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JP4366877B2 - 自力移動ロボット装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボットの可動範囲に対し作業エリアが広い場合であっても、その作業エリア全体をカバーするように自力移動可能な自力移動ロボット装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の自走可能なロボット装置として、例えば特開昭62−48038号公報には、ロボットに自走用の駆動モータを搭載して、この駆動モータの作動によりロボットを移動させることが記載されている。すなわち、ベースに2本の直線ガイドレールを固定し、このガイドレール上をロボットが走行可能なようにロボットはベアリングを介してガイドレール上に搭載される。そして、ロボットの駆動モータの出力軸にピニオンを設け、これをベースに固定されるラックと噛み合わせる。このような構成により、駆動モータを作動させると、ロボットがガイドレール上を走行できる。
【0003】
また、自走可能なロボット装置の他の例として、特開平8−290350号公報には、ロボットアーム、加工工具、計測機器等を備えるロボット本体を走行台車に搭載し、複数の加工設備や検査設備間をロボット装置が移動することが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記前者の従来技術においては、ロボット装置の自走用に駆動モータを設ける必要があるため、コストアップや、重量増大に伴うベース部の強度・剛性アップが必要となるとの問題がある。
【0005】
また、上記後者の従来技術においては、走行台車を用いることによるコストアップや、走行台車が走行する通路を確保するためのスペースが必要になるとの問題がある。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、自力移動用の専用の駆動モータや走行台車等を用いずに、ロボットの可動範囲に対して広い作業エリア全体をカバーするように自力移動可能な自力移動ロボット装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の自力移動ロボット装置は、第1のベースと、前記第1のベース上に搭載され、前記第1のベース上をY軸方向に移動可能な第2のベースと、前記第2のベース上に搭載され、前記第2のベース上を前記Y軸方向と直交するX軸方向に移動可能なロボット基部と、前記ロボット基部上を前記X軸方向に沿って移動可能な第1のロボット可動部と、前記第1のロボット可動部上を前記Y軸方向に移動可能であって、前記第1のベースもしくは第2のベースに係合可能な係合部を備えた第2のロボット可動部とを有し、前記第2のロボット可動部は、本体と、この本体に対して前記X軸方向及びY軸方向の両方向に直交するZ軸方向に移動可能であって、その先端にハンド及びカメラが設けられた移動部を有し、前記係合部は、前記第1のベースに係合可能な第1の係合部と、前記第2のベースに係合可能な第2の係合部とからなり、前記第1及び第2の係合部はそれぞれ前記第2のロボット可動部の本体に設けられていることを特徴とする。
【0012】
このように構成された自力移動ロボット装置において、ロボット基部をY軸方向に沿って移動させる場合には、第2のロボット可動部の第1の係合部を第1のベースに係合させた状態で、第2のロボット可動部が第1のロボット可動部上をY軸方向に移動するように駆動することにより、ロボット基部を第2のベースとともに第1のベース上をY軸方向に移動させることができる。また、ロボット基部をX軸方向に沿って移動させる場合には、第2のロボット可動部の第2の係合部を第2のベースに係合させた状態で、第1のロボット可動部がロボット基部上をX軸方向に移動するように駆動することにより、ロボット基部を第2のベース上でX軸方向に移動させることができる。
【0013】
このように第1のベース及び第2のベースを用いることにより、2次元的にロボット装置の移動範囲を広げることが可能になる。
【0014】
また、第2のロボット可動部は、本体に対してX軸方向及びY軸方向の両方向に直交するZ軸方向に移動可能であって、その先端にハンド及びカメラが設けられた移動部を有するので、この第2のロボット可動部の移動部をロボットハンドとして、各種の作業を実施することが可能になる。
【0015】
