JP4395821B2 - 衛生陶器およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、大便器、小便器、便器のサナ、便器タンク、洗面台の洗面器、手洗い器等の衛生陶器およびその製造法に関する。
【0002】
背景技術
衛生陶器の表面が美観を有し、かつ清浄であることは衛生上および美観上重要である。さらにそのような状態が長期にわたり保たれることは好ましいことである。
【0003】
衛生陶器表面を衛生的に清浄に保ち、美観を保つために、界面活性剤、酸、アルカリ等の洗剤をタワシやブラシに付けて強く衛生陶器表面をこすることが行われている。すなわち、洗剤による化学的洗浄力およびタワシやブラシでこすることによる物理的洗浄力により、表面の汚れを除去する。
【0004】
しかしながら、このような洗浄作業は軽労働とは言い難く、その頻度は低いことが望まれる。さらに、近年、界面活性剤が含有される排水による環境汚染が指摘されていることから、界面活性剤の使用もその量および頻度において低いことが望ましい。
【0005】
このような状況に鑑み、衛生上および美観上に優れた表面を有する衛生陶器の提案もいくつかなされている。
【0006】
例えば、衛生陶器表面にフッ素樹脂またはフルオロアルキル基を含有するシロキサン樹脂を被覆して、表面エネルギーを低下させ、汚れが付着しにくい表面とする方法が提案されている。
【0007】
また、表面をできるだけ滑らかにすることにより汚れの衛生陶器表面への強固な付着を防止しようとする方法が提案されている。しかし、表面の状態と、汚れの付着のし難さ、耐久性、光沢の程度との関係については従来充分な検討はされておらず、平滑表面であれば汚れが付きにくく、美観上好ましいという程度の概念的な認識のもと、平滑な表面を有する衛生陶器が提案されてきたにすぎない。
【0008】
【発明の概要】
本発明者らは、今般、釉薬層表面の状態を制御することで、汚れにくく、耐久性に優れ、あるいは光沢に優れた衛生陶器が得られるとの知見を得た。
【0009】
すなわち、本発明の第一の態様にあっては、汚れが極めて付着しにくく、かつ一度付着した汚れであっても弱い水流により除かれてしまう衛生陶器の提供をその目的としている。
【0010】
また、本発明の第二の態様にあっては、極めて良好な表面光沢性を有する衛生陶器の提供をその目的としている。
【0011】
さらに、本発明の第三の態様にあっては、汚れの付着しにくい衛生陶器の提供をその目的としている。
【0012】
そして、本発明の第一の態様による衛生陶器は、陶器素地上に表面釉薬層を形成した衛生陶器であって、前記表面釉薬層の中心線平均粗さRaが0.07μm未満であるものである。
【0013】
また、本発明の第二の態様による衛生陶器は、陶器素地上に表面釉薬層を形成した衛生陶器であって、前記表面釉薬層のクルトシスRkuが2.70未満であるものである。
【0014】
さらに、本発明の第三の態様による衛生陶器は、陶器素地上に表面釉薬層を形成した衛生陶器であって、前記表面釉薬層の表面が実質的にガラス成分からなり、かつその表面には粒径10μm以上のシリカ粒子の存在が観察されないものである。
【0015】
【発明の具体的説明】
定義
本発明において、「衛生陶器」とは、トイレおよび洗面所周りで用いられる陶器製製品を意味し、具体的には大便器、小便器、便器のサナ、便器タンク、洗面台の洗面器、手洗い器などを意味する。
【0016】
また、「陶器」とは、陶磁器のうち、素地の焼き締まりがやや吸水性のある程度で、かつ表面に釉薬を施したものを意味する。
【0017】
レーザー回析法による粒度分布測定により得られた、例えば「50%粒径」とは、レーザー回析法により測定された粒度分布測定データにおける微粒子側からの微粒子数の累積が50%に達したときの粒子の粒径を意味する。なお、以下本明細書において、単に「50%粒径」または「粒径がD50」とともに粒径に言及する場合、それはレーザー回析法による粒度分布測定により得られた「50%粒径」を意味する。
【0018】
第一の態様による衛生陶器
本発明の第一の態様による衛生陶器は、陶器素地上に表面釉薬層を形成した衛生陶器であって、前記表面釉薬層の中心線平均粗さRaが0.07μm未満であるものである。本発明の好ましい態様によれば、中心線平均粗さRaは、好ましくは0.068μm以下であり、より好ましくは0.05μm以下であり、最も好ましくは0.03μm以下である。本発明者らの知る限りでは、衛生陶器の分野において、その表面粗さを上記範囲まで制御したものはなく、せいぜいRaが0.1μm程度のものが市販されているだけである。
【0019】
本発明による衛生陶器は、尿石、黴、黄ばみ、その他の汚れが付着しにくくなり、またたとえ付着しても弱い水流により除かれてしまう。その結果、長期間に亘り清浄な陶器表面を、頻繁な洗浄操作なしに維持することが可能となる。平滑表面であれば汚れが付きにくいという知見は従来存在した。しかし、その効果の程度は従来の知見からすれば極めて顕著であり、驚くほど予想を超えるものである。例えば、後記する実施例に記載のように、本発明による衛生陶器は、マジックによる汚れが水との接触により浮き上がり、流水で除去されてしまう。また、サラダ油についても同様である。さらに、水垢や尿石の付着の極めてし難く、付着しても簡単に除かれてしまう。このような高度の汚れの付着のし難さ、汚れの除かれ易さは従来の知見からは到底予測不可能な意外なものであった。この効果は上記数値範囲にあることで顕著に得られるが、上記範囲を外れた場合、その効果は顕著に失われてしまう。すなわち、上記数値を境に効果において顕著な差異が生じるのである。
【0020】
このような本発明による効果が得られる機構については定かではないが、次のように考えられる。汚れが表面と接触する面積は、平滑な表面であればあるほど小さくなると考えられる。その結果、表面と汚れとの間に働く相互間力は表面が平滑であればあるほど小さくなるものと考えられる。ここで、この汚れが水で覆われた場合、汚れに働く浮力は汚れの大きさに比例することから、相互間力が小さな平滑な表面の方が汚れが浮き上がりやすく、水により除去されやすいということになる。しかし、この考え方は従来の知見の延長線上にあるものであり、本発明におけるようなある数値を境に生じる顕著な効果の差異を充分に説明出来るものではない。そこで、本発明にあっては、平滑の程度が上記数値範囲にあることで、汚れと釉薬表面との相互作用において何らかの大きな変化が生じているのではないか、と予測される。しかし、これはあくまで予測であって、本発明はこの考え方に限定されるものではない。
【0021】
本発明において、「中心線平均粗さRa」とは、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さlの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸とし、粗さ曲線をY=f(x)で表したとき、次の式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
【0022】
【数1】
本発明において中心線平均粗さRaの測定は、JIS−B0601(1994年)による定義と表示に従い、JIS−B0651(1996年)に準拠した触針式表面粗さ測定装置により実施される。これらJIS基準は日本工業規格(日本国東京都港区赤坂4−1−24)から、その英訳とともに容易に入手可能である。
【0023】
その測定装置の概略は図24に示される通りである。図において、検出器11は触針12とスキッド13とを備え、検出器11は、固定装置15上にある試料14の表面を送り装置16により送られながら、垂直方向の変位を検出する。この変位を拡大装置(図示せず)を通して、指示装置または記録装置に表示することで、表面粗さ曲線を得ることができる。
【0024】
本発明者らの得た知見によれば、本発明による効果は釉薬組成に大きく左右されるものではないが、その組成の好ましい範囲、およびより好ましい範囲を示せば下記の通りである。
【0025】
また、本発明の好ましい態様によれば、釉薬層中に、釉薬以外の添加物を添加することにより付加機能を持たせることも可能である。ここで、釉薬中へ添加できる添加物としては、焼成中に釉薬や雰囲気との反応により化合物が形成されるものが好ましい。例えば、銀、銅、亜鉛又はその化合物、固溶体等の抗菌金属や酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化第二鉄、三酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム、三酸化二ビスマス等の光触媒を添加すると抗菌効果が発揮される。また、上記光触媒の存在により親水性が助長される、光還元性を有する等の効果も得られる。
【0026】
本発明において、上記表面釉薬層の厚さは適宜決定されてよいが、例えば0.1〜3mm程度の厚さが一般的であり、好ましくは0.2〜2mm程度であり、より好ましくは0.3〜1.2mmである。
【0027】
本発明の好ましい態様によれば、本発明による衛生陶器の少なくとも一部には、前記釉薬層が形成されていない部分が設けられてなることが好ましい。本発明による衛生陶器は後記する製造方法によって好ましく製造されるが、この釉薬層が形成されていない部分が焼成中に発生する気体の開放口となり、釉薬層中に気体が入り込み残留して外観不良を発生させることが有効に防止できるからである。特に、陶器素地に釉薬原料を塗布後一度で焼成させる方法を用いた場合に有利である。
【0028】
さらに、本発明の別の態様によれば、陶器素地と表面釉薬層との間に、さらに釉薬層が設けられていてもよい。すなわち、釉薬層が多層構造を有するものであっても、最表層である表面釉薬層の表面が上記Raの数値範囲を満たすものであればよい。より具体的には、陶器素地と表面釉薬層との間に、着色釉薬層が設けられてなり、かつ前記表面釉薬層が透明である態様が好ましいものとして挙げられる。この態様にあっては、表面釉薬層の厚さを薄くでき、焼成中表面釉薬層が極めて軟化しても、釉薬層中に気体が入り込み残留して外観不良を発生させることが有効に防止できるからである。さらに、釉薬成分として亜鉛が含有されている場合、亜鉛成分は焼成時に気化して窯内に亜鉛華として付着し、焼成窯を汚染する。しかし、表面釉薬層を設けた場合には、中間に存在する釉薬層で気化した亜鉛が、表面釉薬層を通過しないと窯内雰囲気に蒸発されない。従って、一層のみの場合と同一の膜厚になるように二層にした場合には、一層の場合と比較して亜鉛華による窯の汚染が抑制される。さらに、亜鉛が表面に組成傾斜を有しながら集中されるので、抗菌性が長期にわたり発揮されるようになるとの利点も得られる。この態様にあっても、上記のように衛生陶器の少なくとも一部には、釉薬層が形成されていない部分が設けられてなることが好ましい。
【0029】
本発明の別の好ましい態様によれば、本発明による衛生陶器の表面釉薬層の水との接触角は30゜未満が好ましく、より好ましくは25゜以下、最も好ましくは20゜以下とされるのがよい。表面釉薬層が親水性表面であることで、汚れが付着しにくく、かつ付着した汚れが容易に除かれる本発明による効果がより高い次元で達成される。
【0030】
本発明による衛生陶器は、具体的には、上記したように大便器、小便器、便器のサナ等の便器の形態とされる。便器においてはボール部、トラップ部の黄ばみ汚れ等が有効に防止され、あるいは容易に除去できる。また、本発明による衛生陶器は、洗面台の洗面器の形態とされる。洗面器においては、ボウル部の石鹸汚れや水垢汚れ等が有効に防止され、あるいは容易に除去できる。
【0031】
本発明の好ましい態様によれば、本発明により衛生陶器は、表面釉薬層を形成する釉薬原料として次のいずれかを用い、これを陶器素地上に適用し、焼成することで好ましく製造出来る。
