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JP4347738B2 - 電気連結器 - Google Patents

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Description

本発明は、産業機械、特に鉄道車両等の電気車両において電気回路の接続、切り離しを行う場合に使用される電気連結器に関する。
産業機械、特に鉄道車両等の電気車両において電気回路の接続、切り離しを効率的に1操作で行おうとする場合に、電気連結器が使用される。一例として、運転台からの遠隔操作で自動連結、自動解放するため、車両同士を連結する機械連結器に付設される電車の電気連結器を図面により説明する。
複数の車両を連結して構成する電車列車、気動車列車等においては、各車両間に動力用、制御用、信号用等の直流、交流、高圧、低圧さまざまな電線(光ケーブルを含む)が引き通されているが、これらは車両そのものの連結、解放と同時に接続、切り離しを行わねばならない。従来、これらの電線はブレーキ用の空気配管とともに作業員による手作業で連結、切り離しを行っていたが、安全性の向上ならびに作業時間の短縮のため、機械連結器に電気連結器を付設し、車両の連結、解放と同時に電線の接続、切り離しも行えるようにすることが一般的になっている。
その一例として、図16は特許文献1に記載されている機械連結器に電気連結器を付設した状態を示す正面図、図17は同じく側面図で、1は密着式の機械連結器、2は電気連結器、21はその箱体、22は電気連結器正面要部を覆う蓋、221は蓋22を閉じる方向に付勢する引張りばねである蓋ばね、222は蓋22を回転支持する支持軸、223は蓋22の側面に取り付けられたカムローラ、23は押し棒、231は押し棒を押し出し方向に付勢する圧縮ばねである戻しばね、24は当て板、3は電気回路の接触片、5はこれに接続されるケーブルである。
この電気連結器は箱体21正面の開口内に複数の接触片3を配置した絶縁台を収納し、連結時には箱体21後部上方に退避し、非連結時には支持軸222回りに回動降下して前記開口をふさぐ略円筒状の蓋22を備えている。非連結時、すなわちこの電気連結器が列車の先頭部になっている場合等には接触片3の先端部分が水にぬれたり、塵埃が付着したりしないよう、正面の開口を蓋22でふさいで保護するのである。
車両が連結直前の距離まで接近すると前記の押し棒23が相手車両の当て板24に当たって押され、押し棒23に設けられたカムによってカムローラ223が押され、蓋22が開いて接触片3が露出し、機械連結器1の連結された状態で相手車両の接触片3と接触して電気回路がつながるようになっている。車両間に引き通される配線は数本から多いもので二百本以上に達するため、箱体21の内部にはこれら多数の接触片3が所定の間隔を保って縦横に配置されている。
しかしこのように正面の開口を蓋22でふさぐことで一応の防塵、防水効果は達せられるものの、蓋が閉じた状態においても蓋22と箱体21との間には至るところに微小な隙間が存在するから、列車の高速化に伴いこうした隙間から侵入する水滴、塵埃は無視できないものとなってきている。そこで特許文献2には、箱体21や蓋22の各所に弾性シートを貼り付けたりふさぎ部材等を取り付けることで、蓋の閉じた電気連結器の解放状態において蓋22と箱体21との接触部分における隙間を極力なくす構造とすることが記載されている。
実公平7-30449号公報 特開2002-225705号公報
しかしいかなる密閉構造も絶対ではなく、所詮は列車速度に対応した相対的なものである。特に蓋の開閉が単なる回転運動であると、密閉構造にも限界がある。本発明は、蓋の動きを見直すことにより従来に比較して一層の密閉構造を実現し、列車速度のさらなる向上に対応できるようにすることを目的とする。
本発明は、箱体正面の開口内に複数の接触片を配置した絶縁台を収納し、連結時には前記箱体正面開口上方に退避し、非連結時には水平方向の支持軸回りに回動降下して前記開口をふさぐ略円筒状の蓋を有する電気連結器において、この蓋が降下した状態において前記開口に引き寄せ、また前記開口から離反させる水平移動機構を有することを特徴とする前記の電気連結器であり、前記水平移動機構が、前記箱体の両脇に配置され、揺動する中間リンクと、相手車両の電気連結器の当て板に押されて蓋を開閉させる押し棒の側面に設けられたガイド溝と、このガイド溝に係合して前記中間リンクを揺動させる係合ピンと、前記中間リンクの先端に設けられ、前記蓋の支持軸が貫通する長孔と、前記箱体の両脇に設けられ、同じく前記蓋の支持軸が貫通する蓋用長孔とからなるものである電気連結器であって、前記蓋が、引き寄せられた状態において開口に取り付けられたガスケットに全周で密着する押し付け部材を裏面に備えたものである前記の電気連結器であり、さらにまた、1対の機械連結器にそれぞれ取り付けられる1対の電気連結器のうち一方が、可動枠を介して機械連結器に対して移動可能であり、連結状態において他方の電気連結器と一体となるように結合されるものである前記の電気連結器である。
