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JP4373544B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

超音波診断装置 Download PDF

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JP4373544B2
JP4373544B2 JP27353599A JP27353599A JP4373544B2 JP 4373544 B2 JP4373544 B2 JP 4373544B2 JP 27353599 A JP27353599 A JP 27353599A JP 27353599 A JP27353599 A JP 27353599A JP 4373544 B2 JP4373544 B2 JP 4373544B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波診断装置に関し、特に臓器の体積や面積を自動演算する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
心臓の体積(容量)や胎児の大きさを測定するために超音波診断が利用される。従来の第1の方法では、例えば測定対象である心臓の断層画像が形成され、その心臓の断面を楕円と仮定し、その近似楕円の長軸及び短軸を測定し、それらに基づいて楕円体の体積が演算される。この第1の方法では、計算が簡単ではあるが、臓器を単純形と仮定しているため、演算結果の信頼性は低くなる。特に、心臓などの拍動している臓器を実時間で計測するのは困難である。
【0003】
従来の第2の方法では、生体内の三次元領域でエコーデータを取込み、その三次元領域内の全データをいったん記憶し、二値化や境界面検出などのテクニックを利用して臓器の形状を抽出するものである。しかし、この方法によると、演算精度は高いものの、演算量が極めて多く、結果を得るまでにかなりの時間を要する。また、上記同様に、リアルタイムでの体積演算は困難である。
【0004】
特開平8−299341号公報には、上記の第2の方法に関連した体積演算装置が開示されている。その従来装置においては、二値化後の各エコーデータに対して三次元マスクを利用して連続性の判定が実行され、連続性が判定されたデータ数に基づいて体積が演算されている。ここで、そのマスクとしては、例えば、注目データを中心とした3データ×3データ×3データの大きさに設定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平8−299341号公報に記載された装置でも、走査面の走査に追従して実時間で体積を演算することは困難であった。なお、体積演算以外の面積演算についても実時間での計測が要望されている。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、連続領域を効率的に抽出できるようにすることにある。
【0007】
本発明の他の目的は、対象臓器の体積及び面積を実時間で演算できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、データ取込空間に対応したフラグ記憶空間を有し、連続性が判定されたデータについてはその対応アドレスに所定フラグが設定される記憶手段と、超音波の送受波により前記データ取込空間内において取得された個々のデータを注目データとし、その注目データの前記フラグ記憶空間上の対応アドレスを中心とした近傍範囲を参照し、注目データについて連続性を判定する連続性判定手段と、前記注目データについて連続性が判定された場合に、前記フラグ記憶空間上の対応アドレスに所定フラグを設定するフラグ設定手段と、前記フラグ記憶空間内の情報を利用して所定演算を実行する演算手段と、を含むことを特徴とする。ここで、望ましくは、前記所定演算は面積演算又は体積演算である。
【0009】
上記構成によれば、記憶手段上のフラグ記憶空間にそれまで連続性を判定した結果が格納され、新しいデータが取得された場合にはその過去の判定結果を基礎として、その新しいデータについて連続性の判定を行える。よって、過去の成果を活用して、精度良くかつ効率的に連続領域の抽出を行えるという利点がある。例えば、データ取込領域の形成ごとに各データについて上記の連続性の判定を行えば、データ取込領域の形成回数(スキャン回数)にしたがって連続領域の抽出精度を徐々に高めることができる。ここで、過去の判定結果は、フラグとして格納されているため、そのために大きな記憶領域を必要としない。
【0010】
