JP4375139B2 - ブレーキ液圧発生装置およびブレーキシステム - Google Patents
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そのマスタシリンダに連携させられ、運転者により操作されてマスタシリンダを作動させるブレーキ操作部材と、
前記第一,第二加圧室を共に同一のブレーキシリンダに連通させる第一状態と、第一,第二加圧室を共に前記ブレーキシリンダから遮断する第二状態とをとり得るマスタカット弁装置と、
前記第一加圧室に接続されてその第一加圧室から排出されるブレーキ液を収容する収容室と、その収容室の容積増大につれて大きくなる対抗力を発生させる対抗力発生装置とを含むストロークシミュレータと、
前記第二加圧室を低圧源に接続する接続通路と、
その接続通路に設けられ、前記第二加圧室を低圧源に連通させて開放する開放状態と、低圧源から遮断して封鎖する封鎖状態とをとり得る開放・封鎖弁装置と
を含むブレーキ液圧発生装置。
(2)前記ストロークシミュレータが、容積が前記収容室と補完関係にある補完室を含み、前記接続通路が、前記第二加圧室に加えて前記補完室をも前記低圧源に接続するものであり、前記開放・封鎖弁装置が、前記第二加圧室に加えて前記補完室をも開放あるいは封鎖するものである (1)項に記載のブレーキ液圧発生装置。
接続通路は、補完室と第二加圧室とをそれぞれ独立に低圧源に接続するものでも、次項におけるように補完室と第二加圧室とに共通の部分を含むものでもよい。前者の場合には、開放・封鎖弁装置が上記独立の接続通路の各々に設けられる弁(接続通路の各々を連通状態と遮断状態とにし得る弁であればよい)を含むこととなるが、後者の場合は上記共通の部分に1つ設けられる弁を含むのみのものとされても、補完室と第二加圧室との各々に専用の部分にそれぞれ設けられる2つの弁を含むものとされてもよい。
マスタカット弁装置が第二状態(遮断状態)とされ、開放・封鎖弁装置が開放状態とされた場合には、第二加圧室のみならず補完室のブレーキ液の低圧源への流出も許容され、第一,第二マスタピストンの前進が許容されるとともにストロークシミュレータが第一加圧室から排出されたブレーキ液を収容しつつ対抗力発生装置により対抗力を発生させる状態となり、ブレーキ操作部材に対抗力発生装置の対抗力を主体とする操作反力が加えられる。それに対して、マスタカット弁装置が第一状態(連通状態)とされ、開放・封鎖弁装置が封鎖状態とされれば、第一,第二加圧室のブレーキ液が共にブレーキシリンダに供給される状態となるとともに、第二加圧室のみならず補完室から低圧源へのブレーキ液の流出も阻止されることによりストロークシミュレータの作動が阻止された状態となる。
したがって、例えば、本発明に係るブレーキ液圧発生装置を、後記(8)項のブレーキシステムのように、動力により液圧を発生させる動力液圧源と、その動力液圧源からブレーキシリンダに供給される液圧を制御する動力液圧制御装置とを備えたブレーキシステムに設け、少なくとも制動時に、動力液圧源および動力液圧制御装置が正常である状態ではマスタカット弁装置が遮断状態とされるとともに開放・封鎖弁装置が開放状態とされ、動力液圧源および動力液圧制御装置の少なくとも一方の故障状態では、マスタカット弁装置が連通状態とされるとともに開放・封鎖弁装置が封鎖状態とされるようにすれば、ブレーキシリンダが動力液圧源の液圧に基づいて作動可能である正常時には、ストロークシミュレータが作動し、異常時には作動しないようにすることができる。
(3)前記接続通路が、前記補完室と前記第二加圧室とを接続する第一通路部と、その第一通路部と前記低圧源とを接続する第二通路部とを含み、前記開放・封鎖弁装置が前記第二通路に設けられた開閉弁を含む(2)項に記載のブレーキ液圧発生装置。
開閉弁を電磁開閉弁とする場合は、常閉の電磁開閉弁とすることが望ましい。電気制御装置が失陥した場合に閉状態となることが望ましいからである。
開放・封鎖弁装置が第二通路部に設けられ、補完室と第二加圧室とに兼用となっているため、装置の構成が単純で済む。また、開放・封鎖弁装置の封鎖状態においても、第二加圧室と補完室とが第一通路部により互いに連通させられているため、第二加圧室の液圧が補完室に供給され、この第二加圧室の液圧は、動力液圧源および動力液圧制御装置の少なくとも一方の故障状態においは収容室に供給される第一加圧室とほぼ同じ大きさであるため、ストロークシミュレータは作動せず、マスタシリンダから供給されるブレーキ液が無駄に消費されることがない。すなわち、第一,第二加圧室のブレーキ液が効率よくブレーキシリンダに供給されるのである。
