JP4386022B2 - 時計の表示装置、ムーブメント、および時計 - Google Patents
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Description
一方、日や曜、時分などの目盛が文字板上の扇形の表示部に描かれ、指針によって暦や時刻を示すレトロ調(レトログラード)の時計の表示機構も知られている。このレトロ調タイプの時計において、曜表示を例にとると、指針は、Sun、Mon、Tue・・・と順次進み
、Satの次は再び、Sunの位置に戻る。このような指針の往復運動を実現するために、特許文献1では、日表示に関して、地板の裏側に設けられた従来のリング状の日車(ただし日の印字はない)の外周形状を螺旋状とし、これをカムとして利用することが提案されている。具体的に、特許文献1の時計では、指針が取り付けられたピニオンと、このピニオンに互いに反対方向から噛合う一対のラックとが地板に回動可能に取り付けられている。そして、一方のラックを介したばね押圧によって他方のラックがカムとしての回転板の外周に当接しており、日車の回転に応じて指針が往復運動するようになっている。
また、このようなスペース的な問題のほか、例えば、日表示以外の曜表示、月表示などのレトロ調表示や、24時間表示、スモールセコンド、クロノグラフなどのインダイアル表示を行う構成を特許文献1のような構成に追加する場合、これらの追加部品をすべて日車の内周よりも内側に配置する必要があるので、構造が複雑化してしまうことも問題である。
さらに、特許文献1の構成では、日表示の指針を日車の外周側から内側を指し示す向きでしか設けることができないなどの設計上の制約があった。
また、特許文献2のように、地板に配置された曜車、小曜車などの間をカム、レバーが介在するような構成は、カム、レバーが小さく、細かい形状になりがちであることから、構造が複雑になりやすい。よって、設計や組み立てが難しいという問題がある。
本発明の表示装置における作用としては、まず、従動車が、駆動車の駆動力によって、日、月、曜など、表示の目的に応じた送り量で回転する。次いで、この従動車を介してカムが回転することにより、カムに当接されるレバーが回動する。そして、レバーの回動により、レバーの歯車部に連動する指示車に取り付けられた指示部材が当該指示車の回動位置の始端から終端に向かって動き、この指示部材によって暦、あるいは時刻が順番に指し示されていくことになる。さらに、指示部材が回動位置の終端まで到達した際は、カムの周期終了に伴ってレバーの歯車部の移動により指示車が逆回転することによって、指示部材が回動位置の始端に復帰する。このような指示部材の往復運動により、日、月、曜などの暦、あるいは時刻が繰り返し表示される。
つまり、本発明では、カムの回転軸がレバーの回転軸と歯車部との間に配置され、レバーがその回動領域の内側からカムの回転により回動操作されるので、カムがそれ以外の場所に配置されている場合と比べて、複数の部品をまとまりよく配置でき、簡素な構造とすることができる。
また、このように表示装置の構造が簡素であることにより、例えば、日表示および曜表示等の複数系統のレトロ調表示を採用する、あるいは、クロノグラフ等のインダイアル表示とレトロ調表示とを併せて採用するのも容易であって、設計の自由度を大きく向上させることができる。
そして、駆動車、従動車、カム、レバー、歯車部等の組み合わせ次第で指示部材を設ける位置や向きも自在にできる。
また、指示車を組み込むにあたって、地板や押さえ板に指示車の軸穴などが組みこみ位置の数に応じて形成される。このような地板や押さえ板の軸穴などによって指示車の組み込み位置を設けておけば、モデルの変更にあたって表示装置の構成を変更する必要はなく、各モデルの時計において表示装置ないしムーブメントは共通で使用されるので、モデル変更を至って容易に実施することができる。また、モデル変更に要するコストを大幅に引き下げることが可能となる。
なお、指示車が複数の異なる位置に配置された場合の各指示車に歯車部が噛合う態様としては、例えば、歯車部が各指示車を所定の角度で回転させるのに足りる長さで形成されていたり、複数の位置にそれぞれ配置された指示車とそれぞれ噛合う歯車部が複数設けられていることが挙げられる。
また、カムの回転軸が配置される位置は、前述のようにレバーの回転軸および歯車部の間であって、例えば、歯車部が一端側から他端側へと延びる形状である場合には、レバーの回転軸と歯車部の一端側とを結ぶ線から、レバーの回転軸と歯車部の他端側とを結ぶ線までの範囲で、レバーの回転軸および歯車部の間が、カムの回転軸の配置位置となる。
