Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP4359525B2 - 製版方法 - Google Patents

製版方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4359525B2
JP4359525B2 JP2004085657A JP2004085657A JP4359525B2 JP 4359525 B2 JP4359525 B2 JP 4359525B2 JP 2004085657 A JP2004085657 A JP 2004085657A JP 2004085657 A JP2004085657 A JP 2004085657A JP 4359525 B2 JP4359525 B2 JP 4359525B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
acid
lithographic printing
plate precursor
printing plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004085657A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005274787A (ja
Inventor
孝浩 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2004085657A priority Critical patent/JP4359525B2/ja
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to AT05000238T priority patent/ATE396878T1/de
Priority to EP06022945A priority patent/EP1743776B1/en
Priority to AT06022945T priority patent/ATE406260T1/de
Priority to DE602005007070T priority patent/DE602005007070D1/de
Priority to DE602005009350T priority patent/DE602005009350D1/de
Priority to US11/030,111 priority patent/US7611824B2/en
Priority to EP05000238A priority patent/EP1552954B1/en
Publication of JP2005274787A publication Critical patent/JP2005274787A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4359525B2 publication Critical patent/JP4359525B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)

Description

本発明は、平版印刷版原版と平版印刷用ダミー版原版とを共通のCTP製版システムにより製版する製版方法に関する。
カラーの新聞印刷(多色印刷)において一部の紙面を2色又は1色で印刷を行う必要がある場合には、使用しない版胴には、全面が非画像部となるダミー版原版を取り付けて印刷を行うことがある。このようなダミー版原版として、近年、親水性表面を有する金属製支持体上に水溶性化合物からなる下塗層と、水不溶性かつアルカリ現像液可溶性の非感光性樹脂層を装備したものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このようなダミー版原版は、通常の平版印刷版原版と共通のCTP製版システムに供しても、自動現像機において現像処理されてダミー版へと製版することができ、合理的でかつ経済的であるという利点を有する。
CTP製版システムにおいては、平版印刷版原版やダミー版原版は、それぞれが、当てボールと呼ばれる土台上に所定の枚数が重ねられた集積体として供給される。そのため、CTP製版システムにおいて製版処理を開始する際には、平版印刷版原版、ダミー版原版、及び土台の各要素についてセンサーなどを用いて識別する必要があり、その識別結果から、各要素毎の機能に合わせて処理内容を選択する。しかしながら、これらの各要素における識別性の付与に関しては、未だ十分ではなく、平版印刷版原版とダミー版原版との区別ができなかったり、土台の識別ができなかったりする問題を有し、製版処理の効率が低下する問題や作業が煩雑となる課題を有している。
特開平11−240266号公報
本発明は、前記従来の課題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、平版印刷版原版と平版印刷用ダミー版原版とを共通のCTP製版システムで製版する製版方法であって、平版印刷版原版及び平版印刷用ダミー版原版が混在して供給される場合であっても、版の種類を容易に識別し得ることで、その版の機能に合わせた処理内容の判断が可能となり、また、土台を識別し得ることで、平版印刷版原版や平版印刷用ダミー版原版の残量がないことが判断可能となり、製版処理の効率が低下することや作業が煩雑となることを防止できる、製版方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下に示す手段により上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の製版方法は、土台上に平版印刷版原版を積層してなる集積体、及び、土台上に平版印刷用ダミー版原版を積層してなる集積体を設置する集積体設置部位と、赤外線照射による露光処理を行う露光処理部と、現像処理を行う現像処理部と、をこの順に備えたCTP製版システムを用いて、当該平版印刷版原版及び当該平版印刷用ダミー版原版を製版する製版方法であり、
製版対象となる版が前記集積体設置部位から前記露光処理部へ供給される前に、カラーセンサーにより、前記集積体設置部位上に設置された集積体を構成する積層された要素のうち最上部にある要素の識別を行い、識別された要素の機能に合わせてその後の処理を行うことを特徴とする。
また、本発明の製版方法において、平版印刷版原版の吸収極大が500〜600nmの範囲、平版印刷用ダミー版原版の吸収極大が350〜450nmの範囲、及び土台表面の吸収極大が400〜550nmの範囲にあることが好ましい態様である。更に、前記土台が着色された厚紙からなることが好ましい。
赤外線露光により画像が形成される平版印刷版原版は、検版性の観点から500〜650nmに吸収極大を有することが一般的である。本発明においては、平版印刷用ダミー版原版を平版印刷版原版とは異なる色調に着色し、更に、平版印刷版原版や平版印刷用ダミー版原版の積層体を載せる土台表面に関しては、平版印刷版原版とも平版印刷用ダミー版原版とも異なる色調に着色することで、カラーセンサーによって、これらの3つの要素を識別することが可能となる。
本発明の製版方法によれば、平版印刷版原版と平版印刷用ダミー版原版とを共通のCTP製版システムで製版する製版方法であって、平版印刷版原版及び平版印刷用ダミー版原版が混在して供給される場合であっても、版の種類を容易に識別し得ることで、その版の機能に合わせた処理内容の判断が可能となり、また、土台を識別し得ることで、平版印刷版原版や平版印刷用ダミー版原版の残量がないことが判断可能となり、製版処理の効率が低下することや作業が煩雑となることを防止できる、製版方法を提供することができる。
以下、本発明の製版方法について詳細に説明する。
本発明の製版方法は、土台上に平版印刷版原版を積層してなる集積体、及び、土台上に平版印刷用ダミー版原版を積層してなる集積体を設置する集積体設置部位と、赤外線照射による露光処理を行う露光処理部と、現像処理を行う現像処理部と、をこの順に備えたCTP製版システムを用いて、当該平版印刷版原版及び当該平版印刷用ダミー版原版を製版する製版方法であって、
前記土台表面、前記平版印刷版原版、及び前記平版印刷用ダミー版原版が、350〜700nmの領域に各々異なる吸収極大を有し、かつ、該吸収極大における吸光度が0.2以上であり、
製版対象となる版が前記集積体設置部位から前記露光処理部へ供給される前に、カラーセンサーにより、前記集積体設置部位上に設置された集積体を構成する要素のうち最上部にある要素の識別を行い、識別された要素の機能に合わせてその後の処理を行うことを特徴とする。
まず、本発明におけるCTP製版システムについて説明する。
〔CTP製版システム〕
本発明におけるCTP製版システムは、少なくとも、土台上に平版印刷版原版を積層してなる集積体、及び、土台上に平版印刷用ダミー版原版を積層してなる集積体を設置する集積体設置部位と、赤外線照射による露光処理を行う露光処理部と、現像処理を行う現像処理部と、をこの順に備える。なお、以下、適宜、平版印刷版原版を「印刷版原版」と称し、平版印刷用ダミー版原版を「ダミー版原版」と称することとする。
以下、本発明におけるCTP製版システムの例示的一態様について、図面を参照して詳細に説明する。ここで、図1は、本発明に係るCTP製版システムの例示的一態様の概略構成図である。
図1に示されるCTP製版システム100は、土台上に印刷版原版が積層してなる集積体12Aと、土台上にダミー版原版を集積してなる集積体12Bと、をそれぞれ設置する集積体設置部位10と、露光処理部としてのプレートセッター20と、現像処理部としての自動現像機30と、制御装置(コンピュータ)40と、プレートセッター20と自動現像機30との間の搬送部50と、を備えている。なお、集積体設置部位10はプレートセッター20の版供給口に直接接続して設けられている。また、プレートセッター20及び自動現像機30は制御装置40に接続されており、制御装置40には、更に上位のシステムとリンクするためのコンピューターシステムが構築されている(図示せず)。
ここで、CTP製版システム100としては、集積体設置位置10が2つ設けられているものを例示的に示しているが、集積体設置位置10は少なくとも1つ設けられていればよい。集積体設置位置10が1つである場合には、上記の集積体12A及び集積体12Bを所定の順番で交換して設置すればよい。
集積体設置位置10では、土台上に印刷版原版が積層してなる集積体12Aと、土台上にダミー版原版を集積してなる集積体12Bと、をそれぞれが設置されている。これらの集積体12A及び12Bにおける版は、最も上部にあるものから、プレートセッター20へと供給されることになる。なお、2つの集積体設置位置10には、集積体12Aと集積体12Bとが逆に設置されていてもよいし、集積体12A及び集積体12Bのどちらか一方のみが設置されていてもよい。ここで、本発明においては、上述のように、印刷版原版、ダミー版原版、及び土台表面が、350〜700nmの領域で、それぞれ異なる色調に着色されているため、印刷版原版やダミー版原版が集積体設置位置10にどのように設置されていても、プレートセッター20へと供給される前に、カラーセンサーなどを用いることで、これらの各要素の識別が可能となる。そのため、この識別結果を基に、各要素の機能に合わせて、その後の処理方法について判断することができる。
具体的には、例えば、集積体12Aの最上部にあるものが、カラーセンサーにより印刷版原版であると識別されると、制御装置40はその識別結果を基に、通常の製版処理、即ち、プレートセッター20による露光処理後、自動現像機30による現像処理を行うことの判断を下し、それを実行する。また、集積体12Aの最上部にあるものが、カラーセンサーによりダミー版原版であると識別されると、制御装置40はその識別結果を基に、露光処理を経ることなく、直ちに、自動現像機30による現像処理を行うことの判断を下し、それを実行する。更に、集積体12Aの最上部にあるものが、カラーセンサーにより土台であると識別されると、制御装置40はその識別結果を基に、印刷版原版やダミー版原版の残量がないこと、又は、版の補充を促す情報をユーザーへ提供することの判断を下し、それを実行する。
これらのことから、本発明によれば、印刷版原版とダミー版原版との区別がつかず、その確認作業を要することから、作業が煩雑になったり、また、印刷版原版やダミー版原版の残量がないことに気付かずにいることで、作業性が低下してしまったりする事態を防止することができる。
なお、集積体12Aや集積体12Bにおいて、印刷版原版やダミー版原版の版面の傷防止、高湿条件下での版の貼り付き防止の観点から、版と版の間に合紙が挿入されていることがある。このような場合、プレートセッター20による露光処理前に、その合紙を取り除く必要がある。本発明においては、印刷版原版、ダミー版原版、及び土台表面が、350〜700nmの領域で、それぞれ異なる色調に着色されているため、通常、白色である合紙が版と版との間に挿入されていたとしても、プレートセッター20へと供給される前に、カラーセンサーなどを用いることで、これらの4要素の識別が可能となる。そのため、例えば、集積体12Aの最上部にあるものが、カラーセンサーにより合紙であると識別されると、制御装置40はその識別結果を基に、所定の合紙を取り除く手段を用いて、合紙を取り除くことの判断を下し、それを実行する。
ここで、版面に当接している合紙を取り除く手段としては、吸着手段を利用するタイプ、また、風圧で合紙を吹き飛ばすタイプのものや、合紙への帯電を利用して版面から剥離させるタイプのものなど、公知の各種の機構を利用することが可能である。取り除かれた合紙は、合紙ゴミ箱に廃棄処理される。
プレートセッター20は、少なくとも、上記の集積体設置位置10と、印刷版原版の表面をレーザ出力によって露光する露光部と、この露光部への印刷版原版の供給及び排出を行うプレート給排機構と、を含む。
露光部としては、プレート給排機構から供給される印刷版原版を露光用ドラムの外周に巻き付けて、露光用ドラムを回転させながら、巻き付けた印刷版原版の表面にレーザ光源から赤外領域のレーザ光を照射して、画像の露光を行うアウタードラム方式の他、ドラム内面に印刷版原版を吸着装備して、ドラムの中心に廃した光源を回転させて露光するインナードラム方式のもの、更には、印刷版原版を平面状のベッドに固定しておいて、レーザ光源を縦横に操作することで露光するフラットベッド方式のものも採用可能である。
また、露光に用いるレーザ光源は、ガイドレールによって、ドラムの軸方向に移動走査可能にされていて、制御装置40を構成するコンピュータで処理した画像情報に基づいて、レーザ照射を行う。レーザ光による走査は、例えば、ドラムの回転方向が主走査方向、ドラムの軸方向が副走査方向とされる。
また、本発明におけるレーザ光源としては、赤外線照射が可能であれば制限なく用いられ、具体的には、700〜1200nmの赤外領域で発振する高出力の半導体レーザや、1064nmのYAGレーザが知られているが、特に、830nmの半導体レーザが高出力で好適である。
レーザーの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。更に、平版印刷版原版に照射されるエネルギーは、10〜300mJ/cm2であることが好ましい。
更に、本発明における露光処理において、光源の光ビームをオーバーラップさせて露光することができる。オーバーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップは、例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表わしたとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本発明ではこのオーバーラップ係数が0.1以上であることが好ましい。
また、プレート給排機構は、スキット10上に積層された印刷版現版とダミー版原版とを露光位置(例えば、露光用ドラム)まで搬送する。また、ダミー版原版の場合は、露光処理を行う必要がないため、次の工程を行う自動現像機30に搬出する。
以上のプレートセッター20として、市販装置では、例えば、CreoScitex社TrenndsetterNews200、KPG社NewssetterTH180、富士写真フイルム社Luxel T−9000CTP、Krause社LaserStar170T、大日本スクリーン社HS、松下電送社サーマルセッター、NEC&Creo社サーマルセッターが用いられ、集積体設置位置10に相当する箇所に、印刷版原版、ダミー版原版、土台、及び合紙の各要素を識別するためのカラーセンサーを設け、該カラーセンサーによる識別情報を基に、次なる処理方法を判断、実行し得る制御装置40と接続するように改良(改造)することで、使用することが可能である。
露光処理を済ませた印刷版原版や、ダミー版原版は、搬送部50を介して、自動現像機30へと搬送される。
自動現像機30は、例えば、印刷版原版やダミー版原版を現像処理するための現像部と、現像後の版に付着した現像液を洗い流す水洗部と、ガム液を塗布するフィニッシャー部と、ガム液塗布後の版を乾燥する乾燥部と、がこの順で配設されているものを用いることができるが、本発明はこれに限定されず、必要に応じて、現像部の前段にプレヒート部やプレ水洗部を設けてもよい。
そして、現像部の挿入口には、版材の搬入を検知するセンサが装備されていて、該センサによって版の搬入が検出されると、搬送手段によって、現像部、水洗部、フィニッシャー部、乾燥部に順に送られて、排出口から排出される。
自動現像機30にプレヒート部がある場合、ここで行なわれる加熱処理の条件としては、温度60〜150℃の範囲において、5秒〜5分間とすることが好ましい。
プレヒート部による加熱処理としては、従来公知の種々の方法から適宜選択することができる。具体的には、平版印刷版原版をパネルヒーターやセラミックヒーターと接触させながら加熱する方法、ランプや温風により非接触での加熱方法等が挙げられる。このような加熱処理を施すことにより、露光処理において照射するレーザーの、画像記録に必要なレーザーエネルギー量の低減を図ることができる。
また、平版印刷版原版が保護層を有する態様である場合は、自動現像機30にプレ水洗部を設け、保護層を除去してもよい。プレ水洗部では、例えば、平版印刷版原版の保護層表面にスプレーパイプから水が吐出させ、かかる保護層を湿潤させた後、ブラシローラによって除去するという方法が用いられる。プレ水洗には、例えば、水道水が用いられる。
〔現像液〕
自動現像機30における現像部では、平版印刷版とダミー版原版との両方を効率よく現像する観点から、芳香族アニオン界面活性剤を含有する現像液を用いることが好ましい。
(芳香族アニオン界面活性剤)
本発明における現像液に用いられる芳香族アニオン界面活性剤は、現像促進効果、平版印刷版原版の感光層成分及び平版印刷用ダミー版原版の層構成成分の現像液中での分散安定化効果がある。本発明に用いられる芳香族アニオン界面活性剤としては、下記一般式(A)又は一般式(B)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0004359525
上記一般式(A)又は一般式(B)において、R1、R3はそれぞれ、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられ、中でも、エチレン基、プロピレン基が特に好ましい。
m、nはそれぞれ、1〜100から選択される整数を表し、中でも、1〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、mが2以上の場合、複数存在するR3は同一でも異なっていてもよい。同じく、nが2以上の場合、複数存在するR5は同一でも異なっていてもよい。
2、R4はそれぞれ、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基等が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基が特に好ましい。
p、qはそれぞれ、0〜2から選択される整数を表す。Y1、Y2は、それぞれ単結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、具体的には、単結合、メチレン基、エチレン基が好ましく、特に単結合が好ましい。
(Z1r+、(Z2s+はそれぞれ、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、或いは、無置換又はアルキル基で置換されたアンモニウムイオンを表し、具体例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20のアルキル基・アリール基、アラルキル基が置換した2級〜4級のアンモニウムイオンなどが挙げられ、特にナトリウムイオンが好ましい。r、sはそれぞれ、1又は2を表す。
以下に、具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004359525
Figure 0004359525
これら芳香族アニオン界面活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。芳香族アニオン界面活性剤の添加量は、現像液中における芳香族アニオン界面活性剤の濃度が1.0〜10質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは2〜10質量%の範囲とすることが効果的である。ここで、含有量が1.0質量%以下であると、現像性低下及び感光層成分の溶解性低下を招き、含有量が10質量%以上であると、印刷版の耐刷性を低下させる。
本発明に係る現像液には、前記芳香族アニオン界面活性剤以外に、その他の界面活性剤を併用してもよい。その他の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤である。
これらその他の界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で、0.1から10質量%が好ましい。
(2価金属に対するキレート剤)
本発明に係る現像液には、例えば、硬水に含まれるカルシウムイオンなどによる影響を抑制する目的で、2価金属に対するキレート剤を含有させることが好ましい。2価金属に対するキレート剤としては、例えば、Na227、Na533、Na339、Na24P(NaO3P)PO3Na2、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのようなアミノポリカルボン酸類の他2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2−ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2、2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類を挙げることができ、中でも、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩、;ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩が好ましい。
このようなキレート剤の最適量は使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲で含有させる。
(アセチレンアルコール及びアセチレングリコール)
本発明に用いられる現像液には、現像液の消泡剤として、アセチレンアルコール及びアセチレングリコールから選択される少なくとも1種の化合物を添加することが好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよいし、双方を併用してもよい。
アセチレンアルコールとは、分子内にアセチレン結合(三重結合)をもつ不飽和アルコールである。また、アセチレングリコールとは、アルキンジオールとも呼ばれ、分子内にアセチレン結合(三重結合)をもつ不飽和グリコールである。
具体的には、以下の一般式(C)、(D)で示されるものが挙げられる。
Figure 0004359525
上記一般式(C)及び(D)において、R5〜R7はそれぞれ、炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、a+bは0〜30の数である。炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基などが挙げられる。
以下に、具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004359525
Figure 0004359525
これらのアセチレンアルコール、アセチレングリコールは市場で入手することができ、市販品として例えば、Air Products and Chemicals Inc.の商品名サフィノールが知られている。
市販品の具体例には、上記(3)としてサフィノール61、上記(4)としてオルフィンB、上記(5)としてオルフィンP、上記(7)としてオルフィンY、上記(8)としてサフィノール82、上記(9)としてサフィノール104、オルフィンAK−02、上記(10)としてサフィノール400シリーズ、上記(11)としてサフィノールDF−110などがある。
現像液中の消泡剤の添加量は、消泡効果及び耐刷性の観点から、0.0001質量%以上であることが好ましく、特に好ましくは、0.0005〜0.1質量%である。
また、本発明に係る現像液には、現像調整剤として有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類を加えてもよい。例えば、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、クエン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウムなどを単独若しくは2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
(アルカリ剤)
本発明に係る現像液に用いられるアルカリ剤としては、例えば、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、及び同リチウムなどの無機アルカリ剤及び、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤等が挙げられる。本発明においては、これらを単独で用いてもよいし、若しくは2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
また、上記以外のアルカリ剤として、アルカリ珪酸塩を挙げることができる。アルカリ珪酸塩は塩基と組み合わせて使用してもよい。使用するアルカリ珪酸塩としては、水に溶解したときにアルカリ性を示すものであって、例えば珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウムなどがある。これらのアルカリ珪酸塩は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる現像液は、アルミニウム支持体の親水化成分としての珪酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2と、アルカリ成分としてのアルカリ酸化物M2O(Mはアルカリ金属又はアンモニウム基を表す)との混合比率、及び濃度の調整により、最適な範囲に容易に調節することができる。酸化ケイ素SiO2とアルカリ酸化物M2Oとの混合比率(SiO2/M2Oのモル比)は、アルミニウム支持体の陽極酸化皮膜が過度に溶解(エッチング)されることに起因する放置汚れや、溶解アルミニウムと珪酸塩との錯体形成に起因する不溶性ガスの発生を抑制するといった観点から、好ましくは0.75〜4.0の範囲であり、より好ましくは0.75〜3.5の範囲で使用される。
また、現像液中のアルカリ珪酸塩の濃度としては、アルミニウム支持体の陽極酸化皮膜の溶解(エッチング)抑制効果、現像性、沈殿や結晶生成の抑制効果、及び廃液時における中和の際のゲル化防止効果などの観点から、現像液の質量に対して、SiO2量として0.01〜1mol/Lが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8mol/Lの範囲で使用される。
本発明における現像液には、上記の成分の他に、必要に応じて以下の様な成分を併用することができる。例えば安息香酸、フタル酸、p−エチル安息香酸、p−n−プロピル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、p−n−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−2−ヒドロキシエチル安息香酸、デカン酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の有機カルボン酸;イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の有機溶剤;この他、還元剤、染料、顔料、硬水軟化剤、防腐剤等が挙げられる。
本発明における現像液は、25℃におけるpHが10〜12.5の範囲であることが好ましく、pH11〜12.5の範囲であることがより好ましい。本発明の現像液は、前記界面活性剤を含むため、このような低pHの現像液を用いても、非画像部において優れた現像性を発現する。このように、現像液のpHを比較的低い値とすることにより、現像時における画像部へのダメージを軽減するとともに、現像液の取扱い性にも優れる。
また、該現像液の導電率xは、2<x<30mS/cmであることが好ましく、5〜25mS/cmであることがより好ましい。
ここで、導電率を調整するための導電率調整剤として、有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類等を添加することが好ましい。
上記の現像液は、現像液及び現像補充液として用いることができる。
自動現像機30においては、版の処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。この場合、米国特許第4,882,246号に記載されている方法で補充することが好ましい。また、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号、同57−7427号の各公報に記載されている現像液も好ましく用いることができる。自動現像機30においてもこの補充方式が好ましく適用される。
自動現像機30では、このような現像処理後、水洗部にて、版の表面に残っているアルカリ現像液を除去し、次工程のフィニッシャー部へのアルカリ液持ち込みを減少させる目的で、版をノズルから噴射する水で水洗する。