請求項2記載のように、自力移動ロボット装置は、さらに第2のベースを第1のベースに固定する第1のロック機構と、ロボット基部を第2のベースに固定する第2のロック機構とを備えることが好ましい。これにより、ロボットが所定の作業を行う際に、第1及び第2のロック機構によってロボットを第1のベース上に安定的に固定することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態では、自力移動ロボット装置を、部品を通い箱から部品トレーへ移載する移載作業を行う自動部品移載装置に適用した例について説明する。
【0018】
図1は、自動部品移載装置の全体構成図を示す。図1において、ロボット部1はX軸モジュール2、Y軸モジュール3、Z軸モジュール4から構成されている。Y軸モジュール3の一端は、X軸モジュール2に係合されており、例えばX軸モジュール2に内蔵されたサーボモータによって駆動され、X軸方向に沿って任意の位置に移動することができる。このY軸モジュール3には、Z軸モジュール4が搭載される。そして、Z軸モジュール4は、Y軸モジュール3に内蔵されたサーボモータによって駆動され、Y軸モジュール3上をY軸方向に沿って任意の位置に移動することができる。さらに、Z軸モジュール4の下側には、Z軸モジュール本体(外筒)に対してZ軸方向に昇降可能な移動部4aが設けられている。この移動部4aはZ軸モジュール4に内蔵したサーボモータの作動により、Z軸方向に沿って昇降する。なお、Y軸モジュール3及びZ軸モジュールを移動するための動力源としては、サーボモータに限らず、例えば空気圧や油圧等を用いることも可能である。
【0019】
Z軸モジュール4の移動部4aの下側先端には、ハンド5が設けられており、このハンド5のチャック爪が空気圧によって開閉動作を行うことにより、チャック爪による部品の把持及びチャック爪からの部品の離脱が行われる。また、移動部4aの下側先端には、カメラ6も装備されている。このカメラ6からの信号は、図示しない制御装置に送られる。制御装置は、カメラ6からの画像信号に基づいて、ハンド5が部品の所定位置を把持するように、Y軸モジュール3及びZ軸モジュール4の位置を調整し、その後、ハンド5に部品を把持するように動作させる。さらに、Z軸モジュール4の上部には、仮固定用のピン7,8が設けられているが、これら仮固定用のピン7,8については、後述する。
【0020】
上述のように構成されるロボット部1は、第2のベース10上に搭載される。ロボット部1の第2のベース10への搭載面、すなわちX軸モジュール2及びY軸モジュールの下面には、滑車が設けられており、第2のベース10上をロボット部1全体としてX軸方向に移動可能となっている。さらに、第2のベース10の下面には滑車が装備されて、第1のベース12上に搭載されており、第2のベース10は、第1のベース上をY軸方向に移動可能である。
【0021】
第1のベース12は、図2に示すように、ロボット部1の作業エリアa〜dを取り囲むように、レール15を四角形状に連結したものであり、ロボット部1の下方に通い箱等の設置スペースを確保するために、長短2種類の長さを有する4本の柱16a,16bで支持されている。なお、4本の柱16a,16bの下端近傍において、4本の柱16a,16bを相互に連結するようにレールが設けられているが、これはベース12の強度を確保するためのものである。4本の柱16a,16bの内,長さの長い2本の柱16bは、四角形状に連結されたレール15の支持位置を超えて上方に伸び、その端部同士がレール17によって連結されている。そのレール17の略中央位置には、仮固定用のピン8と係合する穴部14が設けられている。
【0022】
第2のベース10のX軸方向に沿う2本のレールは、第1のベースのX軸方向に沿う2本のレールとほぼ同等の長さを有している。そして、第2のベース10のY軸方向に沿う2本のレールの下面にそれぞれ滑車を取り付けることにより、第2のベース10が第1のベース上をY軸方向に沿って移動することが可能となっている。
【0023】
また、第2のベース10のY軸方向に沿う2本のレールの長さは、ロボット部1のY軸方向の長さとほぼ同等である。そして、ロボット部1のX軸モジュール2及びY軸モジュール3の下面に滑車を設け、それらの滑車が第2のベースのX軸方向に沿う2本のレール上を移動するように、ロボット部1を第2のベース10に搭載している。これにより、ロボット部1が第2のベース10上をX軸方向に沿って移動することが可能になる。
【0024】
さらに、第2のベース10に関しても、第1のベース12と同様に、四角形状に連結されたレールの1辺の両端から上方に2本の柱が伸びており、その2本の柱の先端を連結するようにレールが設けられている。そして、そのレールの略中央位置には、仮固定用のピン7と係合する穴部11が設けられている。
【0025】
