JP4377021B2 - 把手付きワゴン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワゴン本体の後上部に可動式の把手を設けた把手付きワゴンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のものとしては、(A)ワゴン本体の後上部に、後上方を向く左右1対のブラケットをもって、左右方向を向く把手の両端部を支持するようにした固定式のもの、(B)上記(A)の構成の左右のブラケットの基端部を、左右方向を向く軸をもってワゴン本体に枢着し、把手を前後方向に起倒自在とした回動式のもの、及び(C)左右方向を向く把手の両端部に固着した下方を向く把手支持杆を、上下方向に摺動可能としてワゴン本体に装着した上下移動式のもの等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、オフィス内に各営業マン専用の机を設けず、営業マンが使用する机を共用とするとともに、各営業マン用に、いわゆるモバイル収納ドックと称する収納棚と、この棚の下に収納されるモバイルカートと称する把手付きワゴンとを、オフィスの片隅に配置しておき、営業マンは、各自の収納棚に収納しておいた自分用の書類等を、把手付きワゴンに載せて共用の机まで運び、ここで、事務処理を行い、その終了後、把手付きワゴンを元の収納棚の下の所定の位置に戻すようにすることにより、オフィス空間の有効利用を図ることが考えられている。
【0004】
このようなオフィス利用システムに使用される把手付きワゴンには、ワゴンを収納棚の下に収納する際には、把手が邪魔にならず、またワゴンの移動時には、把手がワゴンを押すのに最適な位置に移動させることができ、しかも、その移動を簡単に行なえること等が要求される。
【0005】
しかし、上述の従来の構成のものには、次のような問題点がある。
(A)の固定式のものでは、ワゴンを収納棚の下に収納する際に、把手が邪魔になる。
(B)の回動式のものでは、把手の回動方向がワゴンを押す方向と同一となるので、把手を起立状態で強力にロックする必要があり、そのロック手段の構造が複雑かつ高価となり、さらに、そのロック操作及びロック解除操作が面倒である。また、把手の支持が不安定で、横振れし易い。
(C)の上下移動式のものでは、把手の使用時に、把手をワゴン本体から後方に位置させることができず、ワゴンを押すときのワゴン本体と作業者との間隔を十分にとることができないので、ワゴンを押しづらい。
【0006】
本発明は、従来の技術が有している上述のような問題点に鑑み、ワゴンを移動させる必要のない時には、把手を邪魔にならない位置に移動させておくことができ、ワゴンを移動させるときには、把手をワゴンを押すのに最適な位置に移動させることができ、しかもその移動を簡単に行なえ、さらに、把手を常に安定して支持することができるようにした把手付きワゴンを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 下端部に車輪を設けたワゴン本体の後部に、上端部に把手を設けたほぼ上下方向を向く把手支持杆を長手方向に摺動可能として保持する保持部材を、左右方向を向く軸をもって枢着することにより、前記把手を、予め定めた範囲内において上下動可能かつ前記軸を中心として前後方向に回動可能とし、かつ前記ワゴン本体に、前記把手支持杆を後傾させた状態で上限から若干下降させたときに、前記把手支持杆の下端部に係合して、前記把手支持杆のそれ以上の下降を阻止し、かつ前記把手支持杆をほぼ垂直とした状態での下降時には、前記把手支持杆の下端部の移動軌跡から側方に外れて、前記把手支持杆の下降を許容する係合受け部を設ける。
【0008】
(2) 上記(1)項において、左右方向を向く把手の両端部に左右1対の把手支持杆を設け、各把手支持杆のそれぞれを摺動可能に保持する保持部材を、ワゴン本体の両側部内面に枢着する。
【0009】
(3) 上記(1)または(2)項において、把手支持杆が前後1対のロッドを有するものとし、両ロッドを、保持部材に設けたほぼ上下方向を向く互いに平行をなす案内孔に摺動可能として嵌合する。
【0010】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、保持部材の上部を、ワゴン本体の両側部内面に設けた補強材に左右方向を向く軸をもって枢着し、かつ保持部材の下部に設けた突起を、前記補強材に穿設した前記軸を曲率中心とする円弧孔に挿通して、保持部材及び把手支持杆の回動範囲を規制する。