自動現像機30におけるフィニッシャー部では、版の表面に規定濃度のガム液を塗布し、アルカリ性となった感材の樹脂を酸に戻して現像による画像部のダメージを抑制すると共に、非画像部の汚れや傷を防止する。
ガム液としては、特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液が用いられる。
自動現像機30における乾燥部では、ブロワー等の温風供給手段や発熱手段等の乾燥手段が設けられており、温風を印刷版及びダミー板に吹き付けて、版材に塗布されたガム液を乾燥させている。乾燥部により乾燥された印刷版及びダミー版は排出口から排出される。
なお、乾燥後の平版印刷版は、その種類によっては、自動現像機30の後段に設けられた専用の装置により、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱若しくは、全面露光を行うことができる。また、全面後加熱や全面露光を行う装置は、ON−Lineであっても、OFF−Lineであってもよい。
現像後の加熱には非常に強い条件を利用することができる。通常は加熱温度が200〜500℃の範囲で実施される。現像後の加熱温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じるおそれがある。
以上に示したCTP製版システム100は、概略的には次のように動作する。
集積体設置位置10における集積体12Aの最上部のものが平版印刷版であると識別されると、露光用ドラムに装着されて、レーザ光源によるレーザ照射によって画像露光される。そして、露光処理を終えた露光用ドラム上の印刷版原版は、露光用ドラムから排出され、次いで、自動現像機30へと搬送される。そして、印刷版原版は、自動現像機30内で現像処理、ガム処理などの所定の処理を施されて印刷版となり、製版が完了する。
一方、集積体設置位置10における集積体12Bの最上部のものがダミー版原版であると識別された場合は、レーザ露光されることなく、露光処理を省き、そのままプレートセッター20内を自動的に搬送され、自動現像機30へと搬送される。そして、ダミー版原版は、自動現像機30内で現像処理、ガム処理などの所定の処理を施されてダミー版となり、製版が完了する。従って、ダミー版原版については露光処理を省くことで、処理時間が短縮されることとなる。
その後、以上の処理によって得られた平版印刷版及び平版印刷用ダミー版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来より知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、CL−1、CL−2、CP、CN−4、CN、CG−1、PC−1、SR、IC(富士写真フイルム株式会社製)等が挙げられる。
〔平版印刷用ダミー版原版〕
本発明において用いられる平版印刷用ダミー版原版は、350〜700nmの領域に吸収極大を有し、かつ、該吸収極大における吸光度が0.2以上であり、平版印刷版原版や土台表面と異なる色調を有していれば、如何なるものを用いることができる。中でも、平版印刷版原版と共通のCTP製版システムにおいて現像することができる点から、支持体上に、アルカリ可溶性のバインダーポリマーを含有し、350〜450nmに吸収極大を有し、その吸収極大における吸光度が0.2以上である非感光性層を設けてなるものが好ましい。より好ましくは、支持体と非感光性層との間に下塗り層を有する態様である。
本発明のダミー版原版の各層について順次説明する。
〔下塗層〕
本発明のダミー版原版においては、支持体と、非感光性層との間に、所望により下塗り層を設けることができる。この下塗り層は必須ではないが、後述する非感光性層の現像性を向上させ、残膜の発生を抑制するのに有用である。
本発明の下塗層について説明する。親水性表面を有する支持体には水溶性化合物を含有する組成物による下塗りを施すことが好ましい。
下塗り層に用いられる水溶性化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩、スルホン酸基を有する水溶性重合体等が好ましく用いられ、中でもスルホン酸基を有する水溶性重合体が特に好ましい。
スルホン酸基を有する水溶性重合体は、スルホン酸基を有するモノマー単位の少なくとも一種を繰り返し単位として分子中に含む水溶性高分子化合物であり、例えば、特公平4−9296号公報(第3欄22行〜第4欄41行)に記載のものが挙げられる。
スルホン酸基を有するモノマー単位としては、例えば、p−スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、エチレンスルホン酸等か好ましく、これらを適宜1つ又は2つ以上が選択され重合されるか或いは他のモノマーと共重合されてスルホン酸基を有する水溶性重合体が得られる。
他のモノマーと共重合される場合、相手のモノマーはスルホン酸基を有するモノマーと共重合可能であればどのようなモノマーでもよい。具体例としては、例えば、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、メチルメタクリレート/メチルアクリレート/p−スチレンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明において下塗り層に用いうる水溶性化合物の分子量範囲は、水可溶性である限り制限はないが、一般的な目安を示せば、重量平均分子量約1,000〜1,000,000の範囲が適当であり、好ましくは2,000〜100,000、最も好ましくは10,000〜100,000の範囲である。
この下塗層は、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンなど若しくはそれらの混合溶剤に上記水溶性化合物を溶解させ、支持体上に塗布、乾燥して設けることができる。
下塗層の乾燥後の被覆層は、印刷汚れ防止能力、後に塗布される非感光性樹脂層の膜強度向上及び傷付き抑制効果の観点から、10〜500mg/m2が適当であり、好ましくは50〜200mg/m2である。
〔非感光性層〕
支持体上、或いは、所望によりその上に設けられる下塗層上に、引き続いてアルカリ可溶性のバインダーポリマーを主成分とする非感光性層が設けられる。
本発明において非感光性層に用いられるアルカリ可溶性のバインダーポリマーとして好ましいものは、酸含量0.1〜3.0meq/g、好ましくは0.2〜2.0meq/gであり、実質的に水不溶性(すなわち、中性又は酸性水溶液に不溶性)で、皮膜形成性を有する有機高分子化合物であり、且つ、アルカリ水溶液に溶解又は膨潤することができるものである。なお、酸含量0.1meq/g未満ではアルカリ水溶液への溶解が困難となり、3.0meq/gを超えると特に高温高湿保管時における膜強度が低下する傾向にある。
バインダーポリマーの分子量は、塗布溶媒に溶解し、且つ、アルカリ水溶液に溶解又は膨潤する限り特に制限はないが、膜強度とアルカリ水溶解性とのバランスといった観点からは重量平均分子量で1,000〜1,000,000が好ましく、10,000〜500,000であることがより好ましい。
特に好適なバインダーポリマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸又はマレイン酸を必須成分として含む共重合体、例えば、特開昭50−118802号公報に記載されている如き2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリロニトリル又はメタクリロニトリル、アクリル酸又はメタクリル酸及び必要に応じて他の共重合可能なモノマーとの多元共重合体、特開昭53−120903号公報に記載されている如き末端がヒドロキシ基であり、かつジカルボン酸エステル残基を含む基でエステル化されたアクリル酸又はメタクリル酸、アクリル酸、又はメタクリル酸及び必要に応じて他の共重合可能なモノマーとの多元共重合体、特開昭54−98614号公報に記載されている如き芳香族性水酸基を末端に有する単量体(例えば、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドなど)、アクリル酸又はメタクリル酸及び必要に応じて他の共重合可能なモノマーとの多元共重合体、特開昭56−4144号公報に記載されている如きアルキルアクリレート、アクリロニトリル又はメタクリロニトリル及び不飽和カルボン酸よりなる多元共重合体をあげることが出来る。この他、酸性ポリビニルアルコール誘導体や酸性セルロース誘導体も有用である。また、ポリビニルアセタールやポリウレタンをアルカリ可溶化した特公昭54−19773号公報、特開昭57−94747号、同60−182437号、同62−58242号、同62−123453号記載の結合剤も有用であり、ポリウレタンをアルカリ可溶化した樹脂が、膜強度が高く、特に好ましい。
本発明の非感光性層は、350〜450nmに吸収極大を有することが好ましい。このため、非感光性層を形成する組成物には、350〜450nmに吸収極大を有する着色剤が添加される。添加量は非感光性層の固形分に対して0.5質量%〜10質量%が好ましい。
非感光性層の吸光度としては0.2以上であることを要するが、好ましくは0.3以上1.5以下であり、より好ましくは0.4以上1.0以下である。吸光度が0.2未満ではカラーセンサーによる判別が不安定であり、1.5以上では長期間保存した場合に残色となる。着色剤は現像液に可溶な染料が好ましい。
なお、この吸光度は、着色剤の添加量と後述する非感光性層の厚みで決定される。本発明における吸光度は、島津製作所製、U−3010型分光高度計反射スペクトル測定装置により、非感光性層未塗布の支持体を基準として測定した値を用いている。
本発明に係る非感光性層の着色剤として用いられる染料の化学構造には特別な制限はなく、オキソノール染料、ヘミオキソノール染料、メロシアニン染料、シアニン染料、アゾ染料などを使用しうる。具体的には、例えば特公昭58−12576に記載のピラゾロン染料、米国特許第2,274,782号に記載のピラゾロンオキソノール染料、米国特許第2,956,879号に記載のジアリールアゾ染料、米国特許第3,423,207号、同第3,384,487号に記載のスチリル染料やブタジエニル染料、米国特許第2,527,583号に記載のメロシアニン染料、米国特許第3,486,897号、同第3,652,284号、同第3,718,472号に記載のメロシアニン染料やオキソノール染料、米国特許第3,976,661号に記載のエナミノヘミオキソノール染料及び英国特許第584,609号、同第1,177,429号、特開昭48−85130号、同49−99620号、同49−114420号、米国特許第2,533,472号、同第3,148,187号、同第3,177,078号、同第3,247,127号、同第3,540,887号、同第3,575,704号、同第3,653,905号、に記載の染料が用いられる。
以下に、本発明に係る着色剤として好ましい染料の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004359525
本発明においては、非感光性層に低分子酸化合物を添加することが好ましい。低分子の酸化合物とは、高分子の酸化合物であるアルカリ可溶性のバインダーポリマーとは別異の化合物であることを意味し、ここで低分子化合物とは分子量として1,000以下の化合物を指す。
具体的には、リン酸、硫酸、ジピコリン酸、リンゴ酸、スルホサリチル酸、スルホフタル酸、トリカルバリル酸、グリシン、安息香酸、フタル酸等のカルボン酸基又はスルホン酸基を分子内に有し、分子量が1,000以下の低分子酸化合物が好ましい。なかでも、リン酸、トリカルバリル酸は、溶解促進作用と共に、長期保管時の印刷汚れ防止作用があり特に好ましい。添加量は非感光性層を構成する固形分に対して1〜20質量%であることが好ましい。
本発明に係る非感光性層には、前記各成分の他に、種々の添加剤を併用することができる。例えば、溶解促進のための可塑剤、フッ素系界面活性剤等の塗布面質改良剤などを添加することが出来る。
従来のダミー版原版では、ダミー版原版の耐キズ性向上及びダミー版原版保管時におけるダミー版原版どうしの密着防止の目的で、非感光性層上に相互に独立して設けられた突起物を有するマット層を設けることが好ましかった。しかし、本発明の如く、CTP装置に好適に用いられるダミー版原版においては、マット層の突起物が脱落してプレートセッター内を汚染したり、その汚染により画像不良等の問題が発生する懸念があり、それを抑制するため、マット層を設けない方が好ましい。
非感光性層を形成するための組成物を、公知の種々の塗布溶剤に溶解し、支持体上に、より好ましくは、親水性表面及び下塗層を有するアルミニウム支持体上に、塗布、乾燥することで、平版印刷用ダミー版原版の非感光性層を形成することができる。
塗布する際の組成物の固形分濃度は1.0〜50重量%が適当であり、好ましくは2.0〜30重量%が適当である。
支持体上に組成物を塗布する方法としては従来公知の方法、たとえばロールコーティング、バーコーティング、スプレーコーティング、カーテンコーティング、回転塗布等の方法を用いることができる。
塗布された組成物溶液は50〜150℃で乾燥させるのが好ましい。乾燥方法は、初め温度を低くして予備乾燥した後、高温で乾燥させても良いし、直接高温度で乾燥させても良い。
非感光性層の乾燥塗布重量は、キズつき防止能力及び現像時の溶解除去性能の観点から、0.2〜1.5g/m2であることが好ましく、0.3〜1.0g/m2であることがより好ましい。
〔支持体〕
本発明のダミー版原版に用いる支持体としては、親水性表面を有する金属支持体が好ましい。具体的には、アルミニウム及びアルミニウム被覆された複合支持体が好ましく、更に鉄を0.1〜0.5重量%、ケイ素を0.03〜0.3重量%、銅を0.001〜0.03重量%、更にチタンを0.002〜0.1重量%含有する1Sアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム材の表面は、保水性を高める目的で表面処理されていることが望ましい。保水性向上処理としては、アルカリ処理、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及び、珪酸ナトリウム等から選択されるアルカリ剤の1〜30重量%水溶液に、20〜80℃の温度で5秒〜250秒間浸漬してエッチングする処理が好適なものとして挙げられる。
エッチング浴には、アルミニウムイオンをアルカリの5分の1程度加えても良い。ついで、10〜30重量%硝酸又は硫酸水溶液に20〜70℃の温度で5秒〜25秒間浸漬して、アルカリエッチング後の中和及びスマット除去を行う。
また、他の保水性向上処理としては、例えば、粗面化処理が挙げられ、このような粗面化処理方法として、一般に公知のブラシ研磨法、ボール研磨法、電解エッチング、化学的エッチング、液体ホーニング、サンドブラスト等の方法及びこれらの組合せが挙げられる。なかでも、好ましくはブラシ研磨法、電解エッチング、化学的エッチング及び液体ホーニングが挙げられ、これらのうちで、特に電解エッチングの使用を含む粗面化方法が好ましい。更に、特開昭54−63902号公報に記載されているようにブラシ研磨した後、電解エッチングする方法も好ましい。
また、電解エッチングの際に用いられる電解浴としては、酸、アルカリ又はそれらの塩を含む水溶液或いは有機溶剤を含む水性溶液が用いられ、これらのうちで、特に塩酸、硝酸又はそれらの塩を含む電解液が好ましい。ブラシ研磨はパミストン−水懸濁液とナイロンブラシとを用いるのが好ましく、平均表面粗さを0.25〜0.9μmとすることが好ましい。
電解エッチング処理に使用される電解液は塩酸、又は硝酸の水溶液であり、濃度は0.01〜3重量%の範囲で使用することが好ましく、0.05〜2.5重量%であれば更に好ましい。また、この電解液には必要に応じて硝酸塩、塩化物、モノアミン類、ジアミン類、アルデヒド類、リン酸、クロム酸、ホウ酸、シュウ酸アンモニウム塩等の腐蝕抑制材(又は安定化剤)、砂目の均一化剤などを加えることが出来る。また、電解液中には、適当量(1〜10g/リットル)のアルミニウムイオンを含んでいてもよい。
電解エッチング処理は、通常10〜60℃の電解液の温度で行なわれる。この際に使用される交流電流は、正負の極性が交互に交換されたものであれば、矩形波、台形波、正弦波いずれのものも用いることができ、通常の商用交流の単相及び三相交流電流を用いることができる。また電流密度は、5〜100A/dm2で、10〜300秒間処理することが望ましい。
本発明におけるアルミニウム合金支持体の表面粗さは、電気量によって調整し、0.2〜0.8μmとする。更に、粗面化処理の施されたアルミニウム板は、必要に応じて酸又はアルカリの水溶液にてデスマット処理される。
このように砂目立てされたアルミニウム合金は、10〜50重量%の熱硫酸(40〜60℃)や希薄なアルカリ(水酸化ナトリウム等)により、表面に付着したスマットの除去及びエッチング(好ましくは0.01〜2.0g/m2の範囲で)されるのが好ましい。アルカリでスマットの除去及びエッチングした場合は、引き続いて洗浄のため酸(具体的には、硝酸又は硫酸など)に浸漬して中和する。
表面のスマット除去を行った後、陽極酸化皮膜が設けられる。陽極酸化法は、従来公知の方法を用いることが出来るが、硫酸が最も有用な電解液として用いられる。それに次いで、リン酸もまた有用な電解液である。更に特開昭55−28400号公報に開示されている硫酸とリン酸の混酸もまた有用である。
硫酸法は通常直流電流で処理が行われるが、交流を用いることも可能である。硫酸の濃度5〜30重量%、20〜60℃の温度範囲で5〜250秒間電解処理されて、表面に1〜10g/m2の酸化皮膜が設けられる。この電解液には、アルミニウムイオンが含まれていることが好ましい。更にこのとき電流密度は1〜20A/dm2が好ましい。
リン酸法の場合には、5〜50重量%のリン酸濃度、30〜60℃の温度で10〜300秒間、1〜15A/dm2の電流密度で処理される。
また、更に必要に応じて米国特許第2,714,066号明細書や米国特許第3,181,461号明細書に記載されている珪酸塩(ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)処理、米国特許第2,946,638号明細書に記載されている弗化ジルコニウム酸カリウム処理、米国特許第3,201,247号明細書に記載されているホスホモリブデート処理、英国特許第1,108,559号明細書に記載されているアルキルチタネート処理、独国特許第1,091,433号明細書に記載されているポリアクリル酸処理、独国特許第1,134,093号明細書や英国特許第1,230,447号明細書に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸処理、米国特許第3,307,951号明細書に記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16893号や特開昭58−18291号の各公報に記載されている親水性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理によって親水化処理を行うことが出来る。珪酸塩処理は親水化能力が高く、かつ処理も簡便であるため、特に好ましい。
その他の親水化処理方法としては米国特許第3,658,662号明細書に記載されているシリケート電着をも挙げることが出来る。また、砂目立て処理及び陽極酸化後、封孔処理を施すことが出来る。かかる封孔処理は熱水及び無機塩又は有機塩を含む熱水溶液への浸漬ならびに水蒸気浴などによって行われる。
〔平版印刷版原版〕
次に、本発明において用いられる平版印刷版原版について説明する。
本発明において用いられる平版印刷版原版は、350〜700nmの領域に吸収極大を有し、かつ、該吸収極大における吸光度が0.2以上であり、平版印刷用ダミー版原版や土台表面と異なる色調を有しており、更に、赤外線露光により画像を形成し得る平版印刷版原版であれば、如何なるものを用いることができるが、中でも、支持体上に赤外線吸収剤を含有する感光層を設けてなる平版印刷版原版が好ましい。
また、このような感光層としては、赤外線の露光によりアルカリ現像性が低下するネガ型と、逆に現像性が向上するポジ型の2つに分けられる。
以下、それぞれの感光層について詳細に説明する。
ネガ型の感光層としては、公知のネガ型極性変換材料系(親水性から疎水性へ変化)、ラジカル重合系、酸触媒架橋系(カチオン重合も含む)の感光層が挙げられる。
この中でも特に、耐刷性の点でラジカル重合系と酸触媒架橋系が好ましい。これらは、赤外線の露光による光及び/又は熱により発生するラジカル或いは酸が開始剤や触媒となり、感光層を構成する化合物が重合反応、架橋反応を起こし硬化して画像部を形成するものである。
また、ポジ型の感光層としては、公知のポジ型極性変換材料系(疎水性から親水性へ変化)、酸触媒分解系、相互作用解除系(感熱ポジ)感光層が挙げられる。
この中でも特に、相互作用解除系と酸触媒分解系とが画質の点で好ましい。これらは、赤外線の露光による光及び/又は熱により発生する酸や熱エネルギーそのものにより、感光層を形成していた高分子化合物の結合が解除されるなどの働きにより水やアルカリ水に可溶となり、現像により除去されて非画像部を形成するものである。
〔着色剤〕
本発明においては、ネガ型感光層、ポジ型感光層のいずれであっても、350〜700nmの領域に吸収極大を有し、かつ、該吸収極大における吸光度が0.2以上となることを要する。また、本発明における感光層は、500〜600nmに吸収極大を有することが好ましい。このため、感光層には、500〜600nm吸収極大を有する着色剤が添加されることが好ましい。
また、感光層の吸光度としては0.2以上であることを要するが、好ましくは0.3以上1.5以下であり、より好ましくは0.4以上1.0以下である。吸光度が0.2未満ではカラーセンサーによる判別が不安定であり、1.5以上では長期間保存した場合に残色となる。着色剤は現像液に可溶な染料が好ましい。
感光層に用いられる着色剤としては、例えば、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上、オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、或いは、特開昭62−293247号公報に記載の染料等を挙げることができる。
着色剤としての染料及び顔料の添加量は、感光層中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
〔赤外線吸収剤〕
まず、本発明におけるネガ型感光層、ポジ型感光層のいずれにも含有される赤外線吸収剤について説明する。本発明に用いられる赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能及び励起電子を発生する機能を有している。
このような赤外線吸収剤としては、波長760nm〜1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収性染料又は顔料が好ましく挙げられる。
染料としては、市販の染料及び例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明における赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特願2001−6326、特願2001−237840記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
Figure 0004359525
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(1)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 0004359525
一般式(1)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、X2は酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa -は後述するZ1-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
Figure 0004359525
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Z1-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(1)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZ1-は必要ない。好ましいZ1-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(1)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969公報の段落番号[0017]から[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例として更に、前記した特願平2001−6326、特願平2001−237840明細書に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることが更に好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。この好ましい粒径の範囲において、感光層中における顔料の優れた分散安定性が得られ、均一な感光層が得られる。この好ましい粒径の範囲において、感光層塗布液中における顔料の優れた分散安定性が得られ、また、均一な感光層が得られる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの赤外線吸収剤は、感光層中における均一性や感光層の耐久性の観点から、感光層を構成する全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で添加することができる。
以下、ネガ型感光層として好適なラジカル重合系層と酸触媒架橋系層について、順に説明する。
<ラジカル重合系層>
ラジカル重合系層は、必須成分として、赤外線吸収剤に加え、重合開始剤、重合性化合物(付加重合性化合物ともいう)、及びバインダーポリマーを含有し、更に、必要に応じて、他の任意成分を含有することができる。
ラジカル重合系層における画像形成機構としては、まず、赤外線吸収剤が赤外線レーザーの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動、発熱(光熱変換機能)などが、併存する重合開始剤に作用して、該重合開始剤に化学変化を生起させてラジカルを生成させる。その後、生成したラジカルにより重合性化合物が重合反応を起こし、露光部が硬化して画像部となる。
ラジカルの生成機構としては、1.赤外線吸収剤の光熱変換機能により発生した熱が、後述する重合開始剤(例えば、スルホニウム塩)が熱分解しラジカルを発生する、2.赤外線吸収剤が発生した励起電子が、重合開始剤(例えば、活性ハロゲン化合物)に移動しラジカルを発生する、3.励起した赤外線吸収剤に重合開始剤(例えば、ボレート化合物)から電子移動してラジカルを発生する、等が挙げられる。
下記に、ラジカル重合系層を構成する各成分について説明する。
[重合開始剤]
ラジカル重合系層に用いられる重合開始剤は、後述する重合性化合物の硬化反応を開始、進行させる機能を有し、熱により分解してラジカルを発生する熱分解型のラジカル発生剤、赤外線吸収剤の励起電子を受容してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤、又は、励起した赤外線吸収剤に電子移動してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤など、エネルギーを付与することでラジカルを生成させるものであればいかなる化合物を用いてもよい。例えば、オニウム塩、活性ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、ボレート化合物などが挙げられる。これらは併用してもよい。本発明ではオニウム塩が好ましく、中でも、スルホニウム塩が特に好ましい。
本発明において好適に用いられるスルホニウム塩重合開始剤としては、下記一般式(2)で表されるオニウム塩が挙げられる。
Figure 0004359525
一般式(2)中、R11、R12及びR13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
以下に、一般式(2)で表されるオニウム塩の具体例([OS−1]〜[OS−12])を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004359525
Figure 0004359525
上記したものの他、特開2002−148790公報、特開2002−148790公報、特開2002−350207公報、特開2002−6482公報に記載の特定の芳香族スルホニウム塩も好適に用いられる。
本発明においては、上記スルホニウム塩重合開始剤の他にも、他の重合開始剤(他のラジカル発生剤)を用いることができる。他のラジカル発生剤としては、スルホニウム塩以外の他のオニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジド、活性ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、トリアリールモノアルキルボレート化合物などが挙げられ、中でも、高感度であることから、オニウム塩が好ましい。また、上記のスルホニウム塩重合開始剤を必須成分として、これらの重合開始剤(ラジカル発生剤)を併用することもできる。
本発明において好適に用い得る他のオニウム塩としては、ヨードニウム塩及びジアゾニウム塩が挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、ラジカル重合の開始剤として機能する。
本発明における他のオニウム塩としては、下記一般式(3)及び(4)で表されるオニウム塩が挙げられる。
Figure 0004359525
一般式(3)中、Ar21とAr22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z21-はZ11-と同義の対イオンを表す。
一般式(4)中、Ar31は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z31-はZ11-と同義の対イオンを表す。
以下に、本発明において、好適に用いることのできる一般式(3)で示されるオニウム塩([OI−1]〜[OI−12])、及び一般式(4)で示されるオニウム塩([ON−1]〜[ON−5])の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004359525