レバーの回転軸および歯車部の間には、少なくともカムの回転軸が配置されていればよく、カム全体が配置されていなくてもよい。
なお、カムにレバーを付勢された状態で当接させるには、レバーに接触するばね(付勢手段)を設け、このばねでレバーをカムに向かって付勢したり、或いは、指示車などに接触するようにばね(付勢手段)を設け、このばねの付勢力により、レバーをカムに当接させることなどが考えられる。このようなレバーとカムとの間に働く付勢力により、カムの回転によるレバーの復帰動作を実現できるとともに、レバーを介して回転する歯車部と指示車とが確実に噛合うから、指示部材のがたつきなどを防止できる。
また、このようなレバー、カム、指示車の各回転軸間の寸法により、レバーの歯車部の長さが確保されることとなり、この歯車部に沿って、指示車の配置位置(組み込み位置)を数多く設けて多くの時計モデルを容易に提供することができる。
ここで、部分歯車部の径が互いに異なる場合には、歯車部における部分歯車部同士の境界部分が段差形状となる。
また、このように複数の部分歯車部を互いに異なる径寸法とした場合、いずれの部分歯車部と噛合わせるかによって、歯車部の回転軸から指示車までの距離が変わり、これに応じて文字板等における指示部材の回転中心の位置も変わるので、違うデザインとすることができる。
一方、複数の部分歯車部の歯形が互いに異なる場合では、部分歯車部の歯形に応じて適切な径の指示車が選択され、この指示車の径に応じて当該指示車の送り量に違いが生じるから、前述と同様に、指示部材の回動角度の違いによるモデル違いを実現できる。
以上のように、表示装置の構成の一部である歯車部の構成を変更するだけで、指示部材の回転中心位置の変更に加えて、指示車の回動角度を変更することが可能であり、多くのデザイン・バリエーションを作り出すことができる。
なお、時計の表示装置における付勢手段の作用としては、レバーがカムの回転中心から離れる方向に回動するのに伴ってレバーに対する付勢手段の付勢力が蓄積され、カムの周期終了時にレバーが逆方向に戻り、付勢手段の付勢力が解放されることによって、指示部材を瞬間的に復帰させることができる。
また、中間車を設けたことにより、筒車と中間車との間で1/2減速され、筒車、中間車、従動車へと段階的に減速する減速輪列が構成されるので、歯車が大型化することなく、表示装置全体を小型化することができる。さらに、中間車の送り爪により、従動車を1日に一歯ずつ瞬間的に送ることが可能である。
特に、扇形の表示部の形状や位置、指示部材の向き等も含めて設計が自由であることから、既存のムーブメントをベースに本発明のレトロ調の表示装置を容易に実現でき、ひいては製品展開を促進できる。
なお、第2実施形態以降の説明では、既に説明した実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
図1は、本実施形態の時計1の外観図であり、図2は、図1の部分拡大図である。
時計1は、駆動装置であるムーブメント10と、このムーブメント10を収容するケース11とを備えた腕時計(ウォッチ)である。時計の種類は、クォーツ時計、機械式時計、電子制御式機械時計のいずれでもよい。この時計1は、アナログクォーツ時計として構成され、ムーブメント10には、文字板10Aが取り付けられており、文字板10Aの略中央には、動力源としてのステッピングモータで駆動される輪列に取り付けられた秒針10B、分針10C、時針10Dが配置されている。
ここで、本実施形態の時計1は、レトロ調の表示装置100を備えたことを特徴としている。表示装置100は、ムーブメント10に組み込まれ、文字板10Aに設けられた2つの扇形の表示部141,181における曜針142、日針182の往復運動によって、それぞれ、日表示、曜表示を行うものとなっている。また、文字板10Aに設けられた円形状の表示部191では、24時間表示が行われている。
図3は、ムーブメント10内に設けられた表示装置100の構造を文字板10A側から見た平面図である。
表示装置100は、12時位置と6時位置に、文字板10A中心に対して互いに略点対称に設けられた曜表示部110および日表示部150と、9時位置に設けられた24時間表示装置190とを備えて構成されている。
図4は、図3を拡大して曜表示部110を示すものであり、図5は、曜表示部110の断面図である。
