JP4398923B2 - 圧着不良端子検出方法および端子圧着装置 - Google Patents
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Description
端子圧着装置で自動的に圧着端子を絶縁被覆電線の端末に装着する場合、いくつかのパターンの圧着端子装着不良が発生する。そこでこの種の端子圧着装置においては、前記圧着端子の圧着不良を検出し、良品中に不良品が混入しないようにすることが大きな課題となっている。
そこで従来にあっては、特許文献1や特許文献2にあるような圧着端子の圧着不良の検出が行われていた。
一方、特許文献2の場合は、絶縁被覆電線の導体に圧着端子の導体圧着部を圧着する導体圧着用型押部と、絶縁被覆電線の絶縁被覆に前記圧着端子の絶縁被覆圧着部を圧着する絶縁被覆圧着用型押部とにそれぞれ荷重センサーを取り付け、該加重センサーが出力する波形データを正常な場合の波形データと比較することで、圧着不良の検出を行っていた。
しかしながら、その精度はまだまだ十分なものとは言えなかった。
例えば図9(b)のように圧着端子90の導体圧着部95から数本の導体94がこぼれてしまった場合、こぼれた本数が極わずかだと検出が困難であった。
また図9(d)のように、絶縁被覆圧着部93の片側のみ圧着不良を起こしているような場合には、一応、絶縁被覆圧着用型押部は絶縁被覆圧着部93を圧着しているため、絶縁被覆圧着用型押部に装着した荷重センサーからの波形データにははっきりした異常が認められない場合があった。
図1は、端子圧着装置1を示すもので、この端子圧着装置1は、プレスフレーム2、このプレスフレーム2上に固定された端子圧着台3、この端子圧着台3の上方に上下動可能に設けられているアプリケータ4、このアプリケータ4の下端に装着され、圧着端子90を圧着する端子圧着用型押部5、アプリケータ4の上端にその下端が固定され、かつプレスフレーム2に穿たれた孔2b内を摺動自在に嵌挿されているラム6、そしてこのラム6を上下動させるトグル装置7及び端子配給レバー8等々により構成されている。
一方、上方リンク71の他端は固定部76に、下方リンク72の他端はラム6の上端に、そしてトグル73の他端はフライホイール74の周部に、いずれも回動自在に軸支されている。
フライホイール74は、図示しない駆動モータにより回転され、その回転はトグル73や上方リンク71、下方リンク72を介してラム6に伝達され、ラム6は上下に往復動する。
その結果、この端子配給レバー8は、アプリケータ4の上下動により左右に揺動して杵84を左右に駆動し、図2に示すようにキャリア80により連結されている多数の圧着端子90から圧着端子90を一個ずつ端子圧着台3へと搬送するようになっている。
いま両リンク71と72の長さが等しいと仮定し、垂直方向と下方リンク72が成す角度をθ、そしてトグル73の押圧力をFとすると、下方リンク72がラム6を押す力は、P=F/(2tanθ)で示される。
この力Pが、端子圧着台3上で端子圧着用型押部5が絶縁被覆電線の端末に圧着端子90を圧着する力(以下圧着力という)となる。したがって、ラム6は端子圧着時に、この力Pの反力−Pを受ける。そこでラム6に荷重センサー10aを装着してこの反力−Pの変化を検出して、圧着端子90への圧着力が正常であったかどうかを判断することができる。
センサー11aは、図3に示すように、例えば2枚の互いに直交して装着されるロードセル12a、13aにより構成されている。具体的には一方のロードセル12aは柱6aの軸方向に貼られ、他方のロードセル13aは柱6aの軸に直角に貼り付けられる。そしてロードセル12aは柱6aの軸方向の歪に対応して、ロードセル13aは軸に直角方向の歪に対応して抵抗値が変化する。センサー11bも同様にロードセル12b、13bにより構成されている。
因みに、ラム6の一部を切り欠いて細径の柱6aとし、この部分に荷重センサー10aを装着した理由は、圧着力の反力−Pによる歪を出易くして、検出感度を上げるためであり、感度の点で問題なければ、あえてラム6の一部を切り欠いて細径の柱6aを形成する必要はない。
これら荷重センサー10b、10cについてもそれぞれ図6同様のブリッジ回路が構成される。
