を基本的なPI制御器で実現することとし、制御定数Kp,Kiはゲイン余裕や位相余裕を考慮して決める。
また(3)式および(5)式は、前述と同様に離散化して計算を行う。
図5に例示する前後制動トルク理想配分特性は、制動中における前後輪荷重移動に伴う後輪先ロック防止、車両挙動の安定性、制動距離の短縮などを考慮して決められた、前後輪が同時に制動ロックするような前後制動力配分のことである。
Pbcomf=Tbcomf×K3
Pbcomr=Tbcomr×K4
液圧ブレーキコントローラ27は、電磁弁21,22,24の制御を介しホイールシリンダ2への液圧を対応するホイールシリンダ液圧指令値になるよう制御すると共に、他の3輪のホイールシリンダ液圧も同様にして対応するホイールシリンダ液圧指令値になるよう制御する。
なお以下では、各符号に付してある[i]は今回値を意味し、[i-1]は前回値を意味するものとする。
ブレーキペダルが釈放された非制動中なら、ステップS402において、最終目標減速度αdem[i]に前記のドライバ基準目標減速度αauto[i]をセットして、自動ブレーキによる制動を行わせる。
なおドライバ基準目標減速度αauto[i]は勿論、自動ブレーキを必要としないときのαauto[i]=0をも含む。
ステップS403でブレーキペダルの踏み増し中またはペダル位置保持状態と判定する時は、ステップS404において、マスターシリンダ液圧Pmc(制動操作量)の変化に対する最終目標減速度の変化割合を表した目標減速度変化率Kαに、踏み増し用の目標減速度変化率として予めROMに記憶しておいた車両諸元ごとの定数K1を代入する。
つまり、マスターシリンダ液圧Pmcの時間変化率から求めたブレーキペダル踏み込み速度Vupから、図6に例示するごとくに定めた目標減速度変化率Kαに関する補正係数マップを基に補正係数H1を検索する。
ここで補正係数H1は、図6から明らかなごとく最大値を1とし、ブレーキペダル踏み込み速度Vupが遅いほど1よりも小さな正の値とする。
そして、目標減速度変化率Kαを次式により補正する。
Kα=Kα×H1・・・(6)
ここで補正係数H3は、図7から明らかなごとく最大値を1とし、旋回半径が小さいほど1よりも小さな正の値とする。
そして、(6)式により補正した目標減速度変化率Kαを更に次式により補正する。
Kα=(Kα×H1)×H3・・・(7)
ステップS405は、以上のようにして踏み増し用に目標減速度変化率Kαを補正することから、本発明における再踏み込み時最終目標減速度変化率補正手段に相当する。
Kg=αdem[i-1]/Pmc[i-1]・・・(8)
と決定する。
次のステップS407では、目標減速度変化率Kαに上記踏み戻し用の目標減速度変化率Kgをセットする。
次のステップS408においては、ステップS407で踏み戻し用に上記のごとく定めた目標減速度変化率Kαを以下のようにして補正する。
ここで補正係数H2は、図8から明らかなごとく最小値を1とし、ブレーキペダル踏み戻し速度Vdownが速いほど1よりも大きな値とする。
そして、目標減速度変化率Kαを次式により補正する。
Kα=Kα×H2・・・(9)
なお減速度比率αrtoは、自動ブレーキ中に制動操作が行われた時の直前における自動ブレーキ用目標減速度αauto[制動操作開始直前値](図17参照)、および、その後の踏み戻し開始時の直前における目標減速度補正量Δα[踏み戻し開始直前値](図17参照:ステップS411につき後で詳述する)との比Δα[踏み戻し開始直前値]/αauto[制動操作開始直前値]である。
そして補正係数H4は図9から明らかなごとく、減速度比率αrtoが設定値αrto1よりも小さい領域では減速度比率αrtoが小さいほど、つまり、実際に発生する減速度に対して運転者の制動操作による割合が小さい領域ではこの割合が小さいほど、1よりも小さな正の値とし、減速度比率αrtoが設定値αrto1以上の大きな領域では減速度比率αrtoが大きいほど、つまり、実際に発生する減速度に対して運転者の制動操作による割合が大きい領域ではこの割合が大きいほど、1よりも大きな値とする。
そして、(9)式により補正した目標減速度変化率Kαを更に次式により補正する。
Kα=(Kα×H2)×H4・・・(10)
ここで補正係数H5は、図10から明らかなごとく最大値を1とし、旋回半径が小さいほど1よりも小さな正の値とする。
そして、(9)式により補正した目標減速度変化率Kαを更に次式により補正したり、
Kα=(Kα×H2)×H5・・・(11)
所要に応じて、(10)式により補正した目標減速度変化率Kαを更に次式により補正する。
Kα=(Kα×H2×H4)×H5・・・(12)
ステップS409でKα< Kgでないと判定する時は、ステップS410をスキップすることにより、ステップS408で補正した目標減速度変化率Kαをそのまま用いる。
次いでステップS412において、前回の最終目標減速度αdem[i-1]に上記の目標減速度変化量Δαを加算して、今回の最終目標減速度αdem[i]を算出する。