Figure 0004359525
Figure 0004359525
本発明において重合開始剤(ラジカル発生剤)として好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133696号公報に記載されたもの等を挙げることができる。
なお、本発明において用いられる重合開始剤(ラジカル発生剤)は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、更に360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
本発明における重合開始剤の総含有量は、感度及び印刷時の非画像部に汚れの発生の観点から、ラジカル重合系層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。
本発明における重合開始剤としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の重合開始剤を併用する場合は、例えば、好適に用いられるスルホニウム塩重合開始剤のみを複数種用いてもよいし、スルホニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤を併用してもよい。
スルホニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤とを併用する場合の含有比(質量比)としては、100/1〜100/50が好ましく、100/5〜100/25がより好ましい。
また、重合開始剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
本発明におけるラジカル重合系層に、重合開始剤として好適な、高感度のスルホニウム塩重合開始剤を用いる場合、ラジカル重合反応が効果的に進行し、形成された画像部の強度が非常に高いものとなる。従って、後述する保護層の高い酸素遮断機能とあいまって、高い画像部強度を有する平版印刷版を作製することができ、その結果、耐刷性が一層向上する。また、スルホニウム塩重合開始剤はそれ自体が経時安定性に優れていることから、作製された平版印刷版原版を保存した際にも、所望されない重合反応の発生が効果的に抑制されるという利点をも有することになる。
[重合性化合物]
ラジカル重合系層に用いられる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(5)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (5)
(ただし、R4及びR5は、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部、即ち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や疎水性の高い化合物は、感光スピードや膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、ラジカル重合系層(感光層)組成物中の他の成分(例えば、バインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させ得ることがある。
また、本発明における平版印刷版原版では、支持体や後述の保護層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
ラジカル重合系層(感光層)組成物中の付加重合性化合物の含有量に関しては、感度、相分離の発生、ラジカル重合系層の粘着性、更には、現像液からの析出性の観点から、ラジカル重合系層組成物中の固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは40〜75質量%の範囲で使用される。
また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。その他、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択できる。更に、本発明における平版印刷版原版では、下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施し得る。
[バインダーポリマー]
ラジカル重合系層に用いられるバインダーポリマーは、膜性向上の観点から含有されるものであって、膜性を向上させる機能を有していれば、種々のものを使用することがすることができる。中でも、本発明において好適なバインダーポリマーとしては、下記一般式(6)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーである。以下、一般式(6)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを、適宜、特定バインダーポリマーと称し、詳細に説明する。
Figure 0004359525
(一般式(6)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その総原子数が2〜82である連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR3−を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。)
まず、一般式(6)におけるR1は、水素原子又はメチル基を表し、特にメチル基が好ましい。
一般式(6)におけるR2で表される連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その総原子数が2〜82であり、好ましくは2〜50であり、より好ましくは2〜30である。ここで示す総原子数は、当該連結基が置換基を有する場合には、その置換基を含めた原子数を指す。より具体的には、R2で表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることが好ましく、3〜25であることがより好ましく、4〜20であることが更に好ましく、5〜10であることが最も好ましい。なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、一般式(6)におけるAと末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。したがって、連結基内に環構造を有する場合、その連結部位(例えば、o−、m−、p−など)により算入されるべき原子数が異なる。
また、より具体的には、アルキレン、置換アルキレン、アリーレン、置換アリーレンなどが挙げられ、これらの2価の基がアミド結合やエステル結合で複数連結された構造を有していてもよい。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
この中でも、一般式(6)におけるR2で表される連結基は、炭素原子数3から30までの脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。より具体的には、任意の置換基によって一個以上置換されていてもよいシクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ジシクロヘキシル、ターシクロヘキシル、ノルボルナン等の脂肪族環状構造を有する化合物を構成する任意の炭素原子上の水素原子を(n+1)個除き、(n+1)価の炭化水素基としたものを挙げることができる。また、R2は、置換基を含めて炭素数3から30であることが好ましい。
脂肪族環状構造を構成する化合物の任意の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子から選ばれるヘテロ原子で、一個以上置き換えられていてもよい。耐刷性の点で、R2は縮合多環脂肪族炭化水素、橋架け環脂肪族炭化水素、スピロ脂肪族炭化水素、脂肪族炭化水素環集合(複数の環が結合又は連結基でつながったもの)等、2個以上の環を含有してなる炭素原子数5から30までの置換基を有していてもよい脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。この場合も炭素数は置換基が有する炭素原子を含めてのものである。
2で表される連結基としては、特に、連結基の主骨格を構成する原子数が5〜10のものが好ましく、構造的には、鎖状構造であって、その構造中にエステル結合を有するものや、前記の如き環状構造を有するものが好ましい。
2で表される連結基に導入可能な置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(alkyl)2)、ジアリールボリル基(−B(aryl)2)、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH)2)及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
本発明におけるラジカル重合系層の設計にもよるが、水素結合可能な水素原子を有する置換基や、特に、カルボン酸よりも酸解離定数(pKa)が小さい酸性を有する置換基は、耐刷性を下げる傾向にあるので好ましくない。一方、ハロゲン原子や、炭化水素基(アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基)、アルコキシ基、アリーロキシ基などの疎水性置換基は、耐刷を向上する傾向にあるのでより好ましく、特に、環状構造がシクロペンタンやシクロヘキサン等の6員環以下の単環脂肪族炭化水素である場合には、このような疎水性の置換基を有していることが好ましい。これら置換基は可能であるならば、置換基同士、又は置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよく、置換基は更に置換されていてもよい。
一般式(6)におけるAがNR3−である場合のR3は、水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。このR3で表される炭素数1〜10までの一価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数1〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基が挙げられる。R3が有してもよい置換基としては、R2が導入し得る置換基として挙げたものと同様である。但し、R3の炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
一般式(6)におけるAは、合成が容易であることから、酸素原子又は−NH−であることが好ましい。
一般式(6)におけるnは、1〜5の整数を表し、耐刷の点で好ましくは1である。
以下に、一般式(6)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004359525
Figure 0004359525
Figure 0004359525
Figure 0004359525
Figure 0004359525
Figure 0004359525
Figure 0004359525
Figure 0004359525
Figure 0004359525
Figure 0004359525
Figure 0004359525
Figure 0004359525
Figure 0004359525
一般式(6)で表される繰り返し単位は、バインダーポリマー中に1種類だけであってもよいし、2種類以上含有していてもよい。本発明における特定バインダーポリマーは、一般式(6)で表される繰り返し単位だけからなるポリマーであってもよいが、通常、他の共重合成分と組み合わされ、コポリマーとして使用される。コポリマーにおける一般式(6)で表される繰り返し単位の総含有量は、その構造や、ラジカル重合系層組成物の設計等によって適宜決められるが、好ましくはポリマー成分の総モル量に対し、1〜99モル%、より好ましくは5〜40モル%、更に好ましくは5〜20モル%の範囲で含有される。
コポリマーとして用いる場合の共重合成分としては、ラジカル重合可能なモノマーであれば従来公知のものを制限なく使用できる。具体的には、「高分子データハンドブック−基礎編−(高分子学会編、培風館、1986)」記載のモノマー類が挙げられる。このような共重合成分は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明における特定バインダーポリマーの分子量は、画像形成性や耐刷性の観点から適宜決定される。好ましい分子量としては、2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜200,000の範囲である。
本発明おいて用いられるバインダーポリマーは、特定バインダーポリマー単独であってもよいし、他のバインダーポリマーを1種以上併用して、混合物として用いてもよい。併用されるバインダーポリマーは、バインダーポリマー成分の総質量に対し1〜60質量%、好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは1〜20質量%の範囲で用いられる。併用できるバインダーポリマーとしては、従来公知のものを制限なく使用でき、具体的には、本業界においてよく使用されるアクリル主鎖バインダーや、ウレタンバインダー等が好ましく用いられる。
ラジカル重合系層(感光層)組成物中での特定バインダーポリマー及び併用してもよいバインダーポリマーの合計量は、適宜決めることができるが、ラジカル重合系層組成物中の不揮発性成分の総質量に対し、通常、10〜90質量%であり、好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%の範囲である。
また、このようなバインダーポリマーの酸価(meg/g)としては、2.00〜3.60の範囲であることが好ましい。
(併用可能な他のバインダーポリマー)
前記特定バインダーポリマーと併用可能な他のバインダーポリマーは、ラジカル重合性基を有するバインダーポリマーであることが好ましい。そのラジカル重合性基としては、ラジカルにより重合することが可能であれば特に限定されないが、α−置換メチルアクリル基[−OC(=O)−C(−CH2Z)=CH2、Z=ヘテロ原子から始まる炭化水素基]、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基が挙げられ、この中でも、アクリル基、メタクリル基が好ましい。
かかるバインダーポリマー中のラジカル重合性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、感度や保存性の観点から、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
また、併用可能な他のバインダーポリマーは、更に、アルカリ可溶性基を有するものが好ましい。バインダーポリマー中のアルカリ可溶性基の含有量(中和滴定による酸価)は、現像カスの析出性や耐刷性の観点から、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜3.0mmol、より好ましくは0.2〜2.0mmol、最も好ましくは0.45〜1.0mmolである。
このようなバインダーポリマーの重量平均分子量は、皮膜性(耐刷性)や塗布溶剤への溶解性の観点から、好ましくは2,000〜1,000,000、より好ましくは10,000〜300,000、最も好ましくは20,000〜200,000の範囲である。
また、このようなバインダーポリマーのガラス転移点(Tg)は、保存安定性、耐刷性、及び感度の観点から、好ましくは70〜300℃、より好ましくは80〜250℃、最も好ましくは90〜200℃の範囲である。
バインダーポリマーのガラス転移点を高めるため手段としては、その分子中に、アミド基やイミド基を含有することが好ましく、特に、メタクリルアミドメタクリルアミド誘導体を含有することが好ましい。
ラジカル重合系層には、以上の基本成分の他に、更にその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
[重合禁止剤]
また、ラジカル重合系層においては、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、即ち、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合禁止剤の添加量は、ラジカル重合系層(感光層)組成物中の不揮発性成分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、ラジカル重合系層組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
[その他の添加剤]
更に、ラジカル重合系層には、硬化皮膜の物性を改良するための無機充填剤や、その他可塑剤、ラジカル重合系層表面のインク着肉性を向上させ得る感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、バインダーポリマーと付加重合性化合物との合計質量に対し一般的に10質量%以下の範囲で添加することができる。
加えて、ラジカル重合系層において、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するために、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加も行うことができる。
<酸触媒架橋系層>
酸触媒架橋系層は、必須成分として、光又は熱により酸を発生する化合物(以下、酸発生剤と称する)と、発生した酸を触媒として架橋しうる化合物(以下、架橋剤と称する)とを含有し、更に、これらを含有する層を形成するための、酸の存在下で架橋剤と反応しうるバインダーポリマーを含む層である。
この酸触媒架橋系層においては、光照射又は加熱により、酸発生剤が分解することで発生した酸が、架橋剤の働きを促進し、架橋剤同士或いは架橋剤とバインダーポリマーとの間で強固な架橋構造が形成され、これにより、アルカリ可溶性が低下して、現像剤に不溶な画像部となる。
このような特性を有する酸触媒架橋系層としては、公知の同様の特性を有する層を用いることができる。例えば、特開平7−20629号公報に記載されるレゾール樹脂、ノボラック樹脂、潜伏性ブレンステッド酸、及び赤外吸収剤を含んでなる放射線感受性組成物からなる層が挙げられる。ここで、「潜伏性ブレンステッド酸」とは、分解してブレンステッド酸を生成する先駆体を指し、本発明における酸発生剤と酸架橋剤との双方の特性を有する化合物である。ブレンステッド酸は、レゾール樹脂とノボラック樹脂との間のマトリックス生成反応を触媒すると考えられており、この目的に適切なブレンステッド酸の例としては、トリフルオロメタンスルホン酸及びヘキサフルオロホスホン酸である。
更に、イオン性潜伏性ブレンステッド酸が好ましく、これらの例は、オニウム塩、特にヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、セレノニウム、ジアゾニウム、及びアルソニウム塩を包含する。非イオン性潜伏性ブレンステッド酸もまた好適に用いることができ、例えば、下記の化合物:RCH2X、RCHX2、RCX3、R(CH2X)2、及びR(CH2X)3、(式中、Xは、Cl、Br、F、若しくはCF3、SO3であり、Rは、芳香族基、脂肪族基若しくは芳香族基及び脂肪族基の結合体である)を挙げることができる。
また、特開平11−95415号公報に記載の酸架橋性化合物と高分子量結合剤とを含有する記録層も好適なものとして挙げられる。これは、活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、例えば、ジアゾニウム、ホスホニウム、スルホニウム、及びヨードニウムのなどの塩、有機ハロゲン化合物、オルトキノン−ジアジドスルホニルクロリド、及び有機金属/有機ハロゲン化合物と、前記酸の存在下で架橋しうる結合を少なくとも1つ有する化合物、例えば、官能基としてアルコキシメチル基、メチロール基、アセトキシメチル基等を少なくとも2個有するアミノ化合物、官能基としてアルコキシメチル基、メチロール基、アセトキシメチル基等を有する少なくとも2置換の芳香族化合物、レゾール樹脂及びフラン樹脂、特定の単量体から合成されるアクリル樹脂など、とを含有する感光層であり、これを使用することができる。
本発明における酸触媒架橋系層には、酸発生剤、架橋剤及びバインダーポリマー、その他が含まれるが、次に、これらの化合物について個々に説明する。
[酸発生剤]
酸触媒架橋系層において光又は熱により酸を発生する化合物(酸発生剤)とは、赤外線の照射や、100℃以上の加熱によって分解し酸を発生する化合物を指す。発生する酸としては、スルホン酸、塩酸等のpKaが2以下の強酸であることが好ましい。
好適に用いられる酸発生剤としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。具体的には、US4,708,925号や特開平7−20629号に記載されている化合物を挙げることができる。特に、スルホン酸イオンを対イオンとするヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩が好ましい。ジアゾニウム塩としては、米国特許第3,867,147号記載のジアゾニウム化合物、米国特許第2,632,703号明細書記載のジアゾニウム化合物や特開平1−102456号及び特開平1−102457号の各公報に記載されているジアゾ樹脂も好ましい。また、US5,135,838号やUS5,200,544号に記載されているベンジルスルホナート類も好ましい。更に、特開平2−100054号、特開平2−100055号及び特開平9−197671号に記載されている活性スルホン酸エステルやジスルホニル化合物類も好ましい。他にも、特開平7−271029号に記載されている、ハロアルキル置換されたS−トリアジン類も好ましい。
これらの化合物は単独で使用してもよく、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、これらの酸発生剤は、画像形成性や非画像部における汚れの発生の観点から、酸触媒架橋系層全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.5〜30質量%の割合で酸触媒架橋系層中に添加される。
[酸架橋剤]
酸触媒架橋系層に用い得る架橋剤は、酸により架橋する化合物であれば、特に制限はないが、下記一般式(7)で表されるフェノール誘導体(以下、適宜、低分子フェノール誘導体と称する)、下記一般式(8)で表される、環上に2又は3個のヒドロキシメチル基を有するフェノール環を分子内に3個以上有する多核型フェノール性架橋剤、及び、前記低分子フェノール誘導体と多核型フェノール性架橋剤及び/又はレゾール樹脂との混合物、などが好ましく使用される。
Figure 0004359525
一般式(7)中、Ar1は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を示す。R1及びR2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数12個以下の炭化水素基を示す。R3は、水素原子又は炭素数12個以下の炭化水素基を示す。mは、2〜4の整数を示す。nは、1〜3の整数を示す。Xは2価の連結基を示し、Yは前記の部分構造を有する1価乃至4価の連結基或いは末端が水素原子である官能基を示し、ZはYが末端基である場合には存在せず、或いは、Yの連結基の数に応じて存在する1価乃至4価の連結基又は官能基を示す。
Figure 0004359525
一般式(8)中、Aは、炭素数1〜20のr価の炭化水素連結基を示し、rは3〜20の整数を示す。pは、2〜3の整数を示す。
一般式(7)で表されるフェノール誘導体については、本願出願人が先に提出した特願平11−352210号明細書段落番号〔0098〕〜〔0155〕に詳述されており、一般式(8)で表される、環上に2又は3個のヒドロキシメチル基を有するフェノール環を分子内に3個以上有する多核型フェノール性架橋剤についても、同明細書段落番号〔0156〕〜〔0165〕に詳述されている。
これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において、架橋剤は、膜強度や保存安定性の観点から、酸触媒架橋系層固形分中、5〜70質量%、好ましくは10〜65質量%の添加量で用いられる。
[バインダーポリマー]