本発明によれば、蓋が降下している非連結時においても蓋の裏面が開口に取り付けられたガスケットに全周で密着するので、接触片は完全に密封され、車両を高速運転しても水滴や塵埃の侵入がなく、接触片の劣化や絶縁不良が防止されるという、すぐれた効果を奏する。
従来から、箱体21の正面開口を囲むようにガスケットが取り付けられているが、これは連結状態において相手側の同じガスケットと接して押し合い、連結面を密封するのが目的であった。そして蓋は開閉の際にこれを損傷しないよう、少し離れた位置に取り付けられていた。本発明では蓋に対して従来の回転運動に加えて、水平方向に進退可能とし、解放状態において蓋をこのガスケットに引き寄せることにより、より完全な密閉構造を実現することができた。
以下本発明の第1の実施例を図面により説明する。図1は第1の実施例の電気連結器を示す側面図、図2は同じく平面図、図3は正面図、図4はこの電気連結器を機械連結器の両脇に取り付けた状態を示す正面図で、これまでの説明と同じものには同一符号を使用し、1は機械連結器、2は電気連結器、21はその箱体、22は蓋、23は押し棒、24は当て板、211は箱体21の正面開口を囲むように取り付けられたガスケット、212は電気連結器2の取り付けボルト、3は接触片、4は取り付け部材、5はケーブルである。
この電気連結器2は例えば図4に示すように、機械連結器1の両脇に、取り付けボルト212を介して取り付け部材4に取り付けられる。取り付け位置は特に両脇とは限らず、機械連結器1の上部、あるいは下部でもよいが、いずれにしても機械連結器1と一体になるように取り付けられ、車両のレール方向の移動に伴い、機械連結器1と同じように移動する。
車両が連結直前の距離まで接近すると前記の押し棒23が相手車両の当て板24に当たって押され、押し棒23に設けられたカムによってカムローラ223が押され、蓋22が開いて接触片3が露出し、機械連結器1の連結された状態で相手車両の接触片3と接触して電気回路がつながるようになっていることはこれまでに説明した従来のものと同様である。
図5は本発明の電気連結器2の特徴的部分である蓋22、中間リンク25、押し棒23を示す斜視図、図6はこれらを組み立てた状態で示す部分斜視図である。
蓋22は円筒状の前板220、扇形の側板224、回転中心となる支持軸222、押し棒23に押されるカムローラ223、蓋ばね221に接続される先端ピン226など、従来のものと同様の構成であるが、前板220の裏面に追って説明する押し付け枠225(押し付け部材)が設けられている。中間リンク25は本発明において新たに設けられたもので、一対のくの字状のリンクプレート250が左右同じ動きをするよう、連結棒254で連結されている。リンクプレート250の連結棒254寄りの位置に押し棒23と係合する係合ピン253が取り付けられている。回転軸251は中央付近にある。係合ピン253と反対側のアーム先端には、蓋22の支持軸222が貫通する長孔252が設けられている。押し棒23も前記のカムローラ223を押すカム233が設けられているのは従来と同じであるが、その反対側の側面にはガイド溝232が設けられている。ガイド溝232はほぼ直線状であるが、根本部分のみやや上向きに彎曲しており、前記の係合ピン253がこの溝に係合する。彎曲部分は中間リンク25の揺動に対応するためである。
図6に示すように、箱体21の側面には蓋22の支持軸222が貫通する蓋用長孔213と、中間リンク25の回転軸が取り付けられる中間リンク用丸孔214が設けられている。したがって中間リンク25はこの中間リンク用丸孔214を支点として揺動するが、蓋22は中間リンク25の長孔252を支点として回転するので、回転中心は一定ではない。
図7は内側から見た蓋22の部分斜視図である。前板220の裏面に前記した押し付け枠225が設けられている。この押し付け枠225の形状、寸法はガスケット211に対応するものである。この図では中を抜いた額縁状のものを示しているが、単なる四角い板でもよい。