【0032】
(1)レーザー回折法による粒度分布測定での50%粒径(D50)が1.5μmの釉薬原料を使用する。
【0033】
(2)非晶質釉薬原料、例えばガラス化されたフリット釉薬原料を使用する。
【0034】
(3)非晶質釉薬原料、例えばガラス化されたフリット釉薬原料と、非フリット釉薬原料との混合釉薬を使用する。
【0035】
まず、陶器素地は従来知られた陶器素地あってよい。すなわち、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した衛生陶器素地泥漿を適宜成形したものであってよい。 上記(1)の釉薬原料は、釉薬原料粉体をボールミル等により粉砕することによって用意出来る。このような微粉化された釉薬原料を用いることで本発明による平滑な表面を有する衛生陶器を得ることが出来る。
【0036】
上記(2)の非晶質釉薬原料、例えばガラス化されたフリット釉薬原料は、釉薬原料粉体を1300度以上の高温で溶融させることにより得ることができる。このような予めガラス化された釉薬原料を用いることで、本発明による平滑な表面を有する衛生陶器を得ることができる。
【0037】
さらに、上記(3)の態様にあっては、ガラス化されたフリット釉薬原料のような非晶質釉薬原料と、非フリット釉薬原料との混合物を使用する。非晶質釉薬原料は上記(2)と同様にして得ることができる。
【0038】
上記非フリットの釉薬原料粉体の粒径は特に限定されないが、微細な方が好ましく、50%粒径が6μm以下あることが好ましく、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは1.5μm以下である。
【0039】
また、本発明の好ましい態様によれば、上記(3)において、釉薬原料粉末中のうちの少なくとも焼成後に結晶粒子として残留する成分については、50%の粒径が6μm以下に微細化されたものであることが好ましく、より好ましくは4μm以下である。ここで、釉薬原料粉末中のうちの少なくとも焼成後に結晶粒子として残留する成分には、ジルコン等の顔料粒子や、シリカ(石英)粒子がある。焼成後の釉薬表面に残ったジルコン粒子は樹形状の凸部を形成し、シリカ粒子は凹部を形成する。ここで、衛生陶器の焼成温度(800〜1300℃)において、ジルコン粒子は釉薬中のガラス成分に固溶せずに残存するものであり、シリカ 粒子は粒子表面から釉薬中のガラス成分に固溶していくが、粒が粗いと固溶反応が充分に進行せずに残存するものである。従っていずれの粒子においても原料が微細化されているほうが表面の凹凸が小さくなるので好ましい。
【0040】
さらにシリカ粒子については微細化されていると、耐アルカリ性が向上するために、長期使用時における表面粗さの増大も生じにくくなるので好ましい。
【0041】
本発明の好ましい態様によれば、上記(3)の態様において、非フリット釉薬原料が、その50%粒径が6μm程度のあまり微細化されていないものである場合、混合釉薬におけるフリット釉薬原料の含量は50重量%以下が好ましく、より好ましくは30重量%以下である。焼成にあたり発生する気体が釉薬層中に残留することがなく、外観不良の発生が防止できるからである。
【0042】
また、上記フリット釉薬原料のような非晶質釉薬原料は、非フリット釉薬原料粉体よりも軟化温度が高い原料を使用することが好ましいことがある。これによっても、焼成にあたり発生する気体が釉薬層中に残留することがなく、外観不良の発生が防止できるからである。
【0043】
上記釉薬原料を陶器素地に適用する方法は特に限定されず、、スプレーコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング等の一般的な方法を適宜選択して利用できる。
【0044】
上記のようにして表面釉薬層の前駆層が形成された陶器素地を次に焼成する。焼成温度は、陶器素地が予め焼結されたものであるか、焼成されていなものであるかによって異なってよい。陶器素地が予め焼結されたものでない場合には、陶器素地が焼結し、かつ釉薬が軟化する1000℃以上の温度で焼成することが好ましい。成形素地が予め焼結されたものである場合には、釉薬が軟化可能である300℃以上、好ましくは400℃以上の温度で焼成することが好ましい。衛生陶器の製造コスト観点からは、前者のように陶器素地に釉薬原料を塗布後一度で焼成を済ませる方法が好ましい。一方、後者の方法は既に作製済の衛生陶器にさらに表面釉薬層を形成して、新機能を付与させることができる点で優れている。陶器素地と表面釉薬層との間に、さらに釉薬層が設けられている衛生陶器にあっても、その製造法は、中間に存在する釉薬層の前駆層を形成する工程が加わる以外は上記と同様であってよい。すなわち、中間に存在する釉薬層の前駆層、例えば着色性釉薬層の前駆体を形成し、その上に上記(1)〜(3)の釉薬原料により表面釉薬層の前駆体を形成する以外は、上記と同様であってよい。この場合、表面釉薬層の厚みは一般的には0.05〜1.2mmであり、好ましくは0.1〜0.8mmであり、より好ましくは0.15〜0.4mmである。また、着色性釉薬層の厚みは一般的には0.05〜1.8mmであり、好ましくは0.1〜1.2mmであり、より好ましくは0.2〜0.7mmである。
【0045】
本発明の好ましい態様によれば、着色性釉薬層を陶器素地と表面釉薬層との間に形成する場合、着色性釉薬層を形成可能な釉薬原料のD50は4μm以上であることが好ましい。このような粒径の着色性釉薬原料を用い、かつ上記(1)〜(3)の釉薬原料を組み合わせて用いることにより、焼成にあたり発生する気体が釉薬層中に残留することがなく、外観不良の発生が防止できるからである。
【0046】
さらに本発明の第一の態様の好ましい態様によれば、着色性釉薬層を陶器素地と表面釉薬層との間に形成する場合、上記(3)の混合釉薬の利用が好ましい。さらに好ましくは、非フリット釉薬原料が、その50%粒径が6μm以下に微細化されかつ顔料および/または乳濁剤(具体的にはZrO2)を欠いたものであり、さらにフリット釉薬原料が混合釉薬の50〜99重量%、好ましくは60〜95重量%、を占めるものの利用がこのましい。最も好ましくは非フリット釉薬原料:フリット釉薬原料が30:70〜10:90である。この場合の焼成温度は800〜1300℃が好ましい。従って、この好ましい製造法をまとめると、陶器素地にまず顔料と、乳濁剤とが添加されている着色性釉薬原料を適用し、さらに顔料と乳濁剤とを含まない透明性の非フリット釉薬原料と、フリット釉薬とを50〜99重量%(好ましくは60〜90重量%)で混合した混合釉薬を適用し、その後800〜1300℃の温度で焼成する方法である。
【0047】
第二の態様による衛生陶器
本発明の第二の態様による衛生陶器は、陶器素地上に表面釉薬層を形成した衛生陶器であって、表面釉薬層のクルトシスRkuが2.70未満、好ましくは2.60以下、より好ましくは2.50以下であるものである。
【0048】
この本発明の第二の態様によれる衛生陶器は、極めて良好な表面光沢性を有する。
【0049】
本発明においてクルトシスRkuは、次のように定義される。すなわち、上記の本発明の第一の態様において説明した粗さ曲線をY=f(x)から、次の式によって求められる。
【0050】
【数2】
そして、クルトシス(とがり)Rkuは、振幅分布曲線の鋭角性を定量的に表すパラメータで、次の式により求められるものである。
【0051】
【数3】
本発明の第二の態様による衛生陶器は、上記の本発明の第一の態様の場合と同様に、大便器、小便器、便器のサナ等の便器、洗面台の洗面器等の形態とされる。 また、本発明の第二の態様における衛生陶器の釉薬層の組成、その厚さ、その他の好ましい態様、その製造法は、上記本発明の第一の態様と同様であってよい。具体的には次の通りである。
【0052】
本発明者らの得た知見によれば、本発明による効果は釉薬組成に大きく左右されるものではないが、その組成の好ましい範囲、およびより好ましい範囲を示せば下記の通りである。
【0053】
また、本発明の好ましい態様によれば、釉薬層中に、釉薬以外の添加物を添加することにより付加機能を持たせることも可能である。ここで、釉薬中へ添加できる添加物としては、焼成中に釉薬や雰囲気との反応により化合物が形成されるものが好ましい。例えば、銀、銅、亜鉛又はその化合物、固溶体等の抗菌金属や酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化第二鉄、三酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム、三酸化二ビスマス等の光触媒を添加すると抗菌効果が発揮される。また、上記光触媒の存在により親水性が助長される、光還元性を有する等の効果も得られる。
【0054】
本発明において、上記表面釉薬層の厚さは適宜決定されてよいが、例えば0.1〜3mm程度の厚さが一般的であり、好ましくは0.2〜2mm程度であり、より好ましくは0.3〜1.2mmである。
【0055】
本発明の好ましい態様によれば、本発明による衛生陶器の少なくとも一部には、前記釉薬層が形成されていない部分が設けられてなることが好ましい。本発明による衛生陶器は後記する製造方法によって好ましく製造されるが、この釉薬層が形成されていない部分が焼成中に発生する気体の開放口となり、釉薬層中に気体が入り込み残留して外観不良を発生させることが有効に防止できるからである。特に、陶器素地に釉薬原料を塗布後一度で焼成させる方法を用いた場合に有利である。
【0056】
さらに、本発明の別の態様によれば、陶器素地と表面釉薬層との間に、さらに釉薬層が設けられていてもよい。すなわち、釉薬層が多層構造を有するものであっても、最表層である表面釉薬層の表面が上記Rkuの数値範囲を満たすものであればよい。より具体的には、陶器素地と表面釉薬層との間に、着色釉薬層が設けられてなり、かつ前記表面釉薬層が透明である態様が好ましいものとして挙げられる。この態様にあっては、表面釉薬層の厚さを薄くでき、焼成中表面釉薬層が極めて軟化しても、釉薬層中に気体が入り込み残留して外観不良を発生させることが有効に防止できるからである。さらに、釉薬成分として亜鉛が含有されている場合、亜鉛成分は焼成時に気化して窯内に亜鉛華として付着し、焼成窯を汚染する。しかし、表面釉薬層を設けた場合には、中間に存在する釉薬層で気化した亜鉛が、表面釉薬層を通過しないと窯内雰囲気に蒸発されない。従って、一層のみの場合と同一の膜厚になるように二層にした場合には、一層の場合と比較して亜鉛華による窯の汚染が抑制される。さらに、亜鉛が表面に組成傾斜を有しながら集中されるので、抗菌性が長期にわたり発揮されるようになるとの利点も得られる。この態様にあっても、上記のように衛生陶器の少なくとも一部には、釉薬層が形成されていない部分が設けられてなることが好ましい。この場合、表面釉薬層の厚みは一般的には0.05〜1.2mmであり、好ましくは0.1〜0.8mmであり、より好ましくは0.15〜0.4mmである。また、着色性釉薬層の厚みは一般的には0.05〜1.8mmであり、好ましくは0.1〜1.2mmであり、より好ましくは0.2〜0.7mmである。
【0057】
本発明の好ましい態様によれば、本発明により衛生陶器は、表面釉薬層を形成する釉薬原料として次のいずれかを用い、これを陶器素地上に適用し、焼成することで好ましく製造出来る。
【0058】
(1)レーザー回折法による粒度分布測定での50%粒径(D50)が1.5μmの釉薬原料を使用する。
【0059】
(2)非晶質釉薬原料、例えばガラス化されたフリット釉薬原料を使用する。
【0060】
(3)非晶質釉薬原料、例えばガラス化されたフリット釉薬原料と、非フリット釉薬原料との混合釉薬を使用する。
【0061】
