JP4377032B2 - リビング重合体の連続製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続式リビング重合反応による重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リビング重合とは、開始反応と生長反応からなり、停止反応や連鎖移動反応など副反応を伴わない連鎖重合のことをいい、狭義においては、重合生長末端が常に活性を保ち続けて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、重合生長末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら分子鎖が成長していく擬リビング重合も含まれる。このようなリビング重合では、重合反応が同時に開始すれば分散度の小さい重合体が得られ、また、特定の官能基を重合体の活性末端に導入することや、2種以上のモノマーを用いることにより共重合体を合成することができる。
【0003】
工業的に実施されるリビング重合としては、例えば、特開平7−292038号公報〔分散度(すなわちMw/Mn値)が1.09〜1.38〕や特開平8−53514号公報(分散度が1.07〜1.33)等に記載のイソブチレンのリビングカチオン重合;特開平5−247199号公報(分散度が1.03〜1.26)等に記載のポリエーテルの重合;特開平10−306106号公報の重合などが挙げられる。これらのように、リビング重合反応の操作形式は、攪拌槽型反応器を用い、反応原料を重合槽に仕込んで回分式で行われる報告例が多い。
【0004】
回分式の重合では、いずれの方式においても、生産性を高めるためには反応装置が大型化し、内部蛇管冷却方式、リフラックスコンデンサー方式などにより除熱面積を増大させる工夫や、モノマーの逐次追加などセミバッチ方式による重合方法が用いられてきた。しかしこの場合、除熱設備の大規模化、複雑化により設備コストが高騰してしまう。設備コストを抑えようとすると内温制御が困難になり、副反応が増加し、(リビング重合の特徴である)分散度の小さい重合体が得られにくくなるといった問題が生じる。
【0005】
一方、生産性向上を目指し、原料を連続的に反応器に供給する連続重合方式についても試みられている。
例えば、米国特許第4568732号や、Nagyら(Polymer Bulletin 13, p.97-102, 1985 、Polymer Bulletin 14, p.251-257, 1985)は、重合開始剤およびルイス酸触媒およびイソブチレンを1基の攪拌槽型反応器に連続的に供給することによりリビングカチオン重合を行う方法を試みている。Majoros ら(Polymer Bulletin 31, p.255-261, 1993)は攪拌槽型反応器3個を直列に連結してイソブチレンを連続供給して重合させている。
【0006】
また、Nagyら(Polymer Bulletin 15, p.411-416, 1986)は、管型反応器でイソブチレンの連続リビングカチオン重合を行っている。特開平6−298843号公報では、シェルアンドチューブ型熱交換器を用いてイソブチレンの連続リビングカチオン重合を行った後に、引き続き、管型反応器内で重合体末端にビニル基を導入する方法を提案している。
【0007】
特開平11−286520号公報においては、管型反応器で連続式のリビングアニオン重合を行うことを試みている。特開平5−339326号公報においては、攪拌槽型反応器でスチレンのリビングアニオン重合を行い、さらに攪拌槽型反応器あるいは管型反応器でブタジエンを共重合することを試みている。特開平9−3102号公報においては、(メタ)アクリル酸と開始剤をマイクロミキサーで混合し、管型反応器でリビングアニオン重合を行ることを試みている。特開平11−315104号公報では、リビングラジカル重合を押出機で行うことができるとしている。
【0008】
しかしながら、連続重合を行なう際にも、いくつかの問題点が残されている。
すなわち、1基の攪拌槽型反応器で連続重合を行った結果、米国特許第4568732号では、得られた重合体の分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.4〜1.8、Nagyら(Polymer Bulletin 13, p.97-102, 1985 )では分散度が1.6〜2.7、Nagyら(Polymer Bulletin 14, p.251-257, 1985)では分散度が1.4〜1.8のイソブチレン重合体が得られ、特開平5−339326号公報においては、重合体の分散度は2.1〜2.6、共重合体の分散度は1.8〜1.9となり、回分式重合におけるよりも分散度が大きくなっている。このような傾向は、1基の攪拌槽で連続式の反応を行なうと、反応液の滞留時間が広く分布をもつ(すなわち槽内での滞留時間が重合体分子ごとに異なる)ので、その間にリビング重合によって生長する分子鎖の長さも揃いにくくなることが影響しているものと考えられる。
【0009】
Majoros らの方法では攪拌槽を3基にして滞留時間分布を狭く改善した結果、重合体の分散度が1.35〜1.37と、攪拌槽1槽に比べれば少し小さくなっている。
【0010】