曜表示部110は、駆動力を伝達する歯車列120と、この歯車列120から駆動力を受け取り、指示部材としての曜針142を往復運動させる制御部130と、表示部141および曜針142が含まれる指示部140とを備えて構成されている。
レバー部134は、回転軸1331から略V字状に拡がり、そのV字内側には、カム132に向かって突出する突起1341が形成されている。
歯車部135は、レバー部134のV字拡開側の両端部を連結している。この歯車部135の外周側には、指示車143と噛合う歯列1351が形成されている。
ここで、歯車部135は、レバー部134の回転軸1331を中心としてカム132の回転軸1325を通る円弧Rを仮定すると、この円弧Rの中心側とは反対側(円弧Rの外側)に配置され、かつ、カム132の回転軸1325は、レバー部134の回転軸1331および歯車部135の間に配置されている。
表示部141は、図1に示すように、文字板10Aの12時側において、扇形の円弧部分が表された部分であって、文字板10Aの9時位置と3時位置とを結ぶ線に対して凸状となる向きで設けられている。この表示部141の扇形の円弧に沿って、「SUN」〜「SAT」の文字が所定間隔で印字されており、これは曜を示す目盛1411となっている。
日表示部150は、駆動力を伝達する歯車列160と、この歯車列160から駆動力を受け取り、指示部材としての日針182を往復運動させる制御部170と、表示部181および日針182が含まれる指示部180とを備えて構成されている。ここで、日表示部150と上述の曜表示部110とは基本的に同じ構成であるが、日と曜との相違から、歯車の歯数などが相違している。
ここで、筒車121は、曜表示部110における駆動車と兼用の駆動車であって、筒車121の送り車1211(歯数8)は、曜表示部110の中間車122に加えて、日回し車162とも噛合っている。
表示部181は、図1に示すように、文字板10Aにおいて表示部141と向かい合わせに配置され、6時側において、扇形の円弧部分が表された部分であって、9時位置と3時位置とを結ぶ線に対して凸状となる向きで設けられている。この表示部181の扇形の円弧に沿って、「1」〜「31」の文字が所定間隔で印字されており、これは日を示す目盛1811となっている。
まず、曜表示については、ステッピングモータの駆動力が図示しない輪列を介して歯車列120における筒車121に伝えられ、筒車121は、12時間で1回転、すなわち1日に2回転する。この筒車121の回転は、筒車121から中間車122に伝えられる際に1/2に減速され、中間車122は、1日に1回転する。そして、中間車122の2つの送り爪1222Aによって、曜従動車131が1日に二歯ずつ送られる。この曜従動車131に伝えられる駆動力は、中間車122の回転速度を基準とすると、1/7に減速されて伝えられる。
そして、曜従動車131の回転は、曜従動車131を介してカム132にも伝えられ、カム132および曜従動車131全体が、7日(1週間)で1回転する。
そして、日従動車171の回転はカム172にも伝えられ、カム172および日従動車171全体が31日で1回転する。
ここに、曜表示部110と日表示部150による複数系統の暦表示、および24時間式の時間表示が実現する。
(1-1)筒車121、曜従動車131、日従動車171、カム132,172、環状レバー133,173などによって、日針182や曜針142を往復運動させるレトロ調の表示を行うものとしたので、これらの歯車121,131,171、カム132,172、環状レバー133,173等を適宜組み合わせることが可能である。
また、平面的に見たとき、カム132が曜従動車131に重なっているとともに、環状レバー133の回動領域が曜従動車131と重なっており、また、カム172および環状レバー173が日従動車171に重なっているので、表示装置100が地板10Xに占める平面的なスペースを非常に小さくできる。すなわち、環状レバー133,173等が曜従動車131や日従動車171から大きくはみ出すことがないように設けられている。
これらの点から、レイアウトが自在であって、設計の自由度を大幅に向上させることができる。また、ムーブメント内に筒車121、曜従動車131、日従動車171、カム132,172、環状レバー133,173などが無理なく配置されるため、簡潔な構造とすることもできる。
これにより、厚さ方向においてもスペース効率を向上させることができる。
また、環状レバー133に突起1341を形成し、この突起1341により、環状レバー133内側からカム132に当接するようにしたので、平面的なスペース効率も向上する。