まず、陶器素地は従来知られた陶器素地あってよい。すなわち、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した衛生陶器素地泥漿を適宜成形したものであってよい。 上記(1)の釉薬原料は、釉薬原料粉体をボールミル等により粉砕することによって用意出来る。このような微粉化された釉薬原料を用いることで本発明による平滑な表面を有する衛生陶器を得ることが出来る。
【0062】
上記(2)の非晶質釉薬原料、例えばガラス化されたフリット釉薬原料は、釉薬原料粉体を1300℃以上の高温で溶融させることにより得ることができる。このような予めガラス化された釉薬原料を用いることで、本発明による平滑な表面を有する衛生陶器を得ることができる。
【0063】
さらに、上記(3)の態様にあっては、ガラス化されたフリット釉薬原料のような非晶質釉薬原料と、非フリット釉薬原料との混合物を使用する。非晶質釉薬原料は上記(2)と同様にして得ることができる。
【0064】
上記非フリットの釉薬原料粉体の粒径は特に限定されないが、微細な方が好ましく、50%粒径が6μm以下あることが好ましく、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは1.5μm以下である。
【0065】
また、本発明の好ましい態様によれば、上記(3)の態様において、釉薬原料粉体中のうちの少なくともシリカ粒子は50%粒径が6μm以下に微細化されたものであることが好ましく、より好ましくは4μm以下である。この態様においては、焼成後に未反応で表面に残留するシリカ粒子を低減することができる。本発明者らの得た知見によれば、便器のようにアルカリ水(アンモニア含有水)に晒される環境で使用される場合、シリカ粒子近傍が優先的劣化し、表面の平滑性の低下させることが見出された。より詳細には、焼成後の釉薬表面に残ったシリカ粒子またはジルコン粒子はその表面に凹凸を形成する。そして、この凹凸の周囲が、アルカリ環境下において2ヶ月程度の極めて短期間で優先的に溶解してしまうことが観察された。上記のようにシリカ粒子の粒径を制御することで、このような凹凸の形成を有効に防止できる。それによって、表面釉薬層の耐アルカリ性を大きく向上させることが出来るとの利点が得られる。
【0066】
本発明の好ましい態様によれば、上記(3)の態様において、非フリット釉薬原料が、その50%粒径が6μm程度のあまり微細化されていないものである場合、混合釉薬におけるフリット釉薬原料の含量は50重量%以下が好ましく、より好ましくは30重量%以下である。焼成にあたり発生する気体が釉薬層中に残留することがなく、外観不良の発生が防止できるからである。
【0067】
また、上記フリット釉薬原料のような非晶質釉薬原料は、非フリット釉薬原料粉体よりも軟化温度が高い原料を使用することが好ましいことがある。これによっても、焼成にあたり発生する気体が釉薬層中に残留することがなく、外観不良の発生が防止できるからである。
【0068】
上記釉薬原料を陶器素地に適用する方法は特に限定されず、、スプレーコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング等の一般的な方法を適宜選択して利用できる。
【0069】
上記のようにして表面釉薬層の前駆層が形成された陶器素地を次に焼成する。焼成温度は、陶器素地が予め焼結されたものであるか、焼成されていなものであるかによって異なってよい。陶器素地が予め焼結されたものでない場合には、陶器素地が焼結し、かつ釉薬が軟化する1000℃以上の温度で焼成することが好ましい。成形素地が予め焼結されたものである場合には、釉薬が軟化可能である300℃以上、好ましくは400℃以上の温度で焼成することが好ましい。衛生陶器の製造コスト観点からは、前者のように陶器素地に釉薬原料を塗布後一度で焼成を済ませる方法が好ましい。一方、後者の方法は既に作製済の衛生陶器にさらに表面釉薬層を形成して、新機能を付与させることができる点で優れている。
陶器素地と表面釉薬層との間に、さらに釉薬層が設けられている衛生陶器にあっても、その製造法は、中間に存在する釉薬層の前駆層を形成する工程が加わる以外は上記と同様であってよい。すなわち、中間に存在する釉薬層の前駆層、例えば着色性釉薬層の前駆体を形成し、その上に上記(1)〜(3)の釉薬原料により表面釉薬層の前駆体を形成する以外は、上記と同様であってよい。
【0070】
本発明の好ましい態様によれば、着色性釉薬層を陶器素地と表面釉薬層との間に形成する場合、着色性釉薬層を形成可能な釉薬原料のD50は4μm以上であることが好ましい。このような粒径の着色性釉薬原料を用い、かつ上記(1)〜(3)の釉薬原料を組み合わせて用いることにより、焼成にあたり発生する気体が釉薬層中に残留することがなく、外観不良の発生が防止できるからである。
【0071】
第三の態様による衛生陶器
本発明の第三の態様による衛生陶器は、陶器素地上に表面釉薬層を形成した衛生陶器であって、前記表面釉薬層の表面が実質的にガラス成分からなり、かつその表面には粒径10μm以上のシリカ粒子の存在が観察されないものである。
【0072】
本発明の第三の態様による衛生陶器は、耐アルカリ性に優れたものであり、その優れた耐アルカリ性の結果、長期間汚れの付着および菌の繁殖を有効に防止することができる衛生陶器である。
【0073】
本発明者らは、次のような事実を実験的に確認した。まず、従来、衛生陶器の表面は充分にガラス化され、その表面は平滑であると認識されていた。しかし、その表面にはシリカ粒子が充分にガラス化せずに残っていた。そして、このシリカ粒子は、焼成後、周りのガラス相との間で残留応力を生じさせ、何等かの外力が加わったときにクラックが発生しやすくなることがわかった。クラックが発生した衛生陶器をアンモニア水環境や石鹸水環境などのアルカリ環境下で使用すると、ガラス相の溶解反応が起こるため、クラックは増大し、さらにはシリカ粒子が欠落してしまった。こうして生じたクラックやシリカ粒子の欠落による凹部は、菌の温床になったり、汚物の付着点となり、衛生陶器や洗面器の汚れるのを促進していたということが確認された。より詳細には、便器は常に尿がかけられる環境で使用され、尿は便器に存在する細菌の有する酵素ウレアーゼによりアンモニアに分解される。すなわち、便器は常にアンモニア性アルカリ環境に晒され、シリカ粒子周囲のクラックの拡大やシリカ粒子の欠落が生じうる環境で使用される。また、洗面器はアルカリ性を呈する石鹸水がかけられる環境で使用され、シリカ粒子周囲のクラックの拡大やシリカ粒子の欠落が生じうる。
【0074】
そして、本発明者らは、今般、アルカリ環境下での使用に際し解決されるべき課題である上記の機構による汚れは、表面釉薬層の表面が実質的にガラス成分からなり、かつその表面に粒径10μm以上のシリカ粒子が存在しないように制御することで充分に防止できるとの知見を得たのである。
【0075】
本発明の好ましい態様によれば、表面釉薬層全体が実質的にガラス成分からなり、かつ粒径10μm以上のシリカ粒子が存在しないものであることが好ましい。 本発明の第三の態様による衛生陶器は、上記の本発明の第一の態様の場合と同様に、大便器、小便器、便器のサナ等の便器、洗面台の洗面器等の形態とされる。 本発明者らの得た知見によれば、本発明による効果は釉薬組成に大きく左右されるものではなく、上記本発明の第一の態様の場合と同様であってよい。従って、その組成の好ましい範囲、およびより好ましい範囲を示せば下記の通りである。
【0076】
また、本発明の好ましい態様によれば、釉薬層中に、釉薬以外の添加物を添加することにより付加機能を持たせることも可能である。ここで、釉薬中へ添加できる添加物としては、焼成中に釉薬や雰囲気との反応により化合物が形成されるものが好ましい。例えば、銀、銅、亜鉛又はその化合物、固溶体等の抗菌金属や酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化第二鉄、三酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム、三酸化二ビスマス等の光触媒を添加すると抗菌効果が発揮される。また、上記光触媒の存在により親水性が助長される、光還元性を有する等の効果も得られる。
【0077】
本発明において、上記表面釉薬層の厚さは適宜決定されてよいが、例えば0.1〜3mm程度の厚さが一般的であり、好ましくは0.2〜2mm程度であり、より好ましくは0.3〜1.2mmである。
【0078】
本発明の好ましい態様によれば、本発明による衛生陶器の少なくとも一部には、前記釉薬層が形成されていない部分が設けられてなることが好ましい。本発明による衛生陶器は後記する製造方法によって好ましく製造されるが、この釉薬層が形成されていない部分が焼成中に発生する気体の開放口となり、釉薬層中に気体が入り込み残留して外観不良を発生させることが有効に防止できるからである。特に、陶器素地に釉薬原料を塗布後一度で焼成させる方法を用いた場合に有利である。
【0079】
さらに、本発明の別の態様によれば、陶器素地と表面釉薬層との間に、さらに釉薬層が設けられていてもよい。すなわち、釉薬層が多層構造を有するものであっても、最表層である表面釉薬層の表面が粒径10μm以上のシリカ粒子を含まないものであればよい。より具体的には、陶器素地と表面釉薬層との間に、着色釉薬層が設けられてなり、かつ前記表面釉薬層が透明である態様が好ましいものとして挙げられる。この態様にあっては、表面釉薬層の厚さを薄くでき、焼成中表面釉薬層が極めて軟化しても、釉薬層中に気体が入り込み残留して外観不良を発生させることが有効に防止できるからである。さらに、釉薬成分として亜鉛が含有されている場合、亜鉛成分は焼成時に気化して窯内に亜鉛華として付着し、焼成窯を汚染する。しかし、表面釉薬層を設けた場合には、中間に存在する釉薬層で気化した亜鉛が、表面釉薬層を通過しないと窯内雰囲気に蒸発されない。従って、一層のみの場合と同一の膜厚になるように二層にした場合には、一層の場合と比較して亜鉛華による窯の汚染が抑制される。さらに、亜鉛が表面に組成傾斜を有しながら集中されるので、抗菌性が長期にわたり発揮されるようになるとの利点も得られる。この態様にあっても、上記のように衛生陶器の少なくとも一部には、釉薬層が形成されていない部分が設けられてなることが好ましい。
【0080】
この場合、表面釉薬層の厚みは一般的には0.05〜1.2mmであり、好ましくは0.1〜0.8mmであり、より好ましくは0.15〜0.4mmである。また、着色性釉薬層の厚みは一般的には0.05〜1.8mmであり、好ましくは0.1〜1.2mmであり、より好ましくは0.2〜0.7mmである。
【0081】
さらに本発明の好ましい態様によれば、本発明の第三の態様による衛生陶器は、その表面釉薬層の表面が、上記本発明の第一の態様において定義された中心線平均粗さRaが0.07μm未満であることが好ましく、より好ましくは0.068μm以下であり、より好ましくは0.05μm以下であり、最も好ましくは0.03μm以下である。Raが上記値を有することで、より汚れが付着し難い衛生陶器が得られる。
【0082】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の第三の態様による衛生陶器は下記の方法により好ましく製造される。
【0083】
まず、陶器素地は従来知られた陶器素地あってよい。すなわち、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した衛生陶器素地泥漿を適宜成形したものであってよい。 表面釉薬層を形成する釉薬としては、90%粒径が20μm以下、好ましくは10μm以下の釉薬、または50%粒径が5μm以下の釉薬の利用が好ましい。上記範囲の粒径の釉薬を使用することにより、1100〜1300℃程度の焼成温度でシリカ粒子が充分にガラス化されることから、表面に粒径10μm以上のシリカ粒子が残存することを有効に防止できる。上記粒径の釉薬は釉薬原料をボールミルやビーズミルにより粉砕することにより得ることができる。