ロボット部1のX軸モジュール2及び第2のベースのY軸方向に沿うレールには、それぞれロック機構9,13が設けられている。これらのロック機構9,13によってロボット部1と第2のベース10及び第2のベース10と第1のベース12とをそれぞれ固定して、ロボット部1が部品の把持や離脱を行う際にロボット部1の移動を防止する。それぞれのロック機構9,13は、エアシリンダとプレートとからなっており、図示しない制御装置からの駆動信号を受けてエアシリンダが作動し、レールの下方向からプレートをレールに押圧してロックする。
【0026】
次に、自動部品移載装置の部品の移載作業に伴うロボット部1の作業エリア移動方法について説明する。
【0027】
本実施形態の自動部品移載装置は、図3に示すように、2本の通い箱投入レーンにそれぞれ供給されるA部品用の通い箱及びB部品用の通い箱から、A部品20及びB部品21をそれぞれのトレーに移載するものである。このため、ロボット部1は、A部品20を取り出すための作業エリアa、A部品20をトレーに置くための作業エリアb、B部品21を取り出すための作業エリアc、B部品21をトレーに置くための作業エリアd、の4つの作業エリアを有することになる。これに対し、ロボット部1の可動範囲は、個々の作業エリアa〜dをカバーすることができる程度にしか設定されておらず、ロボット部1は、部品の移載作業を行うために4つの作業エリアa〜d間を移動する必要がある。この移載作業を簡単に説明すると、先ず作業エリアaにおいてA部品20を通い箱から取り出し、ロボット部1を作業エリアbに移動して、A部品20をトレーにセットする。そして、再び作業エリアaに戻り、A部品20を取り出した後、作業エリアbへ移動し、A部品20のセットを行う。A部品20を必要数だけトレーにセットした後、B部品21の移載作業に移る。すなわち、ロボット部1とともに第2のベース10を作業エリアc、dに移動させ、作業エリアcにてB部品21を取り出し、作業エリアdに移動してトレーにセットする。必要数だけこの作業を繰り返し、A部品20の作業に戻る。
【0028】
まず、作業エリアaから作業エリアbへの移動方法について説明する。作業エリアaにて作業(通い箱からA部品20の取り出し作業)する場合、ロボット部1が移動しないようロボット部1の位置を固定する必要がある。このため、制御装置は、ロック機構9,13を作動させて、X軸モジュール2を第2のベース10に、及び第2のベース10を第1のベース12にそれぞれ固定する。
【0029】
作業エリアaにおける作業が終了すると、Z軸モジュール4に設けられた仮固定用のピン7が第2のベースに設けられた穴部11に挿入されるように、制御装置は、Y軸モジュール3及びZ軸モジュール4をX軸方向及びY軸方向に移動させる。
【0030】
このようにして仮固定用のピン7が穴部11に挿入されると、制御装置は、ロック機構9を解除する。ロック機構9が解除されたロボット部1は、仮固定用のピン7によってのみ第2のベース10に接続されている。このため、ロボット部1のY軸モジュール3がX軸方向において作業エリアbから作業エリアaに向かう方向に移動するようにX軸モジュール2のサーボモータを作動させると、Y軸モジュール3は仮固定用のピン7によってX軸方向において拘束されているので、X軸モジュール2がX軸方向において作業エリアaから作業エリアbへ向かう方向に移動する。
【0031】
作業エリアbで作業可能な位置までロボット部1(X軸モジュール2)が移動すると、制御装置は、再びロック機構9によってロボット部1と第2のベース10とを固定し、仮固定用のピン7を穴部11から抜く。これにより、ロボット部1は、作業エリアbにおいて作業することが可能になる。
【0032】
なお、この作業エリアbへの移動の際には、サーボモータの駆動信号からX軸モジュール2の移動量を算出して、この移動量が所定値となったときにモータの駆動を終了しても良いし、Z軸モジュール4に設けられたカメラ6によって移動位置を確認し、X軸モジュール2の移動後の位置決めに利用しても良い。
【0033】
次に、作業エリアbから作業エリアdへの移動方法について説明する。
【0034】
作業エリアbにおける作業が終了すると、Z軸モジュール4に設けられた仮固定用のピン8が第1のベース12に設けられた穴部14に挿入されるように、制御装置は、Y軸モジュール3及びZ軸モジュール4をX軸方向及びY軸方向に移動させる。このようにして仮固定用のピン8が穴部14に挿入されると、制御装置は、ロック機構13を解除する。ロック機構13が解除されたロボット部1及び第2のベース10は、仮固定用のピン8によってのみ第1のベース12に接続されている。なお、このとき、ロボット部1と第2のベース10とは、ロック機構9によって相互に固定されている。
【0035】
