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JP4392925B2 - 粘着剤用ポリマー、該ポリマーの製造方法および該粘着剤用ポリマーを用いた粘着製品 - Google Patents

粘着剤用ポリマー、該ポリマーの製造方法および該粘着剤用ポリマーを用いた粘着製品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凝集力と粘着力との両性能がバランスよく良好であり、しかも、糊残りを起こさない粘着剤用ポリマー、その製造方法および粘着製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主たる構成成分とするアクリル系粘着剤は、タック、粘着力、凝集力等の基本物性に加え、耐熱性、耐候性、耐水性、耐油性等に優れていることから、粘着ラベル、シート、テープ等に幅広く使用されている。近年、これらの粘着製品の用途は、ますます拡大していく傾向にあるが、このため、一層の粘着物性の向上が要求されている。
【0003】
特に、粘着製品を、一旦被着体に貼付した後に再度剥離する必要性のある用途(例えば保護フィルム)に適用する場合、糊残りは被着体の汚染につながるため、長時間貼付後であっても糊残りを起こさない粘着製品が求められている。糊残りは、粘着剤の凝集力不足による粘着剤層の凝集破壊が原因であるので、粘着剤の凝集力を向上させれば糊残りは防止できると考えられるが、粘着剤を構成するポリマーを安易に3次元架橋して凝集力を高めようとしても、逆に、粘着力が大幅に低下して、粘着力不足となってしまう。本発明者らが鋭意検討した結果、ポリマー自体を高分子量にして高い粘着力を確保すると共に、凝集力を悪化させる要因となる低分子量物を極力低減する方法が有用であることがわかってきた。
【0004】
粘着剤用のアクリル系ポリマーを溶液重合で製造する場合の高分子量化手法としては、[1]溶剤として連鎖移動しにくいものを選択する、[2]反応液中のモノマー濃度を高くする(溶剤への連鎖移動を防止するため溶剤濃度を低くする)、[3]重合開始剤の濃度(対モノマー)を低くする、[4]比較的低めの反応温度で重合する、等の方法があり、これらを組み合わせて重合することにより、重量平均分子量が60万以上のポリマー、さらに高分子量のものでは90万以上のポリマーを得ることができる。
【0005】
しかし、重合反応が進行するのに伴い、重合系中のモノマーと重合開始剤とが次第に低減していき、重合後期には両者が出会う確率が非常に少なくなるため、どうしても系内にはモノマーが残存することとなる。残存モノマーは、粘着製品の異臭の原因となったり、刺激性・毒性のある化合物であることが多いので、粘着剤用ポリマー中に混入させておくことは好ましくないが、微量な(仕込みモノマーに対し、数%以下)残存モノマーをポリマーから分別するのは、エネルギー的にもコスト的にも見合わず、ほとんど無理である。
【0006】
こういった観点から、ブースターと呼ばれる後添加重合開始剤を重合終了間際に系内に添加して、この残存モノマーを無理矢理重合させて無害化する手法が採用される。この場合、残存モノマーと開始剤が出会う確率と、残存モノマーを確実に重合させる必要性等を考慮して、残存モノマーに対するブースターの比率を、重合反応初期におけるモノマーに対する開始剤の比率よりも、かなり高く添加しているのが現状である。しかし、少ないモノマーに対し多量の開始剤が存在することとなるので、結局、ブースター添加後に生成するポリマーは、ほとんどが非常に低い分子量のものとなる。そして、この低分子量物が粘着剤の凝集力を低下させたり、糊残りの原因となることがわかったのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記従来技術を考慮した上で、被着体に長時間貼付後に剥離したときにも糊残りを起こさない粘着剤用ポリマーおよびその製造方法を見出すと共に、この粘着剤用ポリマーを適用した高性能な粘着製品の提供を課題として掲げた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、1分子中に官能基xを2個以上有する架橋剤と共に使用され、この架橋剤の官能基xと反応し得る官能基を少なくとも1種類有している粘着剤用ポリマーであって、
この粘着剤用ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、粘着剤用ポリマーが有する上記官能基のうち上記架橋剤の官能基xとの反応性が最も高い官能基Xを有するモノマーとを必須的に含むモノマー成分をラジカル重合することにより得られるものであり、
この粘着剤用ポリマーのポリスチレン標準試料換算の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定したとき、重量平均分子量が17.6×104以上の高分子量ポリマーについて別途測定された官能基Xの平均濃度A(ミリモル/高分子量ポリマー1g)が、重量平均分子量が2.3×104以下の低分子量ポリマーについて別途測定された官能基Xの平均濃度B(ミリモル/低分子量ポリマー1g)の1/2以下であるところに特徴を有している。
【0009】
すなわち、本発明では、ブースター添加によって形成される低分子量ポリマーが架橋剤の官能基xとの反応性を有する官能基Xを多く含有しているため、本発明の粘着剤用ポリマーを粘着剤として利用するときに配合する架橋剤と官能基Xが架橋反応を起こす。その結果、低分子量ポリマーが鎖延長して高分子量化したり、3次元化するため、糊残りを起こさなくなる。一方、重合時から高分子量である高分子量ポリマーについては、官能基Xの量を低分子量ポリマーよりも少なくして、架橋反応をなるべく起こさないようにすることで、粘着力の低下を防ぐことができるのである。
【0010】
低分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度Bが、0.01(ミリモル/低分子量ポリマー1g)以上であることが、上記効果を発揮させる上で好ましい。高分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度Aは0.015(ミリモル/高分子量ポリマー1g)未満が好ましく、平均濃度Aが0(ミリモル/高分子量ポリマー1g)の場合が最も好ましい。平均濃度Aが0であれば、高分子量ポリマーが、官能基xを有する架橋剤によって架橋反応を起こすことはない。
【0011】
高分子量ポリマーが官能基X以外の官能基Yを有しており、この官能基Yが、前記架橋剤との反応性が官能基Xより低いものである構成を採用することもできる。官能基Xと反応し得る架橋剤は、低分子量ポリマーにリッチに含まれる官能基Xと積極的に反応するが、官能基Yの一部とも反応するため、高分子量ポリマーを少しだけ架橋させることができる。
【0012】
官能基反応の速やかさ、確実さを考慮すると、上記官能基Xがアルコール性ヒドロキシル基であり、上記架橋剤が官能基xとしてイソシアネート基を有するポリイソシアネート架橋剤であることが好ましい。