【0084】
さらに本発明の別の好ましい態様によれば、釉薬として、90%粒径が15μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは6μm以下のシリカ粒子、または50%粒径が5μm以下のシリカ粒子と、シリカ成分を除いた釉薬原料とを混合した混合釉薬を用いることが好ましい。すなわち、シリカの粒子径を他の釉薬原料とは別に制御することが好ましい。上記範囲の粒径の釉薬を使用することにより、1100〜1300℃程度の焼成温度でシリカ粒子が充分にガラス化されることから、表面に粒径10μm以上のシリカ粒子が残存することを有効に防止できる。上記粒径のシリカ粒子は、例えば、天然のケイ砂や市販の長石原料をボールミルやビーズミルにより粉砕することにより得ることができる。
【0085】
本発明の好ましい態様によれば、釉薬として、フリット釉薬原料のような非晶質釉薬原料と、非フリット釉薬原料との混合釉薬を利用することが好ましい。フリット釉薬原料は、ケイ砂、長石、石灰、粘土、顔料等からなる釉薬原料を1300℃以上の高温で溶融することにより得ることができる。
【0086】
本発明のさらに好ましい態様によれば、この混合釉薬の非フリット釉薬原料は90%粒径が20μm以下、好ましくは10μm以下の釉薬、または50%粒径が5μm以下の釉薬であることが好ましい。
【0087】
上記釉薬原料を陶器素地に適用する方法は特に限定されず、、スプレーコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング等の一般的な方法を適宜選択して利用できる。
【0088】
上記のようにして表面釉薬層の前駆層が形成された陶器素地を次に焼成する。焼成温度は、陶器素地が予め焼結されたものであるか、焼成されていなものであるかによって異なってよい。陶器素地が予め焼結されたものでない場合には、陶器素地が焼結し、かつ釉薬が軟化する1000℃以上、好ましくは1300℃以下の温度で焼成することが好ましい。成形素地が予め焼結されたものである場合には、釉薬が軟化可能である400℃以上の温度で焼成することが好ましい。衛生陶器の製造コスト観点からは、前者のように陶器素地に釉薬原料を塗布後一度で焼成を済ませる方法が好ましい。
【0089】
一方、後者の方法は既に作製済の衛生陶器にさらに表面釉薬層を形成して、新機能を付与させることができる点で優れている。
【0090】
陶器素地と表面釉薬層との間に、さらに釉薬層が設けられている衛生陶器にあっても、その製造法は、中間に存在する釉薬層の前駆層を形成する工程が加わる以外は上記と同様であってよい。すなわち、中間に存在する釉薬層の前駆層、例えば着色性釉薬層の前駆体を形成し、その上に上記の釉薬原料により表面釉薬層の前駆体を形成する以外は、上記と同様であってよい。
【0091】
さらに本発明の第三の態様の好ましい態様によれば、着色性釉薬層を陶器素地と表面釉薬層との間に形成する場合、上記した非フリット釉薬原料とフリット釉薬原料との混合釉薬の利用が好ましい。さらに好ましくは、非フリット釉薬原料が、その50%粒径が6μm以下に微細化されかつ顔料および/または乳濁剤 (具体的にはZrO2)を欠いたものであり、さらにフリット釉薬原料が混合釉薬の50〜99重量%、好ましくは60〜95重量%、を占めるものの利用がこのましい。最も好ましくは非フリット釉薬原料:フリット釉薬原料が30:70〜10:90である。この場合の焼成温度は800〜1300℃が好ましい。従って、この好ましい製造法をまとめると、陶器素地にまず顔料と、乳濁剤とが添加されている着色性釉薬原料を適用し、さらに顔料と乳濁剤とを含まない透明性の非フリット釉薬原料と、フリット釉薬とを50〜99重量%(好ましくは60〜90重量%)で混合した混合釉薬を適用し、その後800〜1300℃の温度で焼成する方法である。
【0092】
[実 施 例]
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、実施例A、実施例B、および実施例Dは、上記した第一の態様、第二の態様、そして第四の態様による発明についての実施例であり、実施例C、すなわち第三の態様による発明に対しては参考例となる。
【0093】
実施例A
釉薬組成
以下の実施例Aおよび比較例Aにあって、釉薬基材Aとは以下の組成を有するものを意味する。 (重量%)
SiO2 55〜80
Al2O3 5〜13
Fe2O3 0.1〜0.4
MgO 0.8〜3.0
CaO 8〜17
ZnO 3〜8
K2O 1〜4
Na2O 0.5〜2.5
ZrO2 0.1〜15
顔料 1〜20
【0094】
試験方法
以下の実施例および比較例における評価測定試験方法は以下の通りとした。
【0095】
試験1:水との接触角
試料表面と水との接触角は、接触角測定器(協和界面科学製、CA−X150)を用いて測定した。具体的には、マイクロシリンジから試料表面に水滴を滴下した後、30秒後に測定した値を接触角とした。
【0096】
試験2:汚れのとれ易さ
試料表面に黒色の油性マジック(マジックインキ#700)により、φ10mmの内部を塗りつぶし、約1分間室温で乾燥させた。その後、3mlの水を滴下し、マジックが浮き上がってくるかおよび試料を傾けた際にマジックが洗い流されるかどうかを調べた。
【0097】
試験3:水中での油汚れのとれ易さ
試料表面にサラダ油0.01gを滴下した後、試料全体を水槽中に沈め、表面に付着していたサラダ油が水面に浮き上がってくるまでの時間を調べた。
【0098】
試験4:尿石の付着
東陶機器製ストール小便器(U307C)のトラップ部分に板状試験片を設置し、通常の使用条件下で7日間放置した。その後、表面の尿石付着量を目視で評価した。
【0099】
試験5:石鹸汚れの付着
液体石鹸が用意された洗面台の排水口付近に板状試験片を設置し、通常の使用条件下で7日間放置した。その後、表面の石鹸汚れ付着量を目視で評価した。
【0100】
実施例A1
釉薬基材A600gと水400gおよびアルミナボール1kgを、容積2リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約65時間粉砕して、釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が98%、50%平均粒径(D50)が1.2μmであった。
【0101】
次に、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した衛生陶器素地泥漿を用いて、70×150mmの板状成形体を作製した。この板状成形体上に、上記の釉薬をスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0102】
得られた試料について、触針式表面粗さ測定器(JIS−B0651)を用い、中心線表面粗さRa(JIS−B0601)を測定した。その結果、Ra=0.02μmであった。また、原子間力顕微鏡(AFM;Digital Instruments製、Nano ScopeIII)を用いて、100×100μm範囲の表面粗さを測定したところ、Ra=4.3nmであった。
【0103】
触針式表面粗さ測定器より得られた表面の拡大図は図3に通りであった。また、走査型電子顕微鏡による、表面の反射電子像による凹凸像は図8(a)に、組成像は図8(b)に示されるとおりであった。さらに、原子間力顕微鏡(AFM)観察により得られた表面の拡大図は図11に示される通りであった。
【0104】
得られた試料について、上記試験1〜5を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:水との接触角は20゜であった。
試験2:水滴下約30秒後にマジックが水面に浮き上がり、試料を傾けると水とともに洗い流され、表面のマジックは全て無くなった。
試験3:水没後35秒後にサラダ油が水面に浮き上がってきた。
試験4:尿石付着量は後記する比較例A1よりも少なく、流水により一部分の付着した尿石が洗い落とされた。
試験5:石鹸汚れ付着量は後記する比較例A1よりも少なく、水を含ませたスポンジでこすることにより、石鹸汚れが落ちて元の釉薬層表面が露出した。
【0105】
実施例A2
釉薬基材Aの組成から、乳濁剤であるZrO2成分および顔料を除いたもの
600gと、水400gおよびアルミナボール1kgを、容積2リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約65時間粉砕して、釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が98%、50%平均粒径(D50)が1.5μmであった。
【0106】
次に、実施例A1と同様の板状成形体に、上記の釉薬を板状成形体上にスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。なお、この試料の釉薬層は透明であった。
【0107】
得られた試料について、実施例A1と同様に表面粗さを測定したところ、触針式ではRa=0.03μm、AFMではRa=3.5nmであった。
【0108】
原子間力顕微鏡(AFM)観察により得られた表面の拡大図は図12に示される通りであった。
【0109】
得られた試料について、上記試験1〜5を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:水との接触角は15゜であった。
試験2:水滴下約20秒後にマジックが水面に浮き上がり、試料を傾けると水とともに洗い流され、表面のマジックは全て無くなった。
試験3:水没後15秒後にサラダ油が水面に浮き上がってきた。
試験4:尿石付着量は後記する比較例A1よりも少なく、流水により一部分の付着した尿石が洗い落とされた。
試験5:石鹸汚れ付着量は後記する比較例1よりも少なく、水を含ませたスポンジでこすることにより、石鹸汚れが落ちて元の釉薬層表面が露出した。
【0110】
実施例A3
釉薬基材Aを電気炉を用いて1300〜1450℃にて溶融し、水中で急冷してガラスフリットを得た。これをスタンプミルにより粉砕し、得られた粉末600gと水400gおよびアルミナボール1kgを、容積2リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して、フリット釉を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、得られたフリット釉スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が68%、50%平均粒径(D50)が6.0μmであった。 次に、実施例A1と同様の板状成形体に上記のフリット釉をスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。 得られた試料について、実施例A1と同様に表面粗さを測定したところ、触針式ではRa=0.03μm、AFMではRa=4.0nmであった。
【0111】
触針式表面粗さ測定器より得られた表面の拡大図は図4に示される通りであった。また、原子間力顕微鏡(AFM)観察により得られた表面の拡大図は図13に示される通りであった。
【0112】
得られた試料について、上記試験1〜5を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:水との接触角は20゜であった。