つづいて解放状態から連結状態までの電気連結器2の各部の動きを図8ないし11により説明する。図8は解放状態である。中間リンク25の係合ピン253が押し棒23のガイド溝232の上向きに彎曲した部分に係合しているので、中間リンク25は係合ピン253側が持ち上げられ、長孔252側が下がった状態である。このときの図8のCで示した部分を図13の(c)に示す。中間リンク25と箱体21との二つの長孔、すなわち長孔252と蓋用長孔213とを貫通する蓋の支持軸222はこの図において左側に引き寄せられ、さらに図8に示す蓋ばね221によっても左側に引かれている。図8のAで示した部分を図12の(a)に示す。蓋は左側に寄り、押し付け枠225がガスケット211を押し付けている。ちなみにガスケットの自由状態に対し、例えば2mm押し込んだ状態となっている。
つぎに連結状態になって相手車両が接近し、押し棒23が相手車両の電気連結器2aの当て板24に接触した状態を図9に示す。押し棒23がやや押し込まれることで係合ピン253はガイド溝232の水平部分に入り、中間リンク25はこの図において反時計方向に揺動し、長孔252が持ち上げられる。このときの図9のDで示した部分を図13(d)に示す。中間リンク25の図の矢印方向の揺動によって蓋の支持軸222は箱体21の蓋用長孔213でみると水平右側に押される。したがって図9のBで示した部分、すなわち図12(b)に示すように蓋22の押し付け枠225は完全にガスケット211から離れ、この状態で回転してもガスケット211を損傷するおそれがなくなる。水平方向の移動量は例えば17mmである。
図9の状態において押し棒23のカム233は蓋22のカムローラ223の位置に到達しており、これ以上車両が接近すれば押し棒23によって蓋22が回転して開くことになる。図10は連結面間がせばまり、蓋22が開き始めた状態を示している。図11は最終の連結状態を示す。ちなみにこのときの両側の箱体の間隔は例えば8mmであり、ガスケット211が片側4mm突出している。図9の状態から以降は押し棒23のガイド溝232の高さは変わらないから中間リンク25は揺動せず、蓋22の支持軸222の位置は変わらないから、蓋22の動きはさきに図16で説明した従来のものと同じである。
本実施例の電気連結器の蓋を閉じた状態、すなわち蓋をガスケットに押し付けた状態で深さ2mの水槽に入れて耐水試験を行ったが水の侵入はなく、すぐれた密封性が証明された。
本発明の第の実施例を図15を用いて説明する。これまで説明した電気連結器は、例えば図4に示したようにそれぞれ機械連結器に対してボルト等で一体に結合されていた。したがって機械連結器のガタが大きい場合や、摩耗や変形が生じていると、電気連結器相互の取り合い寸法が狂ってしまう可能性がある。この実施例の電気連結器はこの問題点を解消するもので、図15において2b、2cは1対の電気連結器であるが、一方の2cがこれまでと同様に機械連結器に直接固定されているのに対して他方の2bは可動枠41を介して取り付けられており、機械連結器に対して相対移動が可能である。電気連結器2bの箱体21と可動枠41との間にはカップ261、コーン262、押し出しばね263よりなる押し出し機構26が設けられており、自由状態では箱体21をレール方向に前方に押し出している。27はこの状態で固定する固定ピンで、ソレノイドなどで出入して、必要に応じて固定したり可動状態にしたり切り替えできる。
両側の電気連結器2b、2cの連結面には片側に案内ピン28、その反対側には案内受け29が対称に配置され、連結状態では案内ピン28が相手側の案内受け29に挿入されて、機械連結器の摩耗や変形にかかわりなく、両側の電気連結器2b、2cが望ましい状態で合体され、その状態を維持する。なお、蓋周りの機構はこれまでの説明のものと同様である。
この連結器部分が連結されていないときは、可動側の電気連結器2bは車両の振動などで揺れることのないよう、押し出しばね263によって押し出された位置で固定ピン27により固定されている。連結作業に入るときは固定ピン27を抜き出し、動ける状態にする。なお、固定ピン27を完全に抜き出してしまわず、先端のテーパ部分が箱体21の孔に残るようにしておくと、再固定が確実にできる。電気連結器2b、2cが接近し、案内ピン28が相手の案内受け29に挿入されるとともに可動側電気連結器2bは押し出された分だけ押し戻されて連結状態となる。以後、解放されるまで可動側電気連結器2bは固定側電気連結器2cと一体となってこれに追従する。なお、前記押し出し機構26は、押し出した状態ではカップ261とコーン262の中心が一致して箱体21をほぼ可動枠41の中心位置に保持するが、押し戻された状態ではカップ261とコーン262の間に隙間が生じるので箱体21を拘束しない。
