JP4375231B2 - 歯周根の治療用具 - Google Patents

Description

本発明は歯周根の治療用具に関し、特にスケーリングおよび歯底曲面治療が可能な用具で、歯周ポケットを清潔にするための用具に関する。

マニュアル・キューレットからなるそのような用具あるいは挿入具を振動性のハンドピースに搭載したものが公知である。しかしながら、既存の用具は剛性がありすぎて、歯周ポケットの治療あるいは根分岐の掃除には向かず、したがって施術者は、フラップの切断を含み、歯周根を外科的に伝統的な方法で治療することを実行することを強いられることになる。

前記問題を克服することが可能な用具は公知である。特に、本願出願人の欧州特許（特許文献１）が知られている。この用具はシャンクとブレードを含む。ブレードは２つの部分を備え、刃として機能する能動部分（本明細書では機能部分という）を有する。２つの部分はブレードに沿って配置され、また各々は、ブレードの軸を通る平面のいずれか一方側の上に置かれる。
欧州特許公報ＥＰ０ ７１５ ５０８ Ｂ１

前記２つの部分は異なるレベルの攻撃性を持っている。その結果、治療中に、用具を歯周ポケットへ導入すると、より攻撃的な部分は歯の歯底曲面と接触し、また、それほど攻撃的でない部分は粘膜と接触する。

ブレードはハンドピース上にシャンクを介して保持され、振動性の動きが与えられ、前記の２つの部分で歯石を分離、除去する。そのような用具は満足できるものではあるが、患者にも施術者にも使い安いものがさらに求められるところであり、本願はその改善を目指すことを主題とする。

このため、本発明の主題は歯周根の治療用具であり、頭部に一体に接続されたブレードが、ハンドピースに連結され、前記ブレードに振動性の動きが与えられ、前記ブレードが、一側で、ブレードに沿って配する機能部分がその軸を通り抜ける平面によって画成される用具において、その特徴とするところは、前記ブレードには内部に液体を通すための流路が設けられ、この流路は前記ブレードの長手方向の大部分に沿って該ブレードの機能部分の中心に開口し、一方では、治療の間に用具の機能部分を清潔にすること可能とし、そして他方では、分離している粒子の除去を可能にするというものである。

本発明の特徴によれば、ブレードには前記流路と交差する平面が設けられ、したがって、機能部分上の流路の開口が形成され、また、この交差平面は軸に関して傾けられており、そして、流路の開口の各側で、ブレードの機能部分を画成する。機能部分は、多くの刻み目あるいは他の同様の構成を備え、使用に適切な表面粗さの余裕を与える。

一つの変形実施例では、ブレードの終端は曲率を持つ。

別の変形実施例によれば、ブレードの終端は施術者によって曲げることができ、取り扱う特別の場合、例えば根分岐へのアクセスのために適応させ得る。

また本発明によれば、ブレードは前記頭部に対して関節状に、例えばボールとソケット・タイプのように動けるように搭載される。したがって、装置の握りに関して、ブレードの機能部分の位置を適応させる可能性を与え得る。

変形実施例によれば、前記ブレードの自由端から離れた端部には、頭部へ分離可能に装着するための手段が設けられる。

一つの具体例によれば、ブレードの分離可能な装着のためのこの手段はブッシングを含む。ブッシングは操作用で、特に、施術者による操作用で、その上にブレードが一体に接続される。またさらに、このブッシングには環状溝が設けられており、前記頭部に対して搭載された状態で、水密の環状のチャンバを形成し、頭部に設けられた液体の供給流路とブレードの流路間の連通ができるようにしている。

本発明の別の有利な特性によれば、頭部には液体供給のための流路が設けられ、ブレードの流路に連結される。

また本発明の別の有利な特性によれば、液体の供給点はハンドピースの内外いずれかに設けられる。

本発明の上述の特性、そしてその他の特性は、図面を参照した実施例についての以下の説明により明白になるであろう。

図１は、歯科外科用の用具を示し、特に、歯周根の治療用の用具であって、挿入体であるブレード１を頭部２に一体に接続するものを示す。頭部２はハンドピース（図示しない）に対して着脱、交換可能に連結する。

図示した実施例では、ブレード１は円形横断面を有し、ブレードの軸を通る平面によって画定された一つの側で、ブレードに沿って機能部分１ａを備える。

この機能部分１ａは、ブレードから突出するとともに並列に平面上で整列させた多くの刻み目３から構成され、所望の表面粗さを与えられている。したがって、治療中に、歯周ポケットへ導入された用具では、ブレードの機能部分１ａ（表面粗さを有する部分）が歯の歯底曲面と接触し、またブレードの別の部分１ｂ、すなわちそれほど攻撃的でなくて滑らかな部分は粘膜と接触する。

