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JP4389133B2 - 難燃抗菌性樹脂組成物を用いた繊維製品 - Google Patents

難燃抗菌性樹脂組成物を用いた繊維製品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂中に特定の有機リン化合物またはその金属塩などを配合せしめ、難燃抗菌性を有する樹脂組成物及びそれにより得られる繊維、不織布などの繊維製品に関するものある。
【0002】
【従来の技術】
従来から、難燃、抗菌の機能を繊維に付与する方法は知られている。
難燃繊維は、古くから検討され、難燃化方法として、例えば、特開昭59-23651号公報等に開示されているように繊維に成形後に燐、ハロゲン等を含有する難燃剤の水分散体で処理する後加工難燃化法、特開昭53-13479号公報等に開示されているようにリン化合物を重合工程で添加して共重合させる素材難燃化法、難燃剤をポリマー中に練り混む方法がある。これらの方法によるポリエステル繊維の難燃化機構は、その溶融特性を高めることにある。
【0003】
抗菌繊維については、抗菌性金属類を担持させたセラミック系粒子を繊維に練り混むブレンド法、比較的安全性の高い有機系の抗菌剤による後加工法などがある。前者の方法としては、特開昭59-133235 号公報に開示されているように銀や銅等の金属を担持させたゼオライトや燐酸塩系の層状化合物等のセラミック系微粒子を繊維形成ポリマーに混練りして紡糸する方法が挙げられる。
近年、ホテル、旅館、学校、病院等の公共の建物に使用されるカーテン、敷物、合板類の用途には防炎性が必要であり、消防法でも一定以上の防炎性を満足するように規制されている。また、生活の多様化から種々の機能が繊維に要求されるようになり、特に衛生思考の高まりから各種繊維製品に抗菌防臭加工が要求されるようになってきた。従って、難燃と抗菌の両機能を併せ持った繊維の要求が増してきた。
【0004】
抗菌性及び難燃性の機能付与方法としては、繊維製品に難燃剤と抗菌剤の後加工工程での付与方式、難燃剤を共重合して抗菌剤を後加工で付与する方式、抗菌剤を共重合して難燃剤を後工程で付与する方式等が考えられる。例えば特開平10-212667 号公報では、リン化合物共重合ポリエステル繊維布帛に抗菌化合物を付与してなる難燃抗菌性繊維がある。難燃剤は共重合であるが、抗菌剤は後加工付与方法である。
1つの添加剤で難燃性と抗菌性とを合わせ持つ化合物はあまり知られていない。特公昭 58−2240号公報には本発明のリン化合物の記載があるが、抗菌性に関しては全く触れられていない。また、特開平5−51817号公報にはリン含有ポリエステルに金属イオンを含有するリン酸塩型の層状化合物を添加する方法、特開平11−11682号公報には環状有機リン酸エステル化合物にアルカリ金属原子を添加した抗菌不織布が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、安定で経済的で、かつ従来より著しく難燃性と抗菌性の両機能を有する樹脂組成物を提供しようとするものであり、さらに後加工性の改善された繊維製品、不織布となる糸を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は以下に示すものである。
1.ポリエステルまたはポリプロピレンからなる樹脂中に、下記一般式(1)で表される有機リン化合物、該有機リン化合物の開環物、該開環物の金属塩、一般式(2)で表される有機リン化合物、該有機リン化合物の開環物及び該開環物の金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機リン化合物を100〜50000ppm、及び金属酸化物または金属水酸化物を0.01〜10重量部含有し、かつ黄色ブドウ球菌を試験菌種とする静菌活性値が3.1以上、酸素指数が27以上である難燃抗菌性樹脂組成物を用いた繊維製品。
【化3】
Figure 0004389133
(一般式(1)で、R、R及びRは同じか又は異なる基であって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基より選ばれる。)
【化4】
Figure 0004389133
(一般式(2)で、Rは1価のエステル形成性基であり、R、Rは同じか又は異なる基であって、それぞれハロゲン原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、Rより選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基を表わす。また、nは1または2であり、n、nはそれぞれ0〜4の整数を表す。)
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明における樹脂とは、ポリプロピレンまたはポリエステルからなる
本発明における有機リン化合物とは、一般式(1)〜(2)で示される化合物、その化合物の開環物及びそれらの金属塩であり、例えば下記の構造式で示されるものが挙げられる。
【0008】
【化5】
Figure 0004389133
【0009】
【化6】
Figure 0004389133
【0010】
【化7】
Figure 0004389133
【0011】
【化8】
Figure 0004389133
【0012】
【化9】
Figure 0004389133
【0013】
【化10】
Figure 0004389133
【0014】
【化11】
Figure 0004389133
【0015】
上記の化合物の開環物及びその金属塩は、酸やアルカリ化合物による公知の加水分解法により得られる。これらの中で一般式(1)の化合物の例である9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド(以下、HCAと略記)やその開環物、該開環物のアルカリ金属塩(HCA−Na)などが取り扱い易さや入手し易さの点で好ましい。