【0013】
本発明の粘着剤用ポリマーの製造方法は、重合反応容器内の反応物の重合率が80%を超えた後、重合反応容器内に、重合開始剤と官能基Xを含有するモノマーを添加するところに要旨を有する。この方法によれば、後添加される重合開始剤(ブースター)によって重合して生成する低分子量ポリマーに、確実に官能基Xを導入することができる。
【0014】
本発明には、架橋剤と、本発明の粘着剤用ポリマーとを含む粘着剤を用いて得られた粘着製品も含まれる。このとき、粘着剤として、粘着剤用ポリマーと、1種類以上の架橋剤とを、粘着剤用ポリマー中の架橋剤と反応し得る官能基の全量Pに対し、架橋剤中の官能基の合計量Qが、P/Q=0.01〜300(モル)の範囲になるように配合した粘着剤を用いることが好ましい。もちろん上記架橋剤の中には、官能基xを有する架橋剤が必須的に含まれ、粘着剤用ポリマー中の官能基には、官能基Xが必須的に含まれる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明では、粘着剤用ポリマー中の糊残りの原因となり得る低分子量ポリマーに官能基Xを多数持たせ、後の架橋剤との反応によってこれを架橋させ、もはや糊残りできないようなポリマー構造へと変換させるところに最大のポイントを有する。そして、優れた粘着特性を発揮する役割を担う高分子量のポリマーについては、官能基Xの濃度を低分子量ポリマーに比べて小さく、もしくはゼロにして、架橋による粘着力低下を防ぐ。従って、本発明の粘着剤用ポリマーによって製造された粘着製品は、粘着力と凝集力の両性能に優れると共に糊残りを起こさず、一旦被着体に貼付した後に再度剥離する必要性のある用途(再剥離用途)に最適である。なお、本発明では、ホモポリマーはもとより、コポリマー、ターポリマー等の2元以上の共重合体を含めて「ポリマー」と表現している。
【0016】
まず、高分子量ポリマーと、低分子量ポリマーについて説明する。本発明の粘着剤用ポリマーにおいて、糊残りの原因となり得る分子量の低いポリマーを低分子量ポリマーと呼ぶ。ラジカル重合によって得られた粘着剤用ポリマーを、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン標準試料換算で分子量を測定したとき、重量平均分子量(Mw)が2.3×104以下のものを、本発明では低分子量ポリマーとする。糊残りを起こす低分子量ポリマーの分子量Mwが、だいたい2.3×104以下であることが見出されたからである。
【0017】
一方、高分子量ポリマーとは、架橋する必要がほとんどないほどの充分な長さの分子鎖を有しており、粘着力の発現に寄与するポリマーである。本発明では、Mwが17.6×104以上のポリマーを高分子量ポリマーとしている。
【0018】
GPCによる分子量測定条件は次の通りである。
GPC測定装置:Liquid Chromatography Model 510 (Waters社製)
検出器:M410示差屈折計
カラム:Ultra Styragel Linear(7.8mm×30cm)
Ultra Styragel 100A (7.8mm×30cm)
Ultra Styragel 500A (7.8mm×30cm)
溶媒:テトラヒドロフラン(THFと略記)
試料濃度は0.2%、注入量は200マイクロリットル/回とした。
【0019】
本発明では、高分子量ポリマーについて別途測定された官能基Xの平均濃度A(モル/ポリマー1g)が、低分子量ポリマーについて別途測定された官能基Xの平均濃度B(モル/ポリマー1g)の1/2以下であるところに特徴を有している。ここで、官能基Xとは、本発明の粘着剤用ポリマーと共に使用される架橋剤が有する官能基xと反応し得る官能基であって、粘着剤用ポリマーがこの官能基xと反応し得る官能基を数種類を有している場合は、最もxとの反応性が高い官能基のことである。粘着剤用ポリマーが官能基を1種類しか持たない場合は、その官能基が官能基Xとなる。
【0020】
この官能基Xの平均濃度は、GPCを用いてポリマーのTHF溶液を分画分取して、エバポレーターを用いて溶媒を除去し、後に残ったポリマー分を、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計(熱分解GC/MSと省略する)を用いて熱分解する方法等を利用して求めることができる。官能基Xの種類によっては、滴定等の手段も採用可能である。
【0021】
本発明で用いたGPCによる分取条件および熱分解GC/MSの測定条件は以下の通りである。
【0022】
[GPCによる分取条件]
GPC測定装置:Liquid Chromatography Model 510 (Water社製)
検出器:M410示差屈折計
カラム:Ultra Styragel Linear(19mm×30cm)
Ultra Styragel 100A (19mm×30cm)
Ultra Styragel 500A (19mm×30cm)
溶媒:THF
試料濃度は1%、注入量は2000マイクロリットル/回とした。
【0023】
[熱分解GC/MSの測定条件]
GC/MS測定装置:QP−5000(島津製作所製)
キャピラリーカラム:DB−1(長さ30m×内径0.258mm:J&W SCIENTIFIC社製)(非極性タイプ)
DB−WAX(長さ30m×内径0.258mm:J&W SCIENTIFIC社製)(極性タイプ)
熱分解装置:キューリーポイントパイロライザー JPS−330(日本分析工業社製)
熱分解温度・時間:590℃×5秒間。
【0024】
本発明では、高分子量ポリマーについて別途測定された官能基Xの平均濃度A(ミリモル/高分子量ポリマー1g)が、低分子量ポリマーについて別途測定された官能基Xの平均濃度B(ミリモル/低分子量ポリマー1g)の1/2以下であることが必要である。すなわち、ブースター添加によって形成される低分子量ポリマーに、架橋剤の官能基xとの反応性を有する官能基Xを多く(高分子量ポリマーの2倍以上)有していることから、本発明の粘着剤用ポリマーを粘着剤として利用するときに配合する架橋剤が、もっぱら低分子量ポリマー中の官能基Xと架橋反応を起こす。その結果、低分子量ポリマーが鎖延長して高分子量化あるいは3次元化するため、凝集力が向上し、糊残りすることがなくなるのである。
【0025】
一方、高分子量ポリマーについては、官能基Xの量を低分子量ポリマーよりも少なくして、架橋反応をなるべく起こさないようにすることにより、粘着力の低下が防止される。
【0026】