さらに、筒車121、曜従動車131、日従動車171、カム132,172、環状レバー133,173等を適宜組み合わせることにより、曜針142および日針182の指示方向や、表示部141、181の位置、形状、向き等の変更も容易である。
このように、多様なデザインの時計を提供できる。
また、環状レバー133とカム132との間に働く付勢力により、カム132の回転による環状レバー133の復帰動作を実現できるとともに、環状レバー133を介して回転する歯車部135と指示車143とが確実に噛合うから、曜針142のがたつきなどを防止できる。
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態における時計の表示装置では、指示車と噛合う歯車部の長さが前記実施形態における環状レバー133の歯車部135よりも長くなっている。
図6は、本実施形態の時計2Aの表側外観図である。
時計2Aは、駆動装置であるムーブメント20と、このムーブメント20を収容するケース11とを備えた腕時計(ウォッチ)である。時計の種類は、クォーツ時計、機械式時計、電子制御式機械時計のいずれでもよいが、本実施形態の時計2Aは、アナログクォーツ時計として構成され、ムーブメント20には、文字板20Aが取り付けられている。文字板20A上には、時刻(時分秒)、曜、日、時(24時間制)がそれぞれ表示されている。すなわち、文字板20Aの略中央には、時刻表示の構成として、秒針10B、分針10C、時針10Dが設けられている。また、文字板20Aの10時半方向には扇形の表示部241が設けられ、この表示部241の表示は、曜針242が往復運動するレトロ調のものとなっている。さらに、3時方向および6時方向には、円形状の表示部295,191がそれぞれ設けられ、これらの表示部295,191では日針294、24時間針192の回転により日、時(24時間制)がそれぞれ表示されている。
ここで、秒針10B、分針10C、時針10Dを駆動する構成は、通常のアナログクォーツと同様のものであって、水晶振動子が組み込まれた回路基板と、コイル、ステータ、ロータを有するステッピングモータと、図8に示す四番車20S、二番車20M、筒車121等による駆動輪列(図示しない日の裏車、三番車、および五番車なども含まれる)と、動力源である電池20Bとを備えて構成されている。この構成では、水晶振動子で発振され回路ブロックを経て分周されたパルス信号により、ステッピングモータが駆動する。そして、ステッピングモータの駆動力がロータを介して駆動輪列に伝達されることにより、四番車20Sに設けられた秒針10Bと、二番車20Mに設けられた分針10Cと、筒車121に設けられた時針10Dとがそれぞれ駆動されている。なお、ステッピングモータの数は問わず、例えば、秒針10Bの駆動用に1つ、分針10Cおよび時針10Dの駆動用に1つ、計2つのステッピングモータが設けられていてもよい。
ムーブメント20には、図7に示すように、日表示に係る日表示装置290と、24時間制表示に関する24時間制表示装置190と、後述するレトロ調の曜表示に係る曜表示装置200とが組み込まれている。
筒車121の送り車1211は、日回し車292と噛合っている。
なお、この日星車293の歯は、地板20Xに基端側が取り付けられた図示しないジャンパの先端部で付勢されている。このジャンパの付勢力により、日針294が間欠的に駆動されている。
筒車121および日回し車292は、24時間制表示装置190と日表示装置290とで共通の構成である。
図9は、図7の要部拡大図である。
曜表示装置200は、駆動力を伝達する歯車列210と、この歯車列210から駆動力を受け取り、指示部材としての曜針242(図6)を往復運動させる制御部230と、表示部241および曜針242(図6)が含まれる指示部240とを備えて構成されている。
筒車121は、24時間制表示装置190と、日表示装置290と、曜表示装置200とで共通の構成であり、ここでは説明を省略する。筒車121の送り車1211(歯数8)は、曜回し車212と噛合っている。
また、カム232と環状レバー233とは時計2Aの厚さ方向D(図8)において重なり、一方、厚さ方向D(図8)と交差する平面方向では、図9に示すように、カム232が、環状レバー233の回転軸20Z1と歯車部235との間に配置されている。
そして、環状レバー233の回転軸20Z1からカム232の回転軸2325までの距離を寸法T1とし、環状レバー233の回転軸20Z1から小曜車243の回転軸2431までの距離を寸法T2とすると、T2は、T1の略2倍とされている。