しかし、連続式の重合においては副反応が問題になる場合もあり、滞留時間分布を狭くするのみでは分散度が充分に小さくならない。特開平6−298843号公報では、管型反応器を用いているので反応液の滞留時間が均一であると考えられるにも関わらず、得られた重合体の分散度が3.1と大きい。また、Nagyら(Polymer Bulletin 15, p.411-416, 1986)の管型反応器での重合でも分散度が1.5〜2.8と大きい重合体が得られている。
【0011】
特開平11−286520号公報においては、得られたアクリル系重合体の分散度は1.3〜1.8、特開平9−3102号公報においては、重合体の分散度は1.45〜2.44となり、比較的分散度が大きい。
これら管型反応器を用いた場合には、反応器への原料の供給直後の混合が不充分である、あるいは重合反応熱の除熱が不充分であるなどが原因で、リビング重合の開始反応が適切に起こらずに、副反応が併発したものと推察される。
【0012】
また、特開平6−298843の方法では3官能開始剤を用いて重合体を合成し、さらに重合体の末端にビニル基を導入している。この場合には開始剤を基準とした末端ビニル基数は量論的には3になるべきであるが、報告されている末端ビニル基数は6.14である。その理由としては副反応が起こったため開始剤の3つの末端以外にも活性末端が発生し、その末端にもビニル基が導入されたためと推察される。
【0013】
様々な重合反応のなかでもリビングカチオン重合は触媒や添加剤についても特有の工夫を施して開始反応を制御していたり、比較的低温でなければ重合活性が低下したり副反応を併発するので重合反応熱の除熱が重要となるなど、連続式を適用するのが比較的困難であったと思われる。
【0014】
以上のように、リビング重合を連続的に行なう場合、滞留時間分布の広がりや副反応により、得られる重合体の分散度が大きくなるという問題がある。分散度が大きくなると重合体の粘度が増大することから、重合体の用途によっては大きな問題となり、その用途開発に支障が生じることになる。なかでも副反応の問題は重合体の分散度が大きくなるだけではなく、重合体の成長末端が制御されないことから、重合体末端への官能基の導入や、ブロック体の合成が本来の設計通りにならないという問題がある。これらは連続式の操作に特有な重要な問題である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、分散度が小さい重合体を連続的に得ることができる製造方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明の目的は、反応器の内温を効果的に制御できるコンパクトな設備により実施可能な、リビング重合体の製造方法を提供することでもある。
更に本発明の目的は、末端への官能基の導入や、ブロック体の合成が本来の設計通りにリビング重合体を得ることができる製造方法を提供することでもある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、重合開始剤、モノマー成分および触媒を連続的に流通式攪拌槽型反応器に供給してリビング重合を開始させるとともに、前記モノマー成分の反応率が1重量%以上から90重量%未満である反応液を、前記流通式攪拌槽型反応器から流通管型反応器に連続的に供給し、該流通管型反応器中で更にリビング重合を進行させることを特徴とする重合体の製造方法である。
以下、本発明を詳述する。
【0017】
【発明の実施の形態】
(反応装置形式)
本発明においては、流通式攪拌槽型反応器及び流通管型反応器を用いる。
流通式攪拌槽型反応器としては液体の供給及び排出が同時に可能な攪拌槽であれば特に制限を受けるものではないが、たとえば、ジャケット部での冷却が可能な構造を有し、重合開始剤、触媒及びモノマーなどを均一に混合・反応させることのできる構造を有するものが好ましい。内部蛇管冷却やリフラックスコンデンサー等の付帯設備を設けて冷却能力を向上させたり、邪魔板を設けて混合状態を良好にできる構造であっても良い。複数の攪拌槽型反応器を使用する場合、それらは同一種類のものであってもよく、異なる種類のものであってもよい。
【0018】
攪拌槽型反応器に用いられる攪拌翼としては特に制限を受けるものではないが、反応液の上下方向の循環、混合性能が高いものが好ましく、反応液の粘度が数センチポイズ程度の比較的低粘度領域においては(多段)傾斜パドル翼、タービン翼などの攪拌翼;数10センチポイズから数100ポイズの中粘性領域ではマックスブレンド翼、フルゾーン翼、サンメラー翼、Hi−Fiミキサー翼、特開平10−24230号公報に記載されているものなど大型のボトムパドルを有する大型翼;数100ポイズ以上の高粘性領域では、アンカー翼、(ダブル)ヘリカルリボン翼、ログボーン翼などが好適に使用される。
【0019】
流通管型反応器としては液体の供給及び排出が同時に可能な管型反応器であれば特に制限を受けるものではないが、除熱能力を有するものが好ましく、例えば2重管型やシェルアンドチューブ型が好適に用いられ得る。また、混合・除熱性能を向上させるために、多数のミキシングエレメントからなる静的混合用構造部を1個以上組み込んだ管型反応器なども使用され得る。静的混合用構造部としては、例えば、公知のスタティックミキサー、例えばスルザー式、ケニックス式、東レ式、ノリタケカンパニー式などのものを挙げることができるが、この限りではない。ミキシングエレメントの数は少なくとも3個以上有することが好ましい。
【0020】