高分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度Aを0.015(ミリモル/高分子量ポリマー1g)未満、低分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度Bを0.01(ミリモル/低分子量ポリマー1g)以上とすると、上記効果が、一層顕著に発揮される。最も好ましい実施態様は、高分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度Aを、実質的にゼロ(ミリモル/高分子量ポリマー1g)にする構成であり、高分子量ポリマーは、官能基Xと反応し得る官能基xを有する架橋剤によって架橋反応を起こすことはないため、粘着力の低下を確実に防ぐことができる。なお、低分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度Bについては、その上限を1.7(ミリモル/低分子量ポリマー1g)とすることが好ましい。糊残りを起こさない程度に架橋すればよく、過度に官能基Xを導入する必要がないからである。より好ましい平均濃度Bの下限は、0.05(ミリモル/低分子量ポリマー1g)、上限は1.0(ミリモル/低分子量ポリマー1g)である。
【0027】
次に、官能基Xと架橋剤の組合せについて説明する。本発明の粘着剤用ポリマーは、公知の架橋剤およびその他の添加剤との混合物(粘着剤)の状態で、塗膜化され、加熱等の架橋進行手段を経て、粘着製品となる。主に低分子量ポリマーが有することとなる官能基Xは、架橋剤と速やかに反応し得る官能基であることが望ましい。
【0028】
現在粘着剤に汎用される架橋剤およびこの架橋剤が有する官能基xと、官能基xとの反応性を有し、当該架橋剤に対して架橋点となり得る官能基の組み合わせを以下に示す。官能基は当該架橋剤の官能基xに対する反応性が高い順に記載している。本発明では、粘着剤用ポリマー、特に低分子量ポリマーが官能基Xを有していることを必須要件とするが、高分子量ポリマーに官能基Yを持たせることもでき、粘着剤用ポリマー全体ではさらにX、Y以外のその他の官能基(例えば第3、第4の官能基)を持っていてもよいので、粘着剤用ポリマーが有し得る官能基は、架橋剤の官能基xと反応し得る官能基が1種もしくは2種類以上、あるいはxと反応性を有さないその他の官能基を適宜選択するとよい。ただし、粘着剤用ポリマーが有する官能基のうち最もxとの反応性が高いものが官能基Xであるので、官能基Yやその他の官能基は官能基Xよりも当該架橋剤に対する反応性が低くなければならず、Xとして選択する官能基より下位の順番のものを選ぶ必要がある。
【0029】
架橋剤[1]:イソシアネート化合物(x=イソシアネート基)
粘着剤用ポリマーの官能基:脂肪族アミノ基>芳香族アミノ基>アルコール性1級のヒドロキシル基>アルコール性2級のヒドロキシル基>カルボキシル基
架橋剤[2]:エポキシ化合物(x=エポキシ基)
粘着剤用ポリマーの官能基:脂肪族アミノ基>芳香族アミノ基>カルボキシル基>酸無水物基
架橋剤[3]:メラミン化合物(x=アミノ基、メチロール基、アルコキシメチル
基、イミノ基)
粘着剤用ポリマーの官能基:ヒドロキシル基>カルボキシル基>イソシアネート基
架橋剤[4]:金属キレート化合物(x=金属キレート基)
粘着剤用ポリマーの官能基:カルボキシル基>ヒドロキシル基>エポキシ基
架橋剤[5]:アジリジン化合物(x=アジリジニル基)
粘着剤用ポリマーの官能基:エポキシ基>メチロール基>スルホン酸基
架橋剤[6]:メルカプト化合物(x=メルカプト基)
粘着剤用ポリマーの官能基:オキサゾリニル基>エポキシ基>ハロゲン原子(−Cl、−Br)
架橋剤[7]:オキサゾリン化合物(x=オキサゾリニル基)
粘着剤用ポリマーの官能基:カルボキシル基>メルカプト基。
【0030】
官能基Xは、少なくとも低分子量ポリマーには必須的に含まれていなければならない。低分子量ポリマーに官能基Xを導入するには、重合後期に、反応容器へ後添加開始剤(ブースター)を添加するときに、一緒に、官能基Xを有するモノマーを反応容器内へ添加して、反応容器内に残存しているモノマーと共重合させる方法が、最も簡便である。官能基Xを有するモノマーは1種または2種以上用いることができ、他の官能基を有しているモノマーや官能基を全く有していないモノマーと組み合わせて添加してもよいが、残存モノマーをなくするという目的上、ブースター添加時には、他のモノマーを加えることなく、官能基Xを有するモノマーのみを添加することが好ましい。もちろん溶剤等の非モノマー成分は添加可能である。
【0031】
官能基Xを有するモノマーとブースターは、反応容器内に同時に一括添加する方法、両者の混合物を滴下する方法、ブースターを先に反応容器へ添加し、その後に官能基Xを有するモノマーを添加する方法等が採用可能である。ブースターの添加は、重合反応容器内の反応物の重合率が80%を超えた後に行うことが好ましい。より好ましくは85%を超えた後、さらに好ましくは90%を超えた後である。重合率が80%を超える前にブースターを添加すると、所望する高分子量(全体として)の粘着剤用ポリマーが得られないことがある。なお、重合率(質量%)は、反応容器内のモノマーがポリマー(不揮発分)に転化した質量の割合であり、固形分測定(溶媒を除く)で簡単に求められる。
【0032】
本発明では、低分子量ポリマーに含まれる官能基Xの平均濃度Bの半分以下であれば、高分子量ポリマーに官能基Xが含まれていてもよいので、粘着剤用ポリマーを重合する際の初期段階から、官能基Xを有するモノマーを反応容器内に存在させていても構わない。ただし、低分子量ポリマーは積極的に架橋させ、高分子量ポリマーについては粘着力維持のためにあまり架橋させない、という本発明の目的に適合し、上記規定の範囲に官能基Xの濃度をコントロールする必要がある。従って、初期仕込み分および滴下分等のブースター添加前のモノマー組成は、ブースターと共に添加される官能基X含有モノマーの量およびその時に残存しているモノマー組成を勘案して、調整するとよい。
【0033】
通常の条件で粘着剤製品を使用する場合は、高分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度がゼロであっても良いが、高温雰囲気下で使用する用途等の場合には、高分子量ポリマーが一部架橋している方が耐熱性等の特性が向上する。従って、高分子量ポリマーが上記範囲内の官能基Xを有するか、官能基Xではなく官能基Y(あるいはその他の官能基)を有していることが好ましい。もちろん官能基Xと官能基Y(あるいはその他の官能基)とを有していてもよい。官能基Yが、官能基Xと架橋剤し得る架橋剤と反応する場合には、前記したように、官能基Yは官能基Xよりも当該架橋剤に対する反応性の低い官能基である必要がある。官能基Yの反応性が官能基Xよりも高ければ、添加した架橋剤が高分子量ポリマーの架橋に消費されてしまい、低分子量ポリマーの架橋を行えず、本発明の目的を達成することができないないからである。その他の官能基も同様である。
【0034】
上記官能基Yを高分子量ポリマーに導入する場合は、官能基Yの平均濃度C(ミリモル/高分子量ポリマー1g)を低分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度B(ミリモル/低分子量ポリマー1g)よりも少なくなるように調整することが好ましい。高分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度Aを上記平均濃度Bの半分以下にするのと同等の効果が得られるからである。なお、架橋剤の選択のし易さ、架橋反応の速やかさの点から、官能基Xとしてはヒドロキシル基が好ましく、官能基Yを導入するならばカルボキシル基とすることが好ましい。