(2)また、上記目的を達成するために、本発明は、走査面を繰り返し往復走査し、往路走査及び復路走査ごとにデータ取込空間を形成する走査手段と、前記データ取込空間に対応したフラグ記憶空間を有し、連続性が判定されたデータについてはその対応アドレスに所定フラグが設定される記憶手段と、前記走査面上の各データを注目データとし、その注目データの前記フラグ記憶空間上の対応アドレスを中心としたマスク内を参照し、前記注目データの二値化後の値と前記マスク内の情報とに基づいて、前記注目データについて連続性を判定する判定手段と、前記注目データについて前記連続性が判定された場合に、前記フラグ空間上の対応アドレスに所定フラグを設定するフラグ設定手段と、前記記憶空間内における所定フラグの個数から体積を演算する演算手段と、を含むことを特徴とする。ここで望ましくは、前記走査面の往路走査及び復路走査の各走査ごとに、リアルタイムで体積演算が実行される。
【0011】
上記構成によれば、データ計測を繰り返し行いながら、それと並行して目的領域(臓器など)の体積をリアルタイムで計算できる。特に、データ計測の繰り返し回数が増大すれば体積演算精度を高められる。目的領域が変動しても、それに対して十分に追従可能であり、一定精度で運動臓器のリアルタイム体積演算を行えるという従来装置では得られない利点を享受できる。
【0012】
望ましくは、前記マスクは、前記注目データを含む現在の走査面及び1つ前の走査面に跨って設定され、前記往路走査と前記復路走査では前記マスクの向きが反転される。取得されたデータをリアルタイムで処理するために、上記のような非対称マスクが利用されている。この場合、往路走査時の抽出処理の方向性と復路走査時の抽出処理の方向性は互いに反対となるが、その処理を繰り返し交互に行うことによって、連続領域が複雑な形態を有していても、その連続領域を能率的に抽出でき、対称性を有するマスクを利用した場合と同等の結果を取得できる。
【0013】
望ましくは、前記注目データの二値化後の値が1で、且つ、前記マスク内に少なくとも1つの所定フラグが存在する場合に、当該注目データについて連続性を判定する。すなわち、注目データの値が1で、その周囲に1の値が存在すれば、注目データが他のデータと連絡していることが判明するので、注目データについて連続性を判定するものである。なお、注目データの値が1であるにもかかわらず、周囲に1の値が存在しなければ、注目データが孤立ノイズや分離した島領域に属するデータである可能性が高く、その場合には連続性の判定を行わない。
【0014】
望ましくは、前記所定フラグは1の値を有し、前記フラグ設定手段は、前記連続性が判定されなかった注目データについてはその対応アドレスに0の値を書き込む。このようなデータ更新により、組織の移動や形態の変化にも追従できる。
【0015】
望ましくは、前記データ取込空間上に基準点を設定するための基準点設定手段と、前記基準点の前記フラグ記憶空間上の対応アドレスに初期フラグを設定する初期設定手段と、を含む。基準点は対象領域内に少なくとも1点以上設定される。その基準点は連続性を判定する起点となるものである。なお、それに先だって、フラグ記憶空間がリセットされる。基準点を常に画像の中心として固定設定することも可能であり、その場合には対象領域の中心がデータ取込空間の中央になるようにプローブの姿勢や位置を調整すればよい。
【0016】
望ましくは、前記記憶空間内の所定フラグを利用して三次元画像を形成する手段を含む。各フラグの値により連続領域の内外を識別できるので、三次元物体の表面を簡単に抽出でき、それを三次元画像として表現できる。
【0017】
また望ましくは、前記記憶空間内の所定フラグ数の変動に基づいて収束を判定する手段を含む。フラグ数の変動が一定の収束範囲に入った場合、一定の計測精度が得られたとしてそれを判定するものである。例えば、一定の収束性が得られた段階から体積演算結果を実際に表示するようにしてもよいし、一定の収束性を得られる前には体積演算結果を黄色や灰色で表示し、一定の収束性が得られた後には体積演算結果を緑色や白色で表示するようにしてもよい。このように表示処理を切り換えればユーザーに一定の計測精度が確保されていることを知覚させることができる。通常、数回程度のスキャンを行えばある程度の領域抽出精度を得られる。
【0018】
(3)また、上記目的を達成するために、本発明は、二次元又は三次元のデータ取込空間を繰り返しスキャンして各スキャンごとにデータを取得する送受波手段と、前記データを二値化する二値化手段と、前記データ取込空間に対応するフラグ記憶空間と、前記各スキャンごとに前記データ取込空間内の個々のデータを注目データとして連続性の有無を判定する手段であって、注目データの値が1で、かつ、注目データの前記フラグ記憶空間上の対応アドレスを中心とする近傍範囲に1が少なくとも1つ存在していれば当該注目データについて連続性を判定する判定手段と、前記連続性が判定されたデータについては前記フラグ記憶空間上の対応アドレスに1を設定し、前記連続性が判定されなかったデータについては前記フラグ記憶空間内の対応アドレスに0を設定するフラグ設定手段と、を含むことを特徴とする。