試験2:水滴下約25秒後にマジックが水面に浮き上がり、試料を傾けると水とともに洗い流され、表面のマジックは全て無くなった。
試験3:水没後20秒後にサラダ油が水面に浮き上がってきた。
試験4:尿石付着量は後記する比較例A1よりも少なく、流水により一部分の付着した尿石が洗い落とされた。
試験5:石鹸汚れ付着量は後記する比較例A1よりも少なく、水を含ませたスポンジでこすることにより、石鹸汚れが落ちて元の釉薬層表面が露出した。
【0113】
実施例A4
実施例A3で得たフリット釉(D50=12μm)スラリー70重量部と、実施例A1で得た微粒化釉薬(D50=1.2μm)スラリー30重量部とを混合して混合釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、この混合釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が57%、50%平均粒径(D50)が6.3μmであった。
【0114】
次に、実施例A1と同様の板状成形体に上記の釉薬スラリーを板状成形体上にスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0115】
得られた試料について、実施例A1と同様に表面粗さを測定したところ、表面粗さは触針式ではRa=0.02μm、AFMではRa=4.7nmであった。
得られた試料について、上記試験1〜5を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:水との接触角は20゜であった。
試験2:水滴下約20秒後にマジックが水面に浮き上がり、試料を傾けると水とともに洗い流され、表面のマジックは全て無くなった。
試験3:水没後20秒後にサラダ油が水面に浮き上がってきた。
試験4:尿石付着量は後記する比較例A1よりも少なく、流水により一部分の付着した尿石が洗い落とされた。
試験5:石鹸汚れ付着量は後記する比較例A1よりも少なく、水を含ませたスポンジでこすることにより、石鹸汚れが落ちて元の釉薬層表面が露出した。
【0116】
実施例A5
釉薬基材A2kgと水1kgおよび球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して、釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50%平均粒径(D50)が6.2μmであった。
【0117】
次に、実施例A1と同様の板状成形体に、まず、下層として上記釉薬をスプレーコーティングし、続いて、上層として実施例A3のフリット釉をスプレーコーティングした。その後、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。 得られた試料について、実施例A1と同様に表面粗さを測定したところ、触針式ではRa=0.03μm、AFMではRa=3.8nmであった。
【0118】
原子間力顕微鏡(AFM)観察により得られた表面の拡大図は図14に示される通りであった。
【0119】
得られた試料について、上記試験1〜5を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:水との接触角は20°であった。
試験2:水滴下後約20秒後にマジックが水面に浮き上がり、試料を傾けると水とともに洗い流され、表面のマジックは全て無くなった。
試験3:水没後20秒後にサラダ油が水面に浮き上がってきた。
試験4:尿石付着量は後記する比較例A1よりも少なく、流水により一部分の付着した尿石が洗い落とされた。
試験5:石鹸汚れ付着量は後記する比較例A1よりも少なく、水を含ませたスポンジでこすることにより、石鹸汚れが落ちて元の釉薬層表面が露出した。
【0120】
実施例A6
釉薬基材AからZrO2および顔料を除いたものを電気炉を用いて1300〜1450℃にて溶融し、水中で急冷してガラスフリットを得た。これを、スタンプミルにより粉砕し、得られた粉末600gと水400gおよびアルミナボール1kgを、容積2リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して、フリット釉を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、得られたフリット釉スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が68%、50%平均粒径(D50)が6.0μmであった。
【0121】
次に、実施例A1と同様の板状成形体に、下層として実施例A5の釉薬スラリーをスプレーコーティングし、続いて、上層として上記フリット釉スラリーをスプレーコーティングした後、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0122】
得られた試料について、実施例A1と同様に表面粗さを測定したところ、触針式ではRa=0.05μmであった。触針式表面粗さ測定器より得られた表面の拡大図は図5に示される通りであった。
【0123】
得られた試料について、上記試験1〜5を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:水との接触角は16°であった。
試験2:水滴下後約30秒後にマジックが水面に浮き上がり、試料を傾けると水とともに洗い流され、表面のマジックは全て無くなった。
試験3:水没後25秒後にサラダ油が水面に浮き上がってきた。
試験4:尿石付着量は後記する比較例A1よりも少なく、流水により一部分の付着した尿石が洗い落とされた。
試験5:石鹸汚れ付着量は後記する比較例A1よりも少なく、水を含ませたスポンジでこすることにより、石鹸汚れが落ちて元の釉薬層表面が露出した。
【0124】
実施例A7
実施例A6で得たフリット釉(D50=6.0μm)スラリー80重量部と、実施例A2で得た乳濁剤と顔料を含まない釉薬(D50=6.5μm)スラリー20重量部とを混合して、混合釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、この混合釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が57%、50%平均粒径(D50)が6.3μmであった。
【0125】
次に、実施例A1と同様の板状成形体に、下層として実施例A5の釉薬スラリーをスプレーコーティングし、続いて、上層として上記混合釉薬スラリーをスプレーコーティングした後、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0126】
得られた試料について、実施例A1と同様に表面粗さを測定したところ、触針式ではRa=0.06μmであった。触針式表面粗さ測定器より得られた表面の拡大図は図6に示される通りであった。
【0127】
得られた試料について、上記試験1〜5を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:水との接触角果は19°であった。
試験2:水滴下後約30秒後にマジックが水面に浮き上がり、試料を傾けると水とともに洗い流され、表面のマジックは全て無くなった。
試験3:水没後30秒後にサラダ油が水面に浮き上がってきた。
試験4:尿石付着量は後記する比較例A1よりも少なく、流水により一部分の付着した尿石が洗い落とされた。
試験5:石鹸汚れ付着量は後記する比較例A1よりも少なく、水を含ませたスポンジでこすることにより、石鹸汚れが落ちて元の釉薬層表面が露出した。
【0128】
比較例A1
実施例A5で得た釉薬を、実施例A1と同様の板状成形体にスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
得られた試料について、実施例A1と同様に表面粗さを測定したところ、触針式ではRa=0.10μm、AFMではRa=18.0nmであった。
【0129】
触針式表面粗さ測定器より得られた表面の拡大図は図1に示される通りであった。また、走査型電子顕微鏡による、表面の反射電子像による凹凸像は図7(a)に、組成像は図7(b)に示す。また、原子間力顕微鏡(AFM)観察により得られた表面の拡大図は図9に示される通りであった。
【0130】
得られた試料について、上記試験1〜5を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:水との接触角は30゜であった。
試験2:マジックは水面に浮き上がらず、試料を傾けても表面に残ったままであった。
試験3:水没後50秒後にサラダ油が水面に浮き上がってきた。
試験4:試験片の釉薬層表面には、大量の尿石が付着しており、流水を用いても除去することはできなかった。
試験5:試験片の釉薬層表面には、ほぼ全面に石鹸汚れが付着しており、水を含ませたスポンジたわしを用いて表面をこすったが、石鹸汚れはなかなか落ちなかった。
【0131】
比較例A2
市販されている洋風大便器(色:アイボリー)について、実施例A1と同様に表面粗さを測定したところ、触針式ではRa=0.07μm、AFMではRa=10.4nmであった。
【0132】
触針式表面粗さ測定器より得られた表面の拡大図は図2に示される通りであった。また、原子間力顕微鏡(AFM)観察により得られた表面の拡大図は図10に示される通りであった。
【0133】
また、この市販の便器について上記試験1〜3を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:水との接触角は50゜であった。
試験2:水滴下後もマジックは水面に浮き上がらず、試料を傾けても表面に残ったままであった。
試験3:水没後120秒後にサラダ油が水面に浮き上がってきた。
【0134】
【表1】
【表2】
実施例B
実施例B1
釉薬基材A600gと水400gおよびアルミナボール1kgを、容積2リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約65時間粉砕して、釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が98%、50%平均粒径(D50)が1.2μmであった。
【0135】
次に、ケイ砂、長石、粘度等を原料として調整した衛生陶器素地泥漿を用いて、70mm×150mmの板状試験片を作製した。この板状試験片上に、上記の釉薬をスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。得られた試料の釉薬色は、パステルアイボリー(#SC1)である。
【0136】
得られた試料について、表面粗さおよび光沢度の測定を行った。表面のクルトシスRkuは触針式表面粗さ測定器(JIS−B0651)を用いて測定した。その結果、クルトシスRku=2.00であった。また、光沢度は鏡面光沢度測定法(JIS−Z8741)に従い、60度鏡面光沢度Gs(60゜)を測定した。その結果、Gs(60゜)=102.0であった。
【0137】
実施例B2
釉薬基材Aを電気炉を用いて1300〜1450℃にて溶融し、水中で急冷してガラスフリットを得た。これを、スタンプミルにより粉砕し、得られた粉末600gと水400gおよびアルミナボール1kgを、容積2リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して、フリット釉を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、得られたフリット釉スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が68%、50%平均粒径(D50)が6.0μmであった。
【0138】