【0016】
有機リン化合物と併用する金属の酸化物または水酸化物としては、アルカリ土類金属の群のものがよく、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム等の酸化物、水酸化物があるが、水酸化カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛が好ましく、樹脂に対して0.01〜10重量%の添加が効果的である。
【0017】
本発明の樹脂組成物は、樹脂中に前記の有機リン化合物や金属化合物を配合したものであり、その製造法は特に限定されず、樹脂が熱可塑性の場合は、押し出し機中で混練りする方法、熱硬化性の場合は、硬化前の樹脂中に混合する方法などが挙げられる。
【0018】
本発明の樹脂組成物は、繊維やフィルムなどの成形物として使用されるが、特に繊維としては、布団、枕、シーツ、カーテン、カーペット、椅子張り等の寝装、インテリア分野、壁紙、ロープ、安全シート、養生ネット等の産業資材分野、マスク、ガーゼ、包帯、白衣、オムツ等の医療衛生用材、床材、遮音材フィルター等に適用できる。
【0019】
【実施例】
以下製造例及び実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、実施例中、部とあるのは重量部を、パーセントとあるのは重量パーセントを意味し、固有粘度は、フェノール-1,1,2,2- テトラクロルエタン混合溶媒( 重量比3:2)中30℃で測定した値より求めたものである。防炎性は、JIS-1091-1992 繊維製品の燃焼試験方法D 法( 接炎試験) に準じて実施した。ポリエステル重合体を常法により紡糸延伸して得た糸をメリヤス編みとして、1gを長さ10cmにまるめて径 10mmの針金コイル中に挿入して、45°の角度に保持し、下端から点火し、火源を遠ざけて消火した場合は再び点火を繰り返し、全試料を燃焼しつくすのに要する点火回数を求め、5 個の試料についての平均値であらわしたものである。接炎回数が3 回以上であれば難燃性ありと判断した。
【0020】
LOI 値とは、限界酸素指数のことで、JISK 7201-1995酸素指数法になる高分子材料の燃焼性試験方法にて測定できる。LOI 値が大きい程、難燃性に優れる。
【0021】
抗菌性評価は、JIS-1902-1998 で制定の繊維製品の抗菌性試験法( 統一法) マニュアルに準じた。即ち、密閉容器の底部に予めサンプルを2gを置き、このサンプル上に予め培養した1/50ブロースで希釈した黄色ブドウ球菌( 試験菌種:AATCC-6538P) の菌液0.2ml を蒔き、37℃のインキュベーター内に18時間静置した後、20MLのSCDLP 培地を添加して十分に振とうして菌を洗い落とす。これを普通寒天培地に置き24時間後に菌数を計測し、同時に実施した無加工試料布による菌数値と比較し抗菌性を判断した。
F=Mb −MA
ここで、F:増殖値
Mb:無加工試料の18時間培養後の生菌数の対数(3検体の平均)MA:無加工試料の接種直後の生菌数の対数(3検体の平均)
D=Mb −Mc
D:静菌活性値
Mc:加工布培養18時間培養後の生菌数の対数
【0022】
参考例1、実施例1〜及び比較例1〜2
有機リン化合物としては、前記のHCA,HCA−Na塩及び化合物(a)を用い、リン含有量が6000ppmと成るように、実施例1〜2及び比較例2では、さらに酸化亜鉛が0.5重量%に成るように押し出し機によりポリエステル樹脂と溶融混練りし、粒径4mmのペレットを作成後、これを紡糸機にて通常の溶融紡糸を行い、150デシテックス、48フィラメントの糸を巻き取った。
この糸を筒編みして生地とし、これを難燃、抗菌評価用サンプルとした。
この評価結果を表1に示した。
【0023】
【表1】
Figure 0004389133
【0024】
参考例2、実施例及び比較例3〜4
参考例1におけるポリエステルの代わりにポリプロピレンを用いて参考例1と同様にしてペレットを製造し、これを用いて通常のスパンボンド法にて不織布を作成し評価を実施した。
その結果を表2に示した。
【0025】
【表2】
Figure 0004389133
【0026】
【発明の効果】
本発明における有機リン化合物、さらには該化合物と金属酸化物との併用により複雑な共重合、練り込み、後加工の必要もなく簡単に難燃と抗菌の両効果を発現させることができる。

Claims (1)

  1. ポリエステルまたはポリプロピレンからなる樹脂中に、下記一般式(1)で表される有機リン化合物、該有機リン化合物の開環物、該開環物の金属塩、一般式(2)で表される有機リン化合物、該有機リン化合物の開環物及び該開環物の金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機リン化合物を100〜50000ppm、及び金属酸化物または金属水酸化物を0.01〜10重量部含有し、かつ黄色ブドウ球菌を試験菌種とする静菌活性値が3.1以上、酸素指数が27以上である難燃抗菌性樹脂組成物を用いた繊維製品。
    Figure 0004389133
    (一般式(1)で、R、R及びRは同じか又は異なる基であって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基より選ばれる。)
    Figure 0004389133
    (一般式(2)で、Rは1価のエステル形成性基であり、R、Rは同じか又は異なる基であって、それぞれハロゲン原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、Rより選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基を表わす。また、nは1または2であり、n、nはそれぞれ0〜4の整数を表す。)
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