【0019】
望ましくは、前記データ取込空間に対応したアドレス空間を有するメモリを含み、前記メモリの各アドレスにnビットが割り当てられ、そのnビットの内のm(但し、m<n)ビットが前記データの格納に利用され、残りのn−mビットを利用して前記連続性の有無を表すフラグが格納される。
【0020】
上記構成によれば、各アドレスに対応付けてエコーデータ及び連続性の有無を示すフラグが格納され、例えば、各アドレスに8ビットが割り当てられ、またエコーデータが6ビットである場合には、残りの空き2ビットの内の1ビットを利用して連続性の有無を示すフラグを格納できる。そのような場合、メモリの空き領域を有効利用できるので別途メモリを設ける必要がなくなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。本実施形態に係る超音波診断装置は、例えば生体内の左室などの臓器の体積を演算する機能を有している。図1には、それに関連する構成が示されている。
【0023】
図1において、三次元プローブ10は三次元データ取込用超音波探触子である。この三次元プローブ10は、複数の振動素子からなるアレイ振動子とそれを機械的に走査する走査機構とを含むものである。アレイ振動子を電子走査することによって超音波ビームが電子走査され、これにより走査面が形成される。その走査面をそれと直交する方向に平行移動あるいは揺動移動させれば三次元のデータ取込空間を形成できる。三次元プローブ10は一般的には体表面上に当接して用いられ、例えば心臓の三次元計測に当たっては胸部体表面上に当接して用いられる。
【0024】
機械走査制御部12は、上記のアレイ振動子の機械走査を制御する手段である。送受信部14は、三次元プローブ10に対して送信信号を供給すると共に、三次元プローブからの受信信号に対して増幅などの所定の処理を行う回路である。電子走査制御部16は、送受信部14に対する制御を行うことによって超音波ビームの電子走査を制御する手段である。その電子走査制御部16及び機械走査制御部12は主制御部18によって制御されている。
【0025】
図1に示す二値化回路26は、送受信部14から出力される受信信号すなわちエコーデータに対して二値化処理を実行する回路である。具体的には、エコーデータと所定のしきい値αとを比較し、エコーデータを1又は0の値に二値化する回路である。例えば、心臓壁に相当する大きなエコーデータは二値化処理により0に変換され、血流部分に相当する小さなエコーデータは二値化処理により1に変換される。
【0026】
連続性判定部28は後に説明する連続性判定用マスクを利用して各エコーデータについて連続性の判定を行う手段である。この連続性の判定に当たっては、注目エコーデータの二値化処理後の値及びフラグ記憶部24内に格納された情報が利用される。これについては後に詳述する。
【0027】
フラグ設定部30は、連続性判定部28の判定結果に基づいて注目エコーデータについてフラグを設定する手段である。具体的には、フラグ記憶部24内における注目エコーデータに対応するアドレスに、連続性が判定された場合には1が設定され、連続性が判定されなかった場合には0が設定される。
【0028】
したがって、フラグ記憶部24内には各注目エコーデータごとに連続性の判定結果としてフラグ1又は0が設定されることになる。体積演算部34は、フラグ記憶部24におけるフラグ1の個数から体積を演算する回路であり、その体積演算結果を表示部40に出力し、表示部40において対象臓器の体積が数値として表示される。
【0029】
ちなみに、収束判定部38は、後に説明するように体積の演算結果が一定の範囲内に収束したか否かを判定する回路であり、収束性が判定された場合には、表示部40にその結果が何らかの形式で表示される。
【0030】
図1に示す基準点設定部32は、連続性の判定を開始する少なくとも1つの起点を最初に設定するための手段であり、基準点設定部32はキーボードやトラックボールなどの入力デバイスによって構成される。
【0031】
データ記憶部22は、エコーデータの記憶部を構成しており、三次元プローブ10によって取り込まれたデータ取込空間内の各エコーデータがデータ記憶部22に格納される。ちなみに、二値化回路26の二値化処理はデータ記憶部22内に格納されたエコーデータに対して実行してもよく、あるいは上記のように送受信部14から直接的に出力されたエコーデータに対して時系列順に二値化処理を行うようにしてもよい。
【0032】