【0011】
(5) 上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、把手支持杆の下端に水平杆を固着し、係合受け部を、ワゴン本体における両側板間に架設した仕切材に形成され、かつ前記水平杆を受け入れる上向きの溝部とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の把手付きワゴンの一実施形態における、把手(4)を下限まで下降させたときの状態を示す、後方から見た立面図であり、図2は、図1のII-II線に沿う縦断側面図である。
これらの図に示すように、前面(図2の左方の面)が開口するワゴン本体(1)の下端後部には、左右1対の車輪(2)が設けられており、下端前部には、左右1対のキャスタ(3)が設けられ、これらによってワゴンを移動可能としている。
【0013】
ワゴン本体(1)の後部の上方には、左右方向を向く棒状の把手(4)が、その両端部に連結された下方を向く把手支持杆(5)により支持されて、後述するように、上下動可能かつ前後方向に回動可能として装着されている。
【0014】
左右の各把手支持杆(5)は、把手(4)の各端部に固着された連結部材(6)と、その下端から互いに平行をなして下方に向かって延びる前後1対のロッド(7)と、前後のロッド(7)の下端同士を連結する連結杆(8)とからなっており、左右の把手支持杆(5)における前部のロッド(7)の下端同士は、左右方向を向く水平杆(9)により互いに連結されている。
【0015】
図2に示すように、把手支持杆(7)は、保持部材(10)に、長手方向に摺動可能として保持されている。保持部材(10)は、図4及び図6に示すように、鋼板の両側部をコ字状に折り曲げて形成した上下方向に延びる保持枠(11)と、この保持枠(11)の中に抱持され、かつ外側面に、2本のロッド(7)が摺動可能として嵌合された互いに平行な上下方向を向く2条のU字状の溝(12a)が形成された合成樹脂製の樹脂ガイド(12)(図6)とからなっている。
【0016】
保持部材(10)は、保持枠(11)の上部に穿設された軸孔(13)に挿通した段付きねじ(軸)(14)を、ワゴン本体(1)の両側板(15)の後隅部に取り付けた補強材(16)に設けたねじ孔(17)(図5)に螺合することにより、補強材(16)に枢着されている。補強材(16)は、側板(15)の後部とともに角柱状の補強構造を構成している。
【0017】
図4に示すように、保持枠(11)の下部には、外側に突出する上向きL字状の突起(18)が切り起こして形成されており、この突起(18)を、図5に示すように、補強材(16)におけるねじ孔(17)の直下に穿設された、ねじ孔(17)を曲率中心とする円弧孔(19)に嵌合し、かつ円弧孔(19)の上縁に係合させることにより、保持枠(11)の回動範囲を所望の範囲に規制し、かつ保持枠(11)の下部が補強材(16)から離れないようにしている。
円弧孔(19)の後部には、下方に拡幅する拡幅部(19a)が形成されており、この拡幅部(19a)を通して、突起(18)の着脱を行うことができるようになっている。
【0018】
図2に示すように、ワゴン本体(1)の後下部には、把手(4)が、ワゴン本体(1)の上面との間に手を挿入しうる程度の隙間を形成する位置まで下降したとき、水平杆(9)に当接して、それ以上の把手支持杆(5)及び把手(4)の下降を阻止するストッパ(20)が設けられている。
【0019】
図2、図7及び図8に示すように、ワゴン本体(1)における把手支持杆(5)より前方の中位部から下端部にかけて、垂直板状の仕切材(21)が両側板(15)間に架設されており、この仕切材(21)の上端部には、水平杆(9)を受け入れる係合受け部(25)を形成する上向きの溝部が形成されている。
【0020】
係合受け部(25)は、図7に示すように、把手(4)及び把手支持杆(5)を、連結杆(8)が樹脂ガイド(12)の下端に設けられたストッパ(12b)に当接する上限まで上昇させた後、把手(4)、把手支持杆(5)、及び保持部材(10)を段付きねじ(14)を中心として、図8に示すような後限まで後傾させ、かつそのままの状態で若干下降させることにより、水平杆(9)が上方より係合して、把手支持杆(5)のそれ以上の下降を阻止し、かつ図7に示すように、把手支持杆(5)をほぼ垂直とした状態での下降時には、水平杆(9)の上下方向の移動軌跡から前方に外れて、把手支持杆(5)の下降を許容する作用をする。
【0021】