ステップS413では、マスターシリンダ液圧Pmc[i] と、予めROMに記憶しておく車両諸元に応じた定数K0を乗じてドライバ基準目標減速度αbase[i]を算出する。
αbase[i]=Pmc[i]×K0・・・(13)
しかしステップS414でαdem[i]<αbase[i]でないと判定するときは、ステップS412で求めた最終目標減速度αdem[i]をそのまま用いる。
図3のステップS402、またはステップS412、或いはステップS415で前記のようにして今回の最終目標減速度αdem[i]を求めた後は、ステップS416において、今回の最終目標減速度αdem[i]をαdem[i-1]にメモリすると共に、今回のマスターシリンダ液圧Pmc[i]をPmc[i-1]にメモリし、これらαdem[i-1]およびPmc[i-1]をそれぞれ次回の演算で用いる。
図19は、瞬時t1まで車間距離制御などのための自動ブレーキが行われていたが、マスターシリンダ液圧Pmcの時系列変化から明らかなように、瞬時t1(図14のA点相当)にブレーキペダルが踏み込まれて自動ブレーキから制動操作応答ブレーキへの切り替えが開始され、瞬時t2〜t3間(図14のB点相当)でブレーキペダルの踏み込み位置を同じに保ち、瞬時t3〜t4間(図14のB点〜D点相当)にブレーキペダルを踏み戻し、瞬時t4〜t5間(図14のD点〜E点相当)にブレーキペダルを再踏み込みし、瞬時t5〜t6間(図14のE点〜C点相当)にブレーキペダルを再び踏み戻して瞬時t6(図13のC点相当)にブレーキペダルを釈放した場合の動作タイムチャートである。
つまり、瞬時t3〜t4のような制動操作量(マスターシリンダ液圧Pmc)の低下中であればステップS406〜ステップS408による制動操作に応じた目標減速度変化率Kαの設定および補正により最終目標減速度αdemが図19にgで示すごとく、また、図14のB点およびD点間に例示するごとく、制動操作量(マスターシリンダ液圧Pmc)との間に対応する相関関係を持って低下することとなり、運転者による制動操作量(マスターシリンダ液圧Pmc)の低下時に予期した通りの車両減速度を発生させることができ、予期したとは異なる車両減速度が発生する違和感を解消、若しくは緩和することができる。
制動操作量(マスターシリンダ液圧Pmc)の低下直後に再度制動操作量(マスターシリンダ液圧Pmc)を増大させる再踏み込みが行われる時は、これに呼応して最終目標減速度αdemが増大され、かかる再踏み込み時に、運転者が意図するブレーキペダル操作とは逆方向の減速度変化を生ずることがなくなり、運転者が逆方向の減速度変化に戸惑うという問題も回避することができる。
再踏み込み後に制動操作量(マスターシリンダ液圧Pmc)を0に向け低下させる時は、これに呼応して最終目標減速度αdemが0に向け低下され、かかるブレーキペダルの釈放時も、予期した通りの車両減速度を発生させることができ、予期したとは異なる車両減速度が発生する違和感を解消、若しくは緩和することができる。
かようにする場合、運転者が制動操作量(マスターシリンダ液圧Pmc)を0にした時に最終目標減速度αdemも確実に0になり、ブレーキペダルを釈放しているのに尚も減速感がある違和感を回避することができる。
制動操作量(マスターシリンダ液圧Pmc)の再増大速度が遅い時(ブレーキペダルをゆっくり再踏み込みする時)に要求される車両減速度の微調整を容易に行うことができると共に、これにより速やかに車両減速度をドライバ基準目標減速度αbaseに戻すことができる。
逆に制動操作量(マスターシリンダ液圧Pmc)の再増大速度が速い時(ブレーキペダルを急速に再踏み込みする時)は、車両減速度を当該ブレーキペダル急再踏み込み操作に呼応した減速度へ速やかに増大させることができる。
図19の瞬時t4〜t5におけるような制動操作量(マスターシリンダ液圧Pmc)の再増大時(再踏み込み時)に図3のステップS405で目標減速度変化率Kαを補正するに際し、その補正係数H3を図7に例示するごとくに定めて、車両の旋回半径が小さいほど制動操作量(マスターシリンダ液圧Pmc)の変化(増大)に対する最終目標減速度αdemの変化率(増大率)を、図16のD”-E”で示すように小さくすることとしたから、
旋回半径が小さいときに問題となる、減速度変化に起因した車両のヨーレート変化を抑制して旋回走行安定性の低下を防止することができる。
図13におけると同じ図17のB点でブレーキペダルを釈放して制動操作量(マスターシリンダ液圧Pmc)を0にした場合につき説明すると、踏み戻し速度が遅い場合は制動操作量(マスターシリンダ液圧Pmc)の変化(低下)に対し最終目標減速度αdemが同図にjで示すように緩やかに変化(低下)し、踏み戻し速度が速い場合は最終目標減速度αdemが同図にkで示すように急速に変化(低下)することとなり、以下の作用効果を得ることができる。
その反面、ブレーキペダルの踏み戻し(釈放)を緩やかに行う時のような車両減速度の微調整が必要な場合は、車両減速度を図17にjで示すごとく緩やかにドライバ基準目標減速度αbaseに戻すようにすることで、その途中において車両減速度を微調整する必要があるときに当該微調整を容易に行うことができる。