これらの平面は、ブレードのより大きな効能を保証するために、用具の軸に垂直な平面に関して傾けることがでる点に留意されたい。

本発明によれば、ブレード１には、中心部に液体を流すための流路４が設けられており、この流路４は、前記ブレード１の機能部分１ａの中心に該部分の長さの大部分に沿って開口する。これは、一方では、治療の間に用具の機能部分を清潔にすること保証するとともに、他方では、分離される粒子の除去を行う。この点は、より詳しく以下で説明する。

本発明の好ましい実施例によれば、機能部分１ａ上の流路４の開口５を設けるために、前記流路４と交差する平面６がブレード１には設けられる。交差面６は好ましくは軸に関して傾け得る。そして、流路の開口の各側で、ブレード１の機能部分１ａを画定する。また多くの刻み目３あるいは他の同様の構成が、用具の使用に適切な表面の粗さを与える。

ブレード１の自由端から離れた端部には、頭部へ分離可能に装着するための手段が設けられる。

一つの実施例では、装着のためのこの手段はブッシング７からなる。ブッシングは操作用で、特に、施術者による操作用で、それに対してブレードは一体的に接続され、頭部から分離可能に、そして交換可能にされている。

さらにこのブッシング７には、環状溝８が設けられ、頭部２に搭載された状態で、水密の環状のチャンバ９を形成する。このチャンバ９の一側に、密閉するためのシール部材１０、１１を図１中に示すように設ける。

この環状のチャンバ９は、ブレード１の流路４と給水路１２の間を連通させ、水などの液体、消毒剤あるいは他の製品を、主に治療中に組織に与え得るようにする。給水路１２は頭部２に設けてある。

図１の例では液体の供給点はハンドピースの外に設けられているが、ハンドピースに内部に設けてもよいことに留意されたい。

頭部２は、好ましくは超音波を生成する装置に搭載する。超音波振動が本質的に抗菌特性を持っているからである。さらに、振動によって、ブレード１が歯に到達しかつ進行することができ、その際、歯を囲む残余の結合組織を破損させない。

本発明による歯周根の治療用具の使用は、上述の記載から明らかである。

施術者はハンドピース上に用具を搭載し、液体の供給点に給水路１２を接続し、その後、機能部分１ａの面を歯の歯底曲面に接触させる。

用具の振動は、したがって、歯周根の歯槽粘液壁の粒状組織の除去と根の表面処理を生じさせる。ブレード上への直接の給水を流路４経由で行い、残渣の除去を可能にする。そして施術者のためのより良い視界を保つ。

ブレード１の端部は、取り扱う歯の解剖学的形態に依存あらかじめ曲げることができ、あるいは施術者が手で形作ることができ、歯周ポケットに非侵襲的に入り込むことを可能とし、より効果的に大きな歯槽内部の平らな歯底曲面をいっそう清潔に保ち得ることに留意されたい。

ブレード１の長さは、歯内治療学的に既知の長さあるいは同等の長さであり、すなわち、約１２〜２５ｍｍであって、０．１〜３ｍｍ程度の厚さであることに留意されたい。

図２は歯周根の治療用具の異なる実施例を示し、ブッシング７は頭部２を通り抜けておらず、したがって密閉部材の数を単一のシール部材１３にするという利点があるものとなっている例を示す。

図示しない変形例によれば、用具のブレード１は頭部に対して、例えばボールとソケット・タイプのように、関節動作が可能に搭載され、したがって装置の握り方に関して、ブレードの機能部分の位置をいろいろ適応させ得る。

上記の説明から、本発明による歯周根の治療用具は比較的単純で、生産と治療が簡単で、患者にとっては迅速で非侵襲的なものとなることが評価されるべきである。さらに、外科的処置の介在を要求しない用具で、キューレットによる処置とは対照的であり、深い歯周ポケットの治療でもフラップの切断が必要とされない。

本発明を２つの特別の具体例に関しては記述したが、本発明は、既述した手段の技術的均等物すべてを含むものであり、図示の例には限定されない。

したがって、例えば、ブレードの形は最適な直線形状に代えて、端部に向かって細くなり、歯肉の歯槽内部での使用に適応させたものなども含む。同様に、ブレード１は、例えば、楕円など、どのような横断面形状のものでも良い。