図1,図2,図7,及び図8に示すように、仕切材(21)の後面における中央上部には、上下方向を向く板状の制動部材(22)が左右方向を向く軸(23)をもって枢着されている。
【0022】
図7及び図8に示すように、制動部材(22)の下端部と仕切材(21)の下部との間には、制動部材(22)の下端部を後方に向かって付勢する付勢手段である板ばね(24)が設けられている。
【0023】
制動部材(22)と付勢手段である板ばね(24)とにより、把手支持杆(5)の下降に制動力を付与する制動手段が形成されている。
【0024】
次に、把手(4)、把手支持杆(5)及び保持部材(10)に注目して、本実施形態の作用について述べる。
2本のロッド(7)からなる把手支持杆(5)は、保持枠(11)と樹脂ガイド(12)とにより挟まれて、上下方向に適宜の抵抗力を持って摺動可能に保持され、保持部材(10)は段付きねじ(14)によりワゴン本体(1)の補強材(16)に枢着され、円弧溝(19)内を移動する突起(18)の回動限度内において把手支持杆(5)は後傾可能である。
【0025】
図2に示す下方位置から、把手(4)を掴んで上方に引き出すと、把手支持杆(5)は、保持部材(10)に案内されて上方に移動し、連結杆(8)がストッパ(12b)に当接すると、図7に示す上限に達する。
この状態から、図7に矢印で示すように把手(4)を後方に引くと、把手支持杆(5)は、突起(18)が円弧溝(19)内を回動して図8に示す角度まで後方に傾斜する。
この角度位置において把手(4)を、今度は若干下降させると、水平杆(9)が係合受け部(25)に係合して保持される。この状態で把手(4)を押してワゴンを移動させることができる。
【0026】
把手(4)を元の下限まで退避させるには、上述と逆の手順で、まず把手(4)を若干持ち上げて水平杆(9)と係合受け部との係合を解除し、ついで垂直状態まで回動させてから、下方に押し込む。
この際、把手支持杆(5)の下端に固着した水平杆(9)は、板ばね(24)により下端が後方に迫り出している制動部材(22)を擦りながら、板ばね(24)の付勢力に抗して、これを押し縮めながら、ストッパ(20)に当接するまで下降してゆく。このため、把手(4)と把手支持杆(5)等からなる組立体は、急激に落下することなく制動され、水平杆(9)がストッパ(20)に当接したときの衝撃音の発生や、それらの破損を防止することができる。
【0027】
なお、以上は、図示の実施形態について述べたが、本発明は、把手(4)の両端に1対の把手支持杆(5)を設けることに止まらず、把手支持杆を把手の中央に1個設ける場合にも適用できる。また、把手支持杆を1本のロッドによって構成することもできる。
さらに、制動部材(22)を付勢する付勢手段を、板ばね(24)に代えて、圧縮コイルばねその他の手段とすることもでき、また、制動部材(24)の下端部に、把手支持杆(5)が下限に達したとき、水平杆(9)を受け入れることにより、把手支持杆(5)が不用意に上方に移動しないようにするへこみ(図示略)を設けることもできる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、ワゴンを移動させる必要のない時には、把手を下降させて、邪魔にならない位置に移動させておくことができ、ワゴンを移動させるときには、把手を上限まで上昇させ、かつ手前に引いて、ワゴンを押すのに最適な位置に移動させることができ、しかもその移動を簡単に行うことができる。
さらに、把手支持杆は、保持部材にほぼ上下方向に摺動可能として保持され、かつ保持部材とともにその軸回りに回動できるようにしているので、例えば把手支持杆の下端部側面に突設した軸を、ワゴン本体の側板に設けた上下方向を向く長孔に摺動自在かつ回動可能として嵌合する場合より、把手を安定して支持することができる。
【0029】
また、特別なロック操作を行うことなく、把手を、引き上げて手前に引くという簡単な操作で、把手をワゴンを押すのに最適な位置に係止させることができるとともに、把手を再度上限まで持ち上げて、垂直位置まで回動させるという、把手を持ったままの簡単な操作で、係止状態を解除することができ、特別なロック解除操作を行う必要がなく、操作性がよい。
ワゴンを押し進める際、把手の把手支持杆は、保持部材と係合受け部との離れた2箇所においてワゴン本体に保持されるので、横ぶれに対して強い構造となり、使用者の体重をかけて押し進めることができ、安定性に優れている。
また、複雑な構造のロック手段を設ける必要がなく、構造を簡素化することができる。
【0030】