次に、実施例B1と同様の板状試験片に上記のフリット釉をスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。得られた試料の釉薬色は、パステルアイボリー(#SC1)である。
【0139】
得られた試料について、実施例B1と同様に評価したところ、表面のクルトシスRku=1.90であった。また、60度鏡面光沢度Gs(60゜)=106.0であった。
【0140】
比較例B1
釉薬基材A2kgと水1kgおよび球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して、釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50%平均粒径(D50)が6.2μmであった。
【0141】
次に、実施例B1と同様の板状試験片に上記の釉薬スラリーをスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。 なお、得られた試料の釉薬色は、パステルアイボリー(#SC1)である。
【0142】
得られた試料について、実施例B1と同様に評価したところ、表面のクルトシスRku=3.04であった。また、60度鏡面光沢度Gs(60゜)=95.0であった。
【0143】
比較例B2
市販されている洋風大便器(色:アイボリー)について、実施例B1と同様に表面粗さを測定したところ、表面のクルトシスRku=2.70であった。また、60度鏡面光沢度Gs(60゜)=98.0であった。
【0144】
実施例Bおよび比較例Bの結果をまとめると、図15に示される通りであった。図中は、Aは実施例B1、B2は実施例B2、Cは比較例B1、そしてDは比較例B2を表す。この図から、表面のクルトシスRkuの値が小さくなるとともに光沢度Gs(60゜)の値が大きくなっており、負の相関性が認められる。さらに、Rkuの値を2.70未満とすることによってGs(60゜)が100以上の高い光沢度を有する釉薬層表面を得ることが出来る。
【0145】
実施例C
以下の実施例Cおよび比較例Cにおける評価試験方法は以下の通りとした。
【0146】
耐アルカリ試験
5%水酸化ナトリウム水溶液を用意し、試験片の半分を水溶液中に浸漬して、全体を70℃に加熱し24時間放置した。その後、水溶液から試験片を取り出して流水で洗浄し、浸漬の前後における釉薬表面を走査型電子顕微鏡(SEM;日立製作所、S−800)により観察する。
【0147】
表面粗さ試験
実施例A1と同様に、JIS−B0651に基づいた触針式表面粗さ測定器を用いておこなった。
【0148】
尿石付着試験
人間より採取した尿を蒸留水で2倍に希釈し、この希釈尿約2リットルを大便器のボール内に入れ、座面を密閉して常温で一週間放置した。なお、以下の全ての実施例および比較例において、希釈直後および大便器ボール内で一週間放置した後の尿の25℃におけるpHをpHメーター(堀場製作所製pHメーターM−12)により測定したところ、それぞれ6.5および8.5であった。
【0149】
次に、ボール内の希釈尿を捨て、約12リットルの水道水(通常の便器タンクによる洗浄水量に相当する)でボール内を流水洗浄し、室温で乾燥させた。その後、ヘルステック製歯垢染色ジェル「DENTCLUB」の希釈溶液をボール内にスプレーし、赤色の強弱で尿石付着量を評価した。この歯垢染色ジェルを用いると、尿石付着の多い部分は強く赤色に染まり、尿石の無い部分には色が着かない。そのため、目視により尿石付着量を評価することが可能となる。
【0150】
実施例C1
釉薬基材Aを電気炉を用いて1400〜1550℃にて溶融し、水中で急冷してガラスフリットを得た。これをスタンプミルにて粉砕し、得られた粉末250gと水170gおよび球石1kgを容積2リットルの陶器製ポットに入れ、ボールミルにより約18時間粉砕することによりフリット釉薬スラリーを得た。
【0151】
次に、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した衛生陶器素地泥漿を用いて、70×150mmの板状試験片を作製した。この板状試験片上に、上記の釉薬をスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0152】
得られた試料について、耐アルカリ試験を行った。試験前の釉薬表面は非常に平滑でありシリカ粒子は全く存在しなかった。さらに、耐アルカリ試験後の釉薬表面はZrO2の欠落は見られるが凹凸は小さく、平滑であった。
【0153】
表面粗さは、耐アルカリ試験前がRa=0.02μm、耐アルカリ試験後がRa=0.04μmであった。
【0154】
上記試料と同一の条件で大便器を作成した。得られた大便器について尿石付着試験を行った。ボール内に歯垢染色ジェルの希釈溶液をスプレーしたところ希釈尿喫水部および浸漬部は薄く赤色に染まったが、後記する比較例C1と比較すると明らかにその色が薄く、尿石付着量が少なかった。
【0155】
実施例C2
釉薬原料A 2kgと水1kgおよび球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50%平均粒径(D50)が5.8μm、90%平均粒径 (D90)が23.3μmであった。
【0156】
これとは別に釉薬原料Aから、乳濁剤であるZrO2と顔料とを除いた釉薬基材を、電気炉を用いて1400〜1550℃にて溶融し、水中で急冷してガラスフリットを得た。これをスタンプミルにて粉砕し、得られた粉末250gと水170gおよび球石1kgを容積2リットルの陶器製ポットに入れ、ボールミルにより約18時間粉砕することにより、透明フリット釉薬スラリーを得た。
【0157】
次に、実施例C1と同様の板状試験片に、上記の釉薬スラリーをスプレーコーティング法により塗布し、さらにその上に上記透明フリット釉薬スラリーをスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0158】
得られた試料について、耐アルカリ試験を行った。走査型電子顕微鏡(SEM;日立製作所、S−800)により観察した試験前の釉薬表面のSEM写真、および試験後の釉薬表面のSEM写真は図18および図19に示される通りであった。これら写真より、耐アルカリ試験前の釉薬表面は非常に平滑であり、シリカ粒子は全く存在せず、さらに、耐アルカリ試験後の釉薬表面も試験前とほとんど変わらず、平滑でああることがわかる。
【0159】
表面粗さは、耐アルカリ試験前がRa=0.02μm、耐アルカリ試験後がRa=0.03μmであった。
【0160】
上記試料と同一の条件で大便器を作製した。得られた大便器について尿石付着試験を行いった。ボール内に歯垢染色ジェルの希釈溶液をスプレーしたところ、希釈尿喫水部および浸漬部は薄く赤色に染まったが、後記する比較例C2のサンプルと比較すると明らかにその色が薄く、尿石付着量が少なかった。
【0161】
実施例C3
釉薬原料A 2kgと水1kgおよびアルミナボール4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約36時間粉砕して釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が90%、50%平均粒径(D50)が3.3μm、90%平均粒径(D90)が9.9μmであった。
【0162】
次に、実施例C1と同様の板状試験片に、上記の釉薬をスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0163】
得られた試料について、耐アルカリ試験を行った。試験前の釉薬表面は、後記する比較例C1と比べてシリカ粒子が少なくかつ小さく、10μm以上のシリカ粒子は存在せず、非常に平滑であった。耐アルカリ試験後の釉薬表面はクラックの発生した部分は非常に少なく、平滑であった。
【0164】
表面粗さは、耐アルカリ試験前がRa=0.03μm、耐アルカリ試験後がRa=0.10μmであった。
【0165】
上記試料と同一の条件で大便器を作製した。得られた大便器について尿石付着試験を行った。ボール内に歯垢染色ジェルの希釈溶液をスプレーしたところ、希釈尿喫水部および浸漬部は薄く赤色に染まったが、後記する比較例C1のサンプルと比較すると明らかにその色が薄く、尿石付着量が少なかった。
【0166】
実施例C4
釉薬原料A 2kgと水1kgおよび球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して、釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50%平均粒径(D50)が5.8μm、90%平均粒径(D90)が23.3μmであった。
【0167】
これとは別に釉薬原料Aから、乳濁剤であるZrO2と顔料とを除いた釉薬基材2kgと水1kgおよびアルミナボール4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約60時間粉砕することにより、10μm以下が100%、D50が1.7μm、D90が3.8μmの微粉砕透明釉薬スラリーを得た。
【0168】
次に、実施例C1と同様の板状試験片に、上記の釉薬スラリーをスプレーコーティング法により塗布し、さらにその上に上記の微粉砕透明釉薬スラリーをスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0169】
得られた試料について、耐アルカリ試験を行った。試験前の釉薬表面は非常に平滑であり、シリカ粒子は全く存在しなかった。さらに、耐アルカリ試験後の釉薬表面は試験前とほとんど変わらず平滑であった。
【0170】
表面粗さは、耐アルカリ試験前がRa=0.03μm、耐アルカリ試験後がRa=0.04μmであった。
【0171】
上記試料と同一の条件で大便器を作製した。得られた大便器について尿石付着試験を行った。ボール内に歯垢染色ジェルの希釈溶液をスプレーしたところ、希釈尿喫水部および浸漬部は薄く赤色に染まったが、後記する比較例C2のサンプルと比較すると明らかにその色が薄く、尿石付着量が少なかった。
【0172】
実施例C5
釉薬原料Aからシリカ粒子の原料となるケイ砂と、市販の長石原料とを除いた釉薬原料2kgと水1kgおよびアルミナボール4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して、釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が99%、50%平均粒径(D50)が2.2μm、90%平均粒径(D90)が5.1μmであった。
【0173】
これとは別に、ケイ砂400gおよび市販の長石原料200gと水300gおよびアルミナボール1.2kgを、容積6リットルの陶器製ポットの中に入れ、ボールミルにより約40時間粉砕して、10μm以下が98%、D50が2.4μm、D90が5.5μmのシリカスラリーを得た。
【0174】
上記釉薬スラリーと上記シリカスラリーとを重量比4:6の割合で混合して、10μm以下が99%、D50が2.3μm、D90が5.3μmの混合釉薬を得た。
【0175】
次に、実施例C1と同様の板状試験片に、上記の混合釉薬をスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
得られた試料について、耐アルカリ試験を行った。試験前の釉薬表面は非常に平滑であり、10μmより大きなシリカ粒子は全く存在しなかった。さらに耐アルカリ試験後の釉薬表面は、クラックの発生した10μm以下のシリカ粒子がわずかに存在するだけで、試験前とほとんど変わらず平滑であった。
【0176】
表面粗さは、耐アルカリ試験前がRa=0.04μm、耐アルカリ試験後がRa=0.11μmであった。