同様に、本発明に係る歯周根の治療用具は適切な場合、使い捨てとし得ることに留意されたい。

本発明に係る用具の側面図 本発明の異なる実施例の側面図

符号の説明

１ ブレード
１ａ 機能部分
１ｂ ブレードの別の部分
２ 頭部
３ 刻み目
４ 流路
５ 開口
６ 交差面
７ ブッシング
８ 環状溝
９ チャンバ
１０、１１、１３ シール部材
１２ 給水路

Claims (11)

1. 歯周根の治療用具であって、ハンドピースに連結する頭部（２）に一体に接続されたブレード（１）を有し、前記ブレード（１）に振動性の動きを与え、前記ブレード（１）の一側に歯周根の治療のために表面粗さを有する部分である機能部分（１ａ）を備える用具において、
   前記機能部分（１ａ）は、前記ブレード（１）から突出するとともに並列に整列させた多くの刻み目（３）から構成されて前記ブレード（１）の表面に所望の表面粗さを与え、
   前記ブレード（１）には内部に液体を通すための流路（４）が設けられ、かつ該流路（４）と交差する交差平面（６）が設けられ、
   該交差平面（６）は前記ブレード（１）の軸に関して傾けられており、該流路（４）を前記ブレード（１）の前記機能部分（１ａ）の中心を含んで該機能部分（１ａ）の長手方向の大部分に沿って開口させ、
   前記ブレード（１）の振動により、治療の間に、歯周根の歯槽粘液壁の粒状組織の除去と根の表面処理を生じさせ、かつ前記ブレード（１）上への直接の給水を前記流路（４）経由で行い、残渣の除去を可能にして施術者のためのより良い視界を保つことを可能としてなる
   ことを特徴とする歯周根の治療用具。
2. 請求項１の歯周根の治療用具において、前記頭部（２）に対し前記機能部分（１ａ）と反対側に、前記ブレード（１）を前記頭部（２）へ分離可能に装着するためのブッシング（７）を備え、該ブッシング（７）を施術者により操作可能とし、前記頭部（２）に設けられた液体の供給流路（１２）と前記ブレード（１）の前記流路（４）間の連通ができるようにしてなることを特徴とする歯周根の治療用具。
3. 請求項１の歯周根の治療用具において、前記頭部（２）に対し前記機能部分（１ａ）と同じ側に、前記ブレード（１）を前記頭部（２）へ分離可能に装着するためのブッシング（７）を備え、該ブッシング（７）を施術者により操作可能とし、前記頭部（２）に設けられた液体の供給流路（１２）と前記ブレード（１）の流路（４）間の連通ができるようにしてなることを特徴とする歯周根の治療用具。
4. 請求項１または２の歯周根の治療用具において、前記ブレード（１）の終端を施術者が曲げることができることを特徴とする歯周根の治療用具。
5. 請求項１から４のいずれかの歯周根の治療用具において、前記ブレード（１）は前記頭部（２）に対して、ボールとソケット・タイプのように関節動作が可能に搭載され、握り方に関して前記ブレード（１）の機能部分（１ａ）の位置をいろいろ適応させ得ることを特徴とする歯周根の治療用具。
6. 請求項１から５のいずれかの歯周根の治療用具において、前記ブレード（１）の前記機能部分（１ａ）と反対側の端部には、前記頭部（２）へ分離可能に装着するための手段が設けられることを特徴とする歯周根の治療用具。
7. 請求項６の歯周根の治療用具において、前記ブッシング（７）には環状溝（８）が設けられており、前記頭部（２）に対して搭載された状態で、水密で環状のチャンバ（９）を形成し、前記頭部（２）に設けられた液体の供給流路（１２）とブレード（１）の流路（４）間の連通ができるようにしてあることを特徴とする歯周根の治療用具。
8. 請求項１から５のいずれかの歯周根の治療用具において、前記頭部（２）には液体供給用の流路（１２）が設けられ、前記ブレード（１）の前記流路（４）にリンクしていることを特徴とする歯周根の治療用具。
9. 請求項１から８のいずれかの歯周根の治療用具において、施術用の液体の供給点が前記ハンドピースの外に設けられていることを特徴とする歯周根の治療用具。
10. 請求項１から８のいずれかの歯周根の治療用具において、施術用の液体の供給点が前記ハンドピース内に設けられていることを特徴とする歯周根の治療用具。
11. 請求項１から９のいずれかの歯周根の治療用具において、前記ブレード（１）が使い捨てであることを特徴とする歯周根の治療用具。