本発明の製造方法においては、重合開始剤、モノマー成分および触媒を連続的に流通式攪拌槽型反応器に供給してリビング重合を開始させるとともに、上記モノマー成分の反応率が1重量%以上から90重量%未満である反応液を、上記流通式攪拌槽型反応器から流通管型反応器に連続的に供給し、該流通管型反応器中で更にリビング重合を進行させる。
【0021】
より小さい分散度を持つ重合体を得るには、反応率が5〜50重量%の範囲にある反応液を、上記流通管型反応器に供給するのが好ましい。
なお、本発明において上記モノマー成分の反応率とは、重量法により求めたもののことをいう。すなわち、測定対象となる反応液から、蒸発や洗浄の操作により、溶媒、残存モノマー及び触媒などを除去して得られた重合体の重量を測定する。(重合体の測定重量)/(重合体の理論重量)x100の式により、収率[%]を算出する。本発明における反応率[%]は、100−収率[%]に相当する。
【0022】
本発明の製造方法では、第二の反応器である流通管型反応器から、重合反応が充分に進行した反応液を連続的に取り出すことができる。あるいは、第二の反応器である流通管型反応器から、重合反応が不十分な反応液を更に第三の反応器に連続的に供給し、そこで更にリビング重合を連続式又はバッチ式にて進行させてもよい。
【0023】
取り出された反応液は水やアルコール類などで失活させた後、例えば、二相を分離し、必要により有機相を水で洗浄し、有機溶媒を留去することで重合体を得ることができる。
【0024】
ブロック共重合体を得るには、上述のように連続式リビング重合を行い、第二の反応器である流通管型反応器を経た後、反応液を更に別の反応器に供給するとともに、上記第一のモノマー成分とは異なる第二のモノマー成分を該別の反応器に供給して、二段目のリビング重合を行わせることが好ましい。該別の反応器は、第二の反応器である流通管型反応器と直接連結されていてもよいし、1個以上の反応器を介して間接的に連結されていてもよい。上記別の反応器における二段目のリビング重合は連続式で行ってもよいし、バッチ式で行ってもよい。
【0025】
また、末端に官能基を有する重合体を得るには、上述のように連続式リビング重合を行い、第二の反応器である流通管型反応器を経た後、反応液を更に別の反応器に供給するとともに、エンドキャップ剤を該別の反応器に供給してリビング重合体末端と反応させることが好ましい。該別の反応器は、第二の反応器である流通管型反応器と直接連結されていてもよいし、1個以上の反応器を介して間接的に連結されていてもよい。上記別の反応器における反応は連続式で行ってもよいし、バッチ式で行ってもよい。
【0026】
(熱交換器)
本発明のイソブチレン系重合体の製造においては連続式重合操作がなされるので、反応器への各種原料液供給および反応溶液の排出は一定流量で継続的におこなうことができる。従って、本発明の好適な実施形態の一つは、反応器から排出される溶液を供給原料液の少なくとも1種類と熱交換させることにより反応液の顕熱を回収して、エネルギー負荷を低減する方法である。特に、リビングカチオン重合は−30℃〜−100℃の低温で反応が進行することが多く原料液を冷却する冷凍機負荷は大きいので、反応器から排出される低温の反応溶液を熱交換器を介して原料液を冷却することで効率的な生産が可能になる。熱交換器を用いる場合には特に制限を受けるものではないが、例えば2重管型やシェルアンドチューブ型、プレート型、スパイラル型などを用いることができる。低温の反応液が熱交換器の中を流通して徐々に昇温されて流出する部分に、冷却前の原料液を熱交換させて次第に低温側に導くいわゆる向流熱交換方式を適用すれば、原料液を低温の反応液に近い水準まで冷却することができる。
【0027】
(モノマー成分)
本発明で用いるモノマー成分は、重合開始剤と触媒を用いることにより重合体を得ることのできるものであればよい。ブロック共重合体を得る場合に用いる第二のモノマー成分は、第一のモノマー成分とは異なる化合物及び/又は組成を有するものであり、第一のモノマー成分から構成される重合体の活性末端に、共重合によって結合し得るものであれば良い。第一のモノマー成分及び第二のモノマー成分としては、それぞれ、以下に述べる各種重合系で適用しうるモノマーを特に制限無く使用することができ、それら各種モノマーを単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0028】
(エンドキャップ剤)
本発明で用いるエンドキャップ剤は、第一のモノマー成分から構成される重合体の活性末端と反応し、官能基を重合体末端に導入し得るものであれば良い。エンドキャップ剤には、以下に述べる各種重合系で適用しうるエンドキャップ剤を特に制限無く使用することができ、それら各種エンドキャップ剤を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0029】
(重合体の分子量)
本発明の方法により製造される重合体の数平均分子量は特に限定されるものではないが、通常500〜300000、より好ましくは3000〜150000である。
【0030】
(適用できる反応系)
本発明で適用されるリビング重合反応としては、特に限定はされないが、例示するならば、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合、リビングラジカル重合、リビング配位重合、リビング開環重合などが挙げられる。本発明の製造方法は特にリビングカチオン重合に有効である。