フラグ記憶部24及びデータ記憶部22は、本実施形態においてメモリ20を構成している。このメモリ20は例えばRAMであって、各アドレスごとに8ビットが割り当てられているものである。ここで、エコーデータは例えば6ビットの値を有しており、従来装置においては、メモリ20における各アドレスごとに2ビットずつが空き領域とされていた。本実施形態においては、その空き領域を有効活用するために、各アドレスごとの空き領域としての2ビットの内1ビットをフラグ設定用のビットとして活用している。そのような領域が図1に示すフラグ記憶部24である。
【0033】
本実施形態の装置においては、体積演算を行えるためフラグ記憶部24に格納されたフラグを利用して、体積演算に当たっての記憶容量を極力削減できるという利点がある。例えば、体積演算結果のみを表示する場合、すなわち画像処理を何ら行わない場合には、データ記憶部22自体を排除することも可能である。但し、本実施形態においては、データ記憶部22内のエコーデータに基づいて三次元画像を構成することも可能であり、また各走査面に対応する断層画像を形成することも可能であり、それらの超音波画像は例えば三次元画像形成部36によって形成され、それらの画像が表示部40に表示される。
【0034】
本実施形態の装置においては、三次元画像形成部36がフラグ記憶部24内に格納された情報に基づいて三次元画像を形成する機能を有している。すなわち、フラグ記憶部24内には、各アドレスごとに連続領域の内外を表すフラグが設定されているため、そのようなフラグ分布から臓器の立体的形状を抽出することができ、それに対して所定の濃淡付け処理を行えば、物体の三次元表面画像を容易に形成可能である。そのような画像も表示部40に表示されている。
【0035】
なお、本実施形態に係る装置は、上記の他にドプラ計測モードや各種のモードを搭載しているが、それに対応する構成は図1において図示省略されている。
【0036】
図2には、データ取込空間100とフラグ記憶空間102との関係が示されている。ここで、データ取込空間100は、三次元プローブ10によって形成される仮想的な空間であり、アレイ振動子を電子走査することによって形成される走査面をさらに機械走査することによって形成される三次元領域に相当するものである。ここで、X方向が電子走査方向に相当しており、Y方向が超音波ビーム方向すなわち深さ方向に相当しており、Z方向が機械走査方向に相当している。なお、図2(A)には立方体領域のデータ取込空間100が示されているが、三次元プローブ10のタイプに応じてこの形態は変わり得るものである。すなわち電子セクタ走査やコンベックス走査などが適用される場合にも本発明を適用できる。
【0037】
図2(B)に示すフラグ記憶空間102は、フラグ記憶部24上に構築される記憶空間である。そのフラグ記憶空間102におけるX方向、Y方向、Z方向のそれぞれの方向はデータ取込空間100の各方向に対応している。すなわちデータ取込空間100の各ボクセル104はフラグ記憶空間102のいずれかのフラグセル106に1対1に対応している。ここで、ボクセル104には超音波パルスの送受波時にエコーデータが格納され、それに対しては二値化処理が行われ、連続性判定時においてはデータ取込空間100の各ボクセル104に二値化データが格納されていることになる。
【0038】
一方、フラグ記憶空間102における各フラグセル106にはそれに対応する注目ボクセルについての連続性判定結果が格納され、すなわち連続性が判定された注目データ(注目ボクセル)についてはフラグとして1が設定され、それ以外の場合には0が設定される。
【0039】
図3には、連続性判定部28が有する連続性判定用のマスクが示されている。ここで(A)にはそのマスクの全体が概念的に示されており、(B)にはそのマスクの正面からみた図が示されており、(C)にはそのマスクの側面から見た図が示されている。
【0040】
このマスクは本実施形態において、注目データすなわち注目アドレス108を中心とした一定の広がりを有する近傍領域であり、現在取り込まれた走査面とその1つ前の走査面とも2つの走査面にまたがって設定されるものである。すなわち、マスクのスキャン方向の大きさは2データ(2ボクセル)に相当しており、Y方向の大きさは3データに相当しており、X方向の大きさも3データに相当している。このようなマスクを利用することによりスキャン方向における往路走査及び復路走査においてそのマスクの向きを反転させ、それぞれの走査面上における各エコーデータについて連続性の判定を円滑に行うことが可能となる。
【0041】