【0177】
上記試料と同一の条件で大便器を作製した。得られた大便器について尿石付着試験を行った。ボール内に歯垢染色ジェルの希釈溶液をスプレーしたところ、希釈尿喫水部および浸漬部は薄く赤色に染まったが、後記する比較例C1のサンプルと比較すると明らかにその色が薄く、尿石付着量が少ないことが分かった。
【0178】
実施例C6
釉薬原料A2kgと水1kgおよび球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して、釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50%平均粒径(D50)が5.8μm、90%平均粒径(D90)が23.3μmであった。
【0179】
これとは別に、釉薬原料Aから、乳濁剤であるZrO2と、顔料と、シリカ粒子の原料となるケイ砂と、市販の長石原料とを除いた釉薬基材2kgと水1kgおよびアルミナボール4kgを容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して、10μm以下が97%、D50が2.3μm、D90が5.0μmの透明釉薬スラリーを得た。
【0180】
さらに、これとは別に、ケイ砂400g、長石200gと水300gおよびアルミナボール1.2kgを、容積6リットルの陶器製ポットの中に入れ、ボールミルにより約40時間粉砕して、10μm以下が98%、D50が2.4μm、D90が5.5μmのシリカスラリーを得た。
【0181】
上記透明釉薬スラリーと上記シリカスラリーとを重量比4:6の割合で混合して、10μm以下が98%、D50が2.4μm、D90が5.3μmの透明混合釉薬スラリーを得た。
【0182】
次に、実施例C1と同様の板状試験片に、上記の釉薬スラリーをスプレーコーティング法により塗布し、さらにその上に透明混合釉薬スラリーをスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0183】
得られた試料について、耐アルカリ試験を行った。試験前の釉薬表面は非常に平滑であり、10μmより大きなシリカ粒子は全く存在しなかった。さらに耐アルカリ試験後の釉薬表面は、クラックの発生した10μm以下のシリカ粒子がわずかに存在するだけで、試験前とほとんど変わらず平滑であった。
【0184】
表面粗さは、耐アルカリ試験前がRa=0.04μm、耐アルカリ試験後がRa=0.05μmであった。
【0185】
上記試料と同一の条件で大便器を作製した。得られた大便器について尿石付着試験を行った。ボール内に歯垢染色ジェルの希釈溶液をスプレーしたところ、希釈尿喫水部および浸漬部は薄く赤色に染まったが、後記する比較例C2のサンプルと比較すると明らかにその色が薄く、尿石付着量が少ないことが分かった。
【0186】
実施例C7
釉薬原料Aを電気炉を用いて1400〜1550℃にて溶融し、水中で急冷してガラスフリットを得た。これをスタンプミルにて粉砕し、得られた粉末250gと水170gおよび球石1kgを容積2リットルの陶器製ポットに入れ、ボールミルにより約18時間粉砕することにより、フリット釉薬スラリーを得た。
【0187】
これとは別に、釉薬原料A2kgと水1kgおよびアルミナボール4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約36時間粉砕して、10μm以下が90%、D50が3.3μm、D90が9.9μmの微粉砕釉薬スラリーを得た。
【0188】
上記フリット釉薬スラリーと上記微粉砕釉薬スラリーとを重量比8:2の割合で混合して、10μm以下が76%、D50が4.0μm、D90が15.9μmの混合釉薬を得た。
【0189】
次に、実施例C1と同様の板状試験片に、上記の混合釉薬を板状試験片にスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0190】
得られた試料について、耐アルカリ試験を行った。試験前の釉薬表面は非常に平滑であり、10μmより大きなシリカ粒子は全く存在しなかった。また、後記する比較例C1に比べてシリカ粒子の数も少なくかつ小さかった。耐アルカリ試験後の釉薬表面は、シリカ粒子の周囲に発生したクラックも少なく、試験前とほとんど変わらず平滑であった。
【0191】
表面粗さは、耐アルカリ試験前がRa=0.05μm、耐アルカリ試験後がRa=0.10μmであった。
【0192】
上記試料と同一の条件で大便器を作製した。得られた大便器について尿石付着試験を行った。ボール内に歯垢染色ジェルの希釈溶液をスプレーしたところ、希釈尿喫水部および浸漬部は薄く赤色に染まったが、後記する比較例C1のサンプルと比較すると明らかにその色が薄く、尿石付着量が少ないことが分かった。
【0193】
実施例C8
釉薬原料A2kgと水1kgおよび球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して釉薬をえた。レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50%平均粒径(D50)が5.8μm、90%平均粒径(D90)が23.3μmであった。
【0194】
これとは別に釉薬原料Aから、乳濁剤であるZrO2と顔料とを除いた釉薬原料を、電気炉を用いて1400〜1550℃にて溶融し、水中で急冷してガラスフリットを得た。これをスタンプミルにて粉砕し、得られた粉末1.6kgと、釉薬原料Aから乳濁剤であるZrO2と顔料とを除いた釉薬基材0.4kgと水 1kgおよび球石4kgを容積6リットルの陶器製ポットに入れ、ボールミルにより約36時間粉砕することにより透明混合釉薬スラリーを得た。
【0195】
次に、実施例C1と同様の板状試験片に、上記の釉薬スラリーをスプレーコーティング法により塗布し、さらにその上に上記透明混合釉薬スラリーをスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0196】
得られた試料について、耐アルカリ試験を行った。試験前の釉薬表面は非常に平滑であり、10μmより大きなシリカ粒子は全く存在しなかった。また、後記する比較例C2に比べてシリカ粒子の数も少なくかつ小さかった。耐アルカリ試験後の釉薬表面はシリカ粒子の周囲に発生したクラックも少なく、試験前とほとんど変わらず平滑であった。
【0197】
表面粗さは、耐アルカリ試験前がRa=0.04μm、耐アルカリ試験後がRa=0.06μmであった。
【0198】
上記試料と同一の条件で大便器を作製した。得られた大便器について尿石付着試験を行った。ボール内に歯垢染色ジェルの希釈溶液をスプレーしたところ、希釈尿喫水部および浸漬部は薄く赤色に染まったが、後記する比較例C2のサンプルと比較すると明らかにその色が薄く、尿石付着量が少なかった。
【0199】
比較例C1
釉薬原料A2kgと水1kgおよび球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50%平均粒径(D50)が5.8μm、90%平均粒径(D90)が23.3μmであった。
【0200】
これとは別に、釉薬原料AにSiO2源として混入したケイ砂1.2kgと、市販の長石原料0.8kgとを、水1kgおよび球石4kgとともに、容積6リットルの陶器製ポットの中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕した。粉砕物のD50は9.3μmであった。このことから、上記の釉薬中のケイ砂および市販の長石原料もD50が10μm前後に粉砕されていると推察された。
【0201】
次に、実施例C1と同様の板状試験片に、上記の釉薬をスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0202】
得られた試料について、耐アルカリ試験を行った。試験前後の釉薬表面を走査型電子顕微鏡(SEM;日立製作所、S−800)により観察した。耐アルカリ試験前の釉薬表面には多くのシリカ粒子が存在しているため凹部となっていた。さらに、耐アルカリ試験後の釉薬表面は、前記シリカ粒子の周囲にクラックが発生し、シリカ粒子ごと欠落して凹凸が大きくなっていた。
【0203】
表面粗さは、耐アルカリ試験前がRa=0.10μm、耐アルカリ試験後がRa=0.25μmであった。
【0204】
上記試料と同一の条件で大便器を作製した。得られた大便器について尿石付着試験を行った。ボール内に歯垢染色ジェルの希釈溶液をスプレーしたところ、ボール内の希釈尿喫水部および浸漬部が強く赤色に染まり、大量の尿石が付着していることが分かった。
【0205】
比較例C2
釉薬原料A2kgと水1kgおよび球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して釉薬をえた。レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50%平均粒径(D50)が5.8μm、90%平均粒径(D90)が23.3μmであった。
【0206】
これとは別に、釉薬原料Aから、乳濁剤であるZrO2と顔料とを除いた釉薬原料2kgと水1kgおよび球石4kgを容積6リットルの陶器製ポットに入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して、10μm以下が63%、D50が6.0μm、D90が25.4μmの透明釉薬スラリーを得た。
【0207】
次に、実施例C1と同様の板状試験片に、上記の釉薬スラリーをスプレーコーティング法により塗布し、さらにその上に上記の透明釉薬スラリーをスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0208】
得られた試料について、耐アルカリ試験を行った。試験前の釉薬表面のSEM写真、および試験後の釉薬表面のSEM写真は、それぞれ図16および図17に示される通りであった。これら写真から、耐アルカリ試験前の釉薬表面には、多くのシリカ粒子(濃暗部)が存在に起因する凹部の存在が確認出来る。さらに、耐アルカリ試験後の釉薬表面は、前記シリカ粒子の周囲にクラックが発生し、シリカ粒子ごと欠落して凹凸が大きくなっていることがわかる。
【0209】
表面粗さは、耐アルカリ試験前がRa=0.08μm、耐アルカリ試験後がRa=0.10μmであった。
【0210】
上記試料と同一の条件で大便器を作製した。得られた大便器について尿石付着試験を行った。ボール内に歯垢染色ジェルの希釈溶液をスプレーしたところ、ボール内の希釈尿喫水部および浸漬部が強く赤色に染まり、大量の尿石が付着していることが分かった。
【0211】
実施例D
実施例D1〜6および比較例D1〜5
釉薬原料A2kgと水1kgおよび球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して、着色性釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、得られた着色性釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50%平均粒径(D50)が5.8μmであった。
【0212】
これとは別に、釉薬原料Aから乳濁剤であるZrO2と顔料とを除いた釉薬原料を、電気炉を用いて1300〜1500℃にて溶融し、水中で急冷してガラスフリットを得た。釉薬原料Aから乳濁剤であるZrO2と顔料とを除いた釉薬原 料と前記フリット釉薬と、水および球石を陶器製ポットに入れ、粒径10μm以下の割合が64±2%になるまでボールミルで粉砕して、透明性混合釉薬スラリーを得た。なお、透明性混合釉薬スラリー中の釉薬原料とフリット釉薬の混合割合は下記の表中にあるようにした。