前述した荷重センサー10aの端子10ax、10ayは、図7に示すように、波型判定回路20のアンプ21aの入力端子に結線される。アンプ21aの出力端子はA/D変換器22a及び比較器23aの各入力端子に接続される。比較器23aの出力端子はA/D変換器22aのトリガ入力端子に接続され、A/D変換器22aの出力端子はメモリ24aの入力端子に接続される。
荷重センサー10b、10cについても同様にアンプ21b、21cに接続され、これらアンプ21b、21cはさらにA/D変換器22b、22c、比較器23b、23cとそれぞれ結線され、A/D変換器22b、22cはそれぞれメモリ24b、24cに接続される。これらのメモリ24a、24b、24cはさらにCPU25に接続される。
トグル装置7はフライホイール74の回転をトグル73及び上方リンク71、下方リンク72を介してラム6とアプリケータ4に伝えて、これらを往復動させる。
一方、アプリケータ4の往復動に応じて端子配給レバー8が左右に揺動して杵84を動作させ、キャリア80に所定間隔で保持されている複数の圧着端子90から、圧着端子90を一個ずつ端子圧着台3上に搬送し、圧着端子90の絶縁被覆圧着部及び導体圧着部をそれぞれ予め決められている位置に位置決めする。
絶縁被覆電線に圧着端子90を圧着して装着した際、その反力がラム6に加わり、柱6aに歪が生ずる。荷重センサー10aでこの歪を検出して対応する電気信号Vを発生する。
これと同様の処理が、荷重センサー10b、10cについてもそれぞれアンプ21b、21c、A/D変換器22b、22c、比較器23b、23cを介して行われ、出力された波形データを時系列的にメモリ24b、24cに格納する。
そこで本実施例では、従来は同じ端子圧着装置1に同時に設けられることのなかった荷重センサー10aと荷重センサー10b、10cを図1に示すように同じ端子圧着装置1に設ける構成とし、波形判定回路20のCPU25において波形データを互いに演算加工することにより、従来のように各荷重センサー10a、10b、10cからのそれぞれの波形データによる判定だけでは困難であった、軽微な圧着不良をより確実に検出できるようにしたのである。
以下にこの点をより具体的に説明する。
これらの波形は、図7に示される波形判定回路20に入力され、そこで演算処理される。
尚、一般的には、導体圧着部95から外れる導体94の本数が増える程、N1はG1よりも、より下方に現れる。
他方、N2のように正常の波形G1よりも上方に波形が現れる、ということは導体圧着部95が導体94のみならず他のもの、例えばキャリア80から圧着端子90を切り離す際発生した切り屑をも導体94と一緒に圧着したような場合が考えられる。
いずれにせよ、導体圧着用型押部5aに装着した荷重センサー10bの波形から、導体圧着部95における圧着不良を検出できる。
このように、絶縁被覆圧着用型押部5bに装着した荷重センサー10cからの波形をチェックすれば、通常の絶縁被覆圧着部93における圧着不良は精度良く検出可能である。
前述したように、この場合、導体圧着部95では導体94を正常に圧着しているが、絶縁被覆圧着部93の一方の圧着端子が正常に圧着されていない。
このような場合には、導体圧着部95では導体94を正常に把握しているため、導体圧着用型押部5aに装着した荷重センサー10bにはなんら異常は現れない。すなわち導体圧着用型押部5aに装着した荷重センサー10bでは検出できない。
これに対し、ラム6の柱6aに設けた荷重センサー10aによれば、図9(d)のような圧着不良の場合、その波形N4は、図9(a)のような正常な圧着の際現れる波形G3よりも大きな値となって現れることを本発明者らは見出した。
そこでさらに確実に図9(d)のような不良を検出するために、本実施例では、導体圧着用型押部5aの荷重センサー10bの波形の出力値をD1、絶縁被覆圧着用型押部5bの荷重センサー10cの波形の出力値をD2、ラム6の柱6aの荷重センサー10aの波形の出力値をD3としたときに、波形判定回路20のCPU25において差分値△D=D3−(D1+D2)の演算結果を算出し、これを常時監視する。
このように△Dの演算結果を監視することで摺動抵抗の変化をより精度良く検出でき、従来検出できなかった圧着不良をも検出することが可能になる。
それ故、摺動抵抗のばらつきをより細かく捉えることができる。具体的には、摺動抵抗の値がばらつくのは、例えば図9(d)のような圧着不良で絶縁被覆圧着用型押部5bのバランスが崩れたり、あるいは図9(b)に示すような心線こぼれであって、導体圧着用型押部5aのバランスが崩れたような場合で、このようなケースでは、摺動抵抗に変化が現れるため圧着不良を検出することが可能になる。