このため、ロボット部1のZ軸モジュール4がY軸方向において作業エリアdから作業エリアbに向かう方向に移動するようにY軸モジュール3のサーボモータを作動させると、Z軸モジュール4は仮固定用のピン8によってY軸方向において拘束されているので、Y軸モジュール3、ひいては第2のベース10がY軸方向において作業エリアbから作業エリアdへ向かう方向に移動する。
【0036】
作業エリアdで作業可能な位置までロボット部1及び第2のベース10が移動すると、制御装置は、再びロック機構13によって第2のベース10と第1のベース12とを固定し、仮固定用のピン8を穴部14から抜く。これにより、ロボット部1は、作業エリアdにおいて作業することが可能になる。ただし、実際の移載作業としては、先ず作業エリアcにおいてB部品21を取り出す必要があるため、さらに作業エリアdから作業エリアcまで上述のX方向の移動方法によりロボット部1を移動させる。
【0037】
上述した自動部品移載装置では、ロボット部1が4つの作業エリアa〜d間を移動する例について説明したが、作業エリアの数は任意に増減可能である。
【0038】
例えば、作業エリアの数が2つであれば、第1のベース12は不要となり、ロボット部1は第2のベース10上のみを移動すれば良い。
【0039】
また、作業エリアの数を4よりも増加する場合には、その作業エリア毎にZ軸モジュール4に設けた仮固定用のピン7,8と係合する穴部を第1のベース12もしくは第2のベース10に設ければよい。これにより、X軸方向、Y軸方向に任意の数の作業エリアを設定することが可能になる。
【0040】
上記した自動部品移載装置によれば、作業エリアに対してロボット部1を小型に構成することができるため、コスト低減、軽量化に効果がある。また、ロボット部1を軽量化できるため、ベースの強度・剛性に関する仕様要求を緩和することができる。これによってもコスト低減を図ることができる。さらに、ロボット部1の移動のための専用のモータ等を持つ必要がないので、構成の簡素化、ロボット部1の制御の簡易化を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における自動部品移載装置の構成を示す斜視図である。
【図2】ロボット部の作業エリアを示す図である。
【図3】自動部品移載装置の移載作業を説明するための図である。
【符号の説明】
1…ロボット部、
2…X軸モジュール、
3…Y軸モジュール、
4…Z軸モジュール、
7,8…仮固定用ピン、
9、13…ロック機構、
10…第2のベース、
11…穴部、
12…第1のベース、
14…穴部

Claims (2)

  1. 第1のベースと、
    前記第1のベース上に搭載され、前記第1のベース上をY軸方向に移動可能な第2のベースと、
    前記第2のベース上に搭載され、前記第2のベース上を前記Y軸方向と直交するX軸方向に移動可能なロボット基部と、
    前記ロボット基部上を前記X軸方向に沿って移動可能な第1のロボット可動部と、
    前記第1のロボット可動部上を前記Y軸方向に移動可能であって、前記第1のベースもしくは第2のベースに係合可能な係合部を備えた第2のロボット可動部とを有し、
    前記第2のロボット可動部は、本体と、この本体に対して前記X軸方向及びY軸方向の両方向に直交するZ軸方向に移動可能であって、その先端にハンド及びカメラが設けられた移動部を有し、
    前記係合部は、前記第1のベースに係合可能な第1の係合部と、前記第2のベースに係合可能な第2の係合部とからなり、前記第1及び第2の係合部は前記第2のロボット可動部の本体に設けられ、
    前記ロボット基部を前記Y軸方向に沿って移動させる場合には、前記第2のロボット可動部の第1の係合部を前記第1のベースに係合させた状態で、前記第2のロボット可動部が前記第1のロボット可動部上をY軸方向に移動するように駆動することにより、前記ロボット基部を前記第2のベースとともに前記第1のベース上をY軸方向に移動させ、
    前記ロボット基部を前記X軸方向に沿って移動させる場合には、前記第2のロボット可動部の第2の係合部を前記第2のベースに係合させた状態で、前記第1のロボット可動部が前記ロボット基部上をX軸方向に移動するように駆動することにより、前記ロボット基部を前記第2のベース上でX軸方向に移動させることを特徴とする自力移動ロボット装置。
  2. 前記第2のベースを前記第1のベースに固定する第1のロック機構と、前記ロボット基部を前記第2のベースに固定する第2のロック機構とを備えることを特徴とする請求項1に記載の自力移動ロボット装置。
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