【0035】
また、高分子量ポリマーの官能基が、官能基Xと反応し得る架橋剤の官能基xとの反応性がない官能基(例えば第3の官能基とする)であってもよい。このときは、粘着剤を配合するときに官能基xを有する架橋剤を用いると共に、高分子量ポリマーを一部架橋する必要がある場合にはこの第3の官能基と反応し得る官能基を有する架橋剤(官能基xを有する架橋剤とは異なる架橋剤)を添加することにより、低分子量ポリマーの架橋反応と高分子量ポリマーの架橋システムを別々に行うことが可能となる。
【0036】
続いて、本発明の粘着剤用ポリマーを構成するモノマーの種類について説明する。本発明の粘着剤用ポリマーは、官能基Xを有するモノマーと共に、粘着特性の観点から(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須的に含むモノマー成分をラジカル重合することにより製造することができる。
【0037】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜12のものが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらは1種または2種以上を用いることができる。粘着特性を考慮すれば、モノマー成分中の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類の含有量は、70〜99.9質量%とすることが好ましい。
【0038】
官能基XまたはYを含有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのポリカプロラクトン変性物である「プラクセルF」シリーズ(ダイセル化学工業社製)等のアルコール性ヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、脂環エポキシ基含有モノマーである「サイクロマー」シリーズ(ダイセル化学工業社製)、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等のエポキシ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン等のオキサゾリニル基含有モノマー、β−クロロ(またはブロモ)エチルビニルエーテル、モノクロロ(またはブロモ)酢酸ビニル、α−クロロ(またはブロモ)アクリル酸メチル、3−クロロ(またはブロモ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のハロゲン基含有モノマー等が挙げられる。
【0039】
上記各官能基含有モノマーは、1種または2種以上を混合して用いることができるが、反応性を有する2種類以上の官能基を同一の粘着剤用ポリマー中に導入すると、ゲル化の原因となるので好ましくない。互いに反応性のない2種以上の官能基であれば、併存可能である。
【0040】
上記各官能基含有モノマーは、高分子量ポリマーおよび/または低分子量ポリマー中に、官能基(X、Yまたはその他の官能基)を導入するために用いられる。低分子量ポリマーと高分子量ポリマーにおける官能基Xの平均濃度AおよびBを、前記関係および好ましい範囲にすることができるように、ブースター添加時における官能基含有モノマーの添加量と、ブースター添加前に反応容器へ添加される官能基含有モノマーの添加量とを調整する必要がある。
【0041】
本発明者らの検討によれば、ブースター添加後に生成する低分子量ポリマーは、ポリマー全体の10質量%以下であり、大体5〜7質量%である。高分子量ポリマーは、大体55〜70質量%である。低分子量ポリマー中の官能基Xの濃度は0.01(ミリモル/低分子量ポリマー1g)以上であることが好ましいので、用いようとする官能基X含有モノマーの官能基濃度(ミリモル/モノマー1g)から計算すれば、ブースター添加時に官能基X含有モノマーをどれだけ添加すればよいかが定まる。
【0042】
また、高分子量ポリマーはブースター添加前にすでに生成しているので、ブースター添加前のモノマー組成(初期仕込み分および/または滴下分)において、高分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度Bが、低分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度Aの1/2以下になるように、官能基X含有モノマー量を調整すればよい。
【0043】
なお、本発明の粘着剤用ポリマーには、本発明でいう高分子量ポリマーと低分子量ポリマーの間のMwを持つポリマー、すなわち、Mwが2.3×104超〜17.6×104未満のポリマー(便宜上、中分子量ポリマーという)が、当然含まれている(後述の図1および2参照)。この中分子量ポリマーは、ブースター添加前に生成していることが本願出願人により確認されている。従って、高分子量ポリマーと中分子量ポリマーは、これらのポリマーを構成するモノマー組成に大差はなく、仕込みモノマーもしくは滴下モノマーの組成に応じた組成のポリマーの一部が高分子量ポリマーとなり、残り(低分子量ポリマーは除く)が中分子量ポリマーとして区分けされるだけである。従って、高分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度Bが、低分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度Aの1/2以下になるように、官能基X含有モノマー量を調整して重合すれば、ほぼ確実に、中分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度も低分子量ポリマーの官能基Xの平均濃度Aの1/2以下になる。従って、中分子量ポリマーが、後の架橋反応の際に、低分子量ポリマーの架橋を阻害することはない。
【0044】
本発明の粘着剤用ポリマーを構成するためのモノマー成分には、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、官能基含有モノマー以外に、その他のモノマーも含まれていてもよい。その他のモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン等のN基含有モノマー;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド系モノマー等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらのその他のモノマーは、モノマー成分中0〜20質量%とすることが好ましい。20質量%を超えると、粘着剤用ポリマーのTgが上がって硬くなるので、粘着力・耐反発性等の特性が低下するため好ましくない。
【0045】