酸触媒架橋系層に用い得るバインダーポリマーとしては、ヒドロキシ基又はアルコキシ基が直接結合した芳香族炭化水素環を側鎖又は主鎖に有するポリマーが挙げられる。アルコキシ基としては、感度の観点から、炭素数20個以下のものが好ましい。また、芳香族炭化水素環としては、原料の入手性から、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環が好ましい。これらの芳香族炭化水素環は、ヒドロキシ基又はアルコキシ基以外の置換基、例えば、ハロゲン基、シアノ基等の置換基を有していてもよいが、感度の観点から、ヒドロキシ基又はアルコキシ基以外の置換基を有さない方が好ましい。
また、好適に用いることができるバインダーポリマーは、下記一般式(9)で表される構成単位を有するポリマー、又はノボラック樹脂等のフェノール樹脂である。
Figure 0004359525
一般式(9)中、Ar2は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環を示す。R4は、水素原子又はメチル基を示す。R5は、水素原子又は炭素数20個以下のアルコキシ基を示す。X1は、単結合又は、C、H、N、O、Sより選ばれた1種以上の原子を含み、かつ炭素数0〜20個の2価の連結基を示す。kは、1〜4の整数を示す。
本発明では、バインダーポリマーとして、一般式(9)で表される構成単位のみからなる単独重合体を用いてもよいが、この特定構成単位とともに、他の公知のモノマーより誘導される構成単位を有する共重合体を用いてもよい。
これらを用いた共重合体中に含まれる一般式(9)で表される構成単位の割合は、50〜100質量%であることが好ましく、更に好ましくは60〜100質量%である。
また、本発明で使用されるポリマーの重量平均分子量は、好ましくは5,000以上であり、更に好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量は好ましくは1,000以上であり、更に好ましくは2,000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらのポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。
次に、ノボラック類について述べる。本発明で好適に用いられるノボラック樹脂は、フェノールノボラック、o−、m−、p−の各種クレゾールノボラック、及びその共重合体、ハロゲン原子、アルキル基等で置換されたフェノールを利用したノボラックが挙げられる。
これらのノボラック樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000以上であり、更に好ましくは2,000〜2万の範囲であり、数平均分子量は好ましくは1,000以上であり、更に好ましくは2,000〜15,000の範囲である。多分散度は1以上が好ましくは、更に好ましくは1.1〜10の範囲である。
また、バインダーポリマーとして、環内に不飽和結合を有する複素環基を有するポリマーを用いることも好ましい態様である。
ここで、複素環とは、環系を構成する原子の中に、炭素以外のヘテロ原子を1個以上含むものをいう。用いられるヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、珪素原子が好ましい。このような複素環基を有するポリマーを用いることにより、本複素環に存在するローンペアの機能により、化学構造的に反応し易くなり、耐刷性の良好な膜が形成されると考えられる。
以上説明したバインダーポリマーは単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
また、これらバインダーポリマーは、画像部の強度や画像形成性の観点から、酸触媒架橋系層の全固形分に対し20〜95質量%、好ましくは40〜90質量%の割合で添加される。
この酸触媒架橋系層の形成に際して、塗布性、膜質の向上などの目的で界面活性剤などの種々の添加物を併用することができる。
以下、ポジ型感光層として好適な相互作用解除系層(感熱ポジ)、酸触媒分解系層について、順に説明する。
<相互作用解除系層(感熱ポジ)>
相互作用解除系層は、公知の水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂と前記赤外線吸収剤とにより構成される。
[水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂]
相互作用解除系層に使用できる水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、アルカリ可溶性樹脂と称する)としては、高分子中の主鎖及び/又は側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体又はこれらの混合物を包含する。
中でも、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖及び/又は側鎖中に有するものが、アルカリ性現像液に対する溶解性の点、溶解抑制能発現の点で好ましい。
(1)フェノール基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO32
上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂の中でも、(1)フェノール基、(2)スルホンアミド基及び(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に、(1)フェノール基又は(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が、アルカリ性現像液に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を十分に確保する点から最も好ましい。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)フェノール基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、又はm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体等のノボラック樹脂、及びピロガロールとアセトンとの縮重合体を挙げることができる。更に、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を挙げることもできる。或いは、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を用いることもできる。
フェノール基を有する化合物としては、フェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられる。
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、スルホンアミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げられる。中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式(i)〜(v)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004359525
〔一般式(i)〜(v)中、X1、X2は、それぞれ独立に−O−又は−NR7を表す。R1、R4は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R2、R5、R9、R12、及び、R16は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R3、R7、及び、R13は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。また、R6、R17は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R8、R10、R14は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R11、R15は、それぞれ独立に単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1、Y2は、それぞれ独立に単結合又は−CO−を表す。〕
一般式(i)〜(v)で表される化合物のうち、相互作用解除系層では、特に、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、活性イミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、下記構造式で表される活性イミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物を挙げることができる。
Figure 0004359525
具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(4)カルボン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
(5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子としては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げることができる。
(6)リン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
相互作用解除系層に用いるアルカリ可溶性樹脂を構成する、前記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以上、又は異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以上共重合させたものを用いることもできる。
前記共重合体は、共重合させる(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させることができない傾向がある。
アルカリ可溶性樹脂として共重合体を用いる場合、共重合成分として、前記(1)〜(6)の酸性基を含まない他の化合物を用いることもできる。(1)〜(6)の酸性基を含まない他の化合物の例としては、下記(m1)〜(m12)に挙げる化合物を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
アルカリ可溶性樹脂としては、赤外線レーザー等による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性水酸基を有することが好ましく、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が好ましく挙げられる。
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂は、その重量平均分子量が500以上であることが画像形成性の点で好ましく、1,000〜700,000であることがより好ましい。また、その数平均分子量が500以上であることが好ましく、750〜650,000であることがより好ましい。分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であることが好ましい。
また、これらのアルカリ可溶性樹脂は単独で用いるのみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。組み合わせる場合には、米国特許第4123279号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、本発明者らが先に提出した特開2000−241972号公報に記載の芳香環上に電子吸引性基を有するフェノール構造を有するアルカリ可溶性樹脂などを併用してもよい。
相互作用解除系層におけるアルカリ可溶性樹脂は、耐久性、感度、及び画像形成性の観点から、その合計の含有量が、相互作用解除系層全固形分中、30〜98質量%が好ましく、40〜95質量%がより好ましい。
<酸触媒分解系層>
酸触媒分解系層(化学増幅層)は、露光面に形成されることが好ましく、光又は熱の作用により酸を発生する化合物(酸発生剤)と、発生した酸を触媒として化学結合を開裂しアルカリ現像液に対する溶解性が増大する化合物(酸分解性化合物)と、を必須成分として含む。
酸触媒分解系層には、更に、このを形成するためのバインダー成分である高分子化合物を含有してもよく、下記酸分解性化合物自体が、バインダー成分の機能を果たす高分子化合物又はその前駆体であってもよい。
[酸分解性化合物]
酸触媒分解系層において、酸を触媒として化学結合を開裂しアルカリ現像液に対する溶解性が増大する化合物とは、分子内に酸で分解し得る結合基を有する化合物と言い代えることができる。このような化合物は、特開平9−171254号公報に「(b)酸で分解結合を少なくとも1つ有する化合物」として記載されたものを用いることができる。酸で分解し得る結合としては、例えば、−(CH2CH2O)n−基(nは2〜5の整数を表す)等を好ましく挙げることができる。
このような化合物中、感度及び現像性の観点から、下記一般式(vi)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 0004359525
〔一般式(vi)中、R1、R2及びR3は、各々水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシル基又はヒドロキシル基を表し、p、q及びrは、各々1〜3の整数を表し、m及びnは、各々1〜5の整数を表す。〕
前記一般式(vi)において、R1、R2及びR3で表されるアルキル基は、直鎖でも分岐でもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基等が挙げられ、スルホ基及びカルボキシル基はその塩を包含する。一般式(vi)で表される化合物のうち、m及びnが1又は2である化合物が特に好ましい。また、一般式(vi)で表される化合物は公知の方法で合成することができる。
その他、本発明に適用し得る酸分解性化合物としては、特開昭48−89603号、同51−120714号、同53−133429号、同55−12995号、同55−126236号、同56−17345号に記載のC−O−C結合を有する化合物、特開昭60−37549号、同60−121446号に記載のSi−O−C結合を有する化合物、特開昭60−3625号、同60−10247号に記載されているその他の酸分解化合物を挙げることができ、更に特開昭62−222246号に記載されているSi−N結合を有する化合物、特開昭62−251743号に記載されている炭酸エステル、特開昭62−209451号に記載されているオルト炭酸エステル、特開昭62−280841号に記載されているオルトチタン酸エステル、特開昭62−280842号に記載されているオルトケイ酸エステル、特開昭63−010153号、特開平9−171254号、同10−55067号、同10−111564号、同10−87733号、同10−153853号、同10−228102号、同10−268507号、同282648号、同10−282670号、EP−0884547Alに記載されているアセタール、ケタール及びオルトカルボン酸エステル、特開昭62−244038号に記載されているC−S結合を有する化合物を用いることができる。
上記酸分解性化合物の中でも特に、特開昭53−133429号、同56−17345号、同60−121446号、同60−37549号、同62−209451号、同63−010153号、特開平9−171254号、同10−55067号、同10−111564号、同10−87733号、同10−153853号、同10−228102号、同10−268507号、同282648号、同10−282670号、EP0884647Al各明細書に記載されているC−O−C結合を有する化合物、Si−O−C結合を有する化合物、オルト炭酸エステル、アセタール類、ケタール類及びシリルエーテル類が好ましい。
この酸分解性化合物の中でも、主鎖中に繰り返しアセタール又はケタール部分を有し、アルカリ現像液中でその溶解度が発生した酸により上昇する高分子化合物が好ましく用いられる。
これらの酸分解性化合物は、1種のみを用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。
また、酸分解性化合物の添加量としては、非画像部における汚れの発生や膜強度の観点から、酸触媒分解系層全固形分に対し5〜70質量%、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは15〜35質量%の割合で層中に添加される。
[相互作用解除系層や酸触媒分解系層に用いられる他の添加剤]
上述の相互作用解除系層や酸触媒分解系層においては、更に、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の、熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することができる。これらの化合物の添加は、画像部の現像液への溶解阻止性の向上を図る観点から好ましい。オニウム塩としてはジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げる事ができる。オニウム塩は、層を構成する全固形分に対して、1〜50質量%添加するのが好ましく、5〜30質量%添加するのがより好ましく、10〜30質量%添加するのが特に好ましい。
また、更に、感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することもできる。
上記の環状酸無水物、フェノール類及び有機酸類の各層中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
また、これら以外にも、エポキシ化合物、ビニルエーテル類、更には特開平8−276558号公報に記載のヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物及び特開平11−160860号公報に記載のアルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物等を目的に応じて適宜添加することができる。
[ネガ型及びポジ型感光層における添加剤]
また、上述したネガ型及びポジ型感光層のいずれにおいても、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
また、ネガ型及びポジ型感光層のいずれにおいても、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
更に、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
〔支持体〕
本発明における支持体としては、従来公知の、平版印刷版原版に使用される支持体を限定無く使用することができる。
使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上等の目的で、適切な公知の物理的、化学的処理を施してもよい。
特に、好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板は更に好ましい。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
アルミニウム板とは、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はアルミニウム(合金)がラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルム又は紙の中から選ばれる。以下の説明において、上記に挙げたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体をアルミニウム支持体と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A 1050、JIS A 1100、JIS A 3103、JIS A 3005などを適宜利用することができる。
また、本発明に用いられるアルミニウム支持体の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができる。アルミニウム支持体には適宜必要に応じて後述の支持体表面処理が施されてもよい。
(粗面化処理)
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。更に塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独或いは組み合わせて用いることもできる。その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm2〜400C/dm2の範囲である。更に具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
このように粗面化処理したアルミニウム支持体は、酸又はアルカリにより化学的にエッチングされてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。以上のように処理された後、処理面の中心線平均粗さRaが0.2〜0.5μmであれば、特に方法条件は限定しない。
(陽極酸化処理)
以上のようにして処理され酸化物層を形成したアルミニウム支持体には、その後に陽極酸化処理がなされる。
陽極酸化処理は硫酸、燐酸、シュウ酸若しくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独若しくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10,000ppm程度含まれてもよい。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/m2の範囲で直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。以上の処理によって作製された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/m2の範囲に入るように処理条件が選択されることが好ましい。
前記支持体表面の親水化処理としては、広く公知の方法が適用できる。特に好ましい処理としては、シリケート又はポリビニルホスホン酸等による親水化処理が施される。皮膜はSi、又はP元素量として2〜40mg/m2、より好ましくは4〜30mg/m2で形成される。塗布量はケイ光X線分析法により測定できる。
上記の親水化処理は、アルカリ金属ケイ酸塩、又はポリビニルホスホン酸が1〜30質量%、好ましくは2〜15質量%であり、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム支持体を、例えば、15〜80℃で0.5〜120秒浸漬することにより実施される。
前記親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩若しくは、第IVB族金属塩は単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及び親水化処理を組合せた表面処理も有用である。
<平版印刷版原版の作製>
本発明における平版印刷版原版は、支持体上に、感光層を設け、更に必要に応じて、下塗り層や保護層を設けてなる。かかる平版印刷版原版は、上述の各種成分を含む層用塗布液を、それぞれ、適当な溶媒に溶かして、支持体上に、順に塗布することにより作製することができる。
感光層を塗設する際には、前記各種の感光層成分を種々の有機溶剤に溶かして、支持体又は下塗り層上に塗布される。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
前記感光層の被覆量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響し得るもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の主要な目的である赤外線による走査露光用平版印刷版原版としては、その被覆量は乾燥後の質量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
(感光層の物性)
ここで、本発明における平版印刷版原版の感光層がラジカル重合系層や酸触媒架橋系層である場合、その感光層の物性としては、pH10〜13.5のアルカリ現像液に対する未露光部の現像速度が80nm/sec以上、かつ、該アルカリ現像液の露光部での浸透速度が50nF/sec以下であることが好ましい。