【0213】
次に、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した衛生陶器素地泥漿を用いて、70×150mmの板状試験片を作製した。この板状試験片に上記着色性釉薬スラリーをスプレーコーティング法により塗布し、さらにその上に上記透明性混合釉薬スラリーをスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0214】
得られた試料について、実施例Cにおけるものと同様の耐アルカリ試験を行った。実施例D4(釉薬原料:フリット釉薬が20:80)の試料の耐アルカリ試験前の釉薬層表面は、図22に示される通りであった。乳濁剤を含まないことに加え、シリカ粒子がほとんど存在しない、その表面は後記する比較例D6より非常に平滑であった。他の試料はフリット釉薬の割合が多いほどシリカ粒子が少なく、平滑であった。さらに、実施例D4の試料の耐アルカリ試験後の釉薬表面は、図23に示される通りであった。シリカ粒子の欠落による凹凸は観察されず、平滑性を維持していた。他の試料はフリット釉薬の割合が多いほどシリカ粒子の周囲に発生したクラックも少なく、平滑性に優れていた。
【0215】
また、表面粗さRaは下記の表に示される通りであった。
【0216】
さらに、耐アルカリ試験前後の試料表面の光沢を、光沢度計(ミノルタ、GM−060)で測定し、光沢維持率(=[耐アルカリ試験後の光沢度]/[耐アルカリ試験前の光沢度])で表した。その結果は、下記の表に示される通りであった。
【0217】
上記試料と同一の条件で大便器を作製し、この大便器について、実施例Cと同様の尿石付着試験を行った。その結果、下記の表に示される通りであった。表中、○は尿石付着量が後記する比較例D6よりも極めて少ないことを、×は後記する比較例D6よりは少ないが、比較的多くの尿石が付着したことを、−は試験していないことを示す。
【0218】
【表3】
比較例D6
釉薬原料A2kgと水1kgおよび球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕して、釉薬を得た。レーザー回折式粒度分布計を用いて、得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50%平均粒径(D50)が5.8μmであった。
【0219】
次に、実施例Dと同様の板状試験片に、上記の釉薬を板状試験片にスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0220】
得られた試料について、耐アルカリ試験を行った。試験前の釉薬表面の操作型顕微鏡写真は図20に示される通りであった。すなわち、乳濁剤(白色部)とシリカ粒子(濃暗部)が存在し、凹凸を形成していた。さらに、試験後の釉薬表面の顕微鏡写真は図21に示される通りであり、前記シリカ粒子の周囲にクラックが発生し、シリカ粒子ごと欠落して凹凸が大きくなっていた。
【0221】
試料表面の表面粗さは、耐アルカリ試験前の表面粗さはRa=0.10μm、耐アルカリ試験後の表面粗さはRa=0.25μmであった。
【0222】
同様に測定した光沢度は光沢維持率は43.2%と半分以下になった。
【0223】
また、尿石付着試験を行った結果、大量の尿石が付着して、流水を用いても除去することはできなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、比較例A1の触針式表面粗さ測定器(JIS−B0651)により測定した陶磁器表面の状態を示す図である。図中、1は中心線を、2は釉薬層表面の拡大図を示す。以下、図6まで同じ。
【図2】図2は、比較例A2の触針式表面粗さ測定器(JIS−B0651)により測定した陶磁器表面の状態を示す図である。
【図3】図3は、実施例A1の触針式表面粗さ測定器(JIS−B0651)により測定した陶磁器表面の状態を示す図である。
【図4】図4は、実施例A3の触針式表面粗さ測定器(JIS−B0651)により測定した陶磁器表面の状態を示す図である。
【図5】図5は、実施例A6の触針式表面粗さ測定器(JIS−B0651)により測定した陶磁器表面の状態を示す図である。
【図6】図6は、実施例A7の触針式表面粗さ測定器(JIS−B0651)により測定した陶磁器表面の状態を示す図。
【図7】図7は、比較例A1の表面の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真であり、(a)は表面の凹凸像であり、(b)は表面の組成像である。
【図8】図8は、実施例A1の表面の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真であり、(a)は表面の凹凸像であり、(b)は表面の組成像である。
【図9】図9は、原子間力顕微鏡により観察した比較例A1の表面の状態を示す図である
【図10】図10は、原子間力顕微鏡により観察した比較例A2の表面の状態を示す図である。
【図11】図11は、原子間力顕微鏡により観察した実施例A1の表面の状態を示す図である。
【図12】図12は、原子間力顕微鏡により観察した実施例A2の表面の状態を示す図である。
【図13】図13は、原子間力顕微鏡により観察した実施例A3の表面の状態を示す図である。
【図14】図14は、原子間力顕微鏡により観察した実施例A5の表面の状態を示す図である。
【図15】図15は、実施例Bおよび比較例Bによって示されたクルトシスRkuと光沢度Gs(60゜)の関係を示すグラフである。
【図16】図16は、比較例C2における、耐アルカリ試験前の釉薬表面の走査型電子顕微鏡による反射電子像である。
【図17】図17は、比較例C2における、耐アルカリ試験後の釉薬表面の走査型電子顕微鏡による反射電子像である。
【図18】図18は、実施例C2における、耐アルカリ試験前の釉薬表面の走査型電子顕微鏡による反射電子像である。
【図19】図19は、実施例C2における、耐アルカリ試験後の釉薬表面の走査型電子顕微鏡による反射電子像である。
【図20】図20は、比較例D1における、耐アルカリ試験前の釉薬表面の走査型電子顕微鏡による反射電子像である。
【図21】図21は、比較例D1における、耐アルカリ試験後の釉薬表面の走査型電子顕微鏡による反射電子像である。
【図22】図22は、実施例D1における、耐アルカリ試験前の釉薬表面の走査型電子顕微鏡による反射電子像である。
【図23】図23は、実施例D1における、耐アルカリ試験後の釉薬表面の走査型電子顕微鏡による反射電子像である。
【図24】図24は、JIS−B0651(1996年)に準拠した触針式表面粗さ測定装置の概略図である。
Claims (17)
- 陶器素地上にシリカ成分を含有する表面釉薬層を形成した衛生陶器であって、
前記表面釉薬層の表面がガラス成分からなり、かつその表面には粒径10μm以上のシリカ粒子の存在が観察されず、前記表面釉薬層が下記の組成を有する釉薬から形成されたものである、衛生陶器:
SiO 2 55〜80重量%、
Al 2 O 3 5〜13重量%、
Fe 2 O 3 0.1〜0.4重量%、
MgO 0.8〜3.0重量%、
CaO 8〜17重量%、
ZnO 3〜8重量%、
K 2 O 1〜4重量%、
Na 2 O 0.5〜2.5重量%、
ZrO 2 0.1〜15重量%、および
顔料 1〜20重量%。 - 前記表面釉薬層全体がガラス成分からなる、請求項1に記載の衛生陶器。
- 前記表面釉薬層が顔料を含まないものである、請求項1または2に記載の衛生陶器。
- 前記表面釉薬層が顔料を含むものである、請求項1または2に記載の衛生陶器。
- その表面に、前記表面釉薬層が形成されていない部分が存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の衛生陶器。
- 前記陶器素地と前記表面釉薬層との間に、さらに釉薬層が設けられてなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の衛生陶器。
- 前記陶器素地と前記表面釉薬層との間に、着色釉薬層が設けられてなり、かつ前記表面釉薬層が透明である、請求項1〜3および5のいずれか一項に記載の衛生陶器。
- JIS−B0651(1996年)に準拠した触針式表面粗さ測定装置により測定された前記表面釉薬層の中心線平均粗さRaが0.07μm未満である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の衛生陶器。
- 前記Raが0.05μm以下である、請求項8に記載の衛生陶器。
- 前記Raが0.03μm以下である、請求項8に記載の衛生陶器。
- 前記衛生陶器が、便器のサナ、大便器、小便器、便器のタンク、洗面台の洗面器、または手洗い器である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の衛生陶器。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の衛生陶器の製造法であって、90%粒径が20μm以下である釉薬または50%粒径が5μm以下である釉薬を陶器素地に適用して、前記表面釉薬層の前駆層を形成し、得られた該陶器素地を1100〜1300℃の温度で焼成することを含んでなり、前記釉薬が下記の組成を有するものである、方法:
SiO 2 55〜80重量%、
Al 2 O 3 5〜13重量%、
Fe 2 O 3 0.1〜0.4重量%、
MgO 0.8〜3.0重量%、
CaO 8〜17重量%、
ZnO 3〜8重量%、
K 2 O 1〜4重量%、
Na 2 O 0.5〜2.5重量%、
ZrO 2 0.1〜15重量%、および
顔料 1〜20重量%。 - 請求項1〜11のいずれか一項に記載の衛生陶器の製造法であって、90% 粒径が15μm以下のシリカ粒子または50%粒径が5μm以下のシリカ粒子と、シリカ粒子を含まない釉薬原料とからなる混合釉薬を陶器素地に適用して、前記表面釉薬層の前駆層を形成し、得られた該陶器素地を1100〜1300℃の温度で焼成することを含んでなり、前記釉薬が下記の組成を有するものである、方法:
SiO 2 55〜80重量%、
Al 2 O 3 5〜13重量%、
Fe 2 O 3 0.1〜0.4重量%、
MgO 0.8〜3.0重量%、
CaO 8〜17重量%、
ZnO 3〜8重量%、
K 2 O 1〜4重量%、
Na 2 O 0.5〜2.5重量%、
ZrO 2 0.1〜15重量%、および
顔料 1〜20重量%。 - 請求項1〜11のいずれか一項に記載の衛生陶器の製造法であって、非晶質釉薬と、90%粒径が20μm以下である釉薬または50%粒径が5μm以下である釉薬との混合釉薬を陶器素地に適用して、前記表面釉薬層の前駆層を形成し、得られた該陶器素地を1100〜1300℃の温度で焼成することを含んでなり、前記釉薬が下記の組成を有するものである、方法:
SiO 2 55〜80重量%、
Al 2 O 3 5〜13重量%、
Fe 2 O 3 0.1〜0.4重量%、
MgO 0.8〜3.0重量%、
CaO 8〜17重量%、
ZnO 3〜8重量%、
K 2 O 1〜4重量%、
Na 2 O 0.5〜2.5重量%、
ZrO 2 0.1〜15重量%、および
顔料 1〜20重量%。 - 前記非晶質釉薬がガラス化された釉薬である、請求項14に記載の方法。
- 前記表面釉薬層の前駆層を形成する前に、陶器素地上に着色剤を含む釉薬原料を適用して、着色釉薬層の前駆体を形成する、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
- 前記表面釉薬層が、透明である請求項16に記載の方法。
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