その反面、減速度比率αrtoが大きい領域(αrto≧αrto1)では、つまり、実際に発生する車両減速度に対し運転者が制動操作により要求する減速度の割合が大きい場合、制動操作量(マスターシリンダ液圧Pmc)の低下に対する最終目標減速度αdemの低下率を大きくすることで、速やかな減速度のドライバ基準目標減速度αbaseへの復帰を可能にすることができる。
本実施例は、図3に対しステップS420〜ステップS422およびステップS424〜ステップS426を追加し、図3のステップS405をステップS423に置換したものである。
以下、説明が冗長になるのを避けるため図3と異なる処理についてのみ説明すると、ステップS403でブレーキペダルの踏み増し中またはペダル位置保持中と判別した時に選択されるステップS421においては、踏み戻しフラグfrag1が1か否かにより前回はブレーキペダルの踏み戻し中だったか否かをチェックする。
ステップS421でfrag1=0と判定する時は、これがステップS403の判定結果(ブレーキペダルの踏み増し中またはペダル位置保持中)に符合することから、ステップS422を実行することなく制御をステップS404に進める。
ステップS424でfrag1=0(今まで踏み増し中またはペダル位置保持中で、踏み戻し開始1回目)と判定する時は、ステップS425において、前回の(踏み戻し開始時の直前の)制動操作量であるマスターシリンダ液圧Pmc[i-1]をPmemとして記憶し、次のステップS426において、ステップS403の判定結果(ブレーキペダルの踏み戻し中)に符合するよう踏み戻しフラグfrag1を1にセットして制御をステップS406に進める。
ステップS425で記憶した踏み戻し開始直前の制動操作量であるマスターシリンダ液圧Pmemは、ステップS401がマスターシリンダ液圧Pmc[i]からブレーキペダルの釈放(非制動中)を判定する時に選択されるステップS420で0リセットされ、この時まで踏み戻し開始直前の制動操作量(マスターシリンダ液圧)Pmemを記憶し続ける。
つまり、今回の制動操作量であるマスターシリンダ液圧Pmc[i]と、ステップS425で記憶した踏み戻し開始直前の制動操作量(マスターシリンダ液圧)Pmem との差分である制動操作量(マスターシリンダ液圧)偏差ΔPmcを次式により演算する。
ΔPmc=Pmc[i]−Pmem・・・(14)
ただし、Pmc[i]<Pmemの場合はΔPmc=0とし、ΔPmcが負値になることのないようにする。
この制動操作量(マスターシリンダ液圧)偏差ΔPmcは、図18にF点で例示するごとく再踏み込み時の制動操作量(マスターシリンダ液圧)が、同図のB点(図14のB点に同じ)で例示する前回踏み込み時の最大制動操作量(マスターシリンダ液圧)Pmemを越えた制動操作量(マスターシリンダ液圧)を表す。
ここで補正係数H6は、図12から明らかなごとく最小値を1とし、制動操作量(マスターシリンダ液圧)偏差ΔPmcが0から増大するほど、つまり図18のE点(図14のE点と同じ)からF点に向かうにつれ1から増大するものとする。
そして、前記(16)式で補正した目標減速度変化率Kαを更に次式により補正する。
Kα=(Kα×H1)×H6・・・(15)
ステップS423は、以上のようにして踏み増し用に目標減速度変化率Kαを補正することから、本発明における再踏み込み時最終目標減速度変化率補正手段に相当する。
従って、再踏み込み時の制動操作量(マスターシリンダ液圧)が前回踏み込み時の最大制動操作量(マスターシリンダ液圧)よりも大きい場合に、この制動操作により運転者が要求する大きな制動力を確実に発生させることができる。
2 ホイールシリンダ
3 ブレーキペダル
4 油圧ブースタ
5 マスターシリンダ
6 ブレーキ配管
7 リザーバ
8 ポンプ
9 アキュムレータ
10 圧力スイッチ
20 ブレーキバイワイヤアクチュエータ
21 電磁切替弁
22 増圧弁
23 増圧回路
24 減圧弁
25 減圧回路
26 ストロークシミュレータ
27 液圧ブレーキコントローラ
28,29 圧力センサ
30 車輪速センサ
31 加減速度センサ
51 フィードフォワード補償器
52 規範モデル
53 フィードバック補償器
54 制御対象車両
Claims (7)
- 運転者の制動操作とは切り離して車輪を自動的に制動し、自動ブレーキ用目標減速度を実現する自動ブレーキ手段と、
基本的には運転者の制動操作に応じたドライバ基準目標減速度を実現するよう車輪を制動するが、自動ブレーキ手段による制動中に運転者の制動操作があった時は、該制動操作の直前における自動ブレーキ用目標減速度に、制動操作量の増加に応じた目標減速度補正量を加算して得られる最終目標減速度が実現されるよう車輪を制動し、制動操作量の低下があった後は該最終目標減速度を前記ドライバ基準目標減速度に向け接近させつつこの最終目標減速度が実現されるよう車輪を制動する制動操作応答ブレーキ手段とを具えた車両の制動力制御装置において、