レバー部234には、カム232が納まる開口2342が形成され、この開口2342の内側にカム232に向かって突出する突起2341が形成されている。
ここで、歯車部235は、レバー部234の回転軸20Z1を中心としてカム232の回転軸2325を通る円弧Rを仮定すると、この円弧Rの中心側とは反対側に配置され、かつ、カム232の回転軸2325は、レバー部234の回転軸20Z1および歯車部235の間に配置されている。
表示部241は、図6に示すように、扇形の円中心が文字板20Aの周縁側に、扇形の円弧部分が文字板20Aの中心側となる向きで設けられている。この表示部241の扇形の円弧に沿って、「SUN」〜「SAT」の文字が所定間隔で印字されており、これは曜を示す目盛2411となっている。
ここで、小曜車243は、図9中、実線で示した位置A(10時半位置)だけでなく、位置B(9時半位置)にも組み込むことが可能であって、これらの位置Aおよび位置Bから一つが、小曜車243の組み込み位置として選択されるようになっている。これは、次に述べる時計2A(図6)のモデル変更に関係している。
このような小曜車243は、表示部241の扇形形状の円中心O(図6)に相当する位置で、図8に示すように地板20Xおよび押さえ板20Yとの間に軸支されている。地板20Xおよび押さえ板20Yには、小曜車243の回転軸2431に対応する軸孔20Y1,20Y2がそれぞれ形成され、これらの軸孔20Y1,20Y2は、位置A,B(図9)に応じた位置にそれぞれ形成されている。
このように表示部241の位置が相違するものの、時計2A,2Bにおいて、曜表示装置200を含むムーブメント20は同じものが使用されている。ただし、表示部241の位置の相違に対応して、小曜車243の組み込み位置だけが変更されている。すなわち、時計2Aでは、図9中、実線で示した位置Aに小曜車243が組み込まれ、時計2Bでは、図9中、2点鎖線で示した位置Bに小曜車243が組み込まれている。
前述のように、歯車部235の長さが確保されているので、小曜車243を位置A,位置Bのいずれに組み込んでも、当該小曜車243を環状レバー233の歯車部235に噛み合わせることが可能である。
ステッピングモータの駆動力が図示しない輪列を介して筒車121に伝えられ、筒車121は、12時間で1回転、すなわち1日に2回転する。この筒車121の回転は、筒車121から曜回し車212に伝えられる際に1/2に減速され、曜回し車212は、1日に1回転する。そして、曜回し車212の送り爪2121によって、曜中間車231が1日に一歯ずつ送られる。この曜中間車231に伝えられる駆動力は、曜回し車212の回転速度を基準とすると、1/7に減速されて伝えられる。
そして、曜中間車231の回転は、曜中間車231を介してカム232にも伝えられ、カム232および曜中間車231全体が、7日(1週間)で1回転する。
(2-1)時計2A,2Bの曜表示装置200では、小曜車243を位置A、位置Bのいずれにも組み込めるように、歯車部235が長く形成されているので、小曜車243を組み込む位置を変更するだけで、モデル違いの時計2A,2Bを至って容易に製造できる。時計2A,2Bでは文字板20A上の曜針242の回転中心ないし表示部241の位置が互いに異なるので、外観デザインのバリエーションを容易に得ることができる。
ここで、曜表示装置200を含んだムーブメント20は、時計2A,2Bにおいて共通で使用されるから、モデルの変更に際して曜表示装置200の構成を変更する必要はないという利点がある。これにより、大幅に低コスト化することができる。
また、環状レバー233に形成された突起2341により、環状レバー233内側からカム232に当接されるようにしたので、平面的なスペース効率も向上させることができる。
ここで、環状レバー233がカム232を取り囲むように配置されているので、環状レバー233の強度を向上させることができ、また、環状レバー233がカム232の周りに大きく配置されることになるため、設計や組み立てが容易であり、環状レバー233の安定した回動動作を実現できる。
また、カム232が曜中間車231と同軸上に設けられている点でも、より簡素な構造とすることができるとともに、曜中間車231の回転をカム232に確実に伝達でき、曜中間車231およびカム232の回転による環状レバー233の回動制御を確実にできる。