図1に示した連続性判定部28は、注目エコーデータの値が1で、かつ、フラグ記憶部24における注目データの対応アドレス(注目アドレス)を中心とするマスク内に少なくとも1つのフラグ1が存在している場合に当該注目データについて連続性を判定している。したがって、注目データの値が0であるか、あるいはその値が1であってもマスク内にフラグ1が存在していなければ、そのようなデータは孤立ノイズなどがあるため連続性の判定は行われない。すなわち、その注目データについてはフラグとして0が設定される。その設定は上述したようにフラグ設定部30によって実行される。
【0042】
図4及び図5には、図1に示した装置の動作が示されている。
【0043】
まず、体積演算に先だって、フラグ記憶部24がリセットされ、全てのアドレスに0が格納される。その状態において、S101でユーザーにより目的とする臓器内に少なくとも1つの基準点が設定される。その状態が図6(a)に示されている。これについては後に詳述する。
【0044】
S102では、当該基準点に対応するフラグ記憶空間上のアドレスに1が設定される。すなわちそのフラグ1が連続性抽出の探索の起点となるものである。
【0045】
S103〜S105はデータ取込空間100を構成する全てのボクセルについて連続性の判定を行うためのステップであって、S105においてはZ座標及びX座標が固定されている状態において、Y座標が開始座標から終了座標までインクリメントされ、S104においてはZ座標が固定されている状態においてX座標が開始座標から終了座標までインクリメントされ、S103においては走査面の切替えに対応してZ軸の値がインクリメントされている。そして、後に説明するS118において全ての走査面について連続性の判定が行われた段階で図4及び図5に示す処理が終了し、このような処理が各往路走査及び各復路走査のそれぞれの走査ごとに実行される。そして、後に説明するように、それらの走査が繰り返し実行されることによってフラグ記憶部24上におけるフラグ記憶空間の内容が順次良質化され、すなわち精度の良い情報になり、実際の装置においては例えば複数回の往復スキャンを行うことによって、かなり良い体積演算値を求めることが可能となる。すなわち、本実施形態に係る装置は、各スキャンごとの判定結果を成果として利用しつつ次の体積演算に有効活用し、そのような累積的な演算によって演算精度を逐次高めていくものである。もちろん、後に説明するように、臓器が運動した場合においても、そのような運動の動きに比べてスキャン速度は十分に速いため、本実施形態によれば運動臓器に対するリアルタイム体積演算を実現できるという利点がある。
【0046】
図4に戻って、S106においては、二値化回路26によってエコーデータに対する二値化処理が実行される。上記のように、左室内腔を対象臓器とする場合には、当該血液部分のエコーデータが1に二値化処理される。
【0047】
S107では、S106で二値化されたデータすなわち注目ボクセルのデータが1であるか否かが判断され、ここでそのデータが0であって後述の領域削除が必要であれば、フラグ記憶部24上における対応アドレスに0が設定され(S108)、S109においてパラメータ「変」の値が1つ減算される。
【0048】
一方、S107において、注目ボクセルのデータが1であると判定された場合、S110においてフラグ記憶部24における対応アドレスの値が1であるか否かが判定される。ここで、その値が1であれば、そのアドレスについては既に連続性が肯定され、しかも今回のスキャンにおいても二値化処理の結果として1が求められているため、そのデータについては連続性が確立されたものとして処理がS115に移行する。
【0049】
一方、S110において、対応アドレスの値が0であると判断された場合には、S111において、注目データすなわち注目アドレスを中心とするマスク内に少なくとも1つの1すなわちフラグの値として1が設定されているか否かが検索される。ここで、S112において少なくとも1つ1が存在していれば、それは注目アドレスのデータ1とその周辺に1が存在していることになるので、すなわち連続性が認められるために、S113において当該注目データに対応する対応アドレスに1が格納され、S114において、パラメータ「変量」が1つインクリメントされる。しかし、S112において、マスク内に1が存在していなければ、例えば孤立ノイズである可能性が高いため、当該データについては、連続性が否定される。
【0050】
S115においては、パラメータ「変量」に1ボクセルの体積を乗算することによって、体積値が演算される。S116においてはその演算された体積値が表示される。さらに、S117では、フラグ記憶空間内のフラグ情報に基づいて三次元画像が構築され、それが表示される。S118においては、X,Y,Zの全ての組合せについて上記処理が完了したか否かが判定され、それらの全ての組合せについて上記処理が終了していなければ、S105からの各工程が繰り返し実行される。