このように本実施例では1対の電気連結器間の取り合い寸法が一致したままその状態を維持するから、蓋周りの密閉性に加え、連結状態における電気回路の同通がいっそう確実なものとなる。
以上本発明の各実施例について特徴部分を中心に説明したが、従来から行われている密閉構造、例えば前記の特許文献2に記載された弾性シートやふさぎ部材、水切り等を本発明の電気連結器に併用することは任意であり、密封性をより確実にするために好ましい。また各実施例とも、電気連結器の機械連結器への取り付け位置は機械連結器の上下、左右いずれでもよい。
本発明の第1の実施例の電気連結器を示す側面図である。 本発明の第1の実施例の電気連結器を示す平面図である。 本発明の第1の実施例の電気連結器を示す正面図である。 本発明の第1の実施例の電気連結器の取り付け状態を示す正面図である。 本発明の第1の実施例の電気連結器の構成部品を示す斜視図である。 本発明の第1の実施例の電気連結器の構成部品を組立状態で示す斜視図である。 本発明の第1の実施例の電気連結器の蓋の内側から見た部分斜視図である。 本発明の第1の実施例の電気連結器の各部の動きを説明する説明図である。 同じく本発明の第1の実施例の電気連結器の各部の動きを説明する説明図である。 同じく本発明の第1の実施例の電気連結器の各部の動きを説明する説明図である。 同じく本発明の第1の実施例の電気連結器の各部の動きを説明する説明図である。 本発明の第1の実施例の電気連結器の要部の動きを説明する部分断面図である。 本発明の第1の実施例の電気連結器の要部の動きを説明する部分正面図である。 本発明の第3の実施例の一対の電気連結器を示す平面図である。 従来の技術における機械連結器に電気連結器を付設した状態を示す正面図である。 同じく従来の技術における機械連結器に電気連結器を付設した状態を示す側面図である。
符号の説明
1 機械連結器
2、2a、2b、2c 電気連結器
3 接触片
4 取り付け部材
5 ケーブル
21 箱体
22 蓋
23 押し棒
24 当て板
25 中間リンク
26 押し出し機構
27 固定ピン
28 案内ピン
29 案内受け
41 可動枠
211 ガスケット
212 取り付けボルト
213 蓋用長孔
214 中間リンク用丸孔
220 前板
221 蓋ばね
222 支持軸
223 カムローラ
224 側板
225 押し付け枠(押し付け部材)
226 先端ピン
231 戻しばね
232 ガイド溝
233 カム
250 リンクプレート
251 回転軸
252 長孔
253 係合ピン
254 連結棒
261 カップ
262 コーン
263 押し出しばね

Claims (4)

  1. 箱体(21)正面の開口内に複数の接触片(3)を配置した絶縁台を収納し、連結時には前記箱体(21)正面開口上方に退避し、非連結時には水平方向の支持軸(222)回りに回動降下して前記開口をふさぐ略円筒状の蓋(22)を有する電気連結器(2)において、この蓋(22)が降下した状態において前記開口に引き寄せ、また前記開口から離反させる水平移動機構を有することを特徴とする電気連結器。
  2. 前記水平移動機構が、前記箱体(21)の両脇に配置され、揺動する中間リンク(25)と、相手車両の電気連結器の当て板(24)に押されて蓋(22)を開閉させる押し棒(23)の側面に設けられたガイド溝(232)と、このガイド溝(232)に係合して前記中間リンク(25)を揺動させる係合ピン(253)と、前記中間リンク(25)の先端に設けられ、前記蓋(22)の支持軸(222)が貫通する長孔(252)と、前記箱体(21)の両脇に設けられ、同じく前記蓋(22)の支持軸(222)が貫通する蓋用長孔(213)とからなるものである請求項に記載の電気連結器。
  3. 前記蓋(22)が、引き寄せられた状態において開口に取り付けられたガスケット(211)に全周で密着する押し付け部材(225)を裏面に備えたものである請求項1または2に記載の電気連結器。
  4. 1対の機械連結器にそれぞれ取り付けられる1対の電気連結器(2b、2c)のうち一方(2b)が、可動枠(41)を介して機械連結器に対して移動可能であり、連結状態において他方の電気連結器(2c)と一体となるように結合されるものである請求項1ないしのいずれかに記載の電気連結器。
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