なお、寸法T2および寸法T1の比は、一般的な大きさの時計のムーブメント20への納まりや、部品の加工性などの点で略2倍としているが、この寸法比は、1.5倍〜2.5倍の範囲で適宜決められる。このT1とT2との寸法比が1.5倍よりも小さくなると、小曜車243の十分な送り量が得られない場合があり、2.5倍を超えると、曜表示装置200をムーブメント20に組み込むことが難しくなる。
ここで、曜表示装置200を含んだムーブメント20は、時計2A,2Bにおいて共通で使用されるから、モデルの変更に際して曜表示装置200の構成を変更する必要はないという利点がある。これにより、大幅にコストダウンすることができる。
(2-12)また、地板20Xの略中央部に設けられた筒車121の近傍に環状レバー233の回転軸20Z1が設けられているので、地板20Xの略中央から周縁にかけて環状レバー233の配置スペースを大きく確保できる。
次に本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態は、第2実施形態において、位置Aに組み込まれる小曜車243(図9)の径を変更したものである。
図11は、本実施形態の曜表示装置250を模式的に示した平面図であり、この曜表示装置250は、時計2A(図6)にも時計2B(図10)にも装備されるものである。
ここで、位置Bには小曜車243が組み込まれ、位置Aには、位置Bに組み込まれた小曜車243よりも大径の小曜車245が組み込まれている。なお、図11には、説明の便宜上、小曜車243,245を両方図示したが、実際には、小曜車243,245の一方が組み込まれる。また、小曜車245の歯形は、小曜車243の歯形と同じである。
一方、図11において位置Aに配置された小曜車245は、小曜車243よりも大径であることにより、歯車部235に送られる回動角度が小曜車243よりも小さく、小曜車245に取り付けられた曜針242の回動角度は84°とされている。この際、図6に示した時計2Aと表示部241の文字板20Aにおける位置の点では変わらないが、表示部241の扇形の角度は、曜針242の回動角度84°に対応した角度となっている。
また、時計2A,2Bの各モデル間で、曜針242の回動角度ないし表示部241の扇形の角度が異なることから、文字板20A上の外観デザインに一層変化を持たせることができる。このモデル変更に際して、小曜車243,245の径を変更するだけでよく、曜表示装置250におけるその他の構成を変更する必要がないという利点がある。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態は、第2実施形態において、環状レバー233の歯車部235の形状(図9)を変更したものである。
図12には、本実施形態の曜表示装置300が示されている。
本実施形態では、環状レバー333の歯車部335は、その円弧状部分の径寸法が途中で大きくなる段差形状に形成されている。この段差335Aを境に大径側は、位置Aに組み込まれた小曜車243と噛み合う部分歯車部3351とされ、第1実施形態の歯車部235と同径である小径側は、位置Bに組み込まれた小曜車243と噛み合う部分歯車部3352とされている。これらの部分歯車部3351,3352は、同じ歯形で略同じ長さの歯列を有し、回転軸20Z1を中心とする同心円上に設けられている。
ここで、時計3Aでは、部分歯車部3351が大径であることから、部分歯車部3351の回動による小曜車243の送り量が大きく、小曜車243に取り付けられた曜針242の回動角度も大きくなる。本実施形態では、曜針242の回動角度は122°であり、表示部341の扇形角度もこの122°に対応した角度となっている。
一方、小曜車243を位置Bに組み込むと、図14に示す時計3Bが構成される。時計2Bでは、部分歯車部3352の回動による小曜車243の送り量は第1実施形態における小曜車243の送り量と同様であるため、曜針242の回動角度は第1実施形態と同様に108°であり、表示部241の扇形角度もこの108°に対応した角度となっている。
また、前述のように、大径の部分歯車部3351により、位置A,Bに組み込まれる小曜車243が地板20X周縁に沿って並ぶため、時計3Aにおけるケース11の開口周縁から曜針242の回転中心までの距離D1と、時計3Bにおけるケース11の開口周縁から曜針242の回転中心までの距離D2とがほぼ同じとなり、時計3A,3Bのデザインを揃えることができる。