【0051】
よって、上記の処理例によれば、各スキャンごとに体積値が更新され、また三次元画像が更新されることになる。
【0052】
図6及び図7には、上記の手法による処理例が示されている。それらの図においては便宜上二次元の図が示されている。図6において、(a)〜(f)は各スキャンごとの処理内容が概念的に示されている。なお、図6に示されるようにスキャン方向は順番に逆転されており、そのような逆転に伴ってマスクの方向も逆転され、処理の方向が反転されている。
【0053】
図6(a)に示すように、目的とする領域202内に基準点200が少なくとも1つ設定される。その後、(B)に示すように最初のスキャンが実行されると、その基準点200を出発点として領域の抽出すなわち連結性の判定が逐次的に実行される。この状態ではまだ領域202の全体の抽出は行われていない。次に、スキャン方向が逆転され、(c)に示すように、(B)までによって判定された連続領域を基礎として連続性の判定が実行される。その結果、判定領域が大幅に拡大する。これを順次行うことによって最終的に(f)に示すように複雑な図形であっても、往路走査及び復路走査を繰り返し実行することによってその領域の抽出を行うことが可能となる。
【0054】
図7に示すように、その領域(物体)が動いたような場合においても、それまでに抽出された領域を基礎として領域抽出及び領域削減を行うことによりそのような物体の動きに追従して領域の抽出を実現することが可能である。したがって、心臓などの運動している物体についても体積演算を行うことが可能である。
【0055】
ちなみに、上記の実施形態においては、体積演算について説明したが、上記手法をもちろん面積演算に適用することも可能である。上記の実施形態によれば、往路走査及び復路走査の2方向において三次元領域の抽出を行うことができ、それらの成果を統合して精度良く三次元領域の抽出を行えるという利点がある。さらに、そのような抽出された情報のための記憶領域はわずかで済み、そのような情報を利用して三次元画像も形成できるという利点がある。
【0056】
なお、上述した収束判定部38は、上記のような各スキャンごとの演算結果を逐次監視し、その演算結果が一定の範囲内に収束する場合には収束の判定を行う。その結果、例えば表示部40に表示される体積の演算結果の色を変えたり、又は表示形態を変えるなどの処理を行って、ユーザーに一定の収束が発生されたことを表明することが可能となる。これによりユーザーはある程度の精度が得られたことを認識可能である。ちなみに、収束判定結果を数値で表して、その数値によって体積の演算結果の精度を表明するようにしてもよい。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、二次元又は三次元の領域の抽出を合理的に行うことができ、特に過去の演算成果を有効利用して実時間で演算を行えるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係る超音波診断装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 データ取込空間とフラグ記憶空間の関係を示す図である。
【図3】 連続性判定用マスクの一例を示す図である。
【図4】 本実施形態に係る体積演算方法の処理例を示すフローチャートである。
【図5】 本実施形態に係る体積演算方法の処理例を示すフローチャートである。
【図6】 本実施形態に係る領域抽出方法を説明するための図である。
【図7】 本実施形態に係る領域抽出方法を説明するための図である。
【符号の説明】
10 三次元プローブ、12 機械走査制御部、14 送受信部、16 電子走査制御部、20 メモリ、22 データ記憶部、24 フラグ記憶部、26 二値化回路、28 連続性判定部、30 フラグ設定部、32 基準点設定部、34 体積演算部、36 三次元画像形成部、38 収束判定部、40 表示部。

Claims (12)

  1. データ取込空間に対応したフラグ記憶空間を有し、連続性が判定されたデータについてはその対応アドレスに所定フラグが設定される記憶手段と、
    超音波の送受波により前記データ取込空間内において取得された個々のデータを注目データとし、その注目データの前記フラグ記憶空間上の対応アドレスを中心とした近傍範囲を参照し、注目データについて連続性を判定する連続性判定手段と、
    前記注目データについて連続性が判定された場合に、前記フラグ記憶空間上の対応アドレスに所定フラグを設定するフラグ設定手段と、
    前記フラグ記憶空間内の情報を利用して所定演算を実行する演算手段と、
    を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1記載の装置において、