以下、リビングカチオン重合についてその詳細を述べる。
【0031】
(リビングカチオン重合)
リビングカチオン重合としては、例えばJ.P.Kennedy らの著書(Carbocationic Polymerization, John Wiley & Sons, 1982 )やK.Matyjaszewski らの著書(Cationic Polymerizations, Marcel Dekker, 1996 )に記載されている合成などが適用され得る。
【0032】
(原料供給方式)
(1)少なくともイソブチレンを含むカチオン重合性モノマー成分を含む原料液、及び、(2)ルイス酸触媒を含む原料液を、それぞれ別々に、流通式攪拌槽型反応器に連続的に供給して両原料液を混合しリビングカチオン重合を開始させることが好ましい。(1)の中にあらかじめ重合開始剤を混合して原料液を供給することもできる。
【0033】
(使用する重合開始剤)
リビングカチオン重合の開始反応を効率的に行う方法として、3級炭素に結合した塩素原子を有する化合物やα位に芳香環を有する塩素化合物などの化合物を重合開始剤として用いるイニファー法が開発されており(米国特許4276394号)、この方法を本発明に適用することができる。イニファー法に用いる重合開始剤としてはその機能を発揮するものであれば良く、代表例としては下記の構造を有するものを示すことができる。
(X−CR1 R2 )n R3
(式中、Xはハロゲン原子を表す。R1 及びR2 は、同一又は異なって、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表す。R3 は、炭素数1〜20のn価の炭化水素基を表す。nは1〜4の整数である。)
【0034】
代表的な重合開始剤としては、1,4−ビス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン〔以下、p−DCC又はジキュミルクロライドともいう〕、1,3,5−トリス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン(TCC)とその誘導体がより好ましく、これらを単独あるいは混合物として使用することができる。このように芳香環を含んだ開始剤はより好ましい。p−DCCのように二官能開始剤は二官能重合体を必要とするときに選定する事が出来る。その他に一官能、TCCなどの三官能、多官能の開始剤を必要に応じて用いる事が出来る。重合開始剤とモノマーとの仕込み比に応じて、重合体の分子量を自由に設定することができる
【0035】
(使用する触媒)
リビングカチオン重合に用いる触媒はルイス酸触媒であり、その具体例としては、TiCl4 、AlCl4 、BCl3 、ZnCl2 、SnCl4 、エチルアルミニウムクロライド、SnBr4 などが挙げられる。ルイス酸触媒の使用量はモノマー量を基準として0.0001〜10倍モル数とすることが好ましい。
【0036】
(電子供与剤)
前述したイニファー法を用いる際、連鎖移動反応やプロトン開始反応などの副反応を抑制して良好な重合体を得るためには、電子供与剤を用いることが効果的である(特開平2−245004号公報、特開平1−318014号公報、特開平3−174403号公報)。
【0037】
電子供与剤としては特に限定されないが、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、または、金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。具体的には、ピリジン、2−メチルピリジン(ピコリンまたはα−ピコリンと略記)、トリメチルアミン、ジメチルアセトアミド(DMAcと略記)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル(EtOAc)、Ti(O−iPr)4 などが好適に使用される。
【0038】
電子供与剤は、反応系中に、ルイス酸触媒に対しモル比で0.10〜5倍量、あるいは、6〜500mol/m3 の濃度で存在させるのが好ましい。電子供与剤の量が少なすぎると副反応が多くなる傾向があり、プロトン開始反応や連鎖移動反応が起こることによって分散度が大きくなったり、エンドキャップ剤との反応による重合体末端への官能基の導入が困難となる。逆に電子供与剤が多すぎると重合反応速度が著しく抑制され、カチオン重合反応に長時間を要することとなり、生産性が低下する。したがって、更に好ましい電子供与剤の量は、ルイス酸触媒に対しモル比で0.15〜1倍量、あるいは、濃度が10〜50mol/m3 の範囲である。
【0039】
(モノマー)
カチオン重合に用いられるモノマーとしては、炭素数3〜12のオレフィン類、共役ジエン類、ビニルエーテル類、芳香族ビニル化合物類などが挙げられる。これらの中で、炭素数3〜12のオレフィン類および共役ジエン類が好ましい。具体例としては、例えば、イソブチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−2−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、5−エチリデンノルボルネン、ビニルシクロヘキサン、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、β−ピネン、インデン等が挙げられる。これらの中で、イソブチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、インデン、イソプレン、シクロペンタジエンなどが好適である。本発明の方法では、これらのモノマーを1種単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。