なお、ここで、pH10〜12.5のアルカリ現像液による未露光部の現像速度とは、感光層の膜厚(nm)を現像に要する時間(sec)で除した値であり、アルカリ現像液の露光部での浸透速度とは、導電性支持体上に前記感光層を製膜し、現像液に浸漬した場合の静電容量(nF)の変化速度を示す値である。
以下に、本発明における「アルカリ現像液に対する未露光部の現像速度」及び「アルカリ現像液の露光部での浸透速度」の測定方法について詳細に説明する。
[アルカリ現像液に対する未露光部の現像速度の測定]
ここで、感光層のアルカリ現像液に対する未露光部の現像速度とは、感光層の膜厚(nm)を現像に要する時間(sec)で除した値である。
本発明における現像速度の測定方法としては、図2に示すように、アルミニウム支持体上に未露光の感光層を備えたものをpH10〜13.5の範囲の一定のアルカリ現像液(30℃)中に浸漬し、感光層の溶解挙動をDRM干渉波測定装置で調査した。図2に、感光層の溶解挙動を測定するためのDRM干渉波測定装置の概略図を示す。本発明においては、640nmの光を用い干渉により膜厚の変化を検出した。現像挙動が感光層表面からの非膨潤的現像の場合、膜厚は現像時間に対して徐々に薄くなり、その厚みに応じた干渉波が得られる。また、膨潤的溶解(脱膜的溶解)の場合には、膜厚は現像液の浸透により変化するため、きれいな干渉波が得られない。
この条件において測定を続け、感光層が完全に除去され、膜厚が0となるまでの時間(現像完了時間)(s)と、感光層の膜厚(nm)より、現像速度を以下の式により求めることができる。この現像速度が大きいものほど、現像液により容易に膜が除去され、現像性が良好であると判定する。
(未露光部の)現像速度=〔感光層厚(nm)/記録完了時間(sec)〕
[アルカリ現像液の露光部での浸透速度の測定]
また、アルカリ現像液の露光部での浸透速度とは、導電性支持体上に前記感光層を製膜し、現像液に浸漬した場合の静電容量(nF)の変化速度を示す値である。
本発明における浸透性の目安となる静電容量の測定方法としては、図3に示すように、pH10〜13.5の範囲の一定のアルカリ現像液(28℃)中にアルミニウム支持体上に所定の露光量にて露光を行ない、硬化した感光層(図3中では記録層と表記)を備えたものを一方の電極として浸漬し、アルミニウム支持体に導線をつなぎ、他方に通常の電極を用いて電圧を印加する方法が挙げられる。電圧を印加後、浸漬時間の経過に従って現像液が支持体と感光層との界面に浸透し、静電容量が変化する。
この静電容量変化が一定になるまでに要する時間(sec)と、感光層の静電容量の飽和値(nF)より以下の式により求めることができる。この浸透速度が小さいものほど、現像液の浸透性が低いと判定する。
(露光部の)現像液浸透速度=
〔感光層の静電容量の飽和値(nF)/
静電容量変化が一定になるまでに要する時間(sec)〕
本発明の平版印刷版原版における感光層の物性において、上記測定によるpH10〜13.5のアルカリ現像液による未露光部の現像速度は、より好ましくは80〜400nm/secであり、更に好ましくは、90〜200nm/secである。一方、同様のアルカリ現像液の露光部での浸透速度は、より好ましくは0〜50nF/secであり、更に好ましくは、0〜10nF/secである。
感光層の未露光部の現像速度や、硬化後の感光層、即ち露光部でのアルカリ現像液の浸透速度の制御は、常法により行うことができるが、代表的なものとしては、未露光部の現像速度の向上には、親水性の化合物の添加が有用であり、露光部への現像液浸透抑制には、疎水性の化合物の添加する手段が有用である。
なお、感光層であるラジカル重合系層の構成成分として、上述の特定バインダーポリマーを使用することで、感光層の現像速度、現像液の浸透速度を容易に上記の好ましい範囲に調整することができる。
[中間層(下塗り層)]
本発明における平版印刷版原版には、感光層と支持体との間の密着性や汚れ性を改善する目的で、中間層(下塗り層)を設けてもよい。このような中間層の具体例としては、特公昭50−7481号、特開昭54−72104号、特開昭59−101651号、特開昭60−149491号、特開昭60−232998号、特開平3−56177号、特開平4−282637号、特開平5−16558号、特開平5−246171号、特開平7−159983号、特開平7−314937号、特開平8−202025号、特開平8−320551号、特開平9−34104号、特開平9−236911号、特開平9−269593号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平10−161317号、特開平10−260536号、特開平10−282682号、特開平11−84674号、特願平8−225335号、特願平8−270098号、特願平9−195863号、特願平9−195864号、特願平9−89646号、特願平9−106068号、特願平9−183834号、特願平9−264311号、特願平9−127232号、特願平9−245419号、特願平10−127602号、特願平10−170202号、特願平11−36377号、特願平11−165861号、特願平11−284091号、特願2000−14697号等に記載のものを挙げることができる。
[保護層]
本発明における平版印刷版原版の感光層がラジカル重合系層である場合、通常、露光を大気中で行うために、感光層の上に、更に、保護層(オーバーコート層とも呼ばれる。)を設けることが好ましい。保護層は、ラジカル重合系層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物がラジカル重合系層への混入することを防止し、大気中での露光を可能とする。従って、このような保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、ラジカル重合系層(感光層)との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。このような、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3,458,311号、特公昭55−49729号に詳しく記載されている。保護層に使用できる材料としては、例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることがよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られているが、これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。
保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル及びアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を有していてもよい。ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものを挙げることができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また、画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の感光層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改善すべく種々の提案がなされている。例えば、米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョン又は水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、感光層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。
本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば、米国特許第3,458,311号、特公昭55−49729号に詳しく記載されている。
従って、本発明においては、接着力、感度、不要なカブリの観点から、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンを併用することが好ましい。添加量比(質量比)は、ポリビニルアルコール/ポリビニルピロリドンが3/1以下であることが好ましい。塗布質量としては、1.0g/m2〜3.0g/m2であることが好ましい。
〔土台〕
本発明において用いられる土台は、その表面が350〜700nmの領域に、平版印刷版原版や平版印刷用ダミー版原版とは異なる吸収極大を有し、かつ、該吸収極大における吸光度が0.2以上であることを要する。なお、ここでは、少なくとも、カラーセンサーなどによる識別が行なわれる土台表面(平版印刷版原版や平版印刷用ダミー版原版が積層される面)が、上記の条件を満たしていればよいことを示しているが、勿論、土台全体が上記の条件を満たしているものであってもよい。
また、本発明における土台としては、平版印刷版原版や平版印刷用ダミー版原版を所定枚積層する際の土台になり得る材質のものを用いればよく、例えば、当てボールと呼ばれる厚紙(段ボール製)のものや、この当てボールをSUSブロック上に貼りつけたものも好ましく用いられる。
本発明における土台は、上述のように、平版印刷版原版や平版印刷用ダミー版原版と識別可能な色調を有するものであればよく、土台を形成する材質に起因して上記の条件を満たすものであってもよく、また、少なくとも、土台表面が着色されてものであってもよいし、更に、土台全体が着色されたものであってもよい。なお、土台を着色する場合には、400〜550nmの領域に極大吸収を有するように着色されることが好ましい。この範囲に極大吸収を有するように着色するためには、400〜550nmの領域に極大吸収を有する染料或いは顔料を用いることが好ましく、例えば、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)に記載のオレンジ色顔料を用いることができる。
以下、実施例によって本発明を説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〜6、比較例1〜4〕
[平版印刷版原版の作製]
(支持体の作製)
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて、以下に示す表面処理を行った。
<表面処理>
表面処理は、以下の(a)〜(f)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でエッチング処理を行い、アルミニウム板を5g/m2溶解した。その後水洗を行った。
(b)温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後水洗した。
(c)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%、アンモニウムイオン0.007質量%含む)、温度30℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で250C/cm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後水洗を行った。
(d)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を35℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後水洗した。
(e)温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(f)硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度33℃、電流密度が5(A/dm2)で、50秒間陽極酸化処理を行った。その後水洗を行った。この時の陽極酸化皮膜質量が2.7g/m2であった。
このようにして得られたアルミニウム支持体の表面粗さRaは0.27(測定機器;東京精密(株)製サーフコム、蝕針先端径2ミクロンメーター)であった。
(下塗り層の形成)
次に、このアルミニウム支持体に下記下塗り層用塗布液Aをワイヤーバーにて塗布し、90℃30秒間乾燥した。塗布量は10mg/m2であった。
<下塗り層用塗布液A>
・下記構造の高分子化合物A 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
Figure 0004359525
(感光層)
次に、下記感光層塗布液[P−1]を調製し、上記下塗り層上にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行い、平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は1.3g/m2であった。
<感光層塗布液[P−1]>
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.074g
・重合開始剤(OS−12) 0.280g
・添加剤(PM−1) 0.151g
・重合性化合物(AM−1) 1.00g
・バインダーポリマー(BT−1) 1.00g
・着色剤 (下記表1に記載の化合物・量)
・フッ素系界面活性剤 0.015g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 10.4g
・メタノール 4.83g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10.4g
なお、上記感光層塗布液に用いた重合開始剤(OS−12)は、前述の一般式(2)で表されるオニウム塩の化合物例として挙げられているものを指す。また、赤外線吸収剤(IR−1)、添加剤(PM−1)、重合性化合物(AM−1)、及びバインダーポリマー(BT−1)の構造を以下に示す。
Figure 0004359525
平版印刷版原版における感光層塗布液、後述する平版印刷版用ダミー版原版における非感光性層に含まれる着色剤とその添加量について下記表1に示す。また、表1中の着色剤であるエチルバイオレット(C−1)及びビクトリアピュアブルー(C−2)の構造は下記に示す。なお、染料(S−1)は、上述の非感光性層の着色剤として好ましい染料の具体例として挙げられたものを指す。
Figure 0004359525
Figure 0004359525
(保護層(オーバーコート層))
上記の感光層表面に、ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500)と、ポリビニルピロリドン(BASF社製、ルビスコールK−30)と、の混合水溶液をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃75秒間乾燥させた。なお、ポリビニルアルコール/ポリビニルピロリドンの含有量は4/1質量%であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は2.30g/m2であった。
[平版印刷用ダミー版原版の作製]
(支持体の作製)
99.5重量%アルミニウムに、銅を0.01重量%、チタンを0.03重量%、鉄を0.3重量%、ケイ素を0.1重量%含有するJIS A 1050アルミニウム材の厚み0.30mm圧延板を、400メッシュのパミストン(共立窯業製)の20重量%水性懸濁液と、回転ナイロンブラシ(6,10−ナイロン)とを用いてその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。
これを15重量%水酸化ナトリウム水溶液(アルミニウム4.5重量%含有)に浸漬してアルミニウムの溶解量が5g/m2になるようにエッチングした後、流水で水洗した。更に、1重量%硝酸で中和し、次に0.7重量%硝酸水溶液(アルミニウム0.5重量%含有)中で、陽極時電圧10.5ボルト、陰極時電圧9.3ボルトの矩形波交番波形電圧(電流比r=0.90、特公昭58−5796号公報実施例に記載されている電流波形)を用いて160クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。水洗後、35℃の10重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、アルミニウム溶解量が1g/m2になるようにエッチングした後、水洗した。次に、50℃30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、デスマットした後、水洗した。
更に、35℃の硫酸20重量%水溶液(アルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用いて、多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。すなわち電流密度13A/dm2で電解を行い、電解時間の調節により陽極酸化皮膜重量2.7g/m2とした。この支持体を水洗後、70℃のケイ酸ナトリウムの3重量%水溶液に30秒間浸漬処理し、水洗乾燥した。
以上のようにして得られたアルミニウム支持体は、マクベスRD920反射濃度計で測定した反射濃度は0.30で中心線平均粗さは0.58μmであった。
〔下塗り層〕
次に、上記アルミニウム支持体に下記下塗り層塗布液Bをワイヤーバーにて塗布し、90℃30秒間乾燥した。塗布量は128mg/m2であった。
<下塗り層塗布液B>
・下記構造の高分子化合物Bを含む溶液 0.4g
(イソプロピルアルコール/水=1/1の32質量%溶液)
・メタノール 5.6g
Figure 0004359525
〔非感光性層〕
次に、下記非感光性層塗布液[Q−1]を調製し、上記のアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて90℃で27秒間行い、平版印刷版用ダミー版原版を得た。乾燥後の被覆量は0.53g/m2であった。なお、非感光性層の塗布後、その極大吸収と吸光度とを島津製作所製、U−3010型分光高度計反射スペクトル測定装置により測定し、吸光度は非感光性層未塗布の支持体を基準として測定した値を用いた。結果を表3に示す。
<非感光性層塗布液[Q−1]>
・アルカリ可溶性ウレタンバインダーを含む溶液 2.465g
(下記(1)〜(4)のモノマーの反応物、重量平均分子量85,000、
酸含有量1.64meg/g、MFG/MEK=1/1の16質量%溶液)
(1)4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート ・・・37.5モル%
(2)ヘキサメチレンジイソシアネート ・・・12.5モル%
(3)2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 ・・・32.5モル%
(4)テトラエチレングリコール ・・・17.5モル%
・リン酸(85質量%水溶液) 0.08g
・スルホフタル酸(50質量%水溶液) 0.034g
・トリカルバリル酸 0.017g
・着色剤 (前記表1に記載の化合物・量)
・フッ素系界面活性剤 0.009g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
MEKの30質量%溶液)
・メチルエチルケトン(MEK) 7.93g
・メタノール 6.28g
・1−メトキシ−2−プロパノール(MFG) 2.01g
〔集積体の作製〕
土台としては、SUSブロック上に着色された当てボール(新富士製紙(株)社製:テンカラー(オレンジ))を貼り付けたものを用いた。その土台上に、上記の平版印刷版原版を、合紙を版と版との間に挿入しつつ、500枚積層して、集積体Aを作製した。
また、同様の土台上に、上記の平版印刷用ダミー版原版を、合紙を版と版との間に挿入しつつ、500枚積層して、集積体Bを作製した。
なお、合紙は、いずれも、第一コンテナー(株)社製F合紙を使用した。合紙の物性値は下記表2に示す通りである。
更に、比較例1では、上述の当てボールはオレンジの着色がされてないものを用いた。
Figure 0004359525
〔平版印刷版原版、平版印刷用ダミー版原版、土台、及び合紙の吸収極大の測定〕
島津製作所製U−3010型分光光度計反射スペクトル測定装置を用いて、平版印刷版原版、平版印刷用ダミー版原版、土台、及び合紙の吸収極大と、その吸収極大における吸光度を測定した。結果を表3に示す。
〔CTP製版システムにより製版特性の評価〕
CTP製版システムとしては、次に示すような構成のプレートセッターと、富士フイルム(株)社製自動現像機LP−1310HIIと、を連結させたものを用いた。
プレートセッターとしては、集積体設置位置と、露光光源が発光波長830nmの半導体レーザーであり、アウタードラム方式を採用した露光部と、プレート給排機構と、を備えており、集積体設置位置には、キーエンス社製カラーセンサー(センサー部:CZ−41、アンプ部:CZ−V1)を搭載し、その識別情報を基に、次なる処理方法を判断、実行し得るように、CTP製版システムを制御する制御装置に接続した。
なお、このCTP製版システムにおいて、現像液は下記の組成のものを用い、フィニッシャーは富士フイルム(株)社製GN−2Kの1:1水希釈液を用いた。
上記CTP製版システムにおける集積体設置位置に、集積体A及び集積体Bを設置して以下のように製版処理を行った。まず、平版印刷版原版、平版印刷用ダミー版原版、当てボール、及び合紙について、それぞれをカラーセンサーにて識別した。その識別結果に合わせて、平版印刷版原版であれば、解像度1200dpiで80%平網画像を、版面エネルギー120mJ/cm2で露光し、その後、搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。また、ダミー版原版であれば、露光は行わず、搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。更に、合紙であれば、その合紙を取り除く処理が施され、また、当てボールであれば、「版がない」ことを示すメッセージを出す処理を行った。
製版処理は、集積体A及び集積体Bとも500枚ずつ行い、すべての製版終了後に「版がない」ことのメッセージが出るか等、CTP製版システムにおいて、エラーが発生しないか確認した。製版処理において、問題ない場合は○、エラーが発生した場合は×で評価した(製版の可否)。また、エラーの内容は、備考に示した。評価結果を表3に示す。
(現像液)
下記成分を水に溶解し、KOHでpH=11.95(25℃)になるように現像液を調製した。
・界面活性剤:K−1 4.00質量%
・消泡剤:オルフィンAK−02 0.08質量%
・エチレンジアミンテトラ酢酸4Na塩 0.16質量%
・炭酸カリウム 0.16質量%
〔印刷性能の評価〕
上記製版処理において、100枚目に得られた平版印刷版とダミー版とを、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて印刷し、平版印刷版は非画像部の汚れと耐刷性を、また、ダミー版は非画像部の汚れを評価した。なお、非画像部の汚れは、耐刷性を示す数値における非画像部の汚れを目視にて確認し、最低値1、最高値5の五段階で官能評価を行った。3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。結果を表3に示す。
Figure 0004359525
表3から明らかなように、実施例1〜6の製版方法(本発明の製版方法)によれば、平版印刷版原版、平版印刷用ダミー版原版、当てボール、及び合紙の4要素のいずれもが識別可能であり、CTP製版システムにおいて、平版印刷版原版及び平版印刷用ダミー版原版は問題無く製版ができることが判明した。また、合紙の取り除き処理や、当てボールの識別による「版がない」のメッセージの提供を行うことができた。
対して、比較例1〜4は、備考に記載した通り、4要素の識別性が完全ではなく、平版印刷版原版及び平版印刷用ダミー版原版の少なくとも一方に製版処理にエラーが生じており、CTP製版システムにおいて実用上問題のあることがわかった。
本発明に係るCTP製版システムの例示的一態様の概略構成図である。 感光層の溶解挙動を測定するためのDRM干渉波測定装置の一例を示す概略構成図である。 現像液の感光層への浸透性を評価するのに用いられる静電容量の測定方法の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
10 集積体設置位置
12A、12B 集積体
20 プレートセッター(露光処理部)
30 自動現像機(現像処理部)
40 制御装置
50 搬送部