また、本実施形態の変形として、部分歯車部を3つ以上設けて、小曜車243の組み込み位置も部分歯車部の数に応じて3つ以上設けることも考えられる。これにより、表示部241の位置に関してより多くのデザイン・バリエーションを得ることができる。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態は、第4実施形態において、一方の部分歯車部の歯形を変更したものである。
図15は、曜表示装置350の平面図である。
本実施形態の環状レバー353では、大径の部分歯車部3551と部分歯車部3352とでは歯形が異なり、部分歯車部3551の歯ピッチは部分歯車部3352の歯ピッチよりも大きい。これに対応して、部分歯車部3551には、部分歯車部3551と歯ピッチが同様であって小曜車243よりも大径の小曜車347が噛合されている。
ここで、部分歯車部3551は前述のように部分歯車部3352よりも大径であるものの、組み込まれる小曜車347の径が大きいことから、部分歯車部3551の回動量に対する小曜車347の送り量は、部分歯車部3352による小曜車243の送り量と同じとなっている。すなわち、小曜車243,347にそれぞれ取り付けられる曜針242の回動角度は互いに同じである。
これらの図からわかるように、時計3C,3Dにおいて、表示部241の扇形角度は同じであり、時計3C,3Dのデザインが揃えられている。前述のように、曜針242の回動角度が同じであるため、表示部241の扇形角度は、この曜針242の回動角度に対応した角度とされている。また、第4実施形態と同様に、時計3C,3Dにおいて、ケース11の開口の周縁から曜針242の回転中心までの距離D1,D2が揃えられている。
本実施形態によっても、前述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(変形例1)
本発明は、前述の各実施形態に限定されるものではなく、各種の変形や改良が許容される。
図18(A)(B)、図19(A)(B)には、本発明の変形例に係る時計4A,4B,4C,4Dがそれぞれ示されている。これらの時計4A〜4Dは、文字板20A上のデザインが互いに異なるモデル違いであり、同じムーブメントがそれぞれ使用されている。
ここで、曜表示装置350では、小曜車243,347(図15)を9時半方向および8時半方向に組み込むことが可能となっている。また、日表示装置380では、図示しない日星車を2時半方向および3時半方向に組み込むことが可能となっている。
このような構成により、曜表示装置350における小曜車243,347の組み込み位置と、日表示装置380における日星車の組み込み位置との組み合わせは、4パターンあり、これらが時計4A〜4Dにそれぞれ対応する。すなわち、小曜車243,347および日星車の組み込み位置を変更するだけで、4つのデザイン・バリエーションを容易に得ることができる。
なお、表示装置において指示車の組み込み位置を3箇所以上設けたり、本発明の表示装置を3つ以上設けたりすることも可能であり、この場合は、さらに多くのデザイン・バリエーションを作り出すことができる。
すなわち、本変形例で示したように、日表示装置290,380を組み込む対象となるムーブメント20は共通でも、日表示装置290によるインダイアル表示(図6)と、日表示装置380によるレトロ調表示(図18、図19)とが可能となる。これにより、様々な表示態様を低コストで容易に実現できるので、時計のモデル展開に際して非常に有利となる。
次に、図20は、本発明の変形例における曜表示装置400の平面図である。前記実施形態におけるレバー133,233,333,353は、いずれも環状に形成されていたが、曜表示装置400が備えるレバー433は、カム232の周りを取り囲むように、略C字状に湾曲するように形成されている。レバー433の一端側は、回転軸20Z1に軸支され、カム232に当接される突起2341が形成されたレバー部434と、小曜車243と噛合う歯車部235とを一体に備えている。なお、レバー部434と歯車部235とは、別体でもよい。
このように、本発明におけるレバーは、カムの周りを取り囲む形状であれば、前記各実施形態のように環状でも、本変形例のように略C字状でもよく、また、S字、L字などの形状であって、その湾曲の内側部分にカムへの当接部を有するものであってもよい。
なお、第1実施形態では、筒車121を中心として、12時側に表示部141が、6時側に表示部181が振り分けられていたが、このような構成に限られない。
なお、指示部材として、前記実施形態のような針形状に限らず、例えば、人形や花や動物などが図案化されたものやキャラクターデザインも採用できる。