特に、イソブチレンが好ましいが、この場合、イソブチレン以外の他のカチオン重合性モノマーと組み合わせてなるカチオン重合性モノマー成分であってもよい。
【0040】
(エンドキャップ剤)
本発明の実施形態の1つとして、末端活性な重合体を得た後に、エンドキャップ剤を用いて、末端に、アリル基、水酸基、アリルフェニルエーテル基、フェノール基などを導入することが可能である。例えば、特開平4−20501号公報ではフリーデルクラフツ反応でフェノール基を導入し、特開平2−248406号公報ではアリルトリメチルシランとの置換反応によりアリル基を導入し、特開平4−288308号公報、特開平4−288309号公報では非共役ジエン類の付加反応によりアルケニル基を導入している。特開平2−248406号公報に記載された末端にアリル基を有するイソブチレン系重合体は、SiH基を有する硬化剤を用いたいわゆる付加型硬化によりゴム状の硬化物とすることができる。また、特開平9−208624号公報に記載されているように、重合体末端のアリル基をヒドロシリル化して得られる、末端にシリル基を有するイソブチレン系重合体は、水分存在下でのシラノール縮合によりゴム状硬化物を与える。
【0041】
本発明のエンドキャップ剤としては、非共役ジエン類、ビニルシラン類、アリルシラン類などが好ましい。
本発明で用いる非共役ジエンとしては従来公知のものを広く使用できる。例えば、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,19−ドデカジエン、2−メチル−2,7−オクタジエン、2,6−ジメチル−1,5−ヘプタジエン、1,5,9−デカトリエン等が挙げられる。これらの中でも、得られる重合体の活性の点からα,ω−ジエンである1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,19−ドデカジエン等が好ましい。
【0042】
本発明で用いるビニルシラン類、アリルシラン類としては従来公知のものを広く使用できる。具体例としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、アリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0043】
エンドキャップ剤として、保護された水酸基および炭素−炭素2重結合を有する下記化合物
CH2 =C(R4 )−B−OG
(式中、R4 は水素または炭素数1から18の飽和炭化水素基を、Bは炭素数1から30の2価の炭化水素基を、Gは1価の置換基を表す。)
も好ましい。この方法によって得られる、保護された水酸基を末端に有するイソブチレン系重合体は、脱保護によって容易に、水酸基を末端に有するイソブチレン系重合体に変換できる。
【0044】
エンドキャップ剤としては、2位又は6位に1価のアルキル基を有する置換フェノール類も好ましい。
エンドキャップ剤は1種単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0045】
本発明において、エンドキャップ剤(特に非共役ジエンやアリルトリメチルシラン)の使用量は、通常、リビング重合体あるいは重合開始剤1モルに対して0.01〜200倍モルであり、好ましくは0.1〜100倍モルであり、より好ましくは0.5〜10倍モルである。また、アリルトリメチルシランは、重合体の末端との反応性が高いので好ましい。
【0046】
(反応温度)
反応温度は−100〜0℃の範囲とすることができる。比較的高い温度条件では反応速度が遅く、連鎖移動反応などの副反応が起こるので、−30℃よりも低い温度を選定することが好ましい。しかし反応温度が−100℃より低いと反応に関与する物質(原料又は重合体)が析出する場合がある。したがって、より好ましい反応温度は−80〜−30℃である。
【0047】
(反応溶媒)
本発明の方法では、反応溶媒を用いてもよく、ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素、および芳香族炭化水素からなる群から選ばれる単独溶媒またはそれらの混合溶媒を用いることができる(特開平8−53514)。
ハロゲン化炭化水素としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、1−クロロプロパン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルブタン、1−クロロ−3−メチルブタン、1−クロロ−2,2−ジメチルブタン、1−クロロ−3,3−ジメチルブタン、1−クロロ−2,3−ジメチルブタン、1−クロロペンタン、1−クロロ−2−メチルペンタン、1−クロロ−3−メチルペンタン、1−クロロ−4−メチルペンタン、1−クロロヘキサン、1−クロロ−2−メチルヘキサン、1−クロロ−3−メチルヘキサン、1−クロロ−4−メチルヘキサン、1−クロロ−5−メチルヘキサン、1−クロロヘプタン、1−クロロオクタン、2−クロロプロパン、2−クロロブタン、2−クロロペンタン、2−クロロヘキサン、2−クロロヘプタン、2−クロロオクタン、クロロベンゼン等が使用でき、これらの中から選ばれる溶剤は単独であっても、2種以上の成分からなるものであってもよい。