(4)前記ストロークシミュレータが、
シミュレータハウジングと、
そのシミュレータハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合されたシミュレータピストンと、
そのシミュレータピストンを前進方向に付勢する付勢手段と
を含み、前記シミュレータピストンの前方に前記収容室、後方に補完室がそれぞれ形成された(2)項または(3)項に記載のブレーキ液圧発生装置。
本項のマスタシリンダ装置においては、シミュレータピストンの収容室側と補完室側との受圧面積が必然的に等しくなり、シミュレータピストンは付勢手段により前進方向、すなわち収容室側へ付勢されているため、収容室と補完室との液圧が同じである間、シミュレータピストンは原位置から移動せず、収容室の容積が増大しないため、ストロークシミュレータはないに等しいことになる。
(5)前記対抗力発生装置が、前記収容室の容積増大と前記対抗力の増大との関係が非線形である非線形対抗力発生装置を含む(1)項ないし(4)項のいずれかに記載のブレーキ液圧発生装置。
例えば (4)項のストロークシミュレータにおいて、ばね定数が非線形である弾性装置を付勢手段として使用すれば、ブレーキ操作部材の操作ストロークに対して加圧室の液圧を非線形に増大させることができる。例えば、加圧室の液圧が低い領域では、ブレーキ操作部材の単位操作ストローク当たりの液圧増加量が比較的小さく、微妙な制動操作が容易であり、加圧室の液圧が高い領域では、液圧増加量が比較的大きくなって、比較的小さい操作ストロークで大きな液圧が加圧室に発生させられるようにすることができる。このようにすることは、ブレーキシリンダの液圧が加圧室の液圧に応じた液圧に制御されるブレーキシステムにおいて特に有益である。非線形弾性装置は、例えば、ばね定数が非線形である一つの弾性部材で構成したり、弾性係数が線形である複数の弾性部材の組合わせで構成したりすることができる。ただし、ストロークシミュレータがシミュレータピストンを備えたピストン式であることは不可欠ではない。例えば、ブラダ式等、弾性部材の弾性変形に伴って収容室の容積が変化するものとすることも可能なのである。
(6)前記マスタシリンダが、小径ピストンと大径ピストンとを一体的に備えた段付ピストンと、その段付ピストンを液密かつ摺動可能に収容する段付状のシリンダボアを備えた段付ハウジングとを備え、前記小径ピストンと前記大径ピストンとがそれぞれ前記第一マスタピストンと第二マスタピストンとのいずれか一方をそれぞれ構成し、前記段付ハウジングが前記マスタハウジングを構成している(1)項ないし(5)項のいずれかに記載のブレーキ液圧発生装置。
小径ピストンの前方に形成される液室と、大径ピストンの前方(大径ピストンと小径ピストンとの間の段付面の前方)に形成される液室との一方を第一加圧室、他方を第二加圧室とすることができる。大径ピストンの前方に形成される液室を第二加圧室とすることが便利な場合が多い。
本態様によれば、第一,第二マスタピストンが必然的に一体的に進退することとなり、連結装置が不要となって構成が単純となる。また、小径ピストンと大径ピストンとが、互いに他方のピストン部の案内手段として機能するため、両ピストン部のマスタハウジングとの嵌合長さを短くすることができ、その分、マスタシリンダの軸方向長さを短くすることができる。
(7)前記第一マスタピストンの前記第一加圧室に対する加圧面積が、前記第二マスタピストンの前記第二加圧室に対する加圧面積より小さくされた(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のブレーキ液圧発生装置。
第一マスタピストンの加圧面積を第二マスタピストンの加圧面積に比較して小さくするほどストロークシミュレータを小形化し得る。その観点からすれば、第一マスタピストンの加圧面積は第二マスタピストンの加圧面積の1/2以下とされることが望ましく、1/3,1/5とされることが特に望ましい。
また、第一マスタピストンの加圧面積を第二マスタピストンの加圧面積に比較して小さくすればするほど、対抗力発生装置によって発生させられる対抗力(操作反力)を大きくすることなく、第一加圧室ひいては収容室の液圧を大きくすることができる。このことの実益の一例は、次項に記載の動力液圧源制御装置が、第一加圧室の液圧に基づいて運転者の所望制動力を検出し、ブレーキシリンダの液圧を制御するものである場合に、ブレーキ操作部材の操作反力の増大を回避しつつ所望制動力の検出感度を高くし得ることである。