    前記所定演算は面積演算又は体積演算であることを特徴とする超音波診断装置。
  3. 走査面を繰り返し往復走査し、往路走査及び復路走査ごとにデータ取込空間を形成する走査手段と、
    前記データ取込空間に対応したフラグ記憶空間を有し、連続性が判定されたデータについてはその対応アドレスに所定フラグが設定される記憶手段と、
    前記走査面上の各データを注目データとし、その注目データの前記フラグ記憶空間上の対応アドレスを中心としたマスク内を参照し、前記注目データの二値化後の値と前記マスク内の情報とに基づいて、前記注目データについて連続性を判定する判定手段と、
    前記注目データについて前記連続性が判定された場合に、前記フラグ空間上の対応アドレスに所定フラグを設定するフラグ設定手段と、
    前記記憶空間内における所定フラグの個数から体積を演算する演算手段と、
    を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項3記載の装置において、
    前記走査面の往路走査及び復路走査の各走査ごとに、リアルタイムで体積演算が実行されることを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項3記載の装置において、
    前記マスクは、前記注目データを含む現在の走査面及び1つ前の走査面に跨って設定され、
    前記往路走査と前記復路走査では前記マスクの向きが反転されることを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項5記載の装置において、
    前記注目データの二値化後の値が1で、且つ、前記マスク内に少なくとも1つの所定フラグが存在する場合に、当該注目データについて連続性を判定することを特徴とする超音波診断装置。
  7. 請求項6記載の装置において、
    前記所定フラグは1の値を有し、
    前記フラグ設定手段は、前記連続性が判定されなかった注目データについてはその対応アドレスに0の値を書き込むことを特徴とする超音波診断装置。
  8. 請求項3記載の装置において、
    前記データ取込空間上に基準点を設定するための基準点設定手段と、
    前記基準点の前記フラグ記憶空間上の対応アドレスに初期フラグを設定する初期設定手段と、
    を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  9. 請求項3記載の装置において、
    前記記憶空間内の所定フラグを利用して三次元画像を形成する手段を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  10. 請求項3記載の装置において、
    前記記憶空間内の所定フラグ数の変動に基づいて収束を判定する手段を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  11. 二次元又は三次元のデータ取込空間を繰り返しスキャンして各スキャンごとにデータを取得する送受波手段と、
    前記データを記憶するデータ記憶部と、
    前記データを二値化する二値化手段と、
    前記データ取込空間に対応したフラグ記憶空間を有し、連続性が判定されたデータの対応アドレスにフラグ1が設定されるフラグ記憶部と、
    前記各スキャンごとに前記データ取込空間内の個々のデータを注目データとして連続性の有無を判定する手段であって、二値化後の注目データの値が1で、かつ、注目データの前記フラグ記憶空間上の対応アドレスを中心とする近傍範囲にフラグ1が少なくとも1つ存在していれば、当該注目データについて連続性を判定する判定手段と、
    前記連続性が判定されたデータについては前記フラグ記憶空間上の対応アドレスにフラグ1を設定し、前記連続性が判定されなかったデータについては前記フラグ記憶空間内の対応アドレスにフラグ0を設定するフラグ設定手段と、
    を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  12. 請求項11記載の装置において、
    前記データ取込空間に対応したアドレス空間を有し、前記データ記憶部及び前記フラグ記憶部として機能するメモリを含み、
    前記メモリの各アドレスにnビットが割り当てられ、そのnビットの内のm(但し、m<n)ビットが前記データの格納に利用され、残りのn−mビットを利用して前記連続性の有無を表すフラグが格納されることを特徴とする超音波診断装置。
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