【0048】
脂肪族炭化水素としては、ブタン、ペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンが好ましく、これらの中から選ばれる溶剤は単独であっても、2種以上の成分からなるものであってもよい。
また、芳香族炭化水素としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンが好ましく、これらの中から選ばれる溶剤は単独であっても、2種以上の成分からなるものであってもよい。
【0049】
とりわけハロゲン化炭化水素と脂肪族炭化水素の混合溶媒、芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素の混合溶媒は、反応制御および溶解度の観点からより好適に使用される。
例えば、トルエンと脂肪族炭化水素を混合して溶媒とする場合は、混合溶剤中のトルエンの含有量は特に限定されるものではないが、一般的には10〜100重量%の範囲、より好ましくは50〜100重量%の範囲とすることができる。
本発明の実施形態として反応溶媒を使用する場合には、得られる重合体の溶解度、溶液の粘度や除熱の容易さを考慮し、重合体の濃度が5〜80重量%となるよう溶媒を使用するのが好適であり、生産効率および操作性の観点からは10〜60重量%となるよう使用するのが有利である。
【0050】
以下に本発明の実施形態の図例を挙げて説明するが、本発明はそれらの図の例に限定されるものではない。
図1は、攪拌槽型反応器3でモノマーを連続的にリビング重合した後に、管型反応器4で引き続き連続重合を実施し、一度クッション槽5で滞留させ、引き続き攪拌槽型反応器3にてエンドキャップ剤をバッチ反応させ、受槽9に移液する場合の反応装置概略図を示している。この方法では、モノマーを連続的に重合し、エンドキャップ剤を用いた官能基変性はバッチ反応にて行わせる。
【0051】
図2は、攪拌槽型反応器3でモノマーを連続的にリビング重合した後に、管型反応器4で引き続き連続重合を実施し、引き続き攪拌槽反応器または管型反応器8に第2のモノマーを添加し連続反応させ、攪拌槽型反応器または管型反応器8で引き続き連続反応させ、受槽9に移液する前に、原料1と熱交換器11で熱交換して顕熱回収する場合の反応装置概略図を示している。この方法では、第1のモノマーを連続的に重合し、第2のモノマーの共重合も、連続反応にて行わせる。
【0052】
【実施例】
(分析方法)
本発明では、イソブチレン系重合体の数平均分子量(Mn)および分散度(Mw/Mn)はクロロホルムを移動相とし、ポリスチレンゲルカラムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めている。また、Fn(ビニル)〔イソブチレン系重合体1分子中に存在するビニル基の数の平均値〕は、1 H−NMR(300MHz)により各構造に帰属するプロトンの共鳴信号を測定比較することにより求めている。
【0053】
(実施例1)
実施例1、3、5および比較例1、2、3、4に用いた実験装置を図3に示す。貯槽21(内容積2500ml)、貯槽22(内容積2500ml)および攪拌槽型反応器25(内容積1200ml、大型パドル翼、d/D=0.5、邪魔板3枚)、管型反応器26(内容積2000ml、内径10mm)を窒素置換した後に、貯槽21、22および反応器25、26にトルエン、エチルシクロヘキサンを体積比でおよそ3:1となるように仕込む。
貯槽21、22および反応器25、26のジャケット部に冷凍機ライン29からブラインを供給し、各貯槽および反応器内温が−65℃となるよう調整し、重合性モノマーと重合開始剤を貯槽21に、触媒と電子供与剤を貯槽22に、重合性モノマーとしてイソブチレンを、重合開始剤として1,4−ビス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン(p−DCC)を、触媒としてTiCl4、電子供与剤としてα−ピコリンを、それぞれ用いて表1に示す比率で仕込んだ。なお、この比率においてα−ピコリンはルイス酸触媒のモル数に対し0.16倍量、反応液中濃度が10mol/m3である。
【0054】
各貯槽21、22および反応器25、26の内温が−65℃になった後に、ポンプ23、24を用いて各原料を反応器25に、表1に示す供給量で供給を開始した。反応器26出口のサンプルは、水との混合による触媒失活・水洗操作後、溶媒を除去して重合体を得た。
【0055】
得られた重合体の収量より収率を算出するとともに、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)はGPC法より求めた。反応器26出口での(供給開始後150分)重合体の分析値および反応器25の反応液温度とジャケットとの温度差は表2の通りである。なお、反応器25から反応器26へ反応液を供給する際の、モノマー成分の反応率は70重量%であった。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
(比較例1)