前記制動操作量の低下後における最終目標減速度のドライバ基準目標減速度への接近を制動操作量に応じて行わせるよう構成すると共に、
当該制動操作量が前記の低下で0になる前に再度増大される再踏み込み時、制動操作量の再増大速度が遅いほど制動操作量の変化に対する前記最終目標減速度の変化率を小さくする再踏み込み時最終目標減速度変化率補正手段を設けたことを特徴とする車両の制動力制御装置。 - 請求項1に記載の車両の制動力制御装置において、
前記再踏み込み時最終目標減速度変化率補正手段は、車両の旋回半径が小さいほど制動操作量の変化に対する前記最終目標減速度の変化率を小さくするものであることを特徴とする車両の制動力制御装置。 - 請求項1または2に記載の車両の制動力制御装置において、
前記再踏み込み時最終目標減速度変化率補正手段は、再踏み込み時の制動操作量が前回踏み込み時の最大制動操作量を越えた量に応じて、制動操作量の変化に対する前記最終目標減速度の変化率を大きくするものであることを特徴とする車両の制動力制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の制動力制御装置において、
前記自動ブレーキ手段による制動中に運転者が制動操作を行った後制動操作量を低下させたことで前記制動操作応答ブレーキ手段が前記最終目標減速度を前記ドライバ基準目標減速度へ接近させるに際し、制動操作量の低下に対する該最終目標減速度の低下率を制動操作量の低下速度が速いほど大きくする踏み戻し時最終目標減速度変化率補正手段を設けたことを特徴とする車両の制動力制御装置。 - 請求項4に記載の車両の制動力制御装置において、
前記踏み戻し時最終目標減速度変化率補正手段は、前記自動ブレーキ手段による制動中に運転者が制動操作を開始した直前における自動ブレーキ用目標減速度と、該制動操作後に制動操作量を低下させた直前における前記目標減速度補正量との間の減速度比率に応じ、この減速度比率が小さい領域では制動操作量の低下に対する最終目標減速度の低下率を小さくし、減速度比率が大きい領域では制動操作量の低下に対する最終目標減速度の低下率を大きくするものであることを特徴とする車両の制動力制御装置。 - 請求項4または5に記載の車両の制動力制御装置において、
前記踏み戻し時最終目標減速度変化率補正手段は、車両の旋回半径が小さいほど制動操作量の低下に対する最終目標減速度の低下率を小さくすることを特徴とする車両の制動力制御装置。 - 請求項4〜6に記載の車両の制動力制御装置において、
前記踏み戻し時最終目標減速度変化率補正手段は、制動操作量が0に低下するよりも前に最終目標減速度がドライバ基準目標減速度に戻るよう、制動操作量の低下に対する最終目標減速度の低下率を決定するものであることを特徴とする車両の制動力制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004299058A JP4300365B2 (ja) | 2004-10-13 | 2004-10-13 | 車両の制動力制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004299058A JP4300365B2 (ja) | 2004-10-13 | 2004-10-13 | 車両の制動力制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006111084A JP2006111084A (ja) | 2006-04-27 |
JP4300365B2 true JP4300365B2 (ja) | 2009-07-22 |
Family
ID=36379966
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004299058A Expired - Fee Related JP4300365B2 (ja) | 2004-10-13 | 2004-10-13 | 車両の制動力制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4300365B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4881807B2 (ja) * | 2007-07-27 | 2012-02-22 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 液圧ブレーキ装置 |
JP5292211B2 (ja) * | 2009-07-16 | 2013-09-18 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 車両制御装置 |
JP6347448B2 (ja) * | 2015-07-17 | 2018-06-27 | 株式会社アドヴィックス | 車両の衝突回避制御装置および衝突回避制御方法 |