本発明に係る粘着剤用ポリマーは、常温で粘着性を有していることが好ましく、タックおよび粘着力のバランスの観点から、重合後のポリマーのガラス転移温度(Tg)が−65℃〜−30℃になるように、上記例示したモノマーを選択することが好ましい。TgはDSC(示差走査熱量測定装置)、DTA(示差熱分析装置)、TMA(熱機械測定装置)によって求めることができる。また、ホモポリマーのTg(K)と、モノマーの重量分率等から求められる計算値を目安にしてもよい。
【0046】
モノマー成分を重合するに際しては、従来公知の重合方法を採用することができ、その重合方法は特に限定されない。例えば、溶液重合法やバルク重合法等を用いることができ、工業的には溶液重合法が好ましい。溶液重合法は、重合時の重合熱の除去が容易であり、操業性が良いからである。
【0047】
溶液重合法やバルク重合法では、ブースター添加時に添加されるモノマー以外のモノマー成分を一括仕込みで重合する方法と、モノマーを滴下しながら重合する方法、一部を一括で仕込んでおき、残りのモノマーを滴下しながら重合する方法等、いずれも採用できる。一括仕込みで重合する場合、重合開始剤は最初の仕込みのときおよびブースターとして添加するとき以外、重合系に加えないようにすることが好ましい。高分子量のポリマーを生成するためである。モノマー滴下の際は、反応容器中のモノマーと重合開始剤の比率をなるべく一定にするために、モノマーと重合開始剤の混合物を滴下することが好ましい。
【0048】
重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物等の公知のものを利用することができる。重合開始剤は、ブースター添加前においては反応容器内のモノマーの質量に対して、0.01〜1質量%となるように使用することが好ましい。あまり多いと、所望とする高分子量のポリマーが得られない。なお、粘着特性の点から、粘着剤用ポリマー全体としての重量平均分子量Mwは40万以上が好ましく、60万以上がより好ましく、70万以上がさらに好ましい。
【0049】
ブースターとなる後添加用の重合開始剤は、反応容器内の残存モノマーの質量(重合率の測定等から導くことができる)に対して、重合開始剤の質量が1〜10質量%となるように使用することが好ましい。ブースターが少な過ぎると、残存モノマーのポリマーへの転化率が小さくて、最終ポリマー中にモノマーが残留してしまう。ブースターが多すぎると、低分子量ポリマーというよりもオリゴマーレベルの生成物が多数出来てしまい、官能基Xでもって架橋させても、糊残りを起こさなくなるだけの分子量のポリマーにすることができず、再剥離性に劣ることとなる。
【0050】
溶液重合で用いられる溶媒としては、具体的には、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられるが、上記重合反応を阻害しなければ、特に限定されない。これらの溶媒は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を便宜混合して用いてもよい。なお、溶媒の使用量は、適宜決定すればよい。
【0051】
反応温度や反応時間等の反応条件は、例えば、モノマー成分の組成や、重合方法、あるいは、得られる(メタ)アクリル系粘着剤用ポリマーの要求特性、粘着剤の用途等に応じて便宜設定すればよく、特に限定されない。また、反応圧力も特に限定されるものではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧のいずれであってもよい。なお、重合反応は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが望ましい。
【0052】
本発明の粘着剤用ポリマーは、1分子中に官能基xを2個以上有する架橋剤が必須成分として配合されて粘着剤となり、これを各種用途に応じた形態にして粘着製品とされる。官能基xを有する架橋剤として用いることのできる架橋剤、または官能基Yやその他の官能基と反応し得る架橋剤として前記例示したものについて、具体例を示す。
【0053】
架橋剤[1]ポリイソシアネート化合物:
1分子当たりイソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物;「スミジュールN」(住友バイエルウレタン社製)等のビュレットポリイソシアネート化合物;「デスモジュールIL」、「デスモジュールHL」(いずれもバイエルA.G.社製)、「コロネートEH」(日本ポリウレタン工業社製)等として知られるイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物;「スミジュールL」(住友バイエルウレタン社製)等のアダクトポリイソシアネート化合物;「コロネートL」(日本ポリウレタン社製)等のアダクトポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。これらは、単独で使用し得るほか、2種以上を併用することもできる。また、これらの化合物のイソシアネート基を活性水素を有するマスク剤と反応させて不活性化したいわゆるブロックイソシアネートも使用可能である。
【0054】
架橋剤[2]エポキシ化合物:
1分子当たりエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン等が挙げられる。
【0055】
架橋剤[3]メラミン化合物:
1分子当たりアミノ基、メチロール基、アルコキシメチル基、イミノ基のうち何れかの官能基を2個以上有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン等が挙げられる。
【0056】
架橋剤[4]金属キレート化合物:
アルミニウム、亜鉛、カドミウム、ニッケル、コバルト、銅、カルシウム、バリウム、チタン、マンガン、鉄、鉛、ジルコニウム、クロム、錫等の金属に、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、サリチル酸メチル等が配位した金属キレート化合物等が挙げられる。
【0057】
架橋剤[5]アジリジン化合物:
N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフォンオキサイド、N,N’−ジフェニルエタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
【0058】
架橋剤[6]メルカプト化合物:
1,6−ジメルカプトヘキサン、ジメルカプトジエチルエーテル、2,2−ジメルカプトジエチルスルフィド等の脂肪族ポリメルカプト化合物;3,4−ジメルカプトトルエン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、4−tert−ブチル−1,2−ベンゼンチオール、1,5−または2,7−ジメルカプトナフタレン、2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジメルカプト−6−フェニルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジメルカプト−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジメルカプト−6−オクチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジメルカプト−6−オクチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジメルカプト−6−ジオクチルアミノ−1,3,5−トリアジン等のトリアジンチオール化合物等の芳香族ポリメルカプト化合物が挙げられる。
【0059】
架橋剤[7]:オキサゾリン化合物
「エポクロス」シリーズ(日本触媒社製)等が挙げられる。
【0060】
これまで述べてきたように、本発明の粘着剤用ポリマーには、少なくとも官能基Xが存在し、場合によって、官能基Yや、その他の官能基が存在している。粘着製品を製造するには、粘着剤用ポリマーと架橋剤を混合して粘着剤にする必要があるが、粘着剤用ポリマーが有する官能基に応じて、1種類以上の架橋剤を使用することができる。もちろん、官能基Xと反応し得る官能基xを有する架橋剤は必須である。
【0061】
このとき、粘着剤用ポリマー中の官能基の全量Pに対し、架橋剤中の官能基の合計量Qが、P/Q=0.01〜300(モル換算)の範囲になるように、粘着剤ポリマーと架橋剤を配合することが好ましい。P/Qが300を超えると架橋不足となり、糊残りが発生するおそれがある。P/Qを100以下にすることがより好ましく、30以下にするとさらに好ましい。
【0062】
粘着剤中に架橋剤を入れすぎると、配合される架橋剤と反応し得る官能基を高分子量ポリマーが含まれている場合に、所望する以上に高分子量ポリマーが架橋反応を起こし、粘着力が低下してしまうことがあるため、P/Qは0.01以上とするのが好ましい。高分子量ポリマーが架橋剤との反応性を有する官能基を全く持たない場合は、低分子量ポリマー中の官能基の量に見合った量の架橋剤を添加すればよく、過剰な架橋剤の添加は無駄である。より好ましい下限は0.1であり、さらに好ましい下限は0.2である。
【0063】
上記範囲は、ポリマーの官能基全体量と、用いられる架橋剤の官能基全体量との好ましい比率を定めるものであるが、ポリマー中の必須官能基であるXと、架橋剤中の官能基xの比率も上記範囲にすることが好ましい。粘着特性の点、架橋剤の選択のし易さ、架橋反応の速やかさ等を考慮すると、官能基Xとして最も好ましいのはアルコール性ヒドロキシル基であり、そのときの架橋剤として最も好ましいのは、官能基xとしてイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物である。
【0064】
粘着剤用ポリマーが、X、Yおよびその他の官能基のうち、異なる官能基と反応し得る2種以上の架橋剤を併用する場合は、それぞれの架橋剤の官能基について、各架橋剤と反応し得るポリマー中の官能基との比率も、上記範囲に入るように各架橋剤量を調整して用いることが好ましい。本発明の目的は、低分子量ポリマーを架橋させて糊残りを防止し、高分子量ポリマーを架橋させないか必要により少し架橋させることであるので、この点を考慮して、各架橋剤量を調整する必要がある。
【0065】
本発明に係る粘着剤用ポリマーは、ポリマー自身が高分子量であり優れた粘着力を示すが、粘着製品を製造するに当たり、用途に応じて、必要により、粘着付与剤を配合してもよい。粘着付与剤としては、(重合)ロジン系、(重合)ロジンエステル系、テルペン系、テルペンフェノール系、クマロン系、クマロンインデン系、スチレン樹脂系、キシレン樹脂系、フェノール樹脂系、石油樹脂系等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用できる。
【0066】
粘着付与剤の量は、特に限定されないが、粘着剤用ポリマー100質量部に対して、通常、5〜100質量部とするのが好ましい。粘着付与剤の添加量が5質量部より少ないと、粘着付与剤による粘着力向上効果が発揮されないことがある。一方、上記粘着付与剤の添加量が100質量部より多いと、逆にタックが減少して粘着力が低下するおそれがある。10質量部〜50質量部の範囲内がさらに好ましい。
【0067】
粘着製品を製造するに当たっては、さらに、必要に応じて、粘着剤に通常使用される充填剤、顔料、希釈剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の従来公知の添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、1種類または2種以上、使用可能である。これらの添加剤の添加量は、所望する物性が得られるように適宜設定すればよい。
【0068】
本発明の粘着剤用ポリマーと前記架橋剤および上記各種添加剤、溶剤等を粘着剤組成物として用いることにより、例えば、粘着シート、粘着ラベル、粘着テープ、両面テープ等の各種粘着製品の製造に好適に用いることができる。このような粘着製品では、基材レスで、または基材に粘着剤組成物の層を形成することにより製造される。
【0069】
基材としては、上質紙、クラフト紙、クレープ紙、グラシン紙等の従来公知の紙類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフテレート、ポリ塩化ビニル、セロファン等のプラスチック;織布、不織布等の繊維製品等を利用できる。基材の形状は、例えば、フィルム状、シート状、テープ状、板状、発泡体等が挙げられるが、特に限定されるものではない。基材の片面に粘着剤組成物を公知の方法で塗布することによって、粘着シート、粘着テープ、粘着ラベル等を得ることができる。また、紙、合成紙、プラスチックフィルム等のシート状物に離型剤が塗布されている離型紙等に粘着剤組成物を塗布することにより、基材レス(単層構造)の粘着剤が得られ、基材レスの両面テープとして使用することができる。また、上記基材の両面に同種または異種の粘着剤組成物を塗布して、両面テープとしてもよい。
【0070】
粘着剤組成物を基材に塗布する方法は、特に限定されるものではなく、ロールコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング法等の公知の方法を採用することができる。この場合、粘着剤組成物を基材に直接塗布する方法、離型紙等に粘着剤組成物を塗布した後、この塗布物を基材上に転写する方法等いずれも採用可能である。
【0071】
粘着剤組成物を塗布した後、乾燥させることにより、基材上に粘着剤層が形成される。乾燥温度は、特に限定されるものではないが、加熱乾燥時に架橋反応が進行するので、架橋剤の種類に応じて架橋反応が速やかに進行する温度で乾燥することが好ましい。なお、用途によっては、粘着剤組成物を被着体に直接、塗布してもよい。
【0072】