Claims (7)

  1. 土台上に平版印刷版原版を積層してなる集積体、及び、土台上に平版印刷用ダミー版原版を積層してなる集積体を設置する集積体設置部位と、赤外線照射による露光処理を行う露光処理部と、現像処理を行う現像処理部と、をこの順に備えたCTP製版システムを用いて、当該平版印刷版原版及び当該平版印刷用ダミー版原版を製版する製版方法であって、
    前記土台表面、前記平版印刷版原版、及び前記平版印刷用ダミー版原版が、350〜700nmの領域に各々異なる吸収極大を有し、かつ、該吸収極大における吸光度が0.2以上であり、
    製版対象となる版が前記集積体設置部位から前記露光処理部へ供給される前に、カラーセンサーにより、前記集積体設置部位上に設置された集積体を構成する積層された要素のうち最上部にある要素の識別を行い、識別された要素の機能に合わせてその後の処理を行うことを特徴とする製版方法。
  2. 前記平版印刷版原版の吸収極大が500〜600nmの範囲、前記平版印刷用ダミー版原版の吸収極大が350〜450nmの範囲、及び前記土台表面の吸収極大が400〜550nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の製版方法。
  3. 前記土台が着色された厚紙からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製版方法。
  4. 前記カラーサンサーにより前記平版印刷版原版が識別された場合、露光処理及び現像処理を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の製版方法。
  5. 前記カラーサンサーにより前記平版印刷用ダミー版原版が識別された場合、露光処理を経ることなく現像処理を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の製版方法。
  6. 前記カラーサンサーにより前記土台表面が識別された場合、平版印刷版原版もしくは平版印刷用ダミー版原版の残量が無いこと、又は、版の補充を促す情報、をユーザーへ提供することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の製版方法。
  7. 前記土台上に平版印刷版原版を積層してなる集積体及び前記土台上に平版印刷用ダミー版原版を積層してなる集積体の少なくとも一方は、積層された版と版との間に合紙が挿入されており、前記カラーセンサーにより、該合紙が識別された場合、該合紙を取り除く処理を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の製版方法。
JP2004085657A 2004-01-09 2004-03-23 製版方法 Expired - Lifetime JP4359525B2 (ja)