請求項2記載の発明によれば、把手は、その両端部において把手支持杆により支持されるので、一層強固な構造となり、かつ、それぞれの把手支持杆は、側板材に取り付けられるので、横ぶれに対する強さが大幅に増す。殊に、ワゴンの動き、特にカーブして進む際の横ぶれに対して、把手取り付け部分が捻られることなくワゴンを移動させることができる。
【0031】
請求項3記載の発明によれば、把手支持杆を単一のロッドにより構成するのに較べ、保持部材による把手支持杆の保持をぶれがなく確実なものとすることができるとともに、強度、特に前後方向の強度の向上を図ることができる。
【0032】
請求項4記載の発明によれば、保持部材を簡単にワゴン本体に取り付けることができるとともに、保持部材の回動範囲を規制する手段の構造を簡素化することができる。
【0033】
請求項5記載の発明によれば、簡単な構成で強固な係合受け部を形成することができ、使用者が力を入れて把手を押すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の把手付きワゴンの一実施形態における、把手を下限まで下降させたときの後方から見た立面図である。
【図2】 図1のII-II線に沿う縦断側面図である。
【図3】 把手及びその把手支持杆等の組立体の斜視図である。
【図4】 把手支持杆を保持する保持部材を構成する保持枠の拡大斜視図である。
【図5】 ワゴン本体の内部から側板の後上部を見た縦断側面図で、保持部材を取り付ける補強材に穿設した軸孔及び円弧孔を示す図である。
【図6】 ワゴン本体の側板の隅部に形成した補強構造に取り付けた保持部材を示す拡大横断平面図である。
【図7】 把手を上方に引き上げた状態を示すワゴン本体の後部の縦断側面図である。
【図8】 上方に引き上げた把手を後方に傾斜させた状態を示すワゴン本体の後部の縦断側面図である。
【符号の説明】
(1)ワゴン本体
(2)車輪
(3)キャスタ
(4)把手
(5)把手支持杆
(6)連結部材
(7)ロッド
(8)連結杆
(9)水平杆
(10)保持部材
(11)保持枠
(12)樹脂ガイド
(12a)溝
(12b)ストッパ
(13)軸孔
(14)段付きねじ(軸)
(15)側板
(16)補強材
(17)ねじ孔
(18)突起
(19)円弧孔
(19a)拡幅部
(21)仕切材
(22)制動部材(制動手段)
(23)ピン
(24)板ばね(付勢手段)(制動手段)
(25)係合受け部
Claims (5)
- 下端部に車輪を設けたワゴン本体の後部に、上端部に把手を設けたほぼ上下方向を向く把手支持杆を長手方向に摺動可能として保持する保持部材を、左右方向を向く軸をもって枢着することにより、前記把手を、予め定めた範囲内において上下動可能かつ前記軸を中心として前後方向に回動可能とし、かつ前記ワゴン本体に、前記把手支持杆を後傾させた状態で上限から若干下降させたときに、前記把手支持杆の下端部に係合して、前記把手支持杆のそれ以上の下降を阻止し、かつ前記把手支持杆をほぼ垂直とした状態での下降時には、前記把手支持杆の下端部の移動軌跡から側方に外れて、前記把手支持杆の下降を許容する係合受け部を設けたことを特徴とする把手付きワゴン。
- 左右方向を向く把手の両端部に左右1対の把手支持杆を設け、各把手支持杆のそれぞれを摺動可能に保持する保持部材を、ワゴン本体の両側部内面に枢着した請求項1記載の把手付きワゴン。
- 把手支持杆が前後1対のロッドを有するものとし、両ロッドを、保持部材に設けたほぼ上下方向を向く互いに平行をなす案内孔に摺動可能として嵌合した請求項1または2記載の把手付きワゴン。
- 保持部材の上部を、ワゴン本体の両側部内面に設けた補強材に左右方向を向く軸をもって枢着し、かつ保持部材の下部に設けた突起を、前記補強材に穿設した前記軸を曲率中心とする円弧孔に挿通して、保持部材及び把手支持杆の回動範囲を規制するようにした請求項1〜3のいずれかに記載の把手付きワゴン。
- 把手支持杆の下端に水平杆を固着し、係合受け部を、ワゴン本体における両側板間に架設した仕切材に形成され、かつ前記水平杆を受け入れる上向きの溝部とした請求項1〜4のいずれかに記載の把手付きワゴン。
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JP4649479B2 (ja) * | 2004-11-18 | 2011-03-09 | アラベン、ソシエダッド、リミターダ | 改良された積み重ねかご |
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