図3の反応器26を取り除いた以外は、実施例1と同様の操作で実験を行った。反応器25出口での(供給開始後150分)重合体の分析値および反応器内部の反応液温度とジャケットとの温度差は表3の通りである。
【0059】
【表3】
【0060】
実施例1と比較例1の結果から明らかなように、比較例1では分散度が1.50であるのに対し、実施例1では、分散度は1.34と小さくなった。
(実施例2)
実施例2、4で用いた実験装置を図4に示す。
実施例1と同一の方法で得られた管型反応器26出口の反応液を、一度クッション槽30で滞留させ、引き続き−65℃の温度にて、攪拌槽型反応器35でエンドキャップ剤であるアリルトリメチルシランをp−DCC1モルに対して3モル添加して2時間バッチ反応させた。反応液を水との混合により触媒失活・水洗を実施した後、溶媒を除去し、アリル末端イソブチレン重合体を得た。末端構造は1H−NMR(300MHz)により各構造に帰属するプロトンの共鳴信号を測定比較することにより求めた。得られた重合体の分析値は表4の通りであった。なお、反応器25から反応器26へ反応液を供給する際の、モノマー成分の反応率は70重量%であった。
【0061】
【表4】
【0062】
実施例2の結果より明らかなように、連続式反応器から排出された反応液とエンドキャップ剤であるアリルトリメチルシランの反応によって、Fn*(ビニル)は1.94となり、リビング重合後の重合体の活性末端へアリル基の導入が設計どおりにできた。
(実施例3)
α−ピコリンの量を6.3mlとする以外は、実施例1と同様の操作で実験を行った。反応器25の反応液温度とジャケットとの温度差および反応器出口での重合体の分析値は表5の通りであった。なお、反応器25から反応器26へ反応液を供給する際の、モノマー成分の反応率は50重量%であった。
【0063】
【表5】
【0064】
(比較例2)
α−ピコリンの量を5.63mlとする以外は、比較例1と同様の操作で実験を行った。なお、この比率においてα−ピコリンはルイス酸触媒のモル数に対し0.2倍量、反応液中濃度が13mol/m3である。定常状態到達後(供給開始後150分)の反応器内温、ジャケットとの温度差および反応器出口での重合体の分析値は表6の通りであった。
【0065】
【表6】
【0066】
実施例3と比較例2の結果から明らかなように、比較例2では分散度が1.46であるのに対し、実施例3では、分散度は1.19と小さくなった。
(実施例4)
実施例3で得られた管型反応器26出口の反応液を500mlの攪拌槽反応器に移送し、引き続き−65℃の温度にて、アリルトリメチルシランをp−DCC1モルに対して3.0当量添加してバッチ反応を2時間継続した。アリルトリメチルシラン導入後の反応液を水との混合により失活・水洗を実施した後、溶媒を除去し、アリル末端ポリイソブチレン重合体を得た。得られた重合体の分析値は表7の通りであった。
【0067】
【表7】
【0068】
実施例4より明らかなように、連続式反応器から排出された反応液とエンドキャップ剤であるアリルトリメチルシランの反応によって、Fn*(ビニル)は1.88となり、リビング重合後の重合体の活性末端へアリル基の導入が設計どおりにできた。
(比較例3)
本発明に使用した重合器25を用いて、表8に示す処方にてバッチ重合を実施した。触媒投入時の内温は−65℃であった。
【0069】
【表8】
【0070】
重合反応を2時間実施した後に、引き続きアリルトリメチルシランをp−DCC1モルに対して3モル添加し2時間反応した。反応液を水との混合により触媒失活・水洗を実施した後、溶媒を除去し、アリル末端ポリイソブチレンを得た。得られた重合体の分析値を表9に示す。
【0071】
【表9】
【0072】
このように、実施例3、4と比較例3より、本発明方法では分散度、Fn*(ビニル)値、収率ともにバッチ重合で得られる結果と大差なく、反応液とジャケットとの温度差のピークは、比較例3のバッチ式の重合では10℃となるのに対して、実施例3の連続式の重合では3℃でほぼ一定に制御された。
(実施例5)
攪拌槽型反応器25(内容積300ml、大型パドル翼、d/D=0.5、邪魔板3枚)、管型反応器26(内容積1000ml、内径10mm)、貯槽1、貯槽2からの供給量をそれぞれ5ml/min、とした以外は実施例3と同じである。
反応器26出口での(供給開始後150分)重合体の分析値および反応器25の反応液温度とジャケットとの温度差は表10の通りである。なお、反応器25から反応器26へ反応液を供給する際の、モノマー成分の反応率は40重量%であった。
【0073】
【表10】
【0074】
(比較例4)
図1の反応器26を取り除いた以外は、実施例5と同様の操作で実験を行った。反応器25出口での(供給開始後150分)重合体の分析値は表11の通りである。
【0075】
【表11】
【0076】
実施例5と比較例4の結果から明らかなように、比較例4では分散度が1.74であるのに対し、実施例5では、分散度は1.24と小さくなった。
(実施例6)
実施例6、7で用いた実験装置を図5に示す。