Priority Applications (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004085657A JP4359525B2 (ja) 2004-03-23 2004-03-23 製版方法
EP06022945A EP1743776B1 (en) 2004-01-09 2005-01-07 Method for producing a planographic printing plate and a dummy plate
AT06022945T ATE406260T1 (de) 2004-01-09 2005-01-07 Verfahren zur herstellung einer planographischen druckplatte und einer blindplatte
DE602005007070T DE602005007070D1 (de) 2004-01-09 2005-01-07 Blindplattenvorläufer für Flachdruck
AT05000238T ATE396878T1 (de) 2004-01-09 2005-01-07 Blindplattenvorläufer für flachdruck
DE602005009350T DE602005009350D1 (de) 2004-01-09 2005-01-07 Verfahren zur Herstellung einer planographischen Druckplatte und einer Blindplatte
US11/030,111 US7611824B2 (en) 2004-01-09 2005-01-07 Dummy plate precursor for planographic printing and method for producing printed plate and dummy plate
EP05000238A EP1552954B1 (en) 2004-01-09 2005-01-07 Dummy plate precursor for planographic printing

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004085657A JP4359525B2 (ja) 2004-03-23 2004-03-23 製版方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005274787A JP2005274787A (ja) 2005-10-06
JP4359525B2 true JP4359525B2 (ja) 2009-11-04