また絶縁被覆における圧着不良については、キャリア80から圧着端子90を切り離す荷重分に変化が現れることもあるため、△Dを監視することで絶縁被覆における圧着不良をより精度良く検出することもできる。
また上述の実施例から分かるように、複数の荷重センサー10a〜10cそれぞれの波形と、それらを互いに演算加工した演算結果のパターンの組み合わせから、どのタイプの圧着不良なのか、不良モードが判別できるようになる。したがって不良モード別の圧着不良発生頻度を分析することができるようになり、その後の圧着不良対策を行い易くなる利点もある。
具体的には図10(a)に示すように導体圧着用型押部50aにロードセル31a、32a(裏面に31b、32b)からなる加重センサー10bを装着してもよいし、この導体圧着用型押部50aの下端に圧電素子のような荷重センサー51を装着してもよい。同様に、絶縁被覆圧着用型押部50bについても、図10(b)のように荷重センサー10cを装着する。
また本実施例では、ラム6に荷重センサー10aを取り付けたが、絶縁被覆電線に圧着端子を圧着する際に発生する全荷重が加わる部分であれば他の箇所にこの荷重センサー10aを取り付けてもよい。
さらにまた本実施例では、荷重センサー10a〜10cで得られた波形を△D=D3−(D1+D2)で演算加工したが、端子圧着装置1の構成や端子圧着方法の態様などに応じて適宜演算加工方法を変えてもよい。
3 端子圧着台
4 アプリケータ
5a 導体圧着用型押部
5b 絶縁被覆圧着用型押部
6 ラム
7 トグル装置
10 荷重センサー
11 センサー
31、32、36、37 ロードセル
50a 導体圧着用型押部
50b 絶縁被覆圧着用型押部
90 圧着端子
92 絶縁被覆
93 絶縁被覆圧着部
94 導体
95 導体圧着部
Claims (2)
- 絶縁被覆電線の導体に圧着端子の導体圧着部を圧着する導体圧着用型押部と、前記絶縁被覆電線の絶縁被覆に前記圧着端子の絶縁被覆圧着部を圧着する絶縁被覆圧着用型押部とを有する端子圧着装置によって絶縁被覆電線に圧着端子を圧着する際に、前記絶縁被覆電線への前記圧着端子の圧着不良を検出する圧着不良端子検出方法であって、前記導体圧着用型押部、前記絶縁被覆圧着用型押部、及び前記絶縁被覆電線に前記圧着端子を圧着する際に発生する全荷重が加わる部分に各々別個に荷重センサーを取り付け、前記導体圧着用型押部に取り付けた荷重センサーの波形データの出力値をD1、前記絶縁被覆圧着用型押部に取り付けた荷重センサーの波形データの出力値をD2、前記絶縁被覆電線に前記圧着端子を圧着する際に発生する全荷重が加わる部分に取り付けた荷重センサーの波形データの出力値をD3としたときに、△D=D3−(D1+D2)の演算結果を前記絶縁被覆電線に対する前記圧着端子の正常な圧着の際得られる波形データを演算加工した演算結果と比較し、絶縁被覆電線への圧着端子の圧着不良を検出することを特徴とする圧着不良端子検出方法。
- 導体と該導体上に施した絶縁被覆とを有する絶縁被覆電線の導体に圧着端子の導体圧着部を圧着する導体圧着用型押部と、前記絶縁被覆電線の絶縁被覆に前記圧着端子の絶縁被覆圧着部を圧着する絶縁被覆圧着用型押部と、を有する端子圧着装置であって、該端子圧着装置は前記導体圧着用型押部、前記絶縁被覆圧着用型押部、及び前記絶縁被覆電線に前記圧着端子を圧着する際に発生する全荷重が加わる部分に各々別個に加重センサーが取り付けられ、これら3箇所の荷重センサーによって得られる荷重の波形データを演算加工した演算結果を、前記絶縁被覆電線に対する前記圧着端子の正常な圧着の際得られる波形データを互いに演算加工した演算結果と比較し、絶縁被覆電線への圧着端子の圧着不良を検出する検出部をさらに有し、前記検出部は、前記導体圧着用型押部に取り付けた荷重センサーの波形データをD1、前記絶縁被覆圧着用型押部に取り付けた荷重センサーの波形データをD2、前記絶縁被覆電線に前記圧着端子を圧着する際に発生する全荷重が加わる部分に取り付けた荷重センサーの波形データをD3としたときに、演算結果△D=D3−(D1+D2)を前記絶縁被覆電線に対する前記圧着端子の正常な圧着の際得られるものと比較して圧着不良を検出することを特徴とする端子圧着装置。
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