重合性モノマー成分と重合開始剤を貯槽21に、触媒を貯槽22に、電子供与剤を貯槽32に、それぞれ表12に示す比率で仕込んだ。実施例1と同一の方法で得られた管型反応器26出口の反応液を、一度クッション槽30で滞留させ、引き続き−65℃の温度にて、攪拌槽型反応器35で第2の重合性モノマー成分であるスチレンをp−DCC1モルに対して290モル添加して3時間バッチ反応させた。反応液を水との混合により触媒失活・水洗を実施した後、溶媒を除去し、イソブチレン−スチレンのブロック共重合体を得た。重合体の分子量分布のピーク(Mp)、分散度(Mw/Mn)はGPC法より求めた。反応器26出口での(供給開始後150分)重合体の分析値および反応器35出口での重合体の分析値は表13の通りである。なお、反応器25から反応器26へ反応液を供給する際の、モノマー成分の反応率は65重量%であった。
【0077】
【表12】
【0078】
【表13】
【0079】
(実施例7)
実施例6と同様の操作で実験を行った。ただし触媒の仕込量を37.2ml、電子供与剤の仕込量を1.94gとした。攪拌槽型反応器25でスチレンをp−DCC1モルに対して290モル添加して3時間バッチ反応させた。反応器25出口での(供給開始後150分)重合体の分析値および反応器35出口での重合体の分析値は表14の通りである。なお、反応器25から反応器26へ反応液を供給する際の、モノマー成分の反応率は60重量%であった。
【0080】
【表14】
【0081】
実施例7、8の結果から明らかなように、スチレン添加前と添加後では分子量分布のピークの値が増大している。ホモ重合体の活性末端にスチレンが重合して分子鎖がさらに生長し、ブロック共重合体が得られたことがわかる。
【0082】
【発明の効果】
上の実施例と比較例の結果でも示したように、本発明で提案したリビング重合体の連続製造方法を用いれば、反応液とジャケットとの温度差が小さいことから、反応器の除熱のための冷凍機能力が小さくて済み、従来の方法と比べて反応器の内温制御が容易でコンパクトな設備とすることが出来る。そして、分散度の小さい重合体を得ることが出来る。このことは、得られる液状の重合体の粘度を低下させる効果があり、製品の取り扱い作業性に優れた特性を発現することができる。また、本発明による連続式の重合方法を用いれば、重合体の活性末端にエンドキャップ剤を反応させ、末端を設計通りに官能化することができる。官能化した重合体末端を架橋反応させれば、強度の高いゴム状の製品を作ることができる。さらに、本発明による連続式の重合方法を用いれば、ブロック共重合を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 連続式重合装置の概念1
【図2】 連続式重合装置の概念2
【図3】 実施例1、3、5および比較例1、2、3、4に使用した実験装置
【図4】 実施例2、4に使用した実験装置
【図5】 実施例6、7に使用した実験装置
【符合の説明】
1 重合性モノマーおよび重合開始剤を含む原料供給ライン
2 触媒を含む副原料供給ライン
3 攪拌槽型反応器
4 管型反応器
5 クッション槽
6 第2の重合性モノマーを含む原料供給ライン
7 エンドキャップ剤を含む原料供給ライン
8 管型反応器又は攪拌槽型反応器
9 受槽
10 ブライン冷凍機ライン
11 熱交換器
21 貯槽1
22 貯槽2
23 供給ポンプ1
24 供給ポンプ2
25 攪拌槽型反応器
26 管型反応器
27 失活タンク
28 クッションタンク
29 冷凍機ブラインライン
30 クッション槽
31 エンドキャップ剤
32 第2の重合性モノマー成分
33 貯槽3
34 供給ポンプ3
35 攪拌槽型反応器
Claims (8)
- 重合開始剤、モノマー成分および触媒を連続的に流通式攪拌槽型反応器に供給してリビング重合を開始させるとともに、前記モノマー成分の反応率が1重量%以上から90重量%未満である反応液を、前記流通式攪拌槽型反応器から流通管型反応器に連続的に供給し、該流通管型反応器中で更にリビング重合を進行させることを特徴とする重合体の製造方法。
- 前記流通管型反応器を経た後、反応液を更に別の反応器に供給するとともに、エンドキャップ剤を該別の反応器に供給してリビング重合体末端と反応させることにより、官能基末端重合体を得る請求項1記載の製造方法。
- 前記流通管型反応器を経た後、反応液を更に別の反応器に供給するとともに、前記モノマー成分とは異なる第二のモノマー成分を該別の反応器に供給して、二段目のリビング重合を行わせることにより、ブロック共重合体を得る請求項1記載の製造方法。
- 反応溶媒を使用し、かつ、モノマー成分は少なくともイソブチレンを含むカチオン重合性モノマー成分であり、触媒はルイス酸触媒であり、前記反応溶媒は、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素および脂肪族炭化水素からなる群より選ばれる1種以上である請求項1、2又は3記載の製造方法。
- 反応系中に、電子供与剤を、ルイス酸触媒に対しモル比で0.10〜5倍量存在させる請求項4記載の製造方法。
- 反応系中に、電子供与剤を、6〜500mol/m3 の濃度で存在させる請求項4記載の製造方法。
- (1)少なくともイソブチレンを含むカチオン重合性モノマー成分を含む原料液、及び、(2)ルイス酸触媒を含む原料液を、それぞれ、連続的に前記流通式攪拌槽型反応器に供給して、該反応器中で両原料液を混合しリビング重合を開始させる請求項5又は6記載の製造方法。
- 反応器出口での反応液と、反応器への供給液のうち少なくとも1種類とを熱交換させる請求項1記載の製造方法。
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