Family

ID=35174553

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004085657A Expired - Lifetime JP4359525B2 (ja) 2004-01-09 2004-03-23 製版方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4359525B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005274787A (ja) 2005-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4139724B2 (ja) 平版印刷版原版
JP2004252285A (ja) 感光性組成物及びそれを用いた平版印刷版原版
JP2004252201A (ja) 平版印刷版原版
JP4048134B2 (ja) 平版印刷版原版
JP4048133B2 (ja) 感光性組成物及びそれを用いた平版印刷版原版
JP4429116B2 (ja) 平版印刷版原版及び平版印刷版の製版方法
JP4362055B2 (ja) 平版印刷版原版
JP4437948B2 (ja) 平版印刷版原版
US20050069810A1 (en) Lithographic printing plate precursor
JP2007268993A (ja) 平版印刷版原版及び平版印刷版原版積層体
JP4048110B2 (ja) 平版印刷版原版及びその製版方法
JP2005215147A (ja) 重合性組成物
JP4359525B2 (ja) 製版方法
JP4393331B2 (ja) 平版印刷版原版
JP4524235B2 (ja) 平版印刷版原版
JP2007093662A (ja) 平版印刷版原版、及びその製版方法
JP2006098709A (ja) 平版印刷版原版
JP2005309425A (ja) 平版印刷版原版
JP2005202121A (ja) 平版印刷版の製版方法及び平版印刷版用リンス液
JP2004302208A (ja) 平版印刷版原版の製造方法
JP2005301242A (ja) 平版印刷版原版の製版方法
JP2004302206A (ja) 感光性組成物及びそれを用いた平版印刷版原版
JP2004252288A (ja) 感光性組成物及びそれを用いた平版印刷版原版
JP2005262878A (ja) 平版印刷版原版の製版方法
JP2005309411A (ja) 平版印刷版原版

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060427

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090512

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090707

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090804

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090810

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120814

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4359525

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120814

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130814

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term