基材上に形成された粘着剤の表面には、例えば、離型紙を貼着してもよい。粘着剤表面を好適に保護・保存することができる。剥離紙は、粘着製品を使用する際に、粘着剤表面から引き剥がされる。なお、シート状やテープ状等の基材の片面に粘着剤面が形成されている場合は、この基材の背面に公知の離型剤を塗布して離型剤層を形成しておけば、粘着剤層を内側にして、粘着シート(テープ)をロール状に巻くことにより、粘着剤層は、基材背面の離型材層と当接することとなるので、粘着剤表面が保護・保存される。
【0073】
【実施例】
以下実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお以下特にことわりのない場合、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ示すものとする。また、各種粘着特性の評価は、JIS Z 0237に準じて、下記に示す方法で行った。
【0074】
[試験片の作成方法]
基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、厚さ50μm)を用い、粘着剤組成物を乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布した後、100℃で3分間乾燥させることにより、粘着フィルムを作成した。粘着剤表面に離型紙(サンエー化研株式会社製、商品名K−80HS)を貼着して保護した後、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で7日間養生した。養生後の粘着フィルムを所定の大きさに切断して、試験片を作製した。なお、離型紙は各種測定試験を実施する際に引き剥がした。
【0075】
[保持力の測定方法]
温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、ステンレス鋼板(SUS304:以下「SUS板」と記す)に、貼付面積が25mm×25mmとなるように粘着フィルム試験片を貼着する。25分間放置後、この試験片が貼着されたSUS板を80℃の恒温機に入れて、鉛直に吊り下げる。20分間経過した後、9.8Nの力を試験片に掛けて、SUS板から試験片が落下するまでの時間、または24時間後のズレ距離を測定した。
【0076】
[初期粘着力の測定方法]
温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、被着体であるSUS板に幅25mmの粘着フィルム試験片を貼着した。貼着は、試験片の上を2kgの質量のゴムローラーで3往復させることによって行った。貼着してから25分経過後に、試験片の一端を180度方向に速度300mm/分でSUS板から剥離させた時の強度(180度引き剥がし粘着力:N/cm)を測定した。また、剥離状態を下記基準で目視評価した。
SF:粘着剤と被着体との界面剥離
TF:粘着剤と基材との界面剥離(粘着剤が被着体側へ移行)
C:粘着剤の跡が「曇り」となって残っている。
CF:多量に粘着剤が残っており、凝集破壊を起こしている。
【0077】
[加熱促進粘着力の測定方法]
初期粘着力測定と同様にして、SUS板に試験片を貼着した。貼着してから70℃で24時間放置したものと、70℃で7日間放置したものについて、初期粘着力測定と同様にして180度引き剥がし粘着力(N/cm)を測定した。なお、引き剥がし粘着力は、それぞれ加熱状態からサンプルを取り出し、23℃、相対湿度65%の雰囲気下で1時間放置してから測定した。また、剥離状態を上記のように評価した。
【0078】
実施例1
温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器および滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、アクリル酸ブチル288部、アクリル酸2−エチルヘキシル288部およびアクリル酸18部からなるモノマー混合物594部のうちの240部と、酢酸エチル300部を仕込んだ。窒素気流下で撹拌しながら昇温し、80℃になったところで、有機過酸化物系開始剤「ナイパーBMT−K40」(日本油脂社製)0.6部を添加して重合を開始させた。重合が開始してから15分経過後、残りのモノマー混合物254部と、0.8部のナイパーBMT−K40と酢酸エチル150部を、1時間半かけて滴下した。滴下終了後さらに3時間反応させたところで、希釈溶剤としてトルエンを273部添加した。この時点での重合率は96.5%であった。
【0079】
続いて上記容器内に、ブースターとしてアゾ系重合開始剤「ABN−E」(日本ヒドラジン工業社製)1.8部と、トルエン50部と、官能基X含有モノマーとしてアクリル酸2−ヒドロキシエチル6部を添加し、さらに4時間加熱を続けた。4時間経過後にトルエン258部を加え、冷却し、重合反応を終了した。固形分39.8%、粘度12.13Pa・s(25℃、B型粘度計、以下同様)、重量平均分子量(Mw)91.7×104(前記GPCによる分子量測定条件に則って測定:標準ポリスチレン換算)の粘着剤用ポリマー溶液A1が得られた。モノマー組成、分子量等のデータをまとめて表1に示した。
【0080】
また、前記したGPCを用いた分取と熱分解GC/MSによる測定によって、Mw2.3×104以下の低分子量ポリマー1gあたりのアルコール性ヒドロキシル基濃度(ミリモル/低分子量ポリマー1g)と、Mw17.6×104以上の高分子量ポリマー1gあたりのアルコール性ヒドロキシル基濃度(ミリモル/高分子ポリマー1g)を分析し、表1に示した。
【0081】
実施例2〜4および比較例1〜2
モノマー組成、反応条件等を表1および表2に示したように変更した以外は、実施例1と同様の反応・操作を行い、粘着剤用ポリマーA2〜A4と、比較用粘着剤用ポリマーB1〜B2を得た。なお、ブースター添加時の重合率は、いずれの実施例および比較例においても95%前後であった。また、粘着剤用ポリマーA2とB2の分子量分布曲線(前記GPCによる分子量測定条件に則って測定:標準ポリスチレン換算)と累積曲線を図1(ポリマーA2)および図2(ポリマーB2)に示した。図中左側の斜線部は、Mw2.3×104以下の「低分子量ポリマー」であり、右側の斜線部は、Mw17.6×104以上の「高分子量ポリマー」である。
【0082】
比較例3
温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器および滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、アクリル酸ブチル284.4部、アクリル酸2−エチルヘキシル284.4部、アクリル酸18部およびメタクリル酸2−ヒドロキシエチル2.64部からなるモノマー混合物589.36部と、酢酸エチル720部を加えてから昇温して80℃になったところで過酸化物系開始剤「ナイパーBMT−K40」(日本油脂社製)1.76部を添加して重合を開始させた。重合が開始してから20分毎に、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル10.56部と酢酸エチル100部からなるモノマー溶液を9分の1ずつ加えた。反応開始から3時間後の時点で、重合率は95.8%であった。
