JP4357009B2 - 耐光変色性の優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、耐光変色性の優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性、電気特性、耐酸性、耐アルカリ性、低比重、低吸水性等の優れた特性を有する樹脂であり、例えば、工業用品、電気・電子部品、事務機器、各種ハウジング、自動車部品、精密部品など、様々な用途に使用されている。
【0003】
しかし、ポリフェニレンエーテル系樹脂は耐光変色性が悪く、特に紫外線にさらされると、黄色に変色して外観が極度に悪化するという欠点があった。この欠点を改善するためにポリフェニレンエーテル系樹脂に紫外線吸収剤等を配合する技術がよく知られており、広く利用されている。
また、エポキシ化合物を立体障害アミン化合物と併用して配合する技術は古くから知られており、具体的には特開平1−161051号公報、特開昭62−283183号公報、特開平60−149646号公報に開示されている。
【0004】
しかしながら、紫外線吸収剤等を配合した組成物では、耐光変色性改善の効果はあるものの、大量に配合する必要があり、耐熱性が大幅に低下してしまう。
また、エポキシ化合物を配合した系においても、耐光性の改善効果は充分とは言えず問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、機械的物性や耐熱性を保持したままの、耐光変色性の極めて優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に対して検討を重ねた結果、ポリフェニレンエーテルをある特定の量に限定することにより、耐熱性を低下させることなく、驚くべき耐光変色性が発現されることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、
(A−1)ポリフェニレンエーテル15〜35重量部(A−2)芳香族ビニル重合体65〜85重量部からなる(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂と、(B)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートからなる立体障害アミン系光安定剤との混合物からなる耐光剤、(D)ある特定のリン酸エステル化合物からなるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であることを特徴とする耐光変色性に優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物である。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いることのできる(A−1)ポリフェニレンエーテルとは、一般式(a―1)及び/又は(a―2)で表される繰り返し単位を有する単独重合体あるいは共重合体である。
【0008】
【化9】
【0009】
【化10】
【0010】
(ここで、R10〜R15は、独立に炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素を示す。)
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。この中で、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが特に好ましい。
【0011】
ポリフェニレンエーテル共重合体とは、フェニレンエーテル構造を主単量単位とする共重合体である。その例として、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジフェニルフェノールの共重合体、あるいは、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等がある。
【0012】
また、本発明のポリフェニレンエーテル中には、本発明の主旨に反しない限り、従来ポリフェニレンエーテル中に存在させてもよいことが提案されている他の種々のフェニレンエーテルユニットを部分構造として含んでいても構わない。少量共存させることが提案されているものの例としては、特開平1−297428号公報及び特開昭63−301222号公報に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等が挙げられる。
【0013】
また、ポリフェニレンエーテルの主鎖中にジフェノキノン等が少量結合したものも含まれる。
本発明に用いるポリフェニレンエーテルの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば特公平5−13966号公報に記載されている方法に従って、ジブチルアミンの存在下に、2,6−キシレノールを酸化カップリング重合して製造することができる。
【0014】
さらに、本発明では押出機等にポリフェニレンエーテルを供給するときにポリフェニレンエーテルの官能化剤を共存させても構わない。好適な官能化剤としては、アクリル酸アルキル類、無水マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。アクリル酸アルキル類の中でも炭素数10以上のアルキル基を持つものが好適に使用でき、中でもアクリル酸ステアリルが特に好適である。
【0015】
ポリフェニレンエーテルの官能化剤の量は、ポリフェニレンエーテル100重量部に対して5重量部までが好ましい。より好ましくは、3重量部までである。
この官能化剤の添加方法は、あらかじめポリフェニレンエーテルと官能化剤をブレンドしてから押出機へ添加する方法、官能化剤だけの独立した供給装置を用いてポリフェニレンエーテルと同時に押出機へ供給する方法等があるが添加方法に関しては特に制限はない。また、官能化剤を取り扱いやすくするため、あらかじめポリフェニレンエーテル、スチレン系樹脂とマスターバッチ状に高濃度でブレンドしたものを用いても構わない。
【0016】
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリフェニレンエーテルの量が、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部中に対し15〜35重量部であることが特徴である。より好ましくは15〜30重量部である。
ポリフェニレンエーテルの量が35重量部を越えない範囲では、耐光変色性はポリフェニレンエーテルの量にあまり依存しないが、35重量部を越えると急激に耐光変色性が悪化するため好ましくない。また、15重量部を下回ると耐熱性が低下する。
【0017】
本発明で用いることのできる(A−2)芳香族ビニル重合体とは、芳香族ビニル化合物をゴム質重合体の存在下または非存在下で重合して得られる重合体、芳香族ビニル化合物と、芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物をゴム質重合体の存在下または非存在下で重合して得られる重合体をいう。
上記の芳香族ビニル化合物の例としては、スチレン系化合物が挙げられ、スチレン系化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−アミノスチレン、エチルスチレン等が挙げられ、これら2種以上の混合物であっても構わない。
【0018】
また、芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物の例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、メチルアクリレート、エチルアクリレート等のアクリル酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類、無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられ、これら2種以上の混合物であっても構わない。
【0019】
また、ゴム質重合体としては共役ジエン系ゴム、あるいは共役ジエンと芳香族ビニル化合物のコポリマーまたはその水素添加物、あるいはエチレン−プロピレン共重合体系ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等が挙げられ、これら混合物でもよい。さらに、共役ジエン系ゴムとしては、例えば、無機支持体に吸着したクロム化合物、又は有機金属化合物(例えばトリアルキルアルミニウム)と遷移金属化合物(例えばハロゲニド、特に塩化チタン、ヨウ化チタンまたはリチウムハロゲニド)との反応生成物を含む触媒を用い、不活性炭化水素溶液中でブタジエンを立体規則性重合によって製造される、1,4−シス結合を少なくとも50重量%以上、1,2−ビニル結合を10重量%以下としたものを用いても構わない。また、共役ジエン系ゴムを水素添加して、不飽和結合を減少させた部分水素添加共役ジエン系ゴムを用いても構わない。また、さらにゴムに封入されたポリスチレンの粒子がポリスチレン樹脂の連続相中に分散されたコア−シェル型の耐衝撃ポリスチレン樹脂も、本発明に好適に使用する事ができる。もちろんこれら共役ジエン系ゴムは2種以上の混合物であってもよい。
【0020】
本発明で用いることのできる芳香族ビニル重合体の製造方法は、限定されるものではなく、当業者に良く知られている塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合のいずれを用いてもよい。
また、これら芳香族ビニル重合体は単独で用いても、2種以上併用してももちろん構わない。
【0021】
本発明において、ポリフェニレンエーテルと芳香族ビニル重合体の好ましい混合比率は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部中、ポリフェニレンエーテルが15〜35重量部、芳香族ビニル重合体が65〜85重量部である。より好ましくはポリフェニレンエーテルが15〜30重量部、芳香族ビニル重合体が70〜85重量部である。
【0022】
ポリフェニレンエーテルの量が35重量部を越えると、急激に耐光性が悪化するため、好ましくない。また、15重量部を下回ると耐熱性が低下する。本発明で用いることのできる(B)耐光剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートからなる立体障害アミン系光安定剤との混合物である。
【0023】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール}等があげられ、この中で特に、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好適に用いることができる。これらはもちろん2種以上併用しても構わない。
【0024】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例を挙げると、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等があげられ、この中でも、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンが好ましい。これらは2種以上併用しても構わない。
【0025】
また、立体障害アミン系光安定剤の例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートが好適に用いられる。
【0026】
これら耐光剤は、本発明での耐光剤の量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部である。好ましくは、0.1〜3重量部、特に好ましくは0.2〜2重量部である。
【0027】
耐光剤の量が5重量部を超えると、耐熱性が低下し、0.01重量部を下回ると、耐光性改善効果が小さくなる。
【0036】
本発明中で用いることのできる(D)成分のリン酸エステル化合物は、一般式(d−1)、
【0037】
【化15】
【0038】
(ここで、Q1、Q2、Q3、Q4は、独立に炭素数1から6のアルキル基を表す。m1、m2、m3、m4は、独立に0から3の整数を表す。n2は0から3の整数を示す。Zは芳香環を含む基を表す。)で表されるリン酸エステル化合物である。このリン酸エステル化合物の中でも、nが1から3の整数でかつ、Zが一般式(d−4)
【0043】
【化18】
【0044】
(ここで、R8、R9はメチル基を表す。)である。このリン酸エステル化合物の具体例としては、2,2−ビス{4−[ビス(フェノキシ)ホスホリルオキシ]フェニル}プロパンである。
【0045】
本発明のリン酸エステルの配合量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して5〜30重量部である。5重量部を下まわると、難燃性が不足し、30重量部を超えると耐熱性が低下する。
【0046】
さらに本発明には、付加的成分として、その特徴を損なわない範囲であれば、上記の成分の他に、他の熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド類、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド等)や各種エラストマー(アルケニル芳香族化合物−共役ジエン化合物の共重合体及びまたは、その水素添加物、エチレンとα−オレフィンの共重合体等)や公知の無機及び有機の充填材や補強材(ガラス繊維、カーボン繊維、カーボン、ケイソウ土、ウィスカー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、ウォラストナイトなど)を添加する事もできる。これら充填材や補強材は粒状であっても繊維状であっても構わない。また、二酸化チタン、鉛白、四酸化三鉛、黄鉛、硫化第二水銀、酸化コバルトなども必要により添加する事ができる。 また、各種オイル(ミネラルオイル、シリコンオイルなど)、各種難燃剤(臭素化ポリスチレン等のハロゲン系難燃剤など)、滴下防止剤(ポリテトラフルオロエチレン等)難燃助剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、各種着色剤、香料、滑剤、離型剤、造核剤等の添加物を添加して用いることもできる。もちろん、これら混合物も有用である。
【0047】
本発明の耐光変色性の優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、種々の方法で製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱混練方法が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いて、(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(B)耐光剤、(D)リン酸エステル化合物、及び付加的成分を一段で溶融混練して押し出す方法と、(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂及び(D)リン酸エステル化合物を二軸押出機で押出した後、(B)耐光剤を単軸押出機で添加押出する方法が好ましい。この際の溶融混練温度は特に限定されるものではないが通常150〜350℃の中から任意に選ぶことができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。
(1) 機械的特性(Izod衝撃強度)
試験片をASTM−D256に従ってIzod衝撃強さを測定した。
(2) 耐熱性(荷重たわみ温度)
ASTM−D790に準拠した成形片を用い、ASTM−D648に従い荷重たわみ温度を測定した。
(3) 耐光変色性
アトラス社製のウェザオメーターC135を用いて、ブラックパネル温度が63℃、湿度55%、340nmでの照射エネルギーが0.35W/m2 になる条件で90mm×50mm×2.5mmの平板状試験片を暴露し、300時間後に取り出し、分光測色計CM−2002(ミノルタ(株)製)を用いて、△E*を計算し耐光変色性の指標とした。
【0049】
【実施例1〜3 参考例1〜3】
特開昭64−33131号公報に記載の方法に従ってジブチルアミンの存在下に、2,6−キシレノールを酸化カップリング重合した。
得られたポリスチレン換算の数平均分子量24,500のポリフェニレンエーテル[以下、PPEと略記]と、シス1,4結合が98%のポリブタジエンを9%含有し、ゴム粒径が1.5μm、フリーのポリスチレンのトルエン中30℃にて測定した還元粘度が0.82dl/gであるゴム変性耐衝撃性ポリスチレン樹脂[以下、HIPSと略記]、そして重量平均分子量が250,000のポリスチレン[以下、GPPSと略記]と、耐光剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール[以下、UV−1]、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン[以下、UV−2]、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート[以下、UV−3]を、リン酸エステル化合物として、オキシ塩化リンとフェノール及び、ビスフェノールAを反応させて合成した2,2−ビス{4−[ビス(フェノキシ)ホスホリルオキシ]フェニル}プロパンが80重量%含まれるリン酸エステル[以下、P−1と略記]、市販のレゾルシノール[ビス(ジフェニルフォスフェート)](大八化学工業(株)製、商品名、CR733S、[以下P−2])と、エポキシ化合物としてアルコールとエピクロルヒドリンの縮合物であるアルコールグリシジルエーテル(大日本インキ化学工業(株)製、商品名、EPICLON703、[以下、E−1])、水添ビスフェノールAジグリシジル(旭電化工業(株)製、商品名、EP−4080、[以下、E−2])を表1記載の割合で配合した。
【0050】
上記した以外にも本組成物には、PPE系樹脂100重量部に対して、紫外線遮蔽剤として二酸化チタン(タイオキサイドジャパン(株)製、R−TC30)が3.2重量部、酸化亜鉛が0.2重量部、滴下防止剤としてポリテトラフルオロエチレンが0.2重量部、さらに、硫化亜鉛が0.2重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトが0.2重量部、ステアリン酸亜鉛が0.5重量部、エチレンビスステアリルアミドが0.02重量部配合されている。
【0051】
表1記載の割合で配合されたものをL/D=40の同方向回転二軸混練押出機〔ウェルナー&ファウドラー社(ドイツ国)製、商品名、ZSK−25〕を用いて設定温度320C〜200Cにて押し出したストランドを、水浴中で冷却し、切断して、ペレットとして得た。
得られたペレットを、射出成形機〔東芝機械(株)製、商品名、IS−80EPN〕を用いて、金型温度60℃、シリンダー設定温度200℃〜240℃で、ASTM−D790に準拠した成形片、ASTM−D256に準拠した試験片、及び90mm×50mm×2.5mmの平板状試験片に成形した。
【0052】
【比較例1〜4】
表1に記載の割合でブレンドし、すべて実施例と同様にして、Izod衝撃強さ試験、荷重たわみ温度、耐光変色性を測定した。結果は表1に併記した。
【0053】
【参考例4】
比較のためのエポキシ化合物として水素添加されていない通常のビスフェノールAジグリシジル(旭電化工業(株)製、商品名、EP−4100、以下、E−3と略記)を用いた以外はすべて実施例と同様にして、Izod衝撃強さ試験、荷重たわみ温度、耐光変色性を測定した。組成及び結果は表1に併記した。
【0054】
PPE含有量と耐光変色性の関係を表したグラフを図1に示した。PPE含有量が35重量部を境として、耐光変色性の挙動が大幅に変わり、PPE含有量が35重量部を越えると急激に耐光変色性が悪化することが判る。
表1及び図1から、PPE系樹脂中の(A−1)PPEの量を35重量部以下に抑制することにより耐光変色性の向上に大きく寄与することが判る。また、エポキシ化合物の中でも不飽和結合を有さないエポキシ化合物が耐光変色性の向上に大きく寄与する事が判る。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】
本発明の耐光変色性の優れたPPE系樹脂組成物は、機械的特性や耐熱性が何ら損なわれることなく、耐光変色性が飛躍的に向上した樹脂組成物である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPPE系樹脂組成物100重量部中のPPE含有量とウェザオメーター、300時間照射後の耐光変色性(△E*)との関係を示すグラフ。
Claims (3)
- (A)ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して(B)耐光剤が0.01〜5重量部、(D)リン酸エステル化合物が5〜30重量部配合されてなる樹脂組成物において、(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂が(A−1)ポリフェニレンエーテル15〜35重量部と(A−2)芳香族ビニル重合体65〜85重量部を含有するものであり、(B)耐光剤がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートからなる立体障害アミン系光安定剤との混合物であり、(D)リン酸エステル化合物が一般式(d−1)で表されるリン酸エステル化合物であることを特徴とする耐光変色性に優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
- 請求項1に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を材料として成形された成形品であって、工業用品、電気・電子部品、事務機器、各種ハウジング、自動車部品、精密部品のいずれかに用いられることを特徴とする成形部品。
- 成形部品が事務機器ハウジングであることを特徴とする請求項2記載の成形部品。
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