表示部の形状は、扇形の円弧部分のみが示されたものであってもよい。
また、本発明の表示装置を複数設け、暦、時刻の中から任意に選択された2つ、3つ、4つ以上の複数のレトロ調表示を行う構成にすることもでき、例えば月と曜、曜と日などの複数系統のレトロ調表示を実現することもできる。
また、前記各実施形態では、地板側に従動車等が設けられ、これらと対向する位置にカムおよびレバーが押さえ板に設けられていたが、これには限らず、例えば、地板にレバー、歯車部およびカムが設けられ、押さえ板に従動車が設けられていてもよい。
すなわち、前記各実施形態で説明したように、指示部材の回動中心および回動角度は、指示車と歯車部との径や歯形、歯数との関係で決められる。また、指針の指示方向は、指示車を組み込む際の指示車、レバー、カムなどの位置合わせにおいて決められる。
さらに、前記第2実施形態などでは、環状レバー233の回転軸20Z1が筒車121の近傍に設けられていたが、これに限らず、環状レバー233の回転軸20Z1の位置は地板20Xの周縁側でも、あるいは筒車121と地板20Xの周縁との間でも、任意の位置に設けることができる。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (10)
- 動力源によって回転される駆動車と、
この駆動車によって駆動される従動車と、
この従動車を介して回転するカムと、
前記カムに付勢された状態で当接される回動可能なレバーと、
このレバーを介して前記カムの回転に応動する歯車部と、
この歯車部に連動し、かつ、指示部材を取り付け可能な指示車とを備え、
前記歯車部は、前記レバーの回転軸を中心として前記カムの回転軸を通る円弧を仮定すると、この円弧の中心側とは反対側に配置され、かつ、
前記カムの回転軸は、前記レバーの回転軸と前記歯車部との間に配置され、
前記歯車部は、前記指示車が複数の異なる配置位置のいずれに配置された場合でも当該指示車と噛合う
ことを特徴とする時計の表示装置。 - 請求項1に記載の時計の表示装置において、
前記レバーの回転軸から前記指示車の回転軸までの寸法は、前記レバーの回転軸から前記カムの回転軸までの寸法の1.5倍〜2.5倍である
ことを特徴とする時計の表示装置。 - 請求項1または請求項2に記載の時計の表示装置において、
前記レバーは、前記カムの周りを取り囲むように配置され、かつ、前記カムに当接される突起を有する
ことを特徴とする時計の表示装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の時計の表示装置において、
前記歯車部は、前記指示車の各配置位置にそれぞれ対応する複数の部分歯車部を有し、
これらの部分歯車部では、径および/または歯形が互いに異なる
ことを特徴とする時計の表示装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の時計の表示装置において、
前記複数の位置に配置される指示車は、当該指示車の配置位置に応じて、径および/または歯形が互いに異なる
ことを特徴とする時計の表示装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の時計の表示装置において、
前記レバーを前記カムに当接させる付勢手段を備えている
ことを特徴とする時計の表示装置。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の時計の表示装置において、
前記駆動車は、時針が取り付けられた筒車であり、
この筒車と前記従動車との間には、前記従動車を送る送り爪を有する中間車が設けられている
ことを特徴とする時計の表示装置。 - 請求項7に記載の時計の表示装置において、
前記レバーの回転軸は、前記筒車の近傍に設けられている
ことを特徴とする時計の表示装置。 - 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載された表示装置と、
前記表示装置における前記駆動車、およびこの駆動車によって駆動される従動車を備えた前記表示装置以外の他の表示装置と、のいずれかが組み込み可能である
ことを特徴とするムーブメント。 - 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載された表示装置と、
前記指示部材により示される扇形の表示部とを備えた
ことを特徴とする時計。
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