JP6347447B2 (ja) * | 2015-07-17 | 2018-06-27 | 株式会社アドヴィックス | 車両の衝突回避制御装置および衝突回避制御方法 |
JP6930466B2 (ja) * | 2018-03-14 | 2021-09-01 | トヨタ自動車株式会社 | 車両制御装置 |
JP7285230B2 (ja) * | 2020-03-31 | 2023-06-01 | 株式会社アドヴィックス | 制動制御装置 |
-
2004
- 2004-10-13 JP JP2004299058A patent/JP4300365B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2006111084A (ja) | 2006-04-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10259438B2 (en) | Brake control device | |
JP4147850B2 (ja) | 制動制御装置 | |
US10059208B2 (en) | Braking control apparatus and braking control method for vehicle | |
US6208926B1 (en) | Method and apparatus for controlling the brake system of a vehicle | |
CN100363213C (zh) | 车辆制动力控制装置和车辆制动力控制方法 | |
US8489301B2 (en) | Closed-loop control of brake pressure using a pressure-limiting valve | |
JP6111340B2 (ja) | 車両のブレーキシステムのための制御装置、および車両のブレーキシステムを作動させる方法 | |
JP4300365B2 (ja) | 車両の制動力制御装置 | |
JP6794362B2 (ja) | 圧力制御バルブの作動により、原動機付き車両のブレーキ圧力を調整するための方法、この方法を実行するためのブレーキ装置及び原動機付き車両 | |
JP2005153713A (ja) | ブレーキ装置の反力特性制御装置 | |
JP2009107612A (ja) | 制動力制御装置 | |
WO2020158648A1 (ja) | 車両の制動装置 | |
JP4396475B2 (ja) | 車両の制動力制御装置 | |
JP4779742B2 (ja) | ブレーキ制御装置 | |
JP6447399B2 (ja) | 車両用ブレーキ装置 | |
JP4595533B2 (ja) | 複合ブレーキの協調制御装置 | |
JP4760108B2 (ja) | 車両の制動力制御装置 | |
JP6252804B2 (ja) | 車両の停止維持装置 | |
JP2007253840A (ja) | ブレーキ制御装置 | |
KR20180096127A (ko) | 자율 주행 중 제동 이질감 저감을 위한 제동 제어 방법 | |
JP6481388B2 (ja) | 車両の制動制御装置 | |
WO2022025183A1 (ja) | 制動制御装置 | |
JP6248477B2 (ja) | 車両制御装置 | |
US20230120194A1 (en) | Vehicle and vehicle control method | |
JP2007253655A (ja) | ブレーキ制御装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20060607 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060925 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080911 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081014 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081110 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090324 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090406 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120501 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130501 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140501 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |