JP4354370B2 - 漂白パルプの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の製造方法の対象となる原料パルプは、セルロース含有材料であり、GP(砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CGP(ケミグラウンドパルプ)、SCP(セミケミカルパルプ)、SP(サルファイトパルプ)、KP(クラフトパルプ)、AP(アルカリパルプ)、古紙パルプ等が挙げられ、木材(針葉樹、広葉樹)、非木材(草本類)パルプいずれにも実施可能である。また、セルロース含有材料のスラリー濃度は低濃度(10重量%未満)、中濃度(10〜20重量%)、高濃度(20重量%以上)のいずれにも適応可能である。古紙パルプには古紙パルプを脱墨して得られる脱墨パルプも含む。特に、本発明では、原料パルプが古紙パルプを含むことが好ましい。
(1)(A1)成分
アミンのアセチル化物(A1)としては、トリアセチルアミン、トリプロピオニルアミン、ジアセチルアニリン、ジアセチル−p−トルイジン、テトラアセチルメチレンジアミン、テトラプロピオニルメチレンジアミン、テトラアセチルエチレンジアミン、テトラプロピオニルエチレンジアミン、ペンタアセチルジエチレントリアミン、ペンタプロピオニルジエチレントリアミン、ポリアルキレンポリアミンと脂肪酸のアミド、ポリアルキレンポリアミンと脂肪酸のアミドを尿素で縮合したもの、等が挙げられる。なかでも、好ましくはテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)である。本発明では、方法1において、これら(A1)成分は、(B1)成分と組み合わせて使用される。
アルカノイルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩(A2)としては、下記一般式(A2)
RCOO−Ph−SO3M (A2)
〔式中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、Phはフェニレン基、Mは水素原子又はアルカリ金属である。〕
で表される化合物が挙げられる。具体的には、アセトキシベンゼンスルホン酸、p−ノナノイロキシベンゼンスルホン酸(NOBS)、p−ラウロイロキシベンゼンスルホン酸(LOBS)、ベンゾイロキシベンゼンスルホン酸等及びこれらのアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩が挙げられる。本発明では、方法2において、これら(A2)成分は、(B2)成分と組み合わせて使用される。
(B)成分は(A)成分を分散又は溶解できる分散剤成分であり、溶剤(B1−1)、非イオン界面活性剤(B1−2)及び陽イオン界面活性剤(B1−3)からなる群より選ばれる1種以上の化合物〔(B1)成分〕、又は陰イオン界面活性剤〔(B2)成分〕である。非イオン界面活性剤(B1−2)にはポリアルキレングリコールを含む。また、陽イオン界面活性剤(B1−3)にはカチオン系の高分子化合物を含む。
溶剤(B1−1)としては、(A1)成分が溶解する有機溶剤である、エタノール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、クロロホルム等が挙げられる。
R1:炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基
R2, R3:同一又は異なって水素原子又はCH3
m, n:0〜300の数を示し、 m+n =1〜300である。〕
R4:炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基
R5, R6:同一又は異なって炭素数1〜3のアルキル基
D :- NHCO- 基又は -CONH-
E :炭素数1〜5のアルキレン基
a,b :0又は1の数を示し、a=b=0であるか、又はa=b=1である。〕
R7(OR8)xGy
〔式中、
R7:直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜18のアルキル基もしくはアルケニル基、又は総炭素数14〜24のアルキルフェニル基
R8:炭素数2〜4のアルキレン基
G :グルコースに由来する残基
x :平均値0〜20の数
y :平均値1〜10の数を示す。〕
陰イオン界面活性剤(B2)としては、例えば下記のものが挙げられる。
(B2−1)直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩もしくはアルキルベンゼン硫酸エステル塩であってアルキル基の平均炭素数が8〜24のもの。
R9:炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基
J :炭素数1〜3のアルキル基又は陽イオン
Z :陽イオンを表す。〕
ここで陰イオン界面活性剤の陽イオンとしてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオンを挙げることができる。
酸化剤(C)としては、酸素系漂白剤として作用するものが挙げられ、オゾン、酸素、過炭酸塩、過酢酸、過酸化水素、過硼酸塩、過リン酸塩、金属過酸化物等が挙げられる。なかでも過酸化水素が好ましい。
本発明では、漂白活性化剤(A)と分散剤(B)とを予め混合して得られた組成物と、酸化剤(C)とを用いて原料パルプを漂白して漂白パルプを製造するが、(A)成分と(B)成分は、前記の通り、方法1では(A1)成分と(B1)成分との組み合わせ(方法1)が、方法2では(A2)成分と(B2)成分との組み合わせが採用される。
原料古紙として未印刷新聞紙をパルプ乾燥重量で120g秤り取り、パルプ濃度15重量%のパルプスラリーを調製した。これに、水酸化ナトリウム1.2重量%(対パルプ乾燥重量)、珪酸ナトリウム1.2重量%(対パルプ乾燥重量)、DI−767(花王(株)製、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤)を0.2重量%(対パルプ乾燥重量)を添加し、40℃で7分間、450rpmの攪拌下で離解した。
乾燥重量で40gとなるようにスラリーを採取する。別途、水酸化ナトリウム1.2重量%(対パルプ乾燥重量)、3号珪酸ナトリウム1.2重量%(対パルプ乾燥重量)のアルカリ水溶液を調製し、これに、表1又は表2の(A)成分と(B)成分との混合物を添加し、均一にした後、パルプスラリーに添加する。次いで、表1又は表2の(C)成分をパルプスラリーに添加する。60℃で0.5時間又は2時間漂白を行い、氷水に浸漬させパルプを冷却して漂白を終える。なお、(A)成分中、TAEDはACROSS ORGANICS社製のものを用いた。LOBSは、特開平8−41492号公報の参考例2(段落0052〜0053)に準じてラウリル酸から合成した塩化ラウロイルと、p−フェノールスルホン酸2ナトリウムとから合成したものを用いた。
漂白後のパルプスラリー中のパルプ濃度を2重量%となるように水で希釈して、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)を10重量%(対パルプ乾燥重量)添加した希釈スラリーを用いて、タッピ抄紙機にて抄紙し、次いでドラムドライヤーで105℃で2分間乾燥し、坪量150g/m2のパルプシートを作製した。
パルプシートの白色度、緊度、破裂強度を以下の方法で測定した。
JIS P 8123ハンター白色度による。白色度の0.5ポイントの差は有意差として十分に認識されるものである。
調湿されたシートの坪量(g/m2)と厚み(mm)を測定し、下記計算式により緊度(g/cm3)を求めた。
緊度=(坪量)/(厚み)×0.001
緊度は小さいほど嵩が高く、また緊度の0.005の差は有意差として十分に認識されるものである。
紙力測定項目として JIS P 8112法により破裂強度を測定した。破裂強度の0.05ポイントの差は有意差として十分に認識されるものである。
・アルコールEO:ステアリルアルコールのEO付加物(EOp50)
・アルコールEOPO:ラウリルアルコールのEO、POブロック付加物(EOp20、POp10)
・グリセリンEO/PO:グリセリンのEO、POランダム付加物(EOp150、POp100)
・ポリエチレングリコール:EOの縮合物(EOp50)
・コータミン86P:花王(株)製、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド
・MDポリマー:花王(株)製、ポリN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩
・エマール10:花王(株)製、ラウリル硫酸ナトリウム
・ポイズ530:花王(株)製、ポリカルボン酸塩型高分子界面活性剤
・デモールMS:花王(株)製、芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩
・アンヒトール24B:花王(株)製、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン
・ポリマーA:ジメチルアミノエチルメタクリル酸/アクリル酸ナトリウム(モル比6/1)の共重合物
Claims (9)
- 漂白活性化剤(A)と分散剤(B)とを混合して得られた組成物と、酸化剤(C)とを用いて原料パルプから漂白パルプを製造する漂白パルプの製造方法であって、漂白活性化剤(A)がアミンのアセチル化物(A1)であり、分散剤(B)が非イオン界面活性剤(B1−2)及び陽イオン界面活性剤(B1−3)からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、漂白パルプの製造方法。
- 非イオン界面活性剤(B1−2)が、下記(B1−2−1)〜(B1−2−9)から選ばれる非イオン界面活性剤である、請求項1記載の漂白パルプの製造方法。
(B1−2−1)ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルであって、アルキル基またはアルケニル基の平均炭素数が8〜24であり、アルキレンオキサイドの炭素数は2〜4であり、アルキレンオキサイド付加モル数は、平均で1〜300モルであるもの。
(B1−2−2)ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルであって、アルキル基の平均炭素数が6〜12であり、アルキレンオキサイドの炭素数は2〜4であり、アルキレンオキサイド付加モル数は、平均で1〜300モルであるもの。
(B1−2−3)下記の一般式で表わされる高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物。
〔式中、
R1:炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基
R2, R3:同一又は異なって水素原子又はCH3
m, n:0〜300の数を示し、 m+n =1〜300である。〕
(B1−2−4)蔗糖脂肪酸エステルであって、脂肪酸部分の平均炭素数が8〜24であるもの。
(B1−2−5)脂肪酸グリセリンエステルであって、脂肪酸部分の平均炭素数が8〜24であるもの。
(B1−2−6)アミンオキサイド。
(B1−2−7)アルキレンオキサイドを縮合して得られる非イオン界面活性剤。
(B1−2−8)アルキル、アルケニル又はアルキルフェニル多糖類。
(B1−2−9)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物。 - 陽イオン界面活性剤(B1−3)が、アルキル(炭素数12〜18)トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル(炭素数12〜18)ジメチルアンモニウム塩、アルキル(炭素数12〜14)ジメチルベンジルアンモニウム塩、置換ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、N−アルキル−N,N,N’,N’,N’−ペンタメチル−プロピレンアンモニウム塩、及びポリN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸塩から選ばれる陽イオン界面活性剤である、請求項1又は2記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記組成物中の漂白活性化剤(A)と分散剤(B)の重量比が、(A)/(B)=99/1〜1/99である、請求項1〜3の何れか1項記載の漂白パルプの製造方法。
- 漂白活性化剤(A)と酸化剤(C)とを、(A)/(C)=10/90〜85/15の重量比で用いる、請求項1〜4の何れか1項記載の漂白パルプの製造方法。
- 原料パルプと水とを含む水−パルプスラリーを用いて、(A)〜(C)の存在下に原料パルプの漂白を行い、且つ(A)〜(C)の前記水−パルプスラリーへの添加を25℃以下で行う、請求項1〜5の何れか1項記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記水−パルプスラリーの温度を40〜100℃として原料パルプの漂白を行う、請求項6項記載の漂白パルプの製造方法。
- 原料パルプが古紙パルプを含む請求項1〜7の何れか1項記載の漂白パルプの製造方法。
- 請求項1〜8の何れか1項記載の製造方法により漂白パルプを製造する工程と、該工程により得られた漂白パルプを抄紙する工程とを有する、パルプシートの製造方法。
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