(8)(1)項ないし(7)項のいずれかに記載のブレーキ液圧発生装置と、
前記第一加圧室および前記第二加圧室にマスタ通路および前記マスタカット弁装置を経て接続されたブレーキシリンダと、
前記マスタ通路の前記マスタカット弁装置と前記ブレーキシリンダとの間の部分に接続された動力液圧源と、
その動力液圧源から前記ブレーキシリンダに供給される液圧を制御する動力液圧制御装置と
を含むブレーキシステム。
動力液圧制御装置は、動力液圧源自体の出力液圧を制御する動力液圧源制御装置でも、動力液圧源から供給されるほぼ一定の液圧を減圧制御する液圧制御弁装置でもよい。
マスタシリンダ40は、小径ピストン48と大径ピストン50とを一体に有して段付状を成したピストン52と、大径ボア54と小径ボア56とを有する段付シリンダボアを備えたマスタハウジング58とを含んで、そのマスタハウジング58のシリンダボアに段付ピストン52が液密かつ摺動可能に嵌合されることにより、小径ピストン48の前方に第一加圧室60が形成され、大径ピストン50の前方に第二加圧室62が形成されている。段付ピストン52には、ブレーキペダル42が連携させられており、ブレーキペダル42の回動運動が直線運動に変換されて、段付ピストン52に伝達される。
また、第一ピストン204と仕切壁210との間に形成された液室224は、液通路226により常時リザーバ84に連通させられている。接続通路226は、第一加圧室220から延び出させられた接続通路228と接続されており、第一ピストン204の後退端位置において、第一加圧室220はリザーバ84に連通させられる。
Claims (5)
- マスタハウジングと、そのマスタハウジング内に配設されて少なくとも前進は一体的に行う第一マスタピストンおよび第二マスタピストンとを備え、それら第一,第二マスタピストンの各々の前方にそれぞれ第一加圧室および第二加圧室が形成されたマスタシリンダと、
そのマスタシリンダに連携させられ、運転者により操作されてマスタシリンダを作動させるブレーキ操作部材と、
前記第一,第二加圧室を共に同一のブレーキシリンダに連通させる第一状態と、第一,第二加圧室を共に前記ブレーキシリンダから遮断する第二状態とをとり得るマスタカット弁装置と、
前記第一加圧室に接続されてその第一加圧室から排出されるブレーキ液を収容する収容室と、その収容室の容積増大につれて大きくなる対抗力を発生させる対抗力発生装置とを含むストロークシミュレータと、
前記第二加圧室を低圧源に接続する接続通路と、
その接続通路に設けられ、前記第二加圧室を低圧源に連通させて開放する開放状態と、低圧源から遮断して封鎖する封鎖状態とをとり得る開放・封鎖弁装置と
を含むブレーキ液圧発生装置。 - 前記ストロークシミュレータが、容積が前記収容室と補完関係にある補完室を含み、前記接続通路が、前記第二加圧室に加えて前記補完室をも前記低圧源に接続するものであり、前記開放・封鎖弁装置が、前記第二加圧室に加えて前記補完室をも開放あるいは封鎖するものである請求項1に記載のブレーキ液圧発生装置。
- 前記接続通路が、前記補完室と前記第二加圧室とを接続する第一通路部と、その第一通路部と前記低圧源とを接続する第二通路部とを含み、前記開放・封鎖弁装置が前記第二通路に設けられた開閉弁を含む請求項2に記載のブレーキ液圧発生装置。
- 前記マスタシリンダが、小径ピストンと大径ピストンとを一体的に備えた段付ピストンと、その段付ピストンを液密かつ摺動可能に収容する段付状のシリンダボアを備えた段付ハウジングとを備え、前記小径ピストンと前記大径ピストンとがそれぞれ前記第一マスタピストンと第二マスタピストンとのいずれか一方をそれぞれ構成し、前記段付ハウジングが前記マスタハウジングを構成している請求項1ないし3のいずれかに記載のブレーキ液圧発生装置。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載のブレーキ液圧発生装置と、
前記第一加圧室および前記第二加圧室にマスタ通路および前記マスタカット弁装置を経て接続されたブレーキシリンダと、
前記マスタ通路の前記マスタカット弁装置と前記ブレーキシリンダとの間の部分に接続された動力液圧源と、
その動力液圧源から前記ブレーキシリンダに供給される液圧を制御する動力液圧制御装置と
を含むブレーキシステム。
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