【0083】
続いて、上記反応容器内に前記アゾ系開始剤「ABN−E」を1.8部とトルエン40部のみを添加し、さらに4時間加熱を続けた。4時間経過後にトルエン20部を加え、冷却し、重合反応を終了した。固形分40.3%、粘度1.32Pa・s、Mw33.1×104の粘着剤用ポリマー溶液B3が得られた。モノマー組成等のデータをまとめて表2に示した。
【0084】
比較例4
温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器および滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、アクリル酸ブチル284.4部、アクリル酸2−エチルヘキシル284.4部、アクリル酸18部およびメタクリル酸2−ヒドロキシエチル13.2部からなるモノマー混合物5600部と、酢酸エチル733部を加えてから昇温して80℃になったところで前記「ナイパーBMT−K40」1.8部を添加して重合を開始させた。反応開始から3時間後経過後の重合率は94.5%であった。反応開始から3時間経過後、上記反応容器内に前記アゾ系開始剤「ABN−E」を1.8部とトルエン60部を添加し、さらに4時間加熱を続けた。4時間経過後にトルエン20部を加え、冷却し、重合反応を終了した。固形分41.3%、粘度3.44Pa・s、Mw40.8×104の粘着剤用ポリマー溶液B4が得られた。モノマー組成等のデータをまとめて表2に示した。
【0085】
【表1】
Figure 0004392925
【0086】
【表2】
Figure 0004392925
【0087】
実施例5
実施例1で合成した粘着剤用ポリマー溶液A1(固形分39.8%)100部に対して、架橋剤として「コロネートL55E」(日本ポリウレタン社製のポリイソシアネート化合物:固形分55%:三官能)を3.0部(溶液中のNCO基濃度として0.0075ミリモルに相当)配合し、粘着剤組成物1を調製した。低分子量ポリマー部分、高分子量ポリマー部分および全体の(トータル)ポリマーそれぞれにおける官能基濃度等のデータと、前記した方法による粘着特性評価結果をまとめて表3に示した。
【0088】
実施例6〜13および比較例5〜14
粘着剤用ポリマー溶液の種類および架橋剤量を表に示したように変更した以外は実施例5と同様にして粘着特性を評価し、官能基濃度等のデータと共に表3〜6に示した。
【0089】
【表3】
Figure 0004392925
【0090】
【表4】
Figure 0004392925
【0091】
【表5】
Figure 0004392925
【0092】
【表6】
Figure 0004392925
【0093】
表3〜4から明らかなように、実施例の粘着剤組成物は、糊残りを起こさず、しかも優れた粘着力を示すことがわかる。また、架橋剤を多く配合しても粘着力が低下せず、再剥離性に優れていることもわかった。低分子量ポリマーが適切に架橋されたことと、高分子量ポリマーが架橋されずに粘着力の低下を起こさないことによる。一方、表5〜6から、比較例の場合は、架橋剤を多くすると凝集破壊が少なくなるが、初期粘着力が低下し、再剥離用途での実用性が欠けることがわかる。また、初期粘着力を高めるために架橋剤を減らすと、再剥離性が低下した。
【0094】
【発明の効果】
本発明では、糊残りを起こし得る低分子量ポリマーに、架橋剤と反応し得る官能基を多数持たせて、架橋反応によって糊残りを起こさないようなポリマーに変えると共に、高分子量の粘着剤用ポリマーについては必要以上に架橋しないようにポリマー設計を行った。その結果、凝集力に悪影響を及ぼす低分子量ポリマーを積極的に架橋させることができ、糊残りの発生が抑制された。従って、粘着力と凝集力の両性能が良好で、再剥離性が要求される用途に適した粘着製品を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られた粘着剤用ポリマーA2の分子量分布曲線と累積曲線である。
【図2】比較例2で得られた粘着剤用ポリマーB2の分子量分布曲線と累積曲線である。

Claims (5)

  1. 1分子中にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート架橋剤と共に使用され、このポリイソシアネート架橋剤のイソシアネート基と反応し得る官能基としてアルコール性ヒドロキシル基を有しているポリマーを含む粘着剤用ポリマー混合物であって、
    この粘着剤用ポリマー混合物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、アルコール性ヒドロキシル基を有するモノマーとを必須的に含むモノマー成分をラジカル重合することにより得られるものであり、
    ポリスチレン標準試料換算の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定したとき、重量平均分子量が2.3×104以下の低分子量ポリマーと、重量平均分子量が2.3×104超〜17.6×104未満の中分子量ポリマーと、重量平均分子量が17.6×104以上の高分子量ポリマーとを含み、
    これらの低分子量ポリマー、中分子量ポリマーおよび高分子量ポリマーのうち、少なくとも低分子量ポリマーは上記アルコール性ヒドロキシル基を有しており、
    上記高分子量ポリマーについて別途測定されたアルコール性ヒドロキシル基の平均濃度A(ミリモル/高分子量ポリマー1g)が、上記低分子量ポリマーについて別途測定されたアルコール性ヒドロキシル基の平均濃度B(ミリモル/低分子量ポリマー1g)の1/2以下であることを特徴とする粘着剤用ポリマー混合物。
  2. 上記低分子量ポリマーのアルコール性ヒドロキシル基の平均濃度Bが、0.01(ミリモル/低分子量ポリマー1g)以上である請求項1に記載の粘着剤用ポリマー混合物。
  3. 上記高分子量ポリマーが、上記イソシアネート基との反応性がアルコール性ヒドロキシル基より低い官能基Yを有しているものである請求項1または2に記載の粘着剤用ポリマー混合物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載された粘着剤用ポリマー混合物の製造方法であって、重合反応容器内の反応物の重合率が80%を超えた後、重合反応容器内に、重合開始剤とアルコール性ヒドロキシル基を含有するモノマーを添加することを特徴とする粘着剤用ポリマー混合物の製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載された粘着剤用ポリマー混合物中のポリイソシアネート架橋剤と反応し得る官能基の全量Pに対し、架橋剤中の官能基の合計量Qが、P/Q=0.01〜300(モル)の範囲になるように、上記粘着剤用ポリマー混合物と架橋剤とを含んでいる粘着剤を用いて得られたことを特徴とする粘着製品。
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